| 【発明の名称】 |
部品の結合構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】福田 守也
|
| 【要約】 |
【課題】線膨張係数の異なる2つの部品が熱膨張したとしても、その部品内に組み込んだスプール等の移動体のスムーズな動きを維持することができる部品の結合構造を提供すること。
【解決手段】スプール5や軸などの移動体を支持する支持部品4と、この支持部品4の外側に設けるとともに、上記支持部品4と線膨張係数の異なる固定部品3とを結合する部品の結合構造において、上記支持部品4と固定部品3との結合部分に、逃げ隙間7を形成する一方、これら両部品3,4の結合面には、互いに対向する凹部8,9を形成し、これら凹部8,9に弾性体10を組み込んで、上記逃げ隙間7を保持する構成にしたこと特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 スプールや軸などの移動体を支持する支持部品と、この支持部品の外側に設けるとともに、上記支持部品と線膨張係数の異なる固定部品とを結合する部品の結合構造において、上記支持部品と固定部品との結合部分に、逃げ隙間を形成する一方、これら両部品の結合面には、互いに対向する凹部を形成し、これら凹部に弾性体を組み込んで、上記逃げ隙間を保持する構成にしたこと特徴とする部品の結合構造。 【請求項2】 支持部品の凹部および固定部品の凹部を、環状に形成するとともに、これら環状の凹部間に、環状の弾性体を組み込む構成にしたことを特徴とする請求項1記載の部品の結合構造。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、線膨張係数の異なる2つの部品を結合する部品の結合構造に関する。 【0002】 【従来の技術】図3に示すソレノイドバルブは、ソレノイドSとバルブボディ1とからなり、バルブボディ1に形成した組み付け孔2に、ソレノイドSの接続部3を挿入している。また、バルブボディ1の組み付け孔2には、アルミ製のスリーブ4を組み込むとともに、このスリーブ4内にアルミ製のスプール5を摺動自在に組み込んでいる。そして、上記スリーブ4の外周に形成した雄ネジを、上記接続部3の内周に形成した雌ネジにネジ止めしている。 【0003】さらに、上記ソレノイドSの取付プレート6を、図示していないボルトによってバルブボディ1の側面に固定している。このようにしてバルブボディ1に固定したソレノイドSは、そのプッシュロッドRによって、上記スプール5を切り換えるようにしている。 【0004】上記のようにしたソレノイドバルブは、組み付け時の作業性を考慮して、ソレノイドS側に、予めスリーブ4とスプール5とを固定している。すなわち、スプール5を組み込んだスリーブ4を、ソレノイドSの接続部3にネジ止めし、スリーブ4およびスプール5をソレノイドSと一体化させている。このようにソレノイドSにスリーブ4およびスプール5を一体化させておけば、ソレノイドSをバルブボディ1に取り付けるときに、一度にスリーブ4およびスプール5も組み付けることができるので、ソレノイドバルブの組み付け作業性を良くすることができる。 【0005】一方、上記スリーブ4およびスプール5をアルミ製にしているのは、鉄などに比べてアルミの方が柔らかくて加工しやすいため、加工コストを安くできるというメリットがあるからである。これに対して上記ソレノイドSの接続部3は、鉄製にしている。このように接続部3を鉄製にするのは、ソレノイドSの磁気効率を良くするためである。すなわち、接続部3をアルミ等にすると、磁気効率が悪くなるので、十分な推力が得られなくなるおそれがある。しかし、上記のように接続部3を鉄製にすれば、そのような問題がない。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】上記従来例では、ソレノイドSの接続部3とスリーブ4との材質が違うため、次のような問題があった。すなわち、ソレノイドSを励磁すると、それによって熱が発生するが、この熱によって接続部3やスリーブ4が加熱されると、これら接続部3とスリーブ4とが熱膨張する。このとき、アルミと鉄とではその線膨張係数が違うため、線膨張係数の大きいアルミ製のスリーブ4の方が、鉄製の接続部3よりも膨張率が大きくなる。 【0007】ところが、スリーブ4は、上記したように接続部3の内周にネジ止めされているため、このスリーブ4の外周方向の熱膨張が、接続部3によって抑えられる。したがって、外周方向の膨張が抑えられる分、スリーブ4が内周方向に膨張することになり、このように内周方向に熱膨張すると、その内部に組み込んだスプール5が強く締め付けられる。このようにスプール4によってスプール5が強く締め付けられると、スプール5の移動がスムーズにいかなくなるという問題があった。 【0008】つまり、線膨張係数の異なる2つの部品を結合すると、熱膨張率の差によって、一方の部品が偏った方向に膨張することがある。このように偏った方向に部品が熱膨張すると、その部品内に組み込んだスプール等の移動体の動きが悪くなるという問題があった。この発明の目的は、線膨張係数の異なる2つの部品が熱膨張したとしても、その部品内に組み込んだスプール等の移動体のスムーズな動きを維持することができる部品の結合構造を提供することである。 【0009】 【課題を解決するための手段】第1の発明は、スプールや軸などの移動体を支持する支持部品と、この支持部品の外側に設けるとともに、上記支持部品と線膨張係数の異なる固定部品とを結合する部品の結合構造において、上記支持部品と固定部品との結合部分に、逃げ隙間を形成する一方、これら両部品の結合面には、互いに対向する凹部を形成し、これら凹部に弾性体を組み込んで、上記逃げ隙間を保持する構成にしたこと特徴とする。 【0010】第2の発明は、上記第1の発明において、支持部品の凹部および固定部品の凹部を、環状に形成するとともに、これら環状の凹部間に、環状の弾性体を組み込む構成にしたことを特徴とする。 