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【発明の名称】 電動弁
【発明者】 【氏名】風間 洋一郎

【氏名】西谷 聡

【要約】 【課題】従来の電動弁では、電動機の運転、停止による加熱、冷却により水封箱内の内圧が外圧より低くなることがあり、その結果水封箱内に外気と共に水あるいは高湿度空気を吸い込んで、浸水事故や短絡事故を起こすことがあった。

【解決手段】水封箱に貫通孔を設けて、これに多孔性の通気部材を被せるように設ける。これによりたとえ水封箱の内圧が下降しても通気部材により水封箱の内圧と外圧とがバランスして、その結果水が侵入することもなく、又高湿度空気が侵入することもない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電動機を内蔵した水封箱と弁を有し、電動機により弁を作動させる電動弁であって、水封箱に外気と流通する貫通孔を設けると共に、該貫通孔を多孔性の通気部材で覆ったことを特徴とする電動弁。
【請求項2】 電動機を内蔵した水封箱と弁を有し、電動機により弁を作動させる電動弁であって、外圧と水封箱の内圧とが常時同等であることを特徴とする電動弁。
【請求項3】 多孔性の通気部材は孔径が5um以下の小孔が形成されていることを特徴とする請求項1記載の電動弁。
【請求項4】 多孔性の通気部材はフッ素樹脂であることを特徴とする請求項3記載の電動弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は弁体を電動機によって作動させる電動弁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より球形弁に電動機を連結して開閉動作をおこなわせる電動バルブは、遠隔操作がてきること及び開閉動作が迅速であることから諸所に使用され、そのなかでも高湿度環境下で使用される場合や、比較的短期の冠水がありうる環境下で使用される場合には電動機を内蔵した水封箱内に水が侵入することを防止する必要がある。そのために従来では図4に示すように電動機を内蔵した水封箱及び出力軸まわりに水密構造を施した電動弁が使用されていた。図4中40は水封箱で、基台41上にカバー42を覆って設け、両者の嵌合部には0リング43を挿入して水封を計る。基台41には電動機44が配設され、出力軸45が基台41を貫通して水封箱40の外部に突出され、基台41と出力軸45間に水封用のシールリング46が挿入されている。更に基台41を貫通してケーブル47が取付けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】電動弁を作動させるとき水封箱内に内蔵された電動機が発熱して、その結果水封箱内の空気温度が上昇してその内圧が外圧より高くなり水封箱内の空気が各水封構造部から外部に漏れ出すことがある。そのような状態で電動弁の作動を停止させると、水封箱内の空気が外気と同じ温度に冷却されてその内圧が前記と逆に外圧より低く減圧されてしまう。また水封箱内にスペースヒータを内蔵させて、水封箱内を外気より5℃程度高温にしておくことも行われているが、スペースヒータの電源を切れば前記したものと同様な現象がおこる。
【0004】このような電動弁を、例えば電動弁全体が水没しないまでも冠水するような環境下や高湿度の環境下で長期間使用するとき、前記した水封箱内の減圧により水封構造部から水が侵入したり高湿度空気が侵入して結露したりして、水封箱内の電動機や制御機器が短絡事故を起こすことがあるという課題があった。又水封構造以外にもケーブルの制御盤側から高湿度空気が侵入するということもあった。本発明は前記した課題を解決して水封箱内に水が侵入することを防止し、また水封箱内に高湿度空気が侵入することを防止して侵水事故や短絡事故を防ぐことができる電動弁を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は電動機を内蔵した水封箱と弁を有し、電動機により弁を作動させる電動弁であって、水封箱に外気と流通する貫通孔を設けると共に、該貫通孔を多孔性の通気部材で覆ったことを特徴とするものであり、更には電動機を内蔵した水封箱と弁を有し、電動機により弁を作動させる電動弁であって、外圧と水封箱の内圧とが常時同等であることを特徴とするものであり、更には多孔性の通気部材は孔径が5um以下の小孔が形成されていることを特徴とするものであり、更には多孔性の通気部材はフッ素樹脂であることを特徴とするものである。
