| 【発明の名称】 |
流体カップリング |
| 【発明者】 |
【氏名】武野 仲勝
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| 【要約】 |
【課題】外部の固定体から圧力流体を回転軸内に供給し再び回転軸から固定体に回収する際に圧力流体の漏洩を遮断するのに発熱するシール部品を使用しない流体カップリングの提供。
【解決手段】供給する圧力流体が固定体から回転軸内へ移動する際に生ずる軸外周隙間方向への流出を、この軸外周隙間の両側に、前記流出を制止する遮断圧力流体による圧力流体膜を形成するように前記圧力流体の第1供給口両側に遮断圧力流体の第2供給口を設け、第2供給口の外側に設けた環状溝で前記遮断後の流体を排出する排出流路を設ける。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 外筒の貫通穴に回転可能に挿通した回転軸内の流路に外筒の供給口から圧力流体を供給して軸端から放出するものにおいて、前記貫通穴内周に第1供給口に連通する第1環状溝を設け、前記回転軸には該第1環状溝に臨む位置に前記軸端に至る放出穴に連通する流入穴を設け、前記外筒の貫通穴内周には前記第1環状溝の両側に離れて前記第2環状溝を設け、前記外筒には前記第1環状溝とその両側の前記第2環状溝とのそれぞれの中間に前記貫通穴に開口する第2供給口を設け、前記外筒にはそれぞれの前記第2環状溝に連通する第2排出口を設けてなり、前記第1供給口から圧力流体を供給するとき同時に前記第2供給口から遮断圧力流体を供給して前記第1環状溝と前記それぞれの前記第2環状溝との間の軸外周隙間に遮断圧力流体膜を形成して圧力流体の軸外周隙間からの洩れを防止したことを特徴とする流体カップリング。 【請求項2】 請求項1に記載の流体カップリングにおいて、さらに前記回転軸内に前記放出穴と平行に穿設された供給した前記圧力流体を回収する還流穴を設け、該還流穴と連通し前記流入穴と軸方向位置ずらせ軸外周面に開口する回収穴を設け、前記貫通穴内周に該回収穴に臨む第3環状溝を設け、前記外筒には該第3環状溝と連通する第1回収口を設け、前記外筒の貫通穴の内周に前記第3環状溝の両側に離れてそれぞれ第4環状溝を設け、前記第3環状溝とその両側の前記第4環状溝とのそれぞれの中間に前記貫通穴に開口する第3供給口を設け、前記外筒には前記第4環状溝のそれぞれに連通する第3排出口を設けてなり、前記第1回収口から還流した圧力流体を回収と同時に前記第3供給口から遮断圧力流体を供給して前記第3環状溝と前記第4環状溝との間の軸外周隙間に遮断圧力流体膜を形成して放出した圧力流体の回収時の軸外周隙間からの洩れを防止することを特徴とする流体カップリング。 【請求項3】 遮断圧力流体に気体を用いたとき遮断圧力流体の排出口をなくした請求項1又は2に記載の流体カップリング。 【請求項4】 隣接して排出溝となる第2環状溝と第4環状溝とを共通とした共用環状溝を設けた請求項2に記載の流体カップリング。 【請求項5】 第2環状溝または第4環状溝の少なくとも一方の外側にさらに一組の遮断圧力流体の第2供給口,第2環状溝,第1排出口または第3供給口,第4環状溝,第3排出口を設けてなる請求項1,2,3,4の何れか1項に記載の流体カップリング。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は固定側の流体供給源から工作機械の回転主軸内を経由して切削液,油圧作動油,圧力流体等を主軸端部に供給し更に回収する場合に、固定の外筒とこれに内挿した回転軸との間で流体を移送する流体カップリングに関する。 【0002】 【従来の技術】刃先や工作物に対し切削液を噴射したり、ワークを把持する油圧チャックを作動油で操作したり、或いは軸内から軸受内輪を冷却したりする場合に主軸端に至る流路を軸内に設け、工具若しくはワーク又はピストンシリンダ部材等に流体を供給している。 【0003】図10は従来技術であって固定の外筒101から挿通した回転軸102へ圧力流体F101を供給し、図示しないシリンダピストン部材等の軸内機構部から戻ったこの圧力流体を回転軸102から固定の外筒101へ回収する流路図である。