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【発明の名称】 鞘管内への管体挿入方法
【発明者】 【氏名】箱田 利秀

【氏名】中原 修

【氏名】阿部 晴雄

【氏名】柿田 靖夫

【要約】 【課題】管体を鞘管内に挿入する際に小さな力で挿入できる車輪を用いた管体挿入方式において、付帯工事を伴わず、鞘管の径を大きくすることなく、極めて簡単な手段で先行して敷設されている鞘管内に管体を挿入することにより、工事費用を下げ工期短縮を図ることができる管体挿入方法を提供する。

【解決手段】先行して敷設された鞘管1内に管体2を挿入配管するに際して、挿入する管体2の外周面に適宜間隔毎に取り付けた走行車輪3a,3bを、管体外周の斜め下方の左右対称位置に2輪を一対として設け、それぞれの車輪3a,3bの回転面が管体2の挿入方向に対して外向きになるように傾けて固定し、移動時に管体2が回転しないようにする
【特許請求の範囲】
【請求項1】 先行して敷設された鞘管内に管体を挿入配管する工法において、挿入する管体の長手方向の外周面に適宜間隔毎に取り付けた走行車輪を、管体外周の斜め下方の左右対称位置に2輪を一対として設け、それぞれの車輪の回転面が管体の挿入方向に対して外向きになるように傾けて固定し、移動時に管体が回転しないようにして挿入することを特徴とする鞘管内への管体挿入方法。
【請求項2】 請求項1において、車輪の回転軸を鞘管の中心から半径方向に延長される線と直交するようにして車輪と鞘管の内壁が直角に接するようにし、且つ、それぞれの車輪の回転面が管体の挿入方向に対して外向きになるように傾けて固定し、移動時に管体が回転しないようにして挿入することを特長とする鞘管内への管体挿入方法
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鞘管内に管体を挿入する方法に関する。ここで鞘管とは、地中にガス導管等の管体を設置する際の防食被覆の損傷防止や設置後の管体保護のため管体の外側に設ける外管の他、既設管更新工法やパイプインパイプ工法における老朽化した既設管を含む。
【0002】
【従来の技術】鞘管内に管体を挿入する従来の方法には、管体にスペーサーを取り付けそのまま引き込みまたは押し込んで挿入するものと、挿入時の摩擦抵抗をなくして小さな挿入力で容易に挿入可能とするため、管体外周に車輪を取り付けて挿入するものがある。
【0003】前者は図6に示すように、管体円周方向に複数に分割した樹脂製の部材からなるスペーサー21をボルト22により管体23外周の長手方向の適宜間隔毎に固定して挿入するものである。
【0004】後者の車輪を用いたものは2通りの挿入方法がある。その一つは管体の回転を許して鞘管内に挿入するものである。鞘管内に管体を挿入する場合、鞘管内の走行面が円形曲面のため管体は回転しながら移動し易い。このため、車輪を用いたもので2輪で管体を支持した場合、管体が回転して車輪が上方にくると転倒してしまう。
【0005】このため、この方法では図7に示すように、鞘管24に挿入する管体23が回転しながら移動しても必ず何れかの車輪が複数で管体を支持するように、3個以上の車輪25を管体23の外周にボルト26を用いてゴム板27を介してリング状取付け具28により固定している。
【0006】なお、図7における30は、鞘管24と管体23の間の空間をグラウトするためのモルタルを注入するためのモルタル注入管であり、また、31は通信用ケーブルである。これらのケーブル類は、管体23の挿入に先立ち鞘管24内の上部にケーブル類取付治具29を用いて取り付けられる。
【0007】車輪を用いた他の方法は図8のように、鞘管24の底部にコンクリート32を打設して水平走行路32を設け、管体23外周の下部にボルト33を用いてリング状取付け具34によりゴム板35を介して平行に取付けた2個一対の車輪36が、この水平走行路32を走行するようにしたものである。なお、管体23の挿入はウィンチにて引き込むかまたは、ジャッキで押し込む手段が用いられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記の従来技術におけるスペーサーを用いた方法では、管体の挿入時にスペーサーと鞘管内面との摩擦が大きいため1区間の配管延長が短くなり、短区間毎に立坑を設けて挿入作業を行う必要がある。また、配管延長を長くする場合や管体重量が大きい場合は、大きな挿入力を必要とするため大規模な引き込みまたは押し込み装置が必要となる。
【0009】また、車輪を使用したもので図7に示すように挿入時に管体の回転を許し、管体が回転しても何れかの車輪が複数で管体を支持するようにしたものは、円周方向に3輪以上の車輪を設ける必要があり車輪の製造費が高くなるとともに、管体の全周(上下左右)について車輪高さのスペースを要し、鞘管径を管体径より大幅に大きくする必要があるため鞘管の敷設工事費の増加を招く。
