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【発明の名称】 弁装置
【発明者】 【氏名】吉野 和憲

【要約】 【課題】ポペット弁のハンチングの発生を防止する。

【解決手段】バルブハウジング40にパイロット流量増幅型のポペット弁42を摺動自在に嵌合し、バルブハウジング40とポペット弁42との間に、ポペット弁42の変位により容積が変化するダンピング圧力室61を設ける。さらに、ダンピング圧力室61での内部容積変化に伴なってダンピング圧力室の内外間を移動する流体に対し抵抗を付与する抵抗付与部として、ポペット弁42の小径部63とバルブハウジング40側の環状の突起部65との間に隙間66を設ける。そして、ポペット弁42が移動したときのダンピング圧力室61での容積変化に伴なって、このダンピング圧力室61に出入りする流体に、隙間66で抵抗を付与することにより、ポペット弁42にダンピング機能を持たせ、ハンチングの発生を防止してポペット弁42の動作安定性を図る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 バルブハウジングと、バルブハウジングに摺動自在に嵌合された可動弁体と、バルブハウジングと可動弁体との間に設けられ可動弁体の変位により内部容積が変化するダンピング圧力室と、ダンピング圧力室での内部容積変化に伴なってダンピング圧力室の内外間を移動する流体に対し抵抗を付与する抵抗付与部とを具備したことを特徴とする弁装置。
【請求項2】 可動弁体は、パイロット流量により主流量を制御するパイロット流量増幅型のポペット弁であり、ポペット弁が接離されるシートと、シートの上流側に形成された入口室と、シートを経て排出される主流量の出口室と、出口室とはポペット弁を介して反対側に形成されたスプリング室と、スプリング室から排出されるパイロット流量を制御するパイロットバルブと、スプリング室に設けられてポペット弁をシート側へ押圧するスプリングと、ポペット弁の外周面に設けられポペット弁の移動によりスプリング室への開口面積が変化するスロットと、入口室とスロットとを連通する通路とを具備し、ダンピング圧力室は、入口室とスロットとの間にてバルブハウジングと嵌合されたポペット弁の大径部と、ポペット弁の大径部より入口室側にやや小径に設けられた小径部と、ポペット弁の大径部が摺動自在に嵌合するバルブハウジングの内周面部と、バルブハウジングの内周面部からポペット弁の小径部に向けて突設された環状の突起部とによって形成され、抵抗付与部は、ポペット弁の小径部と環状の突起部との間に設けられた隙間としたことを特徴とする請求項1記載の弁装置。
【請求項3】入口室からダンピング圧力室への流体の自由な流れを許容するチェック弁と、ダンピング圧力室の異常高圧をカットするリリーフ弁とを具備したことを特徴とする請求項2記載の弁装置。
【請求項4】リリーフ弁は、チェック弁の内部に設けられたことを特徴とする請求項3記載の弁装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダンピング機能を持つ弁装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図6は、メータイン・メータアウト分離型の制御回路を示し、この図6において、片ロッド・シリンダ型の流体圧アクチュエータ11を制御するブリッジ構成の制御回路を示す。
【0003】この制御回路は、斜板12により吐出流量を可変制御できる可変容量型のポンプ13の吐出口に、共通バイパス弁14を経てタンク15が接続されているとともに、ロードホールドチェック弁16を有するポンプライン17を介してブリッジ回路18が接続されている。
【0004】このブリッジ回路18は、ポンプライン17にそれぞれ接続された2つのメータインバルブ21,22と、これらのメータインバルブ21,22にそれぞれ接続された2つのメータアウトバルブ23,24とにより形成されている。
【0005】これらのメータアウトバルブ23,24は、タンクライン25に接続され、また、各メータアウトバルブ23,24には、タンクライン25から回路内の負圧発生部に作動液としての作動油を補充するメークアップ用のチェック弁26,27が並列に接続されている。