搬送すべき圧力流体F101は外筒101の中心穴に向けて穿設された供給口101aから挿通した回転軸102の流入穴102aへ、更に軸心方向に穿設された放出穴102bを経て軸内機構部へ送られる。外筒101の穴内周には、供給口101aを臨んだ位置に、浅い環状溝101bが刻設され回転軸102の流入穴102aへの送り込みを容易にしている。また図示しない軸端の機構部材からの減圧された回収流体E101は回転軸心と平行な回収穴102cから流出穴102dへ、更に開口部から外筒101の環状溝101cへ流入し、回収口101dから回収される。 【0004】ここで圧力流体F101が外筒101の環状溝101bから流入穴102aへ供給される際、および戻った流体が外筒101の環状溝101cから回収口101dへ回収される際に、外筒101の内径と回転軸102外径とで形成される軸外周隙間への圧力流体F101の流出を制限する必要がある。図示する隙間S1,S2,S3のそれぞれの場所には要求される遮断の程度に応じた接触形のシール部品が選択されている。 【0005】例えばリップ形シール・メカニカルシール等であるが、いずれも接触し接触面における油膜の形成を前提として使用されている。接触式シール部材を採用して圧力流体の漏洩を防止する場合、回転軸が高速になるほど、また遮断する流体の圧力が高くなるほど、軸表面とシール部材との間若しくはシール部材間で生ずる摩擦熱が大きくなるのは避けがたくなる。 【0006】洩れ止めを強化するほどシール部材を強く作用させる必要があり、それにより一層発熱を激しくしシール部の損傷をもたらすこととなる。発熱は機械側の回転軸及び固定側のハウジングから軸受に伝わり軸受隙間の変化及び全体の熱変位に大きな影響を及ぼすこととなる。従って使用回転数に制限を受けるので主軸の高速化に対しても大きな障害となる。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】従来技術で述べたように固定のハウジング部と回転する主軸部間での流体の供給と回収に際し隙間から外部への洩れを抑制するシール性が高くなるほど弾性体を強く接触させる必要がある。その接触面に潤滑性を有する液体を介在させたとしても従来のリップ形等のシール部材を用いる限り個体間の摩擦現象から逃れることはできない。このことは上記以外の主軸部に関するその他の技術的進歩によって単純に主軸回転の高速化の見通しがあっても、主軸全体としては実用機としての進歩が望めないこととなる。本発明は従来の技術の有するこのような問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところはシール部を無接触・無発熱またはそれに近い状態でシールを可能とした流体カップリングを提供しようとするものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、外筒の貫通穴に回転可能に挿通した回転軸内の流路に外筒の供給口から圧力流体を供給して軸端から放出するものにおいて、前記貫通穴内周に第1供給口に連通する第1環状溝を設け、前記回転軸には該第1環状溝に臨む位置に前記軸端に至る放出穴に連通する流入穴を設け、前記外筒の貫通穴内周には前記第1環状溝の両側に離れて前記第2環状溝を設け、前記外筒には前記第1環状溝とその両側の前記第2環状溝とのそれぞれの中間に前記貫通穴に開口する第2供給口を設け、前記外筒にはそれぞれの前記第2環状溝に連通する第2排出口を設けてなり、前記第1供給口から圧力流体を供給するとき同時に前記第2供給口から遮断圧力流体を供給して前記第1環状溝と前記それぞれの前記第2環状溝との間の軸外周隙間に遮断圧力流体膜を形成して圧力流体の軸外周隙間からの洩れを防止したものである。 【0009】この請求項1の発明によれば、シールすべき圧力流体の供給口の両側に遮断圧力流体S1の供給口とこれに隣接した第2環状溝とを設けることにより、この間に形成される微小な軸外周隙間に遮断圧力流体膜が形成される。外筒の内周面と回転軸の外周面との隙間寸法と流体固有の物性例えば粘性により円筒状に形成した膜は、その円筒の境界で接する圧力流体の軸方向への流動に対し抵抗を示す。圧力流体と遮断用圧力流体の物性により境界部分で若干の混合は生じるとしても圧力流体が軸外周隙間中を自由に移動することを抑制する。