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【発明の名称】 配管ユニット
【発明者】 【氏名】松岡 大幾

【要約】 【課題】スパンが大きくても、一度の据え付けで容易に正規位置に設置する。

【解決手段】配管を支持する長尺の管枠と、管枠から下方にむけて突出して橋脚に設置される脚部5bとを備え、脚部5bが管枠の長さ方向に複数配置される配管ユニットにおいて、複数の脚部のうち、両端より内側に位置する脚部5bの少なくとも一つを管枠に対して上下方向に伸縮自在に取り付ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 配管を支持する長尺の管枠と、該管枠から下方にむけて突出して橋脚に設置される脚部とを備え、該脚部が前記管枠の長さ方向に複数配置される配管ユニットにおいて、前記複数の脚部のうち、両端より内側に位置する脚部は、少なくとも一つが前記管枠に対して上下方向に伸縮自在に取り付けられることを特徴とする配管ユニット。
【請求項2】 請求項1記載の配管ユニットにおいて、前記伸縮自在な脚部は、前記管枠に下方に向けて固着する脚柱と、該脚柱に上下方向に移動自在に設けられた軸体と、該軸体の下端に設けられ前記橋脚に設置されるベースプレートとを備えることを特徴とする配管ユニット。
【請求項3】 請求項2記載の配管ユニットにおいて、前記軸体が前記脚柱に対して脱落することを防止する脱落防止機構を備えることを特徴とする配管ユニット。
【請求項4】 請求項1から3のいずれかに記載の配管ユニットにおいて、前記伸縮自在な脚部は、前記管枠の長さ方向の略中央に配置されることを特徴とする配管ユニット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガス管等の配管を支持する配管ユニットに関し、特に、大きなスパンで据え付けられる配管ユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、LNG(液化天然ガス)基地の多くは、運搬時の利便性等から港湾地域に建設されており、ガス輸送用のガス管を海(または河川)を挟んだ対岸との間に架設する際には、鋼材で構築された管枠にガス管を取り付けた長尺の配管ユニットを陸部間に亙って据え付けている。この種の配管ユニットを現地で組み立てた場合、精度の維持が困難、工期がかかる等の不都合があるため、予め工場で製造した配管ユニットを現地で据え付けるという方法が採られる。
【0003】図4に、海を挟んで据え付けられる配管ユニットの一例を示す。この図において、符合1は配管ユニットであり、符合2a〜2cは配管ユニット1が据え付けられる橋脚である。図5に示すように、配管ユニット1は、断面矩形状に組まれてなる管枠3にガス管や防災・ユーティリティ用の配管4が複数支持された構成になっている。また、配管ユニット1には、管枠3の幅方向両側に位置して管枠3を支持する脚部5が設けられている。図4に示すように、脚部5は、管枠3の長さ方向両端および略中央の三ヶ所に、橋脚2a〜2cにそれぞれ対応するように配置されている。各脚部5の下端には、橋脚2a〜2cの上面にそれぞれ固定されるベースプレート6a〜6cが脚部5に対して垂直に設けられている。
【0004】橋脚2cは陸部に、橋脚2a、2bは海上に突出するようにそれぞれ設置されており、また、橋脚2a、2bはコンクリートで、橋脚2cは鋼材でそれぞれ構成されている。各橋脚2a〜2cの上面には、配管ユニット1のベースプレート6a〜6cを固定するためのボルト7a〜7cがそれぞれ上方に向けて突設されており、ベースプレート6a〜6cには、ボルト7a〜7cに対応する位置に貫通孔(不図示)がそれぞれ形成されている。
【0005】上記の構成の配管ユニット1を橋脚2a〜2c上に設置する際には、クレーン9がワイヤー8を介して配管ユニット1を吊持し、ベースプレート6a〜6cの貫通孔に橋脚2a〜2c上のボルト7a〜7cがそれぞれ挿通するように当該配管ユニット1を下降させる。そして、ベースプレート6a〜6cを橋脚2a〜2cに載置した後にボルト7a〜7cに図示しないナットを締結することで橋脚2a〜2cと配管ユニット1とが固定される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したような従来の配管ユニットには、以下のような問題が存在する。配管ユニット1を吊り下げる際のワイヤー8がなす角度は所定範囲に定められているが、配管ユニット1は百メートルを越えるスパンを有しているため、上記角度を維持しながら配管ユニット1の両端側を吊持すると巨大なクレーンが必要になってしまう。そのため、配管ユニット1を中央側で吊持することになるが、この場合、図4に示すように、配管ユニット1の撓みにより、脚部5を傾けた状態で両端側が下がり、両端の脚部5間の水平方向の距離が短くなる。
【0007】この状態で配管ユニット1を降下させると、例えば図4中左端側に位置するベースプレート6aが最初に正規の据え付け位置よりも内側の位置Xで橋脚2aに当接した後に、右端側そして中央に位置するベースプレート6c、6bが順次橋脚2c、2bに当接する。このとき、撓んでいた配管ユニット1は、位置Xを支点にして撓みを解放するため、ベースプレート6cは橋脚2c上を滑ることになり、鋼材で構成されて剛性が低い橋脚2cには、図中矢印で示す方向(右方向)に力が加わることで倒れが発生する。そのため、ボルト7a〜7cの位置が変動し、配管ユニットを固定できないという問題が起こる。
