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【発明の名称】 可撓伸縮継手
【発明者】 【氏名】鈴木 侑尚

【要約】 【課題】集中歪みの発生をなくし、成型時間の短縮化が図れ、生産性を向上させることのできる可撓伸縮継手を提供する。

【解決手段】円筒状の本体と、その両端に設けられたフランジとからなる可撓伸縮継手において、円筒状の本体が、繊維コードで補強されたゴムからなり、かつ、その内面が直線状となされ、中央部に補強リングが埋設されている可撓伸縮継手。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 円筒状の本体と、その両端に設けられたフランジとからなる可撓伸縮継手において、前記円筒状の本体が、繊維コードで補強されたゴムからなり、かつ、その内面が直線状となされ、中央部に補強リングが埋設されていることを特徴とする可撓伸縮継手。
【請求項2】 前記円筒状の本体を構成する繊維コードの両端が、フランジ面に折り返されていることを特徴とする請求項1に記載の可撓伸縮継手。
【請求項3】 前記円筒状の本体が、両フランジの内側を補強する繊維層を有し、かつ、両繊維層と補強リングとの間がそれぞれ凹部となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の可撓伸縮継手。
【請求項4】 前記円筒状の本体が、両フランジの内側を補強する繊維層を有し、かつ、両繊維層と補強リングとの間にそれぞれゴムが埋設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の可撓伸縮継手。
【請求項5】 前記フランジの各ボルト孔にネジが切られているか、または、各ボルト孔の内側にナットが溶接されていることを特徴とする請求項1ないし4に記載の可撓伸縮継手。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種の配管系統に生じる相対変位を許容するための可撓伸縮継手に関し、特に、耐久性および生産性に優れた可撓伸縮継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、温度差によって生じるパイプの伸縮、地盤沈下や自然災害による配管系統のずれから配管系統を保護し、また、配管工事におけるパイプの芯合わせの調節、振動吸収のため、可撓伸縮継手が使用されている。この種の可撓伸縮継手としては、図4に示すように、円筒状の本体22と、その両端に設けられたフランジ23,23とからなるものが知られている。すなわち、円筒状の本体22が繊維コード24で補強された内面ゴム25および外面ゴム26からなり、中央部がアーチ部28となされているとともに、アーチ部28の両側には補強リング27,27が埋設されているものである。
【0003】そして、このような従来の可撓伸縮継手にあっては、配管系統にずれ等が発生すると、アーチ部28が上下左右に変形し、偏心、伸び、縮みを吸収するのである。また、可撓伸縮継手の内部は、通常、流体が通過するものであるが、負圧が発生した際にアーチ部28の両側の繊維補強ゴム部が潰れ変形しないように、補強リング27,27が必要となっている。
【0004】しかしながら、変位の吸収がアーチ部28のみとなるので、R部にゴム歪みが集中し易く、耐久性に問題のあるものであった。また、耐圧性能について、アーチ部28とアーチ部以外の円筒状の本体22とで個々に設計する必要があり、しかも、アーチ部28の影響により作り難く、成型時間に多大な工数を要し、生産性に問題のあるものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような従来の可撓伸縮継手を改良したものであって、集中歪みの発生をなくし、成型時間の短縮化が図れ、生産性を向上させることのできる可撓伸縮継手を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は以上の課題を解決するためになされたものであって、その要旨は、円筒状の本体とその両端に設けられたフランジとからなる可撓伸縮継手において、円筒状の本体が、繊維コードで補強されたゴムからなり、かつ、その内面が直線状となされ、中央部に補強リングが埋設されているものである。