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【発明の名称】 電磁弁
【発明者】 【氏名】大工 武彦

【氏名】阿保 眞治

【要約】 【課題】開弁性能の変化を防止した電磁弁を得る。

【解決手段】燃料噴射ポンプの高圧側と低圧側とを連通するスピル通路24a,24bに弁体27と弁座28aとが接触するシート部Sを設け、シート部Sは弁体27の内周と弁座28aの外周との間の重なり部に設ける。電磁石31により弁体27を移動して弁体27の弁座28aへの着座・離間によりスピル通路24a,24bを連通・遮断する。弁体27と弁座28aとの面接触によりシート部Sを形成し、電磁石31の弁体27の駆動によるシート部Sの面圧が高圧側の流体圧力以上となるように構成した。面接触は、弁体27と弁座28aとを摺り合わせにより形成するとよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 高圧側と低圧側とを連通する通路に弁体と弁座とが接触するシート部を設け、駆動機構により前記弁体を移動して前記弁体の前記弁座への着座・離間により前記通路を連通・遮断する電磁弁において、前記弁体と前記弁座との重なり部に前記シート部を設けると共に、前記重なり部の幅を開弁性能に応じて形成したことを特徴とする電磁弁。
【請求項2】 前記シート部を前記弁体と前記弁座との面接触により形成し、前記駆動機構の前記弁体の駆動による前記シート部の面圧が前記高圧側の流体圧力以上であることを特徴とする請求項1記載の電磁弁。
【請求項3】 前記重なり部の幅を前記シート部の摩耗による接触面積の増加に応じた開弁時間の短縮を規制する形状に形成したことを特徴とする請求項1記載の電磁弁。
【請求項4】 前記面接触は、前記弁体と前記弁座とを摺り合わせて形成したことを特徴とする請求項2記載の電磁弁。
【請求項5】 前記弁体は筒状で、前記弁座の外周と前記弁体の内周との間に前記重なり部が形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項4記載の電磁弁。
【請求項6】 前記弁座の内周と前記弁体の外周との間に前記重なり部が形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項4記載の電磁弁。
【請求項7】 前記通路は、燃料噴射ポンプのスピル通路であることを特徴とする請求項1ないし請求項6記載の電磁弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通路に介装される電磁弁に関し、特にディーゼルエンジンの燃料噴射ポンプにおけるスピル通路に介装される電磁弁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、特開平8−177676号公報にあるように、燃料噴射ポンプのスピル通路を連通・遮断する電磁弁が知られている。この電磁弁は、高圧側としての燃料噴射ポンプの作用室と低圧側としての燃料室とを連通するスピル通路に介装されており、図10(イ)に示すように、摺動可能に支持された弁体100と、バルブガイド102に形成された弁座104とを備えている。
【0003】弁体100が摺動して弁座104に着座した状態では、弁体100の角部106が弁座104に接触して、スピル通路を遮断するように構成されている。角部106を弁座104に接触させることにより、高い面圧を容易に得ることができ、高圧の燃料が流通するスピル通路の遮断を確実に行うことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、こうした従来のものでは、弁体100の角部106が弁座104に接触しているので接触面積が小さく、摩耗が進行しやすい。特に、燃料内に砂等の硬度の高い異物が混入した場合などには摩耗の進行が早く、弁体100と弁座104との接触面積が大きくなり、図10(ロ)に示すように、弁体100と弁座104とが接触するシート幅が増加する。
【0005】図11に示すように、砂等の異物が混入した燃料を使用した燃料噴射ポンプの運転時間が長くなるほど、シート幅が増加する。シート幅が増加すると、面圧が低下し、面圧が低下すると、弁体100と弁座104との間に高圧側の燃料が入り込み、この燃料圧により開弁方向の作用力が弁体100に作用する。
【0006】よって、図12に示すように、シート幅が大きくなると励磁電流が通電されてから弁体100が摺動して開弁状態となるまでの電磁弁の開弁に要する時間が短くなる。従って、電磁弁の開弁性能が変化し、燃料噴射ポンプにおいてスピル通路が連通されるタイミングが早くなって、燃料噴射量が減少してしまい、燃料噴射ポンプの性能が変化するという問題があった。
