トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 電磁制御弁
【発明者】 【氏名】小林 愛樹

【氏名】関谷 睦生

【要約】 【課題】プランジャ16のロッド15を支承する軸受がプランジャ16の当接によって磁化されるのを防止するための非磁性部材17,18をプランジャ16の端部に設ける必要をなくす。

【解決手段】プランジャ16のロッド15の両端部を支承する第一軸受11と第二軸受12において、ボール14を内蔵するリテーナ33が非磁性部材からなり、そのリテーナ33の片側端部に形成した鍔部33aがプランジャ16の端部に面するように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 流体通路接続用の複数のポートを有するハウジングと、このハウジング内に軸方向へ摺動可能に収容され、前記ポートを開閉するスプールと、前記ハウジングの軸方向一端に固定されて周囲にソレノイドコイルが巻回され、その磁束を通す磁気回路部と、この磁気回路部に軸方向へ摺動可能に内蔵され、その磁気回路部に生じる磁気吸引力で軸方向に作動可能なプランジャと、このプランジャの軸心部に貫通固定されたプランジャロッドと、このプランジャロッドの両端側を軸方向へ摺動可能に支承する第一軸受及び第二軸受とを備えた電磁制御弁において、前記第一軸受及び第二軸受は、ボールを内蔵した非磁性部材からなるリテーナと、このリテーナの片側端部に形成されて前記プランジャの端部に面する鍔部とを有していることを特徴とする電磁制御弁。
【請求項2】 流体通路接続用の複数のポートを有するハウジングと、このハウジング内に軸方向へ摺動可能に収容され、前記ポートを開閉するスプールと、前記ハウジングの軸方向一端に固定されて周囲にソレノイドコイルが巻回され、その磁束を通す磁気回路部と、この磁気回路部に軸方向へ摺動可能に内蔵され、その磁気回路部に生じる磁気吸引力で軸方向に作動可能なプランジャと、このプランジャの軸心部に貫通固定されたプランジャロッドと、このプランジャロッドの両端側を軸方向へ摺動可能に支承する第一軸受及び第二軸受とを備えた電磁制御弁において、ボールを内蔵した非磁性部材からなるリテーナを有してプランジャの磁気吸引側を支承する第一軸受を保持し、前記磁気回路部の一部を構成するボス部材と、このボス部材の内部に設けた絞り部と、前記ボス部材の内部でその絞り部を挟む両側に形成されたスプール側及びプランジャ側の大径穴部とを有し、前記スプール側の大径穴部に前記第一軸受が圧入保持され、且つ、前記プランジャ側の大径穴部には前記プランジャの磁気吸引側の端部が嵌入可能で、その嵌入時に、プランジャの吸引側の端部に設けられたリング状の非磁性部材が前記絞り部に当接するように構成したことを特徴とする電磁制御弁。
【請求項3】 絞り部は、ボス部材とは別体の磁性部材からなって前記ボス部材の内部に圧入保持されていることを特徴とする請求項2記載の電磁制御弁。
【請求項4】 絞り部の内部には、リテーナの一部がプランジャ側に向って突出していることを特徴とする請求項2または請求項3記載の電磁制御弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば内燃機関の吸・排気系のバルブ開閉タイミングを油圧で制御するバルブタイミング可変装置などにおいて、その油圧を適正制御するための電磁制御弁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図9は、例えば特開平7−151257号公報に開示された従来の電磁制御弁を示す断面図、図10は図9の要部拡大断面図である。図9において、1は電磁制御弁のハウジングであり、このハウジング1は流体通路接続用の複数のポート2a〜2eおよび3a〜3eを有している。4はハウジング1内に所定範囲で軸方向へ摺動可能に収容されて前記ポート2a〜2eおよび3a〜3eを開閉するスプール、5はハウジング1の軸方向一端に連結固定されたヨークであり、このヨーク5は内筒部(内径部)5aと外筒部(外径部)5bとを有する円筒状の磁性体からなっている。
【0003】6はヨーク5内に嵌挿されたコイルボビン、7はそのコイルボビン6の外周に巻回されたソレノイドコイル(以下、単にコイルという)、8はヨーク5の外筒部5bの端部に嵌着されたコアであり、このコア8は前記コイルボビン6内に嵌合した円筒状のボス部8aを有する磁性体からなっている。9はコイル7に電気的に接続されたターミナル、10はそのターミナル9をモールドしている樹脂部、11は前記ヨーク5の内筒部5a内に設けられた第一軸受、12はコア8のボス部8a内に設けられた第二軸受であり、これらの第一軸受11と第二軸受12は同一構造のもので、詳しくは、その一方の第一軸受11を図10に示すように、軸方向両端に内向き鍔部13aを有するレース(外輪)13と、このレース13の円筒部内に嵌着されたリテーナ34と、このリテーナ34に保持されたボール14とからなっている。ここで、前記レース13は磁性体からなり、前記リテーナ34は非磁性体からなり、前記ボール14はステンレス(非磁性体)からなるものである。
