| 【発明の名称】 |
ブレーキホース |
| 【発明者】 |
【氏名】石川 隆司
【氏名】佐藤 久
【氏名】斉藤 智則
【氏名】小林 陽二
【氏名】堀越 秀樹
【氏名】海東 辰也
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| 【要約】 |
【課題】要求される耐疲労性と低膨張性を十分満足すると共に、ブレーキ液に対して優れた耐食性を有する新規なブレーキホースの提供。
【解決手段】ブレーキ液が充填される内層ゴム1の外周に第一補強繊維層2、中間ゴム3、第二補強繊維層4、外層ゴム5を順次設けてなるブレーキホースにおいて、上記第一補強繊維層2を耐食性及び耐疲労性に優れたポリエチレンテレフタレート繊維から形成し、さらにその第二補強繊維層4を耐食性及び耐膨張性に優れたポリエチレン−2,6−ナフタレート繊維から構成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ブレーキ液が充填される内層ゴムの外周に第一補強繊維層、中間ゴム、第二補強繊維層、外層ゴムを順次設けてなるブレーキホースにおいて、上記第一補強繊維層がポリエチレンテレフタレート繊維からなり、さらにその第二補強繊維層がポリエチレン−2,6−ナフタレート繊維からなることを特徴とするブレーキホース。 【請求項2】 上記内層ゴム,中間ゴム,外層ゴムを構成するゴム材料として、天然ゴム(NR),クロロプレンゴム(CR),スチレンブタジエンゴム(SBR),エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM),イソブチレンゴム(IIR),クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)のうちいずれかを用いたことを特徴とする請求項1に記載のブレーキホース。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等のブレーキシステムの一部を構成するブレーキホースに関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、乗用車,バス,トラック,電車等のブレーキシステムの一部を構成するブレーキホースは、シャーシとホイールキャリパーを結ぶ液圧伝達ホースとして用いられており、自動車等の制動に係る重要保安部品の一つとなっている。 【0003】このようなブレーキホースは、一般にハンドルの繰り返し操作による屈曲,転舵や車輪の揺動等といった過酷な機械的ストレスを受けるため、優れた耐疲労性が要求されると共に、ブレーキシステムの鋭敏な動作を確保するため、耐膨張性にも優れていることが要求される。 【0004】そして、このような特性が要求される従来のブレーキホースとしては、ブレーキ液が直接触れる内層ゴムの外周に第一補強繊維層、中間ゴム、第二補強繊維層、外層ゴムを順次設けた構造としたものが一般的に多く用いられている。 【0005】ここで、内層ゴム,中間ゴム,外層ゴムを構成するゴム材料としては、一般に天然ゴム(NR),クロロプレンゴム(CR),スチレンブタジエンゴム(SBR),エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM),イソブチレンゴム(IIR)等が用いられ、これらゴム材料は各部位の要求特性に応じて用いられている。 【0006】一方、第一及び第二補強繊維層としては、ブレーキホースに要求される耐疲労性と耐膨張性を確保すべくポリビニルアルコール繊維やレーヨン等の補強繊維材料を編組したものから構成されているのが一般的である。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】ところで、この第一及び第二補強繊維層を構成する補強繊維材料として用いられているポリビニルアルコール繊維やレーヨンは、ある種のブレーキ液成分に対しては劣化し易いといった問題があるため、最近では、この第一及び第二補強繊維層を構成する補強繊維材料として優れた耐食性と耐疲労性を有するポリエチレンテレフタレート繊維を採用することが検討されている。 【0008】しかしながら、このポリエチレンテレフタレート繊維は、従来から用いられているポリビニルアルコール繊維やレーヨンと比較して耐疲労性は格段に優れているが、繊維の弾性率が小さいため、ブレーキホースの重要特性の一つである耐膨張性の面では不利である。すなわち、この第一及び第二補強繊維層としてポリエチレンテレフタレート繊維を用いた場合、ポリビニルアルコール繊維やレーヨン等を用いた従来のブレーキホースに比べ、耐疲労性については格段に向上するが、その反面、加圧時にホースの膨張量が大きくなってしまうため、制動時のブレーキフィーリングが鈍くなり、いわゆる「ブレーキの利きが悪い」という状態になってしまう。 