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【発明の名称】 差込み継手
【発明者】 【氏名】伊藤 元清

【氏名】永山 清市

【氏名】岡崎 義郎

【氏名】中島 昌身

【氏名】岡田 敏聖

【要約】 【課題】金属製の管壁の外面を樹脂の被覆層で被覆してなる外面樹脂被覆鋼管が接続される差込み継手において、特別な治具を用いることなく、一旦継手本体に管を差し込んでも、その管を直ちに抜き出したり差込み代を調整したりすることを可能にする。

【解決手段】筒状の継手本体10のテーパ状の滑り面21で囲まれた空間に抜止めリング60を配備する。抜止めリング60の内側に筒状治具80を配備して抜止めリング60を拡径状態に保持する。筒状治具80を通して継手本体10に外面樹脂被覆鋼管を差し込んだ後、筒状治具80を継手本体10から引き抜く。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属製の管壁の外面を樹脂の被覆層で被覆してなる外面樹脂被覆鋼管が接続される差込み継手であって、内周面にテーパ状の滑り面が区画形成された筒状の継手本体と、上記滑り面又はその滑り面の径大側端部に連続する上記継手本体の内周面で囲まれた空間に配備される弾性材でなる拡縮径可能な抜止めリングとを有し、上記滑り面は、外面樹脂被覆鋼管がその被覆層に弾接状態で外嵌されている上記抜止めリングを伴って抜出し方向に移動されたときに、この滑り面に当接している上記抜止めリングを摺動させて縮径させることによりその抜止めリングの内周縁を上記被覆層に押し付ける機能を有するものにおいて、上記継手本体に外面樹脂被覆鋼管が差し込まれていない初期状態で、上記空間に配備されている上記抜止めリングの内側に配備されてその抜止めリングを弾性に抗する拡径状態に保持する筒状治具を備え、上記筒状治具が上記抜止めリングの内側に配備されているときに上記継手本体の端部から外側へ突き出て上記筒状治具を継手本体から引き出すことに用いられる掴み部が上記筒状治具の一端部に設けられていると共に、上記筒状治具が上記抜止めリングから引き抜かれたときに、弾性によって縮径した上記抜止めリングが、上記筒状治具を通して上記継手本体に差し込まれている外面樹脂被覆鋼管の被覆層に弾接状態で外嵌されるようになっていることを特徴とする差込み継手。
【請求項2】 上記筒状治具が、弾性材によって縮径可能に形成されかつ弾性に抗して縮径されることによって上記抜止めリングの内側に配備されるようになっている請求項1に記載した差込み継手。
【請求項3】 上記筒状治具の他端部に脆弱部を介して係合部が連設されていて、上記筒状治具が上記抜止めリングの内側に配備されているときに、上記係合部が上記抜止めリングの奥側でその抜止めリングに対向され、かつ、上記掴み部を引張って上記筒状治具を上記抜止めリングから引き抜くときに上記係合部が抜止めリングに係合して上記脆弱部が引きちぎられるようになっている請求項1又は請求項2に記載した差込み継手。
【請求項4】 上記脆弱部が、上記筒状治具よりも薄肉のリング部によって形成されている請求項1、請求項2、請求項3のいずれかに記載した差込み継手。
【請求項5】 上記係合部がリング状に形成されており、上記脆弱部が、上記筒状治具の他端部の周方向の少なくとも一箇所と上記係合部の周方向の少なくとも一箇所とを連設するライナーによって形成されている請求項1、請求項2、請求項3のいずれかに記載した差込み継手。
【請求項6】 上記掴み部が外拡がりテーパ状の内周面を有し、その内周面が、外面樹脂被覆鋼管を上記筒状治具に挿通するときの呼込みガイド面として形成されている請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5のいずれかに記載した差込み継手。
【請求項7】 上記抜止めリングの内周縁が尖った喰込み歯として形成されている請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6に記載した差込み継手。
