トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 ロータリジョイントの軸受け構造
【発明者】 【氏名】藤野 紳一

【要約】 【課題】コンパクト化を図りながら高速回転を受けても静かな運転と長寿命化を達成できる技術の提供。

【解決手段】軸の一端側にシールリング5aを有し一対設けた段付部5a,9にそれぞれ内輪同士が互いに離反する方向で当接するように備えた一対のころがり軸受け6,7が筒状ボディ1との間に装着された回転管軸5と、筒状ボディ内に摺動自在に支持され他端側に有したシールリング4aを流体圧などの押圧力にて回転管軸のシールリング5aに接合させるフローティングシート4を備え、軸受けはサラバネの積層体12により内輪と外輪同士が相対する方向に付勢力を受けて予圧される。軸受けはアンギュラ型と深溝型のボールベアリングの組み合わせとした構成。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 軸の一端側にシールリングを有すると共に軸上に所定間隔で設けた段付部にそれぞれ内輪同士が互いに離反する方向で当接するようにして備えた一対のころがり軸受けが筒状ボディとの間に装着された回転管軸と、前記筒状ボディ内に摺動自在に支持され他端側に有したシールリングを流体圧またはバネなどの押圧力にて前記回転管軸のシールリングに接合させることにより固定側から回転側に流体を供給可能とさせるフローティングシートと、を備えたロータリジョイントの軸受け構造において、前記転がり軸受けはバネにより内輪と外輪同士が相対する方向に付勢力を受けることにより予圧される予圧付与手段に連設されていることを特徴とするロータリジョイントの軸受け構造。
【請求項2】 前記フローティングシート側配置の転がり軸受けはその外輪の外側であるフローティングシート側を前記筒状ボディの第1の段部に当接すると共に内側を筒状ボディ内周面に設けた固定手段にて当接されて固定状態となり、かつ反フローティングシート側配置の軸受けの外輪は筒状ボディに摺動可能に装着され、前記予圧付与手段のバネは一端側を前記外輪同士の間であって筒状ボディ側に設けた第2の段部に当接することによりその他端側で前記反シールリング側配置の転がり軸受けの外輪を反フローティングシート方向に押圧するように配置されていることを特徴とする請求項1記載のロータリジョイントの軸受け構造。
【請求項3】 前記固定手段は前記筒状ボディの内面に嵌合したリングにより設けられると共に前記側面が前記第2の段部とされ、さらに筒状ボディ外周面に貫通した雌ねじ部に螺合させた雄ねじのV字状先端を接触させる略V字状の凹部がリング外周面に配設されており、前記雄ねじを進退させてリングの移動を行なってこのリングのフローティングシート側側面にて軸受けの外輪を押圧して固定させることを特徴とする請求項2記載のロータリジョイントの軸受け構造。
【請求項4】 前記バネはサラバネを複数積層して設けたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれかの項に記載のロータリジョイントの軸受け構造。
【請求項5】 前記一対の転がり軸受けはシールリング側にアンギュラ型が配置され反シールリング側に深溝玉軸受け型が配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のうちいずれかの項に記載のロータリジョイントの軸受け構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種機械に組み込んで使用するのに適したロータリジョイントであって、特に、コンパクト化を図りながら高速回転を受けても静かな運転と長寿命化を達成できるロータリジョイントの軸受け構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、工作機械などの高速回転部分に使用されるロータリジョイントでは、図2に示すように、軸の一端側にシールリング50を有すると共に軸上に所定間隔で設けた段付部51、52にそれぞれ内輪53、53同士が互いに離反する方向で当接するようにして一対の転がり軸受け54、54が装着された回転管軸55と、この回転管軸55のシールリング50側を奥に収容した状態で前記一対の転がり軸受け54、54を内部に嵌着させた筒状ボディ56と、それにこの筒状ボディ56内に摺動自在に支持され他端側に有したシールリング57を流体圧またはバネなどの押圧力にて前記回転管軸のシールリング50に当接させることにより固定側から回転側に流体を供給させるフローティングシート58などから構成されており、それにはコンパクト化を図りながら配管などによる外力や振動に対する抵抗を高める目的で、軸受けの作用点間距離を長く設けるため、前記転がり軸受け54、54にアンギュラ型を使用して背面組み合わせすると共に前記段付部52をベアリングナットで形成し、内輪53、53同士が接触するまでこのベアリングナットで内輪53、53同士を締め付け固定することによりアンギュラ型転がり軸受け54、54同士に予圧を付与する手段が設けられている。図中、回転管軸上のマークが各軸受けの接触角による作用点位置を示す。