従って弾性体等用いることなく遮断用圧力流体のみを介して無接触で供給する圧力流体に対するシール特性を発揮できるものである。 【0010】また、請求項2の発明は、さらに前記回転軸内に前記放出穴と平行に穿設された供給した前記圧力流体を回収する還流穴を設け、該還流穴と連通し前記流入穴と軸方向位置ずらせ軸外周面に開口する回収穴を設け、前記貫通穴内周に該回収穴に臨む第3環状溝を設け、前記外筒には該第3環状溝と連通する第1回収口を設け、前記外筒の貫通穴の内周に前記第3環状溝の両側に離れてそれぞれ第4環状溝を設け、前記第3環状溝とその両側の前記第4環状溝とのそれぞれの中間に前記貫通穴に開口する第3供給口を設け、前記外筒には前記第4環状溝のそれぞれに連通する第3排出口を設けてなり、前記第1回収口から還流した圧力流体を回収と同時に前記第3供給口から遮断圧力流体を供給して前記第3環状溝と前記第4環状溝との間の軸外周隙間に遮断圧力流体膜を形成して放出した圧力流体の回収時の軸外周隙間からの洩れを防止するものである。 【0011】請求項1の発明は被加工物に切削液を放射する場合であって、圧力流体の回収を必要としない場合である。この請求項2の発明によれば、例えば主軸先端に設けたアタッチメントを油圧で操作する場合に作動油を供給・回収する場合に相当する。従って請求項1で記載した放出用の流路に対し回収用の流路を付加し、その各々の流路に対しそれぞれシール用の流路が設けられている。このようにシール用の流路を設けることにより無接触で圧力流体の供給・回収に対し発熱するシール要素を含むことなく主軸の高速回転の達成が可能となる。 【0012】また請求項3の発明は、遮断圧力流体に気体を用いたとき遮断圧力流体の排出口をなくしたものである。この請求項3の発明によれば遮断用流体が圧縮空気である場合には供給する圧力流体との関係によっては回収せずに圧縮空気を大気中に放出することも許容される。このような場合には回収用の環状溝と配管が省略できるので遮断圧力流体の流路構成が最も簡略化される。 【0013】また請求項4の発明は、隣接して排出溝となる第2環状溝と第4環状溝とを共通とした共用環状溝を設けたものである。請求項4の発明によれば、請求項2の発明においては構成流路中に圧力流体F1と回収流体E1に対する遮断圧力流体用の2個の環状溝が隣接して設けられる場合がある。この場合同種の遮断圧力流体であれば第2供給口と第3供給口とからそれぞれ別個に供給しても排出用の環状溝一個を共用環状溝とし環状溝を節約することにより流路構成を簡略化できる。 【0014】また請求項5の発明は、第2環状溝又は第4環状溝の少なくとも一方の外側にさらに一組の遮断圧力流体の第2供給口,第2環状溝,第1排出口または第3供給口,第4環状溝,第3排出口を設けてなるものである。請求項5の発明によれば、供給する圧力流体が複数ありその中に回収すべき圧力流体を含む場合に供給する圧力流体間の接触や外部への漏洩等を極めて抑制したいときは請求項1または2において記載した遮断用流路の外側に遮断圧力流体の供給口、環状溝・排出口等を更に一組設けて供給圧力流体の軸外周隙間からの漏洩防止を効果良く達成することができる。 【0015】 【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面にもとづいて説明する。 【0016】図1は一種類の放出用の圧力流体とこの圧力流体の回転軸外への洩れを遮断する遮断圧力流体を供給する流路構成を示している。図2は図1のAA断面である。図3は図1の流路に加え、放出した圧力流体を外筒へ回収する場合の回収用流路と遮断圧力流体を供給し排出する流路構成を示している。図4乃至図7は遮断圧力流体の供給・排出流路を変更し簡略にした流路構成の実施例を示している。図8,図9は3種の圧力流体を供給する実施例の流路構成図である。 【0017】図面に基づく説明に先立ち第1供給口から供給された圧力流体の環状溝内挙動と、同時に第2供給口から供給される洩れ防止用遮断圧力流体の回転軸の軸外周隙間内における挙動について考察する。 (1)圧力流体の流路構成外筒1の貫通穴に内挿した回転軸2の外周周速Voは回転軸の回転数に追従する。第1供給口1aから外筒1の内径面1bの第1環状溝1cに供給された圧力流体F1は第1環状溝1cのみかけの溝深さ1dに従い流速は軸外周2aで周速Vo、環状溝底と外筒内径面1bの表面の圧力流体の流速は零である。