【0006】このブリッジ回路18の上側に図示されたメータインバルブ21とメータアウトバルブ23との間から引出された通路31は、流体圧アクチュエータ11のピストン32よりロッド33が位置する側の室(以下、「ロッド側室」という)34に接続され、また、下側に図示されたメータインバルブ22とメータアウトバルブ24との間から引出された通路35は、流体圧アクチュエータ11のピストン32よりヘッド側に位置する室(以下、「ヘッド側室」という)36に接続されている。
【0007】メータアウトバルブ23およびメータアウトバルブ24の入口側は、メータアウト通路すなわち流体圧アクチュエータ11よりの戻り通路37となっている。
【0008】前記共通バイパス弁14、メータインバルブ21,22およびメータアウトバルブ23,24には、電磁手段またはパイロット油圧手段により開口面積を可変制御できるスプール弁またはポペット弁などの可変絞り手段が設けられ、これらの可変絞り手段は、コントローラで演算されコントローラより出力された電気信号により、電磁手段の場合は直接的に、またパイロット油圧手段の場合は電油変換手段などを介してパイロット圧力信号で制御される。
【0009】そして、ポンプ13から流体圧アクチュエータ11のロッド側室34およびヘッド側室36の一方に供給されるとともに他方からタンク15に排出される作動油を、この2つのメータインバルブ21,22および2つのメータアウトバルブ23,24で形成されたブリッジ回路18により制御する。
【0010】例えば、流体圧アクチュエータ11を負荷Wに抗して伸張操作する場合は、共通バイパス弁14を閉じ、ポンプ13の吐出量を増加させ、流体圧アクチュエータ11のヘッド側のメータインバルブ22を開くとともにメータアウトバルブ24を閉止し、ロッド側のメータインバルブ21を閉止するとともにメータアウトバルブ23を開く。
【0011】また、流体圧アクチュエータ11を収縮操作する場合は、共通バイパス弁14を閉じ、ポンプ13の吐出量を増加させ、流体圧アクチュエータ11のロッド側のメータインバルブ21を開くとともにメータアウトバルブ23を閉止し、ヘッド側のメータインバルブ22を閉止するとともに、ヘッド側のメータアウトバルブ24を開く。
【0012】図7(A)は、従来のメータアウトバルブ23または24として用いられているパイロット流量増幅型ポペット弁、すなわちフローアンプリファイポペット弁の詳細を示し、バルブハウジング40内に形成された弁嵌合穴41にポペット弁42が変位自在に嵌合され、弁嵌合穴41より大径に形成された入口室43に、前記流体圧アクチュエータ11よりの戻り通路37が連通されている。
【0013】ポペット弁42の一端部には、大径のパイロット制御部44が形成され、このパイロット制御部44の外周面に、ポペット弁42の位置により開口部45a の面積が変化するパイロット流量制御用のスロット45が軸方向に形成されている。
【0014】このポペット弁42の反対側の端部には、入口室43とタンク15に連通された出口室49との間に形成されたシート46に対し接離自在のリターン流量制御部47が設けられ、このリターン流量制御部47に主流量制御スロット48が形成されている。
【0015】図7(A)に示されたポペット弁42の左端面はスプリング室51に臨み、このスプリング室51に内蔵されたコイルスプリング52により、ポペット弁42はシート46側へ押圧される方向すなわち閉じ方向に押圧されている。
【0016】ポペット弁42の開度を制御する手段として、スプリング室51から出口室49にわたって通路53が配設され、この通路53中にはパイロットバルブ54が介在されている。このパイロットバルブ54は、スプリング室51から排出されるパイロット流量を、図示されないコントローラからソレノイド55へ入力される電気信号により、スプリング56に抗して比例制御するものである。
【0017】次に、図7に示された従来のメータアウトバルブの作用を説明する。