【0004】15は第一軸受11と第二軸受12とによって軸方向へ摺動可能に両端側が支承されたプランジャロッド(以下、単にロッドという)であり、このロッド15は非磁性体からなっている。16は前記ロッド15に一体的に保持されたプランジャであり、このプランジャ16は磁性体からなるもので、その軸心部に貫通固定された前記ロッド15と共に軸方向へ移動可能となっている。16aは前記プランジャ16の磁気吸引側(第一軸受11側)の端部外周に形成されて第一軸受11側が漸次小径となるテーパ面、16bはそのテーパ面16aの小径側の端面に設けられた環状の座ぐり部、17はその座ぐり部16bに嵌着されたリング状の非磁性部材であり、この非磁性部材17は前記座ぐり部16bから第一軸受11側に突出している。18は前記プランジャ16の第二軸受12側の端部に固着されたリング状の非磁性部材である。
【0005】19はスプール4をロッド15に対する当接方向に付勢するスプリング、20はハウジング1の軸方向他端部に螺合された調整ナットであり、この調整ナット20は前記スプリング19を圧縮している。21はオイルタンク、22はオイルポンプ、23はそのオイルポンプ22とポート2cとを連通する油圧供給路、24は二次側のポート3dを制御室25に接続する油圧通路、26は二次側のポート3bと制御室27とを接続する油圧通路、28はポート2aに接続されたドレン通路、29はポート2eに接続されたドレン通路である。
【0006】次に動作について説明する。コイル7の非通電時には、プランジャ16に磁気吸引力が発生せず、スプリング19の付勢力によるスプール4の移動でプランジャ16は第一軸受11から離れた位置(図9の状態)に保持される。この状態では、オイルポンプ22からの作動油が一方の制御室25に圧送供給され、他方の制御室27からはドレン通路28を介してオイルタンク21内に戻り油が排出される。次いで、前記コイル7に通電されると、そのコイル7に生じる磁界によりヨーク5の内筒部5aとプランジャ16との間に発生する磁気吸引力によって、プランジャ16とスプール4がスプリング19の付勢力に抗して移動する。これにより、プランジャ16は、移動方向前端の非磁性部材17が第一軸受11のレース13に当接した位置で停止する。この停止位置では、オイルポンプ22からの作動油が前記他方の制御室27に圧送供給され、前記一方の制御室25からはドレン通路29を介してオイルタンク21内に戻り油が排出される。
【0007】このような従来の電磁制御弁は、プランジャ16の両端にリング状の非磁性部材17,18を配設し、これらの非磁性部材17,18を第一軸受11および第二軸受12に当接させる構成となっていることにより、金属製の第一軸受11とプランジャ16との磁化吸着を防止し、コイル7の電流遮断時にスプリング19の付勢力でプランジャ16を第一軸受11から離れる方向へスムーズに移動させることができるというものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の電磁制御弁は以上のように構成されているので、磁性体からなるプランジャ16の吸引側端面に設けられた非磁性部材17によって、金属製の第一軸受11と前記プランジャ16との磁化吸着を防止することができるが、その反面、金属製の軸受は部品コストが高く、かつ、プランジャ16にあっても前記磁化吸着を防止するための非磁性部材17を設けなければならず、電磁制御弁のコスト低減を図る点でネックになるという課題があった。そこで、前記軸受を非磁性部材で構成することも考えられるが、軸受を単に非磁性部材で構成したのでは、その非磁性軸受によって、プランジャ対向面の磁路面積が極端に減少し、プランジャの吸引力が減少して電磁制御弁の適正作動が得られなくなるという課題があった。
【0009】この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、プランジャのロッドを軸方向へ摺動可能に支承する軸受がプランジャの当接時に磁化するのを防止するための非磁性部材をプランジャの端部に設ける必要をなくし、前記軸受の大幅なコスト低減を可能とする電磁制御弁を得ることを目的とする。
【0010】また、この発明は、軸受のリテーナを非磁性部材で形成するものでありながら、プランジャの磁気吸引力が前記リテーナで損なわれることのない信頼性の高い電磁制御弁を得ることを目的とする。