【0010】なお、本管敷設後のグラウト用のモルタル注入管や、通信用のケーブルを鞘管内に設置する場合、図6や図7に示す方法では本管を挿入する際に管体が回転してしまうため、モルタル注入管や通信ケーブルを本管と共に挿入していくことは不可能である。よって、本管挿入に先立ちモルタル注入管や通信ケーブルを鞘管内上部に取り付けておく作業が必要となるため、工事費の増加と工期延長を招いてしまう。
【0011】また、図8に示すように2個一対の車輪を用いたものは、管体挿入に先立ち鞘管内側の下部にコンクリートを打設して水平な走行路を設ける必要があり、このためのスペースが必要となるため、鞘管径を管体径より大幅に大きくしなければならない。このため、鞘管の敷設工事費の増加とコンクリート養生のため工期の延長を招いてしまう。
【0012】本発明は、管体を鞘管内に挿入する際に小さな力で挿入できる車輪を用いた管体挿入方式において、付帯工事を伴わず、鞘管の径を大きくすることがなく、極めて簡単な手段で先行して敷設されている鞘管内に管体を挿入することにより、工事費用を下げ、工期短縮を図ることができる管体挿入方法を提供することを目的としたものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の鞘管内への管体挿入挿入方法の要旨は、以下の通りである。図1を参照して説明すると、先行して敷設された鞘管1内に管体2を挿入配管する工法において、挿入する管体2の外周面に適宜間隔毎に取り付けた走行車輪3a,3bを、管体外周の斜め下方の左右対称位置に2輪を一対として設け、それぞれの車輪3a,3bの回転面が管体2の挿入方向に対して外向きになるように傾けて固定し、移動時に管体2が回転しないようにして挿入することを特徴とする鞘管内への管体挿入方法である。
【0014】なお、車輪3a,3bの回転軸を鞘管1の中心から半径方向に延長される線と直行するようにして、車輪3a,3bと鞘管1の内壁が直角に接するようにした方がよい。
【0015】
【作用】本発明の鞘管内への管体挿入において、2輪一対の車輪を管体外周の斜め下方向に設け、それぞれの車輪の向きを回転面が管体の挿入方向に対して外向きに開き角度を有するように固定しているため、鞘管内に管体を挿入する際管体が回転せず安定して挿入作業を行うことを可能としている。
【0016】従来の車輪は管体の挿入方向に対して平行にしているため、鞘管内に管体を挿入する際管体が周方向に回転した場合、管体を支える車輪の位置が横方向にずれて管体の重心位置が車輪間から外れると管体が転倒してしまうことになる。
【0017】しかし、本発明では前記の構成としているのでこのような問題がない。すなわち、車輪の向きを回転面が管体の挿入方向に対して外向きに開き角度を有するようにしているため、管体の移動時にはそれぞれの車輪が左右方向に管体を回転しようとしながら挿入方向に移動する。
【0018】この際、車輪位置が鞘管内面の正規の位置(管体外周の斜め下方の左右対称位置の対向位置)にある場合は、それぞれの車輪の回転力がバランスしているため管体は回転せずに移動する。もし、図3に示すように管体が時計回り(方向A)に回転した場合、車輪3bは鞘管の真下側に移動し車輪3aは鞘管の左側に移動するため、車輪3bにかかる荷重が車輪3aにかかる荷重よりも大きくなる。ここで、車輪3bと車輪3aの回転力のバランスがくずれて荷重の大きい方の車輪3bの回転方向に回転する。すなわち、車輪3bは車輪の向きが外向き(反時計回りに回転させる方向)となっているため管体は反時計回りに回転し、車輪3a、車輪3bは回転力がバランスする鞘管内面の正規の位置に復帰する。
【0019】この作用は管体が逆方向(方向B)に回転した場合も同様に働き、管体を鞘管内に挿入時に車輪位置が何れかにずれたら(管体が回転したら)常にこれを戻そうとする回転力を生じ、管体をほとんど回転せずに挿入することができる。なお、実際には、僅かに管体が回転したら両車輪にかかる荷重に差が生じ管体の回転と反対方向に復帰力が働くため、管体は周方向に僅かに回転を繰り返しながら鞘管へ挿入することになる。
【0020】以上の如く鞘管内面を円形曲面のままで(水平走行路を設けることなく)管体の長手方向の適宜間隔毎に固定した車輪2個一対で安定して管体を挿入することが可能となる。
【0021】また、車輪の回転軸を鞘管の中心から半径方向に延長される線と直交するようにすると、車輪と鞘管の内壁はほぼ直角に接することになる。このことにより、車輪にかかるスラスト方向の荷重は最小限になり、その結果、車輪の回転抵抗は減り車輪の性能を十分に生かすことが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。図1は本発明に係る鞘管内へ挿入する管体への車輪の取り付け状況を示すもので、管体挿入方向(到達立坑)から見た縦断正面図である。図2は管体挿入用車輪の下面図である。各図において、シールド工法や推進工法等で先行して敷設された鞘管1内に挿入されるガス導管等の管体2の外周には、長手方向の適宜間隔毎に図1に示すような、2輪一対の車輪3a,3bを管体2の外周斜め下方の左右対称位置にリング状取付け具4によって当該管体2に固定している。