【0006】例えば室内冷房装置の冷水配管系に電動弁を使用するときは、結露により電動弁の水封箱にも水滴が付着する場合が多々ある。又例えば雨に曝される屋外で使用される場合は、電動弁全体が冠水してやはり多量の水滴が各部分に付着する。このような状態で本発明の電動弁を作動させると、水封箱内の電動機の発熱で空気温度が上昇して内圧が高くなるが、そのとき多孔性部材から水封箱内の空気が外部に逃げ出して外圧と内圧はバランスする。そして電動機の作動を停止させると水封箱内の空気温度が下降して水封箱内は減圧されるが、そのときは多孔性部材から水封箱内に外気が吸引されてやはり外圧と内圧とはバランスする。この結果外部から水封箱内に水が侵入することや高湿度空気が侵入することはない。
【0007】又前記した多孔性部材は空気は通すが水は通さないという特性を持ったジャパンゴアテックス社のゴアテックスオレオベンチフィルター(同社商品名)を使用しているから、この多孔性部材から水封箱内に外気が吸引されるときに水も一緒に吸引されるということはない。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に係わる電動弁の一実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明に係わる電動弁の断面図であり、図2は本発明に係わる電動弁の水封箱の断面図であり、図3は図2のA部詳細図である。図1あるいは図2中1は水封箱で、基台11上にカバー12を覆って設け、両者の嵌合部には0リング13を挿入して水封を計る。基台11には電動機14とそれに連結された減速機構15及び制御機器(自明のため図示略)が配設され、減速機構の出力軸16が基台11を貫通して水封箱1の外部に突出され、基台11と出力軸16に水封用のシールリング17が装着されている。更に基台11を貫通してケーブル18がシールコネクタ19を介して設けられており、このケーブル18は水封箱1中の電動機14及び制御機器への電源の供給を行い、シールコネクタ19は水封箱1の水封を計るものである。
【0009】図2及び図3に示すように基台11に径が5mmの貫通孔20が1個所形成されて、その貫通孔20の座ぐり部201に通気部材21を貫通孔20を覆うように当てがい、通気部材21が座ぐり部201に当接する領域には粘着樹脂を貼り付けて接着すると共に、その通気部材21を保持固定するために座ぐり部201に通気孔リング22を圧入して通気部材21を押し付ける。
【0010】通気部材21として本実施例ではジャパンゴアテックス社のゴアテックスオレオベントフィルター(同社商品名)を使用した。このものは径2umの小孔が開口率80%程度に形成された多孔性フッ素樹脂であり、この多孔性フッ素樹脂は水は通さず空気は通すという特性を持つものである。この多孔性フッ素樹脂の小孔径が5umを越えると、空気と共に水の侵入がみられて好ましくない。又素材がフッ素樹脂であるため、水とともに泥等が付着することがなく、このため常に良好な空気の流通を保つことができる。
【0011】前記した水封箱1の下部に弁3が取付けられており、それの弁体31に結合された弁棒32と前記出力軸16とが連結される。そして電動機14を駆動することにより弁3の弁体31が水平回転して、弁3の開閉を行うものである。
【0012】次に上記した構造の電動弁を使用して冠水試験を行った結果を説明する。
1)昇温による侵水試験ケーブル通孔にプラグを締め込んで密閉した水封箱を恒温槽で60℃で30分加温したものを15℃の水中に10分浸漬して水中から取りし、外気中に10分間放置、これを10回繰り返した後、カバーを外して内部を検査したが水は確認されなかった。
【0013】
2)作動による侵水試験 冠水 :水封箱及び弁体に常時水を噴射させて冠水させる 電動弁の開閉頻度:1回/10分 試験期間 :3ケ月間連続作動(12960回開閉)
とした侵水試験で水封箱内への侵水および露結は確認されなかった。
【0014】本実施の形態では貫通孔18は基台11に1個所設けるようにしたが、これに限られるものではなく、貫通孔18をカバー12に設けても良いし、基台11及びカバー12の両者に設けても良い。又個数も1個所に限らず複数個所でも良い。
【0015】
【発明の効果】本発明は電動弁を上記した構成としたから、冠水環境下あるいは高湿度空気の環境下で長時間使用しても電動弁の水封箱中に水の侵入や高湿度空気の侵入がなく、従って浸水事故や短絡事故を低減することができる電動弁を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000233114
【氏名又は名称】日立バルブ株式会社
【出願日】 平成11年12月22日(1999.12.22)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−173827(P2001−173827A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願平11−365163