第1供給口1aからは、圧力流体F1が第1環状溝1cに供給され、この圧力流体は第1環状溝1cと軸外周面2aが形成する断面が方形状の流路を円周方向に沿って流れる。圧力流体F1は、第1環状溝1cに達したとき回転軸2の外周に開口する流入穴2bに流入しこの回転軸内部を通って軸端への放出穴2cに導かれる。 【0018】第1環状溝1cの両側には、回転軸外周面2aと外筒内径面1bとで形成される軸外周隙間2dがありこの隙間の断面積と第1環状溝の断面積との比rがこの隙間内への圧力流体F1の流入の難易性を支配する。回転軸外径の大きさによるがこの隙間は3μm乃至0.2mmの範囲に設定される。 【0019】第1環状溝1cから軸外周隙間2dへの圧力流体F1の流出又は洩れは、この供給する圧力流体の圧力が高いほど起きやすくなるが、この圧力流体の種類(気体・液体)や粘度及び第1供給口,環状溝,軸への流入口等の形状寸法等により左右される。更に第1環状溝1cの側面と外筒内径1bとが形成するコーナが鋭角の場合には前記面積比rが流体力学の演算に使用される収縮係数により実質上小さくなり抵抗が大きくなる方向に働いて圧力流体が軸外周隙間2d内へ流入しにくくなる。また、この軸外周隙間を軸線に沿って長くとるほど流入に対する抵抗が大きくなり流出しにくくなる。 【0020】(2)遮断圧力流体の流路構成軸外周隙間2d内に外筒1に設けた第2供給口1eから遮断圧力流体S1を第2供給口1eの噴射孔1fからこの軸外周隙間に噴出させて遮断圧力流体膜を形成し第1環状溝1cからこの軸外周隙間に流入し流動する間に若干減圧された圧力流体F1の流れに対する抵抗となりさらなる圧力流体F1の流入を抑制し遮断するに至る。噴出口1fは第2供給口の穴径より小さくして軸外周隙間2dの軸方向の有効長さを大きくし形成される流体膜による遮断効果を向上させることができる。軸外周隙間2dは一定であり原則として動圧を発生することはなく遮断圧力流体S1の静圧のみである。ただし軸の振れ若しくは外筒に偏心があるときは動圧を発生するが回転軸外周の流体に一様な動圧が発生することもなく洩れの抑制に利用することはできない。従って放出のため供給される圧力流体F1と洩れの遮断圧力流体S1との接触界面における両者の圧力関係が両流体の境界位置を規定する。従って前述の面積比rを小さく設定し、軸外周隙間2dの軸方向長さを設計上許容される限り大きくすると流路抵抗が増加し前記供給する圧力流体F1が軸外周隙間の長手方向へ流動しにくくなる。しかしながら供給する圧力流体F1と遮断圧力流体S1の境界域では両流体の圧力は同等であり両流体は混在しその物性によっては混合される。 【0021】(3)圧力流体と遮断圧力流体の関係前記境界域が環状溝1cに近いほど回転軸2を通じて送り出される圧力流体F1に遮断圧力流体S1が混在する可能性は高くなる。境界域は環状溝1cから離れるのが望ましい。実機上で放出・還流させる圧力流体として一般に考えられるのは切削液(又は洗滌液)切削油剤,圧縮気体,油圧作動油,冷却用流体等である。主軸軸受外輪の冷却用,潤滑用流体は軸受ハウジングの外からの供給・回収が可能であり、このような場合はこの際除外してもよい。主軸軸受内輪を軸内から冷却する場合には冷却用流体を還流させる。 【0022】前記圧力流体F1で不可欠な流体は切削液・切削油剤・油圧作動油及び冷却用流体である。油圧作動油は高圧であると共に遮断圧力流体との混在は完全に回避しなければならないので遮断圧力流体の選定には特別な注意を要する。この場合油圧作動油と遮断圧力流体とを同種流体とするのが望ましい。切削液又は切削油剤の場合は遮断圧力流体S1が若干量混入しても何ら実際上の問題を生じない。また流体の圧力が低い場合は選定できる遮断圧力流体の種類も多くなる。例えば低圧の切削液を放出する場合は遮断圧力流体S1に圧縮空気を用いることが可能である。高圧切削液を放出する場合には遮断圧力流体S1に圧油を用いることも可能である。 【0023】(4)シール用流路の選択本発明では遮断効果を向上させるため第2供給口1e,のそれぞれの外側に離れて遮断圧力流体S1の回収用流路を更に設ける場合がある。第2供給口1eは小径の噴出穴1fから直接回転する軸表面に向かって遮断圧力流体を放出するものであり、この噴出口が複数個の場合には等分割して設けることができる。 