トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 電磁弁及び液圧回路
【発明者】 【氏名】矢吹 勇治

【氏名】酒井 守治

【氏名】辻村 真一

【要約】 【課題】電磁弁の体格を大きくすることなく、圧力変動があっても不用意に開弁しない電磁弁及び液圧回路を提供すること。

【解決手段】電磁弁の内室63には、スプリング67、プランジャ69、ボール71が配置されている。スプリング67は、プランジャ69を閉弁方向に付勢する。プランジャ69は、コイル51の通電時に開弁方向に移動する。ボール71がシート面59aに着座することにより電磁弁が閉弁し、離れることにより電磁弁が開弁する。このプランジャ69とボール71とは別体であるので、プラジャ69が移動した場合でも、圧力P1<圧力P2の場合には、ボール71は移動せずに、シート面59aに着座したままであり、閉弁状態が維持される。つまり、圧力P1<圧力P2の場合には、ボール71に加わる圧力の作用により、電磁弁は逆止弁として機能する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 コイルの励磁力により吸引されて、開弁方向に移動するプランジャと、前記プランジャを閉弁方向に付勢する付勢手段と、前記プランジャの開弁又は閉弁方向の動作に伴い、シート部材への着座又はシート部材からの離間により流路を開閉する開閉部材と、を備えた電磁弁であって、前記プランジャと前記開閉部材とを別体としたことを特徴とする電磁弁。
【請求項2】 前記電磁弁は、前記プランジャと前記開閉部材とが離れた場合に、前記プランジャ側の圧力が前記シート部材側の圧力より大であるときには、前記開閉部材がシート部材に着座した状態が維持される逆止弁として機能することを特徴とする前記請求項1に記載の電磁弁。
【請求項3】 前記シート部材側の流路が、ブレーキ液圧回路のマスタリザーバ側に接続され、前記プランジャ側の流路が、ポンプの吸入側に接続されることを特徴とする前記請求項1又は2に記載の電磁弁。
【請求項4】 前記プランジャの前記開閉部材側の端部に、該開閉部材の一部が嵌入する凹部を設けたことを特徴とする前記請求項1〜3のいずれかに記載の電磁弁。
【請求項5】 前記プランジャの前記開閉部材側の端部に、前記プランジャと前記開閉部材との間に液圧を導入する導入路を設けたことを特徴とする前記請求項1〜4のいずれかに記載の電磁弁。
【請求項6】 前記プランジャの凹部が円錐形状のテーパ面を有することを特徴とする前記請求項4又は5に記載の電磁弁。
【請求項7】 前記開閉部材がボールであることを特徴とする前記請求項1〜6のいずれかに記載の電磁弁。
【請求項8】 前記請求項1〜7のいずれかに記載の電磁弁を備えたことを特徴とする液圧回路。
【請求項9】 前記請求項1〜7のいずれかに記載の電磁弁を、車両制動時にブレーキ液圧を発生するブレーキ液圧発生手段にブレーキ液を供給するブレーキ液供給手段側と、ポンプの吸入側との間の管路に配置し、前記電磁弁のシート部材側を前記ブレーキ液供給手段側に接続するとともに、前記電磁弁のプランジャ側を前記ポンプの吸入側に接続したことを特徴とする液圧回路。
【請求項10】 前記液圧回路は、アドバンスサーボブレーキ制御、旋回トレース制御、及びトラクション制御の少なくとも1種を行うブレーキ液圧回路であることを特徴とする前記請求項8又は9に記載の液圧回路。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブレーキ装置等に使用される電磁弁及び液圧回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車用の油圧回路を備えたブレーキシステムにおいて、例えば旋回トレース制御(VSC)、トラクション制御(TRC)、圧力増幅アシストブレーキ制御などの各種の制御を行うために、ポンプによって例えばマスタシリンダのマスタリザーバ等から配管を経由してブレーキ油を吸入し、ホイールシリンダ側にブレーキ油を供給して加圧する制御が行われている。
