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【発明の名称】 電磁式流体制御弁及びその製造方法
【発明者】 【氏名】武田 英人

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内部に流体の通路を形成するハウジングと、前記流体の通路内に設けられ、前記流体の通路を断続する弁と、前記ハウジングの一端に接続されるパイプと、該パイプに連結されるステータと、前記流体の通路内に設けられ、前記弁に当接して前記弁を閉じる方向へ付勢するスプリングと、前記スプリングによる前記弁への付勢力を調整するアジャスタと、前記弁を開く方向へ駆動させるとともにスプール、電磁コイル、ケース、コネクタを有するソレノイドとを備えたことを特徴とする電磁式流体制御弁において、前記ステータと前記パイプ、前記ハウジングで形成される燃料通路部を組み立てる工程と、前記ソレノイドを組み立てる工程と、前記燃料通路部に前記ソレノイドを組付ける工程とを有する電磁式流体制御弁の製造方法。
【請求項2】 上記製造方法により製造されたことを特徴とする電磁式流体制御弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電磁式流体制御弁に関し、その組付け方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特公昭58─54263号公報に開示される電磁式燃料噴射弁は、燃料のシールを確実にするためにバルブボディとハウジングとのかしめ部において、バルブボディに段部が形成されている。また、非磁性部材のパイプの一方がステータに、他方がハウジングに、溶接またはろう付され、燃料はシールされている。
【0003】このパイプでステータとハウジングとが連結された後、ステータの外周には、電磁コイルと電磁コイルを巻装したスプール、弁ケーシング、プラスチックリング、電磁コイルに接続された差込み接続部とで形成されるソレノイドが設けられる。
【0004】組付け方法としては、ステータ外周にスプールを設け、それに電磁コイルを巻き、電磁コイルに接続した差込み接続部をスプールから突出させた状態で、弁ケーシングを、ステータ軸方向の周りに挿入し、ハウジングにその先端をかしめて固定し、さらに差込み接続部を埋設するようにプラスチックリングを形成している。すなわち、ステータとパイプ、ハウジングで形成される燃料通路部に、スプール、電磁コイル、差込み接続部、プラスチックリングからなるソレノイドの各部品を順次組付ける方法としている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特公昭58─54263号公報の組み立て方法では、ステータとパイプ、ハウジングで形成される燃料通路部にソレノイドの部品を順次組付ける方式であり、燃料噴射弁全体を組付けた後で性能チェックせざるを得ないもので、異常が見つかった場合にはせっかく組付けたもの全体を処分せざるを得ないという問題がある。
【0006】本発明は、上記問題に鑑み、ソレノイド自体の性能をチェックしつつ燃料噴射弁を組み立てることができる電磁式流体制御弁を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために、内部に流体の通路を形成するハウジングと、前記流体の通路内に設けられ、前記流体の通路を断続する弁と、前記ハウジングの一端に接続されるパイプと、該パイプに連結されるステータと、前記流体の通路内に設けられ、前記弁に当接して前記弁を閉じる方向へ付勢するスプリングと、前記スプリングによる前記弁への付勢力を調整するアジャスタと、前記弁を開く方向へ駆動させるとともにスプール、電磁コイル、ケース、コネクタを有するソレノイドとを備えたことを特徴とする電磁式流体制御弁において、前記ステータと前記パイプ、前記ハウジングで形成される燃料通路部を組み立てる工程と、前記ソレノイドを組み立てる工程と、前記燃料通路部に前記ソレノイドを組付ける工程とを有する電磁式流体制御弁の製造方法という技術的手段を採用する。
【0008】
【作用】本発明の構成による作用を説明する。ステータとパイプ、ハウジングで形成される燃料通路部を組み立て、その一方で、スプール、電磁コイル、ケース、コネクタからなるソレノイドを組み立てるので両方の性能をそれぞれチェックしつつ、燃料通路部とソレノイドを組付けることができる。
【0009】
【実施例】本発明を電磁式燃料噴射弁に適用した実施例の構成を説明する。図1は第1実施例の電磁式燃料噴射弁の縦断面図である。また、図5は第1実施例の電磁式燃料噴射弁の先端部の断面図である。
