| 【発明の名称】 |
ボールバルブのセラミックス製弁体 |
| 【発明者】 |
【氏名】水野 元重
【氏名】竹本 栄次
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| 【要約】 |
【課題】安価な磁器材料を選択でき、また弁本体の直径を大きくすることなくステムとの駆動力接触面積を確保でき、安定したフローティングボ−ル機能が確保できるボールバルブのセラミックス製弁体を提供する。
【解決手段】セラミックス製の弁本体1のステムに接続するための溝4の一部に、流路5の直径の5〜30%の寸法で流路側に突出させた突出部2を設けた。この溝4は弁本体1の流路側まで貫通したカプセル形状断面であることが好ましく、弁本体の流路が、弁本体の入口部から弁本体の流路方向の突出部に向かってなだらかに縮小する形状を有することが好ましい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 貫通する流路を持つセラミックス製の弁本体に、この弁本体を駆動するステムを接続する溝を設け、このステムの回転により前記弁本体を回転させて流体を制御するボールバルブのセラミックス製弁体において、前記弁本体の前記ステムに接続する部分を、前記流路の直径の5〜30%の寸法で流路側に突出させた構造としたことを特徴とするボ−ルバルブのセラミックス製弁体。 【請求項2】 弁本体のステムを接続する溝が、弁本体の流路側まで貫通したカプセル形状断面を有する溝である請求項1に記載のボ−ルバルブのセラミックス製弁体。 【請求項3】弁本体の流路が、弁本体の入口部から弁本体の流路方向の突出部に向かってなだらかに縮小する形状を有する請求項1〜2のいずれかに記載のボ−ルバルブのセラミックス製弁体。 【請求項4】弁本体が、アルミナ成分が70%以下の磁器材料からなる請求項1〜3のいずれかに記載のボ−ルバルブのセラミックス製弁体。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、各種化学プラント、鉄鋼プラント等で腐食ガス、固形分を含む液、腐食液、粉体などの流体を閉止、制御するボールバルブに使用されるセラミックス製の弁体に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、球状の弁本体と該弁本体を駆動するステムが分割され、弁本体側に溝を形成し、該ステムに前記弁本体の溝に勘合する端部形状を設け、前記弁本体と前記ステムを機械的に接続し、弁本体が回転できるフロ−ティングボ−ル構造を有するボ−ルバルブのセラミック製の弁体に関するものである。 【0002】 【従来の技術】上記のフロ−ティングボ−ル構造は、例えばコーナーに丸み(アール)がついた長方形の溝を、前記長方形の溝の長幅側方向が弁本体流路と直角方向になる様に弁本体外部に設置し、前記溝形状の短幅側に勘合する様にステム端部を形成し、かつステム端部の前記弁本体の溝の長幅側寸法に対応する部分は、弁本体の溝の長幅側寸法より短くした構造としたものであり、ステムの駆動力は前記溝形状の短幅側で伝達されるに対し、弁本体が閉止した場合には弁本体とステムの軸芯は自動的にずれることができ、弁本体に作用する上流側の流体圧力によりさらに弁本体を弁座に押圧しシ−ル性を向上させることができる特徴がある。 【0003】かかるフロ−ティングボ−ル構造でセラミックス製弁本体を有するボ−ルバルブの一形式としては、実公昭39−25538号公報に、一般的にはアルミナ成分が70%以下である磁器製の弁本体を有する構造が示されている。図5はこの様な従来の構造のセラミックス製弁本体を有するボ−ルバルブを示したものであって、弁本体101を開閉する駆動力はステム102の端部103より弁本体101のコ−ナ−に丸みがついた長方形の溝104に伝達されるため、弁本体101の溝形状の部分にはステム102の駆動力を受け、該溝104の近傍のセラミックス内部に複雑な引張応力が発生する。弁本体101を保持しボ−ルバルブ本体106の間をシ−ルするバルブシ−ト105の部分に例えばスラリ−などが固着すると、弁本体101を駆動する開閉力が大となりセラミックス部分に発生する応力が材料強度を越え、破損することが有る。このため材料強度を向上させるべく例えばアルミナ成分を90%以上保有するアルミナ、部分安定化ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素などの所謂ファインセラミックス材料が使用されているが、かかる材料は前記実施例に示される磁器材料より原料が高価でありかつ硬度が高いので研削にも時間がかかり、バルブのコストが上昇する。 