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【発明の名称】 電動コントロールバルブの弁開度維持制御方法および弁開度制御装置
【発明者】 【氏名】小宮 靖雄

【氏名】木下 峰夫

【氏名】谷井 吐句児

【要約】 【課題】最低必要限度の電力をもって弁開度維持を行い、省エネルギ化を図ること。

【解決手段】電気式アクチュエータにより弁体を開閉駆動する電動コントロールバルブ100の弁開度制御装置において、電動コントロールバルブ100前後の圧力差を上流側圧力センサ61及び下流側圧力センサ62により計測し、この計測された圧力差と現在の弁開度との関係において現在の弁開度を維持するために必要な最低トルクを弁開度維持最低トルク演算部52により演算し、この弁開度維持最低トルク演算部52により演算された最低トルクを得る電流値をもって電気式アクチュエータ100に対する通電を通電制御部51により制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電気式アクチュエータにより弁体を開閉駆動する電動コントロールバルブの弁開度維持制御方法において、電動コントロールバルブ前後の圧力差を計測し、当該圧力差と現在の弁開度との関係において現在の弁開度を維持するために必要な最低トルクを演算し、当該最低トルクを得る電流値をもって前記電気式アクチュエータに対する通電を制御することを特徴とする電動コントロールバルブの弁開度維持制御方法。
【請求項2】 前記最低トルクに応じてデューティ比を決定し、そのデューティ比によるパルス通電により前記電気式アクチュエータの電流制御を疑似的に行うことを特徴とする請求項1に記載の電動コントロールバルブの弁開度維持制御方法。
【請求項3】 電気式アクチュエータにより弁体を開閉駆動する電動コントロールバルブの弁開度制御装置において、電動コントロールバルブ前後の圧力差を計測する圧力差計測手段と、前記圧力差計測手段により計測された圧力差と現在の弁開度との関係において現在の弁開度を維持するために必要な最低トルクを演算する最低トルク演算手段と、前記最低トルク演算手段により演算された最低トルクを得る電流値をもって前記電気式アクチュエータに対する通電を制御する通電制御手段と、を有していることを特徴とする電動コントロールバルブの弁開度制御装置。
【請求項4】 前記最低トルク演算手段により演算された最低トルクに応じてデューティ比を決定するデューティ比決定手段を有し、前記通電制御手段は前記デューティ比決定手段により決定されたデューティ比によるパルス通電により前記電気式アクチュエータの電流制御を疑似的に行うことを特徴とする請求項3に記載の電動コントロールバルブの弁開度制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電動コントロールバルブの弁開度維持制御方法および弁開度制御装置に関し、特に、冷凍サイクル装置の回転式電動膨張弁等として使用される回転式の電動コントロールバルブの弁開度維持制御方法および弁開度制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】冷凍サイクル装置の膨張弁等として使用される回転式の電動コントロールバルブとして、特開平8−312823号公報に示されているように、偏心外周面を有した弁体が横断面形状が円形の弁室内に配置され、前記弁室の内周面に対して入口ポートと出口ポートとが開口し、前記弁体がステッピングモータ等の電気式アクチュエータにより自身の中心軸線の周りに回転駆動されることにより、弁体の前記偏心外周面と前記弁室の内周面との間の径方向の間隙寸法を変化し、当該間隙寸法の変化に応じて前記入口ポートと前記出口ポートとの間の連通度を連続的に変化し、流量等を定量的に計量制御する型式の電動コントロールバルブが知られている。
【0003】上述のような電動式コントロールバルブでは、電動コントロールバルブの前後で圧力差があると、その圧力差が弁体に対して閉弁方向に作用し、弁体が閉弁方向に回転するため、弁開度指令による弁開度を維持するためには、電気式アクチュエータに対して常時通電している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】電動コントロールバルブの弁開度維持に必要な弁駆動力、換言すれば、電気式アクチュエータのトルクは電動コントロールバルブの前後の圧力差と現在の弁開度との関係で決まり、電動式コントロールバルブの前後の圧力差が低い程、必要トルクは少なくなる。
