トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 マイクロアクチュエータおよびマイクロアクチュエータを使用したマイクロ電気機械式バルブ並びにそのバルブの製造方法
【発明者】 【氏名】ヴィジャヤクマー アール ドゥーラー

【氏名】マーク ディビッド ウォルターズ

【要約】 【課題】動作エネルギの効率がよく小型のマイクロ電気機械式バルブを提供する。

【解決手段】基板50上に間隔を介して対の支持体22を配置する。支持体22間には単結晶アーチ梁24を掛け渡す。アーチ梁24にはアクチュエータ部材26を連結し、このアクチュエータ部材26にバルブ板30を結合する。支持体22間に電位差を与えてアーチ梁24に電流を流すことで、アーチ梁24を通電加熱してアーチ梁24を湾曲変位し、アクチュエータ部材26を介してバルブ板30をその湾曲変位方向に移動する。アーチ梁24の通電加熱と通電加熱停止によって、バルブ板30の腕30aを基板50に設けたバルブ開口40の閉鎖位置と開放位置間に移動し、バルブ開口40の開閉を制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくもひとつの貫通開口を規定するマイクロ電子基板と;単結晶材料から構成され前記基板上に配置されて熱的駆動を行うマイクロアクチュエータと;単結晶材料から構成され少なくもひとつの弁座を備えた少なくもひとつのバルブ板と;を有し、前記バルブ板がマイクロアクチュエータに駆動されて移動動作が可能な状態で結合されると共に、前記弁座はバルブ板に対し、マイクロアクチュエータの熱的駆動により前記開口に結合されない開放位置と結合される閉鎖位置との間を移動する位置に設けられているマイクロ電気機械式バルブ。
【請求項2】 マイクロアクチュエータは、基板上に間隔を開けて配置された支持体と;間隔を開けた支持体間に伸長形成され少なくもひとつのバルブ板と動作可能な状態で結合される少なくもひとつのアーチ梁;とを備えた請求項1記載のマイクロ電気機械式バルブ。
【請求項3】 マイクロアクチュエータがさらに、少なくもひとつのアーチ梁を加熱してそのアーチ梁の湾曲を発生させる手段を備え、以て、弁座が少なくもひとつの開口と結合されてバルブを閉鎖する第1の位置と、弁座が開口とは結合されずにバルブを開放する第2の位置との間で弁座が移動するものである請求項2記載のマイクロ電気機械式バルブ。
【請求項4】 マイクロアクチュエータがさらに、複数のアーチ梁を共に連結結合するためのアクチュエータ部材を備える請求項2記載のマイクロ電気機械式バルブ。
【請求項5】 バルブ板が開口に対してノーマルクローズ位置に配置され、以て、マイクロアクチュエータの熱的駆動がバルブ板を変位させ、弁座を結合解除させて開口を開放するものである請求項1記載のマイクロ電気機械式バルブ。
【請求項6】 バルブ板が開口に対してノーマルオープン位置に配置され、以て、マイクロアクチュエータの熱的駆動がバルブ板を変位させ、弁座を開口に結合して開口を閉鎖させるものである請求項1記載のマイクロ電気機械式バルブ。
【請求項7】 マイクロアクチュエータはその内部加熱により熱的駆動されるものである請求項1記載のマイクロ電気機械式バルブ。
【請求項8】 マイクロアクチュエータは外部加熱により熱的駆動されるものである請求項1記載のマイクロ電気機械式バルブ。
【請求項9】 マイクロアクチュエータが単結晶シリコンにより構成されている請求項1記載のマイクロ電気機械式バルブ。
【請求項10】 少なくもひとつのバルブ板が単結晶シリコンにより構成されている請求項1記載のマイクロ電気機械式バルブ。
【請求項11】 バルブ板に隣接配置され、基板に対してバルブ板に面外方向の制約を与えるための少なくもひとつの機械的止め具がさらに備えられた請求項1記載のマイクロ電気機械式バルブ。
【請求項12】 少なくもひとつの弁座が、単結晶シリコン、窒化シリコン、および多結晶シリコンの少なくもひとつから構成されている請求項1記載のマイクロ電気機械式バルブ。
【請求項13】 基板上に配置され、マイクロアクチュエータの熱的駆動によるその所定の変位に引き続いてバルブ板と相互作用可能であり、以て、バルブ板が開口に対して設定の位置で保持され得る少なくもひとつのラッチをさらに備えた請求項1記載のマイクロ電気機械式バルブ。
【請求項14】 ラッチが、熱的駆動されるラッチと静電的駆動されるラッチの少なくもひとつである請求項13記載のマイクロ電気機械式バルブ。
【請求項15】 少なくもひとつの貫通開口を規定するマイクロ電子基板を準備し、単結晶材料から成る第1のウエハをマイクロ電子基板上に接着し、単結晶材料から成る第1のウエハから熱的駆動されるマイクロアクチュエータと少なくもひとつのバルブ板とを、マイクロアクチュエータがバルブ板と動作可能な状態で結合されて、マイクロアクチュエータとバルブ板との部分がマイクロ電子基板に対し運動可能であるように形成し、バルブ板には、マイクロアクチュエータの熱的駆動に応答してマイクロ電子基板により規定された少なくもひとつの開口に対して結合されない開放位置と結合される閉鎖位置との間で移動可能な少なくもひとつの弁座を形成するマイクロ電気機械式バルブの製造方法。
【請求項16】 マイクロ電子基板を準備するステップがさらに、マイクロ電子基板上にフォトレジスト層を形成するステップと、フォトレジスト層をパターン形成しマイクロ電子基板に少なくもひとつバルブ開口に対応する少なくもひとつの窓を開けるステップと、フォトレジスト層により規定される窓内でマイクロ電子基板を部分的にエッチングし以て部分的にバルブ開口を形成するステップ、とを包含する請求項15記載のマイクロ電気機械式バルブの製造方法。
【請求項17】 マイクロ電子基板の部分的エッチングに引き続いてマイクロ電子基板を酸化しその上に熱酸化層を形成する酸化のステップをさらに包含する請求項16に記載のマイクロ電気機械式バルブの製造方法。
【請求項18】 バルブ開口の形成を完結させるために、部分的に形成されたバルブ開口の周囲で熱酸化層とマイクロ電子基板とをエッチングするステップをさらに包含する請求項17記載のマイクロ電気機械式バルブの製造方法。
【請求項19】 接着するステップに先立ち第1のウエハ上に少なくもひとつの弁座を形成するステップを包含する請求項15記載のマイクロ電気機械式バルブの製造方法。