【0004】弁本体101の必要な最少直径は、流路の直径と弁座シートのラップ部分の寸法で決定され、通常、流路直径Dの160〜190%の値が採用されるが、弁本体101の溝104近傍に発生する応力を低減すべく前記最少直径の範囲より大きな球の弁本体101とすることは、弁本体101を内蔵するボールバルブ本体106も対応して大型となり、耐圧力の低下およびバルブの大型化に伴うコストの上昇、重量の増加の問題が発生する。 【0005】また溝の長幅部の寸法は前記弁本体101の流路の直径Dより小とすることが必要であり、その拡大は限界がある。この時、溝104近傍に発生する駆動力による応力を低下すべく溝104の長幅部の丸みの半径を大きくし、長幅部の端部に発生する応力集中を低下させると、駆動力を伝達する短幅部の平行部分の長さが短くなりステム102と弁本体101との接触面積が小さくなって、弁本体101の開閉を連続するとステム端部103の損耗が発生する問題がある。 【0006】さらにステム102と弁本体101の接触面積を大きくすべく弁本体101に設置した溝104を弁本体101の流路まで貫通させると、流路内の流体の流れによりステム端部103と弁本体101の接触部に流体中の固形物が滞留し、前記フロ−ティングボ−ル構造が機能しない問題が発生する。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上記したフローティングボール構造を有する従来のセラミック製弁本体の問題点を解決し、材料コストも研削コストも高いファインセラミックスの代わりに、強度は低いが安価であるアルミナ成分が70%以下の磁器材料を選択でき、また弁本体の直径を大きくすることなくステムとの駆動力接触面積を確保でき、さらに弁本体の駆動力伝達溝を流路まで貫通させても、流体中の固形分などが弁本体とステムの接続部近傍に滞留することがなく安定したフローティングボ−ル機能が確保できるボールバルブのセラミックス製弁体を提供することを目的としたものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するためになされた本発明は、貫通する流路を持つセラミックス製の弁本体に、この弁本体を駆動するステムを接続する溝を設け、このステムの回転により前記弁本体を回転させて流体を制御するボールバルブのセラミックス製弁体において、前記弁本体の前記ステムに接続する部分を、前記流路の直径の5〜30%の寸法で流路側に突出させた構造としたことを特徴とするものである。なお、弁本体のステムを接続する溝が、弁本体の流路側まで貫通したカプセル形状断面を有する溝であることが好ましく、弁本体の流路が、弁本体の入口部から弁本体の流路方向の突出部に向かってなだらかに縮小する形状を有することが好ましい。また弁本体が、アルミナ成分が70%以下の磁器材料からなることが好ましい。 【0009】本発明においては、セラミックス製の弁本体のステムに接続する部分を流路の直径の5〜30%の寸法に突出させたので、ステムの駆動力が弁本体に伝達された時の弁本体に発生する応力を低減でき、高強度であるが高価なファインセラミックスの代わりに低強度であるが安価なアルミナ成分70%以下の磁器材料を使用できるのでバルブ自体の価格も対応して安価にできる。また請求項2の発明では、ステムに接続する部分を流路側に開孔したカプセル形状としたためステムと弁本体の接触面積を確保し、ステムの端部の開閉による損耗を防止でき、さらに請求項3の発明では、流路を弁本体の入口部から前記弁本体の流路方向の突出部に向かってなだらかに縮小する形状としたため、流体の縮流による渦により常に接続部近傍が洗浄され、たとえ固形物、結晶物を含む流体であってもステムと弁本体の溝との間が固着することなくフローティングボール機能を確保することができる。なお、本発明の作用効果については、以下の実施例をともに更に詳細に説明する。 【0010】 【発明の実施の形態】図1から図3は本発明の実施形態を示すもので、1はセラミックス製の弁本体であり、弁本体1にはステムを接続するための溝4が形成されている。図3に示すように、本発明では溝4をカプセル形状とし、溝部分における弁本体1の流路35に直角方向の厚みを図2に示すA寸法まで流路方向に突出させて突出部2を形成してある。