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【発明の名称】 液面制御機構付き定流量弁装置
【発明者】 【氏名】横田 博

【氏名】河本 正博

【要約】 【課題】優れた定流量制御機能と小型のフロートによる液面制御機能を併せ持ち、流量や液面レベルの制御を自動的に行うと共に、ハンチング等が起こりにくい制御弁装置を得る。

【解決手段】流量値を設定する流量調節弁6と自動絞り調節作動を行う滑り弁7とが直列に設けられ、滑り弁7は、弁箱1内の隔壁部材4に密封的且つ滑動自在に嵌装されると共に、滑り弁開口dを常に所定の力で開く方向に付勢する付勢手段8が装着され、滑り弁7を挟んで中間室cの反対側に包容形成された袋室fが入口流路aに連通されて、滑り弁開口dに自動絞り調節流路が構成され、流量調節弁6は、フロート31に連結されて、そのフロート液面レベルが上限に達すると流量調節弁6を自動的に閉鎖するよう構成され、流量調節弁6は、流量調節弁揺動抑制装置11に連結されて、流量調節弁6の揺動が抑制される構造に構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 入口流路(a)と出口流路(e)を有する弁箱(1)内に、中間室(c)を挟んで、流量値を設定する流量調節弁(6)と自動絞り調節作動を行う滑り弁(7)とが直列に設けられ、流量調節弁(6)とこれに対峙する流量調節弁弁座(2)との間には流量調節弁開口(b)、滑り弁(7)とこれに対峙する滑り弁弁座(3)との間には滑り弁開口(d)が形成され、滑り弁(7)は、弁箱(1)内の隔壁部材(4)に密封的且つ滑動自在に嵌装されると共に、滑り弁開口(d)を常に所定の力で開く方向に付勢する付勢手段(8)が装着され、滑り弁(7)を挟んで中間室(c)の反対側に包容形成された袋室(f)が入口流路(a)に連通されて、滑り弁開口(d)に自動絞り調節流路が構成され、流量調節弁(6)は、フロート(31)に連結されて、そのフロート液面レベルが上限に達すると流量調節弁(6)を自動的に閉鎖するよう構成され、そして、流量調節弁(6)は、流量調節弁揺動抑制装置(11)に連結されて、流量調節弁(6)の揺動が抑制される構造に構成されたことを特徴とする液面制御機構付き定流量弁装置。
【請求項2】 前記流量調節弁揺動抑制装置(11)が、2つの圧力室(i;j)に挟まれた受圧板(13)を備え、該受圧板(13)を挟んで一方の圧力室(i)が前記入口流路(a)に、他方の圧力室(j)が前記中間室(c)に夫々連通されて、前記流量調節弁(6)の前後の偏圧を相殺する構造に構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の液面制御機構付き定流量弁装置。
【請求項3】 前記流量調節弁揺動抑制装置(11)が、2つの圧力室(i;j)に挟まれた受圧板(13)を備え、その2つの圧力室(i;j)同士が絞り流路を介して連通されて、前記流量調節弁(6)の揺動を制動する構造に構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の液面制御機構付き定流量弁装置。
【請求項4】 前記2つの圧力室(i;j)のうちの少なくとも1つが、絞り流路を介して前記入口流路(a)に連通されたことを特徴とする、請求項3に記載の液面制御機構付き定流量弁装置。
【請求項5】 前記流量調節弁(6)と前記滑り弁(7)の受圧面積がほぼ均等に設定されると共に、該流量調節弁(6)の閉鎖直前の時点で、該流量調節弁(6)と該滑り弁(7)とが互いに連接し一体化する構造に構成されたことを特徴とする、請求項1、3、4のいずれかに記載の液面制御機構付き定流量弁装置。