【0007】本発明の課題は、開弁性能の変化を防止した電磁弁を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる課題を達成すべく、本発明は課題を解決するため次の手段を取った。即ち、高圧側と低圧側とを連通する通路に弁体と弁座とが接触するシート部を設け、駆動機構により前記弁体を移動して前記弁体の前記弁座への着座・離間により前記通路を連通・遮断する電磁弁において、前記弁体と前記弁座との重なり部に前記シート部を設けると共に、前記重なり部の幅を開弁性能に応じて形成したことを特徴とする電磁弁がそれである。
【0009】また、前記シート部を前記弁体と前記弁座との面接触により形成し、前記駆動機構の前記弁体の駆動による前記シート部の面圧が前記高圧側の流体圧力以上である構成としてもよい。あるいは、前記重なり部の幅を前記シート部の摩耗による接触面積の増加に応じた開弁時間の短縮を規制する形状に形成した構成としてもよい。更に、前記面接触は、前記弁体と前記弁座とを摺り合わせて形成するとよい。前記弁体は筒状で、前記弁座の外周と前記弁体の内周との間に前記重なり部が形成された構成としてもよい。あるいは、前記弁座の内周と前記弁体の外周との間に前記重なり部が形成された構成でもよい。また、前記通路は、燃料噴射ポンプのスピル通路であってもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、フェイスカム式燃料噴射ポンプを用いた燃料噴射制御装置の概略構成図である。尚、図1の燃料噴射ポンプ1においては要部のみを示し、図中左方にあるべきベーン式フィードポンプ等の構成を省略している。
【0011】図1に示すように、燃料噴射ポンプ1のポンプハウジング2内にはドライブシャフト3が配設され、同ドライブシャフト3には外周面に複数の歯を有するパルサ4が取り付けられている。ディーゼルエンジンのクランクシャフト(図示略)に同期してドライブシャフト3が回転すると、図示しないフィードポンプが回転し燃料室5に燃料が供給される。
【0012】また、ドライブシャフト3の図中右端部には図示しないカップリングを介してカムプレート6が連結されている。カムプレート6の一側面(図の左側面)には、ディーゼルエンジンの気筒数と同数のフェイスカム6aが設けられている。パルサ4とカムプレート6との間にはローラリング7が配置され、同ローラリング7にはカムプレート6のフェイスカム6aに対向する複数のカムローラ8が取り付けられている。
【0013】ポンプハウジング2のヘッド部2aにはシリンダ10が配設されており、シリンダ10にはプランジャ孔11が形成されている。プランジャ孔11にはプランジャ12が摺動自在に挿入されている。プランジャ12はカムプレート6に一体回転可能に支持されており、カムプレート6はプランジャスプリング13によってカムローラ8側に付勢されている。カムプレート6及びプランジャ12は、ドライブシャフト3により回転駆動されると、フェイスカム6aとカムローラ8との係合によって図中左右方向に往復運動する。
【0014】シリンダ10とプランジャ12の端面とによりポンプ室14が形成され、プランジャ12の端部付近の周面には気筒数分の吸入グルーブ15が形成されている。プランジャ12の回転に伴い吸入グルーブ15の一つがシリンダ10及びヘッド部2aに設けた吸入通路16に連通すると、燃料室5からポンプ室14に燃料が吸入される。
【0015】また、プランジャ12の図中右方への移動に伴いポンプ室14内に吸入された燃料が加圧され、その燃料が連通路17、分配ポート18を通じて噴射通路19に圧送される。そして、同燃料は、デリバリバルブ20を介して燃料噴射ノズル21に供給され、同ノズル21からエンジンの燃焼室へ噴射される。
【0016】一方、ポンプハウジング2内の燃料室5には、ローラリング7と一体に取り付けられた回転数センサ22が設けられている。回転数センサ22は電磁ピックアップコイルからなり、パルサ4の外周面に設けられた歯の通過を検知し、プランジャリフトに対して一定のタイミングで基準となるタイミング信号を出力する。
【0017】また、ポンプハウジング2のヘッド部2aには、燃料室5とポンプ室14とを連通するスピル通路24a,24bが形成され、同スピル通路24a,24bの途中には電磁式燃料スピル弁(以下、電磁弁という)25が介装されている。便宜上、以下の説明では、24aを高圧側スピル通路,24bを低圧側スピル通路と記す。