【0003】前記の油圧回路には、例えばマスタリザーバとポンプの吸入側との間の管路を開閉するために、例えば常時は閉じている(ノーマルクローズ;N/C)電磁弁が用いられている。この種の電磁弁は、図7に示す様に、プランジャ100とボール101とが溶接等により一体化された可動子102を備えており、常時は、スプリング103の矢印A方向への付勢力により、ボール101をシートバルブ104のシート面105に押し付けることにより、ポンプの吸入側(圧力P2)とマスタリザーバ側(圧力P1)とを遮断する。また、コイル106への通電により、可動子102を矢印B方向に吸引して移動させて、ポンプの吸入側とマスタリザーバ側とを連通する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した構造の電磁弁では、ポンプの吸入側の圧力P2の変動(圧力変動)が大きい場合、即ち、圧力P2側の油圧回路で大きな脈動が発生する場合には、可動子102自身の移動方向(矢印A,B両方向)の両側にて圧力差が発生することがある。
【0005】それにより、可動子102の矢印B方向側の圧力の方が小さくなって、その圧力差による力がスプリング103の付勢力より大きくなると、可動子102が矢印B方向に移動して、圧力P1側と圧力P2側とが連通して電磁弁が開いてしまうことがある。
【0006】この不用意に電磁弁が開くことの対策として、圧力変動よりも強いスプリング荷重のスプリング103を採用して、プランジャ102を矢印A方向に強く押し付けることが考えられるが、その場合には、コイル106への通電により電磁弁を開くための吸引力も上げる必要があるので、電磁弁の体格が増加するという別の問題が生じてしまう。
【0007】本発明は前記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、電磁弁の体格を大きくすることなく、圧力変動があっても不用意に開弁しない電磁弁及び液圧回路を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】(1)請求項1の発明は、コイルの励磁力により吸引されて、開弁方向に移動するプランジャと、前記プランジャを閉弁方向に付勢する付勢手段(例えばスプリング)と、前記プランジャの開弁又は閉弁方向の動作に伴い、シート部材(例えばシートバルブ)への着座又はシート部材からの離間により流路を開閉する開閉部材(例えばボール)と、を備えた電磁弁であって、前記プランジャと前記開閉部材とを別体としたことを特徴とする電磁弁を要旨とする。
【0009】本発明では、コイルへの非通電時には、付勢手段により、プランジャを介して開閉部材を閉弁方向に付勢し、開閉部材をシート部材に着座させて閉弁し、一方、コイルへの通電時には、コイルの吸引力により、付勢手段に抗してプランジャを開弁方向に移動させ、開閉部材をシート部材から離間させて開弁し、基本的にはこの動作により流路を開閉する。
【0010】特に本発明では、プランジャと開閉部材が、従来の様に一体ではなく、別体で分離されているので、プランジャの動きとは独立して開閉部材の動作が可能であり、電磁弁の体格を大きくする必要もない。以下、その理由を説明する。従来では、プランジャと開閉部材とが一体であったので、プランジャ側の圧力が何等かの原因で脈動(圧力変動)すると、プランジャの移動方向の両端に圧力差が発生することがあり、それによって、電磁弁がオフ(コイルに非通電)の閉弁状態に設定されているにもかかわらず、プランジャが移動して開弁してしまうことがある。
【0011】これに対して、本発明では、プランジャと開閉部材とが別体であるので、仮に上述した圧力変動によってプランジャが開弁方向に移動したとしても、開閉部材は移動するとは限らない。従って、このとき、シート部材側の圧力(例えば図3の管路K1側の圧力P1)よりも、プランジャ側の圧力(例えば図3の管路K2側の圧力P2)の方が大であれば、その圧力差により開閉部材はシート部材に押し付けられたままであるので、流路は開かれず、電磁弁は閉弁したままである。つまり、この場合は、電磁弁は逆止弁として機能する。
【0012】従って、この逆止弁の機能により、プランジャが圧力変動の影響を受けても、電磁弁は不用意に開弁しないので、例えばブレーキ液圧回路におけるブレーキ液の逆流を防止して、例えばマスタリザーバへの過度のブレーキ液の逆流を防ぐことができる。
【0013】また、本発明の構成であれば、圧力変動の対策として付勢手段の付勢力(例えばスプリング荷重)を大きくする必要がないので、電磁弁の体格を小さくすることができるという顕著な効果を奏する。
