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【発明の名称】 バルブスプール
【発明者】 【氏名】井原 健之

【氏名】住吉 始洋

【要約】 【課題】スプールランドにポートの溝幅を超えるオーバーラップ部が設けられたバルブスプールの低コスト化および寸法精度の向上を可能とする。

【解決手段】第1のスプールランド12が、バルブボディー側の油溝を開閉するとともにその溝幅と同一のランド幅W1を有する一般部15と、油溝における油の通流を許容しつつ一般部15の油溝への落ち込みを防止するオーバーラップ部17とを有するバルブスプール3である。一般部15とオーバーラップ部17との間に開口縁がテーパ状の区画溝21を設ける。区画溝21を形成する時点で、般部15とオーバーラップ部17との対向するエッジ部分にテーパ面21aが形成され、研磨、ショットピーニング等によるバリ取りを目的とした後加工が不要となる。また、バルブスプール3をアルミ製とする場合にあっては、バリ取りを目的とした手作業による後加工が不要となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 バルブボディーに収容されるとともに、ポートが連通するバルブボディーの溝の溝幅と同一のランド幅が設定されたスプールランドを備え、このスプールランドに、前記ポートにおける流体の通流を許容する形状のオーバーラップ部が前記ランド幅を超えて突設されたバルブスプールにおいて、前記スプールランドの一般部と前記オーバーラップ部との間に、双方を区画するとともに開口縁がテーパ状の区画溝を設けたことを特徴とするバルブスプール。
【請求項2】 前記オーバーラップ部が、予め前記ランド幅よりも大きな幅を確保されたスプールランドの周面に前記区画溝が形成されることにより前記一般部と隔成された後、流体の通流を許容する形状に形成されたことを特徴とする請求項1記載のバルブスプール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば油圧制御弁を構成するバルブスプールに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車用自動変速機の油圧回路には、例えば図4に示すような油圧制御弁1が用いられている。この油圧制御弁1は、バルブボディー2内に配置したスプール型の弁体すなわちバルブスプール3を、図示しないアクチュエータ(ソレノイド等)や、シフトレバーの操作力等によって軸方向へ動作し、変速制御油圧等の調圧や切換えを行うものである。
【0003】バルブボディー2には、その一端側(図4で左側)から順に第1のポート4、第2のポート5、第3のポート6、ドレンポート7が順に設けられ、バルブボディー2の内周面には、各ポート4〜7の内側の開口部を形成する第1〜第4の油溝8〜11が設けられている。また、これと対応してバルブスプール3には、前記第2のポート5を開閉する第1のスプールランド12と、前記ドレンポート7を開閉する第2のスプールランド13とが設けられおり、他端側には前述したアクチュエータ等に連結されるスプールロッド14が延出している。
【0004】また、第1及び第2のスプールランド12,13のランド幅W1,W2は、各々が対応した第2の油溝5及び第4の油溝7の溝幅W3,W4と同一に設定されている。このため、第1のスプールランド12の一端側と第2のスプールランド13の他端側には、油路を開閉する基本機能を有する一般部15,16に連続して、周囲のクリアランスに起因する各ランド12,13の各油溝5,7への落込みを防止するオーバーラップ部17,18が形成されている。各オーバーラップ部17,18は、スプールランド12,13の幅を予め僅かに大きく加工した後、ランド幅W1,W2を越える部分の軸を隔てた両側周面を削り取ることにより、端面形状が樽形となるよう形成されたものであり(図5参照)、これにより各オーバーラップ部17,18の周囲における油の流れが可能となっている。
【0005】一方、かかるバルブスプール3においても、一般のバルブスプールと同様にバルブボーディー2に対して滑らかに摺動することが必要である。したがって、その製造に際しては、スプールランド12,13及びオーバーラップ部17,18の加工時に各々のエッジ部分に生じたバリを確実に除去することが要求されている。また、バリの除去は、第1及び第2のスプールランド12,13におけるオーバーラップ部17,18が突設された側のエッジ部分については機械加工が困難であることから、一般には、例えばバレル研磨、ショットピーニングによるバリ取り方法が実施されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述したバルブスプール3にあっては、通常のバルブスプールと同様、調圧値や油圧切換位置の精度を確保するためにはスプールランド12,13のランド幅W1,W2に高い寸法精度が要求されるが、バレル研磨、ショットピーニング等によってバリを除去する場合、スプールランド12,13のランド幅W1,W2にバラツキが生じてしまい、前記ランド幅W1,W2の寸法管理を厳密に行うことができなかった。
【0007】また、前述したバリ取り方法は、バルブスプール3が鉄製であってその表面が硬質である場合には有効であるが、例えばそれがアルミ製等のように、上記バリ取り方法に耐え得る程度の硬さを有していない素材からなる場合には、表面にキズが生じるため採用することができない。したがって、そのような場合には、前述した面取り加工を手作業で行わざるを得ずバルブスプールの低コスト化を妨げる要因となっていた。
【0008】本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、スプールランドにポートの溝幅を超えるオーバーラップ部が設けられていても、低コスト化および寸法精度の向上が可能であり、しかも幅広い素材に対応可能なバルブスプールを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために本発明にあっては、主として、バルブボディーに収容されるとともに、ポートが連通するバルブボディーの溝の溝幅と同一のランド幅が設定されたスプールランドを備え、このスプールランドに、前記ポートにおける流体の通流を許容する形状のオーバーラップ部が前記ランド幅を超えて突設されたバルブスプールにおいて、前記スプールランドの一般部と前記オーバーラップ部との間に、双方を区画するとともに開口縁がテーパ状の区画溝を設けたものとした。
