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【発明の名称】 ホース
【発明者】 【氏名】畑中 進

【要約】 【課題】破壊効率を向上し、補強材料を必要以上に使用することなく耐久性を向上することを可能にしたホースを提供する。

【解決手段】少なくともホースの最高使用圧力、より好ましくは最高使用圧力の100〜150%の圧力範囲において、張力負荷率Ri の最大値Rmax と最小値Rmin が下記数式(1)を満足する2層以上の補強層を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくともホースの最高使用圧力において、張力負荷率Riの最大値Rmax と最小値Rmin が下記数式(1)を満足する2層以上の補強層を設けたホース。
(Rmax −Rmin )/Rmax ×100≦20 ・・・(1)
但し、Rmax ≧Ri ≧Rmin 、Ri =ti /Ti ×100である。
i :加圧時に生じる補強層第i層の補強材料1本当たりの張力(N)
i :補強層第i層の補強材料の引張強さ(N)
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2層以上の補強層を有するホースに関し、さらに詳しくは、破壊効率を高めることにより、補強材料を必要以上に使用することなく耐久性を向上するようにしたホースに関する。
【0002】
【従来の技術】高圧条件下に使用されるホースとして、内面層と外面層との間に中間層を介して2層以上の補強層を埋設したものがある。
【0003】従来、2層以上の補強層を有するホースは、ホースに内圧が加わった際、補強材料に生じる張力が補強層毎に異なっており、内圧により補強材料に発生する張力が、その材料の破断強度に対して最も大きい補強層から故障が発生し易いという問題があった。そのため、ホースの破壊効率が低く、その耐久性を向上するためには補強材料を必要以上に使用することが余儀なくされていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、破壊効率を向上し、補強材料を必要以上に使用することなく耐久性を向上することを可能にしたホースを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明のホースは、少なくともホースの最高使用圧力、より好ましくは最高使用圧力の100〜150%の圧力範囲において、張力負荷率Ri の最大値Rmax と最小値Rmin が下記数式(1)を満足する2層以上の補強層を設けたことを特徴とするものである。
【0006】
(Rmax −Rmin )/Rmax ×100≦20 ・・・(1)
但し、Rmax ≧Ri ≧Rmin 、Ri =ti /Ti ×100である。
【0007】ti :加圧時に生じる補強層第i層の補強材料1本当たりの張力(N)
i :補強層第i層の補強材料の引張強さ(N)
このように2層以上の補強層における張力負荷率Ri の差を小さくすることにより、ホースに内圧が加わった際に特定の補強層だけに故障が発生することを防止するので、破壊効率を向上することができ、それにより補強材料を必要以上に使用することなく耐久性を向上することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成について添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0009】図1は本発明の実施形態からなるホースを例示するものである。図において、本実施形態のホースは、最内側の内面層1と最外側の外面層4との間に4層構造の補強層2を埋設し、各層間に中間層3を介在させた積層構造になっている。
【0010】内面層1、中間層3、外面層4の材料は特に限定されるものではなく、例えば内面層1及び中間層3にニトリル・ブタジエンゴム(NBR)等を使用し、外面層4にクロロプレンゴム(CR)等を使用することができる。また、ゴム材料のほかに合成樹脂等を使用しても良い。
【0011】4層構造の補強層2はそれぞれ複数本のスチールワイヤをホース軸方向に対して傾斜させながらスパイラル状に巻き上げた構造を有している。但し、補強層2の材質は特に限定されるものではなく、補強材料として芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)等の有機繊維を使用しても良い。また、補強層2の構造は特に限定されるものではなく、補強材料をブレード状に編み上げた構造であっても良い。
【0012】上述した2層以上の補強層を有するホースにおいて、補強層の張力負荷率Riは、ホースが加圧された際に生じる第i層の補強材料1本当たりの張力ti を、第i層の補強材料の引張強さ(破断強度)Ti に対する百分率(%)で表した値(Ri =ti /Ti ×100)である。これら2層以上の補強層において張力負荷率Ri のバラツキが大きいと、ホースが加圧された際に張力負荷率Ri が最も大きな補強層から故障が発生し易くなる。