【0009】そのため、このポリエチレンテレフタレート繊維をブレーキホースの耐疲労性に対して寄与の大きい第一補強繊維層のみに用い、第二補強繊維層には比較的弾性率の大きな繊維、例えば、ポリビニルアルコール繊維を使用して耐膨張性を図ることも考えられるが、上述したように、このポリビニルアルコール繊維はある種のブレーキ液成分により劣化し易いといった欠点があるため、耐食性の点に鑑みれば、その使用を避けることが好ましい。 【0010】そこで、本発明はこのような課題を有効に解決するために案出されたものであり、その目的は、要求される耐疲労性と低膨張性を十分満足すると共に、ブレーキ液に対して優れた耐食性を有する新規なブレーキホースを提供するものである。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明は、ブレーキ液が充填される内層ゴムの外周に第一補強繊維層、中間ゴム、第二補強繊維層、外層ゴムを順次設けてなるブレーキホースにおいて、上記第一補強繊維層がポリエチレンテレフタレート繊維からなり、さらにその第二補強繊維層がポリエチレン−2,6−ナフタレート繊維からなるものである。 【0012】すなわち、第一補強繊維層にポリエチレンテレフタレート繊維を採用することによって耐疲労性が確保されると同時に第二補強繊維層にポリエチレン−2,6−ナフタレート繊維を採用することによってポリエチレンテレフタレート繊維の欠点である耐膨張性を確保することができる。 【0013】そして、このような構成をした本発明のブレーキホースにあっては、従来用いられていたポリビニルアルコール繊維を使用しないため、ブレーキ液に対して優れた耐食性も発揮することができる。 【0014】 【発明の実施の形態】次に、本発明を実施する好適一形態を添付図面を参照しながら説明する。 【0015】図1は本発明に係るブレーキホースの実施の一形態を示したものである。 【0016】図示するように、このブレーキホースは、ブレーキ液を流すための内層ゴム1の外周に第一補強繊維層2が編組されると共に、この第一補強繊維層2の外周に中間ゴム3を介して第二補強繊維層4が編組され、さらにこの第二補強繊維層4の外周に外層ゴム5が被覆された構造となっている。 【0017】そして、本発明のブレーキホースにあっては、この第一補強繊維層2を構成する補強繊維材料として、ポリエチレンテレフタレート繊維を用いると共に、第二補強繊維層4を構成する補強繊維材料としてポリエチレン−2.6−ナフタレート繊維を用いるようにしたものである。 【0018】これによって、優れた耐疲労性と低膨張性を両立することが可能となり、ブレーキホースとしての信頼性が大幅に向上する。 【0019】すなわち、第二補強繊維層4を構成するポリエチレン−2.6−ナフタレートは、ナフタレン環を持つためにポリエチレンテレフタレートに比べ分子が剛直であり、繊維としても高モジュラス、低収縮性といった特性を有している。また、結晶部と非晶部の密度差が小さいため、優れた耐熱性も有していることも知られている。 【0020】そのため、このような特性を有するポリエチレン−2.6−ナフタレート繊維を第二補強繊維層4を構成する強化繊維材料として用いることで、従来のように第一及び第二補強繊維層のいずれにもポリエチレンテレフタレート繊維を用いたブレーキホースのように優れた耐疲労性を保持しつつ、その欠点であった加圧時のホース膨張量を大幅に低減させることが可能となる。 【0021】また、この特性は、第一補強繊維層2にポリエチレンテレフタレート繊維、第二補強繊維層4にポリビニルアルコール繊維を用いた場合でも発揮することが可能であるが、上述したようにポリビニルアルコール繊維はある種のブレーキ液による耐食性に乏しいため、その劣化が懸念されるのに対し、本発明で使用するポリエチレン−2.6−ナフタレートは、ポリエチレンテレフタレートと同様、ブレーキ液による劣化がほとんどなく優れた耐久性を発揮することができる。 【0022】尚、この第一及び第二の補強繊維層2,4の糸量及び打ち込み条件は、特に限定されるものでなく、各特性から求められる最適条件を適用すればよい。 【0023】一方、内層ゴム1,中間ゴム3,外層ゴム5を構成するゴム材料としては、特に限定されるものでなく、天然ゴム(NR),クロロプレンゴム(CR),スチレンブタジエンゴム(SBR),エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM),イソブチレンゴム(IIR),クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)等の従来と同様なゴム材料であり、各部位の要求特性に応じて最適なものが用いられる。 