【0018】流体圧アクチュエータ11よりの戻り流量Qは、ポペット弁42の入口室43に導かれ、その中の流量qは、スロット45の開口部45a よりスプリング室51に流入する。
【0019】ポペット弁42のストローク制御は、スプリング室51に連通したパイロットバルブ54の開度制御で達成され、このパイロットバルブ54を通過する流量は、図中qで示されている。
【0020】このポペット弁42のストローク制御により、図中右端の主流量制御スロット48が開口し、主流量LQがコントロールされ、この主流量LQはあたかもパイロットバルブ54でのパイロット流量qが増幅された様相を示す。すなわち、パイロットバルブ54は、ポペット弁42のモジュレーション機能を具備している。
【0021】このように、ポペット弁42の外周には軸方向にスロット45が加工されており、入口室43の圧力P1 はスロット45の開口部45a よりスプリング室51に伝わり、パイロットバルブ54の閉止中はスプリング室51の圧力P2 は入口室43の圧力P1 に等しい。
【0022】したがって、タンクライン25に連通された出口室49の圧力P3 が十分低圧であるときは、ポペット弁42は、スプリング室51に面する軸方向受圧面積A2 が入口室43に面する軸方向受圧面積A1 より出口室49に面する軸方向受圧面積A3 の分大きいため、図中右方向へ押されてシート46に押圧され、閉止状態にある。以下、軸方向受圧面積を単に「受圧面積」という。
【0023】次に、パイロットバルブ54が開口して行き、スプリング室51から排出されるパイロット流量qが所定の量に達すると、スロット45の開口部45a で減圧作用が働き、スプリング室51の圧力P2 が、(A1 *P1 −スプリング力)/A2 の値を下回ると、ポペット弁42は左方へ移動しストロークするとともに、スロット45の開口面積が増加するので、流量qが増加し、スプリング室51の圧力P2 が若干上昇して、ポペット弁42は右方へ若干押し戻された後、バランスポジションにて停止する。
【0024】さらに、パイロットバルブ54の開度を大きくしてゆくと、流量qが増加し、ポペット弁42はさらに左方へ移動し、先端部の主流量制御スロット48の開度も徐々に拡大して行く。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】この従来のポペット弁42は、主流量制御スロット48で発生するフローフォースやスロット45の製造位置度公差による力のアンバランスが大きいときや、摺動部分での油膜粘性抵抗によるダンピングファクタが小さいときは、図8にてスプリング室51における圧力P2 の変動を表わすシミュレーション結果や、図9のポペット弁変位Xの変動を表わすシミュレーション結果が示すように、ハンチングHを発生させるという欠陥を有しており、動作が不安定になる。
【0026】本発明は、このような点に鑑みなされたもので、可動弁体の動作を不安定にするハンチングの発生を防止することを目的とするものである。
【0027】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載された発明は、バルブハウジングと、バルブハウジングに摺動自在に嵌合された可動弁体と、バルブハウジングと可動弁体との間に設けられ可動弁体の変位により内部容積が変化するダンピング圧力室と、ダンピング圧力室での内部容積変化に伴なってダンピング圧力室の内外間を移動する流体に対し抵抗を付与する抵抗付与部とを具備した弁装置である。
【0028】そして、可動弁体が移動したときのダンピング圧力室での内部容積変化に伴なって移動する流体に、抵抗付与部で抵抗を付与することにより、可動弁体にダンピング機能を持たせ、ハンチングの発生を防止して可動弁体の動作安定性および円滑性を確保する。
