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【発明の名称】 水中ポンプ用降水弁
【発明者】 【氏名】坂谷 哲則

【氏名】佐渡島 茂

【要約】 【課題】本発明は、小形ながらポンプ運転時には確実な閉止が行え、降水のときは弁体を開けるのに要する力が少ない水中ポンプ用降水弁を提供する。

【解決手段】本発明の水中ポンプ用降水弁は、揚水管13の内部と連通する弁室22をもつバルブボディ20を有し、弁室内に弁体33を往復動可能に収め、弁室の端部に外部と連通する降水孔23を形成し、揚水管内の圧力を降水孔とは反対側の弁室部分22aへ導く通部38を形成し、弁体からボディ外に突き出る弁軸31を設け、さらに揚水管内の水を降水させた後の弁体を閉止位置に戻すコイルスプリング35を設けて、ポンプ運転時には、弁体が揚水管内の圧力により閉止方向へ押されることで降水孔の閉止を行い、水中ポンプ3を引き揚げるときは弁軸を外部から操作して、揚水管内の静水圧だけで閉止されている弁体を開く方向に移動させるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水中ポンプの揚水管内に充満している水を外部へ降水させる水中ポンプ用降水弁であって、降水弁本体は、前記揚水管の内部と連通路を介して連通する筒状の弁室が形成されたバルブボディと、前記弁室内に往復動可能に収められた弁体と、前記弁室の端部に形成された、外部と連通する降水孔と、前記揚水管内の圧力を前記降水孔とは反対側の弁室部分へ導き、該圧力で前記弁体を押圧し前記降水孔を閉止させる通部と、前記弁体から前記弁室を通じて前記ボディ外に突き出るように設けられ、前記閉止した弁体を開放方向へ移動させるための操作杆と、前記弁室内に設けられ、揚水管内の水を降水させた後の弁体を閉止位置に戻す弾性部材と、を具備してなることを特徴とする水中ポンプ用降水弁。
【請求項2】 請求項1の記載の水中ポンプ用降水弁において、前記バルブボディは、一端部が外部に開放する筒形の弁室が形成されたボディ部材と、該ボディ部材とは別体でかつ該ボディ部材の開口部に着脱可能に固定さて前記弁室内に挿入される筒形の弁案内部材との2体に分けられ、前記弁案内部材には前記操作杆が弁室に沿って摺動自在に貫通され、この操作杆の弁室内に配置される先端には前記弁体が設けられ、前記操作杆の外周部には前記弾性部材が巻装され、かつ弁案内部材と操作杆との間には両者間をシールするシール部材が組み付けられていて、前記降水弁本体を2体に分け、前記ボディ部材に組み合う部品を1つのアッセンブリ品としたことを特徴とする水中ポンプ用降水弁。
【請求項3】 請求項2に記載の水中ポンプ用降水弁において、前記弾性部材は、前記操作杆の直径とほぼ同じ径のコイルスプリングから構成され、前記弁案内部材の内周面は、該弁案内部材の先端に開口する段差状のばね収容部が形成され、前記コイルスプリングが前記ばね収容部内に収容されて、前記弁体を前記弁案内部材から離す方向に付勢する構造とし、かつ弁案内部材の先端が、弁体を移動させたとき、該弁体と当接するように構成され、さらに前記ばね収容部の内周面が、弁体の移動時に圧縮される前記コイルスプリングのばね外径より大きくしてあることを特徴とする水中ポンプ用降水弁。
【請求項4】 請求項2に記載の水中ポンプ用降水弁において、前記降水孔は、前記弁室の端面で、前記案内部材の直径より小さな径寸法で開口させてあることを特徴とする水中ポンプ用降水弁。
【請求項5】 請求項1又は請求項2に記載の水中ポンプ用降水弁において、水中ポンプと揚水管との間にはチェッキ弁を有し、該チェッキ弁の弁箱上部の該弁箱より外径が小さな部分に、前記降水弁本体が、前記弁体の移動方向と前記揚水管の軸心とがほぼ平行に配置されるように組み付けられることを特徴とする水中ポンプ用降水弁。
【請求項6】 請求項5に記載の水中ポンプ用降水弁において、前記連通路は、前記チェッキ弁の2次側内部と連通して水平方向に延びる通路、もしくは上向き方向に傾斜する通路で形成されることを特徴とする水中ポンプ用降水弁。
【請求項7】 請求項5に記載の水中ポンプ用降水弁において、前記チェッキ弁が、水中ポンプの吐出ケーシングと一体に形成されることを特徴とする水中ポンプ用降水弁。
