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【発明の名称】 流量制御弁
【発明者】 【氏名】鎌倉 正則

【氏名】益川 智成

【要約】 【課題】弁体をサーボモータで回動させる流量制御弁において、弁体の回動位置が所定のセット位置からずれることなく、モータケースを弁ハウジングに組み付け固定可能にする。

【解決手段】ねじ手段6が挿入される挿入穴53bを長穴形状にして、モータケース50、53と弁ハウジング40とを、所定の回動範囲θの任意の位置で、ねじ手段6によって組み付け固定可能に構成する。これによると、従来のようにモータケースを弁ハウジングに対して回動させてビス挿入穴とビス螺合部の位置を合わせる必要がないので、モータケースと弁ハウジングの組付け固定時に、弁体の回動位置が所定のセット位置からずれるのを防止することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 流体の入口(41)および出口(42)を有する弁ハウジング(40)内に弁体(43)を回動自在に配置し、前記弁体(43)を駆動するサーボモータ(51、52)をモータケース(50、53)内に配置し、前記弁体(43)の操作軸(43b)と前記サーボモータ(51、52)の出力軸(51a)とを連結して、前記モータケース(50、53)を前記弁ハウジング(40)にねじ手段(6)によって組み付け固定し、前記弁体(43)の回動により前記入口(41)と前記出口(42)との間の通路開口面積を制御する流量制御弁において、前記モータケース(50、53)と前記弁ハウジング(40)とを、所定の回動範囲(θ)の任意の位置で、前記ねじ手段(6)によって組み付け固定可能に構成したことを特徴とする流量制御弁。
【請求項2】 前記ねじ手段(6)が挿入される長穴形状の挿入穴(53b)を前記モータケース(50、53)に形成し、前記ねじ手段(6)を前記弁ハウジング(40)に螺合することを特徴とする請求項1に記載の流量制御弁。
【請求項3】 前記操作軸(43b)に穴部(43c)を設けると共に、この穴部(43c)に挿入する突起部(51b)を前記出力軸(51a)に設け、前記穴部(43c)に前記突起部(51b)を圧入して前記操作軸(43b)と前記出力軸(51a)とを連結したことを特徴とする請求項1または2に記載の流量制御弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は流体流量を制御する回動可能な弁体を持つロータリ式の流量制御弁に関するもので、例えば、車両用空調装置における温水流量の制御弁に用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の回動可能な弁体を持つロータリ式の流量制御弁として、弁体の操作軸とサーボモータの出力軸とを連結し、サーボモータにて弁体を所定の回動位置に駆動するようにしたものが知られている。
【0003】そして、弁体が配置された弁ハウジングとサーボモータが配置されたモータケースとの組付けは、次のようにして行われる。すなわち、弁体を弁ハウジング内で全閉位置にセットし、一方、サーボモータの出力軸をモータケース内で全閉位置にセットする。次に、サーボモータの出力軸に形成した断面D字状の突起部を、弁体の操作軸に形成した断面D字状の穴部に挿入(隙間ばめ)する。次いで、モータケースのビス挿入穴にビスを挿入し、弁ハウジングのビス螺合部にビスを螺合して、モータケースを弁ハウジングに組み付け固定するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の流量制御弁では、弁体およびサーボモータの出力軸をともに全閉位置にセットした状態でサーボモータの出力軸の突起部を弁体の操作軸の穴部に挿入した際、サーボモータの停止位置精度や構成部品の公差等によって、ビス挿入穴とビス螺合部の位置がずれてしまい、ビスによる固定ができないことがあった。このような場合には、モータケースを弁ハウジングに対して回動させてビス挿入穴とビス螺合部の位置を合わせ、ビスによる固定を行うようにしている。そして、上記のようにモータケースを弁ハウジングに対して回動させると、それに伴って弁体が回動してしまい、弁体の位置が全閉位置からずれてしまうという問題があった。
【0005】また、サーボモータの出力軸の突起部を弁体の操作軸の穴部に隙間ばめしているため、出力軸と操作軸間に回動方向のがたが発生し、従って弁体の作動時にヒステリシスが発生するという問題があった。
【0006】本発明は上記点に鑑みてなされたもので、弁体をサーボモータで回動させるロータリ式の流量制御弁において、弁体の回動位置が所定のセット位置からずれることなく、モータケースを弁ハウジングに組み付け固定可能にすることを目的とする。
【0007】また、出力軸と操作軸間の回動方向のがたに基づく弁体作動時のヒステリシスをなくすことを他の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、流体の入口(41)および出口(42)を有する弁ハウジング(40)内に弁体(43)を回動自在に配置し、弁体(43)を駆動するサーボモータ(51、52)をモータケース(50、53)内に配置し、弁体(43)の操作軸(43b)とサーボモータ(51、52)の出力軸(51a)とを連結して、モータケース(50、53)を弁ハウジング(40)にねじ手段(6)によって組み付け固定し、弁体(43)の回動により入口(41)と出口(42)との間の通路開口面積を制御する流量制御弁において、モータケース(50、53)と弁ハウジング(40)とを、所定の回動範囲(θ)の任意の位置で、ねじ手段(6)によって組み付け固定可能に構成したことを特徴とする。