【0010】この電磁式燃料噴射弁には、有底筒状で底部に孔12が形成されたハウジング1が設けられている。図5に示す如く、燃料通路として作用するハウジング1内部には、その底部に、中央にオリフィス21aが形成された円板部材のオリフィスプレート21が設けられている。さらに、ハウジング1内部には、燃料をシールするOリング16が設けられ、このOリング16を介して、バルブボディ3が設けられている。
【0011】バルブボディ3の底部中央には、孔13が形成されている。そして、ハウジング1の孔12と、オリフィスプレート21のオリフィス21aとで燃料の噴射孔を形成する。さらに、バルブボディ3の内周底部を円錐面状に形成した弁座14が設けられている。
【0012】バルブボディ3の内部には、ニードル弁4が移動可能に設けられている。このニードル弁4には、案内部4aおよび4bが形成されている。この案内部4aおよび4bによって、ニードル弁4は、バルブボディ3に支持されている。また、案内部4aおよび4bには、切り欠きが形成されていて、燃料は、この切り欠きとバルブボディ3との間を通過できるようになっている。また、ニードル弁4の底部は円錐状に形成されている。ニードル弁4は、この底部とバルブボディ3の弁座14と当接したり、離間することによって、ハウジング1内の燃料通路を断続する。
【0013】ハウジング1内には、磁性材料でできた筒状の可動コア5が移動可能に設けれている。この可動コア5はニードル弁4の上部と一体に連結され、ともにハウジング1内を移動する。また、可動コア5には、切り欠き部5aが形成されていて、燃料はこの切り欠き部5aとニードル弁4との間を通過する。
【0014】ハウジング1の上端は、非磁性部材で形成されたパイプ8と、シール部15aでろう付され、一体に接続される。さらに、パイプ8の上部には、磁性材料によって形成された筒状のステータ2が設けられている。
【0015】このステータ2とパイプ8とは、ステータ2の一部をパイプ8内部に挿入した状態で、シール部15bでろう付することにより一体に接続される。そして、パイプ8内部へ挿入されたステータ2の下端面は、上記の可動コア5の上端面と対向する。このステータ2の下端面と、これに対向する可動コア5の上端面とには、非磁性の硬質クロムメッキ等が施されることによりソリッドギャップが設けられている。このソリッドギャップを介して、ステータ2と可動コア5とは接触する。したがって、ステータ2と可動コア5との磁性材料部分が電磁力により直接接触することによって、これらを引き離すのに多大な力を要し、噴射弁の応答時間を悪化させるということを抑止できる。また、ニードル弁4が弁座14と当接しているとき、このソリッドギャップ間の対向距離は所定距離に保たれる。
【0016】また、可動コア5内のニードル弁4上端には、ニードル弁4をバルブボディ3の弁座14に当接させるように付勢するスプリング6が設けられている。このスプリング6は可動コア5内から突出し、ステータ2まで及ぶ全長を有している。そして、スプリング6の上方には、筒状のアジャスタ7がかしめ固定部27でかしめ固定されている。このアジャスタ7のかしめ固定部27で、スプリング6によるニードル弁4への付勢力を調整する。さらに、アジャスタ7の上方には、燃料に含まれる異物を取り除くフィルタ11が設けられている。
【0017】上記の構成により燃料は、燃料通路として作用するステータ2内のフィルタ11、アジャスタ7、可動コア5の切り欠き部5a、ニードル弁4とバルブボディ3との間を通る。
【0018】ハウジング1の外周底部には筒状で合成樹脂製のスリーブ17がはめ込まれている。このスリーブ17の中央には孔が形成されていて、ニードル弁4と弁座14との間から噴射される燃料がこの孔を通過する。そして、スリーブ17の上方にはOリング22が設けられ、図示しない吸気マニホールドに噴射弁が取り付けられたとき、吸気マニホールドと噴射弁との間をシールする。さらに、合成樹脂製のリング24がOリング22の上方に設けられている。このリング24は、噴射弁が吸気マニホールドに取り付けられるとき、上記Oリング22がずれ、シールを損なうことを防止する。
【0019】ここで、ステータ2、パイプ8、ハウジング1の外周には、ソレノイド28が設けられている。以下に、このソレノイド28を構成する電磁コイル部29、ケース18、コネクタ20を説明する。
【0020】ステータ2、パイプ8、ハウジング1の外周には、合成樹脂によって形成されるスプール10が設けられている。このスプール10には、電磁コイル9が巻装される。このスプール10と電磁コイル9とにより電磁コイル部29が設けられる。
【0021】この電磁コイル部29の外周には、筒状のケース18が設けられている。このケース18は、磁性材料よりなる板材をプレス加工によって形成したものである。そして、ケース18の下端部18aとハウジング1のつば部1aとの間をスポット溶接することによって、ケース18はハウジング1に固定される。