【請求項8】 請求項5に記載の水中ポンプ用降水弁において、降水弁の位置が、平面方向から見たとき、水中ポンプにあるポンプ導出ケーブルの導出位置から、揚水管を中心としてほぼ90°ずれた位置に配置されていることを特徴とする水中ポンプ用降水弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水中ポンプの揚水管内部に充満される水を落水するために用いられる水中ポンプ用落水弁に関する。
【0002】
【従来の技術】深井戸から給水を行う場合、井戸内に深井戸水中ポンプを挿入し、これに揚水管を接続し、同揚水管を地上まで延ばして、水中ポンプで汲み上げられる水が揚水管を通じて地上まで圧送されるようにしている。
【0003】こうした給水装置では、外気を吸排気する給排気弁を地上の配管部分に取付けて、水中ポンプの停止時、吸排気弁の動作により、揚水管内に充満している水を水中ポンプの吸込口から落水させたり、水中ポンプの直上の吐出口にチェッキ弁を取付けたりして、水中ポンプが停止した際に発生するウォータハンマーを防ぐことが行われている。
【0004】ところが、前者の吸排気弁を用いる構造は、ポンプ始動時には空気が揚水管内から排出されたり、揚水管内に圧力水が充満するまで需要側の圧力が低下したままになる等の問題がある。
【0005】また後者のチェッキ弁を用いる構造は、常に揚水管内に水が充満するために、メンテナンスにより水中ポンプを井戸内から地上に引き揚げるようなときは、揚水管内の水重量が加わるために、引き揚げ重量は過大となり、引き揚げ作業が大変になる問題がある。
【0006】そこで、近時、降水弁を揚水管に取付けて、水中ポンプの通常運転時には閉止、メンテナンス時には揚水管内の水を降水させることが行われている。
【0007】従来の降水弁は、ばねで閉止方向に弁体を付勢した構造が用いられている。この降水弁により、水中ポンプの通常運転時には、該ばねで付勢される弁体で、揚水管内と連通する連通孔を閉止しておき、メンテナンス時には、弁体をばねの弾性力に抗して開く側に移動させることにより、開放する連通孔から外部へ揚水管内の水が降水されるようにしてある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、水中ポンプは、深井戸水中ポンプのように、狭い直径の井戸ケーシングに挿入されることが多い。
【0009】このため揚水管に付く降水弁は、このような挿入作業を妨げないようできるだけ小形の構造が望まれる。
【0010】ところが、上記降水弁は、ばねの弾性力で、水中ポンプが発生する水圧に抗して弁体の閉止する構造なので、かなり強力なばねでないと、閉止が行えない。
【0011】つまり、降水弁は、大形のばねが必要となるので、大形になりやすい。この大形化は、高い揚程の水中ポンプになればなるほど、顕著に表れる。しかも、強力なばねを用いるということは、弁体を開けるのに要する力が過大となり、降水作業が大変になる。
【0012】そこで、降水弁の弁座面の直径を小さくして、弁体を開けるのに要する力が小さい力ですむようにすることが考えられるが、過度に弁座面を小さくすると、揚水管内の水が降水するための通路面積も小さくなるために、抵抗損失の増加から、揚水管内に充満している水が降水するまでの降水時間が無用に増えてしまう。
【0013】本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、小形ながら、ポンプ運転時には確実な閉止が行え、降水するときは弁体を開けるのに要する力が少なくてすむ水中ポンプ用降水弁を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1に記載した水中ポンプ用降水弁は、降水弁本体を、揚水管の内部と連通路を介して連通する筒状の弁室が形成されたバルブボディと、弁室内に往復動可能に収められた弁体と、弁室の端部に形成された外部と連通する降水孔と、揚水管内の圧力を降水孔とは反対側の弁室部分へ導き、該圧力で弁体を押圧し降水孔を閉止させる通部と、弁体から弁室を通じてボディ外に突き出るように設けられ、閉止した弁体を開放方向へ移動させるための操作杆と、弁室内に設けられ、揚水管内の水を降水させた後の弁体を閉止位置に戻す弾性部材とを備えて構成したことにある。