【請求項20】 接着するステップに先立ち第1のウエハ上にマイクロアクチュエータと少なくもひとつのバルブ板とを少なくも部分的に形成するステップを包含する請求項15記載のマイクロ電気機械式バルブの製造方法。
【請求項21】 接着するステップがさらに、少なくもひとつの弁座がマイクロ電子基板に隣接するように第1のウエハをマイクロ電子基板に融着するステップを包含する請求項19記載のマイクロ電気機械式バルブの製造方法。
【請求項22】 接着するステップに引き続き第1のウエハを望まれる厚さに研磨するステップをさらに包含する請求項15記載のマイクロ電気機械式バルブの製造方法。
【請求項23】 接着するステップに引き続き、バルブ板に基板に対する面外方向の制約を与えるためにバルブ板に隣接して配置される少なくもひとつの機械的止め具を形成するステップをさらに包含する請求項15記載のマイクロ電気機械式バルブの製造方法。
【請求項24】 熱的駆動されるマイクロアクチュエータとバルブ板を形成するステップがさらに、第1のウエハ上にフォトレジスト層を形成するステップと、残留するフォトレジストがマイクロアクチュエータとこれに動作可能な状態ではめ合わされる少なくもひとつのバルブ板とを規定するようにフォトレジストをパターン形成するステップと、第1のウエハをエッチングしてマイクロアクチュエータと前記少なくもひとつのバルブ板とを形成するエッチングのステップ、とを包含する請求項15記載のマイクロ電気機械式バルブの製造方法。
【請求項25】 ラッチが、熱的駆動されるラッチと静電的駆動されるラッチの少なくもひとつであると共に、マイクロアクチュエータの熱的駆動による所定の変位に引き続いてバルブ板と相互作用することができ、開口に対して設定の位置でバルブ板を制約する、少なくともひとつのラッチを、接着するステップに引き続き第1のウエハから形成するステップをさらに包含する請求項15記載のマイクロ電気機械式バルブの製造方法。
【請求項26】 保護カバーがマイクロアクチュエータをカバーし保護するように取付けられると共に、マイクロアクチュエータの面外方向の機械的止め具を提供するように第2のウエハから保護カバーを形成するステップをさらに包含する請求項15記載のマイクロ電気機械式バルブの製造方法。
【請求項27】 マイクロアクチュエータを形成するステップに引き続き、マイクロアクチュエータに少なくも部分的にかぶさるように第2のウエハを第1のウエハ上に接着するステップをさらに包含する請求項26記載のマイクロ電気機械式バルブの製造方法。
【請求項28】 マイクロアクチュエータを形成するステップに先立ち、マイクロアクチュエータの定めた部分の伝導度を変化させるために第1のウエハを選択的にドープするステップをさらに包含する請求項15記載のマイクロ電気機械式バルブの製造方法。
【請求項29】 マイクロ電子基板と;前記マイクロ電子基板上に間隔を開けて配置された支持体と;半導体材料により構成され前記間隔を開けた支持体間に伸長する少なくもひとつのアーチ梁と;を備え、アーチ梁は、対向するそれぞれの支持体に近い末端部分と両末端部分の間に伸展する中央部分とを備えるものであり、前記アーチ梁の末端部分上に金属層が配置され、アーチ梁の中央部分が実質的に前記金属層を有さず、もって、前記支持体の間をアーチ梁を介して通る電流がアーチ梁の中央部分を加熱しアーチ梁に湾曲を発生させるもののであるマイクロアクチュエータ。
【請求項30】 少なくもひとつのアーチ梁に動作可能な状態で結合しこれから外側に伸長するアクチュエータ部材をさらに備える請求項29記載のマイクロアクチュエータ。
【請求項31】 少なくもひとつのアーチ梁が単結晶シリコンにより形成されている請求項29記載のマイクロアクチュエータ。
【請求項32】 金属層の蒸着される金属がニッケル、金、およびプラチナの少なくもひとつから成る請求項29記載のマイクロアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はマイクロ電気機械式装置および関連する製造方法に関し、特に、単結晶コンポーネントを有する、マイクロアクチュエータ、マイクロ電気機械式バルブおよびそれらの関連する製造方法に関する。
【0002】
【発明の背景】マイクロ電気機械式構造体(MEMS:microelectromechanical structure)および他のマイクロ工学装置は現在、これらの装置により提供されるサイズ、コスト、および信頼性といった利点の観点から、広く多様な用途に関して開発されつつある。マイクロギア、マイクロモータ、また、運動や力の印加が可能な他のマイクロ機械加工された装置を含め、多数の多様なMEMS装置が製作されてきた。これらのMEMS装置は、MEMSポンプやバルブが利用される水圧応用用途、MEMS光バルブやシャッターを含む光学用途、およびMEMSリレーを含む電気用途、を含む多様な用途に利用され得る。
【0003】MEMS装置は、これらのマイクロ構造内で所望の運動を起こすために必要な力を供給するための様々な技術に依存してきた。例えばアクチュエータや他のMEMSコンポーネントの制御熱膨張が、MEMS装置を駆動するために利用されてきた。例えば、本発明の出願人でもあるMCNCにより出願された米国特許第5,909,078号および米国特許申請通算番号第08/936,598号および第08/965,277号を参照されたい。これらには熱的駆動のマイクロアクチュエータを備えたMEMS装置が記載されており、これらの内容は参照により本明細書に包含される。
【0004】MEMS装置用の熱的駆動のマイクロアクチュエータの例には、間隔を開けた1対の支持体の間に伸長する一以上のアーチ梁がある。マイクロアクチュエータの熱的駆動がアーチ梁をさらに湾曲させ、利用可能な機械的力および変位を発生させる。アーチ梁は一般的に高アスペクト比リソグラフィー技術を用いてニッケルから形成されるが、これによりアスペクト比が5:1までのアーチ梁が製作される。高アスペクト比リソグラフィーにより形成されるとはいえ、実際のニッケル製アーチ梁はかなり控えめなアスペクト比を有しており、したがって面外方向剛性が小さくなることがあり、いくつかの場合に、必要とされるより、強度が劣る。
