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【発明の名称】 金属製中空筒状体及びその製造方法
【発明者】 【氏名】佐久間 優

【要約】 【課題】電子写真方式の複写機やプリンタ等において、感光体ドラムや定着器などの各円筒ロールの高さ方向の設置スペースを小さくし、装置の小型化及び軽量化を図ることができるようにし、また省エネルギー化を図る。

【解決手段】図1の(a),(b)に示すような円筒状の金属素管1,2を形成する。(a)に示すものは溶接パイプ素管(溶接継手円筒体)、(b)に示すものはシームレスパイプ素管となっている。そして、図1の(c)に示すように、引抜き加工機の内型3を金属素管1,2の内部に挿入し、外側に外型4を配置し、矢印A方向に引抜き加工して、図1の(d)に示す厚さ略0.03〜0.15mmの薄肉金属管5を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属製の中空筒状体であって、略0.03〜0.15mmの厚さにその厚さ方向にフレキシブルに形成したことを特徴とする金属製中空筒状体。
【請求項2】 金属製の厚さ方向にフレキシブルな中空筒状体の製造方法であって、円筒状の金属素管を形成し、該金属素管を引抜き加工して略0.03〜0.15mmの厚さに形成するようにしたことを特徴とする金属製中空筒状体の製造方法。
【請求項3】 金属製の厚さ方向にフレキシブルな中空筒状体の製造方法であって、平板状の金属板をプレス加工により深絞りしてカップ素管を形成し、該カップ素管をしごき加工して略0.03〜0.15mmの厚さに形成するようにしたことを特徴とする金属製中空筒状体の製造方法。
【請求項4】 金属製の厚さ方向にフレキシブルな中空筒状体の製造方法であって、円筒状の金属素管を形成し、該金属素管を内部から液圧を加えて拡管処理し、略0.03〜0.15mmの厚さに形成するようにしたことを特徴とする金属製中空筒状体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属製のフレキシブルな極薄ベルトやスリーブ、特に複写機やプリンタ等の感光体ドラム、定着器などに用いて好適な金属製中空筒状体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真方式の複写機やプリンタ等においては、感光体ドラムを画像信号により露光し、現像機にてトナー像を形成し、この感光体ドラムに形成されたトナー像を記録紙に転写し、更に定着器により熱定着して出力するようにしている。そして、このような画像形成プロセスでは、上記の感光体ドラムや定着ローラ、加圧ローラなど、様々なロール部材が使用されている。通常、このロール部材は、円筒状あるいは円柱状に形成されており、モータにより駆動されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のような従来のロール部材は円筒状若しくは円柱状であり、特に高さ方向の設置スペースが大きく、このため装置の小型化及び軽量化を図ることができないという問題点があった。
【0004】本発明は、設置スペースが小さく、装置の小型化及び軽量化を図ることができ、また省エネルギー化を図ることが可能な金属製中空筒状体及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る金属製中空筒状体及びその製造方法は、次のように構成したものである。
【0006】(1)金属製の中空筒状体であって、略0.03〜0.15mmの厚さにその厚さ方向にフレキシブルに形成した。
【0007】(2)金属製の厚さ方向にフレキシブルな中空筒状体の製造方法であって、円筒状の金属素管を形成し、該金属素管を引抜き加工して略0.03〜0.15mmの厚さに形成するようにした。
【0008】(3)金属製の厚さ方向にフレキシブルな中空筒状体の製造方法であって、平板状の金属板をプレス加工により深絞りしてカップ素管を形成し、該カップ素管をしごき加工して略0.03〜0.15mmの厚さに形成するようにした。
【0009】(4)金属製の厚さ方向にフレキシブルな中空筒状体の製造方法であって、円筒状の金属素管を形成し、該金属素管を内部から液圧を加えて拡管処理し、略0.03〜0.15mmの厚さに形成するようにした。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面について説明する。
【0011】本発明に係る金属製中空筒状体は、複写機等でベルトやスリーブとして使用されるものであり、塑性加工により略0.03〜0.15mmの厚さにその厚さ方向にフレキシブルに形成されている。
【0012】上記のベルトやスリーブとしての材質は、SUS(301,302,303,304,304L,305,310,316,316L,631,430,420,630,XM7)、Ni、Ni合金、Ti、Ti合金、タンタル、モリブデン、ハステロイ、パーマロイ、マルエージング鋼、Al、Al合金、Cu、Cu合金、Fe(ブリキ,STKM)などが好ましいが、塑性加工可能な金属材料であれば用いることができるが、この中でも特にSUS(304,316L)、Ti合金、Al合金、Cu合金、Feが望ましい。
【0013】図1は本発明の第1の実施例を示す図であり、上記構成の金属製中空筒状体の製造過程を示している。
【0014】まず、図1の(a),(b)に示す円筒状の金属素管1,2を形成する。(a)に示すものは溶接パイプ素管(溶接継手円筒体)、(b)に示すものはシームレスパイプ素管となっている。そして、図1の(c)に示すように、引抜き加工機の内型3を金属素管1,2の内部に挿入し、外側に外型4を配置し、矢印A方向に引抜き加工して、図1の(d)に示す厚さ略0.03〜0.15mmの薄肉金属管5を形成する。このとき、金属素管1,2の肉厚は薄肉化され、溶接ビードの凹凸も解消され、均一化される。