【請求項6】 前記付勢手段(8)が、伸縮自在且つ所定の伸び限度に達すると上筒部と下筒部が係止し合って伸び止まる構造の二重筒状ケース(8c)に、圧縮した弾性部材を収納して構成されたものであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の液面制御機構付き定流量弁装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体輸送管路に設置されて、定流量弁装置としての機能を発揮すると共に、フロート槽等の液面レベルが上限に達すると自動的に流れを停止させる等の液面制御機能を併せ持つ制御弁装置に関するものである。なお、本明細書中の「水」の語は流体を総称的に代表するものとする。
【0002】
【従来の技術】従来、フロートを利用してフロート槽等の液面の制御をしようとする時には、その流路を開開する弁として一般的にリフト弁が使用されるが、そのリフト弁は配慮を欠くと弁部の受圧力の偏差によって偏った軸推力が発生し、一旦閉鎖した弁が開きにくい、あるいは一旦開いた弁が閉鎖しにくい等の問題があった。特に、高圧用のものや大口径のものでは、その軸推力軽減手段が簡単でなく、リフト弁開開装置が複雑になったり、フロートが過大になって、製作費が不要に嵩む難点があり、しかも閉鎖直前の小流量域において異常音、異常振動又はウォーターハンマーが発生する等の問題もあった。このリフト弁の軸推力の問題を解決して、弁開開作動をフロート部の小さい力によってでも制御可能とすることにより、フロート部を含めて小型且つ作動の安定した液面制御機構付き定流量弁装置を実現したのが、特開平7−190222号「液面制御機構付定流量調節リフト弁装置」(以降、「原発明」と呼称する)であった。
【0003】その基本的構成は、図4に例示したように、弁箱1の中は、流量設定用のリフト型流量調節弁6と自動絞り調節用のリフト型滑り弁7とによって、流れ方向に向かって、入口流路a→中間室c→出口流路eの三つの流路部に区切られ、流量調節弁6と滑り弁7とによって絞られる形状に構成されている。又、滑り弁7と弁箱1の蓋部との間に包容形成された袋室fを、連通路21によって入口流路aに連通させると共に、釣り合い用の付勢手段8を介装することによって、滑り弁7に自動絞り調節機能を持たせてあり、流量調節弁6の設定開度に応じて滑り弁7が自動的に進退作動して定流量を維持する。流量調節弁6と滑り弁7の受圧面積はほぼ均等であり、流量調節弁6が閉鎖直前まで絞られて流量が零に近づいた時点で、流量調節弁6と滑り弁7とがそのボス部において当接し、両弁6;7の相対応する両受圧面に作用する入口圧力同士がほぼ均衡するので、流量調節弁6の開閉駆動のための力は軽少である。そして、この流量調節弁6にフロート31を連結してあり、液面レベルが下降した時には流量調節弁6が開弁して給液し、液面レベルが上昇して上限に達した時には流量調節弁6が閉鎖して給液を停止し、その間は液面レベルによって決まる流量調節弁6の開度に応じた定流量の給液がなされるというものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】原発明は、定流量制御とリフト弁の軸推力の軽減というそれまでの課題を軽妙に同時解決し、大いに実施・利用されたものであるが、しかし、施設現場での使用状況によっては、なお未解決の問題点を残している。それは、特に入口圧力が高い等の厳しい設置条件においては、振動や衝撃及びそれに伴う騒音(いわゆる「チャタリング」や「ハンチング」等)を発生する場合が依然としてあることである。原発明においては、受圧面積のほぼ等しい流量調節弁6と滑り弁7とを流量調節弁6の閉鎖直前に当接させて軸推力をバランスさせる仕組みとなっているため、それまでの一般的なリフト弁装置で問題となっていた閉鎖直前の小流量域における偏った軸推力によるウォーターハンマー等の問題は回避されており、従ってそれまでの一般的なリフト弁装置に比べればはるかに安定的に作動するのであるが、しかし、閉鎖直前に至る前の半開状態においては、前述の軸推力をバランスさせる仕組みは作動していないので、フロート31が液面の微妙な変動(いわゆる「波立ち」等)を拾って流量調節弁6を揺動させたり、あるいは入口圧力が高い等の設置条件によっては、半開状態における流量調節弁6の前後の僅かな偏圧が流量調節弁6を揺動させたりすることがあり、更にはこれらが流量調節弁6の閉鎖作動中に脈動的運動に発展して振動や騒音を発生する場合があった。