【0029】請求項2に記載された発明は、請求項1記載の弁装置における可動弁体が、パイロット流量により主流量を制御するパイロット流量増幅型のポペット弁であり、ポペット弁が接離されるシートと、シートの上流側に形成された入口室と、シートを経て排出される主流量の出口室と、出口室とはポペット弁を介して反対側に形成されたスプリング室と、スプリング室から排出されるパイロット流量を制御するパイロットバルブと、スプリング室に設けられてポペット弁をシート側へ押圧するスプリングと、ポペット弁の外周面に設けられポペット弁の移動によりスプリング室への開口面積が変化するスロットと、入口室とスロットとを連通する通路とを具備し、また、ダンピング圧力室は、入口室とスロットとの間にてバルブハウジングと嵌合されたポペット弁の大径部と、ポペット弁の大径部より入口室側にやや小径に設けられた小径部と、ポペット弁の大径部が摺動自在に嵌合するバルブハウジングの内周面部と、バルブハウジングの内周面部からポペット弁の小径部に向けて突設された環状の突起部とによって形成され、さらに、抵抗付与部は、ポペット弁の小径部と環状の突起部との間に設けられた隙間とした弁装置である。
【0030】そして、ポペット弁が移動すると、ポペット弁の大径部がバルブハウジングの環状の突起部から変位して、これらの間のダンピング圧力室の内部が容積変化し、隙間を経てダンピング圧力室に流体が出入する。その際に、出入する流体に対し隙間で絞り抵抗を付与することにより、ポペット弁の不安定挙動を減衰させるダンピング機能が働き、スプリング室における圧力のハンチングや、ポペット弁の変位のハンチングを防止して、ポペット弁の動作安定性および円滑性を確保する。
【0031】請求項3に記載された発明は、請求項2記載の弁装置において、入口室からダンピング圧力室への流体の自由な流れを許容するチェック弁と、ダンピング圧力室の異常高圧をカットするリリーフ弁とを具備した弁装置である。
【0032】そして、ダンピング圧力室および抵抗付与部としての隙間がクリアランスダンパとして機能する場合、ポペット弁が急に開口する際に生ずるダンピング圧力室のエア含みの空洞状態をチェック弁にて防止し、また、ポペット弁が急閉止する際に発生するダンピング圧力室の異常高圧化とポペット弁の閉止レスポンス遅れを異常高圧カット用のリリーフ弁にて防止して、ポペット弁の振動発生を防止するクリアランスダンパの機能が、より安定的に維持されるようにする。
【0033】請求項4に記載された発明は、請求項3記載の弁装置におけるリリーフ弁がチェック弁の内部に設けられた弁装置である。
【0034】そして、チェック弁とリリーフ弁とがコンパクトに一体化されている。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1乃至図5を参照しながら説明する。
【0036】先ず、本発明の一実施の形態を図1を参照しながら説明する。
【0037】図1(A)は、前記メータアウトバルブ23または24(図6)として用いられる、パイロット流量により主流量を制御するパイロット流量増幅型ポペット弁、すなわちフローアンプリファイポペット弁の内部構造を示し、バルブハウジング40内に形成された弁嵌合穴41に、可動弁体としてのポペット弁42が変位自在に嵌合され、弁嵌合穴41より大径に形成された入口室43に、メータアウト通路すなわち前記流体圧アクチュエータ11(図6)よりの戻り通路37が連通されている。
【0038】ポペット弁42の一端部には、大径のパイロット制御部44が形成され、このパイロット制御部44の外周面部にパイロット流量制御用のスロット45が軸方向に形成されている。このスロット45の開口部45a の面積は、ポペット弁42のストローク位置に応じて変化する。
【0039】このポペット弁42の反対側の端部には、バルブハウジング40に形成されたシート46に対し接離および摺動自在のリターン流量制御部47が設けられ、このリターン流量制御部47に主流量制御スロット48が形成されている。前記シート46により、このシート46の上流側に形成された前記入口室43と、タンク15にタンクライン25を経て連通された出口室49とが区画形成されている。
【0040】この出口室49とはポペット弁42を介して反対側にスプリング室51が形成され、図1(A)に示されたポペット弁42の左端面は、このスプリング室51に臨み、このスプリング室51に内蔵されたスプリングとしてのコイルスプリング52により、ポペット弁42がシート46に密着する方向すなわち閉じ方向へ押圧されている。
