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【発明の名称】 マリンホース
【発明者】 【氏名】石原田 稔

【要約】 【課題】軽量で耐久性に優れ、アークや漏電のおそれがない光伝送チューブを備えたマリンホースを提供する。

【解決手段】マリンホース1は、両端にフランジ2が設けられており、複数本のマリンホース1が該フランジ2を介して同軸的に長く連結され、原油の輸送等に用いられる。このマリンホース1の外周面に沿って、該マリンホース1の長手方向に光伝送チューブ3が配置され、この光伝送チューブ3の端部に光源ユニット4が接続されている。光源ユニット4は、その上面に設けられた太陽電池6によって昼間に電力を得、これを該光源ユニット4内のバッテリに充電し、夜間などの暗天時に光伝送チューブ3から光を放射させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 標識としての発光装置を有するマリンホースにおいて、該発光装置は、側周面から光を放射する光伝送チューブと、該光伝送チューブの一端に設けられた光源とを有することを特徴とするマリンホース。
【請求項2】 請求項1において、前記光伝送チューブがマリンホースの長手方向に延設されていることを特徴とするマリンホース。
【請求項3】 請求項1において、前記光伝送チューブが螺旋状にマリンホースに巻回されていることを特徴とするマリンホース。
【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記光伝送チューブは、管状クラッドと、該管状クラッドの構成材料よりも高屈折率の材料で構成されるコアとを備えることを特徴とするマリンホース。
【請求項5】 請求項4において、該光伝送チューブは、該管状クラッドとコアとの間に該管状クラッドの長さ方向に沿って帯状の反射層を形成し、前記コアを通る光を該反射層で反射・散乱させて該反射層形成側と反対側の管状クラッド側周面から放出させるようにした光伝送チューブであることを特徴とするマリンホース。
【請求項6】 請求項5において、該帯状の反射層が複数条設けられていることを特徴とするマリンホース。
【請求項7】 請求項5又は6において、前記反射層が白色顔料又は散乱材を含む(メタ)アクリル系ポリマーよりなることを特徴とするマリンホース。
【請求項8】 請求項4ないし7のいずれか1項において、前記管状クラッドが(メタ)アクリル系ポリマーよりなり、前記コアがポリスチレン、ポリカーボネート又はスチレン−(メタ)アクリル共重合体よりなることを特徴とするマリンホース。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海上、湖上等において油タンカー等の船体と陸上との間で原油などの流体を荷積み又は荷卸しするためのマリンホースに関する。
【0002】
【従来の技術】油タンカーと陸上との間で原油を荷積み、荷卸しする際などにはマリンホースが用いられている。特開平11−51250号公報にも見られる通り、このマリンホースは海面上に浮上して引き回されるところから、このマリンホースに夜間でも視認できる警告灯(ウィンカーライト)が所定間隔(例えば40〜80m置き)にて設置され、他船のマリンホースへの衝突を防止している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の警告灯は、離隔して見た場合には点状のものであるから視認性が良くない。警告灯を多数個、列状に設置すれば視認性は向上するが、コスト高であると共に重量も大きい。また、警告灯に流木などが当ったときに球切れなどの損傷が生じ易い。さらに、警告灯の数が多いと、ランプ切れの頻度も高くなり、メンテナンスにも手間がかかる。
【0004】本発明は、このような短所を克服し、視認性に優れ、軽量で耐久性に優れ、光源の修理等も容易に行うことができる発光装置を備えたマリンホースを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のマリンホースは、標識としての発光装置を有するマリンホースにおいて、該発光装置は、側周面から光を放射する光伝送チューブと、該光伝送チューブの一端に設けられた光源とを有することを特徴とするものである。
【0006】かかるマリンホースにあっては、光源からの光が光伝送チューブ内に導入され、該光伝送チューブの側周面から放射され、光伝送チューブが長い棒状の発光体となる。
【0007】従って、この光伝送チューブをマリンホースの長手方向に延設したり、螺旋状にマリンホースに巻回することにより、マリンホースの視認性が著しくよくなる。
【0008】この光伝送チューブは、軽量で耐久性が良く、また漏電もないから設置も簡単である。そして、この光伝送チューブに光を供給する光源だけを高防水性にて、また、流木等の衝撃から保護するように設置すれば足りる。
【0009】本発明で用いる光伝送チューブは、管状クラッドと、該管状クラッドの構成材料よりも高屈折率の材料で構成されるコアとを備えるものが好ましい。また、該管状クラッドとコアとの間に該管状クラッドの長さ方向に沿って帯状の反射層を形成し、前記コアを通る光を該反射層で反射・散乱させて該反射層形成側と反対側の管状クラッド側周面から放出させるようにした光伝送チューブが好ましい。この反射層は1条だけ設けられてもよく、複数条設けられてもよい。
【0010】このように反射層を管状クラッドとコアとの間にチューブの長さ方向に沿って帯状に形成した光伝送チューブにあっては、光量の最も多いコア内部を通る強い光がこの帯状の反射層で反射され、該反射層と反対側のチューブ側周面から指向性の高い強い光として放出される。この結果、著しく輝度が高くなり、非常に明るいものとなる。