【0005】そこで、本発明は、流量制御性能が優れていて且つ弁開閉駆動のための力(フロート)が小さくて済むという原発明の弁装置の特長は生かしつつ、新しい構成に革新することによって、原発明の弁装置の残された技術的問題点を抜本的に解決し、設計・製作・維持管理が容易でコストが低廉であり、流量や液面レベルの制御を自動的に且つ確実に行うと共に、いかなる設置条件下でもチャタリングやハンチング等が起こりにくく、又、異物の目詰まりも起こりにくく、フロート部を含めて小型且つ作動の安定した液面制御機構付き定流量弁装置を得る事を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明は、入口流路aと出口流路eを有する弁箱1内に、中間室cを挟んで、流量値を設定する流量調節弁6と自動絞り調節作動を行う滑り弁7とが直列に設けられ、流量調節弁6とこれに対峙する流量調節弁弁座2との間には流量調節弁開口b、滑り弁7とこれに対峙する滑り弁弁座3との間には滑り弁開口dが形成され、滑り弁7は、弁箱1内の隔壁部材4に密封的且つ滑動自在に嵌装されると共に、滑り弁開口dを常に所定の力で開く方向に付勢する付勢手段8が装着され、滑り弁7を挟んで中間室cの反対側に包容形成された袋室fが入口流路aに連通されて、滑り弁開口dに自動絞り調節流路が構成され、流量調節弁6は、フロート31に連結されて、そのフロート液面レベルが上限に達すると流量調節弁6を自動的に閉鎖するよう構成され、そして、流量調節弁6は、流量調節弁揺動抑制装置11に連結されて、流量調節弁6の揺動が抑制される構造に構成されたことを主な特徴としている。
【0007】本発明においては、前記流量調節弁揺動抑制装置11が、2つの圧力室i;jに挟まれた受圧板13を備え、該受圧板13を挟んで一方の圧力室iが前記入口流路aに、他方の圧力室jが前記中間室cに夫々連通されて、前記流量調節弁6の前後の偏圧を相殺する構造に構成されてもよい。又、前記流量調節弁揺動抑制装置11が、2つの圧力室i;jに挟まれた受圧板13を備え、その2つの圧力室i;j同士が絞り流路を介して連通されて、前記流量調節弁6の揺動を制動する構造に構成されてもよい。又、前記2つの圧力室i;jのうちの少なくとも1つが、絞り流路を介して前記入口流路aに連通されてもよい。又、前記流量調節弁6と前記滑り弁7の受圧面積がほぼ均等に設定されると共に、該流量調節弁6の閉鎖直前の時点で、該流量調節弁6と該滑り弁7とが互いに連接し一体化する構造に構成されてもよい。又、前記付勢手段8が、伸縮自在且つ所定の伸び限度に達すると上筒部と下筒部が係止し合って伸び止まる構造の二重筒状ケース8cに、圧縮した弾性部材を収納して構成されてもよい。
【0008】これらの構成によって、本発明においては、流量や液面レベルの制御を自動的に且つ確実に行うと共に、いかなる設置条件下でもチャタリングやハンチング等が起こりにくく、又、異物の目詰まりも起こりにくく、フロート部を含めて小型且つ作動の安定した液面制御機構付き定流量弁装置を得たものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、実施例を示した図面に基づき本発明をより詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には共通の図面符号を付してある。図1は、本発明の第1実施例を示したものであり、定流量弁装置の流量調節弁6とフロート31を連結し、液面レベルの変動によって上下するフロート31の浮力を利用して、その小さい力のままで流量調節弁6を容易に開閉できるように構成した弁装置を示す。定流量弁装置の部分については、入口流路aと出口流路eを有する弁箱1内には、中間室cを挟んで上流側に流量値を設定する流量調節弁6、下流側に自動絞り調節作動を行う滑り弁7が直列に設けられている。即ち、弁箱1の中は、流量調節弁6と滑り弁7とによって、流れ方向に沿って、入口流路a→中間室c→出口流路eの三つの流路部に区切られ、両弁6;7によって絞られる形状に構成されている。