【請求項8】 上記滑り面の径大側端部に連続する上記継手本体の内周面に、上記滑り面の径大側端部から延出された円筒面が区画形成され、この円筒面で囲まれた空間に配備され、かつ、この円筒面と上記筒状治具を通して上記継手本体に差し込まれた外面樹脂被覆鋼管の被覆層の外周面とに密着してそれらの密着箇所を封止するシール材を有する請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7に記載した差込み継手。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属製の管壁の外面を樹脂の被覆層で被覆してなる外面樹脂被覆鋼管(以下「管」ともいう)が接続される差込み継手に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の差込み継手では、筒状の継手本体に拡径及び縮径の可能な弾性材でなる抜止めリングが収容されている。この継手本体に管を差し込むと、管が抜止めリングをその弾性に抗して押し拡げて抜止めリングに内嵌され、その後に管が抜止めリングを伴って抜出し方向に移動されると、抜止めリングが継手本体に具備されているテーパ状の滑り面に当たって摺動することによりその抜止めリングに縮径方向の締付力が付与され、この締付力によって抜止めリングが管を強く締め付け、もって、管が抜止めリングを介して上滑り面に係合することにより抜止めされるようになっている。
【0003】このような差込み継手を用いる管工作業では、管を継手本体に差し込んだ時点で抜止めリングがその弾性によって管に強く保持された状態になる。特に、抜止めリングの内周縁が尖った喰込み歯として形成されている場合には、その喰込み歯が管の被覆層に係合して管と抜止めリングとが動かないように係合した状態になる。このため、管を一旦継手本体に差し込むと、そのままでは、管を抜き差し方向に動かして位置調整をすることが困難になる。
【0004】一方、管工作業では、管の位置調整などのために管を継手本体に差し込んだ後、管を継手本体から抜き出す必要の生じることが多々ある。この要求に答えるために、従来は、図16に示した治具Aを用いて継手本体から管を抜き出すことがあった。この治具Aは、断面円弧状の本体部aとこの本体部aの端部に連設した掴み部bとを有している。この治具Aによると、掴み部bを掴み、本体部aを、継手本体の端部とその継手本体に差し込まれている管との隙間から押し込んでその本体部aの先端cを管とその管に弾接している抜止めリングとの間に分け入らせて管から抜止めリングを離することができるので、継手本体に差し込まれている管を一旦抜き出して再び継手本体に差し込むという作業を行って位置調整などの必要な作業を行うことができるようになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、継手本体に差し込まれた管に抜止めリングが斜めに傾いて弾接していたり、管の被覆層に抜止めリングが喰い込んでいたりする場合には、上記治具Aの本体部aの先端cを管と抜止めリングとの間に分け入らせて管から抜止めリングを離することができないことがあり、その場合には、結果的に管を抜き出すことができないので、そのような場合には、管の端部を切断して別途継手本体に差し込むという作業を行わざるを得なくなる。このような事情から、作業者は、最初に継手本体に管を差し込むときに多大な注意を払って慎重に位置調整を行うことを余儀なくされていた。
【0006】本発明は以上の状況の下でなされたものであり、図16で説明したような治具Aを用いることなく、一旦継手本体に管を差し込んでも、その管を直ちに抜き出したり差込み代を調整したりすることが可能で、しかも、適切な位置調整が行われた管に対して抜止めリングを弾接状態で外嵌させることのできる差込み継手を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】図面を参照して本発明の差込み継手を説明する。なお、この欄で図中の符号を使用したのは、発明の内容の理解を助けるためであって、内容を図例に限定する意図ではない。
【0008】本発明は、金属製の管壁120の外面を樹脂の被覆層110で被覆してなる外面樹脂被覆鋼管100が接続される差込み継手を対象としている。
【0009】また、本発明に係る差込み継手は、内周面にテーパ状の滑り面21が区画形成された筒状の継手本体10と、上記滑り面又はその滑り面の径大側端部に連続する上記継手本体の内周面で囲まれた空間に配備される弾性材でなる拡縮径可能な抜止めリング60とを有し、上記滑り面は、外面樹脂被覆鋼管がその被覆層に弾接状態で外嵌されている上記抜止めリングを伴って抜出し方向に移動されたときに、この滑り面に当接している上記抜止めリングを摺動させて縮径させることによりその抜止めリングの内周縁を上記被覆層に押し付ける機能を有している。
【0010】したがって、この差込み継手によると、管が継手本体に差し込まれ、しかも、その管の被覆層に抜止めリングが弾接状態で外嵌しているときに、管が抜止めリングを伴って抜出し方向に移動されて抜止めリングが滑り面に当接した後、さらに管が抜出し方向に引張られたときには、滑り面が抜止めリングを摺動させて縮径させるので、抜止めリングの内周縁が被覆層に押し付けられて管を抜止めする。
