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【発明の名称】 弁装置における異常報知装置
【発明者】 【氏名】伊藤 晴夫

【氏名】渡辺 進

【要約】 【課題】弁体を駆動する弁棒の支持部や弁体部分における性状変化を、常時かつ定量的に知りうるようにする。

【解決手段】弁棒14を軸線方向に移動させることにより弁体15を開閉させるようにした弁装置において、弁棒14の適所に軸線方向を向く取付孔14cを設け、この取付孔14cの側面に、歪みゲージを、その検出方向を軸線方向に向けて貼設する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 弁棒を軸線方向に移動させることにより弁体を開閉させるようにした弁装置において、弁棒の適所に軸線方向を向く取付孔を設け、この取付孔の側面に、歪みゲージを、その検出方向を軸線方向に向けて貼設したことを特徴とする弁装置における異常報知装置。
【請求項2】 弁箱もしくはそれに取付けたボンネットに設けた弁棒保持用のグランドパッキンと、弁棒駆動部との間の適所において、弁棒に軸線方向の取付孔を設け、この取付孔の側面に、歪みゲージを、その検出方向を軸線方向に向けて貼設したことを特徴とする請求項1記載の弁装置における異常報知装置。
【請求項3】 弁棒駆動部が、圧力流体によって作動させられるダイヤフラムであり、このダイヤフラムに弁棒の上端を止着するとともに、弁棒の上端から軸線方向を向く取付孔を設け、この取付孔の側面に、歪みゲージを、その検出方向を軸線方向に向けて貼設したことを特徴とする請求項1または2記載の弁装置における異常報知装置。
【請求項4】 弁棒駆動部が、シリンダー内に設けられ、かつ圧力流体によって作動させられるピストンであり、弁棒の上端部を、シリンダーの底壁に設けた貫孔に、シールリングを介して挿入するとともに、弁棒の上端を上記ピストンに固着し、かつ上記シールリングの上方において弁棒に設けた軸線方向の取付孔の側面に、歪みゲージを、その検出方向を軸線方向に向けて貼設したことを特徴とする請求項1または2記載の弁装置における異常報知装置。
【請求項5】 シールリングの下方において弁棒に設けた軸線方向の取付孔の側面に、歪みゲージを、その検出方向を軸線方向に向けて貼設したことを特徴とする請求項4記載の弁装置における異常報知装置。
【請求項6】 弁棒を軸線まわりに回動させることにより弁体を開閉させるようにした弁装置において、弁棒の適所に取付孔を設け、この取付孔の側面に、歪みゲージを、その検出方向を円周方向に向けて貼設したことを特徴とする弁装置における異常報知装置。
【請求項7】 取付孔の側面に、検出方向を軸線方向とした歪みゲージを貼設してなる請求項6記載の弁装置における異常報知装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弁棒を軸線方向に動かすか、もしくは軸線まわりに回動させることにより弁体を開閉させるようにした弁装置において、運転中に、弁体支持部であるグランドパッキン、その他のパッキン、並びに弁体部分等の性状の変化を、常時かつ定量的に知りうるようにした報知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えばピストンやダイヤフラム、あるいはベローズを備える直線駆動式アクチュエータを、圧力空気その他の圧力流体を利用して作動させ、さらに必要に応じて、復帰用ばねを付加して、弁棒を軸線方向に往復運動させることにより、弁体を開閉させるようにした弁装置、あるいは回転型のアクチュエータにより弁棒を軸線まわりに回動させることにより、弁体を開閉させるようにした弁装置においては、次のような異常もしくは不適切な状態が発生するおそれがある。
【0003】(a)弁棒と弁箱との間に設けられたグランドパッキンが、経時的劣化により、あるいは温度や圧力の影響等により、弱体化して、弁棒との摺動摩擦力、ひいてはシール性が低下する。
【0004】(b)アクチュエータがシリンダにピストンを挿入したものである場合には、ピストンの外周に嵌合されたピストンリングの経時的変化等によっても、(a)と同様の事態が発生する。
【0005】(c)被制御流体の性状や温度、圧力、あるいは夾雑物の有無、さらには弁体部分の摩耗等により、弁体が弁座に当接したり離隔したりする際に、弁棒が受ける抵抗値が変化する。