(2)請求項2の発明は、前記電磁弁は、前記プランジャと前記開閉部材とが離れた場合に、前記プランジャ側の圧力が前記シート部材側の圧力より大であるときには、前記開閉部材がシート部材に着座した状態が維持される逆止弁として機能することを特徴とする前記請求項1に記載の電磁弁を要旨とする。
【0014】本発明は、電磁弁の機能のうち上述した特徴ある機能を明示したものである。この逆止弁の機能によって、電磁弁がオフ(コイルの非通電)の場合に、より確実に例えばブレーキ液の逆流を防止することができる。
(3)請求項3の発明は、前記シート部材側の流路(例えば図3の入力ポート81(圧力P1))が、ブレーキ液圧回路のマスタリザーバ側(例えば図1の管路K1)に接続され、前記プランジャ側の流路(例えば図3の出力ポート83(圧力P2))が、ポンプの吸入側(例えば図1の管路K2)に接続されることを特徴とする前記請求項1又は2に記載の電磁弁を要旨とする。
【0015】本発明は、電磁弁の接続状態を例示したものである。本発明では、電磁弁のシート部材側の流路が、マスタリザーバ側に接続され、プランジャ側の流路が、ポンプの吸入側に接続されるので、例えばポンプモータのデューティ制御により、ポンプの吸入側の圧力が変動した場合でも、上述した理由により、電磁弁は不用意に開弁しない。
【0016】(4)請求項4の発明は、前記プランジャの前記開閉部材側の端部(例えば図3及び図4のプランジャの下面)に、該開閉部材の一部が嵌入する凹部(例えば下凹部)を設けたことを特徴とする前記請求項1〜3のいずれかに記載の電磁弁を要旨とする。
【0017】本発明は、プランジャの形状を例示したものである。本発明では、プランジャの開閉部材側の端部に凹部が設けてあるので、プランジャが移動した場合でも、開閉部材を保持する能力が高い。従って、プランジャが閉弁方向に移動した場合には、開閉部材をシート部材の方向に速やかに移動させて、スムーズにシート面に着座させることができる。
【0018】(5)請求項5の発明は、前記プランジャの前記開閉部材側の端部(例えば図3のプランジャの下面の凹部)に、前記プランジャと前記開閉部材との間に液圧を導入する導入路(例えば横溝)を設けたことを特徴とする前記請求項1〜4のいずれかに記載の電磁弁を要旨とする。
【0019】本発明は、プランジャの形状を例示したものである。このような導入路を設けておけば、開閉部材に対して、プランジャ側から閉弁方向に常に液圧を加えておくことができるので、プランジャが開弁方向に移動した場合でも、開閉部材がプランジャにつられて移動しにくく、確実に閉弁状態を維持できるという利点がある。
【0020】(6)請求項6の発明は、前記プランジャの凹部が円錐形状のテーパ面を有することを特徴とする前記請求項4又は5に記載の電磁弁を要旨とする。本発明は、凹部の形状を例示したものである。この様な形状であれば、開閉部材を適切な位置(円錐の軸中心)にて保持し易いので好適である。
【0021】尚、円錐形状の凹部の底に、例えばプランジャの両側面に達する前記導入路(例えば横溝)が設けられた形状を採用できる。
(7)請求項7の発明は、前記開閉部材がボールであることを特徴とする前記請求項1〜6のいずれかに記載の電磁弁を要旨とする。
【0022】本発明は、開閉部材の形状を例示したものである。このボールの形状であれば、どのような向きでも又は回転してもシート面に対して同様に着座するので、確実に流路を遮断することができる。また、前記プランジャの凹部が円錐形状であれば、このボールは円錐形状の軸中心に保持され易く、プランジャの閉弁動作に伴う閉弁をスムーズに行えるので好適である。
【0023】(8)請求項8の発明は、前記請求項1〜7のいずれかに記載の電磁弁を備えたことを特徴とする液圧回路(例えばブレーキ制御装置の油圧制御回路)を要旨とする。本発明は、上述した電磁弁を使用した液圧回路を示したものである。
【0024】この液圧回路では、上述した構成の電磁弁を使用するので、プランジャ側の液圧に変動がある場合でも、不用意に電磁弁が開くことがなく、逆止弁の機能を発揮して例えばブレーキ液の逆流を防止することができる。
(9)請求項9の発明は、前記請求項1〜7のいずれかに記載の電磁弁を、車両制動時にブレーキ液圧を発生するブレーキ液圧発生手段(例えばマスタシリンダ)にブレーキ液を供給するブレーキ液供給手段(例えばマスタリザーバ)側と、ポンプの吸入側との間の管路に配置し、前記電磁弁のシート部材側を前記ブレーキ液供給手段側に接続するとともに、前記電磁弁のプランジャ側を前記ポンプの吸入側に接続したことを特徴とする液圧回路を要旨とする。
