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【発明の名称】 1つの操作軸による2軸回転装置
【発明者】 【氏名】北村 雅明

【要約】 【課題】操作順序を考慮せず、単に、1つの操作軸の回転方向を特定するだけで、自動的に適正な操作順序に基づいて2軸を回転させる。

【解決手段】1つの操作入力軸50を弁開方向に回転させ、同時に出力回転部材32を弁開方向に回転させ、この回転で出力リンク33を第1の軌道40に沿って移動させながら伝達リンク36を移動させ、この伝達リンク36の移動によって副軸14を回転させて副弁体3を弁開したのちに、主軸4および主弁体2を弁開する。また、操作入力軸50を弁閉方向に回転させ、この回転で出力リンク33を第1の軌道40に沿って前記移動の反対方向に移動させながら伝達リンク36を前記移動の反対方向に移動させ、この伝達リンク36の反対方向への移動によって、主弁体2を先に弁閉したのちに副弁体3を弁閉する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 主軸と、この主軸の軸線に沿って該主軸に挿通された副軸との2軸を、1つの操作軸の回転によって前記主軸の軸線まわりに正逆方向のそれぞれに特定した順序で回転させる2軸回転装置であって、1つの操作入力軸と、この操作入力軸の回転を出力として取出す出力回転部材と、この出力回転部材に基端部が相対回転可能に連結され、かつ自由端部に出力伝達部材が連結された出力リンクと、前記出力伝達部材が係合し、かつ前記出力回転部材の第1方向の回転および第2方向の回転に追従する出力伝達部材の半径方向と円周方向の進退移動を案内する第1の軌道が設けられた案内部材と、前記出力伝達部材と前記副軸の偏心位置とに連結されるとともに、前記出力回転部材の第1方向の回転および第2方向の回転に追従し、かつ前記第1の軌道に沿う前記出力伝達部材の半径方向の進退移動を前記副軸に伝達して、該副軸を前記第1方向または前記第2方向に回転させる伝達リンクと、前記主軸の偏心位置に半径方向にのびて設けられ前記出力伝達部材が係合するとともに、該出力伝達部材の半径方向の進退移動を許容する第2の軌道とを備え、前記第1の軌道が前記1つの操作入力軸の第1方向の回転により前記出力伝達部材を半径方向の一方に移動させて、前記伝達リンクを介して前記副軸を「閉」位置から「開」位置に回転させてから、前記出力伝達部材を円周方向の一方に移動させて、前記伝達リンクを介して前記主軸を「閉」位置から「開」位置に回転させ、かつ前記1つの操作入力軸の第2方向の回転により前記出力伝達部材を円周方向の他方に移動させて、前記伝達リンクを介して前記主軸を「開」位置から「閉」位置に回転させてから、前記出力伝達部材を半径方向の他方に移動させて、前記伝達リンクを介して前記副軸を前記「開」位置から「閉」位置に回転復帰させ得るように形成されていることを特徴とする1つの操作軸による2軸回転装置。
【請求項2】 前記1つの操作入力軸の軸線が前記主軸の軸線上で同心に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の1つの操作軸による2軸回転装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、副弁内蔵形バタフライ弁の開閉装置などに好適な1つの操作軸による2軸回転装置に関する。
【0002】
【従来の技術】副弁内蔵形バタフライ弁は、図14ないし図16に示すように、弁箱1と、この弁箱1に開閉自在に収容された主弁体2と、主弁体2に開閉自在に収容された副弁体3を備えている。主弁体2には上弁棒4と下弁棒5が固着されている。上弁棒4は軸線C方向の貫通孔6を設けた筒状のもので、弁箱1の上側軸支部7によって軸線Cまわりの回転自在、かつ気密に支持されて上側軸支部7の上方に突出している。下弁棒5は弁箱1の下側軸支部8によって軸線Cまわりの回転自在、かつ気密に支持されており、上弁棒4および下弁棒5の軸線Cまわりの正逆方向の回転によって、主弁体2が弁箱1の通路を開閉する。
【0003】副弁体3には上弁棒9と下弁棒10が固着され、上弁棒9は主弁体2に設けた副弁箱11の上側軸支部12によって軸線Cまわりの回転自在、かつ気密に支持されて上側軸支部12の上方に突出している。下弁棒10は副弁箱11の下側軸支部13によって軸線Cまわりの回転自在、かつ気密に支持されている。
