トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 弁 座
【発明者】 【氏名】斎藤 勉

【要約】 【課題】回動弁の弁座においてソフト弁座が、対応不可能な高温度領域まで使用可能な弁座構造を提供する。

【解決手段】広い範囲の温度領域や耐化学薬品性に優れたダイヤフラム環付き弁座構造とするものであり、弁座4を弁の弁箱1内に着脱可能に装着して、弁箱と弁座の接触部及び弁体3と弁座の摺動接触面で流体のシールを行う弁座であって、弁座本体に弁箱と弁箱蓋2との接合する個所をシールするガスケット6の役割を担うダイヤフラム環付き弁座の構造とする。弁座の背面からスプリング等で弾性を付加する構成又は弁座に着脱可能としたダイヤフラム環を取付けることによりダイヤフラム環が板バネの作用を発揮できるように構成する。弁座構成部材に耐摩耗性、機械的強度、不浸透性にすぐれた金属材料を適宜選択することに依り、耐化学薬品性や低温から高温に亘る広い範囲で使用可能とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】弁の弁箱内に装着して使用する回動弁などの弁座であり、弁箱と弁座の接触部及び弁体と弁座の摺動部で流体のシールを行う弁座に於いて、弁座本体に弁箱と弁箱蓋(キャップ)の接合部とシールするガスケットの役割を担うダイヤフラム環(鍔)を一体化した鍔付弁座。
【請求項2】弁座のダイヤフラム環を着脱可能にしたことを特徴とした特許請求範囲1項記載の弁座。
【請求項3】弁座の弁座背面から弾性を付加するためにスプリング(板バネ、コイ ルバネ等)を装着した事を特徴とする、特許請求範囲第1項及び第2項記載の弁座。
【請求項4】弁座のダイヤフラム環がバネ弾性を有するスプリング材を用いること を特徴とした特許請求範囲第1項〜第3項記載の弁座。
【請求項5】弁座の背面から弾性を付加するスプリング材に、耐熱性くり返し応力に高機能を発揮するCCM(炭素繊維強化炭素材料)を用いた事を特徴とした特許請求範囲第1項〜第4項記載の弁座。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、広い範囲の温度領域や耐化学薬品性に優れたダイヤフラム環付き、弁座に関するものである。
【0002】更に詳しくは、本発明弁座を、弁の弁箱内に着脱可能に装着して、弁箱と弁座の接触部及び弁体と弁座の摺動接触面で流体のシールを行う弁座であって、弁座本体に弁箱と弁箱蓋(ボディーキャップ)との接合する個所をシールするガスケットの役割を担うダイヤフラム環付き弁座の構造と材料に関するものである。
【0003】
【従来の技術及びその問題点】弁の弁箱内に着脱可能に装着して使用する弁座であって、弁箱との接触面及び弁体との摺動接触面で流体をシールする弁座(以下弁座という)は回動弁のうち、ボール弁やバタフライ弁に使用される弁座が代表的である。
【0004】弁座の機能である流体閉止機能を確保するために要求される性能は、■弁体と弁座の摺動を円滑にするための摩擦係数が小さいこと。■弁体との摩擦に依る摩耗を抑制し得る機械的強度を有すること。■弁体及び流体に依り弁座に加えられる圧力に耐え得る機械的強度を有すること。■弁の開閉に伴う弁座に加わる圧力の変動に応答し得る、圧縮性、及び圧縮復元性を有すること。■弁座自体が不浸透性であり、低温から高温までの広い温度領域で上記性能が維持できること。■化学薬品に対し耐蝕性が有ること等である。
【0005】上記の如き、弁座の要求を満たすために、従来から、各種の弁座の構造及び材料について、各種の試みがなされて来た。金属材料や炭素材料の如く材料自体に弾性が全く期待が出来ない剛性材料を使用する場合には、第1図の如き構造の弁座が使用されて来た。
【0006】第1図中、1は弁箱、2は弁箱蓋(ボディ・キャップ)、3は弁体、4は弁座、5は弁棒、6はガスケット、7はグランドパッキン、8はパッキン押え、9はパッキン押え輪、10はボルトナット、11はレバーハンドル、12は“O”リング、13はスプリングである。