【0005】さらに、ニッケル製アーチ梁を形成するために使用されるリソグラフィー技術は、アーチ梁をかなり離れた状態で形成することがあり、このため、隣接するアーチ梁が相互を加熱する量を制約することにより、アーチ梁を加熱するに必要なパワーを増加させる。さらに、アーチ梁の間隔の結果として、得られたマイクロアクチュエータは望まれるより大きな足型プリントを有することがある。
【0006】このように、MEMS装置用のマイクロアクチュエータの面外方向剛性および強度を高めるための、より高いアスペクト比を有するアーチ梁に対する必要性が存在する。さらに、より効率的な加熱とより小さなサイズとを可能にするために、より接近したスペースのアーチ梁を有するマイクロアクチュエータへの要求が存在する。
【0007】ニッケル製マイクロアクチュエータは典型的には、アクチュエータに隣接し下部に配されたポリシリコンヒーターを経由するなどして、間接加熱される。というのは、ニッケルの抵抗率が低いために、ニッケル構造体の直接加熱(それに通電するなどによる)が非効率的だからである。しかしながら、MEMS装置のマイクロアクチュエータの間接加熱は非効率性を生ずる。というのはマイクロアクチュエータとヒーターとの間には必要な間隔があるためにヒーターにより発生した熱が周囲に失われ、全ての熱がマイクロアクチュエータに伝達されないからである。
【0008】ニッケルは、アーチ梁の膨張の元となる比較的高い熱膨張係数を有する。しかしその密度のために、ニッケル製アーチ梁に所望の湾曲を発生させるために必要な熱を発生させるためには未だ相当量のエネルギを供給しなければならない。このように、ニッケル製アーチ梁を有するマイクロアクチュエータを備えたMEMS装置は従来の駆動技術に比して著しい利点を提供するにもかかわらず、必要な投入パワー要求を制約するためにより効率的な方法で熱的駆動を行なうことのできるマイクロアクチュエータを備えたMEMS装置を開発することが未だ望まれる。
【0009】ニッケル製アーチ梁アクチュエータを備えた熱的駆動されるMEMSバルブ構造体もまた典型的にはニッケル製のバルブ板を備える。ニッケルで得られるアスペクト比の制約から面外方向剛性および強度で同様な制約を受ける構造が生ずるために、バルブが受容可能な密封状態で動作するためには、ニッケル製バルブ板を有するMEMSバルブは一般的に低圧の流体システムに限定される。
【0010】バルブ板に対する面外方向止め具がMEMSバルブの圧力性能を増大させる助けとなるかもしれないが、ニッケル製バルブ板を有するMEMSバルブに対して従来の半導体処理技術を用いて止め具を形成することは一般的には困難である。このように、より強い面外方向剛性を有するバルブ板を備えてより高圧力の流体システムに適用できるより強度の高いMEMSバルブへの要求がさらに存在する。さらに、バルブ板の安定性と密封性能とに寄与する面外方向止め具を形成することが従来の半導体処理技術を用いて可能となるバルブ構造が望まれる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、装置を構成するアーチ梁の高アスペクト比を達成して面外方向剛性を高め、装置の小型化と駆動エネルギの高効率化を図ることができるとともに、半導体処理技術を用い、製造が容易な(面外方向止め具を形成する場合もその形成が容易な)、マイクロアクチュエータおよびマイクロアクチュエータを使用したマイクロ電気機械式バルブ並びにそのバルブの製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために、次のような構成をもって課題を解決する手段としている。すなわち、本発明は、少なくもひとつの貫通開口(バルブ開口)を規定するマイクロ電子基板と、その上に形成されシリコンのような単結晶材料から構成される熱的駆動のマイクロアクチュエータと、単結晶材料から構成され少なくもひとつの弁座を有する少なくもひとつのバルブ板と、を備えるマイクロ電気機械式(MEMS)バルブを提供する。
【0013】上記構成の本発明により上記課題が解決され、および他の必要性が満たされる。バルブ板は動作可能な状態でマイクロアクチュエータと結合(連結)され、マイクロ電子基板に在る対応する開口に対し結合されない開放位置と結合された閉鎖位置との間で弁座を移動させるべく取付けられてある。より詳しくはマイクロアクチュエータの熱的駆動が、バルブ板とマイクロアクチュエータとの間の動作可能な接触(連係)の結果として、弁座を基板にある開口と結合されたおよび/または結合されない状態とさせるのである。
【0014】マイクロアクチュエータは好ましくは、基板上に間隔を開けて配置された1対の支持体と、この間(支持体間)に伸長する少なくもひとつのアーチ梁とを備える。マイクロアクチュエータがまた、少なくもひとつのアーチ梁と動作可能な状態で結合されこれから外側に伸長するアクチュエータ部材を備えても良い。マイクロアクチュエータはさらに、少なくもひとつのアーチ梁を加熱して湾曲させアクチュエータ部材がバルブ板を基板に在る開口に対して閉鎖位置と開放位置との間で移動させるようにするための加熱手段を備える。
【0015】閉鎖位置ではバルブ板はその弁座とともに、マイクロ電子基板にある開口に隣接し、弁座が開口と結合密封するように位置決めされる。開放位置では弁座は少なくも部分的に開口に結合せず、開口は密封されない。したがって本発明のMEMSバルブは、ノーマルクローズあるいはノーマルオープンの配置を備えて良い。
【0016】さらにMEMSバルブは、バルブ板に隣接して配置され基板に対してバルブ板に面外方向の制約を与えさらにこれを整列させるための少なくもひとつの機械的止め具を備えても良い。さらにMEMSバルブは、基板上に配置されマイクロアクチュエータの熱的駆動により予め定められる設定の変位に引き続いて、バルブ板と相互作用できてマイクロアクチュエータの継続的駆動を必要とせずに開口に対する設定の位置でバルブ板が制止される少なくもひとつのラッチを備えても良い。いくつかの例ではラッチは例えば熱的駆動されあるいは静電的駆動される。
【0017】明らかなように、マイクロアクチュエータの各アーチ梁は半導体材料で構成され、それぞれの支持体に隣接対向する末端部分と、末端部分の間に伸展する中央部分とを備える。好適な一例によれば、アーチ梁の末端部分上に金属層が形成(沈着)され、アーチ梁の中央部分は実質的に金属のない状態のままにされる。したがって支持体の間を流れる電流がアーチ梁の中央部分を好適に加熱しそのさらなる湾曲を引き起こす。
