| 【発明の名称】 |
逆止弁及びそれを用いた燃料噴射ポンプ |
| 【発明者】 |
【氏名】古田 克則
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| 【要約】 |
【課題】弁体及びコイルスプリングの横揺れを防止することによって気密性、応答性、耐久性及び信頼性を向上させた逆止弁及びこれを用いた燃料噴射ポンプを提供する。
【解決手段】ボール弁38の許容移動空間を規定するために、弁ストッパ41dによってボール弁38のフルリフト量を決め、ボール弁38がリフトし始めてからフルリフトするまで弁座45のテーパ面がボール弁38に被った状態にあるように弁座38の形状を決める。コイルスプリング39の巻線間隙間を通らずに燃料通路37から燃料通路42に燃料が流れるように突出部41cの側壁面において燃料通路42を開口させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 流体流路及び弁座を有する弁ハウジングと、前記弁座に着座することによって前記流体流路を閉じ、前記弁座から離座することによって前記流体流路を開ける弁体と、閉弁方向に前記弁体を付勢するコイルスプリングと、前記弁座から所定距離離間して設けられ前記コイルスプリングの軸方向に前記弁体と当接可能な弁ストッパと、前記弁体の前記コイルスプリングの径方向移動量を制限する横揺れ防止ガイドと、を備えることを特徴とする逆止弁。 【請求項2】 弁室、弁座、及び前記弁室の反弁座側に開口し前記弁室より大径の収容孔を有する弁ハウジングと、前記弁座に着座することによって流体流入路を閉じ、前記弁座から離座することによって前記流体流入路を開ける弁体と、閉弁方向に前記弁体を付勢するコイルスプリングと、前記収容孔に収容され、前記弁室に突出し前記コイルスプリングの反弁座側端部を支持するスプリングストッパと、前記弁室の側壁面と対向する前記スプリングストッパの側壁面で前記弁室に開口し、前記弁室内の前記コイルスプリングの径方向外側を流通する流体を導出可能な流体流出路と、を備えることを特徴とする逆止弁。 【請求項3】 弁室、弁座、及び前記弁室の反弁座側に開口し前記弁室より大径の収容孔を有する弁ハウジングと、前記弁座に着座することによって流体流入路を閉じ、前記弁座から離座することによって前記流体流入路を開ける弁体と、閉弁方向に前記弁体を付勢するコイルスプリングと、前記収容孔に収容され、前記弁室に突出し前記コイルスプリングの反弁座側端部を支持するスプリングストッパと、前記弁室の側壁面と対向する前記スプリングストッパの側壁面で前記弁室に開口し、前記弁室内の前記コイルスプリングの径方向外側を流通する流体を導出可能な流体流出路と、前記スプリングストッパから弁座側に突出し前記コイルスプリングの軸方向に前記弁体と当接可能な弁ストッパと、前記弁体の前記コイルスプリングの径方向移動量を制限する横揺れ防止ガイドと、を備えることを特徴とする逆止弁。 【請求項4】 前記コイルスプリングは前記弁体側が小径の円錐台形状であることを特徴とする請求項1、2または3記載の逆止弁。 【請求項5】 駆動軸とともに回転するカムと、前記カムの外周に周方向に複数配設され、前記カムの回転にともない往復移動することにより燃料加圧室に吸入した燃料を加圧し、燃料圧送通路に送出する可動部材と、前記可動部材を往復移動自在に支持するポンプハウジングと、前記燃料圧送通路に設けられる請求項1〜4のいずれか一項記載の逆止弁と、を備えることを特徴とする燃料噴射ポンプ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、逆止弁及びそれを用いた内燃機関(以下、「内燃機関」をエンジンという。)用の燃料噴射ポンプに関する。 【0002】 【従来の技術】従来、流体流路において流体を一方向にのみ流通させる逆止弁が知られている。このような逆止弁は、例えばエンジン用の燃料噴射ポンプに備えられる。エンジン用の燃料噴射ポンプとこれに備えられている逆止弁の従来例を図5〜図6に示す。 【0003】図5に示す燃料噴射ポンプは、カム114の外周にプランジャ117を配設し、フィードポンプ101から供給される低圧燃料を加圧してコモンレールに圧送する所謂星形ポンプである。プランジャ117が下死点側に移動して燃料加圧室105が吸入側燃料通路120より低圧になると、ボール弁103が弁座119から離座し燃料が燃料加圧室105に吸入される。プランジャ117が下死点から上死点側に移動すると、ボール弁103はスプリング104に付勢されて弁座119に着座し、燃料加圧室105が高圧になると、燃料配管を通じてコモンレールに燃料が送出される。 