【0011】さらに、この発明は、磁気回路部の一部を構成して軸受を内蔵するボス部材の構造を単純化でき、そのボス部材の生産コストを低減することができる電磁制御弁を得ることを目的とする。
【0012】さらに、この発明は、磁気回路部の一部を構成するボス部材に内蔵した軸受がプランジャの当接によって磁化するのを防止でき、しかも、プランジャの磁気吸引力を確保することができる電磁制御弁を得ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明に係る電磁制御弁は、流体通路接続用の複数のポートを有するハウジングと、このハウジング内に軸方向へ摺動可能に収容され、前記ポートを開閉するスプールと、前記ハウジングの軸方向一端に固定されて周囲にソレノイドコイルが巻回され、その磁束を通す磁気回路部と、この磁気回路部に軸方向へ摺動可能に内蔵され、その磁気回路部に生じる磁気吸引力で軸方向に作動可能なプランジャと、このプランジャの軸心部に貫通固定されたプランジャロッドと、このプランジャロッドの両端側を軸方向へ摺動可能に支承する第一軸受及び第二軸受とを備えた電磁制御弁において、前記第一軸受及び第二軸受は、ボールを内蔵した非磁性部材からなるリテーナと、このリテーナの片側端部に形成されて前記プランジャの端部に面する鍔部とを有しているものである。
【0014】この発明に係る電磁制御弁は、流体通路接続用の複数のポートを有するハウジングと、このハウジング内に軸方向へ摺動可能に収容され、前記ポートを開閉するスプールと、前記ハウジングの軸方向一端に固定されて周囲にソレノイドコイルが巻回され、その磁束を通す磁気回路部と、この磁気回路部に軸方向へ摺動可能に内蔵され、その磁気回路部に生じる磁気吸引力で軸方向に作動可能なプランジャと、このプランジャの軸心部に貫通固定されたプランジャロッドと、このプランジャロッドの両端側を軸方向へ摺動可能に支承する第一軸受及び第二軸受とを備えた電磁制御弁において、ボールを内蔵した非磁性部材からなるリテーナを有してプランジャの磁気吸引側を支承する第一軸受を保持し、前記磁気回路部の一部を構成するボス部材と、このボス部材の内部に設けた絞り部と、前記ボス部材の内部でその絞り部を挟む両側に形成されたスプール側及びプランジャ側の大径穴部とを有し、前記スプール側の大径穴部に前記第一軸受が圧入保持され、且つ、前記プランジャ側の大径穴部には前記プランジャの磁気吸引側の端部が嵌入可能で、その嵌入時に、プランジャの吸引側の端部に設けられたリング状の非磁性部材が前記絞り部に当接するように構成したものである。
【0015】この発明に係る電磁制御弁は、絞り部が、ボス部材とは別体の磁性部材からなって前記ボス部材の内部に圧入保持されているものである。
【0016】この発明に係る電磁制御弁は、絞り部の内部に、リテーナの一部がプランジャ側に向って突出しているものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1による電磁制御弁を示す断面図、図2は図1の要部拡大断面図であり、図9および図10と同一または相当部分には同一符号を付して説明する。図1において、30は電磁制御弁の磁気回路部であり、この磁気回路部30は、ハウジング1の軸方向一端に固定されたヨーク5に内蔵され且つ外周にコイル7が巻回されたコイルボビン6と、このコイルボビン6の一端内部に嵌合保持された円筒状のボス部8aを一体に有するコア8と、前記コイルボビン6の他端内部に嵌合保持されたボス部材31とからなっている。ここで、前記コイルボビン6とコア8およびボス部材31は、前記コイル7の通電時に発生する磁束を通す磁性部材からなっている。
【0018】上述のように構成された磁気回路部30の内部にプランジャ16が軸方向へ摺動可能に収容され、そのプランジャ16の軸心部に貫通固定されたロッド15の両端部を支承する第一軸受11と第二軸受12とにおいて、第一軸受11は前記ボス部材31内に、且つ、第二軸受12は前記コア8のボス部8a内にそれぞれ圧入保持されており、それらの第一軸受11および第二軸受12の具体的構成について以下に説明する。すなわち、第一軸受11と第二軸受12は同一構造をなしてロッド15上で左右対称に配置されているもので、ボス部材31内およびコア8のボス部8a内にそれぞれ圧入保持された環状のレース(外輪)32と、金属製のボール14を内蔵して前記レース32内に圧入保持されたリテーナ33とからなっている。ここで、第一軸受11および第二軸受12のそれぞれのリテーナ33は樹脂等の非磁性部材からなり、それらのリテーナ33の片側(プランジャ16側)の端部には、プランジャ16の端部に面する外向きの鍔部33aが一体形成されている。