【0041】ポペット弁42の開度を制御する手段として、スプリング室51から出口室49にわたって通路53が配設され、この通路53中にパイロットバルブ54が介在されている。このパイロットバルブ54は、スプリング室51から排出されるパイロット流量を、図示されないコントローラからソレノイド55へ入力される電気信号により、スプリング56に抗して比例制御するものである。
【0042】また、バルブハウジング40とポペット弁42との間に、ポペット弁42の変位により内部容積が変化するダンピング圧力室61が設けられている。
【0043】このダンピング圧力室61は、入口室43とスロット45との間にてバルブハウジング40と嵌合されたポペット弁42の大径部62と、この大径部62より入口室43側にやや小径に設けられた小径部63と、大径部62が摺動自在に嵌合するバルブハウジング40の内周面部64と、この内周面部64からポペット弁42の小径部63に向けて突設された環状の突起部65とによって囲まれるように形成されている。
【0044】さらに、ポペット弁42の小径部63と環状の突起部65との間に、ダンピング圧力室61での内部容積変化に伴なってダンピング圧力室61の内外間を移動する流体に対し抵抗を付与する抵抗付与部としての適当量の隙間66が設けられている。
【0045】さらに、ポペット弁42の内部には、入口室43とスロット45とを連通する通路が設けられている。すなわち、入口室43に常に臨む最小径部70の径方向に通路71が形成され、この通路71の中央部に軸方向に形成された通路72が連通され、この通路72に、径方向に形成された通路73が連通され、この通路73の延長上に図1(B)に示されるように長穴状に形成された通路74が連通され、この通路74が前記スロット45に連通されている。
【0046】このスロット45は、図1(A)に示されるように長穴状の通路74からスプリング室51側へ向って浅くなる円弧溝状に、かつ図1(B)に示されるように等幅で、ポペット弁42の軸方向に加工され、ポペット弁42の軸方向移動によりスプリング室51に開口する開口部45a の面積が変化する。
【0047】そして、入口室43の圧力P1 は、ポペット弁42内の通路71,72,73,74、スロット45、このスロット45の開口部45a を順次経てスプリング室51に伝わり、パイロットバルブ54の閉止中はスプリング室51の圧力P2 は入口室43の圧力P1 に等しくなる。
【0048】次に、この図1に示された弁装置の作用を説明する。
【0049】上記ポペット型流量制御弁におけるダンピング機構において、ポペット弁42の静止中は、ポペット弁42のリターン流量制御部47と小径部63との間のドーナツエリア状受圧面積AP1に加えて、ダンピング圧力室61内のドーナツエリア状受圧面積Ad にも入口室43の圧力P1 が作用しており、結局、ポペット弁42における入口室43側の全受圧面積A1 に図中左方向の圧力P1 が作用している。
【0050】このとき、入口室43はポペット弁42内の通路71,72,73,74、スロット45およびその開口部45a を経てスプリング室51に連通しているので、ポペット弁42のスプリング室51側の受圧面積A2 にも、入口室43の圧力P1 が図中右方向へ作用しており、受圧面積A1 より受圧面積A2 の方が受圧面積A3 の分大きいとともに、出口室49の圧力P3 がタンクライン25に繋がり十分低圧であるから、ポペット弁42は図中右方向へ押されてシート46に密着され、閉止状態にある。
【0051】次に、パイロットバルブ54が電気信号に応じて開口し、スプリング室51から通路53を経て流出するパイロット流量qが所定の量に達すると、スロット45の開口部45a で減圧作用が働き、スプリング室51の圧力P2 が、(A1 *P1 −スプリング52のばね力)/A2 の値を下回ると、ポペット弁42は左方へ移動するとともに、スロット45の開口面積が増加するので、流量qが増加し、スプリング室51の圧力P2 が若干上昇して、ポペット弁42は右方へ若干押し戻されて、バランスポジションにて停止する。
【0052】さらに、パイロットバルブ54の開度を大きくしてゆくと、流量qが増加し、ポペット弁42はさらに左方へ移動し、先端部のリターン流量制御部47に設けられた主流量制御スロット48の開度も徐々に拡大して行く。