【0010】弁箱1を密封的且つ滑動自在に貫通している弁軸5に対して、流量調節弁6は固着され、滑り弁7は密封的且つ滑動自在に嵌装されている、そしてこの滑り弁7は、弁箱1内の隔壁部材4に対してもシール部材7sを介して密封的且つ滑動自在に嵌装されている。流量調節弁6とこれに対峙する流量調節弁弁座2との間には流量調節弁開口bが形成されており、一方、滑り弁7とこれに対峙する滑り弁弁座3との間には滑り弁開口dが形成されている。滑り弁7には、滑り弁開口dを常に所定の力で開く方向に付勢する釣り合い用の付勢手段8が装着されている。又、滑り弁7を挟んで中間室cの反対側、即ち滑り弁7と弁箱1の蓋部との間に包容形成された袋室fが、連通路21により入口流路aに連通されており、釣り合い用付勢手段8の働きと相まって、滑り弁開口dが自動絞り調節流路として機能するよう構成してある。
【0011】弁軸5は、アーム32を介してフロート31に連結されて、フロート31の動きに呼応して上下するよう構成され、流量調節弁6を上下させて流量調節弁開口bを調節し、液面レベルが上限に達すると流量調節弁6を閉鎖させるようになっている。そして、弁軸5は、弁箱1に付設された流量調節弁揺動抑制装置11にも連結されており、流量調節弁6の揺動が抑制される構造になっている。
【0012】その流量調節弁揺動抑制装置11の構造は、弁軸5に密封的に貫通された圧力室容器12の中に、軸推力の均衡のための受圧板13を備えている。その受圧板13は、受圧面積が流量調節弁6とほぼ均等に設定されると共に、弁軸5に固着されて、流量調節弁6と一体的に連動するようになっており、更に、圧力室容器12の内壁に対してシール部材13sを介して密封的且つ滑動自在に嵌装されている。この受圧板13を挟んで、圧力室容器12の内部には2つの圧力室i;jが画成されており、中間室cから遠い方の圧力室iは連通路22を介して入口流路aに連通され、近い方の圧力室jは連通路23を介して中間室cに連通されている。これによって、流量調節弁6と受圧板13の両受圧面に作用する中間室cの圧力同士及び入口流路aの圧力同士が常時均衡し、流量調節弁6の前後の偏圧を相殺するので、流量調節弁6の弁開閉の全行程にわたって、弁開閉駆動のための力は極めて小さくてよい。なお、本実施例においては、流量調節弁6の軸推力を均衡させる役割は受圧板13が担っているので、流量調節弁6の閉鎖直前もしくは閉鎖時においても滑り弁7は流量調節弁6とは連接しないものとする。
【0013】本発明の作動態様について、図1に基づいて説明すると、いま、液面レベルが低く、フロート31は下方にあり、流量調節弁6が全開状態になっており、入口側圧力と出口側圧力との差が少ないので、滑り弁7もほぼ全開の状態である。従って、流れは所定最大流量を維持しながら、入口流路a→流量調節弁開口b→中間室c→滑り弁開口d→出口流路eの順に流れている。この状態において、付勢手段8の滑り弁開口dを開く方向への力は、滑り弁7の前後の受圧面に働く袋室fの圧力(即ち入口流路aの圧力)と中間室cの圧力との差に均衡させてあるが、この圧力の差は勿論、流量調節弁開口bの流路抵抗に起因するものである。なお、例えば入口側圧力と出口側圧力との差が大きくなると、袋室fと中間室cとの圧力差が大きくなり、釣り合い用付勢手段8との力の均衡が崩れて、滑り弁開口dを縮小し、中間室cの圧力を上昇させて元の均衡状態に戻り、従って、弁を通過する流量は変化せず定流量特性を保持する。