カプセル型形状は加工が容易であり、かつ一般には溝部の長幅部端部5に発生する最大応力に対し、端部の丸みの曲率を大きくできるので前記最大応力による応力集中を低減することが可能であるので最も好ましい。 【0011】A寸法は弁本体1の流路35の直径Dの5〜30%が好ましい。この理由は、A寸法が直径Dの5%以下では駆動力に対する弁本体1内に発生する応力を大幅に低減することができず、またA寸法が直径Dの30%以上では弁本体1の溝4付近の発生応力を低減できるが流路の縮小が大きく、バルブ弁座部での圧力損失も大となって、実用上はバルブを1口径上のものとする必要が発生するなど不経済なものとなるためである。 【0012】流路直径が50mmのボ−ルバルブについて、引張強度が70MPaの磁器材料とアルミナを90%含み引張強度が180MPaのアルミナ材料を使用した実体品により、本発明の効果を試験した結果を表1に示す。これらの結果より、強度が40%の材料を使用しても、弁本体の溝部分を流路方向に突出させることで、アルミナと同等の駆動トルクに対する強度を確保することができることが確認された。 【0013】 【表1】
【0014】図4は本発明に係わるセラミックス製の弁本体1を組み込み、さらに接液部もセラミック製としたボールバルブの例を示すものである。セラミックス製の弁本体1はバルブ本体13とサイドピース14の間に構成させる空間に、2個の例えば弗素樹脂からなるバルブシート11により挟持され、セラミックス製のステム7の端部10より駆動力を伝達され、弁本体1が2個のバルブシート11の間で摺動し、弁座を開閉する。弁本体1を挟持するバルブシート11はボール型の弁本体1を流路35の方向に弾性支持し、弁閉止時のフローティングボール構造を確実化するとともに、開閉時の駆動力を低減するためにその弁座背面12を弁本体1のバルブシート11との当接部外径にほぼ対応する直径より内部に向かったテーパー状にしてセラミックス製の弁本体13およびセラミックス製のサイドピ−ス14との接触を無くしてある。 【0015】バルブ本体13と金属製の弁本体ア−マ17は、エポキシ樹脂などからなる接着層33により結合され、外部からの衝撃に対し保護されている。またサイドピ−ス14は同様にサイドピ−スア−マ18と接着層34により結合されている。バルブ本体13とサイドピ−ス14は弾性体からなるガスケット16を介して、バルブ本体ア−マ17とサイドピ−スア−マ18を結合する締結ボルト19により流路方向に押圧され密閉構造となる。ガスケット16は弾性体であり前記流路方向の圧縮力により径方向にクリ−プしやすいので、内径側をサイドピ−ス14に設置した段付き部15により、また外径側はバルブ本体ア−マ17の内径20により拘束されている。バルブ本体13とサイドピ−ス14はバルブ本体ア−マ17とサイドピ−スア−マ18の間のアーマ嵌合部32により流路方向に同芯に接続される。 【0016】弁本体1を駆動するセラミックス製のステム7は金属製のステム軸8と接着部9においてエポキシ樹脂で接合し、前記ステム軸8に接続した図示しないレバ−ハンドル等により回転され、その駆動力はステム7の端部10により弁本体1に伝達される。低強度の磁器材料を弁本体1に適用する場合は、弁本体の溝4のエッジ部分37部の応力集中を回避するため、図4の”C”に示す様に弁本体1にボ−ル直径の4〜10%の面取りをしてステム7の端部10と弁本体の溝部との接触がボ−ル外径より内部方向で開始する様にすることが駆動力による発生応力を更に低減でき好ましい。また同様理由でステム端部10を図4に示す様にアンダ−カット36を設けても良い。またステム端部10の弁本体1の溝4の流路側開孔端に対する位置は、前記と同様理由で図4の”B”に示す様に弁本体1の溝4の流路側開孔端よりボ−ル側弁本体1の外径方向に設置することが好ましい。 【0017】弁本体1の溝4を有底状にすると、流路を流れる流体中の固形物、結晶に対しステムの端部10を保護できるが、弁本体1を回転する駆動力により発生する応力が特に溝底部の角において高くなり、またバルブの使用中に前記流路35を流れる流体中の固形物、結晶物が堆積し、フローティングボール機能が確保できなくなる。本発明では弁本体1を開閉する駆動力を受ける溝4を弁本体1の流路35まで開設してあるので、溝の加工も極めて容易となると共に、弁本体1の流路側開孔端部に前記固形物、結晶物が一時は滞留するが、弁本体1の流路方向の突出部2により流路35を流れる流体が突出部2にて乱流となり、前記固形物、結晶物を積極的に排除しフロ−ティングボール構造は維持される。