【0053】この移動の過程でポペット弁42に発振現象が生じようとして、ある平衡点の回りで左右に振動しようとしても、その際に同時に内部容積変化するダンピング圧力室61内の油の出入りが隙間66による絞り抵抗で阻止されようとするため、減衰作用すなわちダンピング作用が働き、図2のスプリング室51における圧力P2 の変動を表わすシミュレーション結果や、図3のポペット弁42の変位Xを表わすシミュレーション結果が示すように、従来ハンチングが発生した箇所hでも、発振現象が殆どなく安定である。
【0054】また、この構造は既存のショックアブソーバやダッシュポットなどの特別な減衰装置を必要とせず、極めてシンプルで安価な構造であるというメリットも有している。
【0055】このように、図7に示された従来のパイロット流量増幅型ポペット弁では、図8や図9に示すようなハンチングが発生する傾向があるのに対して、図1に示されたパイロット流量増幅型ポペット弁は、ポペット弁外周部のクリアランスにより高ダンピングファクタをポペット弁42に与え、発振現象を緩和するシンプル構造で安価なクリアランスダンピング機構(以下、このダンピング機構を「クリアランスダンパ」という)を持ち、従来のパイロット流量増幅型ポペット弁の動的安定性を改善できるものの、下記に示すような不具合も生ずる。
【0056】すなわち、パイロットバルブ54を急激に大開度に開いた場合、スプリング室51の圧力P2 が急激に低下し、入口室43に直接臨む部分の受圧面積Ap1に作用する入口室43の圧力P1 による力でポペット弁42が急激に左方へ急ストロークする時は、隙間66による抵抗で入口室43からダンピング圧力室61への圧油の補充が追いつかず、ダンピング圧力室61がエア含みの空洞状態となり、発振現象を抑えるダンピング機能を喪失する。
【0057】また、ポペット弁42がハイリフト状態からパイロットバルブ54が急閉止した時にスプリング室51の圧力P2 が入口室43の圧力P1 に等しくなり、受圧面積A2と受圧面積A1 の差である受圧面積A3 にこの入口室43の圧力P1 が作用してポペット弁42を閉止側の右方向へ押しつける時にダンピング圧力室61に作動油が充満していると、受圧面積Ad が小さいため、ダンピング圧力室61の圧力Pd が異常に高圧となり、バルブハウジング40の破損や閉止レスボンスの低下などの不具合が発生する可能性がある。
【0058】そこで、図4に示される実施の形態の回路図のように、ダンピング圧力室61と入口室43との間を連通可能の通路80中に、入口室43からダンピング圧力室61への圧油の自由な流れを許容するチェック弁81を設けるとともに、ダンピング圧力室61の圧力Pd が異常に高圧とならないように異常高圧をカットする異常高圧カット用リリーフ弁82を、チェック弁81に対し並列に配置する。
【0059】図5は図4に示された回路図を具体的なバルブ構造とした実施の形態であり、パイロット流量増幅型ポペット弁のバルブハウジング40内または別体のバルブハウジング内に、入口室43側の通路80a およびダンピング圧力室61側の通路80b より大径の弁室83が形成され、入口室43側の通路80a が弁室83に開口する開口縁にチェック弁シート84が形成され、このチェック弁シート84に対し、弁室83内に軸方向摺動自在に嵌合されたポペット型チェック弁体85が接離自在に設けられ、一方、ダンピング圧力室61側の通路80b が弁室83に開口する開口縁にスプリングシート86が形成され、このスプリングシート86とポペット型チェック弁体85の対向部との間に形成されたチェック弁スプリング室87に、ポペット型チェック弁体85をチェック弁シート84に押圧するコイル状の低荷重のチェック弁スプリング88が圧縮状態で嵌着されている。
【0060】ポペット型チェック弁体85の外周部摺動面には、入口室43からダンピング圧力室61への圧油の自由な流れを許容する複数の軸方向溝89が設けられている。
