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【発明の名称】 定圧レギュレータ
【発明者】 【氏名】花田 敏広

【氏名】吉野 研郎

【要約】 【課題】腐食性の高いまた発塵を嫌う薬液ラインに使用できる高精度の定圧レギュレータを提供する。

【解決手段】第1弁室9と流体流入口7を有する本体1と、第2弁室10と流体流出口8を有する蓋体2と、第1弁室の上部周縁に固定された第1ダイヤフラム3と、本体と蓋とによって挟持された第2ダイヤフラム4と、第1及び第2のダイヤフラムの中央に設けた環状接合部15,16に接合され軸方向に移動自在のスリーブ5と、第1弁室の底部に固定されスリーブ下端部との間に流体制御部20を形成するプラグ6とからなり、本体の内周面と第1及び第2のダイヤフラムとに包囲された気室11を有し、気室に連通するエア供給口12が設けられ、第2ダイヤフラム4の受圧面積が第1ダイヤフラム3の受圧面積より大となっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内部に第一の弁室、第一の弁室の上部に設けられた段差部及び第一の弁室と連通する流体流入口を有する円筒状の本体と、第二の弁室とそれに連通する流体流出口とを有し本体上部に接合される蓋体と、周縁部に設けられた環状突部が第一の弁室の上部周縁に設けられた接合部と接合された第一のダイヤフラムと、周縁部に設けられた環状突部が本体と蓋体とによって挟持された第二のダイヤフラムと、第一及び第二のダイヤフラムの中央に設けられた両環状接合部に接合され軸方向に移動自在となっているスリーブと、第一の弁室の底部に固定され該スリーブの下端部との間に流体制御部を形成しているプラグとからなり、また本体の段差部の内周面と第一及び第二のダイヤフラムとに包囲された気室を有し、第二のダイヤフラムの受圧面積が第一のダイヤフラムの受圧面積より大きく構成され、前記気室に連通するエア供給口が本体に設けられていることを特徴とする定圧レギュレータ。
【請求項2】 第一及び第二のダイヤフラム、スリーブ及び本体が一体で形成されていることを特徴とする請求項1記載の定圧レギュレータ。
【請求項3】 ダイヤフラムの材質がポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の定圧レギュレータ。
【請求項4】 第二の弁室とそれに連通した流体流出口との間にオリフィス部を設けていることを特徴とする請求項1,2,3のうちの1項に記載の定圧レギュレータ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一次側(上流側)の流体圧力が変動しても二次側(下流側)の流体圧力を一定に保つ定圧レギュレータに関するものであり、さらに詳しくは主として超純水ラインや各種化学薬液ラインで好適に用いられるコンパクトで安定した圧力制御が得られ、且つ発塵が少ない定圧レギュレータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の定圧レギュレータは図5に示すようなものが一般的であった。図において30は本体であり下部には第一弁室35が設けられており、側面に第一弁室35と連通した流体流入口37及び後記第二弁室36と連通した流出口38が設けられている。本体30の上部はダイヤフラム32と共に第二弁室36を形成している。31は蓋体でありダイヤフラム32とで気室39を形成しており、上部に気室39と連通したエア口42を有している。尚、気室39には常に一定のエア圧が加えられている。ダイヤフラム32の中央にはロッド33が接合されており、該ロッド33の先端には本体30の流路41の径より大径なるプラグ34が接合されている。
【0003】このような定圧レギュレータにおいて第二弁室36の流体圧力はダイヤフラム32に加わる力の釣り合いにより、気室39に与えられた圧力とほぼ同じに保たれている。一次側の流体圧力が増大した場合、二次側の圧力も増大し、気室39の圧力より流体圧の方が大きくなるためダイヤフラム32は上方へ押し上げられる。このときダイヤフラム32と接合されたロッド33及びプラグ34もこれにともなって上方へ移動し、プラグ34と本体との間で形成された制御部40の開口面積が小さくなり、制御部40を通過する流体の圧力損失が大きくなり、第二弁室36では再び気室内の圧力とほぼ同じ圧力にまで二次圧が低下する。一方、一次側の圧力が低下した場合では、流体圧より気室内の圧力の方が大きくなるので、ダイヤフラム32は下方へ押し下げられ、前記の場合とは逆に制御部40の開口面積が大きくなって、流体の圧力損失が小さくなり、第二弁室内の流体圧は再び気室内の圧力とほぼ同じ圧力にまで上昇する。以上のようにして従来の定圧レギュレータでは一次圧が変動しても二次圧が一定に保たれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の定圧レギュレータでは、流路内をロッドが貫通する構造となっているため、一次側の流体圧力の変動が頻繁に起こる場合や、圧力変動が大きな場合では、ロッドが傾いて圧力制御が不安定になったり、ロッドと本体が接触して摩耗や発塵が起こるという問題があった。また、微少流量に対応するためには、流路の径を小さくする必要があるが、このような構造では流路の径を小さくすれば、ロッドの径も細くしなければならず、ロッドの強度不足、加工・組立が困難であるといった問題もあった。