【0004】図5に示す燃料噴射ポンプの吐出側燃料通路121に設けられている逆止弁の開弁状態を図6に示す。この逆止弁は、ポンプハウジング113に形成されている弁室111に収容されたボール弁106によって、燃料加圧室105に燃料が逆流することを防止する。 【0005】ボール弁はコイルスプリング107によって閉弁方向に付勢され、コイルスプリング107は接続部材109によって支持されている。接続部材109は、コイルスプリング107のセット荷重を設定する部材であって、コモンレールに燃料を圧送するための燃料配管が接続される。接続部材109は、ポンプハウジング113に形成されている収容孔108にねじ込まれており、燃料通路110を形成している。この燃料通路110は、接続部材109の弁室側の端面においてコイルスプリング107の内側の部位で弁室111に開口している。 【0006】燃料加圧室105に通じる吐出側燃料通路121が高圧になると、ボール弁106が弁座112から離座して弁室111に燃料が流入する。弁室111に流入した燃料は、図6の矢印で示すようにコイルスプリング107の巻線間隙間を通じてコイルスプリング107の内側空間に流入し、燃料通路110から燃料配管に送出される。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、燃料噴射ポンプの吐出側燃料通路等の流体が高速に流通する流路に逆止弁が設けられる場合、次のような問題がある。例えば図5に示す燃料噴射ポンプの吐出側燃料通路121には燃料が高速に流通しているため、ボール弁106及びコイルスプリング107にスプリング軸と垂直方向の横揺れが発生する。このようなボール弁106及びコイルスプリング107の横揺れは、ボール弁106とコイルスプリング107との当接部位における摩耗、コイルスプリング107と接続部材109との当接部位における摩耗及びコイルスプリング107の疲労を増大させている。さらに、ボール弁106が横揺れしながら閉弁することにより、弁座112とボール弁106との摩耗を増大させている。このような逆止弁における部材の摩耗及び疲労は、スプリングの強度低下並びに弁の気密性低下及び応答性不良を発生させるおそれがあり、逆止弁の耐久性及び信頼性を低減させる要因となっている。 【0008】本発明は、弁体及びコイルスプリングの横揺れを防止することによって耐久性及び信頼性を向上させた逆止弁及びそれを用いた燃料噴射ポンプを提供することを目的とする。本発明の別の目的は、コイルスプリングの強度、弁の気密性及び応答性を向上する構造をもつ逆止弁及びそれを用いた燃料噴射ポンプを提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の逆止弁によると、弁体と当接可能な弁ストッパを弁座から下流側に所定距離離間して設けることによって、最大流量を規制することなく弁体のリフト量を制限している。このため、弁体を付勢しているコイルスプリングが縮みきることによって巻線同士が摩耗することを防止し、また、コイルスプリングが座屈することを防止してコイルスプリングの疲労を抑制することができる。 【0010】さらに、弁体のコイルスプリングの径方向移動量を制限する横揺れ防止ガイドを備えることによって、弁体及びコイルスプリングの横揺れを抑制している。このため、弁体とコイルスプリングとの当接部位における摩耗、コイルスプリングの疲労、及び弁体と弁座の摩耗を抑制することができる。 【0011】このような横揺れ防止ガイドは、例えば、弁ハウジングに形成されるテーパ状の弁座のシート部位よりコイルスプリング側に弁座のテーパ面を延ばし、この延ばしたテーパ面で弁体に許容する径方向移動空間を仕切るように、弁座と一体に形成することができる。また、例えば、弁座近傍の弁室側壁面から突出させるようにして横揺れ防止ガイドを形成することができる。また、例えば、弁座側の弁室内径が反弁座側の弁室内径より小さくなるように弁室側壁面を段付きにして横揺れ防止ガイドを形成することができる。 【0012】したがって、上述したように、弁体及びコイルスプリングの横揺れが抑制されることによって、弁体とコイルスプリングとの当接部位における摩耗、コイルスプリングの疲労、及び弁体と弁座の摩耗が抑制され、コイルスプリングの強度と、逆止弁の気密性、応答性、耐久性及び信頼性とを向上させることができる。 