【0003】そして、このようなロータリジョイントは、例えば工作機械の主軸などに装着され、回転工具先端側へクーラントなどを供給するのに使用されているが、クーラントによりフローティングシート58はシールリングを押し付ける力を発生させるため、回転管軸55は軸心方向に力が作用する。また筒状ボディにはクーラント供給およびドレン用の配管が接続されているが、これが偏心荷重を与えることが多く、高速回転において軸受けに異常な負荷が作用することがある。このような場合、内外輪と転動体との間に僅かな隙間があると滑りなどを起こしその寿命を短めてしまうということがあるので、予め軸受けに予圧をかけて隙間をなくし延命化を図っているのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この従来のロータリジョイントでは、転がり軸受けを背面組み合わせし内輪同士を締め付け固定して予圧を付与する定位置予圧方式であり、部品点数は少なく、また外力に対して強いという利点はあるが、以下に示すような問題がある。
1.内輪への回転管軸圧入によるボール隙間の変化があり、これは軸側、穴側両サイドの仕上げ精度によって一定せず管理が困難である。
2.荷重、温度などによって予圧量が変化し適正予圧量を保持できない場合が生じる。
3.背面組み合わせによる定位置予圧は内輪同士をアキシャル方向へ締め付けることによって行なうから、そのような締め代を有する軸受けは特注品となってコストアップとなる。
4.アンギュラ型軸受けの組み合わせでは高速回転に弱く、単体の80%程度での使用となり使用先が限定される場合がある。
【0005】本発明は、上述のような従来の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、各種機械に内蔵して使用するのに適したコンパクトなロータリジョイントであって、特に一般使用の軸受けを使用しても仕上げ精度や温度変化に対して性能が一定していて管理が容易であり、さらに高速回転に適したロータリジョイントの軸受け構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明請求項1記載のロータリジョイントの軸受け構造にあっては、軸の一端側にシールリングを有すると共に軸上に所定間隔で設けた段付部にそれぞれ内輪同士が互いに離反する方向で当接するようにして備えた一対のころがり軸受けが筒状ボディとの間に装着された回転管軸と、前記筒状ボディ内に摺動自在に支持され他端側に有したシールリングを流体圧またはバネなどの押圧力にて前記回転管軸のシールリングに接合させることにより固定側から回転側に流体を供給可能とさせるフローティングシートと、を備えたロータリジョイントの軸受け構造において、前記転がり軸受けはバネにより内輪と外輪同士が相対する方向に付勢力を受けることにより予圧される予圧付与手段に連設されていることを特徴とする。
【0007】請求項2記載のロータリジョイントの軸受け構造にあっては、請求項1記載のロータリジョイントの軸受け構造において、前記フローティングシート側配置の転がり軸受けはその外輪の外側であるフローティングシート側を前記筒状ボディの第1の段部に当接すると共に内側を筒状ボディ内周面に設けた固定手段にて当接されて固定状態となり、かつ反フローティングシート側配置の軸受けの外輪は筒状ボディに摺動可能に装着され、前記予圧付与手段のバネは一端側を前記外輪同士の間であって筒状ボディ側に設けた第2の段部に当接することによりその他端側で前記反シールリング側配置の転がり軸受けの外輪を反フローティングシート方向に押圧するように配置されていることを特徴とする。
【0008】請求項3記載のロータリジョイントの軸受け構造にあっては、請求項2記載のロータリジョイントの軸受け構造において、前記固定手段は前記筒状ボディの内面に嵌合したリングにより設けられると共に前記側面が前記第2の段部とされ、さらに筒状ボディ外周面に貫通した雌ねじ部に螺合させた雄ねじのV字状先端を接触させる略V字状の凹部がリング外周面に配設されており、前記雄ねじを進退させてリングの移動を行なってこのリングのフローティングシート側側面にて軸受けの外輪を押圧して固定させることを特徴とする。