【0005】本発明は上記従来の定圧レギュレータの問題点に鑑みなされたもので、腐食性の高い薬液ラインや発塵を嫌う薬液ラインにおいても使用可能なコンパクトで高精度な定圧レギュレータを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の構成は内部に第一の弁室、第一の弁室の上部に設けられた段差部及び第一の弁室と連通する流体流入口を有する円筒状の本体と、第二の弁室とそれに連通する流体流出口とを有し本体上部に接合される蓋体と、周縁部に設けられた環状突部が第一の弁室の上部周縁に設けられた接合部と接合された第一のダイヤフラムと、周縁部に設けられた環状突部が本体と蓋体とによって挟持された第二のダイヤフラムと、第一及び第二のダイヤフラムの中央に設けられた両環状接合部に接合され軸方向に移動自在となっているスリーブと、第一の弁室の底部に固定され該スリーブの下端部との間に流体制御部を形成しているプラグとからなり、また本体の段差部の内周面と第一及び第二のダイヤフラムとに包囲された気室を有し、第二のダイヤフラムの受圧面積が第一のダイヤフラムの受圧面積より大きく構成され、前記気室に連通するエア供給口が本体に設けられていることを特徴とする。
【0007】また、前記第二の弁室とそれに連通した流体流出口との間にオリフィス部を設けたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施態様について図面を参照して説明するが、本発明が本実施態様に限定されないことは言うまでもない。
【0009】図1は本発明の定圧レギュレータの縦断面図である。図2は本発明の定圧レギュレータにおいて一次圧が上昇した状態を示す縦断面図である。
【0010】図において、1は円筒状の本体であり、側面には本体1の内部に設けられた第一の弁室9と連通している流体流入口7と後記気室11と連通しているエア供給口12とが設けられており、第一の弁室9の上部周縁には後記第一のダイヤフラム3の環状突部17が接合される接合部(環状切欠部)13を有している。更に第一の弁室9の上部には後記第一及び第二のダイヤフラムとともに後記気室11を形成する段差部21が設けられている。尚、該段差部21は本体1と必ずしも一体で形成する必要はなく、円環状の別部品で形成しても構わない。
【0011】2は蓋体であり、内部に第二の弁室10を有し外周側面には該第二の弁室10と連通した流出口8を有し、本体1の上端部とボルト等(図示せず)で接合されている。下端部の第二の弁室10の周縁部には後記第二のダイヤフラム4の環状突部18が嵌合される環状溝部14が設けられている。
【0012】3はドーナツ状に形成されたPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製の第一のダイヤフラムであり、中央部には環状接合部15が設けられており、また、外周縁部には断面矩形状の環状突部17が設けられている。第一のダイヤフラム3の環状接合部15の内周面には後記スリーブ5が螺着され、一方、環状突部17は本体1の内部に設けられた接合部13に接合されている。
【0013】4は同じくPTFE製の第二のダイヤフラムであり、前記第一のダイヤフラム3と同様に中央部には環状接合部16、外周縁部には断面矩形状の環状突部18が設けられている。環状突部18は蓋体2の環状溝部14に嵌合され且つ、蓋体2を本体1の上端面に接合させることにより、本体1と蓋体2とによって挟持されている。尚、第二のダイヤフラム4の受圧面積は前記第一ダイヤフラム3よりも十分に大きくなるように設計されている。
【0014】5は円筒状のスリーブであり、外周面には螺合部19が設けられており、該螺合部19が前記第一及び第二のダイヤフラム3,4の環状接合部15,16と螺着されることによって、両ダイヤフラムを一体化し、且つ軸方向に移動可能に保持されている。また、スリーブ5の内部は流体流路となっている。
【0015】6はプラグであり、第一の弁室9の底部に螺着等により固定されている。プラグ6の先端は、スリーブ5の下端面との間で流体制御部20を形成しており、スリーブ5の上下動にともなって流体制御部20の開口面積が変化し、第二の弁室10内部の圧力すなわち、二次圧を一定に保つよう設計されている。
【0016】11は本体1の段差部21及び第一、第二のダイヤフラム3,4の三者で囲まれて形成された気室である。気室11の内部には前記エア供給口12から圧縮空気または不活性ガス等が導入され、常に一定の圧力に保たれている。
【0017】以上の説明からわかるごとく、スリーブ5で一体化された第一、第二のダイヤフラム3,4は本体1に設けられた段差部21と蓋体2に設けられた第二の弁室10とに囲まれた空間に配置され、又、それにより気室11が形成された構造になっている。
【0018】尚、本体等の材質はPTFE,PFA等のフッ素樹脂が好適に使用されるが、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等のその他のプラスチック或いは金属でも良く特に限定されない。また第一及び第二のダイヤフラムの材質はPTFE等のフッ素樹脂が好適に使用されるが、ゴム及び金属でも良く特に限定されない。