【0011】本発明に係る差込み継手には、上記継手本体に外面樹脂被覆鋼管が差し込まれていない初期状態で、上記空間に配備されている上記抜止めリングの内側に配備されてその抜止めリングを弾性に抗する拡径状態に保持する筒状治具80が備わっている。そのため、抜止めリングにじゃまされずに管を筒状治具を通して継手本体に容易に差し込むことが可能であり、そのことが、管の位置調整を容易にすることにも役立つ。
【0012】上記筒状治具が上記抜止めリングの内側に配備されているときに上記継手本体の端部から外側へ突き出て上記筒状治具を継手本体から引き出すことに用いられる掴み部81が上記筒状治具の一端部に設けられていることが望ましい。このようになっていると、継手本体に管を差し込んだ後、掴み部をペンチなどの工具で掴んで引き出すことができる。
【0013】本発明に係る差し込み継手では、上記筒状治具が上記抜止めリングから引き抜かれたときに、弾性によって縮径した上記抜止めリングが、上記筒状治具を通して上記継手本体に差し込まれている外面樹脂被覆鋼管の被覆層に弾接状態で外嵌されるようになっている。したがって、筒状治具を抜止めリングから引き抜くと、筒状治具を通して継手本体に差し込まれていた継手本体にはじめて抜止めリングが弾接して管に強く保持された状態になる。抜止めリングの内周縁が尖った喰込み歯61として形成されている場合にはその喰込み歯が管の被覆層に係合する。したがって、その後に、管が抜止めリングを伴って抜出し方向に移動されて抜止めリングが滑り面に当接した後、さらに管が抜出し方向に引張られたときには、滑り面が抜止めリングを摺動させて縮径させるので、抜止めリングの内周縁が被覆層を押し付けたり、抜止めリングの内周縁の喰込み歯が被覆層に喰い込んだりして管を抜止めする。このことから、継手本体に差し込んだ管を位置調整する作業は、筒状治具を抜止めリングから引き抜くのに先立って容易に行うことができる。
【0014】上記筒状治具の掴み部が外拡がりテーパ状の内周面を有し、その内周面が、外面樹脂被覆鋼管を上記筒状治具に挿通するときの呼込みガイド面84として形成されていることが望ましい。このようになっていると、筒状治具を通して管を継手本体に差し込むときに、その呼込みガイド面が差込み作業を容易にすることに役立つ。
【0015】上記筒状治具は、弾性材によって縮径可能に形成されかつ弾性に抗して縮径されることによって上記抜止めリングの内側に配備されるようになっていることが望ましい。このものによると、抜止めリングの内側に筒状治具が配備されているときに、その筒状治具の弾性復元力と、その筒状治具により弾性に抗して押し拡げられている抜止めリングの弾性復元力との押し合いによって、抜止めリングが適正な姿勢に保持されやすい。そのため、差込み継手の運搬中などに抜止めリングが不測に傾いたりすることが少なくなり、また、筒状治具を引き抜いたときに、抜止めリングが管の被覆層に斜めに傾いて弾接するという事態が起こりにくくなる。
【0016】本発明の差込み継手では、上記筒状治具の他端部に脆弱部82を介して係合部83が連設されていて、上記筒状治具が上記抜止めリングの内側に配備されているときに、上記係合部が上記抜止めリングの奥側でその抜止めリングに対向され、かつ、上記掴み部を引張って上記筒状治具を上記抜止めリングから引き抜くときに上記係合部が抜止めリングに係合して上記脆弱部が引きちぎられるようになっていてもよい。上記脆弱部は、上記筒状治具よりも薄肉のリング部によって形成されていてもよい。また、上記係合部がリング状に形成されており、上記脆弱部が、上記筒状治具の他端部の周方向の少なくとも一箇所と上記係合部の周方向の少なくとも一箇所とを連設するライナーによって形成されていてもよい。
【0017】この差込み継手によると、継手本体に管が差し込まれていないときに、筒状治具の他端部に連設されている係合部が、その筒状治具の外側の抜止めリングが筒状治具が脱落するといった事態が防止される利点がある。
【0018】本発明の差込み継手は、上記滑り面の径大側端部に連続する上記継手本体の内周面に、上記滑り面の径大側端部から延出された円筒面51が区画形成され、この円筒面で囲まれた空間に配備され、かつ、この円筒面と上記筒状治具を通して上記継手本体に差し込まれた外面樹脂被覆鋼管の被覆層の外周面とに密着してそれらの密着箇所を封止するシール材70を有するものであってもよい。このような差込み継手において、筒状治具を抜止めリングから引き抜くことによって脆弱部が引きちぎられると、係合部が継手本体の内部に残ったままになるけれども、係合部が継手本体の内部に残ったままになっても、抜止めリングによる抜止め作用や、シール材によるシール作用に悪影響が及ぶことはない。また、このものでは、円筒面で囲まれた空間に配備されたシール材が、抜止めリングを滑り面と同心状に位置決めする作用を発揮する。