【0006】(d)アクチュエータが復帰用ばねを備えている場合には、このばねの弱体化によっても、作動が不適切となることがある。
【0007】上記のような事態が発生すると、弁棒の摺動摩擦力が過大もしくは過小となり、ハンチング等の作動不良を起こして、弁装置、ひいてはこれを備えるシステムの運転に少からぬ悪影響を与えることとなる。
【0008】もし、弁装置の運転中に弁棒がハンチングを起こすと、弁棒の作動は不良、かつ不確実となり、またそのアクチュエータ等に対するフィードバックが適切に行われなくなり、弁の自己制御は不良となる。また、弁棒の摺動摩擦力が一定限度以下となると、シールは不良となり、弁棒の迅速かつ強力な作動は行われなくなる。
【0009】このような事態の発生を可及的に抑止するためには、使用時間の経過や温度の変化に拘らず、弁棒の作動抵抗が一定範囲内にあるか否かを、常に定量的に監視し管理することが必要である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記の問題を解決するためには、弁棒に直接歪みゲージを取付ければよいが、歪みゲージを長期の運転に耐えられるように確実に取付けることは困難であり、運転中に、歪みゲージの一部もしくは全体が剥がれたり、移動したりすることがある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、簡単な手段で、歪みゲージを弁棒の中に一体的に設けることにより、上記した従来のものの問題点を解決しようとするもので、その具体的手段は次の通りである。
【0012】(1)弁棒を軸線方向に移動させることにより弁体を開閉させるようにした弁装置において、弁棒の適所に軸線方向を向く取付孔を設け、この取付孔の側面に、歪みゲージを、その検出方向を軸線方向に向けて貼設する。
【0013】(2)上記(1)項において、弁箱もしくはそれに取付けたボンネットに設けた弁棒保持用のグランドパッキンと、弁棒駆動部との間の適所において、弁棒に軸線方向の取付孔を設け、この取付孔の側面に、歪みゲージを、その検出方向を軸線方向に向けて貼設する。
【0014】(3)上記(1)または(2)項において、弁棒駆動部が、圧力流体によって作動させられるダイヤフラムであり、このダイヤフラムに弁棒の上端を止着するとともに、弁棒の上端から軸線方向を向く取付孔を設け、この取付孔の側面に、歪みゲージを、その検出方向を軸線方向に向けて貼設する。
【0015】(4)上記(1)または(2)項において、弁棒駆動部が、シリンダー内に設けられ、かつ圧力流体によって作動させられるピストンであり、弁棒の上端部を、シリンダーの底壁に設けた貫孔に、シールリングを介して挿入するとともに、弁棒の上端を上記ピストンに固着し、かつ上記シールリングの上方において弁棒に設けた軸線方向の取付孔の側面に、歪みゲージを、その検出方向を軸線方向に向けて貼設する。
【0016】(5)上記(4)項において、シールリングの下方において、弁棒に設けた軸線方向の取付孔の側面に、歪みゲージを、その検出方向を軸線方向に向けて貼設する。
【0017】(6)弁棒を軸線まわりに回動させることにより弁体を開閉させるようにした弁装置において、弁棒の適所に取付孔を設け、この取付孔の側面に、歪みゲージを、その検出方向を円周方向に向けて貼設する。
【0018】(7)上記(6)項において、取付孔の側面に、検出方向を軸線方向とした歪みゲージを貼設する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下図面に基いて、本発明の実施の態様を説明する。図1は、請求項1〜3に記載した発明の実施の形態を適用したダイヤフラム作動式流路開閉弁の例を示す縦断正面図である。
【0020】弁箱(1)は、流路(2)に接続された流入筒(3)および流出筒(4)を左右に有し、かつ中央部に垂直の弁孔(5)を有するほぼ水平の仕切壁(6)によって、それぞれ流入筒(3)および流出筒(4)に連通する下側の流入室(7)と、上側の流出室(8)が形成されている。
【0021】弁孔(5)の上縁は、下向きの円錐面(5a)に形成され、ここに環状の弁座(9)が固着されている。