【0018】本発明の他の観点は、単結晶コンポーネントを有するマイクロ電気機械式バルブの製造方法を構成する。好適な一例によれば、少なくもひとつの貫通開口を規定してバルブ開口を備えるマイクロ電子基板が最初に形成される。次に、単結晶材料により構成される第1のウエハが、同一の単結晶材料あるいは他の適切な材料から形成された少なくもひとつの弁座を有し、弁座が基板に隣接するように第1のウエハが基板の表面上に接着される。その後、第1のウエハは所望の厚さに研磨される。
【0019】その後少なくもひとつの機械的止め具がバルブ板に隣接して形成され、面外方向にバルブ板に制約を与えまた基板に対してこれを整列させる。その後少なくもひとつの熱的駆動マイクロアクチュエータと少なくもひとつのバルブ板とが、マイクロアクチュエータとバルブ板との部分がマイクロ電子基板に対して移動可能であり、マイクロアクチュエータが動作可能な状態でバルブ板と結合(連結)するように第1のウエハから形成される。
【0020】いくつかの例では、第1のウエハが基板に接着される前にマイクロアクチュエータとバルブ板が少なくも部分的に第1のウエハから形成されて良い。したがって、マイクロアクチュエータの熱的駆動によりマイクロアクチュエータがバルブ板にしたがって弁座を、マイクロ電子基板により規定される開口に対して開放位置と閉鎖位置との間で移動させ、これによりバルブを形成する。さらに、マイクロアクチュエータの熱的駆動により予め定められた所定の変位に引き続いてバルブ板と相互作用できて開口に対する設定の位置でバルブ板が制止される少なくもひとつのラッチが基板上に形成されても良い。
【0021】このように、単結晶シリコンで形成されたアーチ梁とバルブ板とを有するMEMSバルブが本発明により形成できる。単結晶シリコンで形成するアーチ梁とバルブ板との製造では、特に深反応性イオンエッチング処理を利用することにより、少なくも10:1までのアスペクト比でこれらのコンポーネントを形成することが可能となる。アーチ梁とバルブ板との高いアスペクト比によりこれらの面外方向剛性が増大し、より大きな強度と剛性とを有するより丈夫な装置が製作される。
【0022】したがって例えば高アスペクト比のバルブ板によりMEMSバルブがより高圧力の流体システムで動作することが可能となるだろう。また本発明の製造技術によりアーチ梁と他のコンポーネントとをより密に配置することが可能となる。隣接するシリコン製アーチ梁の間の間隔が密になることで例えば、隣接するアーチ梁の間での熱伝達がより効果的になる。
【0023】さらに単結晶シリコン製マイクロアクチュエータは、これに通電するなどにより直接加熱できる。明らかであろうがマイクロアクチュエータの直接加熱は一般的に間接加熱より効率的である。さらに、シリコンの熱膨張係数はニッケルのような金属のものより小さいのではあるが、シリコンはニッケルより著しく密度が小さく、所与のエネルギ量当たりでシリコン製アーチ梁は対応のニッケル製アーチ梁より一般的により多く加熱され、したがってより多く湾曲する。したがって本発明のMEMSバルブはより大きな面外方向剛性を有することができ、より丈夫であり得て、この熱的駆動マイクロアクチュエータは、金属製アーチ梁を有する従来のMEMSマイクロアクチュエータより効率的かつ制御性良く加熱することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施形態例を添付図面を参照しながらより詳細に説明する。しかし本発明は多数の異なる態様で実施しても良く、本明細書に示す実施形態例に制限することは意図されていない。これらの実施形態例は、関連技術の熟練者に対しこの開示が充分で完備であり本発明の範囲を完全に伝えるべく提供されるものである。全体を通じ、同じ番号は同じ要素を示す。
【0025】図1は、符号10によって全体が指示されるMEMS装置、詳しくはバルブ(マイクロ電気機械式バルブ)の実施形態例を開示しており、これが本発明の特徴を備える。バルブ(マイクロ電気機械式バルブ)10は一般的に少なくもひとつのマイクロアクチュエータ20と、隣接するマイクロ電子基板50によって規定され、対応するバルブ開口40に結合(バルブ動作上での結合)するための少なくもひとつのバルブ板30とを有する。マイクロ電子基板50は様々な材料から形成され得るが、基板50は好ましくは単結晶シリコンのようなマイクロ電子材料のウエハにより構成される。
【0026】マイクロアクチュエータ20は多様な形態を有し得るが、好適な一例のマイクロアクチュエータ20は、基板50に固定され間隔を開けた(介した)1対の支持体22と、間隔を開けた支持体22の間に伸長する少なくもひとつの、より好ましくは多数の、アーチ梁24とを備える。本発明によれば支持体22、アーチ梁24、および少なくもひとつのバルブ板30が、好ましくは単結晶シリコンのような単結晶材料で形成され、より好ましくは、同一の単結晶シリコンウエハから一体構造体として形成される。
【0027】本発明のひとつの有利な観点によればアーチ梁24は、ニッケルの約1/5という比較的低い熱膨張係数2.5×10−6/°Kを有する単結晶シリコンにより構成される。しかし驚くべきことに、シリコン製アーチ梁は一般的に、同一のサイズと形状のニッケル製アーチ梁と比較して、同一温度に加熱するために必要なエネルギが少ない。シリコン製アーチ梁を加熱するに必要なエネルギが小さいことは、部分的には、シリコンの密度が2.33g/cmでありニッケルの約1/4に過ぎないことに起因する。さらにシリコン製アーチ梁は直接加熱することができ、ニッケル製アーチ梁に対して典型的に利用される間接加熱より効率的な加熱が行なえる。
【0028】シリコン製アーチ梁24の他の利点は、高アスペクト比リソグラフィー技術(現時点ではニッケル製アーチ梁のアスペクト比を5:1までに制限している)を必要としないことである。これに替わりシリコン製アーチ梁の形成には深反応性イオンエッチング処理が用いられ、このエッチング処理では定常的に10:1のアスペクト比が達成できる。シリコン製アーチ梁の高いアスペクト比によりアーチ梁の面外方向剛性が増大し、例えば比較的高圧力で動作できるバルブのようなより丈夫な装置が可能となる。