【0004】主弁体2の上弁棒4に設けた軸線C方向の貫通孔6には、上端部を上弁棒4の上方に突出させた軸14が軸線Cまわりの回転自在に挿通され、この軸14の下端部と副弁体3の上弁棒9の上端部がカップリング15を介して同時回転可能に互いに連結されている。
【0005】弁箱1における上側軸支部7にはスタンド16を介して2軸回転装置17が載置される。2軸回転装置17は、2つの操作軸18、19により、主弁体2の上弁棒4と副弁体3側の軸14との2軸を回転させるためのもので、前記軸線Cと同心の軸線を有する第1ギヤケース20と、この第1ギヤケース20の一側に取付けられた第2ギヤケース21とを有し、第1ギヤケース20の下端部がスタンド16に固定され、第1ギヤケース20の上端開口部はカバー22によって着脱可能に閉塞されている。
【0006】一方の操作軸18は、主弁体2の上弁棒4を軸線Cまわりの正逆方向に回転させるためのもので、図17および図18に示すように、第2ギヤケース21の一端部に設けた軸支部23によって軸線C1まわりの回転自在、かつ気密に支持されて軸支部23の上方に突出しており、一方の操作軸18の軸線C1まわりの回転は、ベベルピニオン24A、ベベルギヤ24B、ピニオン24C、スパーギヤ24Dなどの歯車列24を介して水平方向のウオーム軸25に伝達され、ウオーム軸25の回転は該ウオーム軸25に設けたウオーム26を介して、軸線Cと同心の軸線を有するウオームホイール27に伝達される。ウオームホイール27は第1ギヤケース20とカバー22によって軸線Cまわりに回転自在に支持されたホイールボス28に固着され、このホイールボス28の中心孔28Aに主弁体2における上弁棒4の上端部を嵌合して、たとえばキー(図示省略)により同時回転可能に結合している。
【0007】他方の操作軸19は、軸14およびカップリング15を介して副弁体3の上弁棒9を軸線Cまわりの正逆方向に回転させるためのもので、図18に示すように、カバー22の中心孔22Aを着脱可能に閉塞しているステムカバー29によって軸線Cまわりの回転自在、かつ気密に支持されてステムカバー29の上方に突出しており、他方の操作軸19に設けた軸線C方向の盲貫孔30に軸14の上端部を嵌合して、たとえばテーパピン(図示省略)により同時回転可能に結合されている。
【0008】前記構成において、主弁体2と副弁体3が全閉されている副弁内蔵形バタフライ弁の弁閉状態から主弁体2と副弁体3とを全開した副弁内蔵形バタフライ弁の弁開状態を得る手順について説明する。
【0009】まず、他方の操作軸19を弁開方向(たとえば、投影平面上で反時計まわり)に回転させる。この回転は軸14とカップリング15を介して副弁体3の上弁棒9に伝達され、該上弁棒9、副弁体3および下弁棒10を同時に弁開方向に回転させて、副弁体3を全開することができる。
【0010】副弁体3の全開によって、弁箱1の上流側と下流側の差圧が小さくなった時点で、一方の操作軸18を弁開方向(たとえば、投影平面上で反時計まわり)に回転させる。この回転はベベルピニオン24A、ベベルギヤ24B、ピニオン24C、スパーギヤ24Dなどの歯車列24→ウオーム軸25→ウオーム26→ウオームホイール27→ホイールボス28の経路で主弁体2の上弁棒4に伝達され、該上弁棒4、主弁体2および下弁棒5を同時に弁開方向に回転させて、主弁体2を全開することができる。
【0011】つぎに、主弁体2と副弁体3が全開されている副弁内蔵形バタフライ弁の弁開状態から主弁体2と副弁体3とを全閉した副弁内蔵形バタフライ弁の弁閉状態を得る手順について説明する。
【0012】まず、一方の操作軸18を弁閉方向(たとえば、投影平面上で時計まわり)に回転させる。この回転はベベルピニオン24A、ベベルギヤ24B、ピニオン24C、スパーギヤ24Dなどの歯車列24→ウオーム軸25→ウオーム26→ウオームホイール27→ホイールボス28の経路で主弁体2の上弁棒4に伝達され、該上弁棒4、主弁体2および下弁棒5を同時に弁閉方向に回転させて、主弁体2を全閉することができる。
【0013】主弁体2の全閉によって、弁箱1の上流側から下流側への流体の通過を大幅に制限したのち、他方の操作軸19を弁閉方向(たとえば、投影平面上で時計まわり)に回転させる。この回転は軸14とカップリング15を介して副弁体3の上弁棒9に伝達され、該上弁棒9、副弁体3および下弁棒10を同時に弁閉方向に回転させて、副弁体3を全閉状態することができる。