【0019】3a,3bはハウジング1が有する二次側の2つのポート、20Aはスプール4をプランジャ16側に付勢するスプリング(機械的付勢手段)19の押え部材であり、上記実施の形態1による電磁制御弁のその他の構成は図7,図8と同様のため、説明を省略する。
【0020】次に動作について説明する。コイル7の非通電時にプランジャ16は、図1,図2に示すように、スプリング19の付勢力で第一軸受11から引き離されて第二軸受12に当接した状態に保持されている。この状態において、コイル7に通電されると、プランジャ16の第一軸受11側に発生する磁気吸引力によって、前記プランジャ16がスプリング19の付勢力に抗して第一軸受11側に移動し、その第一軸受11のリテーナ33の鍔部33aに前記プランジャ16の磁気吸引側端部が当接してスプール4が所定の開閉位置に切り替えられる。この状態からコイル7が電流遮断されると、スプリング19の付勢力により、スプール4とロッド15を介してプランジャ16が第一軸受11から引き離される。
【0021】ここで、第一軸受11のリテーナ33が磁性部材からなっていると、そのリテーナ33の鍔部33aがプランジャ16の吸着状態で磁化されることから、コイル7の電流遮断時にプランジャ16が前記鍔部33aから離れ難くなるが、この発明の実施の形態1では、前記鍔部33aを有するリテーナ33の全体を樹脂等の非磁性部材で形成したことにより、コイル7の電流遮断時にスプリング19の付勢力でプランジャ16を前記鍔部33aから速やかに引き離し移動させることができる。
【0022】以上説明した実施の形態1によれば、プランジャ16に貫通固定されたロッド15の両端部を支承する第一軸受11と第二軸受12のそれぞれのリテーナ33が樹脂等の非磁性部材からなるように構成したので、従来の電磁制御弁に用いられている金属製軸受の場合のように、プランジャ16の磁化吸着を防止するためのリング状の非磁性部材を前記プランジャ16の端部に設ける必要がなく、このため、電磁制御弁のコスト低減が図れるという効果がある。また、上述のように、樹脂等の非磁性部材からなるリテーナ33の片側端部には鍔部33aを一体形成し、この鍔部33aに対してコイル7通電時のプランジャ16を当接させるように構成したので、コイル7の電流遮断時にスプリング19の付勢力でプランジャ16を前記リテーナ33から速やかに引き離し移動させることができ、このため、コイル7の電流遮断時にスプリング19によるプランジャ16の応答作動性が向上するという効果がある。
【0023】実施の形態2.図3はこの発明の実施の形態2による電磁制御弁を示す断面図、図4は図3の要部拡大断面図である。図において、31aはボス部材31の内周面に一体形成された環状の内向き鍔部からなる絞り部であり、この絞り部31aによって、前記ボス部材31の内部はスプール4側の大径穴部31bとプランジャ16側の大径穴部31cとに仕切り形成されている。
【0024】すなわち、この実施の形態2では、上記実施の形態1におけるボス部材31の内周面に、該ボス部材31の内径よりも小径で且つプランジャ16のロッド15よりも大径の中心穴部を有する環状の絞り部31aを設けることにより、前記ボス部材31の内部において、前記絞り部31aを挟む両側にスプール4側の大径穴部31bとプランジャ16側の大径穴部31cとを形成し、前記絞り部31aの中心穴部に前記ロッド15を摺動自在に挿通させると共に、スプール4側の大径穴部31b内に第一軸受11を圧入保持させ、且つ、プランジャ16側の大径穴部31c内にはプランジャ16のテーパ面16aが嵌入可能な構成としたものである。ここで、前記プランジャ16は、磁気吸引側の端部となるテーパ面16aの小径端部にリング状の非磁性部材17が設けられたものである。なお、この実施の形態2による電磁制御弁のその他の構成は図1および図2と同一のため、その同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0025】次に動作について説明する。図3,図4はコイル7の非通電時の状態であり、プランジャ16はスプリング19の付勢力でボス部材31の絞り部31aから引き離されており、この状態から前記コイル7に通電されると、第一軸受11側に発生する磁気吸引力でプランジャ16がスプリング19の付勢力に抗して第一軸受11側に移動し、プランジャ16のテーパ面16aがボス部材31の大径穴部31c内に嵌入してプランジャ16端部の非磁性部材17がボス部材31の絞り部31aに当接することにより、前記プランジャ16は停止する。