【0007】第1図のシール機能拡大図である第2図において、弁体と弁座のシールは、弁体3と弁座4の摺動面で達成されている。
【0008】また、弁座4に加わる圧力変動や流体を閉止する必要面圧は板バネ13の弾性に依り、まかなわれる。この構造の弁座は弁の開閉時に加わる面圧を、板バネ13の弾性に依り、調整するのでその際に弁座4が前後に僅かながら移動する。そのため、弁座4と弁箱蓋2をシールするために“O”リング12を用いている。
【0009】“Oリング”の多くが耐熱性のあるフッ素ゴムの如き高分子材料を用いている場合が多いが、高温度領域では、劣化若しくは熱分解し、シール機能が失われる等の欠陥が避けられない。
【0010】板バネ13は材料入手の簡便さからステンレス鋼などの板バネ材が多く使用されている。そのため、高温領域で長時間使用する場合、機械的強度が不足し、弾性機能が損なわれる場合がある。
【0011】従って、火災などの不測の緊急時に可燃性流体を遮断しなければならない場合、“O”リング12の損傷と板バネ13の弾性劣化に依って弁としての機能が失われるという事態が危惧される。
【0012】これ等の欠点を補うべく、炭素材料と膨張黒鉛の組合せと弁座も提案されている。この硬質黒鉛と膨張黒鉛の組合せに依る、弁座は機械的強度、耐熱性、耐化学薬品性にすぐれ、かつ摩擦係数が小さいなど弁座に必要な要件を数多く備え、重要な過酷な流体に使用され飛躍的に需要が高まっているが、最大の欠点は、膨張黒鉛の弾性不足にある。
【0013】限られた、弁座収容個所でシールと、圧縮復元性の弾性機能を高めるため、膨張黒鉛の密度を上げたり、無機バインダーを充填したり、厚みを最大限に厚くしたりして弾性効果を期待しているが、通常の弁に比べ開閉操作トルクが非常に高くなり大口径弁では、ギヤー操作機構を用いてもソフト弁座の如き操作性は得られない。
【0014】そのため、常にソフト弁座に用いるレバーハンドルやギヤ−機構或は自動弁である駆動装置に高出力のものを使わざるを得ない。
【0015】上記の欠点を補うべく、金属弁座と同様、高温、高圧、流体に使用する場合、操作トルクを軽減するために“O”リングを使用しないで、弁の流体の流れ方向を定めて第3図の如く、1次側は弁座3背面から板バネ13で弁座4を押圧するだけにして2次側でシールする方法がとられている。
【0016】しかし弁の機構上、2次側の片面だけのシールは流体が弁を閉止した場合は、常時、弁箱内に流体が滞留するため、グランドパッキン部からの漏洩を招く恐れがあり好ましくない。
【0017】一方、PTFE樹脂の如き高分子材料はそれ自体弾性があり、シール性が良いため使用中の摩耗や損傷をソフト弁座に片寄せし、損傷を受けた弁座を交換することに依り弁の性能を復帰させる事が出来る汎用弁として飛躍的に発展した。
【0018】PTFE樹脂弁座は、第8図に示した単体の弁座の形で使用されている。第8図中、1は弁箱、2は弁箱蓋、3は弁体、4は弁座、5は弁棒、6はガスケット、7はグランドパッキン、8はグランド押え、9はグランド押え輪、10はボルトナット、11はハンドルである。
【0019】第8図のシール機能拡大図は、第5図に示してある。
【0020】PTFE樹脂弁座は、摩擦係数、不浸透性、耐薬品性に優れているが、その他の要件に欠けている。
【0021】極低温領域での使用や250℃以上の高温流体に使用した場合、PTFE樹脂の高い膨張係数のため、寸法変化が生じ、弁箱蓋2、弁体3、弁座4の間のシールや弁体3の摺動ができず、操作不能となる。
【0022】PTFE樹脂は、常温でも圧力に依りコールドフローを起こすのでシール性を維持することが難しく、150℃で20kg/cm2以下が使用許容範囲である。PTFE樹脂の強度を上げる改良法として石綿やグラス・ファイバー、カーボンなどを補強材として、充填することも行なわれているが、耐熱と機械的強度が若干向上するにすぎない。