【0024】前記遮断圧力流体の流路には軸外周隙間2dを通過してきた遮断圧力流体S1を外筒1に刻設した環状溝1gに集めて外部へ導くように流路が構成されており排出される遮断圧力流体S2には若干の放出若しくは循環する圧力流体F1が含まれているが圧力流体側には遮断圧力流体が含まれないようそれぞれの流体の物性と供給条件で組み合わせを選定する。なお遮断圧力流体S1が空気や窒素ガス等を使用し、排気が大気中に放出されても環境に影響を与えない場合には、気体は回収せず圧力流体の微量な洩れ分のみを回収すれば良いので遮断圧力流体回収用の環状溝1gを一個のみとするか圧力流体の微量な洩れが実際上許容される場合は省略することも可能である。供給する圧力流体F1が気体である場合、遮断圧力流体S1には粘度と圧力を選定した機械油を使用することにより良好な遮断効果が期待できる。 【0025】(5)環状溝の刻設環状溝は、便宜上、外筒1の内周に刻設する場合についてのみ本発明の実施の形態で説明している。しかし環状溝は固定側の外筒1の内周面若しくは回転軸2の外周面のいずれに刻設しても良い。例えば第1供給口と連通する第1環状溝を供給圧力流体を受ける側である回転軸2の外周面に、また第1回収口と連通する第3環状溝を回収圧力流体を受ける側である外筒1の内周面に刻設することができる。 【0026】次に実施例を図面にもとづき説明する。 【0027】〔実施例1〕図1は供給する圧力流体F1は放出のみで戻りの流路がない流体カップリングである。回転軸2と軸心を共通にして外筒1がその内径とこの回転軸2の外径との間に均一な軸外周隙間2dを保って装通されている。外筒1には圧力流体F1を供給する第1供給口1aが穿設され、この第1供給口に臨んで外筒1の内側に第1環状溝1cが刻設されている。 【0028】第1供給口1aの両側に離れてそれぞれ第1環状溝1cに並行して第2環状溝1gが外筒1の内側に刻設され、この第2環状溝を臨む第1排出口1hが該外筒に穿設されており第1環状溝1cと第2環状溝1gの間に遮断圧力流体S1を供給する第2供給口1eとがそれぞれ穿設されている。第2供給口1eは外筒1の外周に複数個所に設けることもできる。また穴の先端から回転軸2の外周面2aの方向に遮断圧力流体S1を噴出させる小径の噴出穴1fが穿設されている。供給された遮断圧力流体S1は軸外周隙間2dで遮断圧力流体膜を形成した後第2環状溝1gに集められ第2排出口1hから排出される。回収された遮断圧力流体S2は圧力が低下しており図示しない遮断圧力流体供給装置に戻され圧力を回復して第2供給口に還流する。 【0029】図2は図1のAA断面図である。回転軸2に穿設する流入穴2bは回転軸2の動的バランス上軸心若しくは等分割した対称断面位置に設けるのが望ましい。本実施例は供給する圧力流体F1は切削液・切削油・洗滌水・圧縮空気等であって切削時に常時放出するか又は切削終了後に放出するのみであり還流はさせない。遮断圧力流体S1は第2供給口1eから供給し第2排出口1hから排出して還流させる。 【0030】本実施例の流路構成上において、切削時に工具又はワークにノズルから供給する圧力流体に油剤等が若干量混入しても何ら問題を生じないという点を考慮に入れ、圧力流体F1が水溶性切削液の場合、低圧の場合には圧縮空気を遮断圧力流体Sとして使用し第2環状溝1gや第2排出口1hを省き軸外周隙間2dの軸方向長さをやや長くとって遮断圧力流体を大気中に放散させることもできる。しかしこの圧力流体F1が高圧の場合には遮断圧力流体S1としてやや粘度の高い潤滑油相当油を用い遮断圧力流体の圧力を高くして漏れを防ぐ必要があるため第2環状溝1gや第2排出口1hを省くことはできない。 【0031】圧力流体F1が切削油の場合も遮断圧力流体の圧力を高くする。切削油と混在して回収される場合も再使用に際し問題のない遮断用の油剤を選択すべきである。圧力流体F1の遮断効果を高めるためには、軸外周隙間2dと第1環状溝1cのみかけの溝深さ1dとの関係、軸外周隙間2dの大きさ、軸外周隙間の軸方向長さ、遮断圧力流体の粘度・圧力等の条件の選定が必要であり、供給する圧力流体F1に認容される遮断圧力流体S1の混入程度により遮断圧力流体に関する流路については省略設計を行う。 【0032】〔実施例2〕図3は回転軸に供給した圧力流体F1を再び回転軸から回収する際の流体カップリングである。