また発明者は弁本体1の流路入口と突出部2との間の流路が徐々に縮小される様にテ−パ−を付けることで更に前記固形物、結晶物の排除が効果的であることを見いだした。図1の”E”に示すこのテ−パ−角度は10〜50度が好ましいが、最少角度は突出部2と弁本体1の流路入口の径を結ぶ角度で決定される。 【0018】バルブ本体13のステム7の貫通部は、セラミックス製キャップ21とキャップア−マ22を接着層23により結合した後、さらにガスケット24を介してボルト28によりバルブ本体13に圧着される。セラミックス製のステム7の肩部25は前記ガスケット24を介してセラミックス製キャップ21によりステム7の軸方向での位置を拘束され、バルブ内部の圧力が高い場合はステム7に作用する圧力差によりステム7の肩部25がガスケット24を介してキャップ21に押圧されシ−ル性が確保される。ステム7とキャップ21の間には弗素樹脂等の弾性材料からなるグランドパッキン26が挿入され、ボルト29によりグランド押さえ27を介してグランドパッキンを圧縮し、ステム7とキャップ21の間が密閉される。グランド押さえ27には複数のストッパピン30が配設され、図示されないレバ−ハンドルの開閉位置を設定できる。またステム軸8とグランド押さえ27との間にはバルブの使用雰囲気によるグランド押さえ内部の腐食防止あるいはグランドパッキンを透過した流体が外部へ漏洩することを防止するためOリング31が配置されている。ステム7は前記グランドパッキン26およびOリング31により常に一定の軸芯に保持され、一方弁本体1の溝部4とステム7が機械的に接続し、弁閉止時には弁本体の軸芯とステム7の芯のずれが許容できるため、本考案が対象とするフロ−ティングボ−ル機能は確保できる。 【0019】 【発明の効果】以上に説明したように、本発明によるセラミックス製の弁本体は材料コストも研削コストも高いファインセラミックスの代わりに安価なアルミナ成分が70%以下の磁器材料を使用でき、また弁本体の直径を大きくしないでかつステムとの駆動力接触面積を確保でき、さらに弁本体の駆動力伝達溝を流路まで貫通させても、流体中のスラリ−などが弁本体をステムの接続部近傍に滞留することがなく安定したフローティングボ−ル機能が確保できる。以上の説明は流路が直線方向の弁本体を有するボ−ルバルブを中心としてなされたが、本発明は弁本体内にさらに別の流路がある所謂3方弁、4方弁などの複数ポ−ト型ボ−ルバルブにも広く適用することができる。またステムと弁本体を接続し駆動力を伝達する溝はカプセル状形態について説明したが、溝形状は楕円型、長円型、十字型、星型、ギャ−型などでステムの駆動力を弁本体に伝達でき、かつ弁本体閉止時に弁本体の回転軸とステムの回転軸との偏芯を許容できる様な、前記フローティングボール機構となっておれば本発明は適用できるものである。 【0020】上記の実施例では、流体に接触する部分がセラミックス製であり、特にスリップキャスト成形あるいは押し出し成形により容易に製造でき、またファインセラミックス材料に対し安価である磁器材料を使用したボ−ルバルブにより説明されているが、流体に接触する部分を弗素樹脂などでライニングしたボ−ルバルブにおいて、高温液、浸透性の流体あるいは固形物、結晶物を含む流体を制御する場合、熱による変形、浸透による膨潤変形、固形物による磨耗を防止するためにボ−ル部分のみをセラミックス製とした場合にも広く適用できるものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004064 【氏名又は名称】日本碍子株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年9月3日(1999.9.3) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100059096 【弁理士】 【氏名又は名称】名嶋 明郎 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−74149(P2001−74149A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月23日(2001.3.23) |
| 【出願番号】 |
特願平11−249469 |
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