【0014】次に、液面レベルの上昇によりフロート31が上昇して弁軸5を図の上方向に押し上げ、流量調節弁6を流量調節弁弁座2に近づけると、流量調節弁開口bの抵抗が増加するに従って中間室cの圧力が低下し、釣り合い用付勢手段8による力の均衡が崩れて滑り弁開口dを縮小し、流量調節弁6の設定流量に見合うだけの自動絞り調節流路となって安定する。更に、流量調節弁6が閉鎖すると、中間室cの圧力は出口圧力まで低下して、滑り弁7も閉鎖する。
【0015】これらの全行程を通して、流量調節弁6と受圧板13の両受圧面に作用する中間室cの圧力同士及び入口流路aの圧力同士が常時均衡し、流量調節弁6の前後の偏圧を相殺しているので、流量調節弁6の弁開閉の全行程にわたって、その開閉駆動に要する力は軽少である。従って、弁軸5を上下させるフロート31の浮力は小さくてよく、フロート31の容積を小さくすることができる。又、常に流量調節弁6の前後の偏圧の影響は受けないので、入口圧力が高い等のいかなる設置条件下でも、振動や衝撃及びそれに伴う騒音(チャタリングやハンチング等)が発生しにくい。そのため、液面制御弁として極めて安定した制御ができ、弁体や弁座の耐久性も向上する。
【0016】本弁装置は、流量が液面レベルの変化に従ってリニアー特性的に増減するので、入口圧力が高くても、その吐き出し流動は極めて穏当であり、夫々の液面レベルにおいて定流量を維持するので、過大配水が起こらないという利点もある。又、小流量まで調節した際に、滑り弁開口dが狭小となって土砂・塵埃等の異物の目詰まり現象が発生した場合は、そのために瞬時に中間室cの内圧力が上昇し、滑り弁7が図の上方向に動いて滑り弁開口dを拡げ、目詰まりを洗い流し除去する。即ち、滑り弁7は自動的に開弁作動を行い、目詰まり事故を防ぐ自掃機能を有するので、清浄でない液体を扱う設備用としても好適である。
【0017】なお、この図1には、流量値に上限を設けたい時に、開度規制部5wを回動させて図の上下方向に位置調整し、その開度規制部5wに弁軸5の運動範囲を規制させることによって、流量調節弁6の開度上限を設定できることも示した。又、連通路21;22;23に装着されている小開閉弁類は、点検用及び空気抜き用のもので、必須というものではないが、例えば、連通路22に付属している小開閉弁を操作して連通路22を閉鎖すると同時に圧力室iを大気開放することによって、強制的に軸推力均衡を崩して流量調節弁6を強制閉鎖させる、等の便利な使い方もある。
【0018】図2は、本発明の第2実施例を示したものであり、第1実施例のものにおける流量調節弁揺動抑制装置11を、流量調節弁6の揺動を制動する機構とした適用例である。その定流量制御機能は、第1実施例のものと同様であるが、本実施例においては、流量調節弁揺動抑制装置11の2つの圧力室i;j同士が絞り制御可能な連通路24を介して連通されて、流量調節弁6の揺動を制動する構造に構成されており、圧力室i;j間を流動する流体をニードル弁等の絞り弁24vによって絞り制御することにより制動作用を生じさせる。そして、この絞り流路の開度調節によって制動の強さ及び制動時間を制御することができる。
【0019】この作動流体としては、管路内流体とは別の流体(例えばオイルや水)を用いてもよいが、本実施例においては、最も簡便な方法として、管路内流体をそのまま導入して利用するものが図示されており、そのため圧力室i;jのうちの少なくとも1つ(本実施例においては圧力室j)が、絞り制御可能な連通路25を介して入口流路aに連通されている。この場合、管路内流体が絞り弁25vによって絞られつつ常に圧力室i;jに作動流体として補給されることとなり、メンテナンスフリーとなるという利点があり、又、管路内流体が土砂・塵埃等の異物を含むものであったとしても、圧力室i;j間を往復するのみで系外に流過するものではないので、異物が目詰まりする恐れもない。なお、この連通路25を通じて補給させる方法のほかにも、弁軸5が弁箱1を貫通する部分のシールをあえて緩めにしておいて、袋室fからの漏れによって補給させる方法もある。一方、圧力室i;jを作動流体で満たした後は絞り弁25vを常時閉鎖しておくという操作方法もあることは言うまでもない。