【0011】管状クラッドは(メタ)アクリル系ポリマーよりなり、コアはポリスチレン、ポリカーボネート又はスチレン−(メタ)アクリル共重合体よりなり、反射層は白色顔料又は散乱材を含む(メタ)アクリル系ポリマーよりなることが好ましい。
【0012】この光伝送チューブは、3個のスクリュー部を有する3色押出機等の多色押出機を用い、コア材、クラッド材、及び白色顔料又は散乱材を含む反射材を該多色押出機の例えば各口金部に導入し、コア材を円柱状に、反射材をこの円柱状コア材外周面上に複数条の帯状に、かつクラッド材を上記コア材及び反射材を覆うチューブ状にそれぞれ同時に押し出して、管状クラッドとコアとの間にその長さ方向に沿って帯状の反射層を形成する方法により、高い生産性のもとに安価に製造することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図4は実施の形態に係るマリンホースの平面図、図5は図4のマリンホースの端部の断面図、図6はこのマリンホースの要部の斜視図、図7は別の実施の形態に係るマリンホースの斜視図である。
【0014】図4〜6のマリンホース1は、両端にフランジ2が設けられており、複数本のマリンホース1が該フランジ2を介して同軸的に長く連結され、原油の輸送等に用いられる。
【0015】このマリンホース1の外周面に沿って、該マリンホース1の長手方向に光伝送チューブ3が配置され、この光伝送チューブ3の端部に光源ユニット4が接続されている。
【0016】この光源ユニット4及び光伝送チューブ3は、マリンホース1を取り巻くバンド5によってマリンホース1に取り付けられているが、この取付方式はバンドに限定されるものではない。この光源ユニット4は、その上面に設けられた太陽電池6によって昼間に電力を得、これを該光源ユニット4内のバッテリに充電し、夜間などの暗天時に光伝送チューブ3から光を放射させる。
【0017】この光源ユニット4の防水性及び耐衝撃性を有したケーシング内には、光伝送チューブ3の先端面に対面したLED等の発光素子と、この発光素子を駆動するための駆動回路が設けられている。このLED等の発光素子が点灯又は点滅すると、その光が光伝送チューブ3に導入され、光伝送チューブ3の側周面から放射される。
【0018】この光伝送チューブ3は軽量であり、長く引き回しても重量は小さい。この光伝送チューブ3は光のみを通すものであり、水がかかったり水中に没しても漏電することは全くない。従って、光源ユニット4のみを防水性の高いケーシングで囲み、光伝送チューブ3をこのケーシング内に水密的に引き込むように構成するだけで長期にわたって殆どメンテナンスすることなく使用できる。
【0019】図4ではマリンホース1の一端側に光源ユニット4を配置しているが、マリンホース1の中央に光源ユニット4を配置し、そこからマリンホース1の両端側に向って光伝送チューブを延設してもよい。また、1本の光伝送チューブ3の両端にそれぞれ光源ユニット4を配置し、光伝送チューブ3の両端から光を導入してもよい。さらに、1個の光源ユニットから3本以上の光伝送チューブを引き出してもよい。
【0020】本発明では、1本のマリンホースに対し、周方向に離隔させて複数の光伝送チューブを配置してもよい。また、複数本の光伝送チューブを引き揃えて配設してもよい。
【0021】本発明では、図7のマリンホースのようにマリンホース1に光伝送チューブ3を螺旋状に巻回してもよい。このようにすれば、マリンホースの周方向の全方位から光伝送チューブ3を十分に視認することができる。
【0022】次に図1〜3を参照して光伝送チューブ3の構成について詳細に説明する。
【0023】図1はこの光伝送チューブ3を示す斜視図、図2は図1のII−II線に沿う断面図、図3は図2のIII−III線に沿う断面図である。
【0024】この光伝送チューブ3は、コア12とこれを覆う管状クラッド13との間に、チューブの長手方向に延在する帯状の反射層14を形成したものである。なお、反射層14はコア13の表面から若干コア13の内部に侵入した状態で形成されていても良い。
【0025】コア12を構成する材料(コア材)には、管状クラッド13を構成する材料(クラッド材)よりも屈折率が高い透明材料が用いられ、一般的には、プラスチック、エラストマー等の中から目的に応じて適宜選択使用される。
【0026】コア材の具体例としては、ポリスチレン、スチレン・メチルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル樹脂、ポリメチルペンテン、アリルグリコールカーボネート樹脂、スピラン樹脂、アモルファスポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリアリルサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ジアリルフタレート、フッ素樹脂、ポリエステルカーボネート、ノルボルネン系樹脂(ARTON)、脂環式アクリル樹脂(オプトレッツ)、シリコン樹脂、アクリルゴム、シリコンゴム等の透明材料が挙げられる(なお、「(メタ)アクリル」とは「アクリル及びメタクリル」を示す。)。
【0027】一方、クラッド材としては、屈折率の低い透明材料の中から選定することができ、プラスチックやエラストマー等の有機材料が挙げられる。