また、好ましくは円筒状の本体を構成する繊維コードの両端がフランジ面に折り返されており、円筒状の本体が両フランジの内側を補強する繊維層を有し、かつ、両繊維層と補強リングとの間がそれぞれ凹部となっているものであるか、または、円筒状の本体が両フランジの内側を補強する繊維層を有し、かつ、両繊維層と補強リングとの間にそれぞれゴムが埋設されている可撓伸縮継手に係るものである。そして、より好ましくは、フランジの各ボルト孔にネジが切られているか、または、各ボルト孔の内側にナットが溶接されている可撓伸縮継手に係るものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の可撓伸縮継手は、その内面が直線状となされている。そのため、配管系統のずれ等に対し、フランジ面間の全体で偏心、伸び、縮みを吸収する。すなわち、従来のようにアーチ部のみで偏心等を吸収する可撓伸縮継手に対して、伸び縮みに対する限界変位量は多少小さくならざるを得ないが、偏心に対する限界変位量は逆に大きくなる。なお、この事実は本発明の可撓伸縮継手が従来のものと比較して性能的に劣る部分があることを意味するものではない。なぜなら、温度差によるパイプの伸び縮みよりも、地盤沈下等による配管系統のずれや配管工事の際のパイプの芯合わせ調節量の方が大きい場合が多いので、本発明の可撓伸縮継手は十分な伸び縮みの吸収性能を確保しつつ、偏心吸収性能を向上させたものと把握すべきだからであり、しかも、アーチ部に起因する集中歪み、生産性の問題を克服したものだからである。
【0008】また、本発明の可撓伸縮継手は中央部に補強リングが埋設されたものである。すなわち、可撓伸縮継手に特有の負圧が発生した際に、円筒状の本体が潰れ変形しないように補強リングを埋設する必要があるが、従来のようにアーチ部の両側でななく、中央部の1箇所のみとなっている。したがって、経済性、生産性が向上するだけでなく、フランジ面間における繊維補強ゴムの占める割合が相対的に高くなり、この点でも偏心吸収性能の向上に寄与している。
【0009】ここで、円筒状の本体を構成する繊維コードの両端は、フランジ面に折り返してもよい。折り返しによりフランジと繊維コードとの固定力が高まり、可撓伸縮継手とパイプとのシール性も向上するからである。ただし、本発明において繊維コードの折り返しは必須ではなく、折り返しがない場合は成型時間の短縮が図れ生産性が向上することになる。
【0010】本発明において、円筒状の本体は、両フランジの内側を補強する繊維層と補強リングとの間をそれぞれ凹部としても、それぞれにゴムを埋設してもよい。据付時に可撓伸縮継手の面間を縮めるケースにおいては、この凹部の肉厚が薄いほど縮み荷重値が小さくなるので取付作業性もより向上する。またゴムを埋設する場合は縮み荷重を小さくするためできるかぎり硬度の低いゴム(HS40度前後)が好ましい。
【0011】なお、可撓伸縮継手の設置工事に際しては、既設の配管系統に挿入してパイプ間を接続する場合がある。そのため、可撓伸縮継手の挿入時にフランジ面間を縮めておく必要が生ずる。そこで、フランジの各ボルト孔にネジを切っておくか、または、各ボルト孔の内側にナットを溶接することが好ましい。このようにしておけば、フランジ間にターンバックルに類するものを取り付けて、簡単にフランジ面間を調整できるからである。
【0012】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施の形態を図面により説明する。図1は、本発明の可撓伸縮継手1を示す一部断面図である。ここで、可撓伸縮継手1は円筒状の本体2とその両端に設けられたフランジ3,3とからなる。円筒状の本体2は繊維コード4で補強された内面ゴム5からなり、その内面が直線状となされるとともに中央部に補強リング7が埋設されている。また、繊維コード4の上であってフランジの内側には繊維層8が、補強リング7の周囲には埋めゴム9が設けられており、さらにその上は、補強帆布10および外面ゴム6によって被覆されている。なお、図1では、便宜上、フランジ面間を実際より長く描いている。
【0013】図2は、本発明の可撓伸縮継手1の第1実施例を示す断面図である。第1実施例においては、繊維コード4の両端がフランジ3,3面に折り返されている。また、フランジ3,3の内側を補強する繊維層8,8を有するとともに、繊維層8,8と補強リング7との間にそれぞれ軟質ゴムからなる埋めゴム9,9が埋設されている。