【0013】本発明の請求項2記載の逆止弁によると、弁室の反弁座側に開口し弁室より大径の収容孔に収容されコイルスプリングの反弁座側端部を支持するスプリングストッパを弁室に突出させることによって、弁室の側壁面と対向するスプリングストッパの側壁面において流体流出路を開口させることが可能となっている。流体流出路は、弁室の側壁面と対向するスプリングストッパの側壁面において、弁室内のコイルスプリングの外側を流通する流体が流出可能な位置で弁室に開口している。尚、ここでいう弁室の側壁面及びスプリングストッパの側壁面とは、コイルスプリングの軸と平行な弁室及びスプリングストッパの壁面をいう。 【0014】弁室内の流体は、コイルスプリングの径方向内側を通らずに、すなわちコイルスプリングの巻線間隙間を通らずに、流体流入路から流体流出路に流れるため、流体がコイルスプリングの巻線間隙間を高速で流れることによってコイルスプリングに発生する振動を抑制することができる。したがって、弁体及びコイルスプリングの横揺れが抑制され、弁体とコイルスプリングとの当接部位における摩耗、コイルスプリングの疲労、及び弁体と弁座の摩耗が抑制され、逆止弁の耐久性及び信頼性を向上させることができる。 【0015】また、弁室内の流体は、コイルスプリングの巻線間隙間を通らずに流体流入路から流体流出路に流れるため、弁体のリフト量が増大するに従ってコイルスプリングの巻線間隙間が詰まったとしても、弁室内で流体に作用する抵抗が増大することはない。すなわち、弁室内に流入する流体の流量に関わらず、滞りなく流体流出路から流体を送出することができる。また、コイルスプリングの巻線間隙間またはコイルスプリングの軸長を小さくすることができる。 【0016】また、弁室と収容孔との開口部を閉塞しているスプリングストッパの端面において流体流出路が開口してしないため、弁室と収容孔との開口部を閉塞しているスプリングストッパの端面の面積を小さくすることができる。したがって、収容孔への燃料リーク圧が小さくなり、弁室のシール性を向上させることができる。 【0017】本発明の請求項3記載の逆止弁によると、流体流出路は、弁室の側壁面と対向するスプリングストッパの側壁面において、弁室内のコイルスプリングの外側を流通する流体が流出可能な位置で弁室に開口し、さらに、横揺れ防止ガイドは、弁体のコイルスプリングの径方向移動量を制限する。このため、弁体及びコイルスプリングの横揺れを抑制する効果を相乗的に向上させることができ、また、弁室のシール性を向上させることができる。 【0018】また、スプリングストッパから弁座側に突出し前記コイルスプリングの軸方向に前記弁体と当接可能な弁ストッパを設けることによって、弁体のリフト量を制限しているため、コイルスプリングの巻線同士の摩耗を防止し、また、コイルスプリングの座屈を防止してコイルスプリングの疲労を抑制することができる。したがって、逆止弁の耐久性及び信頼性をさらに向上させることができる。 【0019】本発明の請求項4記載の逆止弁によると、コイルスプリングは弁体側が小径の円錐台形状であるため、弁体及びコイルスプリングの横揺れをさらに抑制することができる。 【0020】本発明の請求項5記載の燃料噴射ポンプによると、燃料圧送通路に請求項1〜4のいずれか一項記載の逆止弁を設けているため、耐久性及び信頼性を向上させることができる。尚、ポンプハウジングと逆止弁の弁ハウジングは、一体に形成されるものであってもよく、別体に形成されるものであってもよい。 【0021】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を示す実施例を図に基づいて説明する。本発明の実施例によるディーゼルエンジン用の燃料噴射ポンプ、並びにこれに燃料を供給するためのフィードポンプ及び燃料調量電磁弁を図3に示す。 【0022】フィードポンプ10は図示しない燃料タンクから吸入した燃料を加圧し燃料配管12を通じて燃料噴射ポンプ1に燃料を送出する装置である。燃料調量電磁弁11は、燃料配管12と燃料噴射ポンプ1の燃料通路21との連通を断続するために設けられており、燃料噴射ポンプ1に吸入される燃料量をエンジン運転状態に応じて調量する装置である。 【0023】燃料噴射ポンプ1のポンプハウジング44は、可動部材としてのプランジャ31を往復移動自在に支持している。ポンプハウジング44の内周面とプランジャ31の端面とにより燃料加圧室30が形成される。ポンプハウジング44は、燃料調量電磁弁11を介してフィードポンプ10から圧送される燃料を燃料加圧室30に導入するための燃料通路21、24、弁室26を形成している。