【0025】本発明は、上述した電磁弁を使用したブレーキ液圧回路を示したものである。ここでは、電磁弁のシート部材側をブレーキ液供給手段側に接続するとともに、電磁弁のプランジャ側をポンプの吸入側に接続したので、ポンプの吸入側に圧力変動が生じた場合でも、不用意に電磁弁は開弁しない。また、プランジャのみが移動した場合には、電磁弁は逆止弁の機能を発揮することができるので、ブレーキ液の逆流を防止することができる。
【0026】(10)請求項10の発明は、前記液圧回路は、アドバンスサーボブレーキ制御、旋回トレース制御、及びトラクション制御の少なくとも1種を行うブレーキ液圧回路であることを特徴とする前記請求項8又は9に記載の液圧回路を要旨とする。
【0027】本発明は、このブレーキ液圧回路を用いて行われる制御を例示している。例えばポンプ等によりマスタシリンダ圧によらずホイールシリンダ圧の調節ができるアドバンスサーボブレーキ制御を行うブレーキ液圧回路に使用することができる。
【0028】ここで、アドバンスサーボブレーキ(ASB)制御とは、いわゆる圧力増幅アシストブレーキ制御であり、ポンプを駆動することにより、例えば通常のブレーキの踏力によるブレーキ圧力(ホイールシリンダ圧)より高いブレーキ圧力を発生させたり、ブレーキブースタの失陥時に必要なブレーキ圧力を発生させたり、ブレーキブースタの作動範囲外において必要なブレーキ圧力を発生させる制御である。
【0029】また、旋回トレース制御(VSC)とは、旋回時にホイールシリンダ圧を調節して、車両挙動を安定させる制御である。更に、トラクション制御(TRC)とは、ホイールシリンダ圧を調節して、加速時のスリップ状態を改善する制御である。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の電磁弁及び液圧回路の好適な実施の形態を、例(実施例)を挙げて図面に基づいて詳細に説明する。本実施例の電磁弁は、車両のブレーキ制御装置の油圧制御回路(ブレーキ液圧回路)に配置されて、マスタシリンダのマスタリザーバからポンプの吸入側に至る管路を開閉するものである。
【0031】a)まず、本実施例の電磁弁が使用されるブレーキ制御装置について、簡単に説明する。図1は、アンチスキッド制御(ABS)、旋回トレース制御(VSC)、トラクション制御(TRC)、アドバンスサーボブレーキ(ASB)制御などを行うことができるブレーキ制御装置の概略構成図である。
【0032】■図1に示す様に、ブレーキ制御装置は、タンデム型のマスタシリンダ1を有し、このマスタシリンダ1には、ブレーキブースタ3を介してブレーキペダル5が接続されている。前記マスタシリンダ1には、マスタリザーバ7が接続されるとともに、X配管(ダイアゴナル配管)の油圧2系統で構成されてブレーキ油圧を調節する油圧制御回路9が接続されており、油圧制御回路9は、第1油圧配管11a及び第2油圧配管11bから構成されている。
【0033】前記油圧制御回路9では、第1油圧配管11aを経て右前(FR)輪のホイールシリンダ13と左後(RL)輪のホイールシリンダ15とが連通されている。また、第2油圧配管11bを経て右後(RR)輪のホイールシリンダ17と左前(FL)輪のホイールシリンダ19とが連通されている。
【0034】前記第1油圧配管11aには、FR輪のホイールシリンダ13の油圧を制御するための周知の増圧制御弁21及び減圧制御弁25と、RL輪のホイールシリンダ15の油圧を制御するための増圧制御弁22及び減圧制御弁26とが設けられ、第2油圧配管11bには、RR輪のホイールシリンダ17の油圧を制御するための増圧制御弁23及び減圧制御弁27と、FL輪のホイールシリンダ19の油圧を制御するための増圧制御弁24及び減圧制御弁28とが設けられている。
【0035】尚、油圧制御回路9には、マスタシリンダ1側の油圧を測定するために圧力センサ20が取り付けられている。ここで、第1油圧配管11aについて説明する。各増圧制御弁21,22よりマスタシリンダ1側に、その油圧経路45aを連通・遮断する電磁弁であるSMCバルブ31が設けられている。