【0009】請求項4記載のロータリジョイントの軸受け構造にあっては、請求項1ないし請求項3のうちいずれかの項に記載のロータリジョイントの軸受け構造において、前記バネはサラバネを複数積層して設けたものであることを特徴とする。
【0010】請求項5記載のロータリジョイントの軸受け構造にあっては、請求項1ないし請求項4のうちいずれかの項に記載のロータリジョイントの軸受け構造において、前記一対の転がり軸受けはシールリング側にアンギュラ型が配置され反シールリング側に深溝玉軸受け型が配置されていることを特徴とする。
【0011】
【作用】請求項1および請求項2記載のロータリジョイントの軸受け構造にあっては、転がり軸受けは予圧付与手段のバネにより内輪と外輪同士が相対する方向に付勢力を受けることにより予圧される。前記予圧付与手段のバネは一端側を筒状ボディ側に固定し他端側で摺動可能側外輪を押圧するように一カ所配置するだけで両軸受けを同時に予圧し、安価なバネが使用でき、しかも精度の高い特製のベアリングを不要とし、固定側部材や回転側部材の工作精度の程度に左右されることなく一定した押圧力を付与できる。
【0012】請求項3記載のロータリジョイントの軸受け構造にあっては、雄ねじの進退によりリングを軸心方向に移動させ軸受け外輪を筒状ボディに固定させるから、予め軸受け、リング、バネ、軸受けと順に回転管軸に装着してその軸受けの内輪同士を段部で固定しておき、この一式を筒状ボディに挿入することにより組み立てられる。
【0013】請求項4記載のロータリジョイントの軸受け構造にあっては、サラバネの複数使用によって反発力一定の部分を十分に求め、この安定部分で予圧を付与し、静かで安定した運転を行なうことができる。
【0014】請求項5記載のロータリジョイントの軸受け構造にあっては、シールリング側を負荷集中構造としそこに負荷容量の大きいアンギュラ型を配置することにより全長を短縮でき、コンパクトだが耐久性のあるロータリジョイントを経済的に設けることができる。特に、コンパクト化を図りながら高速回転を受けても静かな運転と長寿命化を達成することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。図1は本実施の形態のロータリジョイントを示す断面図、図2は要部の拡大図である。
【0016】まず、このロータリジョイントAは、工作機械の立て型の主軸終端側に直付けされて工具側にクーラントCを供給するように設けられたもので説明する。図中1は筒状ボディ、2は筒状ボディ1の軸心上一端側に開設された流体導入口、3は流体導入口2に続くシール穴、4はシール穴3に摺動自在に装着されたフローティングシート、4aはフローティングシートのシールリング、5は前記軸心上他端側に配置された回転管軸、5aは回転管軸のシールリング、6は回転管軸5をフローティングシート4側で軸支した転がり軸受けとしてのアンギュラ型ボールベアリング、7は同じく回転管軸5を反フローティングシート側で軸支した深溝型ボールベアリングである。尚、前記フローティングシート側配置のボールベアリング6は、その作用点が前記反フローティングシート側配置のボールベアリング7から離反する向きにセットされている。図中、回転管軸上のマークがその接触角による作用点位置を示す。また、前記ボールベアリング7の外輪は筒状ボディの内径部1aに対し後述するバネ12の有する押圧力で摺動可能な状態に嵌合されている。
【0017】8はベアリングシールであり、その大径部8aが筒状ボディ1の内径部1aに嵌合され段付部1bで前記フローティングシート側が固定されている。9は止め輪であり、前記ボールベアリング6の内輪をフローティングシート4側で回転管軸5に係止させている。尚、外輪のフローティングシート側は前記ベアリングシール8の大径部8aを介して筒状ボディ1に固定された状態となっている。10はその外径側を前記筒状ボディ1の内径部1aに摺動自在に装着されたリングであり、外周には断面略V字状凹部10aが3カ所等配されている。このV字状凹部10aはサラモミ加工によって設けるが、外周にV字状溝を周設してもよい。11は筒状ボディ1の外周面から内部に向けて螺設された止めねじであり、そのV字型先端(とがり先)を前記リングのV字状凹部10aの側面に接触させた状態でねじ込むことにより、リング10のフローティングシート側側面で前記ボールベアリング6の外輪を前記大径部8a側に押圧することにより、その外輪を筒状ボディ側に固定させている。
