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【発明の名称】 バタフライ弁のシートリング
【発明者】 【氏名】久田 幸一

【要約】 【課題】離脱が早く、トルクの抑制と耐久性向上に効果のある山高構造をなし、弁棒付近のゴムの剛性を高くしてシール能力低下を防ぎ、弁体とシートリングの食い込み量を全周に亙って最高値とし、シンプルな構造として部分的に無理な応力がかからず、且つ製作コストが最低限で実現できること。

【解決手段】中心型バタフライ弁において、本体接液部とフランジ接続部をすべてゴムで覆うシートリング12を持つ構造をなし、該シートリング12を半径方向に切断した断面が、内径側にふくらむ山形状(半径r)をもち、かつその山高さeが弁棒に近づくにつれて低くなるようにし、上記の山高形状は、そのふもとに円筒形の平坦部をもち、その平坦部の円筒形が弁棒方向に短く、弁棒直交方向に長い径を持った楕円形状φD1をなしている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 中心型バタフライ弁において、本体接液部とフランジ接続部をすべてゴムで覆うシートリングを持つ構造をなし、該シートリングを半径方向に切断した断面が、内径側にふくらむ山形状をもち、かつその山高さが弁棒に近づくにつれて低くなることを特徴とするバタフライ弁のシートリング。
【請求項2】 シートリングを半径方向に切断した断面が内径側にふくらんだ山高形状は、そのふもとに円筒形の平坦部をもち、その平坦部の円筒形が弁棒方向に短く、弁棒直交方向に長い径を持った楕円形状をなしていることを特徴とする請求項1記載のバタフライ弁のシートリング。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、0〜2MPaの水、空気、蒸気などの流体を完全に閉止するため、配管フランジに取り付けて使用する工業用バタフライバルブであって、バルブ本体の内面、及びフランジ接続面がゴムで覆われており、そのゴムはフランジシール、弁座シールをかねたシール用のシートリングを装着したバタフライ弁に関する。
【0002】
【従来の技術】上記した従来のバタフライ弁は、回転する円盤状の弁体が、ゴムシートに食い込んでシールする構造であるので、全閉付近では弁体がゴムに食い込みながら回転移動するため、ゴムの摩耗や弁体の回転を阻止する力が働く。
【0003】上記の現象を緩和するために、先に本出願人によって開発された実公昭52−30600号公報に記載された考案は、図2に示すように、本体(弁本体)1の内面に装着されたシートリング2の内径側にふくらんだ半径rの山を持ったシートリングを考案した。これは弁体3が接触しシールする部分のみをふくらまし、弁体3が開くと急速に離脱してトルクを下げると同時に耐久性を向上させるようにしたものである。
【0004】ここで、内径φD0、山半径r、山高さe、ふもとの平坦部内径φD1は常に一定である。このため金型加工は汎用旋盤でも可能であり、加工性は良いが山高さeが一定であり、ゴム剛性も同一であるため、弁体とシートリングの接触面積が大きく、摩擦力も増える弁棒(弁棒孔5)付近では、ゴムが移動しやすくなるため、この部分でシール性が低くなるという問題点があった。
【0005】なお、同図(a)は、上記の正面図であり、弁体は省略してある。内径φD0、φD1はともに真円形状であることを示している。同図(b)は、弁翼付近の断面図である。この付近では、弁体の回転半径が最大であり、モーメントが長いため、シートリングと弁体の摩擦が弁棒トルクに最も大きく影響する。(弁棒トルク=シートリングと弁体の摩擦力×回転半径)
同図(c)は、図(b)より弁棒に近い付近での断面図である。この付近では、図(b)と比較して、弁体の回転半径が小さいことを示している。同図(d)は、円環状のシートリングを直線上に展開した図である。
【0006】同じく、本出願人の発明に係る特公昭58−25911号公報に記載されたものでは、上記特徴をさらに進めて、図3に示すように、山のR(丸み)を順次変化させることで、弁体3との接触、離脱を全周に亙って同時に発生させて、トルク、耐久性を向上させようとしたものである。
【0007】ここで、内径側にふくらむ山を持っているが、その山の半径rが変化し、弁棒に近いほど、山の半径rを小さくしている。この結果、弁体とシートリングとの接触が、弁棒付近も周方向も同時に起こることをねらっているが、山半径rをゼロにすることはできないので、弁棒付近では同時接触を実現できない部位も存在する。
【0008】山半径rが変化するため、シートリングの金型加工は汎用旋盤、数値制御の旋盤でも不可能であり、手作業を要求するため、精度維持が困難である上、加工コストも高くなる。
【0009】また山高さeが一定であり、ゴム剛性も同一であるため、弁体3とシートリング2の接触面積が大きく、摩擦力も増える弁棒付近では、ゴムが移動しやすくなり、この部分でシール性が低くなるという問題点があった。
