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【発明の名称】 ホース固定構造、ホース固定方法及び網状筒体付ホース
【発明者】 【氏名】三宅 普

【要約】 【課題】2つの爪の間隔が狭く、ホース径とアンマッチであったり、爪が容易に広がらない形状、構造であるクリップであっても、ホースの装着性が良好で、装着部分でのホースの信頼性が良好でかつ安価なホース固定構造を提供する。

【解決手段】ホース10の少なくとも中間部分において、外周面に網状筒体11が装着される。ホースの網状筒体装着部分を、クリップ20のガイド部24に当接させ、さらに押し付けることにより、装着部22を押し広げて挿入開口部23の空間幅が拡げられる。さらに、挿入開口部がホースに装着された網状筒体に接触するが、網状筒体のポリアミド12の摩擦抵抗が小さく滑りがよいことにより、ホースは挿入開口部から装着部の円筒部分内にスムーズに挿入される。ホースの装着部内への挿嵌後は、装着部がその弾性反力により元の位置に戻り、ホースを挟持する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 挿入開口部を有する2つの挟持片を備えたクリップでホースを挟持することにより、該ホースが該クリップを介して相手部材に固定されるホース固定構造において、予め前記ホースの少なくとも中間部分の外周面に樹脂製の伸縮可能な網状筒体を装着することとし、該網状筒体の外周側に前記クリップが挟持されることにより、該ホース外周面と該クリップ内周面の間に該網状筒体が介在していることを特徴とするホース固定構造。
【請求項2】 ホースの少なくとも中間部分にてその外周面に樹脂製の伸縮可能な網状筒体を装着し、該ホースに装着された該網状筒体の外周側に、挿入開口部を有する2つの挟持片を備えたクリップでホースを挟持することにより、前記ホースを該クリップを介して相手部材に固定させるようにしたことを特徴とするホース固定方法。
【請求項3】 少なくとも中間部分にて外周面に樹脂製の伸縮可能な網状筒体が装着されたホースであって、該網状筒体の外周側に、挿入開口部を有する2つの挟持片を備えたクリップで挟持されることを特徴とする網状筒体付ホース。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、挿入開口部を有する2つの挟持片を備えたクリップでホースを挟持することにより、ホースがクリップを介して相手部材に固定されるホース固定構造及びホースの固定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば自動車用のヒータホースのように、エンジンルーム内に配設される外径の小さいホースについては、その振動を抑えるために、車体側に固定された略筒状で軸方向に沿って延びるスリット状の挿入開口部を有するクリップを、その挿入開口部を拡開してホース中間部分に嵌着させることにより、車体側に固定されている。あるいは、他の例として、2本のホース間を、2つのクリップ部を連結して一体にされたクリップでそれぞれ固定することにより、ホース相互が動き難いようにされることもある。この場合、外径の異なるホースに対して、通常は、それぞれの外径に応じて個別に設計製造された特定形状のクリップが使用されるのであるが、ホースの製造数量が少ないような場合、このようなホースのために新たに専用のクリップを設計製造するのは、手間がかかると共に非常にコスト高になる。そのため、このような製造数量の少ないホースに対しては、新たに専用のクリップを用意するのではなく、他のホース用のクリップを転用することが行われてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、他のホース用のクリップは、ホースとのマッチングが必ずしも適正でなく、2つの爪の間隔がホース径に対し狭すぎたり、爪が容易に広がらない形状構造の場合、ホースのクリップへの装着が非常に困難になると共に、無理な装着によってホースに不適正な変形が生じ易くなるという問題がある。これに対して、ホースの表面にオイルや粉等の滑りが良くなる材質を塗布して、クリップの滑りを良くする方法がある。この方法によれば、クリップの装着性は良くなるが、作業者の手にオイル等が付着するため、かえってホース組付け作業の円滑な進行が損なわれることになる。さらに、オイル等を塗布することにより、後にホースにマーキングを行うときにインクが付着し難くなったり、また見え難くなったりするという問題もある。
【0004】また、ホースの外径を縮小したり、クリップが装着されるホース部分を扁平化したりすることにより、クリップへの装着性を高めることが考えられる。しかし、ホースの外径を縮小することにより、パイプの締結部分におけるクリップの緊迫力が低下して、その部分で流体の漏れが発生するおそれがある。また、ホースを部分的に扁平化するためには、必要部分を扁平にしたマンドルを用意する必要があるため製造コストが高くなったり、さらにホースを扁平化することによりホース内に負圧が加わったときに、ホースがつぶれ易くなるという問題もある。
