トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 フラップ弁
【発明者】 【氏名】田中 利和

【要約】 【課題】少流量時にも容易に開動するフラップ弁機能と、緊急時に強制的に開閉操作する機能と兼ね備えたフラップ弁を提供する。

【解決手段】弁箱6内に全閉位置と全開位置の間に亘って揺動自在に弁体8を設け、弁体8の弁軸7の一端にウエイト手段18を一体に装着し、弁軸7の他端にクラッチ手段19を介して操作手段20を装着した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 流路を形成する弁箱と、弁箱内の水流方向に対して直交する水平な弁軸と、弁軸と一体に回動して全閉位置と全開位置とに亘って揺動する弁体と、弁軸の一端に装着したウェイト手段と、弁軸の他端にクラッチ手段を介して装着し、弁体を強制的に開閉操作する強制操作手段とを備え、ウェイト手段は、弁軸と一体に回動して弁体の開方向への揺動時に弁軸から離間する方向に向かって下り勾配の姿勢となり、弁体の全閉時に弁軸に接近する方向に向かって下り勾配の姿勢となるレールと、レール上を転動するウェイトとからなり、クラッチ手段は、弁軸と強制操作手段の入力軸との各々に装着する一対のクラッチ板と、各クラッチ板の相対向する面に設けた係合爪とを有し、双方のクラッチ板の係合爪が弁軸の軸線廻りで係合する状態で強制操作手段の入力を弁軸に伝達し、双方のクラッチ板の係合爪が弁軸の軸線廻りで離間する状態で弁体の自由な開閉動作を許容することを特徴とするフラップ弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば河川に設ける樋管等の排水管に装着して用いるフラップ弁に関する。
【0002】
【従来の技術】図6に示すように、陸地側あるいは排水処理場から河川1へ排水するために、堤防2を貫通して樋管3を設置しており、樋管3の先端にフラップ弁4を装着している。フラップ弁4は揺動開閉自在な弁体5を有し、矢印のように、陸地側もしくは排水処理場から河川1に向かって樋管3内を流れる水流によって弁体5が開動する。河川1の水位が一定以上に上昇する増水時には、弁体5が自重で閉動して河川1の側から陸地側あるいは排水処理場側へ逆流することを防止する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来のフラップ弁においては、弁体5が正方向の水流量によって自重に抗して開動する構成であるために、全閉状態での止水性を高めるべく弁体の自重を大きくすると、正方向の水流が少流量である場合に、弁体を開動することが難しく、弁体が排水流体に与える圧力損失が大きくなるばかりでなく、弁体がチャタリングを起こしやすい。また、従来のフラップ弁では、緊急時などにおいて自由に開閉することができないという問題があった。
【0004】本発明は上記した課題を解決するものであり、少流量時においても弁体を容易に開動することができるとともに、確実な逆止性能も確保でき、しかも、緊急時においては自由に開閉操作することができるフラップ弁を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決するために、本発明のフラップ弁は、流路を形成する弁箱と、弁箱内の水流方向に対して直交する水平な弁軸と、弁軸と一体に回動して全閉位置と全開位置とに亘って揺動する弁体と、弁軸の一端に装着したウェイト手段と、弁軸の他端にクラッチ手段を介して装着し、弁体を強制的に開閉操作する強制操作手段とを備え、ウェイト手段は、弁軸と一体に回動して弁体の開方向への揺動時に弁軸から離間する方向に向かって下り勾配の姿勢となり、弁体の全閉時に弁軸に接近する方向に向かって下り勾配の姿勢となるレールと、レール上を転動するウェイトとからなり、クラッチ手段は、弁軸と強制操作手段の入力軸との各々に装着する一対のクラッチ板と、各クラッチ板の相対向する面に設けた係合爪とを有し、双方のクラッチ板の係合爪が弁軸の軸線廻りで係合する状態で強制操作手段の入力を弁軸に伝達し、双方のクラッチ板の係合爪が弁軸の軸線廻りで離間する状態で弁体の自由な開閉動作を許容するものである。
