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【発明の名称】 金属部品
【発明者】 【氏名】内尾 健司

【氏名】中村 克昭

【氏名】成田 進

【要約】 【課題】テーパ螺合においても、腐食部の応力による割れを極力防止できる信頼性の高い金属部品の構造を提供することを目的とする。

【解決手段】開口内壁にねじ山、ねじ溝をもつ金属部品の開口内周に設けられる螺合開始基点が、開口端部より内側に設けられていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 開口内壁にねじ山、ねじ溝を持つ金属部品の開口内壁に設けられる螺合開始基点が、開口端部より内側に設けられていることを特徴とする金属部品。
【請求項2】 請求項1において、開口端部から螺合開始基点までの内壁領域には、ねじ山、ねじ溝を設けていないことを特徴とする金属部品。
【請求項3】 請求項1、2において、上記開口内壁に設けられたねじ山、ねじ溝は、内方に向けて順次内径が小さくなるようなテーパ状に形成されていることを特徴とする金属部品。
【請求項4】 請求項1において、上記螺合開始基点から外方に螺合開始基点での内径より大きな内径を有する延長部を有していることを特徴とする金属部品。
【請求項5】 請求項4において、上記延長部の開口付近は、R面取りがなされていることを特徴とする金属部品。
【請求項6】 請求項5において、上記延長部の外径は、螺合開示基点での外径より大きいように形成されていることを特徴とする金属部品。
【請求項7】 請求項1乃至6の何れかに記載の金属部品において、前記金属部品は、銅合金によって形成されていることを特徴とする金属部品。
【請求項8】 請求項7において、前記銅合金は、見かけ上のZn含有量を以下に示す意味で用いた場合、Zn含有量を37〜50wt%、Snを0.5〜7wt%含むことを特徴とする金属部品。
{(B+t・Q)/(A+B+t・Q)}×100A:Cu含有量(wt%)、B:Zn含有量(wt%)、t:SnのZn当量、Q:Sn含有量(wt%)
【請求項9】 請求項7において、前記銅合金は、以下の結晶組織のうち少なくとも1つを満たすことを特徴とする金属部品。
■結晶組織は、少なくともγ相を含み、その面積比率が、1〜50%■結晶組織は、少なくともβ相、γ相を含み、β相の面積比率が25〜45%、γ相の面積比率が25〜45%■結晶組織は、α相、β相、γ相を含み、α相の面積比率が30〜75%、β相の面積比率が0〜55%、γ相の面積比率が1〜50%■結晶組織は、γ相の短軸の平均結晶粒径が5μm以下【請求項10】 請求項7において、見かけ上のZn含有量を以下に示す意味で用いた場合、Zn含有量を37〜50wt%、Snを0.5〜7wt%含み、{(B+t・Q)/(A+B+t・Q)}×100A:Cu含有量(wt%)、B:Zn含有量(wt%)、t:SnのZn当量、Q:Sn含有量(wt%)
以下の結晶組織のうち少なくとも1つを満たすことを特徴とする金属部品。
■結晶組織は、少なくともγ相を含み、その面積比率が、1〜50%■結晶組織は、少なくともβ相、γ相を含み、β相の面積比率が25〜45%、γ相の面積比率が25〜45%■結晶組織は、α相、β相、γ相を含み、α相の面積比率が30〜75%、β相の面積比率が0〜55%、γ相の面積比率が1〜50%■結晶組織は、γ相の短軸の平均結晶粒径が5μm以下【請求項11】 請求項7において、前記銅合金は、以下の結晶組織のうち少なくとも1つを満たすことを特徴とする金属部品。
■結晶組織は、常温でα相面積比率が40〜94%、β相の面積比率が0〜30%、γ相の面積比率が3〜30%、α相及びβ相の平均結晶粒径が15μm以下、γ相の短軸の平均結晶粒径が8μm以下■480〜750℃の温度領域で平均結晶粒径が15μm以下、β相の面積比率30〜90%【請求項12】 請求項7において、前記銅合金は、見かけ上のZn含有量を以下に示す意味で用いた場合、Zn含有量を37〜46wt%、Snを0.5〜7wt%含み、{(B+t・Q)/(A+B+t・Q)}×100A:Cu含有量(wt%)、B:Zn含有量(wt%)、t:SnのZn当量、Q:Sn含有量(wt%)