【0010】なお、同図(a)は、上記の正面図であり、弁体は省略してある。内径φD0、φD1ともに真円形状であることを示している。同図(b)は、弁翼付近の断面図である。この付近では、弁体の回転半径が最大であり、モーメントが長いため、シートリングと弁体の摩擦が弁棒トルクに最も大きく影響する。(弁棒トルク=シートリングと弁体の摩擦力×回転半径)
同図(c)は、図(b)より弁棒に近い付近での断面図である。この付近では、図(b)と比較して、弁体の回転半径が小さいことを示している。また図(b)と比較して山半径rは小さく、高さeは同じであるため、弁体回転に伴うゴムの移動に対する剛性は、より小さくなってしまっている。同図(d)は、円環状のシートリングを直線上に展開した図である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来のもの(図2、図3)は、トルクの低減と耐久性の向上をもたらし、バタフライ弁を広く産業界で使用されるに至ったが、高圧化、より長い耐久性、といったニーズ(要求)の変化に伴い、以下の欠点が問題となるようになった。
【0012】1)弁体は全閉時にシールするため、シートリングにこすれながら動作するが、ゴムなどの弾性体で作られたシートリングは、弁体の移動に伴いゴムの移動が発生する。
【0013】2)ゴムの移動は、トルクを抑制するためには必要であるが、シール性を低下させるため、移動量は一定量に押さえる必要がある。
【0014】3)また弁体との接触は、弁棒付近のそれと、弁棒から最も離れた弁翼部分のそれと比較すると、弁翼部分は弁体の周速度は速いものの、接触面積は少ない(全閉から3〜10度開まで接触、また弁体のエッジは狭い)が、弁棒付近に近づくにつれて、周速度は低く接触面積は大きくなり、弁棒近傍では、弁体とシートが開度に拘わらず常に接触している。
【0015】4)ここで、図2のような山高構造の場合、接触量の少ない弁翼部でトルクとシート性のバランスがとれるように設計すると、接触量の多い弁棒付近では接触面積の増大が摩擦の増加をもたらすため、移動量が大きくなりシール性を損なう危険性がある。
【0016】5)また図3では、弁体とシートリングとの接触開始開度を、周方向と弁棒方向で同時に発生させることをねらっており、接触量は全周にわたって同じとなるはずであるが、真に同時接触を実現するには、弁棒付近では山の幅がゼロに近くなるものの、これは実現できないので、ある程度の山の幅を保っている。このため、ある部分では同時接触が実現できておらず、やはり接触量の多い部分が発生する。さらに弁棒に近づくほど山の幅が狭くなる(山半径rが小さくなる)ので、ゴムの移動が発生しやすい状況を生みだしてしまう。
【0017】つまり、いずれも弁棒付近(図2(c)、図3(c))付近では、ゴムの移動が大きくなり、この部分で高圧時に漏れやすいという欠点があった。またこの欠点を補うためにはこの部分のつぶし量を増加させねばならず、耐久性を低下させる原因になっていた。
【0018】また図3の構造は、山の半径rがコサイン曲線に沿って連続で変化するため、汎用の加工機械では金型加工ができず、手作業となるため、金型加工コストが非常に高いものとなってしまっている。
【0019】本発明は、上記した従来技術の課題をふまえ、以下の点を改善することを、本発明の課題としている。
【0020】1)離脱が早く、トルク抑制と耐久性向上に効果のある山高構造とする。
【0021】2)かつ弁棒付近の山高部を低くし、ゴムの剛性を高くすることによって、ゴムの移動量を弁翼部より少なくして、シール能力低下を防ぐ。
【0022】3)弁体とシートリングの食い込み量は、全周にわたって最適量とし、上記1)、2)の構造を与えるための急激な形状変化や、食い込み量の変化は伴わないシンプルな構造とし、部分的に無理な応力がかからない構造とする。
【0023】4)かつ、製作コストが最低限で実現できる手段、例えば、内径を一定にする、山の半径rを一定にする、などシートリングの金型加工が、汎用の加工機械で可能な設計とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、本発明の採った手段は、中心型バタフライ弁において、本体接液部とフランジ接続部をすべてゴムで覆うシートリングを持つ構造をなし、該シートリングを半径方向に切断した断面が、内径側にふくらむ山形状をもち、かつその山高さが弁棒に近づくにつれて低くなることを特徴としている。
【0025】また、シートリングを半径方向に切断した断面が内径側にふくらんだ山高形状は、そのふもとに円筒形の平坦部をもち、その平坦部の円筒形が弁棒方向に短く、弁棒直交方向に長い径を持った楕円形状をなしていることを特徴としている。
【0026】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面に記載した実施例を用いて説明する。図1は、本発明のバタフライ弁のシートリングの一実施形態を示すもので、(a)は、正面図であり、弁体は省略してある。内径φD0は真円、φD1は楕円形状であることを示している。(b)は、弁翼付近の断面図である。この付近では、弁体の回転半径が最大であり、モーメントが長いため、シートリングと弁体の摩擦が弁棒トルクに最も大きく影響する。(弁棒トルク=シートリングと弁体の摩擦力×回転半径)。また(c)は、図(b)より弁棒に近い付近での断面図である。この付近では、図(b)と比較して、弁体の回転半径が小さいことを示している。また図(b)と比較しても、山rは同等で、高さeは低くなることを示している。また(d)は、円環状のシートリングを直線上に展開した図である。