【0015】この降水弁によると、ポンプ運転時には、弁体が揚水管内の圧力により閉止方向へ押されることによって降水孔の閉止が行われるから、ばねの弾性力に依存して弁体を閉止するのとは異なり、大形のスプリング部材を必要とせずに確実な降水孔の閉止が行える。つまり、揚水管内の圧力を用いて降水孔を閉止するので、ばねの弾性力で直接に閉止する構造とは異なり、小形の構造で、どのような揚程能力の水中ポンプでも降水孔が閉止できる。
【0016】しかも、メンテナンスにより水中ポンプを井戸内から地上に引き揚げるときは、該引き揚げを利用して、揚水管内の静水圧で閉止される弁体を移動させるだけなので、軽い操作力で降水孔は開く。つまり、過大な力を要せずに、降水孔から揚水管内に充満している水が外部に降水される。
【0017】そのうえ、降水孔の大きさは、ばねの弾性力で閉止するのとは違い、特段の制約をうけないから、短い降水時間で降水が終える利点がある。
【0018】同じく請求項2に記載の水中ポンプ用降水弁は、上記目的に加え、降水弁の掃除や交換が容易に行えるようにするために、バルブボディを、一端部が外部に開放する筒形の弁室が形成されたボディ部材と、該ボディ部材の開口部に挿入されて着脱可能に固定される筒形の弁案内部材との2体に分け、弁案内部材に操作杆を摺動自在に貫通し、この操作杆の先端に弁体を設け、操作杆の外周部に弾性部材を組み付け、かつ弁案内部材と操作杆との間にシール部材を組み付け、ボディ部材に組み合う部品を1つのアッセンブリ品とした2体構造としたことにある。
【0019】このようにすることにより、降水弁のメンテナンスを行うときは、ボディ部材からアッセンブリ品を取り外して、ボディ部材に形成されている弁室やアッセンブリ品の各部を掃除すればよい。また交換が求められるときは、アッセンブリ品そのものを交換すればよく、メンテナンス作業は容易となる。
【0020】同じく請求項3に記載の水中ポンプ用降水弁は、上記目的に加え、アッセンブリ品のコンパクト化を図りつつ、ばね部材に過度の負担を与えないスムーズな弁体の動きが確保されるようにするために、弾性部材は、操作杆の直径とほぼ同じ径のコイルスプリングから構成し、弁案内部材の内周面は、該弁案内部材の先端に開口する段差状のばね収容部を形成し、コイルスプリングがばね収容部内に収容され弁体を案内部材から離す方向に付勢する構造とし、かつ弁案内部材の先端を、閉止した弁体を移動させたとき、該弁体と当接するように構成し、さらにばね収容部の内周面を、閉止した弁体の移動時に圧縮されるコイルスプリングのばね外径より大きくしたことにある。
【0021】このようにすることにより、コイルスプリングは、弁案内部材の内部に一部が収まるように組み付けられるので、その分、アッセンブリ品の全長が短くてすみ、アッセンブリ品の小形化が図れるようになる。
【0022】また操作杆により弁体が開放方向に操作されると、径方向へ拡がりながら縮むコイルスプリングは、同コイルスプリングの変形を考慮して大きさが定められたばね収容部内に収められるので、途中で引っ掛かるような挙動の発生はなく、弁体の円滑な移動が確保できる。しかも、過度な操作力で弁体が操作されても、弁体が弁案内部材の先端に当接して、コイルスプリングに荷重が加わらないようにしているので、コイルスプリングが座屈したり、コイルスプリングに過度な負担を強いたりすることはない。
【0023】同じく請求項4に記載の水中ポンプ用降水弁は、上記目的に加え、弁体を閉止させる閉止力が小さくなるようにするために、降水孔は、弁室の端面に、案内部材の直径より小さな径寸法で開口させたことにあるこのようにすると、降水弁が配置される水深の圧力が、強く弁体が開く方向に加わるように作用するので、その分、弁体を閉止する力は小さくてすむようになる。これで、弁体を開けるのに要する操作力が少なくてすむ。
【0024】同じく請求項5に記載の水中ポンプ用降水弁は、上記目的に加え、コンパクトに水中ポンプと組み合うようにするために、降水弁本体を、水中ポンプと揚水管との間に設けられるチェッキ弁の弁箱上方の該弁箱より外径が小さな部分に、弁体の移動方向が揚水管の軸心とほぼ平行に配置されるように組み付けたことにある。
【0025】このようにすることにより、降水弁は、水中ポンプ外径から内側の領域に収まるよう、水中ポンプに組み付けられる。つまり、降水弁は、水中ポンプに対してコンパクトに組み付けられる。
【0026】これにより、降水弁は、狭い井戸ケーシングといった場所でも、容易に水中ポンプ、揚水管と一緒に挿脱が行える。