【0014】このように、副弁内蔵形バタフライ弁では、主弁体2と副弁体3の弁閉状態から弁開状態への操作順序は、■.他方の操作軸19の回転操作による副弁体3の弁開、■.一方の操作軸18の回転操作による主弁体2の弁開によってなされ、主弁体2と副弁体3の弁開状態から弁閉状態への操作順序は、■.一方の操作軸18の回転操作による主弁体2の弁閉、■.他方の操作軸19の回転操作による副弁体3の弁閉によってなされる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】このため、2つの操作軸を有する従来の2軸回転装置では、主弁体と副弁体の弁開と弁閉に際して、その都度、2つの操作軸を特定した順序で弁開または弁閉方向に回転操作しなければならず、操作が煩わしい欠点を有しているとともに、操作順序を誤ると弁開時および弁閉時の操作力が著しく増大して、スムーズな弁開と弁閉が妨げられる上に、構造が複雑な難点を有している。
【0016】そこで、本発明は、前述のような問題点を解消するためになされたもので、操作順序を考慮することなく、単に、1つの操作軸の回転方向を特定するだけで、自動的に適正な操作順序に基づいて2軸を回転させるようにして操作を容易にし、かつ操作順序の誤りを避けることができるとともに、構造を簡単にした1つの操作軸による2軸回転装置を提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明に係る1つの操作軸による2軸回転装置は、主軸と、この主軸の軸線に沿って該主軸に挿通された副軸との2軸を、1つの操作軸の回転によって前記主軸の軸線まわりに正逆方向のそれぞれに特定した順序で回転させる2軸回転装置であって、1つの操作入力軸と、この操作入力軸の回転を出力として取出す出力回転部材と、この出力回転部材に基端部が相対回転可能に連結され、かつ自由端部に出力伝達部材が連結された出力リンクと、前記出力伝達部材が係合し、かつ前記出力回転部材の第1方向の回転および第2方向の回転に追従する出力伝達部材の半径方向と円周方向の進退移動を案内する第1の軌道が設けられた案内部材と、前記出力伝達部材と前記副軸の偏心位置とに連結されるとともに、前記出力回転部材の第1方向の回転および第2方向の回転に追従し、かつ前記第1の軌道に沿う前記出力伝達部材の半径方向の進退移動を前記副軸に伝達して、該副軸を前記第1方向または前記第2方向に回転させる伝達リンクと、前記主軸の偏心位置に半径方向にのびて設けられ前記出力伝達部材が係合するとともに、該出力伝達部材の半径方向の進退移動を許容する第2の軌道とを備え、前記第1の軌道が前記1つの操作入力軸の第1方向の回転により前記出力伝達部材を半径方向の一方に移動させて、前記伝達リンクを介して前記副軸を「閉」位置から「開」位置に回転させてから、前記出力伝達部材を円周方向の一方に移動させて、前記伝達リンクを介して前記主軸を「閉」位置から「開」位置に回転させ、かつ前記1つの操作入力軸の第2方向の回転により前記出力伝達部材を円周方向の他方に移動させて、前記伝達リンクを介して前記主軸を「開」位置から「閉」位置に回転させてから、前記出力伝達部材を半径方向の他方に移動させて、前記伝達リンクを介して前記副軸を前記「開」位置から「閉」位置に回転復帰させ得るように形成されていることを特徴としている。
【0018】また、前記1つの操作入力軸の軸線を前記主軸の軸線上で同心に設定してもよい。
【0019】請求項1に記載の発明によれば、1つの操作入力軸の第1方向の回転により出力回転部材および出力リンクの基端部が第1方向に回転する。これにより、出力リンクの自由端部に連結された出力伝達部材は、案内部材に設けられた第1の軌道に案内されて半径方向内側に移動する。出力伝達部材が半径方向内側に移動することで、伝達リンクは半径方向内側に移動して副軸を前記第1方向に回転させる。この場合、出力伝達部材は第2の軌道に沿って半径方向内側に移動するので主軸は停止している。
【0020】1つの操作入力軸の第1方向の回転を継続することにより、出力回転部材および出力リンクの基端部の第1方向への回転が継続する。これにより、出力リンクの自由端部に連結された出力伝達部材は、案内部材に設けられた第1の軌道に案内されて円周方向の一方に移動する。出力伝達部材が円周方向の一方に移動することで第2の軌道に干渉して主軸を前記第1方向に回転させる。
【0021】前記の状態において、1つの操作入力軸を第2方向に回転させると、出力回転部材および出力リンクの基端部が第2方向に回転する。これにより、出力リンクの自由端部に連結された出力伝達部材は、案内部材に設けられた第1の軌道に案内されて円周方向の他方に移動する。出力伝達部材が円周方向の他方に移動することで第2の軌道に干渉して主軸を前記第2の方向に回転させて元位置に復帰させる。