【0061】そして、ダンピング圧力室61がエア含みの空洞状態になると、入口室43よりポペット型チェック弁体85に作用する圧力が、ポペット型チェック弁体85を低荷重のチェック弁スプリング88に抗してチェック弁シート84から押し開き、弁室83に流入した圧油は、軸方向溝89およびチェック弁スプリング室87を経てダンピング圧力室61に抵抗なく導かれる構造となっている。
【0062】また、前記ダンピング圧力室61の異常高圧により開いてダンピング圧力室61内の圧油を入口室43側にリリーフする前記異常高圧カット用リリーフ弁82は、前記チェック弁81に内蔵されている。
【0063】すなわち、この異常高圧カット用リリーフ弁82は、前記ポペット型チェック弁体85の内部にリリーフ弁スプリング室91が設けられ、このリリーフ弁スプリング室91のダンピング圧力室61側端にリリーフ弁シート92を介してリリーフ弁入口93が形成され、反対側にスプリングシート94を介してリリーフ弁出口95が設けられ、リリーフ弁スプリング室91内にポペット型リリーフ弁体96が軸方向移動自在に嵌合され、このポペット型リリーフ弁体96のスプリング嵌着部97と前記スプリングシート94との間に圧縮状態で嵌着されたコイル状のリリーフ弁スプリング98により、ポペット型リリーフ弁体96がリリーフ弁シート92に接離自在に押圧されている。
【0064】そして、ダンピング圧力室61の圧力Pd が異常に上昇して、その圧力Pdに基づく力がリリーフ弁スプリング98により設定された力を上回ると、ダンピング圧力室61内の圧油は、ポペット型リリーフ弁体96をリリーフ弁スプリング98に抗してリリーフ弁シート92から押し開き、リリーフ弁入口93からリリーフ弁スプリング室91内を経てリリーフ弁出口95より流出する。
【0065】図4に示された実施の形態の作用および効果を説明する。
【0066】パイロットバルブ54を急激に大開度に開いた場合、スプリング室51の圧力P2が急激に低下し、受圧面積Ap1に作用する入口室43の圧力P1 により生ずる力でポペット弁42が急激に左方へ急ストロークする時は、隙間66による抵抗で入口室43からダンピング圧力室61への圧油の補充が追いつかず、ダンピング圧力室61がエア含みの空洞状態となるが、本装置ではダンピング圧力室61と入口室43との間に入口室43からダンピング圧力室61への圧油の自由な流れを許容するチェック弁81を設けているため、このダンピング圧力室61のエア含みの空洞状態が速やかに解消され、ダンピング圧力室61内に作動油が充満するので、発振によりポペット弁42が振動の中心位置より図中右方向へ移動する際にダンピング圧力室61内の充満した作動油が隙間66から押し出される抵抗により振動を抑えるダンピング機能を発揮するため、振動は速やかに滅衰する。また、ダンピング圧力室61の圧力Pd が異常に高圧とならないように高圧をカットするリリーフ弁82をダンピング圧力室61から入口室43の方向に設置したので、バルブハウジング40の破損や閉止レスポンスの低下などの不具合が発生しない。
【0067】図5に示された具体的なバルブ構造の作用および効果を説明する。
【0068】ダンピング圧力室61と入口室43との間に入口室43からダンピング圧力61への圧油の自由な流れを許容するポペット型チェック弁が設けられて、このポペット型チェック弁の外周部には軸方向に連通した軸方向溝が設けられ、入口室43よりチェック弁シートを押し開けて流入する圧油を、チェック弁外周部の軸方向溝およびチェック弁スプリング室87よりダンピング圧力室61に抵抗無くスムーズに導くことができるため、ダンピング圧力室61のエア含みの空洞状態を速やかに解消できる。また、チェック弁81の内部には、ダンピング圧力室61の異常高圧により開き、ダンピング圧力室61内の圧油を入口室43側にリリーフする異常高圧カット用リリーフ弁82を内蔵しているため、全体をコンパクトに構成できて、ハウジングの破損や閉止レスボンスの低下などの不具合が発生しない。
