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【発明の名称】 合成樹脂配管部材の接合構造
【発明者】 【氏名】石田 敬一

【氏名】和田 健一

【要約】 【課題】合成樹脂配管部材の端部の差口側として無加工の外面が平行なものをそのまま使用することができ、受口への差口の接合作業を容易に行うことができ、且つ差口の先端側の一定長にわたって強い接着力を確保することができる合成樹脂配管部材の接合構造を提供する。

【解決手段】受口11内に差口12′が接合された合成樹脂配管部材の接合構造であって、接合前の前記受口11内の開口側は、接合前の前記差口12の外径Dよりも0〜0.5%大きな内径d1を一定長にわたって有するように形成されており、接合前の前記受口11内の奥側は、接合前の前記差口12′の外径よりも0.2〜2.0%小さな内径d2を有するように形成されている合成樹脂配管部材の接合構造である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 受口内に差口が接合された合成樹脂配管部材の接合構造であって、接合前の前記受口内の開口側は、接合前の前記差口の外径よりも0〜0.5%大きな内径を一定長にわたって有するように形成されており、接合前の前記受口内の奥側は、接合前の前記差口の外径よりも0.2〜2.0%小さな内径を有するように形成されていることを特徴とする合成樹脂配管部材の接合構造。
【請求項2】 前記受口内の奥側には、2箇所以上の凸部が設けられており、接合前の該奥側の凸部を含む部分の内径が接合前の前記差口の外径よりも0.2〜2.0%小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂配管部材の接合構造。
【請求項3】 前記受口の内面と前記差口の外面との間が接着剤により接着されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の合成樹脂配管部材の接合構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバーケーブルや電力ケーブル等のケーブルが内部に挿通される配管として使用される、ケーブル鞘管などの配管における、受口内に差口が接合された合成樹脂配管部材の接合構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、合成樹脂管を継手を介して接着剤を用いて接合する方法としては、図8に示すように、開口端の内径は接続すべき合成樹脂管pの平行な外面を有する差口の外径よりも大きく、最奥部の内径が差口の外径よりもやや小さい内径を有するように奥部に向かうにつれて次第に小径となるようなテーパー面を内面に有する受口が設けられた継手(TS継手)tを用いて、その受口内に接着剤を介して差口を挿入し、圧接状態にて接着剤が固化するまで保持して接合する方法が一般に行われている。
【0003】しかしながら、この方法の場合には、接着剤が接着力を発揮するまで、動かないように圧接状態を長時間保持する必要があるので、時間がかかる上に施工しにくく、又、事実上は差口の先端の一部の受口内に圧接状態となした一部の部分だけが強固に接合されているにすぎないので、接合強度が弱いという問題点がある。
【0004】この点に鑑み、例えば、特開平9─159071号公報に記載のように、一端部の外周にテーパと凹溝とを有する差口を形成し、他端部の内周にテーパと凸条とを有する受口を形成した合成樹脂管を用いて、隣接する受口内に接着剤を介して差口を挿入し、差口の凹溝が受口の凸条に嵌合するようにして、接着剤の初期の接着力を得るまでの挿入力保持のための抑え時間を不要にしたものが提案されている。
【0005】しかし、この合成樹脂管を用いる場合には、管の一端部の差口側も加工する必要があるので、加工が複雑となり、製造コストも高くなるおそれがあるという問題点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のような従来の問題点を解消し、合成樹脂配管部材の端部の差口側として無加工の外面が平行なものをそのまま使用することができ、受口内への差口の接合作業を容易に行うことができ、且つ差口の先端側の一定長にわたって強い接着力を確保することができる合成樹脂配管部材の接合構造を提供することを目的としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1に記載の発明(本発明1)は、受口内に差口が接合された合成樹脂配管部材の接合構造であって、接合前の前記受口内の開口側は、接合前の前記差口の外径よりも0〜0.5%大きな内径を一定長にわたって有するように形成されており、接合前の前記受口内の奥側は、接合前の前記差口の外径よりも0.2〜2.0%小さな内径を有するように形成されている合成樹脂配管部材の接合構造である。