【0011】 【発明の実施の形態】図1、2にこの発明の実施例を示すが、図2は、図1のIIの範囲の拡大図である。この実施例では、この発明の固定部品に相当するソレノイドSの接続部3と、この発明の支持部品に相当するスリーブ4との間に、逃げ隙間7を形成するとともに、この逃げ隙間7を構成する両部品3,4の結合面に、互いに対向する環状凹部8,9を形成している。そして、上記環状凹部8,9の間に、環状の弾性体10をはめ込んで、上記逃げ隙間7を保持するようにしている。また、バルブボディ1の組み付け孔2とソレノイドSの接続部3との間にも、隙間11を形成している。なお、その他の構成に付いては、前記従来例と同じなので、同じ構成要素については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。 【0012】この実施例においても、ソレノイドSに、予めスリーブ4とスプール5とを固定するようにしている。すなわち、環状凹部9に弾性体10をはめ込んだ状態のスリーブ4を、接続部3内に押し込む。このようにスリーブ4を押し込むと、弾性体10は一旦押しつぶされるが、接続部3の環状凹部8に達すると、その弾性によって膨らむ。そして、この弾性体10によって、スリーブ4が接続部3から抜けるのを規制されて、ソレノイドSとスリーブ4とが結合される。また、上記弾性体10の弾性力によって、逃げ隙間7の間隔が保たれている。 【0013】上記実施例によれば、接続部3やスリーブ4が熱膨張したときに、逃げ隙間7によって、その熱膨張を吸収することができる。したがって、スリーブ4が熱膨張したときに、このスリーブ4の外周方向の熱膨張を許容することができ、それが内周方向に偏って膨張したりしない。このようにスリーブ4の内周方向の偏った熱膨張を防止できるので、スリーブ4によってスプール5が強く締め付けられたりせず、このスプール5のスムーズな動きを維持することができる。 【0014】また、図2に示したように、バルブボディ1の組み付け孔2と接続部3との間にも隙間11を形成したので、この隙間11によって接続部3の外周方向の熱膨張を許容することができる。そのため、バルブボディ1によって接続部3の外周方向の熱膨張が規制されたりせず、それが内周方向に偏って膨張することもない。したがって、接続部3が、内周方向に膨張する量を少なく抑えることができ、その分、逃げ隙間7の間隔を小さく設定できる。 【0015】このように逃げ隙間7の間隔を小さくすれば、ソレノイドSにスリーブ4を固定したときに、弾性体10によって十分な結合力を得ることができる。すなわち、逃げ隙間7の間隔が大きくなると、弾性体10の厚みも厚くしなければならないが、弾性体10を厚くすると、その分結合力が弱まる。しかし、上記のように逃げ隙間7の間隔を小さくすれば、弾性体10の厚みも薄くできるので、結合力も十分維持することができる。また、このように弾性体10の厚みを薄くすれば、その分コストダウンもできる。 【0016】さらに、この実施例によれば、ソレノイドSとスリーブ4との軸線が多少ずれていても、環状の弾性体10によって、そのずれを吸収することができるので、スリーブ4を加工するときの精度をそれほど高く維持しなくてもすむ。また、スプール5の軸線とソレノイドSの軸線とがずれていると、スプール5の動きが悪くなったり、スプール5の移動によってスリーブ4が変形するといった問題が生じるが、上記のように軸線のずれを弾性体10によって吸収できるので、そのような問題も生じない。 【0017】なお、この実施例では、接続部3やスリーブ4に、環状凹部8,9を形成しているが、これら凹部8,9は、必ずしも環状でなくてもよい。すなわち、接続部3とスリーブ4との結合面の対向する位置に、部分的に凹部をいくつか形成し、これら凹部に例えば球状の弾性体を組み込むようにしてもいい。このように部分的に弾性体を設けることによっても、接続部3とスリーブ4との間の逃げ隙間7を保持することができるので、上記実施例と同様の効果を得ることができる。 【0018】また、上記実施例では、ソレノイドバルブについて説明したが、この発明の部品の結合方法は、ソレノイドバルブに限らない。例えば、電動モータの回転軸を支持する部分などに用いることができる。つまり、この発明は、熱膨張率の差によって、一方の部品が偏った方向に熱膨張したときに、この部品内に組み込んだスプール等の移動体の動きが悪くなるおそれがある場合に適用できる。 【0019】 【発明の効果】第1の発明によれば、支持部品と固定部品とを、弾性体によって結合するとともに、この弾性体によって両部品間の逃げ隙間を保持する構成にしたので、支持部品と固定部品との膨張率の相違を、この逃げ隙間によって吸収することができる。したがって、線膨張係数の異なる支持部品と固定部品とが熱膨張したとしても、支持部品に組み込んだ移動体のスムーズな移動を維持することができる。 【0020】第2の発明によれば、支持部品と固定部品とを環状の弾性体によって結合したので、支持部品の軸と固定部品の軸とが多少ずれたとしても、この軸のずれを環状の弾性体によって吸収することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000000929 【氏名又は名称】カヤバ工業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成12年1月14日(2000.1.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100076163 【弁理士】 【氏名又は名称】嶋 宣之
|
| 【公開番号】 |
特開2001−200945(P2001−200945A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月27日(2001.7.27) |
| 【出願番号】 |
特願2000−5188(P2000−5188) |
|