【0009】これによると、モータケースを弁ハウジングに組み付け固定する際に、それらの位置関係がサーボモータの停止位置精度の影響等により基準位置からずれていても、所定の回動範囲内のずれであればモータケースと弁ハウジングをねじ手段により固定することができる。従って、従来のようにモータケースを弁ハウジングに対して回動させてビス挿入穴とビス螺合部の位置を合わせる必要がないので、モータケースと弁ハウジングの組付け固定時に、弁体の回動位置が所定のセット位置からずれるのを防止することができる。
【0010】なお、請求項2に記載の発明のように、ねじ手段(6)が挿入される長穴形状の挿入穴(53b)をモータケース(50、53)に形成し、ねじ手段(6)を弁ハウジング(40)に螺合することにより、モータケースと弁ハウジングとを所定の回動範囲の任意の位置でねじ手段によって組み付け固定することができる。
【0011】請求項3に記載の発明では、操作軸(43b)に穴部(43c)を設けると共に、この穴部(43c)に挿入する突起部(51b)を出力軸(51a)に設け、穴部(43c)に突起部(51b)を圧入して操作軸(43b)と出力軸(51a)とを連結したことを特徴とする。
【0012】これによると、出力軸と操作軸間の回動方向のがたに基づく弁体作動時のヒステリシスをなくすことができる。
【0013】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。図1〜図4は本発明の一実施形態を示すもので、車両用空調装置において、自動車走行用の水冷式エンジン1から暖房用熱交換器2へ供給される温水流量を制御するための流量制御弁に適用した例を示している。エンジン冷却水(温水)はウォータポンプ3により循環させるようになっており、暖房用熱交換器2はその温水と送風空気とを熱交換して送風空気を加熱するものである。
【0015】流量制御弁Vはエンジン冷却水回路(温水回路)中に設置されており、弁体の回動によりその回路の通路面積を制御する流量制御部4と、弁体を駆動する駆動部5とから構成され、流量制御部4と駆動部5はビス6(ねじ手段)にて一体化されている。
【0016】流量制御部4の樹脂製の弁ハウジング40には、エンジン1からの温水が流入する第1温水入口41、および第1温水入口41からの温水を暖房用熱交換器2に向けて流出させる第1温水出口42が一体に成形され、この温水入口41と温水出口42との間には、温水入口41と温水出口42間の通路開口面積を制御する樹脂製の弁体43が回動可能に収納されている。この弁体43は、略円柱状に成形され、弁体43の内部には温水が通過する流量制御穴43aが開けられている。この流量制御穴43aは、第1温水入口41、第1温水出口42、および後述するバイパス通路(図示せず)と連通可能になっている。そして、弁体43の回動位置によって、第1温水入口41と流量制御穴43aとの連通面積(開口面積)が変化するようになっている。また、弁体43には弁ハウジング40の外部に突出する操作軸43bが一体に設けられ、この操作軸43bの端部には、断面D字状の穴部43cが形成されている。
【0017】さらに、流量制御部4の弁ハウジング40内には、弁体44とばね45とを有する均圧弁が配置されている。この均圧弁は、バイパス通路の前後差圧が所定値を超えるとバイパス通路を開くもので、エンジン1の回転数変動によりウォータポンプ3の吐出圧が変動しても、暖房用熱交換器2の前後圧を一定に近づける役割を果たすものである。
【0018】弁ハウジング40において、均圧弁が配置された側には、第2温水入口46および第2温水出口47が一体に成形されている。そして、暖房用熱交換器2の出口からの温水が第2温水入口46に流入し、暖房用熱交換器2からの温水および均圧弁が開弁してバイパス通路からリリーフされた温水が、第2温水出口47からウォータポンプ3に戻される。
【0019】また、弁ハウジング40において、操作軸43bが突出している側には、駆動部5側に向かって延びる2つのボス48が一体に成形されている。そして、ボス48には、ビス6が螺合される螺合部48aが設けられている。
【0020】一方、駆動部5の樹脂製のモータハウジング50内には、出力ギア51が回動可能に配置され、このギア51にはモータハウジング50の外部に突出する出力軸51aが一体に設けられている。この出力軸51aの端部には、操作軸43bの穴部43cに圧入可能な寸法に設定された、断面D字状の突起部51bが形成されている。そして、操作軸43bの穴部43cに出力軸51aの突起部51bを圧入することにより、弁体43とギア51とを連結している。
【0021】また、駆動部5のモータハウジング50内には、中間ギア(図示せず)を介して出力ギア51を駆動する直流モータ52と、電気抵抗の変化を利用して出力軸51aの回動位置を検出する公知のポテンショメータ(図示せず)とが配置されている。なお、出力ギア51と直流モータ52が、サーボモータを構成している。