【0013】そこで、本発明では少なくともホースの最高使用圧力、より好ましくは最高使用圧力の100〜150%の圧力範囲において、ホースに内圧が加わった際に、張力負荷率Ri の最大値Rmax と最小値Rmin が下記数式(1)を満足するように2層以上の補強層に張力を効率良く配分する。
【0014】
(Rmax −Rmin )/Rmax ×100≦20 ・・・(1)
このように張力負荷率Ri の最大値Rmax と最小値Rmin との差を小さく設定することにより、ホースに内圧が加わった際に特定の補強層だけに故障が発生することを防止するので、破壊効率を向上し、補強材料を必要以上に使用することなく耐久性を向上することが可能になる。この張力負荷率Ri の最大値Rmax と最小値Rmin との差が最大値Rmax の20%を超えると、最大値Rmax を有する補強層に故障が発生し易くなる。なお、補強層の張力を効率良く配分するには、その補強材料の材質、外径、使用本数、編組角度等の条件を補強層毎に適切に設定すれば良い。
【0015】図2は本発明の実施形態からなるホースにおいて、ホース内圧(MPa)と、張力負荷率Ri (実線にて図示)及び(Rmax −Rmin )/Rmax ×100(破線にて図示)との関係を示すものである。図2において、最高使用圧力の100〜150%の圧力範囲は35〜50MPaである。この図2に示すように、補強層の張力負荷率Ri は内圧Pの上昇に伴って徐々に上昇し、また複数層の補強層では張力負荷率Ri の変化割合は種々異なっているので、(Rmax −Rmin )/Rmax ×100の値は内圧Pに応じて変動する。本発明では、少なくともホースの最高使用圧力、より好ましくは最高使用圧力の100〜150%の圧力範囲における(Rmax −Rmin )/Rmax ×100の値を小さくし、上記数式(1)を満足することにより、過酷な使用環境におけるホースの耐久性を確実に向上するようにしている。
【0016】本発明において、ホースが加圧された際に生じる補強層第i層の補強材料1本当たりの張力ti を求める方法は、特に限定されるものではない。例えば、張力ti はホース構造に基づいて力学計算や有限要素法等により算出することができる。また、補強層に歪みゲージを直接取り付けて補強材料の伸び率を測定したり、或いは加圧前後のホースの寸法変化に基づいて補強材料の伸び率を幾何学的に算出し、これら測定又は算出した伸び率を補強材料の荷重−歪み曲線のデータと比較することにより張力ti を求めることも可能である。
【0017】
【実施例】下記ホース仕様を有すると共に、(Rmax −Rmin )/Rmax ×100の値を種々異ならせた複数のホースを製作した。
【0018】ホース仕様:内径:19mm補強構造:4層スパイラル構造補強材料:0.4mm高張力鋼最高使用圧力:41.7MPa安全率:4.4倍これら試験ホースについて、下記評価方法によりインパルス性能を評価し、その結果を図3に示した。
【0019】インパルス性能:試験ホースに内圧41.7MPaの条件から120%台形波インパルスを繰り返し加え、破壊に至る回数を測定した。なお、200万回まで衝撃圧力を加えても破壊しないものは試験を打ち切った。
【0020】図3に示すように、(Rmax −Rmin )/Rmax ×100の値が20以下となる範囲では、インパルス試験の目標100万回を超えており、インパルス性能が優れていた。
【0021】次に、下記ホース仕様を有すると共に、表1に示す物性からなる補強材A,Bを使用し、表2のように補強層の設定を種々異ならせた比較例1〜2及び実施例1〜3のホースを製作した。
【0022】ホース仕様:内径:12.7mm外径:23.5mm補強構造:4層スパイラル構造補強材料:0.4mm高張力鋼最高使用圧力:35MPa【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】この表2に示すように、補強材の材質、使用本数、編組角度に基づいて、(Rmax −Rmin )/Rmax ×100の値を任意に設定することが可能であった。なお、表2における(Rmax −Rmin )/Rmax ×100の値は有限要素法による計算値である。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、少なくともホースの最高使用圧力、より好ましくは最高使用圧力の100〜150%の圧力範囲において、2層以上の補強層における張力負荷率Ri を差を小さくすることにより、ホースに内圧が加わった際に特定の補強層だけに故障が発生することを防止するので、破壊効率を向上することができ、それにより補強材料を必要以上に使用することなく耐久性を向上することができる。
【出願人】 【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
【出願日】 平成11年7月21日(1999.7.21)
【代理人】 【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一 (外2名)
【公開番号】 特開2001−32965(P2001−32965A)
【公開日】 平成13年2月6日(2001.2.6)
【出願番号】 特願平11−205966