【0020】又、本実施例においては、流量調節弁6と滑り弁7の受圧面積はほぼ均等であり、流量調節弁6が閉鎖直前まで絞られて流量が零に近づいた時点で、流量調節弁6と滑り弁7とが弁軸5を介して互いに連接し一体化する構造に形成されている。そして、この連接と同時に、両弁6;7の両受圧面に作用する中間室cの圧力同士及び入口流路aの圧力同士が相殺し合い軸推力が均衡するようになっている。
【0021】本実施例の弁装置は、上記のように、流量調節弁6の閉鎖直前には、流量調節弁6と滑り弁7との連接により軸推力が均衡して、流量調節弁6の前後の偏圧の影響を受けない上、閉鎖直前に至るまでの全行程を通して流量調節弁6の揺動が制動され、しかも徐々にであれば軽少な作用力でも流量調節弁6が作動する仕組みとなっている。従って、第1実施例の場合と同様に、弁開閉の全行程にわたってその開閉駆動に要する力は小さくてよく、フロート31の容積を小さくすることができ、又、入口圧力が高い等のいかなる設置条件下でも振動や衝撃及びそれに伴う騒音(チャタリングやハンチング等)が発生しにくく、液面制御弁として極めて安定した制御ができ、弁体や弁座の耐久性も向上する。
【0022】なお、この図2には、付勢手段8をケースに収納した一実施例も図示されている。その構成は、伸縮自在且つ所定の伸び限度に達すると上筒と下筒が係止し合って伸び止まる構造の二重筒状ケース8cに、圧縮した弾性部材(本図においては、ばねを例示した)を収納したものであり、二重筒状ケース8cは、図中では上筒の下端にある外向きの爪と下筒の上端にある内向きの爪が係止し合う直前、即ち伸び止まる直前の状態となっており、従って、ばねがその付勢力を滑り弁7に及ぼしている。この二重筒状ケース8cは、所定値まで伸びるとそれ自身が伸び止まる構造となっているので、その中にばねを十分圧縮して力を溜めた状態で収納でき、それをモジュール部品として簡便に持ち歩き、弁装置の組立てやメンテナンスに使用することができるのみならず、ばねを常に十分圧縮してばね力の変化の少ない範囲で使用できるので弁装置を正確に作動させることが可能となり、又、弁装置内の流路が滑らかに整理されて損失抵抗の軽減に役立ち、更には、ばねに有効な覆いが形成されることになるので、管路内流体が土砂・塵埃等の異物を含むものであったとしても、異物が目詰まりしにくいという利点がある。その他の構成及び作動態様は第1実施例と同様なので詳説は省略する。
【0023】図3は、本発明の第3実施例を示したものであり、第2実施例のものにおける流量調節弁6の位置を流量調節弁弁座2の下流側に変え、フロート31による作用力を反転させた一実施例を示したものである。流量調節弁6の作動方向は第2実施例とは逆となって、液面レベルが下降するときは流量調節弁6は引き上げられて開き、液面レベルが上昇するときは流量調節弁6は押し下げられて閉鎖方向に向かうこととなり、又、開度規制部5wの作用方向も第2実施例とは逆となるが、その他の構成及び作動態様は第2実施例と同様なので詳説は省略する。なお、図示は省略したが、第1実施例のものについても、流量調節弁6の位置を流量調節弁弁座2の下流側に変える等の設計変更により、フロート31による作用力を反転させて使用することができることは言うまでもない。
【0024】次に、各実施例に共通の技術事項について説明する。付勢手段8については、各図には圧縮コイルばねを例示したが、同じ作用をするものであればその形式は問わず、図示の圧縮ばねの代りに引っ張りばねを用いた構造にしてもよく、コイルばねの代りに他の形式のばねや弾性部材を用いてもよいし、図2〜3に例示したようにケースに収納してもよい。又、重錘にリンクしたり、気圧、液圧装置等を適用してもよいし、倍力機構を付加してもよい。更に、その取付け位置も図示の位置に限る必要はないことは言うまでもない。