【0006】上記した構成により、通常時にクラッチ手段は、各クラッチ板の係合爪間に所定距離の遊びを形成したクラッチ切り状態にあり、弁体の自由な開閉動作を許容する。この状態で、弁箱を流れる水流によって弁体が開方向へ揺動すると、ウェイト手段のレールが弁軸から離間する方向に向かって下り勾配の姿勢となることに伴って、ウェイトがレール上を転動して弁軸から離間することにより、ウェイトによって弁軸に開方向モーメントが作用し、弁体の自重による閉方向モーメントに対抗し、水流に付勢される弁体が自重量や水流量の多少にかかわらず容易に全開位置に揺動する。
【0007】一方、河川の増水などにより逆方向の水流が弁体に作用し、弁体が閉方向へ揺動して全閉もしくは所定開度以下になると、ウェイト手段のレールが弁軸に向かって下り勾配の姿勢となることに伴って、ウェイトがレール上を転動して弁軸に接近する。このことにより、ウェイトにより弁体に作用する開方向モーメントがなくなり、弁体が自重によって速やかに全閉状態となり、弁体を所定の自重量に設定することにより確実な止水性を確保できる。
【0008】また、緊急時には強制操作手段を操作し、クラッチ手段における双方のクラッチ板を各係合爪を係合させたクラッチ入り状態に切り換えて、強制操作手段による入力をクラッチ手段を介して弁軸に伝え、弁体を強制的に開閉操作する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜図3において、弁箱6は水流の流れ方向に対して直交する水平な軸心aの弁軸7を回転自在に支承しており、弁箱6の内部には弁軸7と一体に回動して弁箱内部流路6Aを開閉する弁体8を全閉位置と全開位置とに亘って揺動自在に収納している。
【0010】弁軸7の端部は弁箱6の外部に突出し、その軸端にアーム9を固定しており、アーム9は弁軸7に対する取付角度が調整可能である。アーム9と平行に補助アーム10を設けており、アーム9及び補助アーム10には長手方向に適当間隔毎にボルト孔11及び12を形成している。アーム9および補助アーム10は、ボルト孔11、ボルト孔12に挿通するボルト37によってレール13を保持しており、ボルト孔11,12の位置を変更することによってレール13の取付角度が調整できる。
【0011】レール13は弁軸7及び弁体8と一体に開方向へ揺動するにしたがって、弁軸7から離間する方向に向かって下り勾配の姿勢となり、弁体8の全閉状態において、弁軸7に接近する方向に向かって下り勾配の姿勢となる。レール13は案内溝13aに沿って自重で転動しながら移動するウェイト14を保持しており、ウェイト14は案内溝13aに挿入する支軸にローラベアリングを有し、円滑な転動を確保している。
【0012】レール13の両端にはウェイト14を受け止めるスプリング等の衝撃緩和装置15,16を設けており、レール13の先端側に設けられた衝撃緩和装置16は調整ボルト17でウェイト14の移動方向に位置調整が可能である。アーム9、補助アーム10、レール13及びウェイト14でウェイト手段18を構成し、ウェイト手段18を弁軸7の一端に弁軸7と一体に揺動可能に装着している。
【0013】一方、弁軸7の他端にはクラッチ手段19を介して操作手段20を装着しており、操作手段20は弁体8を強制的に開閉操作するもので、回転操作ハンドル21とケース22に回転自在に支承されたウオーム23及びこれに噛合するウオームホイール24とで構成している。クラッチ手段19は一対のクラッチ板27、30からなる。一方のクラッチ板27は、操作手段20のウオームホイール24に固定した環状部材25に一対の係合爪26,26が突出してなり、図4に示すように、各係合爪26,26は直径方向において対向し、中心角θ1となる円弧状である。他方のクラッチ板30は、弁軸7の他端にキー止め固定した環状部材28に一対の係合爪29,29が着突出してなり、各係合爪29,29は直径方向において対向し、中心角θ2となる円弧状である。