【0027】同じく請求項6に記載の水中ポンプ用降水弁は、上記目的に加え、砂などの異物が弁室へ侵入しにくくするために、降水する揚水管内の水を導く連通路を、チェッキ弁の2次側内部と連通して水平方向に延びる通路、もしくは上向き方向に傾斜する通路で形成したことにある。
【0028】これにより、たとえ揚水管内に充満している水に砂などの異物が含まれていても、異物は降水弁の弁室へ侵入することはなく、降水弁の弁体が、異物により閉じなくなったり、開かなくなったりすることがなくなる。
【0029】同じく請求項7に記載の水中ポンプ用降水弁は、上記目的に加え、降水弁の組み付けを容易にするようにするために、チェッキ弁を、水中ポンプの吐出ケーシングと一体に形成して、チェッキ弁と水中ポンプとの接続作業を不要にした。
【0030】同じく請求項8に記載の水中ポンプ用降水弁は、上記目的に加え、降水弁の操作杆を操作するロープなどの中継部材が、水中ポンプから導出されるポンプケーブルと絡み合うことがないようにするために、降水弁の位置を、平面方向から見たとき、水中ポンプにあるポンプ導出ケーブルの導出位置から、揚水管を中心としてほぼ90°ずれた位置に配置したことにある。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図1ないし図4に示す第1の実施形態にもとづいて説明する。
【0032】図1は、本発明が適用された例えば深井戸用給水装置を示していて、図中1は例えば地中深く掘削して形成された筒状の小径な深井戸(以下、単に井戸という)、2は同井戸1の内面壁を形成する筒形の井戸ケーシングである。
【0033】井戸ケーシング2内には、地上の開口から、水中ポンプ、例えば細長状の深井戸用水中ポンプ3(以下、単に水中ポンプという)が挿入されている。
【0034】この水中ポンプ3は、例えば吸込ケーシング(図示しない)と羽根車(図示しない)が収容された複数段のポンプケーシング4と吐出ケーシング5を直列に組合わせてなるポンプ部6と、羽根車を駆動する水中モータ(図示しない)とを連結して構成してある。
【0035】水中ポンプ3の上部に配置されている吐出ケーシング5の吐出口部5aには、チェッキ弁7が連結されている。
【0036】チェッキ弁7は、例えば図2に示されるように上側に出口口体8が形成され、下側に入口口体9が形成された弁箱10内に、上下一対の弁座11とリフト式の弁体12を収めた構成が用いられる。そして、この入口口体9が吐出口部5aに連結されている。これで、水中ポンプ3が運転すると水は流れ、ポンプ3の運転が停止すると水の流れが止るようにしてある。
【0037】チェッキ弁7の出口口体8には、多数本の上方へ向かって延びる揚水管13が順に接続されている。この揚水管13の外周部が、井戸ケーシング2の地上端部に載せた井戸ふた(図示しない)に支持され、井戸1内に水中ポンプ3を吊持させている。なお、揚水管13は、井戸ふたを貫通して、地上の給水設備(図示しない)に接続される。
【0038】図中15は、本発明の要部となる降水弁である。この降水弁15は、図2に拡大して示されるようにチェッキ弁7の弁箱10上方の外径が小さな部分、すなわち出口口体8の外周部に組み付けられている。
【0039】この降水弁15には、図3に示されるような2体に分けた降水弁本体15aが採用してある。この本体15aの構造には、筒形に形成されたボディ部材18と、このボディ部材18の開口部と着脱可能に螺合する筒形の弁案内部材19との別体な2部材が用いてある。これで、バルブボディ20を構成している。そして、このうちボディ部材18を用いて弁室構造を形成している。また残る弁案内部材19を用いて、ボディ部材18と組み合う1つの部品を構成している。
【0040】具体的には、ボディ部材18側に付いて説明すれば、ボディ部材18は、筒形空間を用いて、内部に一方の端部が外部に開放する細長の弁室22が形成してある。このボディ部材18は、弁室開口が上側に向き弁室22の全長が揚水管13の軸心にならう向きで、出口口体8の周壁に一体に連結してある。この連結により、弁室22を、出口口体8に影響を与えない範囲で、同出口口体8の近くに位置決めている。この弁室22の端面となる端部中央には、外部(井戸1内部)と連通する降水孔23が形成してある。また隣合う弁室22と出口口体8間の壁部分には、一端がチェッキ弁7の2次側内部、具体的には出口口体8の内側空間に開口し、他端が弁室22の底部側の周壁部分に開口する小径な連通孔25(連通路に相当)が形成されている。この連通孔25により、チェッキ弁7の二次側内部を通じて、揚水管13内に充満している水が弁室22へ導けるようにしてある。この連通孔25は、出口口体8内の上下方向向きの通路(2次側内部)に対して、若干、上向き方向に傾斜しながら弁室22へ向かう直線状の通路で形成されていて、揚水管13内の水やチェッキ弁7の2次側部分の水に砂などの異物が含まれていても、流れ方向の転換(上下から横方向へ)から、弁室22内へ異物が侵入しないようにしてある。なお、連通孔25は、図2中の二点鎖線で示されるように傾斜せずに水平方向に真っ直ぐ延びる通路でもよい。