【0010】かかる構成においては、区画溝の開口縁がテーパ状であるため、区画溝を設ける時点でスプールランドの一般部におけるオーバーラップ部側のエッジ部分がテーパ状となるため、バレル研磨、ショットピーニング等によるバリ取りを目的とした後加工が不要となる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図にしたがって説明する。図1は、従来技術で図4により説明した油圧制御弁1のバルブスプール3に本発明を採用した場合における、バルブスプール3の一端側の端部を示す要部拡大図である。
【0012】本実施の形態のバルブスプール3においても、第1のスプールランド12が、前述した第2の油溝9の溝幅W3と同一のランド幅W1を有する一般部15と、第2の油溝9(第2のポート5)における油の通流を許容しつつ、第1のスプールランド12の第2の油溝9への落ち込みを防止するオーバーラップ部17とを有している。一方、本実施の形態においては、一般部15とオーバーラップ部17との間に、両者を区画する開口縁がテーパ状の区画溝21が形成されている。また、オーバーラップ部17は図2に示した手順によって第1のスプールランド12に形成されている。すなわちオーバーラップ部17は、第1のスプールランド12の幅W0を前記ランド幅W1より予め僅かに大きくしておき、その周面12にバイトによって断面V字形の区画溝21を全周に亙って切削した後(図2のa参照)、ランド幅W1を越える部分の軸を隔てた両側周面を削り取ることによって(図2のb参照)、従来技術で説明したものと同様に、端面形状が樽形となるよう形成されている。これにより、第1のスプールランド12とオーバーラップ部17との相対向するエッジ部分にはテーパ面21aが形成されている。なお、図示しないが、バルブスプール3の他端側に位置する前述した第2のスプールランド13にも、上記と同様にしてオーバーラップ部18が形成されている。
【0013】かかる構成からなる本実施の形態においては、区画溝21が断面V字形であるため、第1のスプールランド12にオーバーラップ部17を形成する時点で、一般部15のオーバーラップ部17側に位置するエッジ部分、及びそれと対向するオーバーラップ部17のエッジ部にテーパ面21aを設けることができる。したがって、オーバーラップ部17の形成後に前記エッジ部分に、バレル研磨、ショットピーニング等によるバリ取りを目的とした後加工が不要となる。よって、加工コストの削減によるバルブスプール3の低コスト化が可能である。特に、バルブスプール3が、バレル研磨、ショットピーニング等によってバリ取りを行うことができないアルミ製等の場合であっても対応でき、その場合には、従来行われていた手作業によるバリ取り作業が不要であり上記効果が大である。また、バレル研磨、ショットピーニング等の後加工が不要であるため、第1のスプールランド12のランド幅W1を公差の範囲内で管理することが可能であり、ランド幅W1に高い寸法精度を確保することができる。
【0014】また、前記区画溝21は、開口縁がテーパ状であれば、V字形の以外の断面形状を有するものであってもよい。すなわち、図3は、本発明の他の実施の形態を示す図であって、バルブスプール3において、他の方法によりオーバーラップ部17を形成する場合の手順を示す図である。すなわち本実施の形態では、第1のスプールランド12の幅W0を前記ランド幅W1より予め僅かに大きくしておき、その周面12に角形バイトによって断面コ字形の矩形溝32をいったん切削した後(図3のa参照)、その開口縁を面取りバイトによってテーパ状に切削することにより(図3のb参照)、開口縁だけがテーパ状の区画溝31を形成する。しかる後、ランド幅W1を越える部分の軸を隔てた両側周面を削り取ることによって(図3のc参照)、端面形状が樽形のオーバーラップ部17を形成する。かかる場合においても、第1のスプールランド12にオーバーラップ部17を形成する時点で、一般部15とオーバーラップ部17との相対向するエッジ部分にはテーパ面31aがそれぞれ形成される。よって、図1及び図2に示した断面V字形の区画溝21を設ける場合と同様の効果が得られる。なお、バルブスプール3の低コスト化を図る点に関しては、断面V字形の区画溝21を設ける場合の方が、工数が少ないため有利である。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように本発明のバルブスプールにおいては、その製造時には、区画溝を設ける時点でスプールランドの一般部におけるオーバーラップ部側のエッジ部分がテーパ状となるため、バレル研磨、ショットピーニング等によるバリ取りを目的とした後加工が不要となるようにした。よって、スプールランドのランド幅を公差の範囲内で管理することができるため、その寸法精度を向上させることができる。同時に加工コストの削減による低コスト化が可能となる。しかもバルブスプールがアルミ等のように表面が比較的柔らかい素材からなる場合でも対応でき、その場合には、より一層の低コスト化が可能となる。つまり幅広い材質のものに適用可能である。
【出願人】 【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
【出願日】 平成11年12月13日(1999.12.13)
【代理人】 【識別番号】100088100
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 千明
【公開番号】 特開2001−165337(P2001−165337A)
【公開日】 平成13年6月22日(2001.6.22)
【出願番号】 特願平11−352726