【0023】最近の目覚しい技術革新と共に、ユーザーから要求される使用条件が益々厳しくなり、PTFE樹脂などのソフト弁座での対応ができなくなって来ている。
【発明の目的】
【0024】本発明の目的は、前述した弁座の諸要件を満たし、かつ、従来の弁座の欠点を有しない、弁座の構造及び材料を組合せた弁座を提供する事にある。
【0025】更に詳しくは、弾性機能を持たない、剛性材料の弁座にバネ弾性を付加させた弁座に於いて、弁箱と弁座をシールする“O”リングの替りに弁座にダイヤフラム環を備え弁箱と弁箱蓋(ボディー、キャップ)の接合個所をダイヤフラム環でシールする弁座であり、弁座の背面からスプリングで押圧する形式やダイヤフラム環そのものが着脱可能にし、ダイヤフラム環そのものが異種材料のバネ鋼やCCM(炭素繊維強化炭素材)の如き、高機能材料を用いて弁座に弾性を付加し、各部材に各々の作用効果を発揮させると共に、従来の弁座機能では得られない、作用効果を発揮させることに依って、本発明の目的を達成しようとするものである。
【0026】
【問題を解決するための手段及び作用】本発明の弁座は、弁体との摺動シール面はもとより弁箱と弁箱蓋の接合シール面を弁座に設けたダイヤフラム環に依りシールし、弁座の背面からスプリング等で弾性を付加する構成又は弁座に着脱可能としたダイヤフラム環を取付けこのダイヤフラム環が板バネの作用を発揮できるように構成する。
【0027】本発明の弁座構成部材のうち、金属材料は耐摩耗性、機械的強度、不浸透性にすぐれて居り、金属材料を適宜選択することに依り、耐化学薬品性や低温から高温に亘る広い範囲でこれ等の性質を保持できる。
【0028】反面、圧縮復元性などの弾性が全く期待できないため、単体で弁座として使用すれば、シールを達成するために大きな面圧を要し、弁の操作ができなくなる恐れが生ずる。依って、他の部材を使用して弾性を付与せざるを得ない。但し、第1図の如き構成を採用し得ないことは前述の通りである。
【0029】以下図面を参照しながら本発明を更に詳細に説明する。
【0030】第9図は本発明の弁の一例としてのボール弁の断面図である。図中1は弁箱、2は弁箱蓋、3は弁体、4及び4aは弁座、5は弁棒、6はガスケット、7はグランドパッキン、8はグランド押え、9はグランド押え輪、10はボルトナット、11はハンドル、13は板ばね、14はダイヤフラム環、15はリテイナーである。
【0031】第9図の如きボール弁の弁座は環状であり、その断面及び組込み図は第10図、第11図、第12図、第13図に例示する。
【0032】第14図、第15図、第16図、第17図は本発明の例として弁箱と弁蓋とを3部品で構成したボ−ル弁の断面図を例示する。
【0033】弁座とダイヤフラム環が一体化した。弁座の材質は金属材料を用いる。弁座はその用途に応じて適宜選択して使用される。
【0034】高圧弁の場合、弁座の材質は高速の流体による侵蝕や摩耗を最も受けやすい部分であり、これ等を考慮して、クロム系不銹鋼やニッケル系不銹鋼が好ましい。
【0035】高温弁の場合は、焼き付きやカジリ付きを防止するため、高炭素の高クローム鋼やオーステナイト系ステンレス鋼を使用する。
【0036】しかし、18Cr−8Niオーステナイト系ステンレス鋼などに於いて500℃前後まで粒界に炭化物が析出し、粒界腐蝕が生ずる事があり、これを防止するために高耐蝕性の金属材料、例えばアロイコ20の如き高ニッケルステンレス鋼やハステロイB、モネル鋼などの高ニッケル合金を盛金したり、或は耐熱性、耐摩耗性、焼き付き、カジリ付きなどを改良するためにステライト合金(コバルト・クローム・タングステン)を盛金したりする。
【0037】この様な盛金は表面硬化処理であり、高温以外でも本発明の実施に際し好ましい処理である。
【0038】中圧、中温用弁の場合は13Cr鋼が耐摩耗性、耐蝕性にすぐれ引張り強度も400〜450℃までほとんど低下しないことと価格的にも比較的安価であり好ましい。
