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【発明の名称】 フランジ付きパイプ
【発明者】 【氏名】久保田 公

【氏名】酒井 良夫

【氏名】佐々木 太

【氏名】鈴木 雅博

【氏名】住之江 正治

【氏名】磯崎 友律

【要約】 【課題】生産ラインにおいて自動的にフランジ付きパイプろう付けして生産できるフランジ付きパイプを提供することを目的とする。

【解決手段】略中央部に開口を有して流体通路となる貫通孔23が穿設された板状部材からなり、上記貫通孔の開口の周縁を取付面部とした基板12と、端部の外周側面に平面部が形成され、平面部が前記基板の上記取付面部の面に取り付けられてその開口端が前記開口の近傍に配置された管状部材14と、前記管状部材14の端部と前記開口の周辺部を被い、前記開口端と前記貫通孔との間に流路を形成する被覆部材13とからなり、上記基板と管状部材と被覆部材とがろう材でろう付けされて構成されるフランジ付きパイプにおいて、上記基板と上記管状部材と上記被覆部材とで形成される空間部の管状部材側に表れる開口を覆う遮蔽部材120、及び上記空間部を埋める充填部材320の少なくとも一つの部材を備えたフランジ付きパイプである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】略中央部に開口を有して流体通路となる貫通孔が穿設された板状部材からなり、上記貫通孔の開口の周縁を取付面部とした基板と、端部の外周側面に平面部が形成され、平面部が前記基板の上記取付面部の面に取り付けられてその開口端が前記開口の近傍に配置された管状部材と、前記管状部材の端部と前記開口の周辺部を被い、前記開口端と前記貫通孔との間に流路を形成する被覆部材とからなり、上記基板と管状部材と被覆部材とがろう材でろう付けされて構成されるフランジ付きパイプにおいて、上記基板と上記管状部材と上記被覆部材とで形成される空間部の管状部材側に表れる開口を覆う遮蔽部材、及び上記空間部を埋める充填部材の少なくとも一つの部材を備えたフランジ付きパイプ。
【請求項2】上記基板と上記管状部材と上記被覆部材とで形成される空間部の管状部材側の取付側に表れる開口を覆う遮蔽部材を備えた請求項1に記載のフランジ付きパイプ。
【請求項3】前記遮蔽部材は、管状部材に外挿された環状の部材である請求項1に記載のフランジ付きパイプ。
【請求項4】前記フランジ付きパイプは、基板と上記管状部材と上記被覆部材とで形成される空間部を埋める充填部材を備えた請求項1に記載のフランジ付きパイプ。
【請求項5】前記充填部材は、金属線である請求項4に記載のフランジ付きパイプ。
【請求項6】前記金属線は、前記空間部を埋める2本の充填線部と、これらの充填線部の端部を連結する連結部とからなり、全体として略コ字状に形成された請求項5に記載のフランジ付きパイプ。
【請求項7】前記充填部材は、略平板状の平板状充填部材であり、この平板状充填部材は、上記管状部材の平面部と上記基板との間に配置される平板部と、この平板部の両縁に沿って設けられ、上記基板と上記管状部材と上記被覆部材とで形成される空間部を埋める突条とを備えた請求項4に記載のフランジ付きパイプ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフランジ付きパイプに係り、特に生産ラインにおいて自動的にフランジ付きパイプろう付けして生産できるフランジ付きパイプに関する。
【0002】
【従来の技術】フランジ付きパイプは種々のものがあり、その中には複雑な形状をしているものがある。例えば、自動車用エンジンの冷却水をエンジンに供給する冷却水供給パイプは、パイプの中央部に曲がり部を形成して、両端部がエンジンの所定の位置に合致するように形成するため、パイプ形状そのものが複雑な形状をしているばかりでなく、パイプの各端部に接合させるフランジ部に繋がるパイプは曲管であり、パイプの接続面に対して立体的に湾曲した形状になっている。
【0003】このようなフランジ付きパイプを製造するについて、本願出願人は特願平10−51049号において次のような提案をしている。
