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【発明の名称】 ボールバルブ
【発明者】 【氏名】中村 知広

【氏名】武田 慎次

【要約】 【課題】ボール面と当接するボールシートのシール部を一定の位置にすることで、ボールシート本来のシール寿命を発揮できるボールバルブを提供する。

【解決手段】バルブ本体1内に流路を開閉可能とするボール2が配置され、このボール2に流路両側よりボールシート4が当接され、このボールシート4が、その先端側の内周面に、ボール2側に開口して設けられた環状の係止溝54にバックアップ用のOリング541が装着されたボール押え5によりボール2に向けて押圧されるようになされたボールバルブにおいて、ボールシート4のボール面と当接する環状のシール部41が、ボールシート4とOリング541とが当接している環状の当接面の範囲内に位置しているボールバルブV。
【特許請求の範囲】
【請求項1】バルブ本体内に流路を開閉可能とするボールが配置され、このボールに流路両側よりボールシートが当接され、このボールシートの少なくとも一方が、その先端側の内周面に、ボール側に開口して設けられた環状の係止溝にバックアップリングが装着されたボール押えによりボールに向けて押圧されるようになされたボールバルブにおいて、前記ボールシートのボール面と当接するエッジ状のシール部が、ボールシートとバックアップリングとが当接している環状の当接面の範囲内に位置していることを特徴とするボールバルブ。
【請求項2】バルブ本体内に流路を開閉可能とするボールが配置され、このボールに流路両側よりボールシートが当接され、このボールシートの少なくとも一方が、その先端側の内周面に、ボール側に開口して設けられた環状の係止溝にバックアップリングが装着されたボール押えによりボールに向けて押圧されるようになされたボールバルブにおいて、前記ボールシートのバックアップリング側の端面に環状の窪みが設けられていることを特徴とするボールバルブ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はボールバルブに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のボールバルブとして、円筒状のバルブ本体内に流路を開閉可能なボールが配置され、このボールに流路両側よりポリテトラフルオロエチレン製のボールシートが当接され、このボールシートがボール押えによりボールに向けて押圧されるようになされた所謂ユニオンタイプのボールバルブがある。このボールバルブは接続スリーブをバルブ本体に接続することにより、ボール押えが接続スリーブで押されてボールに向けて押圧されるようになっている。たとえば、ユニオンナットによりバルブ本体に接続される接続スリーブによりボール押えが押圧され、ユニオンナットの締め具合を調整することによりボールとボールシートとの当接圧力が調整されるようになされ、ボールシートが摩耗して流体の漏れを生じたときにはユニオンナットを増締めして漏れを防止できる機構となっている。
【0003】また、ユニオンナットの増締めによる流体の漏れ防止効果をより有効にするために、ボール押えのボールシート取付け部に環状溝を設け、この環状溝内にバックアップリングとしての合成ゴム製のOリングを装着し、このOリングを介してボール押えにてボールシートをボールに押圧するようにしたボールバルブも知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のボールバルブでは、図11に示すように、ボール面と当接するボールシート4のシール部41が、ボールシート4とOリング状のバックアップリング541とが当接している環状の当接面の範囲内よりも内方に位置しているので、ボール押え5をボール2側に押圧すると、ボールシート4が図に示すように内側に倒れることになる。この結果、ボール面と当接するボールシートの当接位置が一定しないため、予期しないボールシートの変形や磨耗が生じて、ボールシート本来のシール寿命を発揮させることができなかった。
【0005】また、上記バックアップリングを併用したボールバルブでは、バックアップリングの弾性反発力を大きくするために、このバックアップリングが装着される環状溝の溝幅を小さくする必要がある。しかしながら、この溝幅を小さくすると、環状溝の内壁側に大きな応力が発生することになり、その結果、環状溝の内壁が破損する恐れがあった。
【0006】本発明の目的は、ボール面と当接するボールシートのシール部を一定の位置にすることができ、その結果、ボールシート本来のシール寿命を発揮することができるボールバルブを提供することである。
【0007】本発明の他の目的は、環状溝の内壁の破損が生じず、ボールシート本来のシール寿命を発揮することができるボールバルブを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明は、バルブ本体内に流路を開閉可能とするボールが配置され、このボールに流路両側よりボールシートが当接され、このボールシートの少なくとも一方が、その先端側の内周面に、ボール側に開口して設けられた環状の係止溝にバックアップリングが装着されたボール押えによりボールに向けて押圧されるようになされたボールバルブにおいて、前記ボールシートのボール面と当接するエッジ状のシール部が、ボールシートとバックアップリングとが当接している環状の当接面の範囲内に位置しているものである。