【0039】低圧、常温の一般弁は、流体が水、温水、空気などの場合はアルミ青銅、リン青銅などが用いられが、ステンレス鋼は不銹性、剛性の点から好ましい。
【0040】材料の選択は、流体、圧力、温度などの使用条件に依り、適宜選択し得るものであるが、摩擦係数、流体や弁体に対する耐摩耗性、硬度、降状点、ヤング率、引張強度などの機械的性質、耐酸化性、耐蝕性などの化学的性質、熱膨張係数、熱伝導度などの熱的性質、組織の安定性、機械加工性及び経済性を考慮して最適なものを選択する。
【0041】また、弁座材料として炭素材料を用いる事も有効であるが、炭素材料は炭素原材料にタールピッチや其の他の有機質バインダーを添加し、混捏再粉末化して、型込め、成型した後800℃〜3,000℃で熱処理して炭素焼結体を得る。
【0042】この焼結体は、焼成時に多量の分解ガスが発生し、このためカーボン特有の開気孔をもった焼成体となる。
【0043】このままでは機械的強度も弱く、また浸透性であるため、シール材としては使えない。従って、この焼結体に使用条件に合った、例えば250℃に使用する場合は、フェノール樹脂を含浸したり、また機械強度を要し、耐熱性を要求される場合は金属を含浸して、機械用炭素材を得る。
【0044】炭素焼結材とフェノール樹脂の複合化はあまり問題は少ないが、金属との複合化は炭素材と金属の容積比において含浸金属が多いと潤滑性が低下し、かつ摩擦係数が増大する。
【0045】反面含浸金属が少ないと機械的、強度が低下するので、弁座の材料選定の目安として、曲げ強度が1,000kg/cm2以上達成する炭素複合材を使用することが望ましい。
【0046】第10図及び第11図は、弁座とダイヤフラム環が一体化した弁座であるが、この場合は、弁座とダイヤフラムが同材質となりダイヤフラムにバネ弾性が非常に小さい材料を使用せざる得ないので弁座の背面からバネ鋼でバネ弾性を付加する形式のものである。
【0047】スプリング材に金属材料を使用するかスプリングの弾性機能の劣化を懸念するような高温度領域で弁の開閉頻度が多い場合はCCM(炭素繊維強化複合炭素材料)をバネ材として使用すると良い。
【0048】本発明の、第2発明に属する弁座に着脱可能にしたダイヤフラム環の材質は、弁座の材質同様、使用条件に依り適宜選択する事が望ましいが、バネ定数の良いバネ鋼を用いても差支えないが弁座の一部として使用するために不銹鋼の代表的なステンレス鋼やチタニウム鋼が望ましい。
【0049】弁の開閉頻度が通常の場合は問題が少ないが、弁の操作頻度が多い場合に金属材料は長い間繰り返し応力を受け、疲労破壊を起こす場合がある。
【0050】其のため、繰り返し応力など金属材料と比べると、非常に優れたCCM(炭素繊維強化炭素複合材料)をダイヤフラム環として使用すると良い。
【0051】しかし、CCMは炭素繊維を交錯して、積層しマトリックスとして炭素で構成されている炭素繊維強化炭素複合材料であるため、金属材料に位べ格段に高い強度や破壊靱性値を持つなど、すぐれた点が数多く見られるが最大の欠点は無機バインダーに依る、不浸透処理が非常に難しい点にある。
【0052】其のため、弁座の一部であるダイヤフラム環として使用する場合、耐熱度が250℃未満の場合はフェノール樹脂などの高分子材料で不浸透化処理することができるが高温の場合、無機バインダーに依る不浸透化処理は容易でない。
【0053】そのため、本発明である弁座に着脱可能にしたダイヤフラム環として使用する場合はCCM環状ダイヤフラムの表面又は裏面、或は表裏に図13図の如く、薄いステンレス鋼やチタニウム鋼を貼合して使用することにより不浸透材料として使える。
【0054】
【発明の効果】本発明の弁座は、前述の如く、従来の回動弁であるボール弁などに多く使用されている、ソフト弁座や弾性のまったく期待できない剛性弁座をスプリングで押圧し弁座と弁箱のシール部をOリングシールする従来型の弁座では弁座の劣化や“O”リングの劣化、変形などの問題を常に抱えていなければならない。