【0022】さらに、1つの操作入力軸の第2方向の回転を継続することにより、出力回転部材および出力リンクの基端部の第2方向への回転が継続する。これにより、出力リンクの自由端部に連結された出力伝達部材は、案内部材に設けられた第1の軌道に案内されて半径方向外側に移動する。出力伝達部材が半径方向外側に移動することで、伝達リンクは半径方向外側に移動して副軸を前記第2方向に回転させて元位置に復帰させる。この場合、出力伝達部材は第2の軌道に沿って半径方向外側に移動するので主軸は停止している。
【0023】請求項2に記載の発明によれば、1つの操作入力軸の軸線を前記主軸の軸線上で同心に設定しているので、主軸の延長線上での操作が可能になって、主軸およびこの主軸に挿通された副軸の位置が把握し易くなる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて前記従来の技術と同様に副弁内蔵形バタフライ弁の開閉装置に適用した形態で説明する。したがって、弁箱1、主弁体2、副弁体3、上弁棒4,9、下弁棒5,10、軸14などの構造は、図14ないし図16の従来例と同一であるので、これら同一部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0025】図1は本発明の一実施の形態を示す縦断面図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図1のB−B線断面図、図4は図1のD−D線断面図、図5は図1のE−E線断面図、図6は図1のF−F線断面図である。これらの図において、2軸回転装置17は、減速機31と、出力回転部材32と、一対の出力リンク33,33と、一対の出力伝達部材34,34と、案内部材35と、一対の伝達リンク36,36と、第2の軌道48とを備えている。
【0026】減速機31は、図1、図2および図3に示すように、サイクロ減速機によってなり、上から下に上部カバー31A、内歯車31Bおよび下部カバー31Cが図示していないボルトによって一体に結合され、その内部に内歯車31Bに噛み合う外歯車31Dが回転自在に内蔵され、その下側に出力回転部材32が回転自在に分離して内蔵されている。外歯車31Dの中心部には、減速機31の入力軸である1つの操作入力軸50の偏心部50Aが挿入され、操作入力軸50の上端操作部は上部カバー31Aを貫通して回転自在に支持されて、該上部カバー31Aよりも上方に突出しているとともに、操作入力軸50の下端部は出力回転部材32の中心部に設けた上向きの凹部32Aによって回転自在に支持されている。
【0027】出力回転部材32には、上向きの複数(たとえば4本)のピン32B,32Bを備えており、これらピン32B,32Bの上端部は外歯車31Dに設けられた前記ピン32B,32Bと同数の伝達孔37,37に挿入されている。また、これら伝達孔37,37の内径は、ピン32B,32Bの直径に対して、1つの操作入力軸50の偏心部36Aの偏心量の2倍を加えた大きさになっている。したがって、1つの操作入力軸50が回転すると、その偏心部50Aが挿入されている外歯車31Dは内歯車31Bと噛み合いながら公転し、かつ内歯車31Bの歯数Z1と外歯車31Dの歯数Z2との差だけ反対方向に自転する。ここで、外歯車31Dの公転を除き、自転のみを取出して出力回転部材32を前記歯数差の関係分だけ減速して回転させて出力として取出すことができる。
【0028】一対の出力リンク33,33は、図1および図4に示すように、それぞれの基端部が上下方向のピン38を介して出力回転部材32の下側に相対回転可能に連結され、かつそれぞれの自由端部には上下方向に貫通して出力伝達ピン34が相対回転可能に連結されている。
【0029】案内部材35は、円盤状の上側の案内部材35Aと円盤状の下側の案内部材35Bとからなり、上側の案内部材35Aは出力リンク33,33の上側に配置されてケーシング39に回転不能に装入されるとともに、下側の案内部材35Bは一対の伝達リンク36,36を介在して出力リンク33,33の下側に配置されてケーシング39に回転不能に装入される。また、上側の案内部材35Aと下側の案内部材35Bには、半径方向にのびる一対の直線部40Aと、上弁棒(主軸)4および副軸14の軸線Cと同心の中心Oを曲率中心として所定の曲率半径を有して直線部40Aの半径方向内端部に連続して円周方向で同じ方向にのびる一対の円弧部40Bとを備えた一対のスリット状の第1の軌道40,40が上下に対向して設けられ、これらの第1の軌道40,40に出力伝達ピン34が挿通して係合している。
