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【発明の名称】 真空断熱材
【発明者】 【氏名】浦田 隆行

【氏名】梅田 章広

【氏名】佐野 光宏

【氏名】高田 清義

【要約】 【課題】従来の真空断熱材は、真空断熱材の断面方向を伝導する熱量よりも、真空断熱材の沿面方向を伝導する熱量が多く、十分な断熱性能が発揮できないという課題を有している。

【解決手段】少なくともアルミニウムを蒸着したフィルム5をガスの透過を防ぐガスバリア層を形成するラミネートフィルム2として使用し、このラミネートフィルム2によって真空状態で芯材1を覆い、このラミネートフィルム2の間にラミネートフィルム2のシール部3にはかからない大きさとしたアルミニウム箔6を積層して、高温で使用しても断熱性能の高い真空断熱材としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ガスの透過を防ぐガスバリア層を形成するラミネートフィルムと、前記ラミネートフィルムにより覆われた芯材と、前記ラミネートフィルムの間に配置したアルミニウム箔とを備え、前記ラミネートフィルムは少なくともアルミニウムをフィルム上に蒸着したアルミ蒸着層を有し、前記アルミニウム箔はラミネートフィルムのシール部にはかからない大きさとした真空断熱材。
【請求項2】 ラミネートフィルムはポリエチレンナフタレート樹脂を基材とする請求項1に記載した真空断熱材。
【請求項3】 アルミ蒸着層は、アルミニウムの蒸着面が向き合う形に2層使用する請求項1または2に記載した真空断熱材。
【請求項4】 アルミニウム箔は、フィルムに張り合わせた後エッチングによって所定の形状とした請求項1から3のいずれか1項に記載した真空断熱材。
【請求項5】 アルミニウム箔は、ラミネートフィルムに積層した請求項1から3のいずれか1項に記載した真空断熱材。
【請求項6】 アルミニウム箔は、アルミニウムを蒸着したフィルムとシール層との間に積層した請求項1から3のいずれか1項に記載した、または請求項5に記載した真空断熱材。
【請求項7】 アルミニウム箔は、2層のアルミ蒸着層の間に積層した請求項3に記載した真空断熱材。
【請求項8】 アルミニウムを蒸着したフィルムは、アルミニウム箔とシール層との間に積層した請求項1から3のいずれか1項に記載した真空断熱材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は例えば冷蔵庫やジャーポット等に使用している真空断熱材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の真空断熱材は、アルミニウム箔や、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレン上にアルミニウムを蒸着したアルミ蒸着層を有するラミネートフィルムをガスバリア層として使用しているものであり、主として冷蔵庫や保冷庫などの低温雰囲気の断熱に利用しているものである。なお、ガスバリア層とは、真空断熱材を使用する装置をオンオフして、真空断熱材に熱ストレスが加わったときに、例えばラミネートフィルムの一部にピンホール等が発生したときに、気体がラミネートフィルムを透過することを防止する機能のことをいう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の真空断熱材は、真空断熱材の断面方向を伝導する熱量よりも、真空断熱材の沿面方向を伝導する熱量が多く、十分な断熱性能が発揮できないという課題を有している。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくともアルミニウムを蒸着したフィルムをガスの透過を防ぐガスバリア層を形成するラミネートフィルムとして使用し、このラミネートフィルムによって真空状態で芯材を覆い、このラミネートフィルムの間にラミネートフィルムのシール部にはかからない大きさとしたアルミニウム箔を積層して、高温で称しても断熱性能の高い真空断熱材としている。
【0005】
【発明の実施の形態】請求項1に記載した発明は、少なくともアルミニウムを蒸着したフィルムをガスの透過を防ぐガスバリア層を形成するラミネートフィルムとして使用し、このラミネートフィルムによって真空状態で芯材を覆い、このラミネートフィルムの間にラミネートフィルムのシール部にはかからない大きさとしたアルミニウム箔を積層して、高温で使用しても断熱性能の高い真空断熱材としている。