【0055】従来の弁座のウィークポイントを克服し、弁座に必要な 特性を発揮できる構造及び材料を選択し得る画期的な弁座である。
【0056】この弁座を組込んだ弁は、弁座の構造及び材質を使用条件に応じて選択することに依り、低温から高温、低圧から高圧に至る広い範囲で弁座としての機能を発揮するものである。
【0057】
【実施例】以下、実施例及び比較例に依り本発明を更に詳細に説明する。
【0058】実施例1〜4および比較例1〜4について、第9図に示した構造の呼び径2インチ(50A)のボール弁として表1に示した構造、材質のものを各々用意した。
【0059】
【実施例1】実施例1に於ける、弁座及びダイヤフラムの材質は、鉄にクロームとニッケルを加えたオーステナイト系ステンレス鋼は、標準の組成がクローム18%、ニッケル8%の18:8ステンレス鋼と呼ばれ耐蝕性、耐酸性が非常に大きく、常温に於ては大抵の酸やアルカリに侵されない不銹鋼のJIS−G−4303 SUS−304の鋼材を用い第10図の如く、弁座の外周面にダイヤフラムを設け弁箱と弁箱蓋を接合するガスケット面に装着できるよう機械加工で製作した。
【0060】尚、当然のことながら弁体3と摺動接触する弁座面4には焼き付きや、カジリ付きを防止するために、ステライト(コバルト−クローム−タングステン)合金を盛金して硬度差を付けた。
【0061】また、弁座4の背面から弁座と弁体を圧着させるための板バネ13は、弁座と同じJIS−G−4303 SUS−304の鋼材から制作し、バネ定数が出るよう熱処理して得た。
【0062】
【実施例2】実施例2に於ける弁座の材質は、チタン鋼棒JIS−H−4650 4種TB−550H相当品の市販の丸棒から第11図の如く、前記実施例1と同様の構造に機械加工で得た。チタン鋼は比重が小さく、かつ、引張強度、弾性率など機械的強度にすぐれて居り、500℃位まではその特性かほとんど変らず保持し、耐蝕性にもすぐれている材料である。
【0063】また板バネは、炭素繊維を複数交錯して積層しマトリックスとして炭素を用いた、炭素繊維強化炭素複合材料である日本カーボン株式会社が製造するCCM−190Cの材料から機械加工して得た。
【0064】
【実施例3】実施例3に於ける弁座の材質は、炭素焼結材に金属を含浸して不浸透化処理を施した日本カーボン株式会社が製造する炭素材で、この材料に第13図のごとく弁座に段差を付けて雄ネジを設け、ダイヤフラム環14を固定するためのL字形外輪15の内側に雄ネジと合致する雌ネジをステンレス鋼SUS-304の鋼材から機械加工で得た。
【0065】ダイヤフラム環14は板バネとして、高温領域や、繰返し応力に金属材料より強度を有する炭素繊維強化炭素複合材である日本カーボン株式会社製のCC−190Cを機械加工して得た。
【0066】前述した如く、炭素繊維強化炭素複合材は、不浸透処理が非常に困難なため機械加工して得たダイヤフラム環の表面及び裏面に極薄のステンレス鋼板を貼合した。
【0067】この弁座4とダイヤフラム環14を固定するために、弁座4に設けた雄ネジ部に、日本カーボン株式会社が製造する、耐熱性接着剤の商品名「ニカロコート」を塗布し弁座外輪15をネジ込み固定した。
【0068】固定後、塗布した「ニカロコート」の加熱硬化処理を施して弁座を得た。また、ダイヤフラム環14に貼付した薄いステンレス鋼板もネジ部同様「ニカロコート」を塗布して貼合し加熱硬化処理を施した。
【0069】
【実施例4】実施例4に於ける弁座の材質は、炭素焼結体に金属を含浸して不浸透化処理した炭素材で、日本カーボン株式会社が製造するNC−076の材料を第12図の如く、弁座4に段差を付けて雄ネジを設け、ダイヤフラム環14を固定するための弁座外輪15は内側に弁座4の雄ネジと合致する雌ネジを設け、ステンレス鋼のSUS−304から機械加工して得た。