【0036】また、第1の油圧配管11aには、各減圧制御弁25,26から排出されたブレーキ油を一時的に蓄えるリザーバ37と、ブレーキ油を油圧経路45aに圧送するための油圧ポンプ41が備えられている。尚、油圧ポンプ41からのブレーキ油の吐出経路には、内部の油圧の脈動を抑えるアキュムレータ47が設けられている。
【0037】更に、第1油圧配管11aには、ホイールシリンダ圧を加圧する際に、マスタシリンダ1から油圧ポンプ41に直接ブレーキ油を供給するための油圧経路45bが設けられ、この油圧経路45bには、その油圧経路45bを連通・遮断する電磁弁であるSRMバルブ33が設けられている。
【0038】同様に、ホイールシリンダ圧を加圧する際に、マスタシリンダ1のマスタリザーバ7から油圧ポンプ41に直接ブレーキ油を供給するための油圧経路45cが設けられ、この油圧経路45cには、後に詳述するが、その油圧経路45cを連通・遮断する電磁弁であるSRCバルブ35が設けられている。
【0039】一方、第2油圧配管11bには、前記第1油圧配管11aと同様に、増圧制御弁23,24、減圧制御弁27,28、SMCバルブ32、リザーバ38、油圧ポンプ42、アキュムレータ48、SRMバルブ34、SRCバルブ36等が、同様な箇所に設けられている。
【0040】また、前記両油圧ポンプ41,42は、電動ポンプモータ43に連結されて駆動される構成となっている。ここで、前記SRCバルブ35,36が本実施例の電磁弁である。
■図2に示す様に、上述したブレーキ制御装置を制御するECU50は、周知のCPU50a,ROM50b,RAM50c,入出力部50d及びバスライン50e等を備えたマイクロコンピュータを中心に構成されている。
【0041】前記ECU50には、各車輪に配置された車輪速度センサ53、ブレーキペダル3が踏まれたことを検出するストップスイッチ54、圧力センサ20等からの信号がECU50に入力される。また、ECU50からは、電磁弁である増圧制御弁21〜24、減圧制御弁25〜28、SMCバルブ31,32、SRMバルブ33,34、SRCバルブ35,36や、電動ポンプモータ43等の制御アクチュエータを駆動する制御信号が出力される。
【0042】b)次に、本実施例の要部である電磁弁の構造について、図3を参照して説明する。尚、以下では、第1油圧配管11aを例に挙げて説明する。図3に示す様に、本実施例の電磁弁(SRCバルブ35)は、管状のコイル51の軸中心に、入力ポート81から出力ポート83に到る流路、つまり、マスタリザーバ7からポンプ41の吸入側に至る管路45cを開閉する弁機構53が配置されたものである。
【0043】弁機構53は、スリーブ55の一端(図3の上端)にストッパ57を備えるとともに、他端(図3の下端)にシートバルブ59を備えている。このスリーブ55の中央の外周には、コアステータ61が配置され、スリーブ55の内側の内室63には、環状のプレート65、スプリング67、プランジャ69、ボール71が各々配置されている。特に、本実施例では、プランジャ69とボール71とは別体であり、接していない場合には、各々独立した移動が可能である。
【0044】前記プレート65は、非磁性体で、コイル51を通電(ON)から非通電(OFF)に切り替えた場合に、ストッパ57からプランジャ69が離れるのを助けるために配置されたものであり、図の上下方向(矢印A,B方向)に移動可能である。
【0045】前記スプリング67は、プランジャ69を矢印A方向(閉弁方向)に付勢するものであり、このスプリング69の付勢力により、常時は、電磁弁が閉弁している。前記プランジャ69は、軸方向に長い柱状の部材であり、常時(コイル51の非通電時)は、スプリング67により矢印A方向に付勢されているが、コイル51の通電時には、電磁弁を開弁するために、コイル51の励磁力(吸引力)により矢印B方向(開弁方向)に吸引されて移動する。
【0046】このプランジャ69の外周には、軸方向に沿って(プランジャ69の上下両面側を連通するために)油路となる一対の縦溝73a,73bが形成されている。また、プランジャ69の上面側には、スプリング67が嵌入して配置されるために、円柱状に空けられた上凹部75が設けられている。更に、プランジャ69の下面側には、ボール71の上部の一部が入り込んで当接するように、下凹部77が設けられている。