【0030】一対の伝達リンク36,36は、図1および図5に示すように、出力リンク33,33と下側の案内部材35Bの間で、それぞれの基端部がピン41を介して副軸ボス42の外周部(偏心位置)に回転自在に連結され、副軸ボス42はキー43を介して軸(副軸)14の上端部に同時回転可能に取付けられている。また、伝達リンク36,36それぞれの先端部に出力伝達ピン34が相対回転可能に挿通されている。
【0031】一方、図1および図6に示すように、上弁棒(主軸)4の上端部にキー44を介して環状体45が同時回転可能に取付けられ、その外周にはスプライン46を介して円盤状の回転部材47が同時回転可能に外嵌されており、この回転部材47の上面側に半径方向にのびる一対の第2の軌道48、48が設けられ、これら第2の軌道48、48に出力伝達ピン34の下端部が挿入して係合している。
【0032】前記構成において、主弁体2と副弁体3が全閉している副弁内蔵形バタフライ弁の弁閉状態から主弁体2と副弁体3とを全開する手順について説明する。
【0033】図1および図7に示す主弁体2と副弁体3が全閉している状態では、一対の出力リンク33,33は図4の位置にあり、一対の伝達リンク36,36は図5の位置にあってセルフロック機能を発揮し、流体の負荷による主弁体2の揺動および副弁体3の揺動を防止している。
【0034】この状態で1つの操作入力軸50を弁開方向に回転させると、この回転は前記減速機31の外歯車31Dの公転を除いて、自転のみを取出して出力回転部材32を減速して回転させた出力として取出すことができる。出力回転部材32が弁開方向に回転することでピン38,38が弁開方向に回転し、出力リンク33,33の基端部はピン38,38に引っ張られて弁開方向に回転する。これにより、出力リンク33,33の自由端部に連結されている出力伝達ピン34は、上側の案内部材35Aと下側の案内部材35Bに設けられた第1の軌道40の直線部40Aに案内されて半径方向内側に移動し、出力リンク33,33は図8の位置にくる。このように、出力伝達ピン34が半径方向内側に移動することで、伝達リンク36,36は図5の位置から図9の位置まで半径方向内側に移動する。これにより、ピン41、副軸ボス42およびキー43を介して副軸14を弁開方向に90度回転させ、図10のように副弁体3を弁開する。この場合、出力伝達ピン34は回転部材47に設けた第2の軌道48,48に沿って半径方向内側に移動するので主軸4は停止している。
【0035】図8、図9および図10に示す副弁体3のみが弁開している状態において、1つの操作入力軸50の弁開方向への回転を継続すると、出力回転部材32も回転し出力リンク33,33の基端部はピン38,38に引っ張られて弁開方向にさらに回転する。これにより、出力リンク33,33の自由端部に連結されている出力伝達ピン34は、上側の案内部材35Aと下側の案内部材35Bに設けられた第1の軌道40の円弧部40Bに案内されて時計まわりに移動し、出力リンク33,33は図11の位置にくる。このように、出力伝達ピン34が円周方向の右側に移動することで、第2の軌道48,48に干渉して主軸4を弁開方向に90度回転させ、図13のように主弁体2を弁開する。また、伝達リンク36,36は図9の位置から図12の位置まで旋回しながら移動する。主弁体2の弁開時において、副弁体3は主弁体2に直交した姿勢を呈して、主弁体2に設けた副弁箱11を開放する。
【0036】一方、図11、図12および図13に示す状態において、1つの操作軸50を弁閉方向に回転させると、出力回転部材32が弁閉方向に回転することでピン38,38が弁閉方向に回転し、出力リンク33,33の基端部はピン38,38とともに弁閉方向に回転する。これにより、出力リンク33,33の自由端部に連結されている出力伝達ピン34は、上側の案内部材35Aと下側の案内部材35Bに設けられた第1の軌道40の円弧部40Bに案内されて反時計まわりに移動し、出力リンク33,33は図8の位置にくる。このように、出力伝達ピン34が円周方向の左側に移動することで、第2の軌道48,48に干渉して主軸4を弁閉方向に90度回転させ、図10のように主弁体2を元位置に復帰させる。また、伝達リンク36,36は図12の位置から図9の位置まで逆旋回しながら移動する。これにより、ピン41、副軸ボス42およびキー43を介して副軸14を弁閉方向に90度回転させて、副弁体3を図10の状態に保持する。
