| 【発明の名称】 |
弁装置、燃料噴射装置およびそれらの製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】山口 幸雄
【氏名】牧野 厚資
【氏名】岩崎 義人
【氏名】宮崎 武敏
【氏名】阿部 明
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| 【要約】 |
【課題】弁密度を向上することができる弁装置、燃料噴射装置およびそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】ノズルボディ20とバルブニードル30とを組み付け、弁座部21と当接部31とが当接している閉弁状態のときにバルブニードル30の反当接部側から軸線方向に当接部31側へ荷重を加える。荷重を加えると、当接部31が弁座部21へくい込み、弁座部21および当接部31が変形する。弁座部21および当接部31の変形により、弁座部21には溝部22が形成され、当接部31は溝部22の形状に対応する外部形状となる。その結果、溝部22の形状と当接部31の外部形状とはならされ、弁座部21と当接部31との間には隙間が発生しない。そのため、閉弁時における弁密度が向上し、所定外の時期に燃料が燃焼室内へ漏出することを防止できる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 弁座部が設けられている弁ボディと、前記弁座部に着座可能な当接部が設けられている弁部材と、前記弁座部に設けられ、前記当接部の外部形状と対応する形状に形成されている溝部と、を備えることを特徴とする弁装置。 【請求項2】 前記溝部は、前記弁ボディの内周面からの深さtが0.1μmから0.5μmであることを特徴とする請求項1記載の弁装置。 【請求項3】 噴孔の入口側に弁座部が設けられている弁ボディと、前記弁座部へ着座または前記弁座部から離座することにより前記噴孔からの燃料の噴射を断続する当接部が設けられている弁部材と、前記弁座部に設けられ、前記当接部の外部形状と対応する形状に形成されている溝部と、を備えることを特徴とする燃料噴射装置。 【請求項4】 前記溝部は、前記弁ボディの内周面からの深さtが0.1μmから0.5μmであることを特徴とする請求項3記載の燃料噴射装置。 【請求項5】 弁座部が設けられている弁ボディと、前記弁座部に着座可能な当接部が設けられている弁部材とを備える弁装置の製造方法であって、前記弁座部に前記当接部が着座した状態で、前記弁部材の反当接部側の端部から前記弁座部方向へ押圧する工程を含むことを特徴とする弁装置の製造方法。 【請求項6】 噴孔の入口側に弁座部が設けられている弁ボディと、前記弁座部へ着座または前記弁座部から離座することにより前記噴孔からの燃料の噴射を断続する当接部が設けられている弁部材とを備える燃料噴射装置の製造方法であって、前記弁ボディに前記弁部材を組み付ける組み付け工程と、前記弁座部に前記当接部が着座した状態で、前記弁部材の反当接部側の端部から前記弁座方向へ押圧する押圧工程と、を含むことを特徴とする燃料噴射装置の製造方法。 【請求項7】 前記押圧工程は、前記組み付け工程後に実施されることを特徴とする請求項6記載の燃料噴射装置の製造方法。 【請求項8】 前記組み付け工程と前記押圧工程との間に、前記弁部材を閉弁方向に付勢する付勢部材を前記弁ボディに組み付ける工程と、前記付勢部材の付勢力を調整する調整部材を前記弁ボディに組み付ける工程とをさらに含むことを特徴とする請求項7記載の燃料噴射装置の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、弁装置、内燃機関(以下、内燃機関を単に「エンジン」という。)の燃料噴射装置およびそれらの製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、弁ボディの弁座部に弁部材の当接部が着座または弁座部から当接部が離座することにより、弁座部と当接部との間を流通する流体を断続する弁装置が知られている。このような弁装置では、閉弁時に弁座部と当接部とを高精度に密閉させる、すなわち弁密度を向上させる必要がある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】例えば、エンジンに用いられる燃料噴射装置の燃料噴射弁の場合、弁密度が低いと燃料の漏れなどが生じ所定時期以外に燃料が燃焼室内へ流入するおそれがある。所定時期以外に燃料が燃焼室内へ流入すると、燃料が完全に燃焼されない。そのため、排出ガス中の炭化水素(HC)などが増加し、排出ガスの規制を満足することができない。 【0004】そこで、特開平8−105370号公報に開示される燃料噴射弁の製造方法のように、当接部の形状に対応した形状に成形された砥石を用いて当接部を高精度に加工し弁密度を高めている。