【0026】ここで、樹脂等の非磁性部材からなるリテーナ33の鍔部33aがプランジャ16の端部に対向露出し、その露出面部である前記鍔部33aの面積が大きい場合、プランジャ16端部との対向面部における磁路面積が極減するため、コイル7の通電時にプランジャ16を第一軸受11側に移動させるための磁気吸引力が非磁性の前記鍔部33aで大幅に減少する可能性がある。
【0027】しかしながら、この実施の形態2では、樹脂等の非磁性部材からなるリテーナ33が、磁性部材からなる円筒状のボス部材31に内蔵され、しかも、前記リテーナ33の鍔部33aとプランジャ16との間が前記ボス部材31の絞り部31aで遮られているため、コイル7の通電時にプランジャ16を第一軸受11側に移動させるための磁気吸引力が非磁性のリテーナ33の鍔部33aによって損なわれるようなことがなく、磁気吸引力によるプランジャ16の軸方向移動をスムーズに且つ確実に遂行させることができる。
【0028】以上説明した実施の形態2によれば、非磁性部材からなってボール14を内蔵し且つプランジャ16側の端部に外向きの鍔部33aが一体形成されたリテーナ33を有する第一軸受11を、磁性部材からなるボス部材31内に圧入保持させ、そのボス部材31の内周面に一体形成された内向き鍔状の絞り部31aによって、非磁性のリテーナ33の鍔部33aとプランジャ16との軸方向対向面間を遮るように構成したので、コイル7の通電時にプランジャ16を第一軸受11側に移動させるための磁気吸引力が非磁性のリテーナ33の鍔部33aで損なわれるのを磁性のボス部材31の絞り部31aで防止することが可能になるという効果がある。また、この実施の形態2によれば、第一軸受11の組付時に、ボス部材31内のスプール4側の大径穴部31b内に第一軸受11を嵌入してリテーナ33の鍔部33aをボス部材31の絞り部31aに当接させることにより、第一軸受11をボス部材31内の所定箇所に確実に位置決めすることができ、このため、第一軸受11の組付作業性が向上するという効果がある。さらに、この実施の形態2によれば、磁気吸引力によるプランジャ16の移動終端では、当該プランジャ16の端部がボス部材31と一体の絞り部31aに当接することにより、プランジャ16の移動ストロークが常に一定化し、そのストロークが変化しないので、電磁制御弁の開閉精度が向上するという効果がある。さらには、第一軸受11および第二軸受12の軸受コストの低減およびそれに伴う電磁制御弁のコスト低減、ならびに軽量化を図ることが可能という効果がある。
【0029】実施の形態3.図5はこの発明の実施の形態3による電磁制御弁の要部を示す断面図であり、図において、35はボス部材31の内部に設けた絞り部であり、この絞り部35は、ボス部材31及びレース32並びにリテーナ33のそれぞれとは別体の磁性部材からなって前記ボス部材31のプランジャ16側の大径穴部31c内に圧入保持されている。このような絞り部35としては、例えばリングやワッシャ等が適用される。
【0030】すなわち、上記実施の形態2では、ボス部材31の内周面におけるプランジャ16側に絞り部31aを一体形成したが、この実施の形態3では、上述のようにボス部材31などとは別体の磁性部材からなる絞り部35を前記ボス部材31内に圧入保持させ、その絞り部35にレース32とリテーナ33の端面を当接させると共に、前記絞り部35をプランジャ16端面の非磁性部材17に対向させたものである。なお、この実施の形態3の他の構成は、上記実施の形態2と同一のため、その同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0031】以上説明した実施の形態3によれば、ボス部材31と絞り部35とを分離して両者を磁性部材で個々に形成し、その絞り部31を前記ボス部材31の内部に圧入保持させるように構成したので、ボス部材31の構造が単純化し、且つ、そのボス部材31内に絞り部35を圧入するだけで、それら両者を一体的ユニット化状態に簡単に組付けることができ、このため、生産性が向上すると共にコスト低減が図れるという効果がある。
【0032】実施の形態4.図6はこの発明の実施の形態4による電磁制御弁の要部を示す断面図であり、図において、33bはリテーナ33におけるプランジャ16側の端部に一体形成された小径円筒部であり、この小径円筒部33bは、ボス部材31内に圧入保持された絞り部35の内部に嵌め込まれてプランジャ16側に突出している。すなわち、この実施の形態4では、上記実施の形態3におけるリテーナ33のプランジャ16側の端部に小径円筒部33bを一体形成すると共に、絞り部35を前記小径円筒部33bの外径とほぼ同一の内径に形成し、その絞り部35内に前記小径円筒部33bを嵌め込むことにより、前記絞り部35を介して前記小径円筒部33bをプランジャ16側に突出させたものである。