【0037】図8、図9および図10に示す副弁体3のみが弁開している状態において、1つの操作入力軸50の弁閉方向への回転を継続すると、出力回転部材32の弁閉方向への回転が継続されて、ピン38,38が弁閉方向に回転し、出力リンク33,33の基端部はピン38,38とともに弁閉方向に回転する。これにより、出力リンク33,33の自由端部に連結されている出力伝達ピン34は、上側の案内部材35Aと下側の案内部材35Bに設けられた第1の軌道40の直線部40Aに案内されて半径方向外側に移動し、出力リンク33,33は図4の位置にくる。このように、出力伝達ピン34が半径方向外側に移動することで、伝達リンク36,36は図9の位置から図5の位置まで半径方向外側に移動する。これにより、ピン41、副軸ボス42およびキー43を介して副軸14を弁閉方向に90度回転させ、図7のように副弁体3を元位置に復帰させる。この場合、出力伝達ピン34は回転部材47に設けた第2の軌道48,48に沿って半径方向外側に移動するので主軸4は停止している。
【0038】このように、主弁体2と副弁体3の開閉操作順序を考慮することなく、1つの操作入力軸50の回転方向を特定するだけで、開閉操作順序に基づいて主弁体2と副弁体3を開閉させることができるので、従来の2つの操作軸を有する2軸回転装置のように、主弁体2と副弁体3の弁開と弁閉に際して、その都度、2つの操作軸を特定した順序で弁開または弁閉方向に回転させる煩雑な操作が不要になって、容易に操作することができるとともに、操作順序の誤りが生じることもない。しかも簡単な構造によって実現することができる。
【0039】また、1つの操作入力軸50の軸線が主軸4の軸線C上で同心に設定されていることにより、主軸4の延長線上での操作が可能になって、主軸4と主弁体2および主軸4に挿通された副軸14と副弁体3の位置を把握し易くなる。このため、副弁内蔵形バタフライ弁が弁室を設けない状態で埋設されていても、副弁内蔵形バタフライ弁の位置の把握が容易になされ、これに伴なって、副弁内蔵形バタフライ弁に接続される管路の位置も容易に把握することができる。
【0040】なお、前記実施の形態では、減速機31としてサイクロ減速機を使用しているが、このサイクロ減速機に代えて、図1の二点鎖線で示すように、ウオーム49を使用し、出力回転部材32にウオーム49に噛み合うウオームホイールとしての機能をもたせたウオーム減速機を使用しても、ウオーム軸を1つの操作入力軸50として、その回転方向を特定するだけで、適正な開閉操作順序に基づいて主軸4と副軸14の2軸を自動的に回転させることができる。
【0041】また、前記実施の形態では、本発明に係る1つの操作軸による2軸回転装置を副弁内蔵形バタフライ弁の開閉装置に適用しているが、本発明の適用範囲は副弁内蔵形バタフライ弁の開閉装置のみに限定されるものではなく、軸まわりに回転する2つの部材を特定した順序で正方向および逆方向に回転させる装置に適用することができる。
【0042】
【発明の効果】このように、本発明の1つの操作軸による2軸回転装置は構成されているので、以下のような格別な効果を奏する。
【0043】請求項1に記載の1つの操作軸による2軸回転装置では、主軸と副軸との2軸の開閉操作順序を考慮することなく、1つの操作入力軸の回転方向を特定するだけで、適正な開閉操作順序に基づいて2軸を自動的に回転させることができるので、従来の2つの操作軸を有する2軸回転装置のように、2軸の回転に際して、その都度、2つの操作軸を特定した順序で正方向または逆方向に回転させる煩雑な操作が不要になって、容易に操作することができるとともに、操作順序に誤りを生じないので、信頼性を向上させることができ、しかも簡単な構造によって実現することができる。
【0044】請求項2に記載の1つの操作軸による2軸回転装置では、主軸の延長線上での操作が可能になって、主軸およびこの主軸に挿通された副軸の位置が把握し易くなる。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成11年12月16日(1999.12.16)
【代理人】 【識別番号】100072338
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 孝一 (外1名)
【公開番号】 特開2001−173834(P2001−173834A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願平11−357183