【0006】請求項2に記載した発明は、ラミネートフィルムはポリエチレンナフタレート樹脂を基材とする構成として、高温雰囲気であっても長時間の断熱ができる真空断熱材としている。
【0007】請求項3に記載した発明は、アルミニウムを蒸着したフィルムは、アルミニウムの蒸着面が向き合う形に2層使用するようにして、ガスの侵入を防止でき、高温雰囲気であっても長時間の断熱ができる真空断熱材としている。
【0008】請求項4に記載した発明は、アルミニウム箔は、フィルムに張り合わせた後エッチングによって所定の形状として、微細な形状を正確に実現でき、高性能の真空断熱材としている。
【0009】請求項5に記載した発明は、アルミニウム箔は、ラミネートフィルムに積層した構成として、加工が簡単で、高性能の真空断熱材としている。
【0010】請求項6に記載した発明は、アルミニウム箔は、アルミニウムを蒸着したフィルムとシール層との間に積層して、耐久性に優れた高性能の真空断熱材としている。
【0011】請求項7に記載した発明は、アルミニウム箔は、2層のアルミ蒸着層の間に積層して、耐久性に優れた高性能の真空断熱材としている。
【0012】請求項8に記載した発明は、アルミニウムを蒸着したフィルムは、アルミニウム箔とシール層との間に積層して、耐久性に優れた高性能の真空断熱材としている。
【0013】
【実施例】(実施例1)以下本発明の第1の実施例について説明する。図1は本実施例の真空断熱材の構成を示す断面図である。本実施例の真空断熱材は、芯材1を2層のラミネートフィルム2によって覆い、内部を真空にした状態でシール部3を使用してシールした構成としている。芯材1としては、パーライト、ガラスウール等の無機物質、あるいはメラミン、ウレタン等の有機物質が使用できるが、本実施例では合成シリカの粉末を使用している。ラミネートフィルム2は、ポリエチレンナフタレートフィルム(以後PENフィルムと言う)で構成した保護層7と、ポリプロピレンフィルムによって構成したシール層4と、PENフィルム上にアルミニウムを蒸着したアルミ蒸着層5とによって構成している。特に本実施例では、前記アルミ蒸着層5と保護層7との間に、アルミニウム箔6をラミネートしている。アルミニウム箔6は本実施例では厚さ6μmのものを使用しており、この大きさを図2に示しているように、ラミネートフィルム2のシール部3にはかからないような設定としている。図2は本実施例の構成を示す平面図である。またシール層4には、本実施例では厚さ50μmの無延伸のポリプロピレンを、またアルミニウムの蒸着厚は0.05μmとしている。また、保護層7は厚さ12μmのPENフィルムを使用している。
【0014】以下本実施例の動作について説明する。本実施例の真空断熱材を図示していないジャーポット等の装置に組み込んで使用すると、当然この真空断熱材の両面には温度差が生ずるものである。つまり、一方の面は殆ど沸騰状態で保温している水であり温度は100℃近くとなっている。また、他方はジャーポットの外面となっているため室温である。この状態では、水が有している熱量は、真空断熱材を介してジャーポットの外面に伝達されるものである。このときの熱伝導は、使用している断熱材の断面方向と、使用している断熱材の沿面方向からの両方が考えられる。このときの熱の移動量は、材料の熱伝導率と厚みの積に比例する。本実施例の構成では、熱伝導率と厚みの積はシール層4は0.01〔{W/(m・K)}・m〕、アルミニウム箔6は1.4〔{W/(m・K)}・m〕、アルミ蒸着層5は0.012〔{W/(m・K)}・m〕、保護層7は0.003〔{W/(m・K)}・m〕となっている。つまり、アルミニウム箔6は他部分の合計の50倍の熱伝導を行えるものである。
【0015】この結果本実施例の真空断熱材を使用したときには、真空断熱材の沿面方向での熱伝導は極めて小さくなるものである。すなわち、シール部3にはアルミニウム箔6が存在していないため、この部分を移動する熱量はアルミニウム箔6が存在している中央部の1/50となっているものである。従って、前記したように、本実施例とした場合には、断熱材の沿面方向からの熱伝導は非常に少ないものとなる。また、本実施例の真空断熱材の断面方向には、芯材1を含んだ真空層が存在している。この結果、本実施例の真空断熱材は断熱性が非常に高いものとなっている。