【0014】第1実施例における可撓伸縮継手1の偏心許容変位量は、フランジ面間の10%であり、伸び縮みの許容変位量は、フランジ面間の7%である。したがって、例えば口径1200mm、フランジ面間300mmであれば、偏心は30mmまで許容でき、伸び縮みはそれぞれ21mmまで許容できる。一方、同じ口径およびフランジ面間である従来の可撓伸縮継手では、偏心24mm、伸び25mm、縮み35mmであることから、第1実施例における可撓伸縮継手1は従来品に比べ、伸縮量の許容値は小さくなるが、偏心量は大きくとれることになる。なお、フランジ面間を伸ばすことによって、各変位量の許容値を大きくすることができる。
【0015】また、第1実施例においては、内圧に対して主に補強コード4により耐圧を受け持つが、補強リング7も寄与している。したがって、図4に示す従来の可撓伸縮継手が、特にアーチ部28において補強コード24のみで耐圧を受け持つことに比べ有利となり、同じ耐圧性能であれば、補強コード4のプライ数を半減できるのである。なお、外圧に対しては、補強リング7および両端のフランジ3,3が受け持つ。
【0016】さらに、第1実施例の可撓伸縮継手1を使用し、伸縮量21mmで1万回の繰り返し伸縮疲労テストを実施したところ、異常は全く見られなかったことから、十分な耐久性を有することが確認できた。また、上記した口径1200mm、フランジ面間300mmの例では、同じ口径およびフランジ面間である従来の可撓伸縮継手に比べ、生産性が約30%向上した。なお、内面が直線状であることから、圧力損失もほとんどない。
【0017】図3は、本発明の可撓伸縮継手1の第2実施例を示す断面図である。第2実施例においては、繊維コード4の両端がフランジ3,3面に折り返されておらず、また、フランジ3,3の内側を補強する繊維層8,8と補強リング7との間がそれぞれ凹部となっている。ここで、補強リング7の下部には埋めゴム9が埋設されるが、可撓性に影響しない部分であるので、第1実施例の場合と異なり軟質ゴムとする必要はない。さらに、第2実施例においては、後述するフランジ面間の調整のために、フランジ3,3の各ボルト孔の内側にナット11,11が溶接されている。このような第2実施例のおいても、第1実施例と全く同様の作用効果を奏するものである。
【0018】次に、第2実施例の可撓伸縮継手により、図示しない既設のパイプの間に挿入して双方を接続する方法について説明する。まず、溶接ナット11,11のそれぞれに面間調整ボルト12,12をねじ込んでおく。次に、面間調整ボルト12,12同士をナット13,13を介して調整金具14で連結する。したがって、ナット13,13を締め付ければ、フランジ面間は簡単に縮み、パイプの間に挿入できるのである。そして、挿入後にナット13,13を緩めるとともにフランジ3,3の各ボルト孔と埋設管のそれとをボルト・ナットで締め付ければ、可撓伸縮継手とパイプとの連結が完了することになる。なお、調整金具14と面間調整ボルト12,12との間には隙間15,15が存在する。この隙間15,15は、必ずしも面間調整ボルト12,12同士が直線状とならないため、偏心分を吸収するために設けられたものである。
【0019】
【発明の効果】本発明は、円筒状の本体とその両端に設けられたフランジとからなる可撓伸縮継手において、円筒状の本体が、繊維コードで補強されたゴムからなり、かつ、その内面が直線状となされ、中央部に補強リングが埋設されているので、配管系統のずれ等を面間全体で吸収でき、そのため集中歪みの発生をなくすことができる。また、従来の可撓伸縮継手のようにアーチが存在しないので、成型時間の短縮化が図れ、生産性が向上するのみならず、圧力損失もほとんどなくすことができる。さらに、フランジの各ボルト孔にネジを切るか、または、各ボルト孔の内側にナットを溶接すれば、簡単にフランジ面間を調整できる。
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【出願日】 平成11年7月5日(1999.7.5)
【代理人】 【識別番号】100086896
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 悦郎
【公開番号】 特開2001−21079(P2001−21079A)
【公開日】 平成13年1月26日(2001.1.26)
【出願番号】 特願平11−189863