【0041】一方、弁案内部材19側に説明すれば、30は、該弁案内部材19の中央部に軸心方向に沿って形成された貫通孔、31は同貫通孔30内に摺動自在に貫通された弁軸(操作杆に相当)、32は弁軸31の摺動面に取付けられ貫通孔30の内周面との間をシールするためのOリング(シール部材に相当)である。
【0042】弁案内部材19の先端側から突き出る弁軸31の先端部には、例えば弁室11の内径より若干、小さな外径で形成された短柱状の弁体支持部31aが形成されている。この弁体支持部31aの先端には円板状の弁体片31bが取付けてある。これで、弁体支持部31aと共に弁軸31の先端に弁体33を構成している。また貫通孔30の先端側の内周面には、環状の段差34aが形成されている。段差34aは、弁案内部材19の先端と開口する地点まで形成されていて、同段差34aで形成される筒状の空間からばね収容部34を形成している。このばね収容部34内には、弁軸31の外周面に巻装された弾性部材、例えばコイルスプリング35の一端側が挿入してある。このコイルスプリング35には、ばね内径が弁軸31の外径とほぼ同一なコイルスプリングが用いられる。これで、コイルスプリング35をできるだけ弁軸31側に寄せている。そして、コイルスプリング35の他端は弁体支持部31aの後部面に係止され、弁体33を弁案内部材19の先端から離す方向(前方)に付勢させている。ばね収容部34の内周面は、外側に拡がりながら圧縮するときのコイルスプリング35のばね外径より大きな内径で形成してある。これで、ばね収容部34内で、変位するコイルスプリング35がスムーズに受け入れられるようにしている。また弁案内部材19の後部側から突き出る弁軸31の後端部には、係止部、例えばU字状の係止具36が回動自在に取付けてある。
【0043】こうした各部品の組み付けにより、弁室22に組み付く部品を1つのアッセンブリ品Aとしている。
【0044】このアッセンブリ品Aとボディ部材18とが螺合により組み合い、図2に示されるように降水弁15の全体を構成している。
【0045】これにより、降水弁15は、弁体33の移動方向が揚水管13の軸心方向とほぼ平行となる向きで、出口口体8の周壁に組み付けられる。降水弁15は、この揚水管14の軸心と平行な方向の組み込み、さらには先のコイルスプリング35を弁軸31に寄せた配置によって、チェッキ弁7の外周面(水中ポンプの外周面)と同じかそれから内側の領域内に収まるように設置してある。
【0046】またアッセンブリ品Aとボディ部材18との組み合わせにより、降水孔15を水圧で閉止させる機能、外部操作で降水孔15を開かせる機能を得ている。
【0047】すなわち、アッセンブリ品Aは、図3に示されるように弁案内部材19の外周部に形成してあるおねじ部19aを、ボディ部材18の開口内面に形成しためねじ部18aに所定に螺挿することによって、図2に示されるように弁体33が弁室22内に往復動可能に収められる。そして、この弁体33が、コイルスプリング35で付勢されて、降水孔15を閉止する閉止位置に導かれる。このとき、弁体33の外周面と弁室22の内周面との間に形成される隙間から、図4(a)中の拡大された図に示されるように連通孔25と、弁室22の弁体33を挟んで降水孔23とは反対側に形成される弁室部分22aとの両者間を連通する通部38が形成される構造にしてある。この通部38により、揚水管13内の圧力(静水圧)が弁室部分22aに導かれるようにしている。これにより、揚水管13内の圧力で、弁体22を閉止方向に押圧し、降水孔15を閉止させるようにしてある。そして、この閉止により、コイルスプリング35は、揚水管13内の降水を終えた後の水圧が作用しなくなった弁体33を閉止位置へ戻すだけの機能とさせている。つまり、小形のスプリングですませている。