【0008】本願の請求項2に記載の発明(本発明2)は、前記受口内の奥側には、2箇所以上の凸部が設けられており、接合前の該奥側の凸部を含む部分の内径が接合前の前記差口の外径よりも0.2〜2.0%小さくなるように形成されている本発明1に記載の合成樹脂配管部材の接合構造である。
【0009】本願の請求項3に記載の発明(本発明3)は、前記受口の内面と前記差口の外面との間が接着剤により接着されている本発明1又は本発明2に記載の合成樹脂配管部材の接合構造である。
【0010】本発明において、合成樹脂配管部材としては、合成樹脂管、合成樹脂管継手が挙げられる。本発明においては、接合前の受口内の開口側は接合前の差口の外径よりも0〜0.5%大きな内径を一定長にわたって有するように形成されている必要がある。接合前の受口内の開口側の内径が接合前の差口の外径の0.5%よりも大きいと、受口の開口側の内面と差口の外面との間隙が大きくなり、その間隙内に接着剤が充填された状態となるので、接着剤層相内での破壊が起き易くて十分な接着強度を確保することがむずかしくなる。一定長の長さは、長い程接合強度が大きくなるが挿入力も増加するので、要求される接合強度や挿入力に応じて定めるとよい。
【0011】又、接合前の受口内の奥側は接合前の差口の外径よりも0.2〜2.0%小さな平均内径を有するように形成されている必要がある。接合前の受口内の奥側の内径が接合前の差口の外径の0.2%より小さいと、差口の先端側を受口の奥側に挿入したときの圧接力が弱くなるので、十分な接合強度を確保することが難しくなり、逆に2.0%より大きいと、差口の先端側を受口の奥側に挿入するときの摩擦力が大きくなるので挿入しにくくなる。
【0012】本発明2において、2箇所以上設けられる凸部は連続していてもよいし分離していてもよい。
【0013】
【作用】本発明1の合成樹脂配管部材の接合構造は、接合前の前記受口内の開口側は、接合前の前記差口の外径よりも0〜0.5%大きな内径を一定長にわたって有するように形成されており、接合前の前記受口内の奥側は、接合前の前記差口の外径よりも0.2〜2.0%小さな内径を有するように形成されていることにより、差口は無加工状態のものを使用でき受口の加工だけで済むので、加工がし易い上にコストが安価であり、受口内の最奥端まで差口を差し込んだときに、差口の先端側が受口の奥側に圧接状態に保持されて差口が抜け出すことがないので、施工作業が容易であり、又、差口の先端側の一定長にわたって受口内の奥側に圧接されるので十分を接合力を確保することができる。
【0014】本発明2の合成樹脂配管部材の接合構造は、前記受口内の奥側には、2箇所以上の凸部が設けられており、接合前の該奥側の凸部を含む部分の内径が接合前の前記差口の外径よりも0.2〜2.0%小さくなるように形成されていることにより、差口の先端側を受口内の最奥端まで差口を差し込ときに、差口の外面が凸部に線又は点接触するだけであって摩擦力が低減するので、差口をより容易に差し込むことができ、又、接続後は、凸部が差口の外面に食い込むので抜け出し力が低減される。
【0015】本発明3の合成樹脂配管部材の接合構造は、前記受口の内面と前記差口の外面との間に接着剤が介在されていることにより、差口を受口内に挿入するときには潤滑剤の役割を果たすのでより容易に挿入することができ、接着剤の硬化後は両者間がより強固に接着される。本発明2の受口内の奥側に周方向に沿って2箇所以上凸部が設けられている場合においては、差口を受口内の奥側に挿入するときに接着剤がかき落とされにくくなるのて、接着剤を介しての接合力がより向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下は、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1〜図5は、本発明の合成樹脂配管部材の接合構造の一例を説明する説明図である。
【0017】まず、本発明の合成樹脂配管部材の接合構造に使用される合成樹脂配管部材の一例を図1〜図4を参照して説明する。図1に示すように、合成樹脂配管部材1は、一端部に受口11が設けられ、他端部に差口12が設けられている。受口11内には、同様の構造を有する隣接する合成樹脂管1′の差口12′を接合することができるようになっている(図4参照)。
【0018】この合成樹脂配管部材1における、接合前の受口11内の開口側は、接合前の差口12の外径Dよりも0〜0.5%大きな内径d1を一定長Lにわたって有するように形成されており(図2参照)、又、接合前の受口11内の奥側は、接合前の差口12の外径Dよりも0.2〜2.0%小さな平均内径d2を有するように形成されている(図3参照)。