なお、この実施の形態4の他の構成は、上記実施の形態3と同一のため、その同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0033】以上のように構成した実施の形態4によれば、上記実施の形態3と同様の効果が得られることに加え、非磁性部材からなるリテーナ33の小径円筒部33bが磁性部材からなる絞り部35を介してプランジャ16側に突出し、プランジャ16のスプール4側への移動時には、そのプランジャ16が前記小径円筒部33bの端部に当接するので、その当接によって第一軸受11とプランジャ16が磁化吸着されるようなことがないという効果がある。しかも、前記小径円筒部33bの外周には磁性部材からなる絞り部35が嵌め込まれ、その絞り部35がプランジャ16の端面の一部に対向しているので、プランジャ16の磁気吸引力を十分に確保することができるという効果がある。
【0034】実施の形態5.図7はこの発明の上記実施の形態1から上記実施の形態4のうちのいずれかによる電磁制御弁を備えたバルブタイミング調整装置を示す断面図である。図において、41は内燃機関の吸・排気弁を開閉駆動するためのカム41aを有するカムシャフト、42はカムシャフト41の一端に設けられたタイミングプーリまたはタイミングスプロケットであり、このタイミングプーリまたはタイミングスプロケット42は内燃機関のクランクシャフトにタイミングベルトまたはタイミングチェーンを介して連動するものである。50はカムシャフト41に取付けられたバルブタイミング可変用のアクチュエータであり、このアクチュエータ50は、作動油として内燃機関の潤滑油で駆動されることにより、カムシャフト41の変位角度を変化させて、図示しない吸気弁または排気弁の開閉タイミングを連続的に変化させるものである。51はアクチュエータ50のハウジングであり、カムシャフト41に対して回動自在に取付られている。
【0035】52はハウジング51に固定されたケース、53はカムシャフト41に連結固定されてケース52内に収納されたベーン式のロータであり、このロータ53はケース52に対して所定角度範囲で相対回動可能となっている。54はケース52に固定されたカバー、55はそのカバー54の開口部を閉塞するプレート、56はロータ53に設けられたロック用のホルダ、57はハウジング51に摺動可能に内蔵されたロックピンであり、このロックピン57は、前記ホルダ56に係脱可能に係合してロータ53の回動を拘束したり、その拘束を解除したりするものである。58はロックピン57をホルダ56に対する係合方向に付勢するスプリング、59はホルダ56内に作動油を導入するロック解除用油路であり、このロック解除用油路59からホルダ56内に導入された作動油でロックピン57がスプリング58に抗して移動し、そのロックピン57がホルダ56内から抜け出すことにより、ロータ53の拘束が解除されるようになっている。60は空気穴、61はロータ53をカムシャフトに固定している軸ボルト、62は空気穴である。
【0036】63はカムシャフト41およびロータ53に設けられた第1油路であり、この第1油路63はロータ53を遅角方向に移動させるための後述する遅角油圧室74に連通している。64は同じくカムシャフト41よびロータ53に設けられた第2油路であり、この第2油路64はロータ53を進角方向に移動させるための後述する進角油圧室75に連通している。
【0037】80はアクチュエータ50に作動油を供給してその油量を制御するオイルコントロールバルブ(以下、OCVという)であり、このOCV80は、上記実施の形態1または上記実施の形態2による電磁制御弁からなるもので、図7中のOCV80は、図1または図3の電磁制御弁を左右反転して配置したものである。81はオイルパン、82はオイルポンプ、83はオイルフィルタ、84はオイルポンプ82の吐出側とOCV80のポート(オイル供給ポート)2cとをオイルフィルタ83を介して接続するオイル供給管路、85はOCV80の二次側のポート3bとアクチュエータ50の第1油路63とを接続する第1管路、86はOCV80の二次側のポート3aとアクチュエータ50の第2油路64とを接続する第2管路、87はOCV80のポート(ドレンポート)2b,2dに接続されたドレン管路である。
【0038】100は電子制御ユニット(以下、ECUという)であり、主に吸入空気量センサ、スロットルセンサ、水温センサ、クランク角センサ、カム角センサ(いずれも図示せず)等からの信号に基づき、インジェクタ、イグナイタ、OCV80を駆動して、燃焼噴射量、添加時期およびバルブ開閉タイミングをそれぞれ制御すると共に、イグニッションスイッチのOFF後におけるOCV80の開弁時期を制御するものである。