【0047】この下凹部77は、ボール71を保持し易いように略円錐状であり、下凹部77を横断するように、電磁弁の軸方向と垂直に伸びプランジャ69の両側面に達する横溝79が形成されている(プランジャ69の下面側を示す図4参照)。この横溝79は、ボール71の上端側に油圧を供給して、プランジャ69の移動にかかわらず、ボール71を確実に下方に付勢して、電磁弁を閉弁しておくためのものである。
【0048】前記ボール71は、真球であり、その上部が前記プランジャ69の下凹部77に一部嵌入するように配置される。そして、閉弁時には、ボール71の下部が、シートバルブ59のシート面59aに着座して、電磁弁を閉弁する。また、ボール71がシート面59aから離れる場合と、電磁弁が開弁する。
【0049】前記シートバルブ59には、軸方向に貫通する流路である入力ポート81が設けられ、この入力ポート81がマスタリザーバ7側の管路K1(図1参照)に接続されている。この入力ポート81及び管路K1の圧力をP1とする。また、スリーブ55の側面には開口部(出力ポート)83が設けられ、この出力ポート83がポンプ41の吸入側の管路K2(図1参照)に接続されている。この出力ポート83及び管路K2の圧力をP2とする。尚、通常は、スリーブ55の内室63の圧力もP2である。
【0050】c)次に、上述した構造の電磁弁の動作について説明する。ここでは、例えばASB制御を実施した場合を例に挙げる。このASB制御を実施する場合には、ポンプ41を駆動させて油圧(ホイールシリンダ圧)を増加させる等の調節を行うが、この場合、ASB制御などの状態に応じて必要な油圧が異なるので、ポンプ41を駆動するポンプモータ43に印加する電圧のデューティ制御を行って、油圧の調節を行う。
【0051】(i)通常の電磁弁のOFF時電磁弁は、常閉の弁(N/C弁)である。つまり、コイル51に通電しないときには、スプリング67の矢印A方向の付勢力によって、プランジャ69は矢印A方向に押圧される。このプランジャ69の動作により、ボール71も矢印A方向に押圧されて、シート面59aに着座することにより、管路K1と管路K2との流路が遮断されて、電磁弁の閉弁状態が実現される。
【0052】例えば、通常の定速走行時のように、ASB制御が実施されておらず、ポンプ41が非作動の状態の場合には、コイル51に非通電であり、電磁弁はスプリング67の付勢力によって閉弁状態となっている。
(ii)通常の電磁弁のON時ASB制御を実施する際に、大きな油圧が必要な場合(例えばアシストブレーキにより大きな制動力が必要な場合)には、コイル51に通電して電磁弁をONする。
【0053】このコイル51への通電により、プランジャ69は、スプリング67の矢印A方向の付勢力に抗して、矢印B方向に吸引されて移動する。これにより、ボール71を押圧する付勢力が減少するので、圧力P1>P2の場合、例えばポンプ41の作動により圧力P2がマスタリザーバ7側の圧力P1(通常は大気圧)より低下している場合には、ボール71がシート面59aから離れ、管路K1と管路K2との流路が連通して、電磁弁の開弁状態が実現される。従って、マスタリザーバ7からポンプ41の吸入側にブレーキ油が供給される。
【0054】(iii)電磁弁のOFF時に圧力変動が発生した場合コイル51の非通電時には、通常、スプリング67の付勢力によって電磁弁は閉じているが、上述したポンプモータ43のデューティ制御により、ポンプ41の吸入側の圧力P2に脈動(圧力変動)が生じた場合には、スリーブ55の内室63の上下方向の両側(従って、プランジャ69の上下方向の両側)に圧力差が発生することがある。
【0055】ここで、プランジャ69の上側の圧力が下側の圧力より小さくなり、その圧力差による矢印B方向の押圧力が、スプリング67の付勢力より大きくなると、プランジャ69は矢印B方向に移動する。しかし、プランジャ69とボール71とは別体であるので、プラジャ69が移動した場合でも、圧力P1<圧力P2の場合には、ボール71は移動せずに、シート面59aに着座したままであり、閉弁状態が維持される。つまり、圧力P1<圧力P2の場合には、ボール71に加わる圧力の作用により、電磁弁は逆止弁として機能する。