【0019】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係る実施形態の一部破断側面図である。この差込み継手は、薄肉鋼管を塑性加工することによって形成されている。すなわち、筒状の継手本体10の軸方向中央部に径小に塑性加工された連結壁部11を有していると共に、その継手本体10の一端側と他端側とに同一構造の機能部12,13が備わっている。また、継手本体10の外面や内面などには、防錆などのために溶融亜鉛めっきや塗装が施されている。
【0020】継手本体10の一端側の機能部12において、継手本体10には、内周面がテーパ状の第1滑り面21として形成された第1壁部20と、この第1壁部20の一端22に連設されて内周面が第1滑り面21の径小側端部23から延出された円筒面状の第2滑り面31として形成された第2壁部30と、この第2壁部30を挟んで上記第1壁部20の反対側でその第2壁部30の一端32に連設された作用部40とが設けられている。また、第1壁部20の他端24に連設されて内周面が第1滑り面21の径大側端部25から延出された円筒面51として形成された第3壁部50が設けられている。
【0021】第1滑り面21や円筒面51で囲まれた空間には抜止めリング60が配備されている。この抜止めリング60は、たとえば円周方向の一箇所が欠除された金属製の欠円リングによって形成され、それ自身の弾性に抗して拡縮径可能である。また、この抜止めリング60は、その内周縁が尖った喰込み歯61として形成されている。そして、無負荷状態(自然状態)での抜止めリング60の内径は、後述する外面樹脂被覆鋼管100の被覆層110の外周直径よりもわずかに短い長さになっている。
【0022】円筒面51で囲まれた空間には抜止めリング保持部材70が配備されている。このシール材70は、内周側に数条の環状突出片72を備えたゴム輪によって形成されている。また、シール材70は、上記円筒面51に弾接して定位置に保持されていると共に、その一端側の端面73が抜止めリング60に対向している。
【0023】80は筒状治具であり、図11に筒状治具80を正面図で示してあり、図12には筒状治具80を図11のA−A線に沿う断面図で示してある。この筒状治具80は、周方向の一箇所が欠除された円筒状の弾性材(金属又はプラスチック)によって縮径可能に形成されており、その一端部に外拡がりテーパ状の内周面を有する掴み部81が設けられている。この掴み部81のテーパ状の内周面は、管100(図2、図3参照)を筒状治具80に挿通するときの呼込みガイド面84として形成されている。また、筒状治具80の他端部に、脆弱部82を介し、周方向の一箇所が欠除されたリング状の係合部83が連設されている。脆弱部82は引きちぎることができる部分であり、図11及び図12に示した脆弱部82は、筒状治具80の他端部に溝85を形成することによって形成された薄肉のリング部でなる。
【0024】図1のように、筒状治具80は、継手本体10に管が差し込まれていない初期状態で、滑り面21又は円筒面51(継手本体の内周面)で囲まれた空間に配備されている抜止めリング60の内側に、弾性に抗して縮径されることによって配備されていて、その抜止めリング60を弾性に抗する拡径状態に保持していると共に、掴み部81が継手本体10の端部から外側へ突き出ている。また、係合部83が抜止めリング60の奥側でその抜止めリング60に対向されている。この実施形態では、抜止めリング60の内周縁が尖った喰込み歯61として形成されており、しかも、筒状治具80の脆弱部82が、溝85の溝底を形成している薄肉のリング部によって形成されているので、係合部83が抜止めリング60の奥側でその抜止めリング60に対向されている状態では、抜止めリング60の喰込み歯61が上記溝85に嵌まってその抜止めリング60が筒状治具80に正確に同心配置される。なお、筒状治具80は管を挿入することが可能な内径を有している。
【0025】図2は継手本体10の一端側の機能部12に管100の端部を適正長さだけ差し込んだ状態の拡大部分断面図、図3は筒状治具80を継手本体10から引き抜いている状態の拡大部分断面図、図4は管100が抜止めされている状態の拡大部分断面図である。
【0026】継手本体10に管100の端部を差し込むときに、管100の差込み代となる部分の被覆層110を剥がし取る作業は必要ない。また、管100に溝を付けて抜止めリング60が引掛かりやすくしておく必要もない。