【0048】また外部に開口する降水孔23は、弁軸31の直径より小さな所定の径寸法に定めてある。この設定により、弁体33の開く方向に加わる井戸1の水深圧力を、閉じる方向に加わる井戸1の水深の圧力よりも高くしてある。これで、降水孔23を閉止させる弁体33の閉止力を小さくしている。具体的には、揚水管13内の静水圧が閉止側に作用する程度に止め、ポンプ運転中にコイルスプリング35の圧縮力に抗して弁体33が開かない程度の直径としている。
【0049】係止具36には、例えばワイヤーロープ39が接続されている。さらにワイヤーロープ39には地上まで延びるロープ40が接続される。これらワイヤーロープ39、ロープ40で形成される引き揚げ部材(中継部材)の端(ロープ端)は、弁ふたを貫通して、地上へ導出される。つまり、このロープ端を引き揚げると、引き揚げ力が、弁軸31に伝わり、閉止している弁体33を開放方向へ移動、すなわち揚水管13内の静水圧で押え付けられている弁体33を降水孔23から引き離すようにしている。これにより、降水孔23が開き、揚水管13内に充満している水が降水孔23から外部へ降水されるようにしてある。
【0050】また弁案内部材19の先端部は、弁体33が所定量、移動したとき、同移動した弁体33の後部(弁体支持部31aの後面)と当接する地点まで前方へ延びていて、先の移動した弁体33を受け止めるようにしてある。つまり、弁案内部材19の先端部には、移動した弁体33と当接する当接部19bが形成してある。この当接部19bにより、ロープ40の引き揚げ際、過度な力が加わると、弁体33が弁案内部材19に当接するようにしてある。これで、コイルスプリング35に過度な力が加わらずに、水中ポンプ3の引き揚げが行えるようにしている。
【0051】また降水弁15は、図1(a)に示されるように平面方向から見たとき、水中ポンプ3から導出しているポンプ導出ケーブル3aの導出位置Xから、揚水管13を中心としてほぼ90°ずれた位置Yに配置してあり、引き揚げ作業を行うワイヤロープ39、ロープ40がポンプ導出ケーブル3aと干渉しにくくしている。
【0052】こうした降水弁15により、ポンプ運転時は降水孔23が確実に閉止され、メンテナンス時は容易に降水孔23から水が降水されるようにしている。
【0053】すなわち、今、図1に示されるように井戸1内に、水中ポンプ3が、降水弁15付のチェッキ弁7および揚水管13と共に吊持されているとする。
【0054】このとき、水中ポンプ3が運転されるとする。
【0055】これにより、水中モータが作動し、ポンプ部6を駆動する。すると、回転する羽根車により、吸込ケーシングに形成してある吸込口(いずれも図示しない)から井戸1内の水が吸込まれる。この水が、吐出ケーシング5、チェッキ弁7、さらには各揚水管13の内部を通じて揚水され、地上の給水設備へ供給される。なお、図2中の二点鎖線のチェッキ弁7は、このときの開いた状態を示している。
【0056】ここで、連通孔25に加わるチェッキ弁7内の2次側部分の圧力は、弁体33とこれと対向する弁室22との間の隙間、すなわち通部38を通じて、弁体33の後側の弁室部分22aへ導かれるから、図4(a)に示されるように降水孔23は、同圧力で閉止方向に押圧される弁体33によって閉止される。
【0057】つまり、ポンプ運転中、降水弁15の降水孔23は、圧送される水の圧力で閉止され続ける。
【0058】ポンプ運転が止まると、チェッキ弁7は閉止される。このときには、降水孔23は、揚水管13内の水の静水圧で押圧される弁体33により、閉止し続けられる。なお、図2中の実線のチェッキ弁7は、このときの閉じた状態を示している。
【0059】一方、例えば水中ポンプ3や同ポンプ回りの各部のメンテナンスを行なうとする。このときは、水中ポンプ1の運転を止めて、井戸1内から水中ポンプ1を引き揚げる。
【0060】この作業は、井戸1から地上に導出しているロープ40の端部を引っ張る。
【0061】このとき、降水弁15は、ポンプ導出ケーブル3aとはほぼ90°ずれた位置に配置してあるから、井戸1内のワイヤーーロープ40は、ポンプ導出ケーブル3aと絡んだり引っ掛かったりせずに、良好にたぐり寄せられる。