【0022】弁箱(1)の上面に適数のボルト(10)をもって固着されたボンネット(11)の中心の垂直の支持孔(12)の中には、グランドパッキン(13)を介して、長寸の弁棒(14)が、上下摺動しうるようにして挿入されている。なおボンネット(11)を弁箱(1)と一体的に形成することもある。
【0023】弁棒(14)の下端には、それとともに上下移動するのに伴って、前記弁座(9)から離隔したり、弁座(9)に当接して弁孔(5)を閉じたりする弁体(15)が取付けられている。
【0024】前記グランドパッキン(13)は、支持孔(12)の上部における大径孔(12a)内に挿入され、グランドパッキン(13)の下端は、大径孔(12a)の下端の肩部で受支されている。グランドパッキン(13)の上端は、ボンネット(11)の上面にボルト(16)をもって止着した受支片(17)により保持されている。
【0025】弁棒(14)の上部は、ボンネット(11)の上面にボルト(18)をもって取付けられた筒状のヨーク(19)内を上昇し、ヨーク(19)の上面に、覆板(20)を介して、かつ共通のボルト(21)をもって一体的に取付けられたやや偏平の円形筐(22)内に突入している。
【0026】円形筐(22)は、上下の半割筐(22a)(22b)の周縁部をボルト(23)締めして形成され、半割筐(22a)(22b)の周縁部の間には、ダイヤフラム(24)の周縁部が挟み込まれている。
【0027】ダイヤフラム(24)の中心部には、受圧円板(25)が固着され、受圧円板(25)の中心に下面より穿設された有頂のめねじ孔(25a)に、前記弁棒(14)の上端におけるおねじ部(14a)がきつく螺合されている。
【0028】上側の半割筐(22a)の上面中心には排気孔(26)が、下側の半割筐(22b)の下面一側には、導気孔(27)が設けられている。
【0029】ヨーク(19)内の適所において、弁棒(14)には、上下摺動しうるばね受け(28)が嵌挿され、ばね受け(28)の下面は、弁棒(14)に設けたおねじ部(14b)へ螺合した調節筒(29)により保持されている。
【0030】前記蓋板(20)とばね受け(28)との間において、弁棒(14)には圧縮コイルばね(30)が嵌挿され、これにより弁棒(14)は、下向きに付勢されている。
【0031】弁棒(14)には上面から軸線方向を向く取付孔(14c)が穿設され、前記下側の半割筐(22b)の下方において、取付孔(14c)の内面には、歪みゲージ(31)が、その検出方向を軸線方向に向けて貼着されている。歪みゲージ(31)のリード線(31a)は、取付孔(14c)の側部に設けた引出孔(14d)を経て、外部へ導出されている。取付孔(14c)は、スリット状のものであってもよい。
【0032】上記構成によると、弁棒(14)に軸線方向の歪みが発生すると、それに応じて歪みゲージ(31)の電気抵抗値は変化するので、その値を適宜増幅して出力させることにより、弁体(14)の開閉抵抗、もしくはグランドパッキン(13)の摺動抵抗、さらにはダイヤフラム(24)の弾性等が変化したことを、直ちに定量的に知ることができ、またその変化値が一定限度を超えた場合には、必要に応じて、警告させることもできる。
【0033】従って、弁箱(1)やヨーク(19)等を分解することなく、弁体(15)もしくは弁座(9)の部分に異常が起きたか、またはグランドパッキン(13)が経時劣化等して、交換を要する状態となったか否かを知ることができ、適時かつ適切な保守管理を行うことができる。
【0034】図2は、請求項4および5に記載した発明の実施の形態を適用したピストン作動式流路開閉弁の例を示す要部の一部縦断斜視図である。
【0035】図1に示したのと同様の弁棒(41)の上端は、垂直シリンダー(42)内の複動式ピストン(43)の下面に固着されており、従って、図1におけるような付勢用圧縮コイルばねを備えていない。弁体部分その他は、基本的には図1のものと同様である。従って、図2を参照して、弁棒(41)の上端部についてのみ説明する。
【0036】垂直シリンダー(42)は密閉円筒状をなし、その側壁の上下端部に、それぞれ吸排気口(44)(45)が設けられている。
【0037】ピストン(43)は、外周面に嵌溝(43a)を有し、その中にピストンリング(46)が嵌合されている。
【0038】弁棒(41)の上部は、垂直シリンダー(42)の底壁(42a)の中心に穿設された貫孔(42b)を貫通して、垂直シリンダー(42)内へ突入し、その上端は、前述のように、ピストン(43)の下面に適宜固着されている。