【0069】このように、従来のパイロット流量増幅型ポペット弁の動的安定性を改善するためのダンピング圧力室61および隙間66がクリアランスダンパとして機能する場合、ポペット弁42が急に開口(リフト)する際に生ずるダンピング圧力室61のエア含みの空洞状態をチェック弁81にて防止し、常時安定してダンピング圧力室61に圧油を充満させて、発振を押さえ込むダンピング機能を安定的に維持させるとともに、ポペット弁42が急閉止する際に発生するダンピング圧力室61の異常高圧化とポペット弁42の閉止レスポンス遅れを防止する異常高圧カット用リリーフ弁82を設置しているので、ポペット弁42の振動発生を防止するクリアランスダンパの機能が、より安定的に維持されかつ信頼性が高くなる機構を提供できる。
【0070】また、リリーフ弁82がチェック弁81の内部に設けられたから、チェック弁81とリリーフ弁82とをコンパクトに一体化でき、これらをポペット弁42のバルブハウジング40内などにコンパクトに組込むことができる。
【0071】なお、図示された実施の形態は、ポペット型流量制御弁におけるダンピング機構を説明したが、可動弁体としてのスプール弁とバルブハウジングとの間にダンピング圧力室および抵抗付与部を設けることにより、スプール型制御弁にも同様のダンピング機構を適用できる。
【0072】また、本ケースでは、メータアウト側の流量制御に用いるポペット弁に適用したが、メータイン側の流量制御用ポペット弁にも同様に本ダンピング機構を適用できる。
【0073】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、可動弁体が移動したときのダンピング圧力室での内部容積変化に伴なってダンピング圧力室の内外間を移動する流体に、抵抗付与部で抵抗を付与することにより、可動弁体にダンピング機能を持たせ、ハンチングの発生を防止して可動弁体の動作安定性および円滑性を確保できる。また、バルブハウジングと可動弁体との間にダンピング圧力室および抵抗付与部を設けることにより、既存のショックアブソーバやダッシュポットなどの減衰装置より、シンプルで安価な構造にできる。
【0074】請求項2記載の発明によれば、シート、入口室、出口室、スプリング室、パイロットバルブ、スプリングおよびスロットを備えたパイロット流量増幅型のポペット弁により流量を制御する際も、このポペット弁が移動すると、ポペット弁の大径部がバルブハウジング側の環状の突起部から変位して、これらの間のダンピング圧力室の内部容積が変化し、隙間を経てダンピング圧力室に出入する流体に対し隙間で絞り抵抗を付与することにより、ポペット弁の動きを減衰させるから、スプリング室における圧力のハンチングや、ポペット弁の変位のハンチングを防止して、ポペット弁の動作安定性および円滑性を確保できる。特に、入口室とスロットとを通路により連通し、ポペット弁の大径部より入口室側にやや小径に設けられた小径部と、バルブハウジング側から突設された環状の突起部とによって、ダンピング圧力室および隙間を簡単に形成でき、既存のショックアブソーバやダッシュポットなどの減衰装置より、極めてシンプルで安価な構造にできる。
【0075】請求項3記載の発明によれば、ダンピング圧力室および抵抗付与部としての隙間がクリアランスダンパとして機能する場合、ポペット弁が急に開口する際に生ずるダンピング圧力室のエア含みの空洞状態をチェック弁にて防止でき、また、ポペット弁が急閉止する際に発生するダンピング圧力室の異常高圧化とポペット弁の閉止レスポンス遅れを異常高圧カット用のリリーフ弁にて防止できるから、ポペット弁の振動発生を防止するクリアランスダンパの機能を、より安定的に維持できる。
【0076】請求項4記載の発明によれば、リリーフ弁がチェック弁の内部に設けられたから、チェック弁とリリーフ弁とをコンパクトに一体化でき、これらをポペット弁のバルブハウジング内などにコンパクトに組込むことができる。
【出願人】 【識別番号】000190297
【氏名又は名称】新キャタピラー三菱株式会社
【出願日】 平成11年11月18日(1999.11.18)
【代理人】 【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄 (外2名)
【公開番号】 特開2001−108125(P2001−108125A)
【公開日】 平成13年4月20日(2001.4.20)
【出願番号】 特願平11−328870