【0062】この引き揚げる力が弁軸31を通じて弁体33へ伝わる。このとき、弁体33は静水圧で閉止されているだけでなので、軽い抵抗で、図4(b)に示されるように持ち上げられる。特に弁体33には、降水孔15を通じて、井戸1の水深圧力が開方向へ強く作用しているから、弁体33を開けるのに要する操作力は少なくてすむ。つまり、弁体33を開けるのに過大な力を要せずにすむ。
【0063】ここで、ばね収容部34の内径は、あらかじめ圧縮変位するコイルスプリング35のばね外径が収まる寸法に定めてあるから、開弁の際、外側に拡がりながら圧縮するコイルスプリング35は、途中で引っ掛かるような挙動はきたさない。つまり、コイルスプリング35は、無用な抵抗を伴うことなく、円滑にばね収容部34内へ収められる。
【0064】これにより、スムーズに降水孔15は開放される。すると、揚水管13内に充満している水は、連通孔25、弁室22を通じて、降水孔15から外部へ降水される。
【0065】このとき、連通孔25は、上下向きでなく異物が侵入しにくい上向きに傾斜した横向きの通路(あるいは水平方向の通路)で形成されているので、充満している水に砂などの異物が混入していたとしても、同異物が弁室22へには侵入しにくいので、弁体33が異物により、閉じなくなったり、開かなくなったりすることはない。
【0066】この引き揚げの際、ロープ40から弁体33へ過大な力が加わったとする。
【0067】このときは、弁体33は、図4(b)に示されるように弁室22の端部に配置されている弁案内部材19の先端(当接部19b)と当接し、コイルスプリング35に過大な力が入るのを避ける。特にコイルスプリング35は、弁体33を閉止位置へ戻すだけの外力の影響を受け易い小形のスプリングであるが、この当接によって、同スプリング35が座屈を起こすことはもちろん、過度な負担が強いられることはない。
【0068】このとき、降水弁15の全体は、チェッキ弁7の弁箱外周から外側へはみ出ないよう、チェッキ弁7の出口口体8の周壁外面に組み付けてあるから、ワイヤーロープ40をだぐり寄せても、降水弁15の本体部分が井戸ケーシング2の内面に引っ掛かるようなことなく、チェッキ弁7と一緒にスムーズに引き揚げられる。
【0069】この引き揚げ作業の間、降水は続く。その後、井戸1内から、順に揚水管13、チェッキ弁7、水中ポンプ3が地上へ引き揚げられる。
【0070】この後、メンテナンス作業を行う場所に、水中ポンプ3、チェッキ弁7などをセットする。このときは、降水弁15は降水を終えて、弁体33に作用する水圧がなくなっているので、コイルスプリング35の復帰力により、弁体12は、再び閉止位置に戻っている。
【0071】ここで、各部の点検から、降水弁15の掃除を行なう必要があると判断したとする。
【0072】このとき、降水弁本体15aは、弁室側と弁体側とに分割可能な2体構造であるから、ボディ部材18から弁案内部材19を外して、弁体側のアッセンブリ品Aを弁室22から抜き出す。そして、外部に露出する弁室22内や弁体33を掃除すればよい。このとき、弁体側の交換が求められるときは、アッセンブリ品Aを新規なアッセンブリ品Aを交換して、再びアッセンブリ品Aをチェッキ弁7に形成してある弁室22にセットすればよい。
【0073】メンテナンスを終えたら、再び水中ポンプ3、チェッキ弁7、揚水管13の順で井戸1内に挿入して吊持すれば、再び給水可能な体制になる。
【0074】このような揚水管13内の圧力を用いて降水孔23を閉止する降水弁15だと、ばねの弾性力で直接に閉止する構造とは異なり、大形のスプリング部材を必要とせずに降水孔23が確実に閉止できる。しかも、弁体12を開弁させるのが容易となるので、ロープ引き揚げ時の力を過大にせずにすむ。むろん、大形のスプリング部材が不要なので、かなり降水弁15は小形となる。そのうえ、どのような揚程能力の水中ポンプにもそのまま降水弁15が流用できる。さらに、降水孔15の大きさは、構造上での特段の制約がないから、大きな寸法が確保でき、短時間で降水を終えることができる。
【0075】また降水弁15は、弁体側を1アッセンブリ品とした2体構造なので、掃除や交換などのメンテナンス作業は容易である。
【0076】しかも、同降水弁15は、降水孔23の工夫により、弁体12を開けるのに要する力の低減できる。そのうえ、連通孔25の工夫により異物が弁室22内へ侵入することによる引き揚げ不能といった事故が防止できる。
【0077】また降水弁15は、ばね収容部34、コイルスプリング35の工夫により、弁体側のアッセンブリ品Aの外径を小さくできるだけでなく、信頼性の高い開閉動を得ることができる。