【0019】尚、受口11の開口側の内径d1の部分から奥側の平均内径d2の部分への境界部分は、奥側に向かうにつれて内径d1から平均内径d2に次第に移行するようなテーパー面に形成されていると、差口12を挿入するときの案内面となり挿入し易くなるのでより好ましい。又、受口11の開口縁にも、同様の理由により、ラッパ状に側方に広がる鍔が設けられているのが好ましい。
【0020】以下、上記の合成樹脂配管部材1を用いた本発明の合成樹脂配管部材の接合構造を図4及び図5を参照して説明する。合成樹脂配管部材1の受口11の内面、隣接する合成樹脂配管部材1′の差口12の外面のいずれか一方又は両方に接着剤が塗布された状態にて、受口11内に差口12′が挿入され、差口12′の先端側が受口11内の奥側の、接合前の差口12′の外径Dよりも0.2〜2.0%小さな平均内径d2を有する部分内に圧接状態にて保持され、接着剤が固化されて強い接着力にて接着された部分となる。受口11内の開口側の接合前の差口12′の外径Dよりも0〜0.5%大きな内径d1を一定長にわたって有する部分の内面と差口12′の外面との間隙には固化した接着剤3が充填固化されて、接着力を補う部分となる。
【0021】尚、受口と差口は同一の合成樹脂配管部材に設けられている必要はなく、例えば、合成樹脂管継手の受口内に合成樹脂管の差口が接合された合成樹脂配管部材の接合構造であっても構わない。
【0022】図6は、本発明の合成樹脂配管部材の接合構造に使用される、合成樹脂配管部材の別の例を説明する説明図であり、図7にC−C断面図を示す。この例に使用される一方の合成樹脂配管部材2の受口21内の奥側には、4箇所に凸部211が設けられており、接合前の該奥側の凸部を含む平均内径が接合前の差口22の外径よりも0.2〜2.0%小さくなるように形成されている(図7参照)。それ以外の構造は、図1〜図5を参照して説明した合成樹脂配管部材の接合構造と同じであるので、図中に対応する図番を付してその詳細な説明は省略する。
【0023】(実施例)以下、本発明を実施例により説明する。
実施例1図1〜図3に示す構造の合成樹脂配管部材1であって、JIS K6741(硬質塩化ビニル管)に規定されたVu50の一端部に受口11を設け、他端部の差口(無加工状態)12の外径Dは60.0mmあり、受口11の開口側の内径d1が60.3mm、奥側の平均内径d2が59.4mmであるものを用いた。
【0024】図4及び図5を参照して説明したように、接着剤を介して合成樹脂配管部材1の受口11内に同様の構造を有する合成樹脂配管部材1′の差口12′を挿入し、本発明の合成樹脂配管部材の接合構造を形成した。その結果、接着剤を介して受口内の最奥端まで差口を差し込んだときに、差口の先端側が受口の奥側に圧接状態に保持されて差口が抜け出すことがないので、施工作業が容易であった。差口の先端側の一定長が受口内の奥側に強固に接着されていた。
【0025】実施例2図6に示す構造の合成樹脂配管部材2であって、JIS K6741(硬質塩化ビニル管)に規定されたVu50の一端部に受口21を設け、他端部の差口22の外径Dは60.0mmあり、受口21の開口側の内径d1が60.1mm、奥側の凸部211,211を含めた平均内径d2が59.1mmであるものを用いた。
【0026】図4及び図5を参照して説明したのと同様にして、接着剤を介して合成樹脂配管部材2の受口21内に同様の構造を有する合成樹脂配管部材の差口を挿入して、本発明の合成樹脂配管部材の接合構造を形成した。その結果、接着剤を介して受口内の最奥端まで差口を挿入したときに、差口の先端側が受口の奥側に圧接状態に保持されて差口が抜け出すことがないので、施工作業が容易であった。差口の先端側の一定長が受口内の奥側に強固に接着されていた。
【0027】
【発明の効果】本発明の合成樹脂配管部材の接合構造は、上記のとおりとされているので、合成樹脂配管部材の端部の差口側として無加工の外面が平行なものをそのまま使用することができ、受口への差口の接合作業を容易に行うことができ、且つ差口の先端側の一定長にわたって強い接着力を確保することができる。
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【出願日】 平成11年7月5日(1999.7.5)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−21070(P2001−21070A)
【公開日】 平成13年1月26日(2001.1.26)
【出願番号】 特願平11−190586