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【発明の名称】 ソレノイド弁
【発明者】 【氏名】川島 芳徳

【要約】 【課題】調節栓による弁ばねのセット荷重の調整後、調節栓の固定を確実にすべく、それをかしめる際に調節栓に無用な軸方向変位が生じないようにする。

【解決手段】有底薄肉円筒状に形成した調節栓14をバルブ本体10の取付孔22に圧入して弁ばね13のセット荷重を調整し、調節栓14の周壁14aを、その一部がハウジング本体10に食込むようにかしめる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一端にソレノイド部(S)を付設したバルブ本体(10)の弁孔(11)に,ソレノイド部(S)に発生する電磁推力により一方向へ押圧されるスプール弁(12)を嵌装し,バルブ本体(10)の他端に形成した取付孔(22)に固定される調節栓(14)とスプール弁(12)との間に,該弁(12)を前記電磁推力と反対方向へ付勢する弁ばね(13)を縮設したソレノイド弁において,有底薄肉円筒状に形成した調節栓(14)をバルブ本体(10)の取付孔(22)に圧入し,この調節栓(14)を,その一部が前記取付孔(22)の内周壁に食込むようにかしめたことを特徴とする,ソレノイド弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,一端にソレノイド部を付設したバルブ本体の弁孔に,ソレノイド部に発生する電磁推力により一方向へ押圧されるスプール弁を嵌装し,バルブ本体の他端に形成した取付孔に固定される調節栓とスプール弁との間に,該弁を前記電磁推力と反対方向へ付勢する弁ばねを縮設したソレノイド弁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来,かゝるソレノイド弁において,調節栓をバルブ本体の取付孔に螺合して,その螺合深さにより弁ばねのセット荷重を調節し,その調節後,調節栓の螺合部をバルブ本体外側からかしめて固定することが知られている(例えば特開平2−129484号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,上記のようなソレノイド弁では,調節栓の螺合部の固定のために,かしめが不可欠であり,しかもそのかしめ時には,螺合部の微小間隙により調節栓が軸方向に多少とも変位して,調節済の弁ばねのセット荷重に狂いを生じることがある。
【0004】本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,弁ばねのセット荷重の調節後,調節栓の固定を確実にすべく,かしめを行っても調節栓に無用な変位を生じさせることがない前記ソレノイド弁を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために,本発明は,有底薄肉円筒状に形成した調節栓をバルブ本体の取付孔に圧入し,この調節栓を,その一部が前記取付孔の内周壁に食込むようにかしめたことを特徴とする。
【0006】
【作用】本発明によれば,調節栓の取入孔への圧入深さを加減することにより弁ばねのセット荷重を調整することができる。そして調節栓の取付孔内周壁への部分的な食込みにより調節栓の取付孔との結合強度を強めることができ,しかも調節栓は取付孔への圧入により既に固定されているから,かしめ時でも調節栓の無用な軸方向変位を防ぐことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下,本発明の実施の形態を,添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0008】添付図面において,図1は,本発明の実施例に係るソレノイドバルブの縦断面図,図2は図1の要部の拡大断面図,図3は図1の要部の変形例を示す拡大断面図,図4は図1の要部の別の変形例を示す拡大断面図である。
【0009】先ず,図1において,油圧制御用のソレノイド弁1は,リニアソレノイド部Sとバルブ部Vとからなる。リニアソレノイド部Sは,ハウジング3,コイル4,固定コア5,可動コア6,及びこの可動コア6の中心部に固設される出力杆7を備え,コイル4を流れる電流値に比例した電磁推力が可動コア6に発生して,出力杆7を図で左方へ作動するようになっている。出力杆7は固定コア5に設けた軸受8に摺動自在に支承される。
【0010】バルブ部Vは,固定コア5側でハウジング3とかしめ結合されるバルブ本体10と,このバルブ本体10に出力杆7と同軸状に形成された弁孔11に嵌装されて出力杆7の先端に当接するスプール弁12と,このスプール弁12を出力杆7との当接方向へ付勢する弁ばね13と,バルブ本体10に固定されて弁ばね13の外端を支承する調節栓14とから構成される。スプール弁体12の外端には,弁ばね13の内端が嵌合する短軸12aが形成される。
【0011】バルブ本体10には,リニアソレノイド部S側から順に第1〜第6ポート151 〜156 が設けられ,第1ポート151 は,出力杆7及びスプール弁12の当接部を収容するように形成されると共に,×印で示すように油溜に開放される。また第2〜第5ポート152 〜155 はそれぞれスプール弁12の外周を囲むように形成される。そして第4ポート154 は,油圧源16に連なる高圧油路17に接続され,第3ポート153 は,油圧作動部18に連なる制御油路19に接続され,第2,第5ポート152 ,155 は×印で示すように油溜に開放される。また第6ポート156 は,スプール弁12の外端が臨む反力室20に連通するように形成され,且つオリフィス21を介して制御油路19の途中に接続される。