【0015】このようにして形成された薄肉金属管5は、厚さ方向にフレキシブルで、形状が均一であり、疲れ強さが大で、回転方向にフレキシブルな円筒となる。したがって、これを複写機やプリンタの感光体ドラムや定着器に用いた場合、ベルト状にして使用できるので、設置スペースを小さくすることができ、高さ方向のダウンサイジングが可能となり、装置の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0016】更に、定着器の熱定着ローラにあっては、金属ベルトの薄肉化によりウォームアップタイムの短縮が可能で、省エネルギー化及び高速化を図ることができる。また、熱定着部分(ニップ領域)を広げることができるので、画質も安定する。
【0017】図2は本発明の第2の実施例を示す図であり、図1と同様上述の筒状体の製造過程を示している。
【0018】まず、図2の(a)に示すように、平板状の金属板11を深絞り機の内型12と外型13でプレス加工して深絞りを行い、図2の(b)に示すカップ素管14を形成する。そして、図2の(c)に示すように、しごき加工機の内型15をカップ素管14の内部に嵌め込み、外型16を外部に配置し、矢印B方法にしごき加工して図2の(d)に示す薄肉金属管17を形成する。その際、1段階ないし2段階で深絞りしたカップ素管14を2〜3段でしごき加工することにより、薄肉化を図ることができる。
【0019】このようにして形成された薄肉金属管17も、上記第1の実施例で得られたものと同様、フレキシブルなベルト及びスリーブとして使用することができ、同様の機能を果たすことができる。
【0020】なお、本実施例において、深絞りした上記の底付きのカップ素管14若しくは底なしのカップ素管を所謂へら絞り加工して薄肉金属管17を形成するようにしても良い。この場合、回転する内型と回転するへら部材によりカップ素管の薄肉化を図ることになる。
【0021】図3は本発明の第3の実施例を示す図であり、図1,図2と同様上述の筒状体の製造過程を示している。
【0022】まず、図1の(a),(b)に示すものと同様の円筒状の金属素管21を形成し、これを図3の(a)に示すように、バルジ拡管加工機の成形型22の内部に挿入し、金属素管21の内部に液体23を入れる。そして、図3の(b)に示すように、液体23を矢印C−C’方向から圧縮し、金属素管21の内部から液圧を加えて拡管処理を行い、図3の(c)に示す薄肉金属管24を形成する。
【0023】このようにして形成された薄肉金属管24も、上記第1の実施例及び第2の実施例で得られたものと同様、フレキシブルなベルトやスリーブとして使用でき、同様の作用効果を得ることができる。
【0024】図4は、上述の各実施例で形成された薄肉金属管の使用例を示す図である。図示のように、従来では厚肉の円筒管として使用していたものを、薄肉の材質で高さ方向の寸法を小さくして使用することができ、薄型化、省スペース化を図ることができる。
【0025】また、薄肉化により例えば複写機の定着器に用いた場合など、ウォームアップ時間も短くなり、省エネルギー化及びコストダウンを図ることができる。
【0026】以上、本発明の各実施例について述べたが、本発明の中空筒状体は例えばベルトとして不可欠な次のような要素を満たすものである。
【0027】■ベルトが回転する際に、ローラや摺動ガイド等に巻き付くことにより発生する繰り返し曲げ応力(σb)に耐える特性を維持している。
【0028】■ベルトにテンションを与えた際に発生する引張りの応力(σt)に耐える特性を維持している。
【0029】■ベルト蛇行走行防止のためのクラウンプーリ(太鼓型プーリ)に巻き付く際に発生する、ベルト幅方向に曲げられる応力(σu)に耐える特性を維持している。
【0030】また、ベルト方式としての有効な設計のポイントは、ベルトにかかる各応力を、そのベルト材質が持つ疲労強度以内に抑えることであり、以下の式で表される。
【0031】σmax(総合応力)=σb(曲げ応力)+σt(引張応力)+σu(付加応力)
σf(疲労強度)>σmax(総合応力)
上記中空筒状体の引張強度、硬さ及び疲れ強さは各製造方法における引抜加工率、しごき加工率、拡管加工率に左右され、30%の加工率をとると、例えばSUS304の場合、素材強度は350HV程度、引張強度は1050N/mm2 程度となり、総合応力Sが60Kgf/mm2 の条件下において繰り返し数107 回転程度の必要強度が維持できる。
【0032】図5及び図6は上記の加工率による疲労試験データを示す図であり、図5の(a)は圧延率とHV硬度の関係、同図の(b)は圧延率と引張強度の関係を示し、また図6は加工の繰り返し数Nと総合応力Sの関係を示すS−N曲線となっている。
【0033】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、円筒ロールをベルトやスリーブとして使用でき、設置スペースが小さくなり、装置の小型化及び軽量化を図ることができるという効果がある。
【0034】また、薄肉化によりウォームアップ時間が短くなり、省エネルギー化及びコストダウンを図ることができる。
【出願人】 【識別番号】599124426
【氏名又は名称】株式会社ディムコ
【出願日】 平成11年9月2日(1999.9.2)
【代理人】 【識別番号】100066061
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 宏之 (外1名)
【公開番号】 特開2001−74173(P2001−74173A)
【公開日】 平成13年3月23日(2001.3.23)
【出願番号】 特願平11−248698