【0019】次に本実施態様の定圧レギュレータの作動について説明する。
【0020】図1の状態において、第一のダイヤフラム3は第一の弁室9内部の圧力すなわち一次圧による上向きの力と、気室11内部の圧力による下向きの力を受けている。一方、第二のダイヤフラム4は第二の弁室10内部の圧力すなわち二次圧による下向きの力と、気室11内部の圧力による上向きの力を受けており、これら4つの力の釣り合いによって第一及び第二のダイヤフラム3,4と接合されているスリーブ5の位置が決定されている。スリーブ5はプラグ6との間に流体制御部20を形成しており、その面積によって二次側の流体圧力を制御している。
【0021】この状態において一次側の圧力が上昇した場合、一時的に二次側の圧力及び流量も増大する。このとき流体圧により第一のダイヤフラム3には上向きの力、第二のダイヤフラム4には下向きの力が働くが、第二のダイヤフラム4の受圧面積は第一のダイヤフラム3に比べ十分に大きく設計されているため、下向きの力の方が大きくなり、結果としてスリーブ5を下方へ押し下げることとなる(図2の状態)。これによって、流体制御部20の開口面積は減少し、二次側の流体圧力は瞬時に元の圧力まで低下し、再び気室11の内圧と流体圧による力の釣り合いが保たれる。通常、本発明の定圧レギュレータの下流側には、図示しない固定絞り或いはバルブが取り付けられている。固定絞り或いはバルブの下流側を大気開放としておけば、固定絞り或いはバルブ前後の差圧は常に一定に保たれることになり、固定絞り或いはバルブの流量係数に見合った流量が常に保たれることとなる。
【0022】一方、図2の状態において一次側の圧力が低下した場合、一時的に二次側の圧力及び流量も低下する。このとき第一及び第二のダイヤフラム3,4には気室11の内圧によってそれぞれ下向き及び上向きの力が働くが、この場合でも受圧面積は第二のダイヤフラム4の方が大きいため、上向きの力の方が優勢となって、スリーブ5の位置を上方へ押し上げることとなる。これによって、流体制御部20の開口面積は増大し(図1の状態)、二次側の流体圧力は瞬時に元の圧力まで上昇し、再び気室11の内圧と流体圧による力の釣り合いが保たれ、元の流量も保たれる。
【0023】以上のように一次圧が増減しても、瞬時にスリーブ5の位置が変化して、常に二次側の圧力が一定に保たれ、従って設定した流量を得ることができる。
【0024】尚、気室11の内圧を変更すれば、二次圧はそれに対応した値に保たれるため、下流側に設置された固定絞り或いはバルブに変更がなければ、設定流量を変更することができる。
【0025】次に本発明における定圧レギュレータの特性について説明する。
【0026】図6は本発明の定圧レギュレータの下流側に固定絞り(オリフィス径2mm)を設置し、レギュレータの一次側圧力を変化させたとき、二次側圧力がどのように変化するかを測定した結果を示している。図において実線及び破線は気室内の圧力をそれぞれ0.04MPa 及び0.08MPa とした場合を示している。どちらの場合も一次圧が上昇しても、二次圧は気室内の圧力とほぼ同じ圧力で一定となっている。
【0027】図3は本発明の第二の実施態様を示した縦断面図である。前記第一の実施態様と異なる点は第一及び第二のダイヤフラムとスリーブと本体とを全て一体で形成している点である。ここで、気室を形成している本体の段差部21は本体とは別部品としている。弁の作動については前記と同一であるので説明は省略する。
【0028】図4は本発明の第三の実施態様を示した縦断面図である。前記第一の実施態様と異なる点は第二の弁室10とそれに連通した流体流出口8との間にオリフィス部22を設けている点である。オリフィス部22の下流側を大気開放としておけば、一次側の圧力が変動してもオリフィス部前後の差圧は常に一定に保たれるため、オリフィス部22を通過する流量は一定となり、定流量弁として使用することができる。弁の作動については前記と同一であるので説明は省略する。
【0029】
【発明の効果】本発明の定圧レギュレータは以上説明したような構造をしており、これを使用することによって以下の優れた効果が得られる。
【0030】(1)従来品のようなロッド部がないので、動作中のロッドの傾きによる制御不良がなく、安定した圧力制御が得られる。
【0031】(2)接液する部材は全てPTFE等の耐薬品性に優れた材質を用いることができるため、その場合は不純物の溶出や薬液の汚染が極めて少ない。
【0032】(3)ロッド部がないので、摩耗・発塵がなく、コンパクトな製品でも、十分な部品強度が得られため、微少流量にも対応でき、且つ加工・組立も容易である。
【出願人】 【識別番号】000117102
【氏名又は名称】旭有機材工業株式会社
【出願日】 平成11年11月18日(1999.11.18)
【代理人】 【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬 (外4名)
【公開番号】 特開2001−141083(P2001−141083A)
【公開日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【出願番号】 特願平11−328512