以下の結晶組織のうち少なくとも1つを満たすことを特徴とする金属部品。
■結晶組織は、常温でα相面積比率が40〜94%、β相の面積比率が0〜30%、γ相の面積比率が3〜30%、α相及びβ相の平均結晶粒径が15μm以下、γ相の短軸の平均結晶粒径が8μm以下■480〜750℃の温度領域で平均結晶粒径が15μm以下、β相の面積比率30〜90%【請求項13】 請求項7乃至12項の何れかに記載の金属部品のおいて、少なくとも金属部品の開口端部表面のZn含有量は、母材部分のZn含有量より少ないことを特徴とする金属部品。
【請求項14】 請求項7乃至12項の何れかに記載の金属部品のおいて、少なくとも金属部品の開口端部表面の結晶組織は、母材部分の結晶組織と異なることを特徴とする金属部品。
【請求項15】 請求項14記載の金属部品において、前記開口端部表面の結晶組織が、α相からなることを特徴とする金属部品。
【請求項16】 請求項12乃至15の何れかに記載の金属部品において、前記母材部分と異なる組成または組織を有する部分は、金属部品表層から0.05〜0.5mmであることを特徴とする金属部品。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属部品、特に、螺合部品に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、配管の継ぎ手に用いる金属部品は、黄銅がコスト、施工時の加工性の良さから利用されているが、表面の腐食より螺合している継ぎ手部分(めす側)にひび割れが生じるという恐れがあり、特に、螺合部分に、テーパーを形成している場合は、割れを誘発する応力がより多くかかっているので、その恐れは、無視できない。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、テーパ螺合においても、腐食部の応力による割れを極力防止できる信頼性の高い構造を提供することを目的とし、開口内壁にねじ山、ねじ溝を持つ金属部品の開口内周に設けられる螺合開始基点が、開口端部より内側に設けられていることを特徴とする。
【0004】
【発明の実施の形態】図1は、黄銅を鍛造にて成形した後、加工したT字型継ぎ手1の1個所の開口2を従来の構造をにて、開口2内壁にねじ部3(ねじ山、ねじ溝を合せていう)を形成したものである。ねじ部3は、開口2入り口から内方に向かって順次内径が小さくなるようなテーパ状にねじがきってある(従来例)。また、螺合の開始の基点4(以下螺合開始基点と称す。)は、開口端に位置している。
【0005】図2は、図1の開口1の端部から内方に位置した部分にねじ部2の螺合開始基点4を設けている。5は、前記開口内の螺合開始基点4から開口1端部に設けられた延長部であり、図示していないおねじの螺合を阻害しないように螺合開始基点4の内径より若干大きな径を有している。また、開口1端部は、腐食に弱いエッジ部をR面取りすることで、緩和している。
【0006】次に、上記した構造のサンプルを以下の条件にて試験した結果を図4に示す。実施例1は、延長部の長さを3mm、実施例2では、5mmとして評価した。
【0007】〔試験条件〕図3に示すように28%アンモニア水溶液が、入っているガラスデシケータ内に上記サンプルをおねじにて締め付けた状態にて載置し、このアンモニア蒸気雰囲気中のそれぞれのサンプルを24時間、48時間、72時間、96時間の経過観察を行い評価した。
【0008】螺合時の締め付けトルクは、400kgf・cm、600kgm・cmとした。
【0009】以上のように延長部を設けたものは、ないものに比べ格段に耐久性に優れていることが解った。
【0010】また、延長部の長さは、長い方が望ましいが、その長さは、おねじ側の螺合を阻害しない範囲とする。
【0011】尚、延長部の形状としては、開口を外部に拡開したもの(図5、図6参照)、膨出部を設けたもの(図7参照)、開口を若干絞ったもの(図8参照)も破壊の基点となっていた開口端部分の応力を同様に緩和できる。すなわち、螺合開始基点を開口より内側に設けられる構造であれば、応力は、緩和でき開口の応力腐食割れを極力防ぐことができるので、適宜変更可能である。