【0029】さらに深反応性イオンエッチング処理によりアーチ梁をニッケル製アーチ梁より密に配置できるようになり、隣接するシリコン製アーチ梁の間の熱伝達が改善することでマイクロアクチュエータ20のエネルギ効率が高まる。例えばアスペクト比10:1を有する本発明のMEMSバルブ10のシリコン製アーチ梁は、中心間の間隔10μmおよび隣接アーチ梁間の空隙5μmを有することができる。
【0030】上述の理由によりシリコン製アーチ梁を有するマイクロアクチュエータは、ニッケル製アーチ梁を有する従来のマイクロアクチュエータよりずっと効率的に加熱される。というのは梁が隣の梁のより近くに配置され得るからである。例えば一例では、アスペクト比10:1を有するシリコン製アーチ梁の構成を、中心間の間隔22μmで隣接アーチ梁間の空隙12μmのものから中心間の間隔10μmで隣接アーチ梁間の空隙5μmに縮小することにより、シリコン製アーチ梁を加熱するに必要なエネルギが40%低減された。
【0031】マイクロアクチュエータ20はまた、アーチ梁24を加熱する手段を備える。本発明の一実施形態例ではマイクロアクチュエータ20は、アーチ梁24の直接加熱により熱的駆動される。例えば間隔を開けた支持体22上に形成された電極間に電位差を印加することができ、これによりアーチ梁24を通して電流が流れる。アーチ梁24の抵抗が、電流によりアーチ梁24で熱を発生させ、これにより必要な熱的駆動が得られる。
【0032】あるいはまたアーチ梁24が、マイクロアクチュエータ20の熱的駆動を発生させるために間接加熱されることも可能であるが、その方法は例えば、アーチ梁24の周囲の温度を変化させることによるか、あるいはこれに隣接して(アーチ梁に隣接して)外部ポリシリコンヒーターが配設されるものである。図1に示したところではアーチ梁24は、好ましくは基板50と平行に伸長する方向で、マイクロアクチュエータ20の所望のあるいは予め定めた設定の運動方向に湾曲する。したがってアーチ梁24の加熱が所定方向での湾曲をさらに発生させ、利用可能な変位と機械的力とを発生させる。
【0033】マイクロアクチュエータ20はまた、アーチ梁24と結合しこれから表面上で長手方向(縦方向)に伸長するアクチュエータ部材26を備えても良い。アクチュエータ部材26は図1に示したように、間隔を開けた支持体22の間の複数のアーチ梁24を機械的に結合(連結)するためのカプラーとして機能する。このようにして、アーチ梁24の設定方向でのさらなる湾曲がアクチュエータ部材26の同じ設定方向での変位を発生させる。多数のアーチ梁24をアクチュエータ部材26で機械的に結合することにより得られるマイクロアクチュエータ20は、単一のアーチ梁のものに比べ変位および力の高度な制御性を有する。
【0034】図1にさらに示すように、本発明の少なくもひとつのマイクロアクチュエータ20は好ましくは、少なくもひとつのバルブ板30が、例えばアクチュエータ部材26を介して、動作可能な状態で少なくもひとつのマイクロアクチュエータ20と結合され、これにより駆動されるように設計される。
【0035】さらに示したように、少なくもひとつのマイクロアクチュエータ20が例えば2つのマイクロアクチュエータ28および29を含むことができ、ここにおいて、ひとつのマイクロアクチュエータ28がバルブ板30の一方側の面上に配置され予め定めた設定の方向でバルブ板30から離れる向きに伸長し(「引く」配置で)、また、他方のマイクロアクチュエータ29がバルブ板30の反対側の面上に配置され同じ設定方向にバルブ板30に近づく向きに伸長する(「押す」配置で)ということもできる。
【0036】これによりマイクロアクチュエータ28および29の双方がバルブ板30の変位を協同して制御する。バルブ板30は別の態様、配置、および形態で形成することもできるが、図示した実施形態例のバルブ板30は、隣接する引き延ばされたバルブ開口40に対応しこれを覆うべくアクチュエータ部材26から垂直に伸長する腕30aを有する。支持体22は基板50に取付けられているが、バルブ板30はアクチュエータ部材26およびアーチ梁24と一体形成され、基板50に対して相対的に運動(変位移動)することができる。したがってバルブ板30もまた単結晶シリコンのような単結晶材料で形成される。
【0037】動作においては、マイクロアクチュエータ28および29の熱的駆動が設定方向(各アーチ梁24の湾曲方向)にアクチュエータ部材26を変位させ、これによりバルブ板30をもまた変位させる。したがってノーマルオープンのバルブ10に関しては、マイクロアクチュエータ28および29が駆動されないすなわち周囲温度状態にある際には、バルブ板30はマイクロ電子基板50内の対応するバルブ開口40から離れて位置するか、又は不完全に覆うことになる。
【0038】しかしアーチ梁24の直接加熱などによるマイクロアクチュエータ28および29の熱的駆動の際には、バルブ板30は好適に押し付けられマイクロ電子基板50内の対応するバルブ開口40と結合する(閉鎖結合する)。バルブ10による適切な密封のためには、好ましくはバルブ穴40に隣接するバルブ板30の面が、バルブ板30がそれを覆って配置される際にバルブ穴40を密封するための弁座(図1には示されていない)を備える。
【0039】このようにして本実施形態例のMEMS装置は、バルブ10の本体を形成するマイクロ電子基板50を貫通するバルブ開口40を制御可能な状態で開放、閉鎖するバルブ10として機能することができる。バルブ10を流体システムに適切に接続すれば、マイクロアクチュエータ28および29を選択的に熱的駆動することによりそこでの流体の流れを制御できる。さらに本発明によるバルブ10は例えばノーマルオープン・バルブ、ノーマルクローズ・バルブ、あるいはこの組合わせといった多数の異なる配置形態で形成することができるが、この最後のもの(組み合わせのもの)は、マイクロアクチュエータ28および29の熱的駆動によりバルブ穴40のいくつかが開放されると共に他のバルブ穴40がこれにより閉鎖されるというものである。
【0040】ノーマルクローズ・バルブについては、周囲温度にあるバルブが、バルブ板30をバルブ穴40と結合させこれを密封することになる。マイクロアクチュエータ28および29の熱的駆動に際してはバルブが駆動状態となり、アーチ梁24が湾曲しバルブ板30を変位させて腕30aがバルブ穴40から結合をはずし、これによりバルブ穴40を開放する。