【0039】貫孔(42b)の側面には、円周方向の凹溝(42c)が設けられ、その中に、弁棒(41)の側面に適切に当接するシールリング(47)が嵌入されている。
【0040】弁棒(41)の上端から下方へ向って線方向の取付孔(41a)(スリットでもよい)が穿設され、前記シールリング(47)の上方および下方において、取付孔(41a)の内面には、歪みゲージ(48)(49)が、その検出方向を軸線方向として貼着されている。各歪みゲージ(48)(49)のリード線(48a)(49a)は、取付孔(41a)の側面に設けた取出孔(41b)を経て、外部へ導出されている。
【0041】上方の歪みゲージ(48)が示す歪み値の変化により、ピストンリング(46)およびシールリング(47)の劣化や摩耗の度合いを定量的に知ることができる。
【0042】また下方の歪みゲージ(49)が示す歪み値の変化により、図示しないグランドパッキンの劣化や摩耗の程度、並びに弁体部分の抵抗値の変化を知ることができる。
【0043】図3は、請求項6に記載した発明の実施の形態として、ボールバルブに適用した例を示す要部の一部縦断斜視図がある。
【0044】下端が図示しないボール状弁体に係止もしくは止着され、かつ要所が、グランドパッキン(50)を介して、図示しない弁箱に枢支されている弁棒(51)の上端は、適宜の回転型アクチュエータ(52)に接続され、これにより正逆回動させられて、流路を開閉するようになっている。
【0045】弁棒(51)には、上端面から軸線方向の取付孔(53)が穿設され、その側面には、歪みゲージ(54)が、検出方向を円周方向に向けて貼設されている。
【0046】歪みゲージ(54)のリード線(54a)は、取付孔(53)の側部に設けた引出孔(53a)を経て、外部へ導出されている。
【0047】取付孔(53)を、弁棒(51)の側面より求心方向へ設け、歪みゲージ(54)を貼着した後、取付孔(53)を盲蓋で閉じて実施することもできる。
【0048】取付孔(53)には、円周方向の歪みゲージ(54)に加えて、図示しない軸線方向の歪みゲージを貼設することもある。
【0049】歪みゲージ(49)が示す歪み値の変化により、グランドパッキン(50)および図示しないボール状弁体に当接する弁座の劣化や摩耗等による機能の低下を知ることができる。
【0050】
【発明の効果】(a)請求項1の発明歪みゲージが示す弁棒の軸線方向の歪み値の変化により、弁棒支持部や弁体部分の劣化等に伴う機能の低下を、常時、かつ定量的に知ることができ、適時に対策を講じることができる。また、歪みゲージは弁棒の内部に取付けられているため、外部の物質や環境等に対して完全に隔離され、妄りに動いたり、剥がれたりすることはない。
【0051】(b)請求項2の発明グランドパッキンの劣化や摩耗を、絶えず、かつ定量的に知ることができる。
【0052】(c)請求項3の発明ダイヤフラムの性状の変化をも、常時かつ定量的に知ることができる。
【0053】(d)請求項4の発明シリンダーにおけるピストン枢支部のシールリング、並びにピストンの外周面におけるピストンリングの劣化や弱体化を、常時、かつ定量的に知ることができる。
【0054】(e)請求項5の発明シリンダーにおけるピストン枢支部のシールリングの下方における弁棒支持部材や弁体部分の機能の低下を、常時かつ定量的に知ることができる。
【0055】(f)請求項6の発明弁棒の円周方向におけるグランドパッキンや弁体部分の機能の低下を、常時かつ定量的に知ることができる。
【0056】(g)請求項7の発明弁棒の円周方向並びに軸線方向におけるグランドパッキンや弁体部分の性状の変化を、常時かつ定量的に知ることができる。
【出願人】 【識別番号】000230940
【氏名又は名称】日本原子力発電株式会社
【識別番号】598157948
【氏名又は名称】株式会社 ニチギ・エンジニアリング
【出願日】 平成11年10月12日(1999.10.12)
【代理人】 【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一 (外2名)
【公開番号】 特開2001−108142(P2001−108142A)
【公開日】 平成13年4月20日(2001.4.20)
【出願番号】 特願平11−289246