【0018】図2は電磁弁25の構成を詳細に示す断面図である。図2に示すように、電磁弁25には、非磁性体からなるバルブハウジング26の下部外周に雄ねじ部26bが形成されており、雄ねじ部26bがヘッド部2aに螺着されている。また、バルブハウジング26には雄ねじ部26bと同軸上に弁体収容孔26aが形成されており、その弁体収容孔26aには筒状で図下方に開口する弁体27が収容されている。
【0019】弁体27には、その下方開口部からバルブガイド28が密接状態で挿入されている。弁体27,バルブガイド28は共に雄ねじ部26bと同軸上に設けられている。バルブガイド28にはその下端に一端が開口した燃料通路28bが形成されており、燃料通路28bの他端は軸方向と直交方向で、弁体27の内周面に向かって開口されている。
【0020】また、弁体27の下方先端にはテーパ状の当接部27aが形成され、同当接部27aに対向するバルブガイド28には弁座28aが形成されている。弁体27内に形成されたバネ室27bには圧縮コイルバネ29が配設されており、同当接部27a及び弁座28a(以下、シート部Sとする)は、圧縮コイルバネ29により離間する方向に付勢されている。
【0021】本実施形態では、図3に示すように、弁体27の内周と弁座28aの外周との間に重なり部Dが形成されており、しかも、重なり部Dとシート部Sとが等しく、即ち、シート部Sは弁体27の当接部27aと弁座28aとの摺り合わせにより形成されて、当接部27aと弁座28aとが面接触するように形成されている。これにより、当接部27aと弁座28aとの傾斜角度は相等しくなるように構成されている。
【0022】弁体27の内周と弁座28aの外周との間のシート幅で当接部27aと弁座28aとが面接触するのであれば、摺り合わせに限らず、機械加工等により同じ傾斜角度となるように形成してもよい。また、後述する電磁石31への通電で、弁体27が弁座28aに着座した際に、シート部Sの面圧が高圧側スピル通路24aから導入される高圧燃料の流体圧力以上となるように、シート部Sの接触面積や電磁石31が形成されている。これにより、当接部27aと弁座28aとの間に高圧燃料が入り込み、弁体27を弁座28aから離間する方向の作用力が働くのを防止する。
【0023】シート部Sの下流側には、バルブハウジング26の下端面とバルブガイド28の鍔部との間において燃料通路Pが形成されている。この燃料通路Pは円周上に断続的に開口し、環状室Qを経て低圧側スピル通路24bに連通している。高圧側スピル通路24aから導入された燃料は、燃料通路28b内を流れる。そして、燃料通路28bから出た後、シート部Sの間隙、燃料通路P、環状室Qを経て低圧側スピル通路24bに流出する。
【0024】一方、バルブハウジング26上部には電磁石31が配設され、電磁石31の中心部には図の上下方向に延びるロッド33が配設されている。ロッド33はブッシュ34にて支持されている。ロッド33の下端は弁体27の上面に当接しており、同ロッド33の上端にはアーマチュア35が取り付けられている。
【0025】バルブハウジング26上端には非磁性体からなるキャップ材36がOリング42を介して挿入され、カシメにより固定されている。キャップ材36には、アーマチュア35の可動位置を規制するためのストッパ37が取り付けられると共に、電磁石31のコイル32に後述する駆動回路41(図1参照)からの通電信号を入力するターミナル38が取り付けられている。本実施例では、圧縮コイルバネ29、電磁石31、ロッド33及びアーマチュア35により駆動機構が構成されている。
【0026】電磁石31の非通電時には圧縮コイルバネ29の付勢力により弁体27が開弁位置(図2に示す位置)に保持される。この場合、シート部Sが離れ、燃料通路28b,Pは連通される。一方、電磁石31に通電されると、電磁石31にアーマチュア35が吸引され、圧縮コイルバネ29の付勢力に抗して弁体27が閉弁方向(図の下方向)に移動する。それによりシート部Sが当接し、燃料通路28b,Pが遮断される。
【0027】一方、図1に示すように、電子制御装置(以下、ECUという)40は、CPU(中央演算装置)、各種メモリ、入出力回路等からなるマイクロコンピュータにて構成されている。ECU40には回転数センサ22からの入力信号の他にアクセル開度信号や水温信号等が入力され、ECU40はこれらの入力信号に基づいてエンジンの運転状態(エンジン回転数,アクセル開度,冷却水温度等)を検知する。