【0018】12は前記両ボールベアリング6,7に予圧を付与するバネであり、サラバネを4枚積層して設けられている。そして、このバネ12は前記ボールベアリング7とリング10との間に圧縮状態にて装着され、その上端外径側が前記リング10の側面を押圧し、下端外径側がボールベアリング7の外輪側を押圧するように構成されている。尚、このボールベアリング7の内輪であって反フローティングシート側は前記回転管軸5の段付部5bにて固定されており、従って前記止め輪9とこの段付部5bとの間にリング10とバネ12とが配置された状態となっており、このリング10、バネ12、段付部1b,5b、止め輪9が予圧付与手段として作用し合っている。
【0019】次に本実施の形態の作用および効果を説明する。上述のように構成されたロータリジョイントAは、まず、流体導入口2が図外のクーラント外部供給源と接続され、回転管軸5が回転軸に連結された状態で機械に装着される。そして、クーラントが供給され回転軸が駆動されることにより、その供給圧力がフローティングシート4を下流側に押圧させた状態でシールリング4a,5a同士が密着状態で回転し、前記クーラントを固定側から回転側に供給している。次に、圧縮状態で装着されているバネ12は、まず、ボールベアリング7の外輪からボール、内輪を介し回転管軸5を反フローティングシート側に押圧する。このため、回転管軸5は止め輪9によりアンギュラ型ボールベアリング6の内輪を反フローティングシート側、つまり反作用点方向に押圧する。この場合、アンギュラ型ボールベアリング6の外輪の固定用およびバネ12の設置用となっているリング10は筒状ボディ1に固定され軸心方向に不動のものであり、従ってバネ12の押圧力は一対の軸受けとしてのボールベアリング6,7の両方に予圧を付与した状態となっている。
【0020】従って、安価なバネの使用により、しかも精度の高い特製のベアリングを不要とし、固定側部材や回転側部材の工作精度に左右されることなく一定した押圧力を付与できる。予めリング10、バネ12、ボールベアリング6,7を回転管軸5に装着してその内輪同士を段付部5b,止め輪9で固定しておき、この一式を筒状ボディ1に挿入することにより簡単に組み立てることができる。サラバネの複数使用によって反発力一定の部分を十分に求め、この安定部分で予圧を付与し、静かで安定した運転を行なうことができる。シールリング側を負荷集中構造としそこに負荷容量の大きいアンギュラ型ボールベアリング6を配置することにより全長を短縮でき、コンパクトだが耐久性のあるロータリジョイントを安価に設けることができる。
【0021】以上、本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限定されるものではない。例えば、フローティングシート構造やフローティングシート側配置のボールベアリング外輪固定は任意に設定することができる。ベアリングの形式およびその組み合わせは任意に設定することもできる。予圧を付与するバネはサラバネに限定されるものではなく、使用形態によってはコイルバネ、波形バネなども任意に設定される。
【0022】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明のロータリジョイントの軸受け構造にあっては、前記構成としたため、固定側部材や回転側部材の工作精度に左右されることなく一定した押圧力を付与できる。安価なバネと軸受けが使用でき、かつ軸受け、予圧付与手段を装着した回転管軸一式を筒状ボディに挿入することにより簡単に組み立てることができる。サラバネの複数使用によって反発力一定の部分を十分に求め、この安定部分で予圧を付与し、静かで安定した運転を行なうことができる。シールリング側を負荷集中構造としそこに負荷容量の大きいアンギュラ型ボールベアリングを配置することにより全長を短縮でき、特に、コンパクト化を図りながら高速回転を受けても静かな運転と長寿命化を達成することができるなどの効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】000179328
【氏名又は名称】リックス株式会社
【出願日】 平成11年8月23日(1999.8.23)
【代理人】 【識別番号】100109988
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 定昭 (外3名)
【公開番号】 特開2001−65760(P2001−65760A)
【公開日】 平成13年3月16日(2001.3.16)
【出願番号】 特願平11−236055