【0016】また、例えば真空断熱材を使用している装置の電源をオンオフしたりすることによって、真空断熱材は日常的に温度ストレスを受けるものである。この温度ストレスに対しても本実施例の真空断熱材は非常に強いものである。すなわち、本実施例ではアルミ蒸着層5を形成する基材として、PENフィルムを使用している。PENフィルムは融点やガラス転移点が高いだけでなく、温度変化に対する寸法安定性も良いものである。このため、熱ストレスを受けたときに、アルミニウムの膨張、収縮による形状変化と、PENフィルム自体の膨張、収縮による形状変化との差は小さいものである。このため、熱ストレスを受けた結果、アルミニウム蒸着層5に対する応力の発生はほとんど無く、つまり、高温雰囲気であってもアルミニウム蒸着層5にピンホールが発生することはないものである。この結果、本実施例ラミネートフィルム2は、長寿命で信頼性の高いカスバリア層として作用するものである。
【0017】以上のように本実施例によれば、ガスの透過を防ぐガスバリア層を形成するラミネートフィルム2と、ラミネートフィルム2によって覆われた芯材1と、ラミネートフィルム2の間に積層したアルミニウム箔6とを備え、前記ラミネートフィルム2は少なくともアルミニウムをフィルム上に蒸着したアルミ蒸着層5を有し、前記アルミニウム箔6はラミネートフィルム2のシール部3にはかからない大きさとした構成として、高温で使用しても断熱性能の高い真空断熱材を実現するものである。
【0018】また本実施例によれば、ラミネートフィルム2はポリエチレンナフタレート樹脂を基材として使用しているため、融点やガラス転移点が高く、また温度変化に対する寸法安定性が良いため、高温雰囲気で使用してもアルミニウム蒸着層5にピンホールが発生することを防止できるものであり、高温で使用しても断熱性能の高い真空断熱材を実現するものである。
【0019】なおこのとき、本実施例ではアルミニウム箔6をエッチング加工によって形成しているものである。つまり、保護層7の内側にアルミニウム箔6を全体に貼り合わせた後、エッチングによって、図2に示しているように所定の部分のアルミニウム箔を溶解させて取り除いているものである。このときのエッチング液として、アルカリ溶液を使用している。このエッチングは微細な加工が可能であるため、望みの形状のものを正確に作ることができるものである。従って本実施例は、微細な形状を正確に実現でき、高性能の真空断熱材を実現するものである。
【0020】(実施例2)続いて本発明の第2の実施例について説明する。図3は本実施例の構成を示す断面図である。本実施例では、フィルム上にアルミニウムを蒸着したアルミ蒸着層5a、5bを使用している。すなわち、アルミ蒸着面が向き合うように配置したアルミ蒸着層5a、5bの2層を貼り合わせて使用している。アルミ蒸着層5aは、アルミニウム箔6側がPENフィルムとなっており、アルミ蒸着層5bは表面側がPENフィルムとなっている。
【0021】図4は本実施例の詳細な構成を示す断面図である。アルミ蒸着層5aは、アルミニウムの蒸着層12aと基材として使用しているPENフィルム11aによって構成している。あるいはしたフィルムは少なくとも基材11とアルミ蒸着層12により構成されている。アルミ蒸着層5bは、アルミニウムの蒸着層12bと基材として使用しているPENフィルム11bによって構成している。こうしてアルミ蒸着層5aとアルミ蒸着層5bとは接着剤9によって貼り合わせている。アルミニウムの蒸着層12aまたはアルミニウムの蒸着層12bは、50μm程度の厚さに設定している。このようにアルミニウムの蒸着層は非常に薄いものであるため、ピンホール10を発生しやすいものである。ピンホール10をガスが通過すると、断熱性が低下して断熱材としての性能が劣化する。この点本実施例では、2枚のアルミ蒸着層5a、5bを蒸着層12a、12bが向かい合うように貼り合わせているものである。このため、発生したピンホール10をPENフィルム11a、11bによってお互いにふさぎ合う形になっている。
【0022】以上のように本実施例によれば、アルミ蒸着層は、アルミニウムの蒸着面が向き合う形に2層使用する構成として、発生したピンホールをふさぐことができ、高性能の真空断熱材を実現するものである。
【0023】またこのとき本実施例では、図3に示しているように、アルミニウム箔6をアルミ蒸着層5aとシール層4との間に配置している。またアルミニウム箔6は6μmと非常に薄いものを使用している。このため、熱ストレスが加わったときに、ラミネートフィルム2が収縮して芯材1と摩擦を生じたときはシール層4が、また外部の部品と摩擦を生じたときは2枚のアルミ蒸着層5a、5bが有効に作用して、真空断熱材を保護するものである。従って、本実施例の真空断熱材は、耐久性に優れた高性能の真空断熱材となっているものである。