【0056】この様に、本実施例の電磁弁は、プランジャ69とボール71が別体であるので、例えばポンプ41の吸入側の圧力P2に変動があって大きな圧力差が発生した場合でも、プランジャ69のみが移動するだけである。つまり、ポンプ41の作動状態等に起因する圧力変動が生じ、それによって、プランジャ69が矢印B方向に(スプリング67の付勢力より大きな)押圧力を受けた場合でも、プランジャ69のみが矢印B方向に移動するだけであり、圧力P1<圧力P2である限りは、ボール71は矢印B方向に移動せず、電磁弁は閉じたままである。即ち、圧力P1<圧力P2である限りは閉弁する(いわゆる逆止弁の)機能を発揮する。
【0057】従って、本実施例の電磁弁は、コイル51の非通電時で閉弁状態に設定されているときに不用意に開弁することがなく、ポンプ41の吸入側からマスタリザーバ7側へのブレーキ油の逆流を確実に防止することができる。しかも、本実施例の電磁弁の構成であれば、圧力変動の対策のためにスプリング荷重を大きくする必要がないので、電磁弁の体格を小さくすることができるという顕著な効果を奏する。
【0058】また、本実施例の電磁弁には、プランジャ69の下面に円錐状の下凹部77がが設けられているので、ボール71が左右にずれにくくボール71の保持能力が高い。そのため、閉弁時には、ボール71がシート面59aにスムーズに着座することができる。
【0059】更に、本実施例の電磁弁には、プランジャ69の下面に横溝79が設けられているので、常にボール71の上方に油圧がかかっている状態である。そのため、プランジャ69が移動した場合でも、ボール71がつられて移動しにくく、プランジャ69とボール71が確実に分離して逆止弁の機能を十分に果たすことができる。
【0060】従って、本実施例の電磁弁を用いたブレーキ制御装置では、例えばVSC制御、TRC制御、ASB制御を行う場合に、その制御の状態に応じて、ポンプモータ43に通電する電圧のデューティ制御を行って、必要な油圧を迅速に供給することにより、各制御を好適に実施することができる。
【0061】また、上述したデューティ制御により、仮にポンプ41の吸入側の圧力P2に変動が発生した場合でも、本実施例の電磁弁は不用意に開弁することがなく、所望のタイミングで確実に開閉を実施することができ、その点からも、各制御を好適に行うことができる。
【0062】つまり、本実施例の電磁弁は、閉弁すべきときに閉弁し、圧力変動により不用意に開弁して管路を開かないので、ブレーキ油の逆流が発生せず、常に好適に各制御を実施することができる。
(実施例2)次に、実施例2の電磁弁について説明するが、前記実施例1と同様の箇所の説明は省略する。
【0063】本実施例の電磁弁は、前記実施例1の電磁弁とほぼ同様であるが、プランジャの形状が多少異なる。つまり、図5に示す様に、本実施例の電磁弁においても、プランジャ91とボール92とは別体であるが、プランジャ91の下面に設けられた下凹部93の形状が円錐形状であり、実施例1の様な横溝が設けられていない。
【0064】この構成によっても、前記実施例1とほぼ同様な効果が得られるとともに、横溝が不要であるので、下凹部93の加工が容易であるという利点がある。
(実施例3)次に、実施例3の電磁弁について説明するが、前記実施例1と同様の箇所の説明は省略する。
【0065】本実施例の電磁弁は、前記実施例1の電磁弁とほぼ同様であるが、プランジャの形状が多少異なる。つまり、図6に示す様に、本実施例の電磁弁においても、プランジャ95とボール96とは別体であるが、プランジャ95の下面には前記実施例1の様な下凹部及び横溝が設けられておらず、プランジャ95の下面はフラットである。
【0066】この構成によっても、前記実施例1とほぼ同様な効果が得られるとともに、下凹部等の加工が不要であるという利点がある。尚、本発明は上記実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り、種々の態様で実施できることはいうまでもない。
【0067】例えば前記実施例では、ブレーキ制御装置を例に挙げたが、本発明の電磁弁は、上述した圧力変動に起因する開弁が発生するような各種の液圧回路に適用することができる。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成11年8月27日(1999.8.27)
【代理人】 【識別番号】100082500
【弁理士】
【氏名又は名称】足立 勉
【公開番号】 特開2001−65728(P2001−65728A)
【公開日】 平成13年3月16日(2001.3.16)
【出願番号】 特願平11−241468