【0022】ケース18の上部には切り欠き部が設けられていて、この切り欠き部から電磁コイル9に接続されたターミナル19が取り出されている。このターミナル19へは、図示しない電子制御装置からワイヤーハーネスを介して噴射制御用の信号が供給される。この信号が電磁コイル9へ送られることによって、電磁コイル9は電磁力を発生する。また、ターミナル19は、ハウジング1の上部に形成される合成樹脂製のコネクタ20に埋設されている。
【0023】さらに、ケース18の上部には、Oリング23が設けられている。このOリング23は、噴射弁の上部が図示しないパイプに連結されるとき、噴射弁とパイプとの間をシールする。また、Oリング23の上方には、合成樹脂製のリング25が設けられている。このリング25は、噴射弁が図示しないパイプに連結されるときに、Oリング23がずれて、シール性を損なうことを防止する。
【0024】上記の構成を有する電磁式燃料噴射弁の作動を説明する。図示しない燃料ポンプと圧力調節レギュレータとにより一定圧力に加圧された燃料は、ステータ2上部からステータ2内のフィルタ11、アジャスタ7、可動コア5の切り欠き部5aを通り、ニードル弁4とバルブボディ3との間へ導入されている。このとき、図示しない電子制御装置から噴射制御用の信号が、コネクタ20のターミナル19へ供給される。この信号が電磁コイル9へ送られることによって、電磁コイル9は電磁力を発生する。この電磁力によって、可動コア5と可動コア5に連結されたニードル弁4とは、スプリング6の付勢力に抗して上昇し、可動コア5とステータ2とは衝突する。ニードル弁4と可動コア5とはこの衝突位置で、電磁コイル9の電磁力により停滞する。そして、電磁コイル9への噴射制御信号の供給が停止して電磁力が作用しなくなると、スプリング6の付勢力により、ニードル弁4は下降し、弁座14と当接する。
【0025】燃料は、ニードル弁4が上昇してから下降するまで、ニードル弁4と弁座14との隙間から孔13、オリフィスプレート21、孔12等を通過し、図示しない吸気マニホールドへ噴射される。
【0026】次に、本実施例の電磁式燃料噴射弁の、組付け手順および燃料噴射量調整手順を図2、図3、図4によって説明する。図2において、まずバルブボディ3の外周部の底部にオリフィスプレート21をレーザ溶接で固定する。そして、ハウジング1の上端とパイプ8とをろう付によって、シール部15aで固定する。その後、ハウジング1内へOリング16を挿入してから、バルブボディ3を挿入し、バルブボディ3を溶接部26でスポット溶接によって固定する。このバルブボディ3内へ、可動コア5を連結したニードル弁4を挿入する。次に、ステータ2をパイプ8内へ挿入し、可動コア5へいったん当接させた後、所定距離上方へ引き上げる。そして、図示しない調整用装置の電磁コイルにより、ニードル弁4を上方へ引き上げる。この状態で、ステータ2から調整油を流入させ、ニードル弁4と弁座14との隙間からオリフィスプレート21のオリフィス21aを通過する流量、すなわち静的噴射量を測定する。静的噴射量が目標値からずれていればステータ2の位置を変化させることにより、ステータ2のソリッドギャップと、可動コア5のソリッドギャップとの対向距離、すなわちニードル弁4のリフト量を調整する。そして、目標噴射量が得られるステータ2の位置が決定すれば、シール部15bで、ステータ2の下端とパイプ8とをろう付する。
【0027】またステータ2、可動コア5といった磁性部材間の距離であるエアギャップは本実施例では、リフト量と、ステータ2と可動コア5とのソリッドギャップとを加えたものである。したがってリフト量、ソリッドギャップが決定されることにより、エアギャップも同時に決定される。
【0028】以上の手順によりエアギャップ量、リフト量、静的噴射量の調整が完了する。次に、図3において、スプリング6をステータ2内へ挿入し、ニードル弁4の上方と当接した後、アジャスタ7をステータ2内に所定位置に取り付ける。そして、ステータ2の上方から調整油を流入させるとともに、図示しない調整用装置の電磁コイルにより、ニードル弁4を往復動させる。このニードル弁4の往復動によって噴射される噴射量、すなわち動的噴射量を測定する。そして、噴射量が目標値からずれていればアジャスタ7の位置を変化させることにより、スプリング6によるニードル弁4への付勢力を調整する。そして、目標噴射量が得られるアジャスタ7の位置が決定すれば、かしめ固定部27でステータ2を外周からかしめ、アジャスタ7を固定する。