【0024】(実施例3)続いて本発明の第3の実施例について説明する。図5は本実施例の構成を示す断面図である。また、図6は本実施例の詳細な構成を示す断面図である。本実施例では、アルミニウム箔6を2層のアルミ蒸着層5aと5bの間に配置しているものである。また、このとき使用しているアルミニウム箔6は、シール部3にはかからないような大きさのものをアルミ蒸着層5aまたは5bを構成しているPENフィルム上に貼り合わせて使用している。このとき使用している接着剤は、図6に9として示しているように、アルミニウム箔6よりも狭い範囲に塗布している。従って実際には、アルミニウム箔6の端部には接着剤が無い空間13が生じやすいものである。空間13が発生すると、空間13を通り、空気などの気体がラミネートフィルムの間に進入する可能性がある。この点本実施例では、アルミニウム箔6をアルミ蒸着層5aとアルミ蒸着層5bの間に配置に配置しているため、空間13が発生したとしても、アルミ蒸着層5aとアルミ蒸着層5bが有しているPENフィルムによって前記空気の侵入を防止できるものである。
【0025】従って本実施例によれば、アルミニウム箔6をPENフィルム上に貼り合わせだけの加工であり、加工が非常に簡単で、高性能の真空断熱材を実現するものである。また、エッチングのような化学処理を施さないため、樹脂が劣化する懸念がなく、長期間使用できる真空断熱材を実現するものである。
【0026】(実施例4)次に本発明の第4の実施例について説明する。図7は、本実施例の構成を示す断面図である。本実施例では、アルミ蒸着層5aと5bとを、アルミニウム箔6とシール層4の間に積層し、アルミニウム箔6の外面を保護層8で覆っているものである。保護層8としてはナイロンを使用しているものである。
【0027】このため、アルミニウム箔6の端部などに、図6で説明した空間13が生じたとしても、2層のアルミ蒸着層5a、5bが存在しているため、前記空間13を通るガスの進入を防ぐことができるものである。従って本実施例によれば、長期間使用できる高性能の真空断熱材を実現できるものである。
【0028】
【発明の効果】請求項1に記載した発明は、ガスの透過を防ぐガスバリア層を形成するラミネートフィルムと、前記ラミネートフィルムにより覆われた芯材と、前記ラミネートフィルムの間に配置したアルミニウム箔とを備え、前記ラミネートフィルムは少なくともアルミニウムをフィルム上に蒸着したアルミ蒸着層を有し、前記アルミニウム箔はラミネートフィルムのシール部にはかからない大きさとした構成として、高温で使用しても断熱性能の高い真空断熱材を実現するものである。
【0029】請求項2に記載した発明は、ラミネートフィルムはポリエチレンナフタレート樹脂を基材とする構成として、高温雰囲気であっても長時間の断熱ができる真空断熱材を実現するものである。
【0030】請求項3に記載した発明は、アルミ蒸着層は、アルミニウムの蒸着面が向き合う形に2層使用する構成として、ガスの侵入を防止でき、高温雰囲気であっても長時間の断熱ができる真空断熱材を実現するものである。
【0031】請求項4に記載した発明は、アルミニウム箔は、フィルムに張り合わせた後エッチングによって所定の形状とした構成として、微細な形状を正確に実現でき、高性能の真空断熱材を実現するものである。
【0032】請求項5に記載した発明は、アルミニウム箔は、ラミネートフィルムに積層した構成として、加工が簡単で、高性能の真空断熱材を実現するものである。
【0033】請求項6に記載した発明は、アルミニウム箔は、アルミニウムを蒸着したフィルムとシール層との間に積層した構成として、耐久性に優れた高性能の真空断熱材を実現するものである。
【0034】請求項7に記載した発明は、アルミニウム箔は、2層のアルミ蒸着層の間に積層した構成として、耐久性に優れた高性能の真空断熱材を実現するものである。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成11年7月21日(1999.7.21)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄 (外2名)
【公開番号】 特開2001−32992(P2001−32992A)
【公開日】 平成13年2月6日(2001.2.6)
【出願番号】 特願平11−205899