【0014】以下、上記した構成における作用を説明する。クラッチ手段19は、操作手段20のクラッチ板27を正方向+rもしくは逆方向−rに回転させることに伴って、係合爪26,26が弁軸7のクラッチ板30の係合爪29,29と係合するクラッチ入り状態となり、この状態で、操作手段20により弁体8を強制的に開閉操作する。
【0015】図4に示すように、両クラッチ板27,30の係合爪26,26及び29,29が離間し、その端面間に中心角θ3の範囲の遊びを形成したクラッチ切り状態において、弁体8が全閉位置と全開位置とに亘って揺動することを許容し、弁体8がフラップ弁として機能する。通常は、操作手段20を操作してクラッチ手段19におけるクラッチ板27を正方向+rに回転させ、図5(a)に示す位置から図5(b)に示す位置に変更し、両クラッチ板27,30の係合爪26,26及び29,29を離間させ、端面間に遊びを形成してクラッチ切り状態とする。
【0016】この状態で、弁箱6の内部流路6Aに正方向(図1のY方向)に水流が流れ込むと、全閉位置にあった弁体8が開方向へ向けて揺動するとともに、アーム9及び補助アーム10が同一方向に一体に揺動する。この弁体8、アーム9及び補助アーム10の揺動に伴って、ウェイト手段18のレール13が弁軸7から離間する方向に向かって下り勾配の姿勢となる。図1の仮想線に示すように、ウェイト14はレール13の案内溝13aに沿って転がり移動し、衝撃緩和装置16によって受け止められる。
【0017】このウェイト14の移動によって、弁体8には開方向モーメントが作用し、弁体8の自重による閉方向モーメントに対抗し、水流の付勢力を受ける弁体8は、自重量、水流の流量の多少にかかわらず、図1の仮想線に示す全開位置に容易に揺動し、大きな開度に維持される。このとき、クラッチ手段19におけるクラッチ板27および係合爪26は図5(b)に示す位置にあり、クラッチ板30および係合爪29のみが弁体8及び弁軸7と一体に図5(c)に示す位置に回転する。
【0018】また、クラッチ手段19が図5(b)に示すクラッチ切り状態において、河川側の増水など排水側の水位が一定以上まで上昇し、逆方向(図1のX方向)から弁体8に水圧が作用すると、弁体8が閉方向へ向けて揺動するとともに、アーム9及び補助アーム10も同一方向に一体揺動する。弁体8、アーム9及び補助アーム10の揺動に伴い、図1の実線に示すように、ウェイト手段18のレール13が弁軸7に接近する方向に向かって下り勾配の姿勢となり、ウェイト14がレール13の案内溝13aに沿って転がり移動し、衝撃緩和装置15によって受け止められる。
【0019】このウェイト14の移動により、ウェイト14によって弁体8に作用していた開方向モーメントがなくなり、自重によって弁体8は図1の実線に示す全閉位置で止水性能を確保する。また、緊急時には、操作手段20を操作し、操作手段20側のクラッチ板27を正方向+rもしくは逆方向−rに回転させ、クラッチ手段19におけるクラッチ板27の係合爪26,26と弁軸7側のクラッチ板30の係合爪29,29とを係合させてクラッチ入り状態とし、弁体8を強制的に開閉操作する。
【0020】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、クラッチ手段の入り切り操作によって、弁体がウェイト手段によるモーメントを受けて容易に開動する状態と、弁体を強制的に開閉操作する状態とに切り換えることで、通常時には少流量であっても弁体を容易に大きな開度に維持することができるフラップ弁機能と、緊急時には強制的に容易かつ迅速に開閉する機能とを単一の弁において具現することができる。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成11年10月14日(1999.10.14)
【代理人】 【識別番号】100068087
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 義弘
【公開番号】 特開2001−108122(P2001−108122A)
【公開日】 平成13年4月20日(2001.4.20)
【出願番号】 特願平11−291725