しかしながら、特開平8−105370公報に開示される燃料噴射弁の製造方法によると、当接部が形成されている弁部材を単体で加工するため、弁部材単体を高精度に加工することは可能であっても、組み付け時における弁ボディの変形などにより弁座部と当接部との間に隙間が生じ、弁密度が低下するおそれがある。 【0005】燃料噴射弁に限らず弁装置の弁密度を向上させるためには、例えば弁座部と当接部との間に液状の砥粒を流し加工することが考えられる。しかし、その後の工程で洗浄工程などが必要となり、製造コストが増大するという問題がある。 【0006】そこで、本発明の目的は、弁密度を向上することができる弁装置および燃料噴射装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、製造コストが増大することなく弁密度を向上することができる弁装置および燃料噴射装置の製造方法を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の弁装置または請求項3記載の燃料噴射装置によると、弁座部には当接部の外部形状と対応する形状の溝部を備えている。当接部の外部形状と溝部の形状とは対応しているため、閉弁時には当接部が溝部を閉塞するような状態となる。したがって、閉弁時には弁座部と当接部との間に隙間が発生しないので、その隙間からの流体の漏出を防止でき、弁密度を向上することができる。 【0008】本発明の請求項2記載の弁装置または請求項4記載の燃料噴射装置によると、溝部は弁ボディの内周面からの深さが0.1μmから0.5μmである。したがって、開弁時に溝部を通過する流体の流通を阻害することなく、開弁後速やかに流体を流通させることができる。 【0009】本発明の請求項3記載の燃料噴射装置によると、弁座部には当接部の外部形状と対応する形状の溝部を備えている。そのため、弁密度が向上し、閉弁時に燃料が弁座部と当接部との間から燃焼室内へ漏出することを防止できる。しがって、燃料の不完全燃焼を防止し、エンジンから排出される排気ガスに含まれるHCを低減することができる。 【0010】本発明の請求項5記載の弁装置の製造方法または請求項6記載の燃料噴射装置の製造方法によると、弁座部に当接部が着座した状態で弁部材の反当接部側端部から弁座方向へ押圧する工程を含んでいる。弁部材を押圧することにより、弁座部および当接部の当接している部位同士が変形する。すなわち、弁座部には当接部の外部形状が転写され、当接部の外部形状は弁座部の転写された形状の部位を閉塞するような形状に変形する。そのため、弁座部と当接部との間に隙間が生じることがない。また、弁座部と当接部とは弁部材を押圧することで加工されるため、例えば高精度な研磨加工などが不要である。したがって、弁座部と当接部の加工に長時間を必要とせず、製造コストが増大することなく弁密度を向上することができる。 【0011】本発明の請求項7記載の燃料噴射装置の製造方法によると、弁ボディと弁部材との組み付けを実施した後に押圧工程は実施される。したがって、弁ボディと弁部材とを同時に加工することができるので、加工に長時間を必要としない。また、弁ボディと弁部材とを同時に加工することで、弁ボディおよび弁部材に隙間の発生を防止でき、弁密度を向上することができる。本発明の請求項8記載の燃料噴射装置の製造方法によると、押圧工程は弁ボディに付勢部材および調整部材を組み付けた後に実施することもできる。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を示す複数の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。 (第1実施例)本発明の弁装置をガソリンエンジンの燃料噴射装置に適用した第1実施例を図2および図3に示す。 【0013】燃料噴射装置としての燃料噴射弁1のケーシング10は、磁性パイプ11、固定鉄心12、電磁駆動装置40などを覆うモールド樹脂である。ノズルボディ20は磁性パイプ11とレーザ溶接などにより接合されている。弁部材としてのバルブニードル30は磁性パイプ11およびノズルボディ20の内部に往復移動可能に収容されており、バルブニードル30の当接部31はノズルボディ20に形成した弁座部21に着座可能である。磁性パイプ11およびノズルボディ20により弁ボディが構成されている。弁座部21には溝部22が形成されている。 【0014】バルブニードル30の反当接部側に設けられている接合部32は可動鉄心33と結合している。固定鉄心12と非磁性パイプ13、非磁性パイプ13と磁性パイプ11とはそれぞれレーザ溶接などにより接合されている。ノズルボディ20の燃焼室側端部に、薄い円板状に形成された噴孔部材23が配設されている。噴孔部材23には噴孔23aが形成されている。バルブニードル30の当接部31がノズルボディ20の弁座部21から離座すると、当接部31と弁座部21との間に形成される空隙を燃料が通過し、噴孔23aから燃料が噴射される。 