【0078】加えて、降水弁15は、組込むときの工夫により、降水弁15は、弁箱外周から外側へはみ出ないようにチェッキ弁7に組み付けることができ、狭い直径の井戸ケーシング2でも十分に対応できる。
【0079】さらに降水弁15は、チェッキ弁15への配置するときの工夫により、水中ポンプ3を引き揚げるときのロープ40が、水中ポンプ3のポンプ導出ケーブル3aに絡んで、引き揚げ作業を損うようなトラブルを防ぐことができる。
【0080】図5は、本発明の第2の実施形態を示す。
【0081】本実施形態は、チェッキ弁7のケーシングと、水中ポンプ3の吐出ケーシング5とを一体に形成したものである。
【0082】具体的には、チェッキ弁7の入口口体9と吐出ケーシング5の吐出口部5aとを一体にしたケーシング構造を採用して、給水ポンプ専用としたものである。
【0083】この構造によると、チェッキ弁7と吐出ケーシング5とを接続する構造が不要となるので、水中ポンプ3とチェッキ弁7との組み付けが容易になる。
【0084】但し、図5において、第1の実施形態と同じ部分には同一符号を付してその説明を省略した。
【0085】なお、一実施形態では、深井戸水中ポンプに適用した例を挙げたが、これに限らず、他の異なるタイプの井戸水中ポンプなどに適用してもよい。
【0086】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、弁体が揚水管内の圧力により閉止方向へ押されることによって降水孔の閉止する降水弁を採用したから、ばねの弾性力で直接に弁体を閉止するのとは異なり、大形のコイルスプリング部材を必要とせずにすむ小形の構造でありながら、どのような揚程能力の水中ポンプでも確実に降水孔の閉止ができる。しかも、降水孔を開けるときは、揚水管内の静水圧で閉止される弁体を移動させるだけなので、過大な力を要せず、揚水管内に充満している水を降水孔から降水することができる。
【0087】請求項2に記載の発明によれば、さらに上記効果に加え、2体分割構造の採用により、降水弁のメンテナンスを行うときは、ボディ部材からアッセンブリ品を取り外して、ボディ部材に形成されている弁室やアッセンブリ品の各部を掃除すればよく、また交換が求められるときは、アッセンブリ品そのものを交換すればよく、メンテナンス作業を容易にできる。
【0088】請求項3に記載の発明によれば、さらに上記効果に加え、アッセンブリ品のコンパクト化を図ることができる。しかも、コイルスプリングに過度の負担を与えずにすむ上、同コイルスプリングの円滑な伸縮動が得ることができ、スムーズな弁体の動きを約束できる。
【0089】請求項4に記載の発明によれば、さらに上記効果に加え、井戸の水深圧力が、降水孔を通じて弁体が開く方向に加わるように作用するので、弁体を閉止させる力を小さくできる。この結果、弁体を開けるのに要する操作力を少なくできる。
【0090】請求項5に記載の発明によれば、さらに上記効果に加え、水中ポンプ外径から内側の領域に収まるよう、水中ポンプにコンパクトに降水弁を組み付けることができる。これにより、狭い井戸ケーシングといった場所でも、容易に降水弁を水中ポンプ、揚水管と一緒に挿脱することができる。
【0091】請求項6に記載の発明によれば、さらに上記効果に加え、たとえ揚水管内に充満している水に砂などの異物が含まれていても、異物は降水弁の弁室へ侵入することはなく、降水弁の弁体が、異物により閉じなくなったり開かなくなったりするのを防ぐことができる。
【0092】請求項7に記載の発明によれば、さらに上記効果に加え、水中ポンプとチェッキ弁との組み付けを容易にすることができる。
【0093】請求項8に記載の発明によれば、さらに上記効果に加え、降水弁の操作杆を操作するロープなどの中継部材が、水中ポンプから導出されるポンプケーブルと絡み合うのを防ぐことができる。
【出願人】 【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
【出願日】 平成11年10月6日(1999.10.6)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外5名)
【公開番号】 特開2001−108129(P2001−108129A)
【公開日】 平成13年4月20日(2001.4.20)
【出願番号】 特願平11−285677