【0005】本発明は上記した問題を解決しようとするもので、2つの爪の間隔が狭く、ホース径とアンマッチであったり、爪が容易に広がらない形状、構造であるクリップであっても、ホースの装着性が良好で、装着部分でのホースの信頼性が良好でかつ安価なホース固定構造、そのためのホース固定方法、及びそれに係るホースを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、上記請求項1に記載の発明の構成上の特徴は、挿入開口部を有する2つの挟持片を備えたクリップでホースを挟持することにより、ホースがクリップを介して相手部材に固定されるホース固定構造において、予めホースの少なくとも中間部分の外周面に樹脂製の伸縮可能な網状筒体を装着する7こととし、網状筒体の外周側にクリップが挟持されることにより、ホース外周面とクリップ内周面の間に網状筒体が介在していることにある。
【0007】また、上記請求項2に記載の発明の構成上の特徴は、ホースの少なくとも中間部分にてその外周面に樹脂製の伸縮可能な網状筒体を装着し、ホースに装着された網状筒体の外周側に、挿入開口部を有する2つの挟持片を備えたクリップでホースを挟持することにより、ホースをクリップを介して相手部材に固定させるようにしたことにある。
【0008】また、上記請求項3に記載の発明の構成上の特徴は、少なくとも中間部分にて外周面に樹脂製の伸縮可能な網状筒体が装着されたホースであって、網状筒体の外周側に、挿入開口部を有する2つの挟持片を備えたクリップで挟持されることにある。なお、上記網状筒体は、合成樹脂繊維を複数束ね、さらにこれを編組することにより形成されるものであるが、合成樹脂繊維としては単繊維であることが好ましく、さらに複数の単繊維の少なくとも一部がポリアミドで構成されていることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明すると、図1及び図2は、同実施形態に係るゴム弾性体製の自動車用ヒータホースに適用されたホース固定構造を正面図及び部分断面図により示したものである。このホース固定構造は、ホース10と、その両端締付け部分を除いた所定の中間部分において外周面に装着された樹脂製の網状筒体11と、この網状筒体11の外周側に挟持されると共にエンジンルーム内の取付部材(図示しない)に固定されるクリップ20とにより構成されている。なお、図1,2においては、網状筒体11は、ホース10の中間部分にのみ装着されているが、ホース10全体に装着される場合もある。
【0010】網状筒体11は、図3に示すように、単繊維のポリアミド12と単繊維のポリエステル13とを合わせたものを編組することにより形成されたものである。例えばこの網状筒体11は、商品名フレックスガード(フェデラルモーグル社製)であり、単繊維のポリアミド1本と単繊維のポリエステル2本を組み合わせたものを用いて編組形成されている。この網状筒体11は、単繊維のポリアミド12により滑り性が確保され、単繊維のポリエステル13により弾力性および耐久性が確保されるようになっている。ただし、網状筒体の材質としては、このような組み合わせに限るものではなく、他の合成繊維を用いることができる。また、単繊維より滑り性がやや劣るが、場合によって撚糸を用いることもできる。
【0011】クリップ20は、樹脂製で、図1、図2及び図4に示すように、長方形の板部21を有しており、板部21の一表面側にて一方の中心線に沿って円筒状の装着部22がその軸線方向が中心線に平行になるように固定されている。装着部22は、その内径がホース10外径よりわずかに小さくなっており、板部21に対する反対側部分が周方向に沿って中心角略60°で開放されて軸方向両端間を延びる挿入開口部23を有し、軸直角断面が略C形状になっている。挿入開口部23の両側縁には、軸方向に沿ってかつ径方向外方に向けて延びる板状の一対のガイド部24が設けられている。また、装着部22の外周面には、軸方向の中間位置にて、軸直角方向に突出したリブ25が設けられおり、リブ25によって装着部22と板部21の一表面側が連結されている。リブ25によって、弾性を有する略C形状の装着部22が補強されている。クリップ20は、装着部22に周方向の力を加えることにより、その弾性によって挿入開口部23の開放の程度を調節できると共に、リブ25によって極端な開放が阻止される。そのため、装着部22によってホースに適正な締付力が加えられると共に、ホースの抜けも防止されるようになっている。
【0012】また、板部21の他表面側中央には、角柱状の取付部26が板面に垂直に固定されている。取付部26は、板部21に対して直角方向が中空である筒状になっており、上記装着部22の軸方向に対応する両側面には突出先端側に固定されてかつ軸方向外方にわずかに突出した一対の爪部27を設けている。このクリップ20は、各部分が樹脂一体成形により形成されているものである。そして、クリップ20の取付部26をエンジンルーム内の取付部材に挿嵌することにより、爪部27が取付部材に係止され、クリップ20が取付部材に固定されるようになっている。