【0004】この例のフランジ付きパイプ10は、図12〜図14に示すように、フランジ11は基板12と被覆板13とからなり、パイプ14の端部を嵌合、固着できるように形成している。
【0005】基板12は、厚板状の部材であって、例えばその板材の上面と下面に互いに裏表に位置する面に、それぞれろう接用の接合面21と相手部品への接続面22とを平行平面に形成している。また、板材の中央部に接合面21と接続面22との間の貫通孔23を厚み方向に孔を設け、貫通孔23の周辺部に複数個のボルト孔24,24を穿設して形成される。
【0006】被覆板13は、薄板状の殻構造部材であって、基板12の接合面側に当接する平面部31を形成し、貫通孔23に対して略直交方向にパイプ14を内嵌させるパイプ嵌合部32を形成し、パイプ嵌合部32から貫通孔23に到る曲がり流路33を形成させて貫通孔23の周辺を被覆する殻構造部34を形成されている。
【0007】この被覆板13に嵌合されるパイプ14は、端部の一方が平面14aとなるように塑性変形させられ、平面側を下側に向けた場合の断面形状が、上部を半円形とし下部を略同一幅の矩形とする形状になるように成形されている。この形状を詳しく述べると、パイプ14の平面14aを有する端部における断面形状は、平面14aを形成する水平な直線部とその両端から一様な幅で立ち上がる2つの直線部とからなる矩形状下半部と、2つの直線部の先端を円弧で結ぶ円弧状上半部からなる形状に形成されている。
【0008】そして、フランジ11のパイプ嵌合部32の断面形状は、パイプ14の平面14aを有する端部の断面形状と相似形に成形され、平面14aを基板12に向けた場合にパイプ嵌合部32に内嵌させることができるような寸法に形成するとともに両者の間にはろう接時のろう材を流し込む間隙が設けられている。
【0009】このようなフランジ11は、基板12が切削あるいはプレス加工で成形され、被覆板13がプレス加工で成形されている。基板12は、厚板を図14に示すような平面形状の板材に切り出すかあるいはプレス加工して成形し、板材の一面を接続面22として、また表裏の関係にある他面を接合面として使用するため、二面を平滑な平行平面に切削加工するかあるいは平面形状をプレス成形するときに同時に成形する。そして、基板の中央部には貫通孔23を、またその周辺部にはボルト孔24,24が穿設されている。
【0010】被覆板13は、図12〜図14のそれぞれに示されているような平面と曲面とが組み合わされた殻体形状であり、被覆板13のフランジを形成する平面部31の基板接合側にろう接用平面31aと、パイプ嵌合部32のパイプ嵌合側にパイプ外形に沿う湾曲面と、ろう接用平面と前記湾曲面との間を結ぶ曲がり流路33とを、予め成形された金型を用いてプレス加工により成形し、殻構造部34が成形されている。
【0011】パイプ14は、図12〜図14のそれぞれに示されているように、断面形状が半円と矩形とを組み合せた形状に形成され、加工治具、又は外型と中子とを組み合せた金型によって、プレス機械あるいは油圧シリンダ等により動作する押圧機械で断面円形の一端部を塑性変形させて成形される。
【0012】このようにして成形されたフランジ11とパイプ14とを組み付けて各接合面をろう接することによりフランジ付きパイプが製造される。まず、成形された基板12の接合面21に成形された被覆板13のろう接用平面31aを当接させ、(ろう材を予めセットする方式による場合のろう接では必要箇所にろう材を設置して)位置固定し、また、被覆板13のパイプ嵌合部32にパイプ14の変形させた端部14aを嵌合して、ろう接の準備作業を行う。
【0013】準備作業終了後、それぞれの接合部をろう接温度まで昇温させて、供給した棒状ろう材又は予めろう材を設置した場合にはその設置したろう材を溶解させて接合面をろう接する。ろう接後、ろう接部の表面を綺麗に仕上げることによりフランジ付きパイプを完成させる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来のフランジ付きパイプについては、これらを自動的なろう付けラインにのせ自動的にフランジにパイプをろう付けすることは難しかった。