【0024】 【実施例】(実施例)図1に示す第一補強繊維層2として1500デニールのポリエチレンテレフタレート繊維を2本合糸×24打の条件で編組したものを用いると共に、第二補強繊維層4として1500デニールのポリエチレン−2.6−ナフタレート繊維を3本合糸×24打の条件で編組したものを用い、さらに、内層ゴム1と外層ゴム5をエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)で形成すると共に中間ゴム3をイソブチレンゴム(IIR)で形成したブレーキホースを作成した後、その耐疲労性と体積膨張量とブレーキ液による劣化を測定し、その結果を以下の表1に示す。 【0025】尚、ここで耐疲労性の測定方法としては、100℃において、ブレーキホースに0〜100kgf/cm2 のインパルスを与えながら、繰り返し屈曲試験を行い、ブレーキホースが破裂した時の屈曲回数を測定した。一方、体積膨張量の評価方法としては、JIS−D2061に基づき105kgf/cm2 加圧時の自由長305mmのブレーキホースの内容積変化量を測定した。 【0026】(比較例1)第二補強繊維層4として、1500デニールのポリエチレンテレフタレート繊維を3本合糸×24打の条件で編組したものを用いた他は、実施例と同様な構成をしたブレーキホースを作成し、その耐疲労性と体積膨張量とブレーキ液による劣化を実施例と同様な方法によって測定した。 【0027】(比較例2)第二補強繊維層4として、1200デニールのポリビニルアルコール繊維を3本合糸×24打の条件で編組したものを用いた他は、実施例と同様な構成をしたブレーキホースを作成し、その耐疲労性と体積膨張量とブレーキ液による劣化を実施例と同様な方法によって測定した。 【0028】(比較例3)第一補強繊維層2として、1200デニールのポリビニルアルコール繊維を2本合糸×24打の条件で編組したものを用いると共に、第二補強繊維層2として、1200デニールのポリビニルアルコール繊維を3本合糸×24打の条件で編組したものを用いた他は、実施例と同様な構成をしたブレーキホースを作成し、その耐疲労性と体積膨張量とブレーキ液による劣化を実施例と同様な方法によって測定した。 【0029】 【表1】
【0030】この結果、表1からも分かるように、本発明に係る実施例のブレーキホースは、220万回を超える優れた耐疲労性を発揮すると共に体積膨張量も低く、耐疲労性と低膨張性をバランス良く兼ね備えていることが分かる。また、このポリエチレンテレフタレート繊維及びポリエチレン−2.6−ナフタレート繊維はいずれもブレーキ液に対して優れた耐食性を備えているため、ブレーキ液に対する劣化といったおそれがないことは明らかである。 【0031】これに対し、第二補強繊維層4としてポリエチレンテレフタレートを用いた比較例1のブレーキホースの場合では、耐疲労性に関しては実施例のブレーキホース以上の数値を発揮したが、体積膨張量に関しては実施例のブレーキホースに比較して大きく劣ってしまった。また、第一,第二補強繊維層2,4としていずれもポリビニルアルコール繊維を用いた比較例3のブレーキホースの場合では、体積膨張量に関しては実施例のブレーキホースと同等の数値を発揮したが、耐疲労性に関しては実施例のブレーキホースに比較して大きく劣ってしまった。さらに、第二補強繊維層4としてポリビニルアルコール繊維を用いた比較例2のブレーキホースの場合では、耐疲労性,体積膨張量のいずれも実施例と同様な数値を発揮したが、上述したようにブレーキ液の影響を受けやすいポリビニルアルコールを使用しているために、仮に、ブレーキ液が第二補強繊維層4にまで達した場合に、ブレーキ液による劣化といった懸念を払拭することができない。 【0032】 【発明の効果】以上要するに本発明によれば、ハンドルの繰り返し操作による屈曲,転舵や車輪の揺動等の過酷な機械的ストレスに対して優れた耐疲労性を発揮することができると共に、加圧時の体積膨張率も小さくなるため、鋭敏に液圧を伝達することが可能となり、優れた応答性を発揮することができる。また、ブレーキ液に対する耐食性も向上するため、ブレーキ液による劣化のおそれもなくなり、優れた信頼性と長寿命を獲得することができる等といった優れた効果を発揮できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005120 【氏名又は名称】日立電線株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年7月9日(1999.7.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100068021 【弁理士】 【氏名又は名称】絹谷 信雄
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| 【公開番号】 |
特開2001−21068(P2001−21068A) |
| 【公開日】 |
平成13年1月26日(2001.1.26) |
| 【出願番号】 |
特願平11−195660 |
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