【0005】しかし、従来は、弁開度維持のために、弁体が所定の弁開度箇所に位置したのちも、常時通電は定格電流(電圧)により行っているため、無駄な電力消費があり、省エネルギ化に反するものである。
【0006】この発明は、上述の如き問題点を解消するためになされたもので、最低必要限度の電力をもって弁開度維持を行い、省エネルギ化を図ることができる電動コントロールバルブの弁開度維持制御方法および弁開度制御装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するために、請求項1記載の発明による電動コントロールバルブの弁開度維持制御方法は、電気式アクチュエータにより弁体を開閉駆動する電動コントロールバルブの弁開度維持制御方法において、電動コントロールバルブ前後の圧力差を計測し、当該圧力差と現在の弁開度との関係において現在の弁開度を維持するために必要な最低トルクを演算し、当該最低トルクを得る電流値をもって前記電気式アクチュエータに対する通電を制御するものである。
【0008】請求項2記載の発明による電動コントロールバルブの弁開度維持制御方法は、前記最低トルクに応じてデューティ比を決定し、そのデューティ比によるパルス通電により前記電気式アクチュエータの電流制御を疑似的に行うものである。
【0009】また、上述の目的を達成するために、請求項3記載の発明による電動コントロールバルブの弁開度制御装置は、電気式アクチュエータにより弁体を開閉駆動する電動コントロールバルブの弁開度制御装置において、電動コントロールバルブ前後の圧力差を計測する圧力差計測手段と、前記圧力差計測手段により計測された圧力差と現在の弁開度との関係において現在の弁開度を維持するために必要な最低トルクを演算する最低トルク演算手段と、前記最低トルク演算手段により演算された最低トルクを得る電流値をもって前記電気式アクチュエータに対する通電を制御する通電制御手段とを有しているものである。
【0010】請求項4記載の発明による電動コントロールバルブの弁開度制御装置は、前記最低トルク演算手段により演算された最低トルクに応じてデューティ比を決定するデューティ比決定手段を有し、前記通電制御手段は前記デューティ比決定手段により決定されたデューティ比によるパルス通電により前記電気式アクチュエータの電流制御を疑似的に行うものである。
【0011】請求項1記載の発明による電動コントロールバルブの弁開度維持制御方法では、電動コントロールバルブ前後の圧力差の現在の弁開度との関係において現在の弁開度を維持するために必要な最低トルクを得る電流値をもって電気式アクチュエータに対する通電が制御が行われる。
【0012】請求項2記載の発明による電動コントロールバルブの弁開度維持制御方法では、最低トルクに応じたデューティ比によるパルス通電により電気式アクチュエータの電流制御が、所謂、デューティ制御により疑似的に行われる。
【0013】請求項3記載の発明による電動コントロールバルブの弁開度制御装置では、圧力差計測手段が電動コントロールバルブ前後の圧力差を計測し、最低トルク演算手段が圧力差計測手段により計測された圧力差と現在の弁開度との関係において現在の弁開度を維持するために必要な最低トルクを演算し、通電制御手段が最低トルク演算手段により演算された最低トルクを得る電流値をもって電気式アクチュエータに対する通電を制御する。
【0014】請求項4記載の発明による電動コントロールバルブの弁開度制御装置では、デューティ比決定手段が最低トルクに応じてデューティ比を決定し、通電制御手段は前記デューティ比決定手段により決定されたデューティ比によるパルス通電により電気式アクチュエータの電流制御を、所謂、デューティ制御により疑似的に行う。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に添付の図を参照してこの発明の実施の形態を詳細に説明する。図1はこの発明による電動コントロールバルブの弁開度制御装置の一つの実施の形態を示している。
【0016】図1において、50は電動コントロールバルブ100の弁開度制御装置を示している。弁開度制御装置50は、電動コントロールバルブ100の電気式アクチュエータ(後述するステッピングモータ8)に対する通電を制御する通電制御部51と、弁開度維持最低トルク演算部52と、弁開度維持のためのデューティ比演算部(デューティ比決定部)53とを有している。
【0017】通電制御部51は、弁開度指令により電動コントロールバルブ100の弁開度が弁開度指令による弁開度になるように、電動コントロールバルブ100の電気式アクチュエータに対する通電を行い、電動コントロールバルブ100の弁開度が弁開度指令による弁開度になれば、デューティ比演算部53により演算されたデューティ比によるパルス通電により電動コントロールバルブ100の電気式アクチュエータに対する通電を行う。