【0015】即ち、このようなフランジ付きパイプを自動ろう付け装置(ブレージング炉)でろう付けすると、基板12と上記管状部材14と上記被覆部材13とで形成される空間部41に充分にろう材が充填されず、隙間ができてしまうことがあった。そこで、この空間部にろう材を充填するのには、手作業によってろう材を充填するようにしていた。
【0016】本発明は、このような従来技術における問題点に鑑みてなされたものであり、生産ラインにおいて自動的にフランジ付きパイプろう付けして生産できるフランジ付きパイプを提供することを目的とする。
【0017】請求項1に記載の発明は、略中央部に開口を有して流体通路となる貫通孔が穿設された板状部材からなり、上記貫通孔の開口の周縁を取付面部とした基板と、端部の外周側面に平面部が形成され、平面部が前記基板の上記取付面部の面に面接触されてその開口端が前記開口の近傍に配置された管状部材と、前記管状部材の端部と前記開口の周辺部を被い、前記開口端と前記貫通孔との間に流路を形成する被覆部材とからなり、上記基板と管状部材と被覆部材とがろう材でろう付けされて構成されるフランジ付きパイプにおいて、上記基板と上記管状部材と上記被覆部材とで形成される空間部の管状部材側に表れる開口を覆う遮蔽部材、及び上記空間部を埋める充填部材の少なくとも一つの部材を備えたフランジ付きパイプである。
【0018】請求項2に記載の発明は、上記基板と上記管状部材と上記被覆部材とで形成される空間部の管状部材側の取付側に表れる開口を覆う遮蔽部材を備えた請求項1に記載のフランジ付きパイプである。
【0019】請求項3に記載の発明は、遮蔽部材が、管状部材に外挿された環状の部材である請求項1に記載のフランジ付きパイプである。
【0020】請求項4に記載の発明は、前記フランジ付きパイプが、基板と上記管状部材と上記被覆部材とで形成される空間部を埋める充填部材を備えた請求項1に記載のフランジ付きパイプである。
【0021】請求項5に記載の発明は、前記充填部材が、金属線である請求項4に記載のフランジ付きパイプである。
【0022】請求項6に記載の発明は、前記金属線が、前記空間部を埋める2本の充填線部と、これらの充填線部の端部を連結する連結部とからなり、全体として略コ字状に形成された請求項5に記載のフランジ付きパイプである。
【0023】請求項7に記載の発明は、前記充填部材が、略平板状の平板状充填部材であり、この平板状充填部材は、上記管状部材の平面部と上記基板との間に配置される平板部と、この平板部の両縁に沿って設けられ、上記基板と上記管状部材と上記被覆部材とで形成される空間部を埋める突条とを備えた請求項4に記載のフランジ付きパイプである。
【0024】
【実施の形態】〔第1の実施の形態〕図1乃至図4は本発明に係るフランジ付きパイプの第1の実施の形態を示すものである。本例のフランジ付きパイプ110は、図12〜図14で示した従来のフランジ付きパイプ10と同様に、基板12及び被覆板13からなるフランジ11と、管状部材14とを備えている。これらの各部材の構造に付いては、従来例で示したものと全く同じであるので、同一の部材には同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0025】本例では、基板12と管状部材14と上記被覆部材13とで形成される空間部41の管状部材側に表れる開口42を覆う遮蔽部材120を設けたものである。
【0026】この遮蔽部材120は環状の部材であり、上記管状部材14の周囲に嵌め込まれている。この遮蔽部材120は、上記基板12と管状部材14と上記被覆部材13とがろう付けされる際に管状部材14と被覆部材13の端面にろう着されることにより、上記空間部41からろう材が洩れ出るのを防止する。
【0027】そのため、上記空間部を確実にろう材で充填することができ、フランジ付きパイプを自動ろう付け装置で製造することができる。また、この例では遮蔽部材120を環状のものとしたから、管状部材14へ遮蔽部材120を嵌め込むだけで確実に行うことができる。
【0028】尚、この実施の形態では遮蔽部材を環状のものとして説明したが、遮蔽部材は、基板12と管状部材14と上記被覆部材13とで形成される空間部41の管状部材側に表れる開口42を覆うものであれば環状のものに限定されない。