【0027】すなわち、図2のように、端部外周が面取りされた管100の端部が被覆層110を備えたまま、筒状治具80を通して連結壁部11に当たるまで継手本体10に差し込まれる。この場合、筒状治具80の掴み部81の内周面が呼込みガイド面84として形成されており、抜止めリング60に内側に筒状治具80が配備されているため、管100を筒状治具80を通して継手本体10に差し込みやすく、また、抜止めリング60が管100と干渉して被覆層110を傷付けるといったおそれはない。また、図2のように継手本体10に管100が差し込まれると、シール材70が円筒面51と管100の被覆層110の外周面とに密着してそれらの密着箇所を封止する。
【0028】筒状治具80を通して継手本体10に管100を差し込んだときには、抜止めリング60は筒状治具80によって支えられているだけであって、管100の被覆層110には弾接していない。そのため、管100の位置調整を容易に行うことが可能である。
【0029】管100が適正に継手本体10に差し込まれていることが確認されてから、図3のように、筒状治具80が抜止めリング60や継手本体10から矢印aのように引き抜かれる。この作業は、掴み部81を必要に応じてペンチなどの工具で掴んで矢印a方向に引張ることによって行われ、そのようにすると、係合部83が抜止めリングに係合して脆弱部82が引きちぎられる。このため、抜止めリング60が弾性により縮径して管100の被覆層110に弾接状態で斜めに傾くことなく適正姿勢で外嵌する。また、継手本体10の内部に取り残された係合部83は、シール材70と抜止めリング60との間に保持される。そのため、この係合部83がシール材70によるシール性能や抜止めリング60による後述の抜止め性能に悪影響を与えることはない。
【0030】なお、図3には、矢印a方向に筒状治具80が引張られて脆弱部82が引きちぎられたときの抜止めリング60の位置を、図1で説明した初期状態での抜止めリング60の位置と同じ位置に示してあるけれども、場合によっては、抜止めリング60が筒状治具80と共に矢印a方向に移動して第1滑り面21に係合し、その係合位置で脆弱部82が引きちぎられることもある。
【0031】継手本体10から引き抜かれた筒状治具80は、その後、拡開変形させるなどして管100から撤去される。
【0032】筒状治具80が引き抜かれることによって、抜止めリング60が弾性により縮径して管100の被覆層110に弾接状態で外嵌した後、管100が抜止めリング60を伴って抜出し方向に引張られて移動すると、抜止めリング60が第1滑り面21に当たった後、その第1滑り面21を摺動して縮径する。そのため、抜止めリング60の喰込み歯61が管100の被覆層110、あるいは被覆層110と管壁120とに喰い込む。図3には第1滑り面31に当接している抜止めリング60を仮想線で示してある。
【0033】さらに、管100が抜止めリング60を伴って抜出し方向に引張られて移動すると、管壁120に喰込み歯61が食い込んでいる抜止めリング60が、そのまま、第2滑り面31側に案内されて移行する。第2滑り面31は、抜止めリング60が抜出し方向に移動されたときに第2滑り面31に当接している抜止めリング60の外径を一定に保ったまま摺動させる機能を有する。したがって、抜止めリング60が第1滑り面21から第2滑り面31側へ移行した後では、管100を、図4のように抜止めリング60が作用部40に当たるまでの長さ分だけ、必ず抜出し方向に移動させることができるようになる。このため、第2滑り面32の途中位置で抜止めリング60の抜止め作用が働いて管100を不慮に抜止めしてしまうといった事態は起こらない。
【0034】作用部40は、第2滑り面31を摺動して抜出し方向に移動されてきた抜止めリング60に当たってその抜止めリング60の抜出し方向の移動を阻止する機能を有している。このため、管100の抜出し方向の移動によって抜止めリング60が作用部40に当たると、もはや管100が抜出し方向には移動できなくなって抜止め作用が発揮される。
【0035】以上では継手本体10の一端側の機能部12の構造や作用を説明したけれども、継手本体10の他端側の機能部13の構造や作用についても同様である。また、この実施形態では、継手本体の一端側の機能部12と他端側の機能部13とが同一の構造を有し、同一の作用を発揮するように形成してあるけれども、他端側には、他の構造、たとえばメカニカル継手構造といった差込み継手構造以外の構造を備えさせて他の作用が発揮されるようにしておいてもよい。
【0036】また、この実施形態では、筒状治具10を継手本体10から引き抜いた後、撤去する場合を説明したけれども、継手本体10から引き抜いた筒状治具10を、継手本体10の内部への異物の侵入を防ぐ詰め栓として活用することも可能である。その事例を図5に示してある。