【0041】以下に説明するようにマイクロアクチュエータ28および29およびバルブ板30は典型的には、シリコン、ガラス、あるいは水晶などの多様な材料により構成される基板50上に形成される。本発明の実施に必須ではないがマイクロアクチュエータ28および29およびバルブ板30は好ましくは、ウエハの形状で供給されるシリコンのような単結晶材料から一体構造体として形成される。マイクロアクチュエータ28および29およびバルブ板30は典型的には、基板50上に堆積された酸化層および/または中間層(図示しない)により基板50から隔離される。中間酸化層は典型的には選択的に除去され、一部分が例えば支持体22の下で残留するが、アーチ梁24あるいはアクチュエータ部材26あるいはバルブ板30の下では残留せず、基板50に対してこれらコンポーネントの運動を可能とする。
【0042】基板50と、マイクロアクチュエータ28および29/バルブ板30構造体との間に配置された分離層でバルブ板30とバルブ穴40との間には空隙が存在し得る。というのは支持体22が中間層により基板50から隔離されるからである。したがってバルブ10は、バルブ板30がバルブ穴40と密封的に結合するように配置されねばならない。
【0043】例えばバルブ穴40周囲の基板50表面上に中間層の一部分のような追加の表面構造が、穴40とバルブ板30との間を適切に密封するために必要となり得る。また本発明の特に好適な実施形態例によれば、基板50に隣接するバルブ板30側がバルブ穴40の周囲でバルブ板30と基板50との間を有効に密封する少なくもひとつの弁座(図示しない)を備えても良い。弁座は、例えばバルブ板30と同一の単結晶シリコンから構成されても良く、あるいは例えば窒化シリコンやポリシリコンのような別個の構造体として形成されても良い。
【0044】本発明によるMEMSバルブ10のバルブ板30は基板50に対して運動可能(相対移動可能)でなければならないので、基板50へのその唯一の接続部は例えばアーチ梁24を基板50に固定する間隔を介して配置された支持体22である。したがってこのようなマイクロアクチュエータ28および29およびバルブ板30の一般的な構造の特質が通常MEMSバルブ10の動作可能圧力を制限し得る。しかし例えば深反応性イオンエッチングで形成される単結晶シリコンコンポーネントの使用により達成される、より高いアスペクト比の構造がコンポーネントの面外方向剛性を高め、MEMSバルブ10が比較的高圧力で動作することを可能にする。
【0045】さらに、本発明の好適な実施形態例によるMEMSバルブ10はバルブ板30に隣接して配置され動作可能な状態で基板50に結合された一連の面外方向の機械的止め具45をさらに備えても良い。好ましくは止め具45は、バルブ板の少なくも一部分と重なるひれ(タブ)を備えるように構成され、バルブ板30の面外方向の屈曲(撓み)を抑制すると共に基板50に対するその整列を可能とする。このようにして止め具45はさらにMEMSバルブ10の動作圧力限度を増加させるだろう。
【0046】本発明によれば、単結晶コンポーネントを有するバルブ10のようなMEMS装置を製作するために、いくつもの関連する方法が利用されて良い。図2(a)に示されるように、また、有効な一方法によれば、マイクロアクチュエータ20のアーチ梁24の熱的分離のためにウェットエッチングあるいはドライエッチングによる少なくもひとつの溝(トレンチ)52と、少なくもひとつの部分的バルブ開口42とがマイクロ電子基板50に最初に加工される。
【0047】その後、図2(b)に示したような分離酸化層54がその上に形成されるように基板50を酸化する。その後、図2(c)に示したように酸化層54が例えばウェットエッチングにより選択的に除去され、バルブ開口40を形成するために基板50がさらにエッチングされる。
【0048】図2(d)に示すところでは、シリコンのような単結晶材料から成る第1のウエハ31がその後、マイクロ電子基板50内にあるバルブ開口40に対応する少なくもひとつの弁座36を規定するようにパターン形成される。この時点で第1のウエハ31がパターン形成され少なくも部分的にエッチングされて少なくもひとつのマイクロアクチュエータ20とバルブ板30の構造が規定されても良いのであるが、最終的なマイクロアクチュエータ20とバルブ板30の構造は一般的には第1のウエハ31が基板50に接着された後に形成される。
【0049】さらに第1のウエハ31がこの時点で、例えばアーチ梁24の周囲で所望の伝導特性を生ずるように選択的にドープされることもある。マイクロ電子基板50および第1のウエハ31が準備された後に2つのウエハが図3(a)に示すように例えば融着により共に接着される。2つのウエハは、ノーマルオープンあるいはノーマルクローズの所望の条件で少なくもひとつのバルブ板30が弁座36を介してバルブ開口40と結合する(閉鎖結合する)ことができるようにして共に接着される。接着工程に続いて第1のウエハ31は図3(b)に示すように所望の厚さに研磨される。
【0050】図3(c)に示すようにその後、止め具45の位置に対応してそこに穴45aを形成した後、第1のウエハ31が酸化され酸化層38がその上に形成されても良い。止め具45用の穴45aの形成とその後の酸化工程は図5(a)により詳しく示す、というのは止め具45は典型的には図3(c)に示す断面に垂直に配置されるからである。その結果として、さらに図5(b)に示すように酸化層38の一部分がエッチングにより除去され、止め具45用の固定部位47が形成される。その後、図3(d)および図5(c)に示すように多結晶シリコン層(ポリシリコン層)49が例えば酸化層38上に堆積(沈着)され、その後これから止め具45が形成される。
【0051】図4(a)および図5(d)にはさらに、多結晶シリコン層49の堆積に引き続き多結晶シリコン層49がパターン形成されエッチングされて、酸化層38がウェットエッチングで除去される前に止め具45が形成されることを示す。止め具45はこのようにして固定部位47で第1のウエハ31に固定され、バルブ板30を形成するために引き続き処理される第1のウエハ31のその形成部分の縁を覆って伸長する。