図3において、供給する圧力流体F1が回転軸2の内部に設けた流路を通り軸端に導かれ軸端部の作動部を駆動して再び軸内を通って外筒1に回収流体E1として回収され圧力調整後再び第1供給口1aから圧力流体F1として還流する。軸端の駆動部として油圧駆動するアタッチメント例えば油圧チャックがある。また回転軸2を内部から冷却するための流体を還流させる流路を構成する場合もある。 【0033】図3において供給する圧力流体F1と遮断圧力流体S1の流路構成は図1の圧力流体F1と遮断圧力流体S1の流路構成と同一であり同部品に対し同符号を付しており、その説明は省略する。 【0034】軸端のアタッチメントを駆動して回収穴2eより回転軸2内を還流してきた回収流体E1を外筒に回収する別の流路が設けられている。回転軸2の内部に作動後の減圧した回収流体E1を第1供給口1aから離れた位置に還流させる回収穴2eと連なる流出穴2fが穿設されている。この流出穴は回転軸2の外周面に開口し、第1回収口1jに臨む第3環状溝1kを外筒1の内径側に刻設し、第1回収口1jから回収した回収流体E1を図示しない圧力流体供給装置に戻し所定の圧力を付与後圧力流体F1として還流する。回収流体E1は作動後であるため減圧されているが、軸外筒隙間2dからの漏れを防止のため遮断用流路を第1回収口1jの両側に設ける。 【0035】図3に示すように遮断圧力流体S1を第3供給口1mから供給し第4環状溝1nを経て第3排出口1pからこの遮断圧力流体S2を排出する。圧縮空気を遮断圧力流体S1に選定した場合は第3排出口1pを省略して大気中に放出する場合もある。図3に示す共用排出口1rは実施例4で説明する。 【0036】〔実施例3〕図4は遮断圧力流体S1を集める環状溝を省いた流体カップリングである。図5は供給する圧力流体F1が水溶性切削液で低圧の場合には遮断圧力流体S1として圧縮空気を使用する場合に流路構成が極めて単純化されている。本実施例は図1で示す流体カップリングから第2環状溝1gと第2排出口1hを省略したものを示している。 【0037】切削液はワークに放出され回転軸を通って回収されない。また機械油の若干の混在も問題とされないので漏洩に対しては最も対応が容易である。低圧切削液を供給する場合は圧縮空気で十分遮断が可能であり大気中への放散も許容されるので回収流路の簡略化も可能である。高圧切削液の場合は、切削液に機械油が若干混在しても問題とならないとき、粘度の高い油を遮断圧力流体S1として用い、圧力流体F1の漏洩を防止することが可能である。この場合に軸外周隙間2dから若干の前記遮断圧力流体の漏れが許容される場合に使用される。 【0038】〔実施例4〕図5は遮断圧力流体を集める環状溝の構成を簡略化した流体カップリングである。図5において、第2排出口1hと連通する第2環状溝1gと第4環状溝1nとが隣接し同種の遮断圧力流体を使用している場合には、環状溝を一個にした共用環状溝1qとして流路の構成を簡略化したものである。即ち供給する圧力流体F1と回収する流体E1の中間に構成する遮断圧力流体の流路について第2環状溝1gと第4環状溝1nを並置すべきところを共用排出口1rと連通する一個の共用環状溝1qに置き換えて遮断圧力流体の排出用流路を構成したものである。このように流路を構成することにより流路構成の簡素化設計が可能となる。 【0039】〔実施例5〕図6(a)(b)(c)、図7は供給する圧力流体F1の漏洩を厳しく制限する場合の流体カップリングである。供給する圧力流体F1が油圧作動油のように他の流体・気体の混入を全く許容せず外部への漏れも厳しく制限する場合である。図6(a)(b)(c)は図1で示す遮断圧力流体の流路を第2環状溝1gの外側に更に少なくとも一組設けるようにしたものである。図6(a)(b)は圧力流体F1の漏洩の発生をきびしく抑制したい側に更に遮断圧力流体の流路を一組設けたもの、図6(c)は第1供給口の両外側に設けたものである。 【0040】図7は供給圧力流体がF1,F2の2種類ある場合の実施例で、圧力流体F2の外側に本発明を適用した場合を示している。なお、それぞれの遮断圧力流体の流路を独立した流路として設け、要求される遮断能力に対応して圧力流体F1と同一または異なる遮断圧力流体を態様を特定して供給することにより遮断効果をより向上させることができる。