【0037】すなわち、図5に示した継手本体10は、作用部40に短い筒部41を突出させてあり、抜止めリング60が作用部40に係合して抜止め作用を発揮しているときに、筒部41が抜止めリング60の外側へ突き出るようになっている。そのため、この筒部41と管100の間の隙間に、継手本体10から引き抜いた筒状治具80の先端部を図示のように差し込んでおくと、その隙間や抜止めリング60の欠円部分が塞がれて継手本体10の内部への異物の侵入が防止される。なお、作用部40に抜止めリング60が係合しているときに、その作用部40に筒状治具80の差込み代が確保されている場合には、その作用部40と管100との隙間に筒状治具80き先端部を差し込むことができるので、上記した筒部41を設けておく必要はなくなる。
【0038】図6は本発明に係る他の実施形態の一部破断側面図である。この差込み継手において、図1で説明した差込み継手と異なる点は、機能部12,13において、第2壁部20を長く延ばしてその第2壁部20よりも先端側部分、すなわち図1に示されている作用部40を省略した点だけであり、その他の構成は図1と同様である。したがって、同一又は相応する部分に同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0039】図7は図6の継手本体10の一端側の機能部12に管100の端部を適正長さだけ差し込んだ状態の拡大部分断面図、図8は筒状治具80を図6の継手本体10から引き抜いている状態の拡大部分断面図、図9は管100が抜止めされている状態の拡大部分断面図であって、図7は図2に、図8は図3に、図9は図4に、それぞれ対応している。
【0040】図7及び図8によって示されている構造や作用は、図2や図3で説明したところと同様であるので、同一又は相応する部分に同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0041】この実施形態では、図1で説明した継手本体10の第1壁部10に比べて、第1壁部20が長くなっているため、図9のように抜止めリング60が第1滑り面21に係合することによって抜止めされる。その他の作用は、図4で説明したところと同様であるので、同一又は相応する部分に同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0042】この実施形態においても、継手本体10から引き抜いた筒状治具10を、継手本体10の内部への異物の侵入を防ぐ詰め栓として活用することが可能であり、その事例を図10に示してある。
【0043】すなわち、図10に示した差込み継手では、第1滑り面21に抜止めリング60が係合しているときに、その第1滑り面21に筒状治具80の差込み代が確保されている。したがって、第1滑り面21と管100との隙間に筒状治具80の先端部を差し込んでおくことによって、継手本体10の内部への異物の侵入が防止される。
【0044】以上説明した各実施形態の差込み継手用いられている筒状治具80は、脆弱部82が薄肉のリング部によって形成された筒状治具80が用いられているけれども、筒状治具80の脆弱部は他の構造によって構成することも可能である。たとえば、図3及び図14に示した筒状治具80のように、筒状治具80の他端部の周方向の複数箇所と係合部83の周方向の複数箇所を連設する複数の平行なライナーによって脆弱部82を形成することが可能である。このライナーの形状は、図13及び図14に示したような細い筋状ないしロッド状であってもよいし、あるいは、図15に示したように、円弧状に湾曲した平板状であってもよい。なお、ライナーによって脆弱部を形成する場合には、筒状治具80の他端部の周方向の少なくとも一箇所と係合部83の周方向の少なくとも一箇所とを連設するライナーを有していればよい。
【0045】
【発明の効果】以上のように、本発明によると、図16で説明したような治具Aを用いることなく、一旦継手本体に管を差し込んでも、その管を直ちに抜き出したり差込み代を調整したりすることが可能で、しかも、適切な位置調整が行われた管に対して抜止めリングを弾接状態で外嵌させることができるようになる。
【0046】本発明に係る差込み継手は、電線や通信ケーブルの保護管に用いられる外面樹脂被覆鋼管の接続に好適に用い得る。
【出願人】 【識別番号】000231121
【氏名又は名称】日本鋼管継手株式会社
【出願日】 平成11年7月23日(1999.7.23)
【代理人】 【識別番号】100072338
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 孝一 (外1名)
【公開番号】 特開2001−32972(P2001−32972A)
【公開日】 平成13年2月6日(2001.2.6)
【出願番号】 特願平11−208615