弁室26には、燃料加圧室30から燃料通路21に燃料が逆流することを防止するためのボール弁22が設けられている。ボール弁22は、弁座25に離着座することによって燃料通路21と燃料加圧室30との連通を断続するものである。ボール弁22はコイルスプリング23によって弁座25側に付勢されている。 【0024】プランジャ31を往復駆動するための駆動軸36はポンプハウジング44に回転可能に支持されている。断面円形状のカム35は駆動軸36に対し偏心して一体に形成されている。 【0025】プランジャ31は、駆動軸36の回転にともないシュー34を介してカム35により往復駆動され、燃料通路21、24を通じて燃料加圧室30に吸入した燃料を加圧する。プランジャ31に対して駆動軸36を挟んで180°反対側に図示しない別のプランジャが配置されている。すなわち、この燃料噴射ポンプ1は2つのプランジャを往復駆動することによって燃料を圧送するものである。 【0026】シュー34は外形が一部を切り欠いた円形状に形成されている。プランジャヘッド33と対向するシュー34の外周面とプランジャヘッド33の端面とは平面状に形成され、シュー34とプランジャヘッド33との間にブッシュ19が介在している。シュー34およびプランジャヘッド33のそれぞれの接触面を平面状に形成することにより、シュー34とプランジャヘッド33との面圧を低下させている。シュー34は、カム35の回転にともなってカム35と摺動し、自転することなく公転する。 【0027】スプリング32は一端がポンプハウジング44に当接し他端がプランジャヘッド33に当接している。スプリング32はシュー34側にプランジャ31を付勢している。 【0028】燃料吐出側の燃料通路37はポンプハウジング44に直線状に形成されており、燃料加圧室30に開口している。燃料通路37の下流側には燃料通路37よりも流路面積の大きい円孔形状の弁室43が形成されており、弁室43に弁体としてのボール弁38が収容されている。ボール弁38はコイルスプリング39によって閉弁方向に付勢されている。弁室43の下流側に弁室43よりも内径の大きい円孔形状の収容孔40が形成されている。収容孔40はポンプハウジング44の外周壁に開口している。収容孔40には、燃料配管接続用の接続部材41がねじ結合されている。 【0029】スプリングストッパとしての接続部材41は内部に流体流出路としての燃料通路42を形成しており、燃料配管により図示しないコモンレールと接続されている。燃料噴射ポンプ1で加圧された燃料は燃料通路42からコモンレールに供給される。燃料通路42は燃料通路37とほぼ同一直線上に形成され、弁室43に開口している。燃料通路37、弁室43及び燃料通路42は特許請求の範囲に記載された流体流路を構成している。 【0030】本実施例において、特許請求の範囲に記載された逆止弁は、ポンプハウジング44、ボール弁38、コイルスプリング39、及び接続部材41によって構成されている。以下、図1及び図2に基づき逆止弁を構成するこれらの各部材について説明する。 【0031】図2に示すように、弁座45は流体流入路としての燃料通路37の下流側に形成されている。弁座45はテーパ状であってテーパ面の傾斜角θが約60度になるように形成されている。また、弁座45のシート位置Aと弁座45の縁位置Bとの距離L1は、図1に示すようにボール弁38が後述する弁ストッパ41dに当接している状態で弁座45のテーパ面がボール弁38に被るように決められている。したがって、ボール弁38は、コイルスプリング39の軸と垂直な方向の移動量が弁座45によって制限される。尚、弁座45は特許請求の範囲に記載された横揺れ防止ガイドとして作用する。 【0032】接続部材41は、収容孔40にねじ結合される円柱形状の接続部41bと、接続部41bから弁室43に突出している円柱形状の突出部41cと、突出部41cから弁座45側に突出している円錐台形状の弁ストッパ41dとを形成している。接続部41b及び突出部41cは特許請求の範囲に記載されたスプリングストッパを構成している。図2に示す突出部41cの側壁面と弁室43の側壁面との隙間L3は、隙間L3における流路面積が燃料通路37における流路面積より小さくならない範囲で決められている。 【0033】燃料通路42は、突出部41cの側壁面に開口している連通部42aを通じて弁室43と連通している。このように弁室側壁面に対向する接続部材41の側壁面に燃料通路42の開口部を形成することによって弁室43のシール性が向上する。このことを説明するための比較例を図4に示す。図4に示す逆止弁は比較のために燃料通路以外の構造を本実施例の逆止弁の構造と同一としたものである。 