【0029】以上の手順により、動的噴射量の調整が完了する。図4に示すように、フィルタ11をステータ2に取り付けた後、電磁コイル部29、ケース18、コネクタ20等よりなるソレノイド28をステータ2の上方より挿入する。そして、ケース18の下端部18aとハウジング1のつば部1aとをスポット溶接することで、ソレノイド28を固定する。さらに、Oリング23を取り付け、リング25をステータ2の上端部にはめ込む。また、ハウジング1の下端外周に、リング24、Oリング22を取り付け、スリーブ17を固定する。
【0030】以上の手順により、本実施例の電磁式燃料噴射弁の組付けが完了する。上記の手順に示したように、ステータ2とハウジング1とをパイプ8によって連結した後にソレノイド28を取り付けることによって、アジャスタ7の位置決めを、ソレノイド28の取り付け前にすることができる。このため、電磁コイル部29はステータ2の外周にかしめ固定部27を覆って設けられるようになり、アジャスタ7のかしめ固定位置を、電磁コイル部29が位置するステータ2の内部とすることができる。したがって、噴射弁の全長を短縮させることができ、噴射弁の搭載スペースの小型化が可能となる。
【0031】また、アジャスタ7をステータ2の外周からかしめ固定するため、簡単で確実にアジャスタを固定することができ、低コストの噴射弁を提供するこができる。さらに、従来の電磁式燃料噴射弁には、ニードル弁にフランジを設け、ニードル弁が開くときこのフランジと当接するストッパーをハウジング内に設けているものもある。そして、このニードル弁のフランジがストッパーと当接するまでの距離によってリフト量が決定されている。しかしながら、上記実施例の電磁式燃料噴射弁のニードル弁のリフト量は、ニードル弁と可動コアとの距離によって決定されるので、上記ストッパーやフランジを廃止することができ、ニードル弁等を短縮することができる。これによって、噴射弁の全長を短縮するという効果を得ることができる。
【0032】なお、ニードル弁にフランジが形成され、ストッパーがハウジング内に設けられる従来の電磁式燃料噴射弁においても、アジャスタのかしめ固定部を覆うように、ステータの外周に電磁コイル部を設ける構成を適用することにより、噴射弁の全長を短縮することができる。
【0033】また、電磁コイル部等が組付けられた後、アジャスタがかしめられる従来の電磁式燃料噴射弁では、アジャスタのかしめが万一失敗したとき、噴射弁を廃棄しなければならない場合があった。しかしながら上記実施例の場合、ソレノイド28を組付ける前にアジャスタはかしめられるため、かしめが失敗しても、ソレノイド28組付け前の噴射弁を交換すればよい。したがって、コストの低減を図ることができる。
【0034】また、上記実施例の組付け手順により、ソレノイド28を組付ける前に、静的噴射量、動的噴射量を決定できる。そこで、ソレノイド28を組付ける前の噴射弁をそのままとし、ソレノイド28の性能、体格等をすることで、種々の要求に見合った噴射弁を提供することができる。
【0035】また上記実施例ではシール部15a、15bでろう付することによって、燃料はシールされ、部材間は連結されている。しかし、ろう付に限らずレーザ溶接や電気溶接等で行ってもよい。
【0036】さらに、上記実施例におけるハウジング1とバルブボディ3とは一体に形成してもよい。あるいはバルブボディ3を直接パイプ8に接続できる構成としてもよい。
【0037】なお上記実施例では、トップフィード形式の電磁式燃料噴射弁に本発明を適用しているが、ボトムフィード形式の電磁式燃料噴射弁に本発明を適用してもよい。この場合、アジャスタ7はパイプ形状でなく棒状部材としてもよい。
【0038】また、上記実施例では電磁式燃料噴射弁に本発明を適用しているが、これに限るものではない。例えば、燃料噴射弁から噴射された燃料に空気を混合させてから吸気マニホールド内に噴射させる装置において、燃料に混合させる空気量を制御する空気制御弁に本発明を適用してもよい。
【0039】
【発明の効果】以上述べたように本発明によると、燃料通路部を組み立て、その一方で、スプール、電磁コイル、ケース、コネクタからなるソレノイドを組み立てるので両方の性能をそれぞれチェックしつつ、燃料通路部とソレノイドを組付けることができる。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成4年4月8日(1992.4.8)
【代理人】 【識別番号】100096998
【弁理士】
【氏名又は名称】碓氷 裕彦 (外1名)
【公開番号】 特開2001−82627(P2001−82627A)
【公開日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【出願番号】 特願2000−235817(P2000−235817)