【0009】請求項2記載の本発明は、バルブ本体内に流路を開閉可能とするボールが配置され、このボールに流路両側よりボールシートが当接され、このボールシートの少なくとも一方が、その先端側の内周面に、ボール側に開口して設けられた環状の係止溝にバックアップリングが装着されたボール押えによりボールに向けて押圧されるようになされたボールバルブにおいて、前記ボールシートのバックアップリング側の端面に環状の窪みが設けられているものである。
【0010】(作用)請求項1記載の本発明においては、ボールシートのボール面と当接するエッジ状のシール部が、ボールシートとバックアップリングとが当接している環状の当接面の範囲内に位置しているので、ボールシートは、内側に倒れて変形することなく、流路の軸方向に真っ直ぐにバックアップリングを圧縮する。このため、ボールとボールシートとのシール位置は常に一定となり、安定したシール性能が得られ、かつ、ボールシートは本来のシール寿命を発揮できる。
【0011】請求項2記載の本発明においては、ボールシートのバックアップリング側の端面に設けられた環状の窪みにてバックアップリングの一部を収容することができるので、バックアップリングが装着された環状の係止溝の内壁の破損を防止できる。また、環状の窪みに相当する分、ボールシートを形成している高価な原料であるポリテトラフルオロエチレン樹脂原料が少なくて済むので、ボールシートのコストを安くできる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明のボールバルブVの第1実施例を示す縦断面図、図2は図1におけるバルブ本体を示す半断面図、図3は図2対応の右側面半断面図である。ボールバルブVは硬質塩化ビニル樹脂製のものである。
【0013】図において、1はバルブ本体で、バルブ本体1内にボール2が挿入され、バルブ本体1の壁面を貫通するスピンドル3がボール2の凹溝21と嵌り合っている。このボール2の両側にはボールシート4が当てがわれ、ボール押え5が挿入保持されている。ボールシート4はボール押え5に嵌め込まれて支持されている。そして、バルブ本体1の端部外周の雄ねじ11にユニオンナット7が螺合され、このユニオンナット7で接続スリーブ6をボール押え5に向けて押圧して管と接続するようになっている。8はハンドルであり、スピンドル3の上端部に嵌着されている。
【0014】そして、ボール押え5のバルブ本体1への係合保持は、バルブ本体1の内周面に設けられた雌ねじ12と、ボール押え5の外周面に設けられた雄ねじ51との螺合によりなされる。図2に示すように、バルブ本体1のボール押え5が挿入される両端部の奥部内周面には雌ねじ12,12が設けられている。
【0015】図4はボール2を示すものであり、(a)は平面図、(b)は正面図である。図5はボール2の断面を示すものであり、(a)は図4(b)のA−A断面図、(b)は図4(a)のB−B断面図である。
【0016】図4および図5に示すように、ボール2は従来のものと同一であるが、その外径D2は、ボール2を流路が閉となる方向に向けた状態(図6を参照)において、バルブ本体1の雌ねじ12の山部の内径d2よりも少し小さくされている。
【0017】図7に示すように、ボール押え5の外周面には一端側より雄ねじ51と、Oリング521が装着される環状溝52が設けられている。また、雄ねじ51の反対側に位置する端面にはOリング531が装着される環状溝53が設けられている。この環状溝53よりも外方に位置する端面の対向する2箇所には小さな窪み55,55が設けられている。この窪み55はボール押え5の雄ねじ51をバルブ本体1の雌ねじ12に螺合させる際に、回転治具(図示せず)の先端を係止させてボール押え5を廻すためのものである。
【0018】なお、窪み55は少なくとも2箇所に設けられておればよい。また、窪み55はOリング531のシール性を損なわない位置に設けられておればよく、環状溝53の位置によっては、環状溝53の内方に位置する端面に設けてもよい。
【0019】そして、雄ねじ51側のボール押え5の内面にはボールシート4を嵌め込み支持する環状の係止溝54が設けられている。
【0020】両環状溝52,53にはOリング521,531が装着されており、ボール押え5とバルブ本体1の内周面および接続スリーブ6との間からの漏れが防止されるようになっている。また、係止溝54にはバックアップ用のOリング541を介してボールシート4が装着されている。このボールシート4のエッジ状の環状シール部41は、図8に示すように、ボールシート4とOリング541とが当接している環状の当接面の範囲内に位置するようにされている。
【0021】そして、上記構造のボールバルブVを組立てるには、バルブ本体1に貫通孔10を通じてスピンドル3を嵌挿し、その下端部をバルブ本体1内方に突出させておき、一方、ボール2を流路孔20が閉の状態となる方向に向けてバルブ本体1の端部より挿入してスピンドル3の下端部と嵌合する。