【0034】弁室431と収容孔401との開口部を閉塞している接続部411の端面411aにおいて燃料通路421を弁室431に開口させる場合、突出部411cの側壁面と弁室431の側壁面との隙間L4をある程度広くとる必要がある。このため、弁室431と収容孔401との開口部を閉塞している接続部411の端面411aの面積が大きくなる。したがって、収容孔401への燃料リーク圧が高くなり、弁室431から収容孔401に燃料がリークしやすくなる。 【0035】この比較例に対し、本実施例では図2に示すように弁室43と収容孔40との開口部を閉塞している接続部41の端面41aに燃料通路42の開口部を形成していないため、弁室43と収容孔40との開口部を閉塞している接続部41の端面41aの面積を小さくすることができる。したがって、収容孔40への燃料リーク圧が小さくなり、弁室43のシール性を向上させることができる。尚、連通部42aは突出部41cの側壁面に垂直である必要はなく、開口部から下流側に傾斜した形状であってもよい。 【0036】弁ストッパ41dは、ボール弁38のフルリフト量L2を決める部材である。弁ストッパ41dの弁座側端面41eと弁座45のシート位置Aとの距離及びボール弁38の直径によってボール弁38のフルリフト量L2が決まる。ボール弁38のフルリフト量L2は、図1に示すフルリフト位置にあるときのボール弁38と弁座45との隙間S1における流路面積が燃料通路37における流路面積とほぼ等しくなるように決められている。尚、弁ストッパ41dの弁座側端面41eをすり鉢状にしてもよい。この場合、ボール弁38がフルリフト位置にあるときにボール弁38の挙動を安定させることができる。 【0037】尚、θ、L1、L2、ボール弁の直径は燃料流れの抵抗、コイルスプリング39に許容する横揺れ量、燃料噴射ポンプ1に占める逆止弁の体格等の要素を勘案して定めるものである。一般に、θを小さくすると逆止弁の径方向長さを小さくすることができ、θ及びL2を大きくすると燃料流れの抵抗を小さくすることができ、θ及びL2を小さくするとコイルスプリング39の横揺れ量を小さくすることができる。したがって、逆止弁に要求される性質に応じてθ、L1、L2を変更することができる。 【0038】コイルスプリング39は、弁ストッパ41dの周囲に設けられ一端が突出部41cの端面に当接し、他端がボール弁38に当接している。コイルスプリング39は、ボール弁38の横揺れを防止するためにボール弁側が小径の円錐台形状となっている。コイルスプリング39は、図1に示すようにボール弁38がフルリフトしたとしても縮みきることがないようにピッチと長さを決められている。尚、巻線間隙間を通じて燃料を流通させる必要がないため、巻線間隙間の小さいコイルスプリングまたは軸方向長さの短いコイルスプリングを用いてもよい。また、コイルスプリングは円柱形状のものであってもよい。ボール弁38の横揺れは弁座45によっても防止されるからである。以上、逆止弁を構成する各部材について説明した。 【0039】次に、図3に基づいて燃料噴射ポンプ1の作動について説明する。駆動軸36の回転に伴いカム35が回転し、カム35の回転に伴いシュー34が自転することなく公転する。このシュー34の公転に伴いシュー34およびプランジャヘッド33に形成されている平面状の接触面同士が摺動することによりプランジャ31が往復移動する。 【0040】シュー34の公転に伴い上死点にあるプランジャ31が下降すると、フィードポンプ10から送出される燃料が燃料調量電磁弁11の制御によって調量され、ボール弁22が燃料通路21を開けることによって、その調量された燃料が燃料通路21から燃料加圧室30に流入する。下死点に達したプランジャ31が再び上死点に向けて上昇すると、ボール弁22が燃料通路21を閉じ燃料加圧室30の燃料圧力が上昇する。燃料加圧室30の燃料圧力が弁室43の燃料圧力より上昇するとボール弁38が開弁する。燃料通路37から弁室43に流入した燃料は、コイルスプリング39の外側を通って燃料通路42から燃料配管に送出され図示しないコモンレールに供給される。コモンレールは燃料噴射ポンプ1から供給される圧力変動のある燃料を蓄圧し一定圧に保持する。コモンレールから図示しないインジェクタに高圧燃料が供給される。 【0041】次に、図1、図2に基づいて燃料圧送行程における逆止弁の作動を説明する。上述したように燃料加圧室30の燃料圧力が弁室43の燃料圧力より上昇するとボール弁38が開弁する。開弁時のボール弁38のリフト量はエンジン回転数の上昇に伴って増大する。