【0028】クラッド材の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、フッ化ポリメチルメタアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエチレン−ポリビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂、シリコン樹脂、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、フッ素ゴム、シリコンゴム等が挙げられる。
【0029】上記のコア材、クラッド材のうち、透明性や屈折率等の光学特性及び同時押し出し加工性の面から、コア材としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、スチレン−(メタ)アクリル共重合体(MSポリマー)等が好ましく、また、クラッド材としては(メタ)アクリル系ポリマー等が好ましい。
【0030】反射層は白色顔料や散乱材を含む(メタ)アクリル系ポリマーで形成することが好ましい。
【0031】ここで白色顔料や散乱材としては、シリコーン樹脂粒子やポリスチレン樹脂粒子等の有機ポリマー粒子、Al23、TiO2、SiO2等の金属酸化物粒子、BaSO4等の硫酸塩粒子、CaCO3等の炭酸塩粒子等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
【0032】反射効率や同時押し出し加工性等を考慮した場合、これら白色顔料や散乱材の粒子の平均粒径は0.1〜200μm程度特に0.5〜50μm程度であることが好ましく、また、反射層構成材料(反射材)中の含有量は0.5〜20重量%程度特に1〜10重量%程度であることが好ましい。
【0033】図1〜3では、反射層14は1条だけ設けられているが、複数条設けられてもよい。反射層の幅は、光伝送チューブの直径を勘案し、視認し易い光量の光が放射されるように選定すればよいが、反射層の幅(複数条ある場合は各反射層の幅の合計)が光伝送チューブの周長の5〜50%、とくに10〜40%、とりわけ15〜30%程度になるようにするのが好ましい。
【0034】反射層14の厚さは特に制限されないが、10〜200μm特に50〜100μmとすることが好適である。この厚さが薄すぎると反射される光が少なくなるため輝度が低くなり、厚すぎると反射される光が多くなり輝度が高くなるが、これは光源から近距離の場合で、更に光源から離れた所では逆に輝度が低くなる不利を伴う場合がある。
【0035】なお、コア12の直径は特に制限されないが、通常2〜30mm特に5〜15mm程度とされる。また、管状クラッド13の肉厚は通常0.05〜4mm特に0.2〜2mm程度とされる。
【0036】この光伝送チューブでは、光を放射しない周面を覆うように、管状クラッド13の外表面に反射性保護層を形成しても良い。このような反射性保護層を形成した光伝送チューブであれば、反射層14にピンホール等の欠陥がある場合、この欠陥部分を通って反射層14の裏側に漏洩する光や反射層14の側部から漏洩する光をこの反射性保護層で反射することにより光の損失を低減し、反射層14の反対側の輝度をより一層高めることができる。
【0037】本発明では、光伝送チューブの長手方向に所定間隔をおいて反射性保護層で全周が取り巻かれた部分を設けてもよい。このようにした場合には、光伝送チューブの長手方向に発光領域が途切れ途切れに現われることになる。
【0038】この反射性保護層の構成材料としては、反射層14から漏れた光を外部に透過させず、また、この光を吸収せず、効率的に反射させるものが好ましく、具体的には、銀、アルミニウム等の金属箔や金属シート、或いは光を散乱する上記したような散乱性粒子を分散した塗膜等を用いることができる。
【0039】この光伝送チューブを製造するには、多色押出機例えば3個のスクリュー部を有する3色押出機を用い、コア材、クラッド材、及び白色顔料又は散乱材を含む反射材を押出機に導入し、コア材を円柱状に、反射材をこの円柱状コア材の外周面上に帯状に、かつクラッド材を上記コア材及び反射材を覆うチューブ状に同時に押し出せば良い。
【0040】この方法によれば、屈折率や物性の異なる3種の材料を同時に押し出し、3種の機能を持った積層構造体を一度に成形することができ、成形速度が速く、しかも各材料が軟化状態で積層されるため、各層間の密着性にも優れた光伝送チューブを効率的に製造することができる。
【0041】反射性保護層を形成する場合には、上記押し出し成形後に金属箔や金属シートを貼着したり、散乱性粒子を分散させた塗料を塗布したりすれば良いが、同時押し出しにより反射性保護層を形成することも可能である。
【0042】なお、この光伝送チューブは上記以外の方法で製造されても良い。
【0043】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明のマリンホースは、光伝送チューブによって導かれた光によって光の放射を行うようにしたものであり、点発光ではなく所要の長さを有した線発光となるので視認性が良好である。また、従来のマリンホースの標識に比べ光源の数が少なく、メンテナンスが容易である。この光伝送チューブは軽量で耐久性に優れ、マリンホースの重量を殆ど増大させない。この光伝送チューブには電流は流れないから、漏電のおそれもなく、またアークによる引火のおそれもないから、このマリンホースは原油等の可燃性流体の輸送に好適である。
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【出願日】 平成11年7月19日(1999.7.19)
【代理人】 【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
【公開番号】 特開2001−32969(P2001−32969A)
【公開日】 平成13年2月6日(2001.2.6)
【出願番号】 特願平11−204984