【0052】図4(b)に示すように、マイクロアクチュエータ28および29およびバルブ板30がその後、支持体22、アーチ梁24、アクチュエータ部材26、および腕30aなどのコンポーネントをエッチングすることにより単結晶シリコンの第1のウエハ31から形成されても良い。示されるように、MEMSバルブ10はさらに、少なくもひとつのマイクロアクチュエータ20および少なくもひとつのバルブ板30が形成される前あるいは後に金属層形成(金属膜形成)とエッチング処理とによって形成される金属パッド39を備えても良く、金属パッド39はマイクロアクチュエータ28および29への電気的接触を行なうものである。いくつかの実施形態例では金属パッド39が、バルブ板30をバルブ開口40に対して所定の位置に押える方法としてバルブ板30の静電的クランプ動作を行なっても良い。
【0053】より詳細には少なくもひとつのマイクロアクチュエータ20と少なくもひとつのバルブ板30が、単結晶シリコンの第1のウエハ31の上に最初にマスク層を形成することにより単結晶シリコンウエハから形成されても良い。本明細書で層や要素が他の層や要素の「上に」あると記述される場合には、それが天、底、あるいは側面の領域で層の上に直接形成されても良く、あるいは一以上の中間層が層の間にあっても良いということが関連技術に熟達した者には理解されるであろう。
【0054】マスク層は典型的にはフォトレジストあるいは感光性高分子材料である。ウエハ31上に形成された後には、ウエハ31上に残留するフォトレジストがマイクロアクチュエータ28および29(一般的には各々が、1対の間隔を開けた(介した)支持体22、少なくもひとつのアーチ梁24、およびアクチュエータ部材26を構成する)およびバルブ板30を規定するようにマスク層がパターン形成される。フォトレジストがパターン形成された後にはウエハ31がエッチングされ、マイクロアクチュエータ28および29およびバルブ板30の構造体が形成される。
【0055】好ましくはウエハ31は、ウエハ31から10:1オーダーのアスペクト比を有する薄いシリコン構造体を形成することのできる深反応性イオンエッチングによりエッチングされる。シリコン製アーチ梁24およびバルブ板30に対する高いアスペクト比がこれらの構造体の面外方向剛性を増加させ、より丈夫な装置へと寄与する。
【0056】さらに本発明の製造技術は構造物および/またはコンポーネントをより密に配置することを可能にする。例えば隣接するシリコン製アーチ梁24の間のより密な配置は隣接する梁24の間の熱伝達を増加させるので、アーチ梁24が加熱される効率を高める。ウエハ31がエッチングされた後にはフォトレジストが除去される。この時点で第1のウエハ31が、選択的にあるいは全面処理(ブランケットプロセス)によりさらにドープされても良い。選択的ドープは例えば導通領域を非導通領域から分離するために利用される。
【0057】より詳細には、選択的ドープは例えば加熱されるおよび加熱されないアーチ梁24が交互するもの、あるいはこの部分を形成するために利用することができる。その伝導を増加させる/禁止するためにアーチ梁24に交互にドープすることにより、交互の(1つ置きの)アーチ梁24だけが、これを通して通電するなどによる直接加熱により加熱され駆動される。非導通で加熱されないアーチ梁24は、隣接する加熱されたアーチ梁24により発生されるその周囲の温度によって副次的に駆動されてもよい。したがって更なる効率の改善とエネルギ消費の低減が認識されるであろう。というのは所望の駆動の程度を得るために、より少数のアーチ梁24だけが電流により加熱されれば良いからである。
【0058】図6、図7(a)、図7(b)に示すように、また、本発明の好適な一実施形態例によれば、ひとつのマイクロアクチュエータ420と2つのバルブ板430とを有する代替構成で示したMEMSバルブ410が、これに接着された第2のウエハ460を備えて提供されても良い。第2のウエハ460の重要な構造としては例えば、マイクロアクチュエータ420を覆って配置され保護カバーを形成する適切にエッチングされた空洞462を備えても良い。図7(a)にさらに示すように空洞462がアクチュエータ420を覆って伸展し、アーチ梁424とアクチュエータ部材426の部分とをカバーする。
【0059】また図7(b)に示すように第2のウエハ460がさらに、空洞462の端で適切にエッチングされた通路464を備えても良く、第2のウエハ460がマイクロアクチュエータ420のアクチュエータ部材426から間隔を開けて配置されて、その運動と操作とが可能となる(マイクロアクチュエータ420の運動と操作とが可能となる)。図7(a)はまた第2のウエハ460がさらに、バルブ410のバルブ部分に対応して適切な間隔で配置されると共にバルブ410により制御される流体の流れのために適切な導管(溝)となるバイア(穴)466を備えるように構成されても良いことを示す。そこで、第2のウエハ460は融着や陽極接着処理などにより第1のウエハ431と接着され、説明したバルブ410の動作が可能となる。第1のウエハ431に接着されることで第2のウエハ460がまた、マイクロアクチュエータ420用の面外方向の機械的止め具として機能しても良い。
【0060】本明細書に説明する本発明の更なる観点は、MEMSバルブ10の周囲の相互接続と接触パッドとを定めるために利用される金属化ステップ(金属膜形成ステップ)を包含する。図8に示すように、金属化処理はアーチ梁24の加熱特性をより特定的に規定し制御するために利用されて良い。典型的なアーチ梁24は半導体材料から成り、それぞれが支持体22のそれぞれに隣接して配置される末端23と、末端23の間に伸展する中央部分25とを備える。
【0061】したがって金属層すなわち痕跡70が支持体22上に蒸着され、この間に動作可能な状態で接続される電流源(図示しない)用の接続パッドとして機能する。支持体22の間およびアーチ梁24を渡る電流の印加が、アーチ梁24を熱的駆動するに必要な熱をアーチ梁24の抵抗により内部で発生させる。蒸着は典型的には、ニッケル、銅、あるいは金のような金属を所望の表面上に堆積(沈着)させることを包含する。
【0062】その後、金属の一部分が例えばウェットエッチ処理により除去され、マイクロアクチュエータ20構造体上に所望形態の金属配置を形成する。あるいはまた、蒸着金属の配置形態を決めるために引き剥がし処理を利用しても良く、この場合、マイクロアクチュエータ20構造体にフォトレジストを塗布し、金属を必要としないマイクロアクチュエータ20の部分上にフォトレジストを残してパターン形成する。金属蒸着処理に引き続いてフォトレジストを除去すれば必要のない金属もまた除去され、マイクロアクチュエータ20構造体上に所望の金属配置形態が形成される(残される)。