【0028】また、ECU40は、エンジンの運転状態に応じた燃料噴射量の制御を行うべく、所定クランク角位置にて電磁弁25を開閉させるための制御信号を生成し、同制御信号を駆動回路41に出力する。そして、駆動回路41はECU40からの制御信号に応じて電磁弁25の電磁石31を通電・非通電させる。
【0029】次に、本実施形態の電磁弁を用いた燃料噴射制御装置の作用について説明する。まず、エンジンの運転によりドライブシャフト3が回転すると、その回転に伴ってプランジャ12が回転する。カムの下り部分にフェイスカム6aがあるとプランジャ12は図の左方向に移動する。そして、プランジャ12の回転によりプランジャ12先端の吸入グルーブ15とシリンダ10の吸入通路16とが連通すると、燃料室5内の燃料は吸入グルーブ15を介してポンプ室14及びプランジャ12内部の連通路17に吸入される。燃料吸入後、プランジャ12の回転に伴い吸入通路16が閉鎖される。カムプレート6のフェイスカム6aの上り部分がローラ8の位置にくると、カムリフト量に応じてプランジャ12が図1の右方へ移動する。
【0030】その後、所定の弁駆動タイミングで電磁弁25の電磁石31へ通電が開始されると、アーマチュア35が電磁石31に吸引されて弁体27が圧縮コイルバネ29の付勢力に抗して図の下方に移動する。その結果、シート部Sが当接し、燃料通路28b,Pが遮断される。そして、この電磁弁25の閉弁動作によりポンプ室14内の燃料圧力が上昇する。
【0031】このとき、分配ポート18が1つの噴射通路19に開放され、ポンプ室14にて高圧縮された燃料は分配ポート18,噴射通路19,デリバリバルブ20を通って燃料噴射ノズル21に圧送される。この閉弁時において高圧燃料は弁体27の移動方向に直交する方向から弁体27に作用するため、弁体27は高圧燃料の影響を受けることはなく、高圧燃料の影響により弁体27が開弁してしまうことはない。
【0032】そして、所定のタイミングで電磁弁25の電磁石31が非通電になると、アーマチュア35と電磁石31との吸引が解かれ、圧縮コイルバネ29の付勢力により弁体27が図の上方に移動する。そして、弁体27の開弁動作に伴い燃料通路28b,Pが連通され、ポンプ室14内の高圧燃料がシート部Sの間隙に流れ込む。すなわち、高圧燃料がスピル通路24a,24b,燃料通路28b,Pを通じて燃料室5へスピルされる。その後、ポンプ室14からの燃料圧送が行われる毎に上記動作が繰り返して行われる。
【0033】運転時間の累積が長時間となっても、シート部Sは面接触であるため、その摩耗は少なく、シート部Sの接触面積の大きさが大きく変化することはない。従って、図4に示すように、運転時間が長時間になっても、シート幅は変化せず、開弁に要する時間も常に一定となり、安定した開弁性能が得られる。しかも、本実施形態では、重なり部Dとシート部Sとが同じであるので、燃料に砂等の異物が混入して摩耗の進行が早い場合でも、シート幅は変化せず、安定した開弁性能が得られる。これにより、運転時間によって燃料噴射ノズル21から噴射される燃料噴射量が変化することはない。
【0034】尚、電磁弁25の弁体27と弁座28aは、前述した構成のものに限らす、図5に示すような第2実施形態の電磁弁であってもよい。この電磁弁は、摺動孔51に摺動可能に挿入された円柱状の弁体52を備え、摺動孔51に弁座53を介して収納孔54が連設されている。収納孔54にはコイルバネ55が収納されており、コイルバネ55は弁体52を弁座53から離間する方向に付勢している。
【0035】弁体52は、前述した実施形態と同様に図示しない電磁石により、弁座53に着座する方向に付勢される。摺動孔51には、環状溝56が形成されており、環状溝56には高圧側スピル通路24aが接続されている。一方、収納孔54には低圧側スピル通路24bが接続されている。
【0036】本第2実施形態では、弁座53の内周(収納孔54の内径)と弁体52の外周との間に重なり部Dが形成されており、重なり部Dとシート部Sとが同じになるように、弁体52と弁座53とは摺り合わせが行われて、弁体52の当接部52aと弁座53とが面接触するシート部Sが形成されている。また、電磁石31への通電で、弁体52が弁座53に着座した際に、シート部Sの面圧が高圧側スピル通路24aから導入される高圧燃料の流体圧力以上となるように構成されている。
【0037】この場合でも、運転時間の累積が長時間となっても、シート部Sは面接触であるため、その摩耗は少なく、シート部Sの接触面積の大きさが大きく変化することはない。シート部Sの接触面積の大きさが変化しないので、開弁に要する時間も常に一定となり、安定した開弁性能が得られる。