【0070】ダイヤフラム環14は板バネの役割を担うために機械的強度に優れ、耐熱性を備えたチタニウム鋼を市販品の鋼棒から機械加工し、バネ材としての熱処理をして得た。
【0071】上記弁座4とダイヤフラム環14を固定するために弁座に設けたネジ部には実施例3と同様「ニカロコート」を塗布し、弁座外輪15をネジ込み固定した。其の後実施例3と同様の加熱硬化処理を施して弁座を得た。
【0072】尚、実施例1〜4のダイヤフラム及びダイヤフラム環の弁箱と弁箱蓋を接合するガスケット面にはいずれも日本カーボン株式会社の商品名「ニカフィルム」ガスケットである膨張黒鉛製シートを貼合して用いた。
【0073】本弁座を組んだボール弁は、各種の性能評価試験により、広い温度範囲での弁座として、安全性を確保して居り、その代表的な試験内容及び結果は以下の通りである。
【0074】
【帯電防止】ソフト弁座を使用している回動弁では、弁座及びグランドパッキン、ガスケットなどにPTFE樹脂などの絶縁体を使用している場合が多い。弁の開閉操作時に絶縁体の弁座と弁体の摺動摩擦に依り、静電気が発生し、特に引火点の低いガソリンやLPG、天然ガスなどに使用すると危険である。
【0075】従来のソフト弁座を用いた弁は、弁棒や弁棒と弁体の嵌合部に静電除去の機構が設けられているが、本弁座は弁座及び弁座付属品そのものが電気の良導体のため、静電気が弁体などに帯電することなく、そのままで優れた帯電防止機構を備えた事になり、帯電防止に気を配る必要が全く無く経済的である。
【0076】実施例1〜4、比較例1〜4共にいずれも合格であった。但し、比較例4は弁座にPTFEソフト弁座を備えていたが、帯電防止機構を備えていた為、問題が無かった。
【0077】
【水圧試験】弁座の水漏れ試験として、18kg/cm2、21kg/cm2、53kg/cm2、105kg/cm2、155kg/cm2の各圧力で試験した。
【0078】弁の内部に上記の各圧力に相当する水圧を加え、一端を解放して水を排除した後に、上記の各試験圧力を加圧して、5分間保持し、弁座と弁体との摺動面及び弁箱との接合部とのガスケット面からの漏洩や滲みの有無を検査した。
【0079】但し、比較例1、2、3の“O”リングシール形式のものに付いては、流れ方向を定めて“O”リングシール弁座側を1次側とした。
【0080】其の結果、実施例1〜4、比較例1〜4共にいずれも合格であった。
【0081】
【気密試験】弁の一端にブラインドフランジを取り付け、他端より2kg/cm2、6kg/cm2、10kg/cm2、16kg/cm2、20kg/cm2の各試験圧力の空気圧を加えた後、弁を閉止し、弁内部(液溜り部)に空気圧を内封して、二次側のブラインドフランジを開放して石鹸水に依り、弁座と弁体との摺動面及び弁座背面からの漏れの有無を検査した。
【0082】其の結果、比較例1の弁では10kg/cm2以上の圧力で全流量の0.01%以内の漏れが確認されたが、この漏洩量は許容漏洩量以内であった。
【0083】また、比較例2の弁では、流れ方向性のある2次側シール弁であるため、内圧封止の試験では当然のことながら“O”リングシールが装着していないので激しく漏洩したので試験方法を変え1次側から加圧して2次側から漏洩を検査する片押し検査の結果合格であった。
【0084】其の他の弁の実施例1〜4、比較例3〜4共に総て合格であった。
【0085】
【蒸気試験】蒸気として、6kg/cm2(164℃)、10kg/cm2(183℃)、15kg/cm2(200℃)、20kg/cm2(214℃)の飽和蒸気、過熱蒸気(Super Heat)10kg/cm2で300℃、350℃の温度領域で弁全体がほぼ等温になるまで段階的に昇温し、上記、各温度に於て弁の開閉操作を繰り返し行い、弁座と弁体との摺動面及び背面からの漏洩を鏡(Mirror)により検査した。
【0086】飽和蒸気での検査では、15kg/cm2(200℃)までの温度範囲では実施例1〜4、比較例1〜4まですべて全数合格であった。