【0023】リング状取付け具4は周方向に2分割されたものを、管体外面に施されている防食塗膜を保護するゴム板5を介してボルト6により、管体2に締付け装着している。
【0024】また、本方法によれば管体2を回転させずに鞘管1内に挿入できるため、モルタル注入管や通信ケーブル等を鞘管内に設置する場合には、リング状取付具4の上部にケーブル類取付け具9を固定し、モルタル注入管7や通信ケーブル8をケーブル類取付け具9に取り付けることにより、管体2の挿入と共にモルタル注入管7や通信ケーブル8を設置することができる。
【0025】図1に示すように、2輪を一対としたそれぞれの車輪3a,3bは回転軸を鞘管1の中心から延長される線と直交するようにすると、鞘管1の内面と車輪3a,3bは垂直に接するため車輪の走行を円滑にできる。なお、リング状取付け具4には図4に示すように、市販のスペーサ10を用いてもよい。
【0026】本発明のポイントは、この車輪3a,3bの回転面が管体2の挿入方向(進行方向)に対して外向きになるように開き角度θ傾けて固定していることである。この開き角度θは、あまり大きくすると管体2の走行抵抗を増大させるため、できるだけ小さくした方がよいが、小さすぎると本発明の作用効果が発揮されない。適切な開き角度θは1度〜5度の範囲とし、好ましくは3度前後にしたほうがよい。
【0027】図5は、本発明に係る2輪一対の車輪11を、複数の管体12a,12bを接合してなる管体12の長手方向の適宜間隔毎に、装着固定している作業状況を示す図である。鞘管13内に管体12を挿入する作業は、所定工区の両側に発進立坑、到達立坑を設けて行う。管体12は、6m〜9m長の単管を発進立坑で溶接等により接合して長尺化される。また、予め坑外で単管を長尺化する場合もある。
【0028】本発明に係る車輪11は単管を接合する際、管体12の長手方向の適宜間隔毎に管体外周の斜め下方の左右対称位置に位置決めして装着固定する。単管を発進立坑で接合して挿入する場合、車輪の装着固定は以下の手段を用いるとより正確に行うことができる。
【0029】前後の管体12a,12bを接合する前に、管体外周上の同一の周位置に先端部マーキング14、後端部マーキング15a,15b、車輪取付部マーキング16を記入しておく。また、各車輪11を所定の開き角で取付けたリング状取付け具17には予め、管体12a,12bの真下から左右対称位置に振り分けられて車輪11が配置されるようにした位置関係で、前記車輪取付部マーキング16と同一の周位置に車輪マーキング18を記しておく。
【0030】そして、単管を挿入する際、先行する挿入済み管体12aの後端マーキング15aと、後続して新たに挿入する管体12bの先端マーキング14の位置を合わせて両管体を接合する。各車輪11は、単管の状態で管体12a,12bの車輪取付部マーキング16に車輪を取付けたリング状取付具17の車輪マーキング18を合わせて取付けておくか、または接合後に同様にして装着固定する。
【0031】この作業を繰り返し行うことにより、管体12a,12bに装着固定される各車輪11は、管体の長手方向の同一線状に正確に位置決めされて固定される。
【0032】その結果、管体12a,12bが周方向へ回転した際、一対の車輪11それぞれに対する荷重配分が同じとなり、管体12,12bの回転に対する復帰力がすべて車輪11に働くため、ほとんど管体を回転させることなく、安定して管体12a,12bを挿入していくことが可能となる。
【0033】以上の如くして管体12a,12bに車輪11を装着固定し、ウインチ等の牽引装置で引込むかまたは推進ジャッキ等による押込み装置を用いて鞘管内に管体を挿入する。こうして、管体12a,12bは挿入時に回転することなく安定して挿入できる。
【0034】
【発明の効果】以上述べたように本発明の鞘管への管体挿入方法によれば、先行して敷設された鞘管内に管体を挿入配管する工法において、挿入する管体の長手方向の外周面に適宜間隔毎に取り付けた走行車輪を、管体外周の斜め下方の左右対称位置に2輪を一対として設け、それぞれの車輪の回転面が管体の挿入方向に対して外向きになるように傾けて固定し、移動時に管体が回転しないようにして管体を安定走行させて挿入できるため、極めて簡単な手段で、鞘管の内面を円形曲面のままで、2輪を一対の車輪を用いて安定して挿入作業を行うことができる。
【0035】このため、従来のような3輪以上の車輪を用いたものに対して車輪数を減らすことが可能である。また、本管と共にモルタル注入管や通信ケーブル等を挿入していくことが可能となり、鞘管底部に水平な走行面を設ける必要もない。さらに、鞘管内のスペースを狭めることができ経済的、且つ工期短縮を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
【出願日】 平成11年7月7日(1999.7.7)
【代理人】 【識別番号】100107250
【弁理士】
【氏名又は名称】林 信之
【公開番号】 特開2001−21063(P2001−21063A)
【公開日】 平成13年1月26日(2001.1.26)
【出願番号】 特願平11−192951