【0022】モータハウジング50には、板金製のブラケット53がビス54にて一体化され、駆動部5はこのブラケット53を介して流量制御部4に組み付け固定される。具体的には、ブラケット53には、弁ハウジング40のボス48と対向する位置に2つのフランジ部53aが形成され、このフランジ部53aには、出力軸51aを中心とする円弧の長穴形状の挿入穴53bが形成されている。そして、ビス6を挿入穴53bに挿入した後ボス48の螺合部48aにビス6を螺合して、流量制御部4に駆動部5を組み付け固定する。なお、モータハウジング50とブラケット53が、モータケースを構成している。
【0023】また、駆動部5のモータ52は図示しない制御回路によって制御され、その制御回路には、ポテンショメータで検出した出力ギア51の回動位置信号、車室内温度信号、乗員が設定した設定温度信号等が常時入力される。
【0024】次に、上記構成において作動を説明する。駆動部5のモータ52により出力ギア51を回動させると、出力ギア51とともに流量制御部4の弁体43が一体になって回動し、温水入口41と温水出口42間の通路開口面積が制御される。弁体43の全開位置では、エンジン1からの温水が流量制御弁Vを通過して、暖房用熱交換器2に最大流量で流入し、最大暖房能力を発揮する。弁体43を全閉方向に回動すると、温水入口41と温水出口42間の通路開口面積が次第に減少して、暖房用熱交換器2への温水流量が制御され、暖房能力を制御できる。また、弁体43の全閉位置では、暖房用熱交換器2への温水の流入が停止される。
【0025】そして、出力ギア51の回動位置信号等が入力されている制御回路は、車室内温度が変化したり設定温度が変更された時には、モータ52により出力ギア51を目標位置まで回動させる。この出力ギア51の回動により弁体43を目標の回動位置に自動制御し、所定の暖房能力に制御する。
【0026】次に、流量制御部4と駆動部5の組付けについて説明する。
【0027】まず、弁体43を弁ハウジング40内で全閉位置にセットした状態で、流量制御部4全体の組付けを行う。一方、駆動部5は、駆動部5の全体組付け後、ポテンショメータの出力が全閉時設定電圧になる位置まで出力軸51aを回動させて、出力軸51aを全閉位置にセットする。次に、出力軸51aの突起部51bを操作軸43bの穴部43cに圧入し、ビス6を挿入穴53bに挿入した後ボス48の螺合部48aにビス6を螺合して、流量制御部4に駆動部5を組み付け固定する。
【0028】ところで、突起部51bおよび穴部43cは断面D字状であるため、出力軸51aと操作軸43bとの連結により、流量制御部4と駆動部5の、出力軸51a回動方向の位置関係が決定される。そして、サーボモータの停止位置精度は通常±5°〜8°であり、従来はその影響により挿入穴53bと螺合部48aの位置がずれてしまい、ビス6による固定ができないことがあった。そして、ビス6による固定を行うために駆動部5を流量制御部4に対して回動させると、それに伴って弁体43が回動して弁体43の位置が全閉位置からずれてしまい、弁体43の回動位置を正確に制御できなかった。
【0029】これに対し、本実施形態は、挿入穴53bを長穴形状にしているため、調整角度θ(図2参照)の範囲内の任意の位置でビス6による固定が可能である。すなわち、サーボモータの停止位置精度の影響により挿入穴53bと螺合部48aの位置関係が基準位置からずれても、調整角度θの範囲内のずれであれば、出力軸51aと操作軸43bとの連結により決定される流量制御部4と駆動部5の位置関係のまま、流量制御部4と駆動部5をビス6により固定することができる。
【0030】従って、流量制御部4と駆動部5の組付け固定時に、弁体43の回動位置が全閉位置からずれるのを防止することができ、弁体43の回動位置を正確に制御して車室内温度の制御精度を向上することができる。
【0031】また、本実施形態では、出力軸51aの突起部51bを操作軸43bの穴部43cに圧入することにより、出力軸51aと操作軸43b間のがたをなくしているため、そのがたに基づく弁体43作動時のヒステリシスをなくすことができ、弁体43の回動位置を正確に制御して車室内温度の制御精度を向上することができる。
【0032】なお、上記実施形態では、本発明を車両用空調装置の温水流量制御弁に適用した例について説明したが、温水流量の制御に限定されることなく、種々な用途において本発明は広く適用可能である。
【0033】また、上記実施形態では、ブラケット5にフランジ部53aおよび長穴形状の挿入穴53bを設けたが、フランジ部53aおよび挿入穴53bをモータハウジング50に一体に設けることにより、ブラケット5を省略することができる。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【識別番号】592077431
【氏名又は名称】株式会社東海理機製作所
【出願日】 平成12年1月14日(2000.1.14)
【代理人】 【識別番号】100100022
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 洋二 (外2名)
【公開番号】 特開2001−200947(P2001−200947A)
【公開日】 平成13年7月27日(2001.7.27)
【出願番号】 特願2000−10150(P2000−10150)