【0008】橋脚2cを剛性の高いコンクリートで構成することで、橋脚2cの倒れは抑制できるが、この場合でも、配管ユニット1は、撓みにより短くなった水平方向の距離分だけ橋脚2a〜2cに対して図4中右側にずれてしまい、正規位置に修正する距離も大きくなり位置決め作業が繁雑になるという問題があった。そこで、配管ユニットを例えば二分割して一つの長さを短くすることでそれぞれの撓みを小さくすれば上記の問題を緩和できるが、据え付け作業を二度行う必要がありコストダウンの要請には応えられない。
【0009】本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、スパンが大きくても、一度の据え付けで容易に正規位置に設置できる配管ユニットを提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。請求項1記載の配管ユニットは、配管を支持する長尺の管枠と、該管枠から下方にむけて突出して橋脚に設置される脚部とを備え、該脚部が前記管枠の長さ方向に複数配置される配管ユニットにおいて、前記複数の脚部のうち、両端より内側に位置する脚部は、少なくとも一つが前記管枠に対して上下方向に伸縮自在に取り付けられることを特徴とするものである。
【0011】従って、本発明の配管ユニットでは、内側に位置する脚部を管枠から下方に伸長させて、両端に位置する脚部よりも早く橋脚に当接させて設置することができる。そして、配管ユニットを下降させると、伸長した脚部が管枠に対して相対的に縮むとともに、両端の脚部が橋脚に当接し、既に設置された脚部を支点にして該支点との距離に応じた距離だけ上面を滑り所定の位置に達する。そのため、両端の橋脚において滑る距離は、一端を支点にして滑る距離よりも短くすることができる。
【0012】請求項2記載の配管ユニットは、請求項1記載の配管ユニットにおいて、前記伸縮自在な脚部は、前記管枠に下方に向けて固着する脚柱と、該脚柱に上下方向に移動自在に設けられた軸体と、該軸体の下端に設けられ前記橋脚に設置されるベースプレートとを備えることを特徴とするものである。
【0013】従って、本発明の配管ユニットでは、内側に位置する脚部の軸体を管枠に固着する脚柱から下方に移動させて、ベースプレートを両端に位置する脚部よりも早く橋脚に当接させて設置することができる。そして、配管ユニットを下降させると、下方に移動していた軸体が脚柱に対して相対的に上方に移動するともに、両端の脚部が橋脚に当接し、既に設置されたベースプレートを支点にして該支点との距離に応じた距離だけ上面を滑り所定の位置に達する。そのため、両端の橋脚において滑る距離は、一端を支点にして滑る距離よりも短くすることができる。
【0014】請求項3記載の配管ユニットは、請求項2記載の配管ユニットにおいて、前記軸体が前記脚柱に対して脱落することを防止する脱落防止機構を備えることを特徴とするものである。
【0015】従って、本発明の配管ユニットでは、橋脚に向けて下降する際にも、軸体が脚柱に対して脱落することを防止できる。
【0016】請求項4記載の配管ユニットは、請求項1から3のいずれかに記載の配管ユニットにおいて、前記伸縮自在な脚部は、前記管枠の長さ方向の略中央に配置されることを特徴とするものである。
【0017】従って、本発明の配管ユニットでは、両端の脚部において発生する滑りの最大距離を最小にすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の配管ユニットの実施の形態を、図1から図3を参照して説明する。ここでは、管枠の両端および中央の3ヶ所に脚部を設け、中央の脚部を伸縮自在とする場合の例を用いて説明する。これらの図において、従来例として示した図4および図5と同一の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。なお、本実施の形態では、中央の脚部の構成以外は従来例と同一であるので、以下この部分について説明する。
【0019】図1は、中央に位置する脚部5の構成を示す断面図である。脚部5bは、管枠3の長さ方向中央に下方に向けて固着された円筒状の脚柱10と、上端側が脚柱10の内部を上下方向に移動可能な軸体11と、該軸体11の下端に設けられ橋脚2bに設置されるベースプレート12とから構成されており、軸体11が脚柱10に対して移動することで管枠3に対して伸縮するようになっている。軸体11は、配管ユニット1が撓んで両端の脚部5が下がっても、ベースプレート12の方がより下方に位置するように十分な長さに設定されている。
【0020】脚柱10には、内部へ向けて突出する突部13が設けられており、軸体11の上端側外周には、突部13よりも上方に位置して該突部13に係止する突部14が突設されており、これら突部13、14は軸体11が自重により下方に伸長したときに突部14が突部13に係止することで、軸体11が脚柱10から脱落することを防止する脱落防止機構を構成している。