【0029】〔第1の実施の形態の変形例〕図5及び図6は本発明に係るフランジ付きパイプの第1の実施の形態の変形例を示すものである。本例のフランジ付きパイプ210は、車両のエンジンの冷却水インレットパイプであり、基板217及び被覆板212からなるフランジ211と、管状部材213と、環状の遮蔽部材214とを備えている。
【0030】この例では、管状部材213が湾曲するように形成され、さらに枝管215が設けられている。また、基板217の開口216は長方形状になっている点が上記第1の実施の形態例と異なっている。
【0031】この例に係るフランジ付きパイプも、空間部を確実にろう材で充填することができ、フランジ付きパイプを自動ろう付け装置で製造することができる。
【0032】〔第2の実施の形態〕図7乃至図9は本発明に係るフランジ付きパイプの第2の実施の形態を示すものである。本例のフランジ付きパイプ310は、図11〜図13で示した従来のフランジ付きパイプ10と同様に、基板12、及び被覆板13からなるフランジ11と、管状部材14とを備えている。これらの各部材の構造に付いては、従来例で示したものと全く同じであるので、同一の部材には同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0033】本例では、基板12と管状部材14と上記被覆部材13とで形成される空間部41に閉塞部材320を設けたものである。
【0034】この閉塞部材320は上記基板12と上記管状部材14と上記被覆部材13とで形成される空間部41に配置される線状の部材である。
【0035】本例では閉塞部材は上記空間部に配置される閉塞線部321,322とこれらの閉塞線部を連結する連結線部323とから略コ状に形成されている。そしてこの閉塞部材はろう材に対して濡れ性のよい材質で形成されている。
【0036】そのため、上記空間部の空間容積を小さいものとすることができるほか、充填部材をろう材に対して濡れ性のよいものを選択することにより空間部を確実にろう材で充填することができ、フランジ付きパイプを自動ろう付け装置で製造することができる。
【0037】尚、上記閉塞部材は必ずしも略コ字状でなくともよく、少なくとも閉塞線部を構成する部分だけあればろう付けを良好に行うという本発明の目的は達成できる。上記実施の形態のように閉塞線部を連結する連結線部を設けておくと自動ろう付けの際に取り扱いが容易になる。
【0038】〔第3の実施の形態〕図10、及び図11は、本発明の第3の実施の形態を示すものである。本例に係るフランジ付きパイプ410では充填部材が、略平板状の平板状充填部材420として構成されている。
【0039】この平板状充填部材420は、図10に示すように、上記管状部材14の平面部14aと上記基板12と、上記被覆部材13との間の空間41に配置されている。
【0040】即ち、平板状充填部材420は、上記管状部材14の平面部14aと上記基板12との間に配置される平板部421とこの平板部421の両端縁に設けられた突条422とを備えている。
【0041】この平板状充填部材420は、平板部421と突条とが一体にプレス成形で形成されており、材質としてろう材に対して濡れ性のよいものを選択することがよい。また、この平板状充填部材は上記実施の形態に示したものに限定されるものではなく、平板部材の両端に線状部材から形成した突起部を別体として形成し、その後これらを固着して、全体として平板状充填部材を構成するようにしてもよい。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るフランジ付きパイプによれば、基板と管状部材と被覆部材とで形成される空間部を確実にろう材で充填することができ、フランジ付きパイプを自動ろう付け装置で製造することができるという効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】595041442
【氏名又は名称】江崎工業株式会社
【出願日】 平成11年7月16日(1999.7.16)
【代理人】 【識別番号】100075199
【弁理士】
【氏名又は名称】土橋 皓
【公開番号】 特開2001−32988(P2001−32988A)
【公開日】 平成13年2月6日(2001.2.6)
【出願番号】 特願平11−203861