【0038】次に、前述した実施形態と異なる第3実施形態の電磁弁60について、図6によって説明する。尚、前述した実施形態と同じ部材については、同一番号を付して詳細な説明を省略する。電磁弁60には、バルブハウジング26の下部外周に雄ねじ部26bが形成されており、雄ねじ部26bがOリング61により漏れ止めされてヘッド部2aに螺着されている。バルブハウジング26には雄ねじ部26bと同軸上に摺動孔62が形成されており、摺動孔62には筒状で図下方に開口する弁体63が摺動可能に挿入されている。
【0039】弁体63には、その下方開口部からバルブガイド64が挿入されている。バルブガイド64にはその下端に一端が開口した燃料通路64bが形成されており、燃料通路64bの他端は軸方向と直交方向で、弁体63の内周面に向かって開口されている。
【0040】また、弁体63の下方先端にはテーパ状の当接部63aが形成され、同当接部63aに対向するバルブガイド64には弁座64aが形成されている。弁体63内に形成されたバネ室63bには圧縮コイルバネ29が配設されており、同当接部63a及び弁座64a(シート部S)は、圧縮コイルバネ29により離間する方向に付勢されている。
【0041】本実施形態では、図7に示すように、当接部63aと弁座64aとの摺り合わせは行われず、弁体63内周の角部が当接部63aとして弁座64aに接触するように構成されている。弁体63の内周と弁座64aの外周との間に重なり部Dが形成されており、この重なり部Dの幅は、開弁性能に応じて決定されている。
【0042】当接部63aと弁座64aとの接触部が運転により摩耗して、重なり部Dの全面で接触するようになった場合でも、重なり部Dの幅が許容幅を超えないように、図8に示すように、シート幅が許容幅以下となるように形成されている。即ち、摩耗してシート部Sの接触面積が増加し、開弁時間が許容時間以下とならないように、重なり部Dの幅がシート幅aと同じになるように構成されている。
【0043】これにより、長時間運転されて、シート部Sの摩耗が進行しても、図9に示すように、重なり部Dの幅がシート幅a以上となることはないので、開弁時間も許容時間以下になることはなく、運転時間によって燃料噴射ノズル21から噴射される燃料噴射量の変化は少なく、安定した開弁性能が得られる。
【0044】バルブガイド64とヘッド部2aとの間には、ガスケット65が介装されて、漏れ止めが図られている。高圧側スピル通路24aと燃料通路64bとは、ガスケット65の貫通孔65aを介して連通されており、燃料通路64bからの燃料は、シート部Sの隙間、摺動孔62、バルブハウジング26の下端に形成された燃料通路P、環状室Qを経て低圧側スピル通路24bに流出する。尚、バネ室63bは、弁体63の上部に形成された絞り孔67、バルブハウジング26の大径孔68、貫通孔69を介して環状室Qに連通されている。
【0045】電磁石31の非通電時には圧縮コイルバネ29の付勢力によりアーマチュア35がストッパ36aに突き当り、弁体63が開弁位置(図6に示す位置)に保持される。この場合、シート部Sが離れ、燃料通路64b,Pが連通される。一方、電磁石31に通電されると、電磁石31にアーマチュア35が吸引され、圧縮コイルバネ29の付勢力に抗して弁体63が閉弁方向(図の下方向)に移動する。それによりシート部Sが当接し、燃料通路64b,Pが遮断される。
【0046】以上本発明はこの様な実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【0047】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の電磁弁は、運転時間の累積が長時間となっても、シート部の接触面積の大きさが大きく変化することはないので、開弁に要する時間も一定となり、安定した開弁性能が得られるという効果を奏する。また、シート部を面接触させた構成とすると、その摩耗は少なく、安定した開弁性能が得られる。重なり部の幅を規制した構成とすると、シート部の幅が許容幅以上となることがなく、安定した開弁性能が得られる。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成12年2月28日(2000.2.28)
【代理人】 【識別番号】100082500
【弁理士】
【氏名又は名称】足立 勉
【公開番号】 特開2001−65729(P2001−65729A)
【公開日】 平成13年3月16日(2001.3.16)
【出願番号】 特願2000−51306(P2000−51306)