【0021】軸体11の下方には、脚柱10を介して管枠3の重量を支持するフランジ15が設けられており、このフランジ15、軸体11は管枠3を支持するための十分な強度を有するように設定されている。一方、ベースプレート12には、橋脚2cのボルト7bに対応する位置に貫通孔12aが形成されている。
【0022】上記の構成の配管ユニット1を据え付ける手順を説明する。クレーン9で吊持された配管ユニット1は、図1に示すように、軸体11が脚柱10に対して自重で下方に伸長した状態で下降する。そして、脚部5bのベースプレート12が、管枠3の撓みで下がった両端の脚部5よりも先に橋脚2bの上面に当接する。このとき、ベースプレート12の貫通孔12aには、橋脚2bのボルト7bが挿通して脚部5bの位置が決まる。
【0023】配管ユニット1の降下が続くと、脚部5bにおいては脚柱10のみが下降してベースプレート12との間の距離を縮め、図2に示すように、脚柱10の端面がフランジ15に当接して支持されるとともに、両端においては脚部5が橋脚2a、2cに当接する。このとき、図3(a)に示すように(この図では左端の脚部5のみ示す)、橋脚2a、2cの上面に、管枠3の中央側に開口する溝17を有する平面視U字状の滑り板16a、16cをボルト7a、7cが溝17内に位置するようにそれぞれ載置しておくことで、ベースプレート6a、6cが脚部5bを支点にして滑り板16a、16c上を外側へ向けて滑る。そして、管枠3の撓みがなくなり、図3(b)に示すように、ベースプレート6a、6cは、貫通孔18がボルト7a、7cの上方に対向するように位置する。この後、滑り板16a、16cを橋脚2a、2cの上面に沿って外側に抜くことで、貫通孔18にボルト7a、7cが挿通され、ベースプレート6a、6cが橋脚2a、2cに当接する。そして、ボルト7a〜7cにボルトを締結することで配管ユニット1を橋脚2a〜2cに据え付けることができる。
【0024】本実施の形態の配管ユニットでは、両端の脚部5が橋脚2a、2cに当接する前に内側に位置する脚部5bを橋脚2bに位置決めしているため、両端のベースプレート6a、6cが滑る距離を短くでき、橋脚2cの倒れも抑制され、大きなスパンを有する配管ユニット1であっても、一度の据え付け作業で正規の位置に容易に設置することができる。また、脚部5bを中央に配置することで、両端の脚部において発生する滑りの最大距離を最小にすることができ、設置作業が一層容易になる。そして、管枠3に対して伸縮する脚部5bを、別途駆動機構を設けることなく、脚柱10、軸体11、ベースプレート12からなる簡単な構成としているので、コストも低減させることもできる。さらに、両端の橋脚2a、2c上に滑り板16a、16cを載置することで、ベースプレート6a、6cが滑る際の摩擦抵抗を低くすることも実現している。
【0025】また、本実施の形態の配管ユニットでは、脱落防止機構によって据え付け作業中に軸体11が脚柱10から脱落することを防止しているので、作業を安全、且つ確実に実施することができる。
【0026】なお、上記実施の形態において、管枠3の両端および中央の3カ所に脚部を設ける構成としたが、これに限られるものではなく、4ヶ所以上に脚部を設け、内側に位置する脚部の少なくとも一つを上下方向に伸縮自在とする構成であってもよい。また、伸縮する脚部を、必ずしも中央に配置する必要はなく、両端の脚部より内側であればよい。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る配管ユニットは、両端より内側に位置する脚部の少なくとも一つが管枠に対して上下方向に伸縮自在に取り付けられる構成となっている。これにより、この配管ユニットでは、両端の脚部が滑る距離を短くでき、橋脚の倒れも抑制され、一度の据え付け作業で正規の位置に容易に設置することができるという効果が得られる。
【0028】請求項2に係る配管ユニットは、伸縮自在な脚部が脚柱と軸体とベースプレートとを備える構成となっている。これにより、この配管ユニットでは、別途駆動機構を設けることなく、安価な設備で容易に据え付け作業を実施できるという効果が得られる。
【0029】請求項3に係る配管ユニットは、脱落防止機構により軸体が脚柱に対して脱落することを防止する構成となっている。これにより、この配管ユニットでは、据え付け作業を安全、且つ確実に実施できるという効果が得られる。
【0030】請求項4に係る配管ユニットは、伸縮自在な脚部を管枠の長さ方向の略中央に配置する構成となっている。これにより、この配管ユニットでは、両端の脚部において発生する滑りの最大距離を最小にすることができ、設置作業を一層容易に実施できるという効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【出願日】 平成11年9月7日(1999.9.7)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外1名)
【公開番号】 特開2001−74163(P2001−74163A)
【公開日】 平成13年3月23日(2001.3.23)
【出願番号】 特願平11−253644