【0012】また、実施例では、耐食性に若干劣る黄銅材料を用いたが、耐食性の優れた材料をもちいることで、更に、信頼性の高い金属部品を提供できることは、言うまでもない。
【0013】なお、応力腐食割れの主たる原因が、表面の腐食による表面欠陥に起因することから、腐食の影響を受け易い開口端部の表面を耐食性の富むように母材部分の組成及び/又は組織を改質してもよい。特に、銅合金は、Znの含有量が少ない方が、耐食性に富み、また、組織としては、α相が、望ましい。表面改質は、改質したい部分を、加熱し、Znが気化することを利用することで行え、また、組織の改質についても、結晶を目的とする組織になるまで、加熱し、急冷することで、得ることができる。
【0014】また、金属部品の母材部分と異なる組成または組織を有する部分は、金属部品表層から0.05〜0.5mmとすることが、望ましい。あまり薄いと耐食性の効果が、低下し、あまり厚すぎると母材のもつ強度特性等を阻害してしまうからである。また、その部分は、金属部品の開口端部表面に施せば良いが、金属部品の外表面全てに施してももちろん良い。
【0015】また、耐食性に優れた黄銅として、例えば、本出願人が、先に提案している黄銅でありながら耐食性、強度が優れている以下の材料が好適に利用できる。以下の材料は、量産性に優れている鍛造が好適に利用できる素材でもある。
【0016】見掛け上のZn含有量が37〜50wt%、Sn含有量が0.5〜7wt%である組成を用いることができる。
【0017】ここで、「見掛け上のZn含有量」という用語は、AをCu含有量〔wt%〕、BをZn含有量〔wt%〕、tを添加した第3元素(例えばSn)のZn当量、Qをその第3元素の含有量〔wt%〕としたとき、「{(B+t・Q)/(A+B+t・Q)}×100」の意味で用いる。
【0018】また、素材は、以下の結晶構造の少なくとも一つを有する。
■結晶組織は、少なくともγ相を含み、その面積比率が、1〜50%■結晶組織は、少なくともβ相、γ相を含み、β相の面積比率が25〜45%、γ相の面積比率が25〜45%■結晶組織は、α相、β相、γ相を含み、α相の面積比率が30〜75%、β相の面積比率が0〜55%、γ相の面積比率が1〜50%■結晶組織は、γ相の短軸の平均結晶粒径が5μm以下。
【0019】このような結晶構造とすることにより、鍛造温度300〜550℃の低温においても低温度域で再結晶を起こさせながら塑性変形させても、十分な延性を確保することができ、複雑な形状のものも成形できるようになる。すなわち、最終形状に近い成形が可能となるので、加工の少ない成形体を提供できる。このことは、切削性の向上の為に一般に添加していたPbをなくすことができることになり、環境に配慮した部品を提供できる。
【0020】また、見掛け上のZn含有量が37〜46wt%、Sn含有量が0.5〜7wt%である組成を用い、鍛造温度480〜750℃の温度で鍛造することで少なくとも以下の結晶組織をもつものも利用することもできる。この組織を持つものは、上記のものに比べ切削性を向上させることができる。
【0021】■結晶組織は、常温でα相面積比率が40〜94%、β相の面積比率が0〜30%、γ相の面積比率が3〜30%、α相及びβ相の平均結晶粒径が15μm以下、γ相の短軸の平均結晶粒径が8μm以下■480〜750℃の温度領域で平均結晶粒径が15μm以下、β相の面積比率30〜90%。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、螺合開始の基点をめねじの開口より内方に設ける構造にした為、応力腐食割れの起こる開口端部の応力を緩和できるので、割れを極力防止できる構造を提案できる。
【出願人】 【識別番号】000010087
【氏名又は名称】東陶機器株式会社
【出願日】 平成12年6月23日(2000.6.23)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−65750(P2001−65750A)
【公開日】 平成13年3月16日(2001.3.16)
【出願番号】 特願2000−189082(P2000−189082)