【0025】流量調節弁6については、各図に例示したようにリフト弁形式を適用するのが好ましいわけであるが、本発明の趣旨の範囲内で、その他の形式の開閉弁(例えば、バタフライ弁、ゲート弁、ボール弁等)を適用することも可能である。又、設置条件によっては、チャタリングやハンチング等を更に確実に防止するために、別途制動手段(ダンパー)を弁装置本体もしくはフロート部に付設してもよいし、キャビテーション等の防止も兼ねて、各弁体6;7や弁座2;3に流量変化のスムーズになるような櫛歯状、鋸歯状突起や整流格子を設けたり、それらの当接面の形状をコーン状や曲面状にしたりする等の従来技術を援用してもよい。
【0026】フロート31については、その種類は従来公知の中空のものでも中実のものでもよく、フロート液面の波立ち防止構造等についても各種従来技術を援用してよい。又、各図には、フロート31をアーム32を介して弁軸5に連結する構造を例示したが、このフロートと弁軸との連結の方法には、この他にも、二重にアームを連結してフロートからの作用力を倍力する所謂「複式」の構造にしたり、あるいは逆に、フロートが小型で済むという本発明の特長を生かして、フロートを弁軸に直結するなど、種々の方法があることは勿論である。7s;13sをはじめ、密封性を要する各箇所に装着されるシール部材については、適宜にOリング、パッキン、シールリング、ダイヤフラム、ベローズ等を適用してよく、又、直接接触により良好な密封性を保持できる場合は、該シール部材を省略してもよい。
【0027】各構成部材の配列関係については、図示した配列に限定する必要はなく、例えば、弁軸5が弁箱1を貫通する箇所を弁箱1の底部側にして弁軸5を滑り弁7に嵌装しない構造に組み換え設計したり、流れ方向が図1〜3とは逆向きになるように組み換え設計することもできる。それらに伴って、各構成要素の配設位置と作動方向が変わるが、その作用効果は図1〜3のものとほぼ同様となるので、組み換え設計例の一々の図示は省略する。なお、本弁装置は、管路端末に設置して放流用として用いるほか、管路途中に設置してもよい。又、本弁装置においては流量調節弁の駆動力源としてフロートを用いているが、本発明の技術的思想は駆動力源をフロート以外の方式(例えば手動ハンドルやアクチュエーター等)とした場合にも適用できることは勿論である。そのほかにも、各構成部材の配置や組合せ等、本発明の趣旨の範囲内で種々設計変更が可能であり、又、各構成部材にわたり従来技術の援用が可能であり、本発明を前記の各実施例に限定するものではない。
【0028】
【発明の効果】本発明はこのように、簡潔で合理的な構造によって、設計・製作・維持管理が容易でコストが低廉であり、流量や液面レベルの制御を自動的に且つ確実に行うと共に、大型化や高圧化した場合でも弁開閉駆動の力が極めて軽少で済み、入口圧力が高い等のいかなる設置条件下でもチャタリングやハンチング等が起こりにくく、フロート部を含めて小型且つ作動の安定した液面制御機構付き定流量弁装置を得たものである。更に、その優れた定流量特性により、配管系列の局所における過大流量を防止できるという利点も有する。又、土砂・塵埃等の異物の目詰まりも起こりにくく、特に農業用水にも適用できる等、流量制御機能と液面制御機能を併せ持った極めて経済的な弁装置として大きな実施効果を上げるものである。
【出願人】 【識別番号】592176572
【氏名又は名称】株式会社横田製作所
【出願日】 平成11年12月15日(1999.12.15)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−173832(P2001−173832A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願平11−355940