【0022】この際、ボール2の外径D2が、ボール2を流路が閉となる方向に向けた状態において、バルブ本体1の雌ねじ12の山部の内径d2よりも小径とされているので、図6に示すように、バルブ本体1の内周面に雌ねじ12が存在しているにもかかわらず、バルブ本体1の開口端側からバルブ本体1内にボール2を挿入することができる。
【0023】つぎに、先端内部にOリング541およびボールシート4を、環状溝52にOリング521をそれぞれ装着したボール押え5をそのボールシート4を装着した側を前方にしてバルブ本体1内に挿入し、このボール押え5を回転治具にて周方向に回して、ボール押え5の雄ねじ51をバルブ本体1の雌ねじ12に螺合させてねじ込み、ボール押え5の係止溝54に装着されたボールシート4にて、ボール2とボールシート4との当接面の面圧が所定の押圧力となるようにする。
【0024】その際、上記図8にて示したように、ボール2の外周面と当接するボールシート4の環状シール部41がボールシート4とOリング541とが当接している環状の当接面の範囲内に位置しているので、ボールシート4は、内側に倒れて変形することなく、流路の軸方向に真っ直ぐにOリング541を圧縮することになる。このため、ボール2とボールシート4とのシール位置は変化せず、安定したシール性能を得ることができる。また、ボールシート4は本来の設計通りのシール寿命を発揮することができる。
【0025】そして、ボール押え5の端面の環状溝53にOリング531を装着して接続スリーブ6を当てがい、ユニオンナット7をバルブ本体1の端部外周の雄ねじ11に螺合して接続スリーブ6をボール押え5に向けて押圧し、スピンドル3の上端部にハンドル8を嵌め込んで、バルブVの組立てを完了する。
【0026】この第1実施例のボールバルブでは、ボール2の外径がバルブ本体1の雌ねじ12の山部の内径d2よりも小径とされているので、バルブ本体1の内周面に雌ねじ12が存在していても、バルブ本体1の開口端側からバルブ本体1内にボール2を挿入することができる。
【0027】そして、雌ねじ12はバルブ本体1の内周面から内方に突出して設けられているので、バルブ本体1の壁部厚みが薄くならず、このため、バルブ本体1の強度低下が生じることはない。
【0028】さらに、ボール2の反対側に位置するボール押え5の外周面に設けられた環状溝52にOリング521が装着されているので、このOリング521によって、ボール押え5とバルブ本体1との間の止水性は良好に保持される。
【0029】図9は本発明のボールバルブの第2実施例の要部を示す拡大断面図である。この第2実施例では、図9に示すように、ボールシート4のOリング541側のボールシート4の端面に環状の窪み42を設け、この窪み42にて弾性反発状態にあるOリング541の一部を収容するようにした以外は、上記第1実施例のボールバルブと基本的に同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0030】このように、Oリング541の一部がボールシート4の環状の窪み42にて収容されることで、環状の係止溝54の内壁の破損を防止できる。
【0031】また、ボールシート4のエッジ状の環状シール部41は、図9に示すように、ボールシート4とOリング541とが当接している環状の当接面の範囲内に位置するようにされているので、ボールシート4の倒れが生じない。このため、ボールとボールシートとのシール位置が常に一定となり、安定したシール性能が得られ、ボールシートは本来のシール寿命を発揮できる。
【0032】上記実施例では、バルブ本体1の流入側および流出側の内周面にそれぞれ雌ねじ12,12を設けたが、図10に示すように、管路内に配管接続する際に、流入側となるバルブ本体1Aの内周面にのみ雌ねじ12を設けてもよい。このように、バルブ本体1Aを片キャリア型のものとすることで、ボールバルブの組立て作業が簡単になる。
【0033】また、上記実施例では、ボールバルブを樹脂製のものとしたが、金属製のものであってもよい。
【0034】
【発明の効果】請求項1記載の本発明のボールバルブでは、ボールシートのボール面と当接するエッジ状のシール部が、ボールシートとバックアップリングとが当接している環状の当接面の範囲内に位置しているので、ボールシートは内側に倒れて変形することがなく、流路の軸方向にバックアップリングを圧縮する。このため、ボールとボールシートとのシール位置は常に一定となり、安定したシール性能が得られ、かつ、ボールシートは本来のシール寿命を発揮できる。
【0035】請求項2記載の本発明のボールバルブでは、ボールシートのバックアップリング側の端面に環状の窪みが設けられているので、この環状の窪みにてバックアップリングの一部を収容することができ、環状の係止溝の内壁の破損が生じない。このため、ボールシートは長期にわたって本来のシール寿命を発揮できる。また、同じ磨耗量を確保するための、ボールシートを形成しているポリテトラフルオロエチレン樹脂量が少なくて済み、ボールシートが安価となる。
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【出願日】 平成11年10月8日(1999.10.8)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−108118(P2001−108118A)
【公開日】 平成13年4月20日(2001.4.20)
【出願番号】 特願平11−288381