【0027】図1において、シートリング12の断面A(図1(b))に示すように、シートリング12は内径側にふくらむ半径rの円弧山高を持っており、山高頂部が形成する内径φD0は、常に弁体3の外径より一定量小さい内径を持っていて、全周にわたって適正なシールのためのつぶし量(変形量)を確保している。ここで半径rは全周にわたって一定とすることも可能である。
【0028】また、山のふもとを形成する平坦部(内径φD1)は、図(a)の方向からみて楕円形状となっている。このため弁翼方向の断面Aでは山の高さeは高いが、断面Bのように弁棒に近づくにつれて高さeは低くなり、弁体とシートリングが面で接触する弁棒付近においては山の高さeはゼロになるように構成されている。
【0029】この結果、山の半径rや内径φD0を一定に保ったとしても、山の高さeは断面Aの弁翼方向で高く、弁棒に近づくにつれて低くすることが可能であるので、弁体回転半径が大きくてシートリングとの接触面積が小さい、断面A部分においては、適切にシートリングのゴムが移動し、トルク低下効果を果たすことができる。また弁体回転半径が小さくトルクに影響の少ない弁棒付近(断面B)においては、接触面積が大きく、ゴムがずれやすいので、山高さeを低くすることによってゴムの移動を少なくし、シール性の低下を防ぐことが可能になるのである。
【0030】図1は典型的な実施例であって、ここでは内径φD0と、山半径rは、どの部分をとっても一定に構成している。
【0031】また山ふもとの平坦部の内径φD1は、シートリングセンターを中心に持った楕円形状であり、弁棒方向に短く、弁翼方向に長い径を持っている。この結果、山の高さeは断面A部分では最も高く、弁棒に近づくにつれて低くなり、弁棒部分ではe=0となる。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、中心型バタフライ弁において、本体接液部とフランジ接続部をすべてゴムで覆うシートリングを持つ構造をなし、該シートリングを半径方向に切断した断面が、内径側にふくらむ山形状をもち、かつその山高さが弁棒に近づくにつれて低くなるようにしたことにより、接触量の多い弁棒付近で山高さを低くしゴム剛性を高めることで、ゴムの移動を抑制することが可能となる。その結果常時接触する弁棒付近における面圧(つぶし量)を弁翼方向と同等として、大きなつぶし量とすることなくシール性能を得ることができ、シール性と耐久性を同時に高めることが可能である。
【0033】つまり、シール性の低下しやすい弁棒付近での弁体回転に伴うゴムの移動に対するゴム剛性が高く構成されるので、少ないつぶし量で高いシール性をもたらすことができる。
【0034】また、シートリングを半径方向に切断した断面が内径側にふくらんだ山高形状は、そのふもとに円筒形の平坦部をもち、その平坦部の円筒形が弁棒方向に短く、弁棒直交方向に長い径を持った楕円形状をなしているようにしたことにより、次のような効果を奏することができる。
【0035】(i)山の径rや内径φD0を一定に保ったとしても、山の高さeは断面Aの弁翼方向で高く、弁棒に近づくにつれて低くすることが可能であるので、弁体回転半径が大きくてシートリングとの接触面積が小さい、断面A部分においては、適切にシートリングのゴムが移動し、トルク低下効果を果たすことができる。また弁体回転半径が小さくトルクに影響の少ない弁棒付近(断面B)においては、接触面積が大きく、ゴムがずれやすいので、山高さeを低くすることによってゴムの移動を少なくし、シール性の低下を防ぐことが可能になるのである。
【0036】(ii)また、内径や山の半径rは一定で、楕円内径は一定の関数値で求められるので、ゴム製シートリングの成形金型の加工は、一般の数値制御(NC)旋盤などで可能であり、金型は低コストで高精度を得ることが可能である。
【0037】(iii) さらに、シール、トルク性能を決定するのは、内径φD0と山半径rが最も重要であるが、この部分は真円形状、一定rであるので、汎用旋盤でも可能である。汎用旋盤では加工が困難なφD1の楕円形状精度は、シール、トルク性能にほとんど影響がないため、荒い精度で良く、加工工数を大きく損ねることはない。数値制御(NC)旋盤であれば加工は困難ではない。
【出願人】 【識別番号】000153580
【氏名又は名称】株式会社巴技術研究所
【出願日】 平成11年10月27日(1999.10.27)
【代理人】 【識別番号】100066452
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 茂 (外3名)
【公開番号】 特開2001−124218(P2001−124218A)
【公開日】 平成13年5月11日(2001.5.11)
【出願番号】 特願平11−305674