【0087】20kg/cm2(214℃)では比較例1〜4共に検査で漏洩があった。部材を点検した処、比較例1、3の“O”リング及び比較例4の弁座が高温のため熱変形を生じ、シール材としての役目を果たしていなかった。
【0088】其の為、以後の加熱蒸気での試験は比較試験を施しても無駄であり中止した。
【0089】実施例1〜4の弁については、全数合格であった。また検査後、改め開閉操作試験も行ったが、弁棒、弁座、弁体などに焼き付きやカジリ付きは、一切認められずスムーズに作動操作ができた。
【0090】
【ファイヤーセーフ試験】通常の回動弁では、弁座、グランドパッキン、ガスケットなどのシール材にPTFE樹脂やゴムなどの非金属材料が多く使用されている。
【0091】そのため、弁が火災などの緊急事態が発生した場合、上記シール材が焼損して外部への漏洩や弁座漏れ或いは稼動の不良を起こすなどして火災を著しく増大させたり、弁の操作に支障を来すなど、ソフト弁座であるが故にウィークポイントにならないことを目的とする。
【0092】このファイヤーセーフ試験に際しては、実施例及び比較例共に弁座以外のシール部分の耐熱性を保証するために弁箱1と弁箱蓋2との接合部ガスケット6、グランドパッキング7などには日本カーボン株式会社の商品名「ニカフィルム」膨張黒鉛材料を成形して使用した。
【0093】但し、比較例の“O”リングに付いては、フッ素ゴム製“O”リングを使用した。
【0094】上記の構造及び材質のボール弁に付いて、実施例及び比較例の各弁座を組込んで以下の試験を行った。
【0095】ボール弁の一次側に水を満たし、内部に空気が残っていないことを確認後、3.5kg/cm2の水圧を加える。
【0096】反対の2次側のブラインドフランジを取り外した状態で、プロパンガスバーナー2基を用いて、750℃〜980℃の火炎で30分間または弁の表面が600℃の温度に達した後、更に10分間燃焼を続け、火災を想定した状態にした。
【0097】バーナーを消火後、弁が200℃またはそれ以下に自然冷却されたのちに次の順序で試験を行った。
【0098】1) 弁の開閉操作を数回繰返して行い、操作性の確認を行った。
2) 弁を閉止した状態で2次側に3.5kg/cm2水圧をかけ弁座の漏れを確認した。
3) 弁内部に水圧10kg/cm2及び空気圧6kg/cm2の圧力をかけ弁座の漏れを確認した。
【0099】実施例2、3、4は上記の過酷な条件での試験にも拘らず合格であった。
【0100】実施例1に於ては、操作性には問題が無かったものの、2)、3)項では弁座からの漏洩が認められた。
【0101】弁を分解し、部材を点検した処、SUS‐304の板バネが高温のため燒鈍され、弾性が不足し、適正な面圧を保持し得なかった。
【0102】比較例1及び3に付いては、漏洩が激しかった。弁を分解点検した結果、“O”リングが著しく損傷して、シール機能が全く失われていた。
【0103】また板バネも上記同様高温のため燒鈍されスプリングの役割を果たしていなかった。
【0104】比較例2も上記同様、スプリングの役割を果たせず、シールの適正な面圧を保持できなかった。
【0105】比較例4は、最も漏洩が激しかった。弁を分解して部材を点検したが、弁座は高分子材料であるPTFE樹脂のため高温により熱分解して消失し、PTFE樹脂に充填されていたカーボン粉が弁座装着部及び弁体に付着していた。
【0106】
【表1】

【0107】
【0108】
【出願人】 【識別番号】000228338
【氏名又は名称】日本カーボン株式会社
【識別番号】599079746
【氏名又は名称】株式会社ティヴィエス
【出願日】 平成11年7月1日(1999.7.1)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−124223(P2001−124223A)
【公開日】 平成13年5月11日(2001.5.11)
【出願番号】 特願平11−187591