【0013】つぎに、上記ホース固定構造の組立てについて説明する。まず、図5に示すように、ホース10の中間部分の所定位置において、外周面に網状筒体11が装着される。つづいて、ホース10の網状筒体11装着部分を、エンジンルーム内に取り付けられているクリップ20のガイド部24に当接させ、さらに押し付けながら、装着部22を押し広げて挿入開口部23の拡開幅を拡げる。ここで、挿入開口部23がホース10に装着された網状筒体11に接触するが、網状筒体11のポリアミド12の摩擦抵抗が小さく滑りがよいことにより、装着部22内径よりホース10の外径のほうがわずかに大径であるにも拘らずホース10は挿入開口部23から装着部22の円筒部分内にスムーズに挿入される。ホース10の装着部22内への挿嵌後は、装着部22がその弾性反力により元の位置に戻りホース10を挟持する。さらに、装着部22は、リブ25によって挿入開口部23が狭められる方向に力を受けて補強されているため、ホース10の装着部22からの抜けが確実に防止され、装着の信頼性が確保される。
【0014】また、本実施形態によれば、ホース10の外周面にオイル等を塗布する必要がないので、作業者の手を汚すことがなく、ホース組付け作業がスムーズにかつ信頼性良く行われ、さらにホースへのマーキングが良好に行われる。なお、網状筒体11の網目は粗いので、網状筒体11を通してホース10に付されたマーキングを容易に認識することができる。また、ホース外径を縮小化する必要がないので、ホース端部におけるクリップの緊迫力が低下することはない。さらに、ホースを扁平化する必要もないので、特別のマンドルを用意する必要がなく、特別仕様とすることによるホースのコストアップを避けることができ、またホース内が負圧になってもホースがつぶれることもない。
【0015】また、網状筒体11は、通常のホース保護用プロテクタとしても機能するので、ホース10とエンジンルーム内の周辺部品との干渉を防止でき、それに伴うホース10の損傷を避けることができる。さらに、網状筒体11は、柔軟性と伸縮自在性を備えているので、ストレート形状のホースに限らず複雑に曲げられたホースにも容易に使用することができる。
【0016】上記実施形態では、クリップ20にリブ25を設けた例について示したが、図6に示すようにクリップ31にリブを設けないことも可能である。また、クリップの材質についても、樹脂に限らず、金属製のものも使用される。さらに、上記実施形態においては、クリップ20がエンジンルーム内の取付部材に固定される場合について説明したが、図7に示すように、一対のクリップ部33を連結部34により連結したクリップ形態も使用されており、この場合は、ホース間を連結して各ホースを動かないように拘束するために用いられる。
【0017】なお、上記実施形態においては、本発明を自動車用ヒータホースの固定の場合に適用しているが、これに限らず燃料ホース等、他のホースの固定に対しても同様に適用することが可能である。その他、上記実施形態に示したのは一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、ホースの中間部分の外周面に樹脂製の伸縮可能な網状筒体が装着されているため、ホースをクリップ側に装着するとき、クリップが網状筒体と接触してその表面をスムーズに移動できる。その結果、2つの爪の間隔が狭く、ホース径とアンマッチであったり、爪が容易に開放できない形状、構造のクリップに対しても、ホースはスムーズに装着される。また、ホースの装着がスムーズに行われることによりホースの無用な変形を生じることがなく、ホースの信頼性が損なわれることもない。
【0019】さらに、ホースの外周面にオイル等を塗布する必要がないので、作業者の手を汚すことがなく、ホース組付け作業が清潔にかつ信頼性良く行われ、さらにホースへのマーキングが良好に行われる。なお、網状筒体の網目は粗いので、網状筒体を通してホースに付されたマークを認識することができる。また、ホース外径を縮小化する必要がないので、ホース端部におけるクリップの緊迫力が低下することはない。さらに、ホースを扁平化する必要もないので、特別のマンドルを用意する必要がなく、特別仕様とすることによるホースのコストアップを避けることができ、またホース内が負圧になってもホースがつぶれることもない。
【0020】また、少なくとも中間部分にてその外周面に樹脂製の伸縮可能な網状筒体が装着されたホースを用意することにより、網状筒体が装着された外周面部分を容易にC形状のクリップに装着でき、このクリップによってホースを相手部材に容易に固定することができる。
【出願人】 【識別番号】000219602
【氏名又は名称】東海ゴム工業株式会社
【出願日】 平成11年7月23日(1999.7.23)
【代理人】 【識別番号】100097353
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 功二
【公開番号】 特開2001−32964(P2001−32964A)
【公開日】 平成13年2月6日(2001.2.6)
【出願番号】 特願平11−208770