【0015】図2に示すように固定鉄心12は略円筒形状であり、内部を燃料が流通可能である。固定鉄心12の反噴孔側の端部には、燃料に含まれている微細な不純物を除去するための濾過部材14が配設されている。また、固定鉄心12の内部には、調整部材としてのアジャスティングパイプ15が収容されている。アジャスティングパイプ15の噴孔側端部は、バルブニードル30を弁座部21方向へ付勢する付勢部材としてのスプリング16と当接している。 【0016】バルブニードル30の反噴孔側に電磁駆動装置40が配設されている。電磁駆動装置40は、コイル41、コイル41が巻回されたスプール42、ならびにスプール42の周囲を覆うように配設されている金属プレート43などから構成されている。また、磁性パイプ11、固定鉄心12、可動鉄心33、および金属プレート43により磁気回路が構成されている。コイル41に通電することにより、磁気回路に磁力が発生し、可動鉄心33とともにバルブニードル30を図2の上方に吸引する。 【0017】コイル41は、非磁性パイプ13を挟むように位置する磁性パイプ11および固定鉄心12のそれぞれの端部と非磁性パイプ13との周囲を覆うようにケーシング10内に位置している。コイル41はターミナル44と電気的に接続されており、ターミナル44に印加される電流がコイル41に加わる。 【0018】電磁駆動装置40のコイル41への通電がオンされると、コイル41に発生した電磁吸引力により、可動鉄心33が固定鉄心12側に吸引される。この電磁吸引力により可動鉄心33が固定鉄心12側に吸引されると、可動鉄心33とともにバルブニードル30が固定鉄心12側に移動し、バルブニードル30の当接部31がノズルボディ20の弁座部21から離座する。当接部31が弁座部21から離座すると、当接部31と弁座部21との間に空隙が形成され、この空隙を経由して噴孔23aから燃料が噴射される。 【0019】コイル41への通電がオフされ電磁吸引力が消滅すると、スプリング16の付勢力により可動鉄心33およびバルブニードル30が弁座部21側に移動し、当接部31が弁座部21に着座する。これにより、当接部31と弁座部21との間に形成されていた空隙が閉塞され、噴孔23aからの燃料の噴射が遮断される。 【0020】次に、弁座部21および当接部31について説明する。図1に示すように、ノズルボディ20の弁座部21とバルブニードル30の当接部31とは所定の角度差が生じるように設定されている。バルブニードル30には噴孔23a側の端部近傍に円柱部34と円錐台部35とが設けられている。この円柱部34と円錐台部35との円環状の接続部の近傍が当接部31となる。なお、図1および図4には弁座部21と当接部31との接続部の半径が比較的大きな曲面形状となるように示されているが、当接部31および溝部22の形状を誇張して表現したものであり、実際の形状は図1に示すよりも半径が小さな曲面形状となる。ノズルボディ20の内周部には、この当接部31と当接する弁座部21が環状に設けられている。 【0021】図1に示すように、弁座部21には当接部31の外部形状と対応する形状の溝部22が形成されている。溝部22はノズルボディ20の内周部に弁座部21と同様に環状に形成されている。図1および図4に示すように溝部22の形状は、バルブニードル30の当接部31の外部形状と対応している。すなわち、溝部22は当接部31の凸部形状が転写された凹部形状となっている。ノズルボディ20の内周面20aから溝部22の底部までの距離、すなわち溝部22の深さtは0.1μmから0.5μmとなるように形成されている。図4に示すように閉弁時には、バルブニードル30の当接部31がこの溝部22を閉塞するように弁座部21に着座する。 【0022】次に、燃料噴射弁の製造方法を説明する。 1. ノズルボディ20およびバルブニードル30など燃料噴射弁1の各部材を所定の形状に成形する。 2. 電磁駆動装置40、ならびに所定の形状に成形したノズルボディ20およびバルブニードル30など燃料噴射弁1の各部材を組み付け、燃料噴射弁の仮製品とする。 【0023】3. 図5に示すように燃料噴射弁の仮製品2を支持台3に載置する。支持台3に載置された燃料噴射弁の仮製品2は、弁座部21と当接部31とが当接した閉弁状態となっている。 4. 支持台3に載置された燃料噴射弁の仮製品2の固定鉄心12の内部に押圧ピン4を挿入する。この押圧ピン4の端部はバルブニードル30に当接させる。押圧ピン4は固定鉄心12の内部に挿入可能な棒状部材である。そして押圧ピン4の端部4aに荷重を加えることにより、バルブニードル30の当接部31方向へバルブニードル30を押圧する。 【0024】バルブニードル30を押圧することにより、当接部31は弁座部21へくい込んでいく。これにより、弁座部21には当接部31の外部形状が転写された図1に示すような溝部22が形成される。