開弁時には燃料通路37から弁室43に燃料が高速で流入するため、乱流によってコイルスプリング39の軸と垂直でない力がボール弁38及びコイルスプリング39に作用し、ボール弁38及びコイルスプリング39に横揺れが発生する。しかしながら、ボール弁38がリフトし始めてからフルリフトするまで弁座38のテーパ面がボール弁38に被った状態にあるため、ボール弁38及びコイルスプリング39の横揺れが抑制される。すなわち、ボール弁38が弁座45のテーパ面に衝突することによってボール弁38及びコイルスプリング39の横揺れが抑制される。 【0042】また、ボール弁38及びコイルスプリング39の横揺れは、燃料通路42が突出部41cの側面において開口していることによっても抑制されている。すなわち、燃料通路37から弁室43に流入した燃料をコイルスプリング39の巻線間隙間を通すことなく燃料通路42に流すことができるため、燃料がコイルスプリング39の巻線間隙間を高速に流通することによるコイルスプリング39の振動を抑制することができるからである。 【0043】本実施例の逆止弁によると、このようにボール弁38及びコイルスプリング39の横揺れが抑制されるため、ボール弁38とコイルスプリング39との当接部位における摩耗、コイルスプリング39の横揺れによる疲労、ボール弁38と弁座45の摩耗を抑制することができる。したがって、逆止弁の強度、気密性、応答性、耐久性及び信頼性を向上させることができる。また、ボール弁38の横揺れが抑制されるため、着座時のボール弁38と弁座45との動的なシール性を向上させることができる。 【0044】また、弁ストッパ41dによってボール弁38のフルリフト量が決められているため、コイルスプリング39が縮みきることによって巻線同士が摩耗することを防止し、また、コイルスプリング39が座屈することを防止してコイルスプリング39の疲労を抑制することができる。したがって、逆止弁の耐久性及び信頼性をさらに向上させることができる。 【0045】また、本実施例の逆止弁によると、コイルスプリング39の巻線間隙間を通らずに燃料通路37から燃料通路42に燃料が流れるため、ボール弁38のリフト量が増大するに従ってコイルスプリング39の巻線間隙間が詰まったとしても、弁室内で燃料に作用する流れ抵抗が増大することはない。すなわち、弁室内に流入する燃料の流量に関わらず、滞りなく燃料を流通させることができる。また、コイルスプリング39の巻線間隙間またはコイルスプリング39の軸長を小さくすることができる。 【0046】また、本実施例の逆止弁によると、弁室43と収容孔40との開口部を閉塞している接続部41bの端面41aにおいて燃料通路が開口していないため、弁室43のシール性が高い。 【0047】本実施例の逆止弁では、弁座45のテーパ面によってボール弁38及びコイルスプリング39の横揺れを抑制するとともに、燃料通路42を突出部41cの側面に開口させることによりボール弁38及びコイルスプリング39の横揺れをさらに抑制している。しかし、弁座45のテーパ面のみによってもボール弁38及びコイルスプリング39の横揺れを抑制することができ、また、燃料通路42を突出部41cの側面に開口させることのみによってもボール弁38及びコイルスプリング39の横揺れを抑制することができる。 【0048】また、本実施例の燃料噴射ポンプ1によると、燃料圧送通路に上述の逆止弁を設けているため、耐久性及び信頼性が高い。また、エンジンの回転数に関わらずポンプハウジングに滞りなく燃料を送出することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004260 【氏名又は名称】株式会社デンソー
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| 【出願日】 |
平成11年12月17日(1999.12.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093779 【弁理士】 【氏名又は名称】服部 雅紀
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| 【公開番号】 |
特開2001−173816(P2001−173816A) |
| 【公開日】 |
平成13年6月29日(2001.6.29) |
| 【出願番号】 |
特願平11−359039 |
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