即ち、図1に示した第2供給口1e、第2環状溝1g、第2排出口1hの一組を更に外側に設けることにより、遮断圧力流体S1及び軸外周隙間2dの選定により遮断圧力流体膜を圧力流体F1の供給形態に対応して形成させ遮断効果の向上を計ることができる。 【0041】油圧作動油の場合は、遮断圧力流体S1として圧力流体F1と同種の流体を用い、この圧力流体F1より若干高い圧力で第1供給口1aに隣接する内側の第2供給口1eに供給し外側の第2供給口1eには、圧力流体F1または圧縮空気を供給し放出用流路への他の流体または気体の混入を避け外側の第2環状溝への若干の圧力流体F1の漏れを許容しこれを外側の第2排出口から排出する。 【0042】〔実施例6〕図8は供給する圧力流体をF1,F2,F3の3種を供給しそのうちF2,F3のみ回収流体E2,E3として回収する流路を設けた流体カップリングの応用例である。F1,F2,F3の圧力流体供給口とF2,F3の回収口間の遮断圧力流体の流路は実施例1乃至実施例4に図示したいずれかを適用し構成されている。図8では遮断圧力流体の流路は省略されている。 【0043】図9は図8のCC,DD,EE断面図である。回転軸内に、回収する流路を構成する場合には回転軸2の動バランスを配慮して穿設する必要がある。圧力流体F1は放出のみで回収はしない。放出穴2cは軸心に設けられている。圧力流体F2とF3のそれぞれの放出穴2cと回収穴2eは軸対称かつ同一半径上でずらせて穿設して設けた実施例が図示されている。このF2とF3の流路を異なる半径位置に穿設して設けることも可能である。本実施例における圧力流体F1,F2,F3の漏洩を防止する遮断圧力流体の流路は、実施例1乃至実施例5に記載した流路で構成し圧力流体の供給態様・漏洩の程度に応じ遮断圧力流体の供給態様を決定することにより遮断流路構成の経済的な設計が可能である。 【0044】 【発明の効果】請求項1の発明は、高速回転軸に固定の外筒から流体を送り込む場合に漏れを防止するシールの手段として機械的な摩擦部分を含まず流体摩擦のみの構成なので、カップリング部で発熱とシール材の劣化が生じない。従って高速主軸に応用した場合には軸回転数に限界がない。 【0045】請求項2の発明は、回転軸内に送り込んだ流体を再び固定の外筒に回収して還流させる場合に、回転軸外周面に形成した遮断圧力流体膜で漏洩を防止しているので請求項1と同様な効果が期待できる。 【0046】請求項3の発明は、供給する圧力流体の使用目的に応じて遮断圧力流体の流路を簡素に構成したもので、遮断圧力流体が圧縮空気の場合は必ずしも還流させる必要がない場合があるからである。 【0047】請求項4の発明は、供給する圧力流体が2以上の場合遮断圧力流体を集める環状溝が隣接する場合があるのでこれを一つの共用環状溝とすることにより遮断用流路の構成が簡略化される。 【0048】請求項5の発明は、供給する圧力流体と漏洩を防ぐ遮断圧力流体の遮断圧力流体膜付近の混入を極力回避したいときやカップリング部から外部への遮断圧力流体の漏洩を押さえたいときに遮断圧力流体の流路を一組以上を並置して使用し、遮断圧力流体の圧力等の態様を適正に選定して漏れ防止をより完全にすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】597129609 【氏名又は名称】武野 仲勝
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| 【出願日】 |
平成11年8月24日(1999.8.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064067 【弁理士】 【氏名又は名称】加藤 由美
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| 【公開番号】 |
特開2001−65746(P2001−65746A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月16日(2001.3.16) |
| 【出願番号】 |
特願平11−236897 |
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