【0039】図8は図7のA−A線に沿った矢視図であり、同図において、65はロータ53の回転胴部、66〜69はその回転胴部65の外周に凸設された複数のベーン、70はケース52の内周面に凸設された複数(ベーン66〜69と同数)のシュー、71は前記各シュー70の先端に設けられたチップシールであり、このチップシール71は図7中に示すバックスプリング72の付勢力でロータ53の回転胴部65に摺動可能に押圧されている。73は前記各ベーン66〜69の先端に設けられたチップシールであり、このチップシール73の場合もバックスプリング(図示せず)を備えてケース52の内周面に摺接している。
【0040】74は前記ベーン66〜69を遅角方向に移動させるための遅角油圧室、75は前記ベーン66〜69を進角方向に移動させるための進角油圧室であり、これらの遅角油圧室74および進角油圧室75は、ケース52とロータ53との間でシュー70とベーン66〜69との間に形成された扇柱状空間から成って作動油が供給されるものである。
【0041】76は1つのベーン66に設けられて当該ベーン66両側の遅角油圧室74と進角油圧室75とを連通する連通油路、77はその連通油路76の途中に凹設された移動溝であり、この移動溝77の途中にロック解除用油路59が連通している。78は移動溝77内を移動するスライドプレートであり、このスライドプレート78によって連通油路76が分断され、遅角油圧室74と進角油圧室75との間で油漏れが生じないようにしている。また、スライドプレート78は、遅角油圧室74内の油圧が高いときに進角油圧室75側に移動し、進角油圧室75内の油圧が高いときに遅角油圧室74側に移動して油路を切り替える切替弁の機能を奏するものである。
【0042】以上において、遅角油圧室74および進角油圧室75は、ハウジング51とケース52とロータ53とカバー54とで囲まれており、遅角油圧室74は第1油路63に連通し、この第1油路63から作動油が供給され、また、進角油圧室75は第2油路64に連通し、この第2油路64から作動油が供給される。そして、遅角油圧室74と進角油圧室75に供給される作動油の油量に応じて、ロータ53がハウジング51に対して相対回動し、遅角油圧室74と進角油圧室75のそれぞれの体積が変化するものである。
【0043】次に、アクチュエータ50及びOCV80の動作について説明する。内燃機関の停止状態では、ロータ53がハウジング1に対して進角方向へ最大に相対回動した最大遅角位置にあり、このとき、オイルポンプ82も停止しており、第1油路63および第2油路64には作動油が供給されず、ロック解除用油路59にも作動油が供給されないので、アクチュエータ50内の油圧は低くなっている。このため、ロックピン57はスプリング58の付勢力でホルダ56内に嵌入係合してハウジング51とロータ53とをロックした状態にある。
【0044】そのロック状態から内燃機関が始動すると、オイルポンプ82が稼動し、OCV80に供給される作動油の圧力が上昇するため、OCV80から第1管路85および第1油路63を介してアクチュエータ50内の遅角油圧室74に作動油が供給される。このとき、遅角油圧室74の油圧によって、スライドプレート78が進角油圧室75側に移動し、遅角油圧室74とロック解除用油路59とが連通し、このロック解除用油路59からホルダ56内に供給された作動油でロックピン57がスプリング58の付勢力に抗して押動されることにより、ロックピン57がホルダ56内から抜け出して、ハウジング51とロータ53とのロックが解除される。
【0045】しかしながら、遅角油圧室74には作動油が供給されているので、ロータ53の各ベーン66〜69は遅角方向のシュー70に押圧当接した状態にあり、このため、ロックピン57によるハウジング51とロータ53のロックが解除されても、それらのハウジング51とロータ53とは遅角油圧室74の油圧で押し付け合い、振動や衝撃を低減・解消する。
【0046】次に、ロータ53を進角させるために、作動油がOCV80によって第2管路86から第2油路64を介して進角油圧室75に供給され、その油圧が進角油圧室75から連通油路76に伝わってスライドプレート78を押圧することにより、スライドプレート78は遅角油圧室74側に移動する。そのスライドプレート78の移動によって、ロック解除用油路59は連通油路76の進角油圧室75側に連通し、進角油圧室75からロック解除用油路59に油圧が伝えられ、その油圧でロックピン57がスプリング58の付勢力に抗してハウジング51側に移動し、ロックピン57とホルダ56との係合が解除される。