溝部22はノズルボディ20の内周部の全周にわたって形成される。また、バルブニードル30とノズルボディ20とは材質が同一であることから、その硬さも同一である。そのため、押圧により弁座部21に溝部22が形成されると同時に、当接部31の外部形状も変形する。その結果、バルブニードル30の当接部31の外部形状が溝部22に転写され、当接部31の外部形状と溝部22の形状とがならされる。 5. バルブニードル30の押圧が終了すると、磁性パイプ11の内部にスプリング16およびアジャスティングパイプ15、ならびに仮製品2にその他の部品を組み付け、燃料噴射弁1の製品とする。 【0025】以上説明したように第1実施例の燃料噴射弁1では、ノズルボディ20とバルブニードル30とを組み付け、弁座部21と当接部31とが当接している閉弁状態のときにバルブニードル30の反当接部側から軸線方向に当接部31側へ荷重を加えている。バルブニードル30に荷重を加えることにより、当接部31が弁座部21へくい込み、弁座部21および当接部31が変形する。弁座部21および当接部31の変形により、図1に示すように弁座部21には溝部22が形成され、当接部31は溝部22の形状に対応する外部形状となる。その結果、溝部22の形状と当接部31の外部形状とはならされ、弁座部21と当接部31との間には隙間が発生しない。そのため、図4に示すような閉弁時における弁密度が向上し、所定外の時期に燃料が燃焼室内へ漏出することを防止できる。したがって、燃料の不完全燃焼を防止することができ、排出ガス中に含まれるHCを低減することができる。 【0026】また、弁座部21および当接部31が変形することにより、ノズルボディ20およびバルブニードル30の加工時の公差を吸収することができる。そのため、弁座部21および当接部31を高精度に加工する必要がない。また、ノズルボディ20とバルブニードル30とを同時に加工することができるので、閉弁時の弁密度の高めるための弁座部21および当接部31の加工に長時間を必要としない。したがって、低コストで弁密度の高い燃料噴射弁1を得ることができる。 【0027】さらに、溝部22はノズルボディ20の内周面20aからの深さtが0.1μmから0.5μmとなるように形成されている。そのため、燃料噴射弁1が図1に示すように開弁しているとき、溝部22によって弁座部21と当接部31との間の燃料の流通が阻害されることはない。したがって、燃料噴射弁1が開弁した後、燃料は弁座部21と当接部31との間に形成される空隙を速やかに流通することができる。 【0028】(第2実施例)本発明の第2実施例による燃料噴射弁の製造方法について説明する。第1実施例と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。第2実施例では、バルブニードル30を押圧する時期が上述の第1実施例と異なる。 【0029】第2実施例では、図6に示すように固定鉄心12の内部にスプリング16およびアジャスティングパイプ15を挿入し組み付け燃料噴射弁の仮製品5とした後、バルブニードル30を押圧する。 【0030】すなわち、スプリング16およびアジャスティングパイプ15を固定鉄心12の内部に挿入した後、スプリング16およびアジャスティングパイプ15の内側に押圧ピン6を通し、押圧ピン6を押圧する。押圧ピン6は、アジャスティングパイプ15およびスプリング16の内側に挿入されるため、第1実施例で説明した押圧ピンよりも外径が小さくなっている。 【0031】以上、複数の実施例では本発明の弁装置および弁装置の製造方法をガソリンエンジンの燃料噴射弁に適用した例について説明した。しかし、本発明の弁装置および弁装置の製造方法はガソリンエンジンの燃料噴射弁に限らず、ディーゼルエンジンの燃料噴射弁、またはオートマチックトランスミッションのリニアソレノイドあるいはオイルコントロールバルブなどの流量調整弁に適用することもできる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004260 【氏名又は名称】株式会社デンソー
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| 【出願日】 |
平成11年12月21日(1999.12.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093779 【弁理士】 【氏名又は名称】服部 雅紀
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| 【公開番号】 |
特開2001−173804(P2001−173804A) |
| 【公開日】 |
平成13年6月29日(2001.6.29) |
| 【出願番号】 |
特願平11−362767 |
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