【0063】驚くべきことに、蒸着金属層70を支持体22からアーチ梁24の末端部分23上に伸長させることでアーチ梁24の加熱される領域がその中央部分25に集中することが解った。アーチ梁24の末端部分23上に伸長する金属痕跡72は電流に低抵抗値の通路を提供する。その後、痕跡72の端では電流が、より高い抵抗値のシリコン製アーチ梁24の中央部分25を通して流れるよう強制される。このようにしてアーチ梁24の中央部分25がその末端部分23より大きな電流加熱効果を受け、アーチ梁24の中央部分25でずっと大きな熱的駆動が達成され、マイクロアクチュエータ20の所望の変位が発生される。アーチ梁24の加熱領域の縮小はさらに、所望の変位を達成するためにアーチ梁24を加熱するに必要なエネルギのこれに対応した低減をもたらす。
【0064】図9は、図1に示した実施形態例と同様であるが、しかしバルブ板630に動作可能な状態で接続される少なくもひとつの対応するはめ合い部材682と相互作用するべく配置された少なくもひとつのラッチ680をさらに備える本発明のさらに他の好適な実施形態例を示す。本発明の一実施形態例によればMEMSバルブ610は、ラッチ680と、バルブ板630の両側に配置された対応するはめ合い部材682とを備えても良い。ラッチ680はさらに熱的動作用に構成されても良い。
【0065】すなわち例えばラッチ680の各側が2本のシリコンの細帯684および686を備えても良く、細帯の1本が他方より狭いものとする。ラッチ680を通した電流の印加は、シリコン細帯(細片)684および686の抵抗によるラッチ680の加熱を生ずる。一般的には狭い方の細帯686が小さな断面積のためにより高い抵抗値を有するので、広い方の細帯684より大きな程度で加熱される。
【0066】したがって図9に示すように、狭い方の細帯686が広い方の細帯684より多く膨張しラッチ680の側部を開かせる。引き続くマイクロアクチュエータ628および629の駆動がバルブ板630に作用し、したがってはめ合い部材682をラッチ680に向かって変位させる。いったんはめ合い部材682が各ラッチ680の側部の間の位置にまで変位するとラッチ680を通した電流の通電を休止することができ、これによりラッチ680の側が冷却されその本来の配置に閉じ対応するはめ合い部材682をその間(内)に捕捉する。
【0067】その後バルブ板630はラッチ680により所望の位置に保持されるようにバルブ610は非駆動状態にされても良く、これによりマイクロアクチュエータ628および629用の電気的駆動源に依存することなしにバルブ610が「駆動」位置に維持される。引き続きバルブ610は、前記詳述したステップを逆転することによりその「非駆動」位置に戻る。このようにして熱的ラッチ680は、マイクロアクチュエータ628および629あるいは熱的ラッチ680への継続的なエネルギ投入を必要とせずに駆動位置に維持され得るバルブを提供することにより、MEMSバルブ610に対してさらなるエネルギ節約を可能にする。
【0068】このようにして、単結晶シリコンから一体構造体として形成されたアーチ梁24と少なくもひとつのバルブ板30を有するバルブ10のようなMEMS装置を本発明によって形成することができる。アーチ梁24とバルブ板30を単結晶シリコンから製造することでアーチ梁24とバルブ板30を精密に形成することが可能となる。より詳しくはアーチ梁24とバルブ板30は少なくも10:1までのアスペクト比で、より詳しくは深反応性イオンエッチング処理を利用することにより形成されても良い。
【0069】これらのコンポーネントのより高いアスペクト比がその面外方向剛性を高め、より丈夫な装置を製作させる。本発明の製造技術はまた、バルブ10のコンポーネントがより密に配置されることを可能とする。例えば隣接するシリコン製アーチ梁24の間の間隔をより密にすることで、隣接するアーチ梁24間のより効率的な熱伝達が生じる。さらに単結晶シリコン製マイクロアクチュエータ20はこれを通しての通電などにより直接加熱が可能であり、これは一般的に間接加熱より効率的である。
【0070】さらに、シリコンの熱膨張係数はニッケルのような金属のものより小さいが、シリコンはニッケルより著しく密度が小さく、所与のパワー量に対して、シリコン製アーチ梁は対応するニッケル製アーチ梁より一般的に多く加熱され得る。この加熱効果はさらに、シリコン製アーチ梁上に金属層痕跡を伸長させてシリコン製アーチ梁の熱的駆動部分の寸法を制御可能な状態で制限することにより増強しても良い。熱的ラッチを備えることで、マイクロアクチュエータあるいは熱的ラッチへの継続的なエネルギ投入を必要とせずにバルブ板が駆動位置に維持され得るようになり、MEMSバルブの効率をさらに高めることができる。上記構成の故に本発明のMEMSバルブは金属製アーチ梁を有する従来のMEMS装置に比較して、より高い面外方向剛性を有することができ、より丈夫となり得て、より制御可能かつ効率的に加熱かつ駆動され得る。
【0071】上述の説明と関連図面に表現された教育効果のために、本発明の関連技術に熟達する者には、本発明の多数の改変や他の実施例が思い浮かぶであろう。したがって本発明は開示された特定の実施例に制限されず、改変や他の実施例が添付の請求範囲内に含まれるべきことを認識すべきである。本明細書では特定の用語が使用されたが、これらは一般的かつ叙述的意味で使用されるのであり制限の目的ではない。
【出願人】 【識別番号】500003660
【氏名又は名称】ジェイディーエス ユニフェイズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】JDS Uniphase Inc.
【住所又は居所原語表記】570 West Hunt Club Road, Nepean, Ontario, Canada K2G5W8
【出願日】 平成12年8月29日(2000.8.29)
【代理人】 【識別番号】100093894
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 清
【公開番号】 特開2001−116159(P2001−116159A)
【公開日】 平成13年4月27日(2001.4.27)
【出願番号】 特願2000−258898(P2000−258898)