【0047】その係合解除状態において、OCV80の開閉で供給油量が調節されることにより、遅角油圧室74と進角油圧室75の油量が調整され、ハウジング51に回動に対してロータ53が進角または遅角方向に回動する。例えば、ロータ53が最大進角した場合、ロータ53は各ベーン66〜69が遅角油圧室74側のシュー70に当接した状態で回動する。また、遅角油圧室74の油圧を進角油圧室75の油圧よりも大きくした場合、ロータ53はハウジング51に対して遅角方向に回動する。
【0048】このように、遅角油圧室74および進角油圧室75への供給油圧が調節されることにより、ハウジング51に対するロータ53の遅角・進角が調整される。おの際、チップシール71,73によって遅角油圧室74と進角油圧室75との間での作動油の漏れが防止される。なお、OCV80の供給油圧は、ハウジング51に対する加圧量を決定するクランク角センサからの信号により、ECU100で演算されてフィードバック制御される。
【0049】以上説明した実施の形態5のように、上記実施の形態1から上記実施の形態4のいずれかによる電磁制御弁をバルブタイミング調整装置の油圧制御系統のOCV80として適用することにより、内燃機関の吸・排気系のバルブ開閉タイミングを適正制御でき、その制御精度が向上するという効果がある。
【0050】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、電磁制御弁のプランジャに貫通固定されたロッドの両端部を軸方向へ摺動可能に支承する第一軸受と第二軸受において、ボールを内蔵するリテーナが非磁性部材からなり、そのリテーナの片側端部に形成した鍔部がプランジャの端部に面するように構成したので、非磁性部材からなるリテーナがプランジャの当接によって磁化されるようなことがなく、このため、従来の金属製軸受の場合のように、リテーナの磁化によるプランジャの吸着を防止するために、プランジャの端部に別部品であるリング状の非磁性部材を装着する必要がなく、このため、軸受コストの大幅な低減が可能になるという効果がある。
【0051】この発明によれば、ボールを内蔵した非磁性部材からなるリテーナを有してプランジャの磁気吸引側を支承する第一軸受を保持して磁気回路部の一部を構成するボス部材が、当該ボス部材の内部に設けた絞り部と、当該ボス部材を挟む両側に形成されたスプール側及びプランジャ側の大径穴部とを有し、スプール側の大径穴部に第一軸受が圧入保持され、プランジャ側の大径穴部にはプランジャの磁気吸引側の端部が嵌入可能で、その嵌入時にプランジャの磁気吸引側の端部に設けられた非磁性部材が当接するように構成したので、第一軸受の非磁性部材からなるリテーナとプランジャの磁気吸引側の端部との間に磁性部材からなるボス部材の絞り部が介在することにより、プランジャを第一軸受側に移動させるための磁気吸引力が非磁性の前記リテーナで損なわれるようなことがなく、このため、磁気吸引力によるプランジャの移動を確実かつスムーズに遂行させることができるという効果がある。また、第一軸受とボス部材との組付けに際しては、ボス部材のスプール側の大径穴部に第一軸受を圧入してリテーナをボス部材の絞り部に当接させることにより、ボス部材の内部所定位置に第一軸受を確実に位置決めすることができ、このため、第一軸受の組付作業性が向上するという効果がある。さらには、磁気吸引力で移動するプランジャの端部が前記ボス部材の絞り部に当接することにより、プランジャの移動ストロークが常に一定化するため、電磁制御弁の開閉精度が向上するという効果がある。
【0052】この発明によれば、磁気回路部の一部を軸受を内蔵するボス部材の内部に設けた絞り部が、前記ボス部材とは別体の磁性部材からなって前記ボス部材の内部に圧入保持されるように構成したので、ボス部材と絞り部を個々に形成することが可能となってボス部材の構造が単純化し、しかも、ボス部材の内部に絞り部を圧入するだけで、それら両者を簡単に組付けユニット化することができ、このため、生産性が向上すると共にコスト低減が図れるという効果がある。
【0053】この発明によれば、ボス部材の絞り部の内部にリテーナの一部をプランジャ側に向って突出させるように構成したので、プランジャの磁気吸引力による移動時には、そのプランジャが非磁性のリテーナの端部に当接することとなり、このため、プランジャと軸受との磁気吸着を防止することができるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【出願日】 平成11年10月4日(1999.10.4)
【代理人】 【識別番号】100066474
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 博昭 (外1名)
【公開番号】 特開2001−108135(P2001−108135A)
【公開日】 平成13年4月20日(2001.4.20)
【出願番号】 特願平11−283397