【0012】而して,リニアソレノイド部Sの非通電時には,スプール弁12は弁ばね13の弾発力をもって,図1で右動限位置を占め,第3及び第4ポート153 ,154 間を遮断すると共に,第2及び第3ポート152 ,153 間を導通させるので,制御油路19は油溜に開放される。また,リニアソレノイド部Sの通電時には,その電流値に比例した電磁推力が可動コア6から出力杆7を介してスプール弁12に作用する。これに伴いスプール弁12が弁ばね12の反発力に抗して左方へ変位すると,第2及び第3ポート152 ,153 間を遮断すると共に,第3及び第4ポート153 ,154 間を導通させることにより,高圧油路17から制御油路19に油圧が供給される。そして,その油圧は,油圧作動部18に直ちに供給される外,オリフィス21を介して反力室20にも伝達し,その油圧による押圧力と弁ばね13の反発力とが反力としてスプール弁12に作用し,これを出力杆7側へ押圧する。その結果,スプール弁12は,出力杆7の電磁推力と上記反力との釣合いを図るように左右動し,油圧作動部18には,リニアソレノイド部Sに流れる電流値に比例した油圧を供給するようになる。
【0013】さて,調節栓14のバルブ本体10への取付構造について図2により説明する。バルブ本体10の外端部には,弁孔11と同軸状に大径の取付孔22が設けられ,これに調節栓14が取付けられる。この調節栓14は,金属板の絞り加工により,円筒状周壁14aの一端に閉塞端壁14bを連設して薄肉有底円筒状に成形される。その際,閉塞端壁14bには前記弁ばね13外端に嵌入する支持凸部23が同時に形成される。
【0014】この調節栓14はバルブ本体10の取付孔22に圧入されるものであって,その圧入後,調節栓14の周壁14aは,それを内側からかしめピン27で押圧することにより,取付孔22の内周壁に部分的に食込むようにかしめられる。即ち,両者の圧入嵌合面に互いに密合する凹,凸部25,26が形成される。
【0015】次に,この実施例の作用について説明する。
【0016】ソレノイド弁1のバルブ部Vの組立に際しては,先ずスプール弁12を取付孔22を通してバルブ本体10の弁孔11に挿入し,続いて弁ばね13を挿入して,その内端部をスプール弁12外端の短軸12aに嵌合する。次いで閉塞端壁14bの支持凸部23で弁ばね13の外端を支承しながら調節栓14の周壁14aを取付孔22に没入するまで圧入し,その圧入深さにより弁ばね13のセット荷重を調節する。この場合,第4ポート154 (入力ポート)に油圧源16を接続した状態でリニアソレノイド部Sに規定の電流を流して,第3ポート153 (出力ポート)の油圧を測定しながら調節栓14の取付孔22への圧入を徐々に進めていき,第3ポート153 の油圧が所定値まで低下したときが弁ばね13に所定のセット荷重が与えられたときであり,このとき調節栓14の圧入を止める。
【0017】調節栓14の圧入後は,前述のように調節栓14の周壁14aをその内側からかしめピン27で押圧することにより,両者の圧入嵌合面に互いに密合する凹,凸部25,26を形成して,調節栓14の固定をより確実にするのであるが,調節栓14は取入孔22への圧入により既に固定されているから,かしめピン27によるかしめ時でも調節栓14の無用な軸方向変位を防ぎ,弁ばね13のセット荷重の狂いを回避できる。また前記密合する凹,凸部25,26は,いずれもかしめ加工により初めて形成されるものであり,予め取付孔22内周面に設けた凹部に合せて調節栓14の周壁14aに凸部をかしめ形成するものと異なり,周壁14aにおけるかしめ位置の許容範囲が広く,かしめ加工を容易,確実に行うことができる。さらに取付孔22に没入した調節栓14は他物との衝突を回避できるから,位置ずれを起こすこともない。
【0018】図3は本発明の変形例を示すもので,調節栓14の閉塞端壁14bに弁ばね13の固定端を受容する支持凹部24を形成した点を除けば前記実施例と同様の構成であり,図中,前記実施例との対応部には同一符号を付す。
【0019】この変形例によれば,支持凹部24の深さ分だけ弁ばね13の長さを増加させ,ばね定数を低めに設定することができる。
【0020】図4は本発明の別の変形例を示すもので,取付孔22内面及び周壁14aにかしめ加工される凹,凸部25,26を環状に形成した点を除けば前記実施例と同様の構成であり,図中,前記実施例との対応部には同一の符号を付す。
【0021】この実施例によれば,かしめによる調節栓14の固定強度をより高めることができる。
【0022】本発明は,上記実施例及び変形例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱することなく,種々の設計変更が可能である。例えば,かしめにより形成される凹,凸部25,26を図2の半球状に代えて円錐状あるいは角錐状とすることもでき,またその形成個数は1個でも複数個でもよい。
【0023】
【発明の効果】以上のように本発明によれば,有底薄肉円筒状に形成した調節栓をバルブ本体の取付孔に圧入する際,その圧入深さを加減することにより,弁ばねのセット荷重を調整することができる。そして,この調節栓を,その一部が前記取付孔の内周壁に食込むようにかしめたので,かしめ時,既に調節栓は固定されていることから弁ばねのセット荷重を狂わすことなく,調節栓の固定強度を増大させることできる。
【出願人】 【識別番号】000141901
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン
【出願日】 平成7年5月1日(1995.5.1)
【代理人】 【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健 (外1名)
【公開番号】 特開2001−124231(P2001−124231A)
【公開日】 平成13年5月11日(2001.5.11)
【出願番号】 特願2000−299442(P2000−299442)