【0018】弁開度維持最低トルク演算部52は、上流側圧力センサ61から電動コントロールバルブ100より上流側の圧力計測値を取り込むと共に、下流側圧力センサ62から電動コントロールバルブ100より下流側の圧力計測値を取り込み、通電制御部51より現在の弁開度に関する情報を取り込み、上流側圧力センサ61により計測された圧力計測値と下流側圧力センサ62により計測された圧力計測値により算出できる電動コントロールバルブ100前後の圧力差と現在の弁開度との関係において現在の弁開度を維持するために必要な最低トルクを演算する。
【0019】なお、ここで云う最低トルクの演算は、データテーブルよりの最低トルクの読み出しを含む。また、この実施の形態では、上流側圧力センサ61と下流側圧力センサ62とが圧力差計測手段をなす。
【0020】デューティ比演算部53は、弁開度維持最低トルク演算部52により演算された最低トルクに応じてデューティ比制御による疑似電流制御のためのデューティ比を演算する。なお、ここで云うデューティ比の演算も、データテーブルよりのデューティ比の読み出しを含む。
【0021】弁開度制御装置50は、全体をマイクロコンピュータによりソウトウェア的に具現することができる。
【0022】つぎに、図2に示されているフローチャートを参照してこの発明による電動コントロールバルブの弁開度維持制御方法および弁開度制御装置の動作について説明する。
【0023】図2に示されているルーチンは時間割込み等により繰り返し実行されるものであり、まず、新規の弁開度指令を入力したか否かを判別する(ステップS10)。新規の弁開度指令を入力すると(ステップS10でY)、その弁開度指令による弁開度になるように、電動コントロールバルブ100の電気式アクチュエータに対する定格電流(電圧)による通電、所謂、弁開閉通電を行う(ステップS11)。
【0024】この後に、弁開度指令による弁開度での弁停止を確認する(ステップS12)。この弁停止の確認は、電気式アクチュエータ100の負荷電流の変化、弁開度指令入力よりの経過時間計時等により行うことができる。
【0025】弁開度指令による弁開度での弁停止を確認すれば(ステップS12でY)、あるいは、新規の弁開度指令の入力がない場合には(ステップS10でN)、現在の弁開度情報を入力し(ステップS13)、続いて、上流側圧力センサ61から電動コントロールバルブ100より上流側の圧力計測値を入力すると共に、下流側圧力センサ62から電動コントロールバルブ100より下流側の圧力計測値を入力し(ステップS14)上流側圧力センサ61により計測された圧力計測値と下流側圧力センサ62により計測された圧力計測値により算出できる電動コントロールバルブ100前後の圧力差と現在の弁開度との関係において現在の弁開度を維持するために必要な最低トルクを演算する(ステップS15)。
【0026】つぎに、最低トルクに応じてデューティ比を演算し(ステップS16)、そのデューティ比によるパルス通電を行い(ステップS17)、デューティ比制御による疑似電流制御を行う。
【0027】これにより、弁開度指令による弁開度で弁停止すると、デューティ比制御による疑似電流制御により、必要最小限の電力をもって弁開度維持が行われ、省エネルギ化ず図られる。
【0028】参考のために、この発明による電動コントロールバルブの弁開度維持制御方法が適用されて好適な電動コントロールバルブの例を、図3、図4を参照して説明する。
【0029】電動コントロールバルブ100は金属製の弁ハウジング1を有し、弁ハウジング1には、横断面形状が円形の有底孔状の弁室2と、弁室2の内周面に対して開口した入口ポート3および出口ポート4とが形成されている。
【0030】弁ハウジング1の上部にはストッパ突起片5a付きの円環状の取付座金5がろう付け部6により気密にろう付け固定されている。取付座金5上には、キャップ状のロータケース7が、取付座金5とロータケース7の外鍔状のフランジ7aとによるフランジ結合部の溶接により、気密に固着している。
【0031】ロータケース7内には電気的アクチュエータであるステッピングモータ8のロータ9が回転可能に配置され、ロータケース7の外側に円筒状のコイル組立体10が嵌合している。コイル組立体10は、巻線部11、コイルカバー12、コネクタ部13、位置決め固定金具14とにより構成され、位置決め固定金具14に形成されている係止爪14aが弁ハウジング1に固定されている位置決めピン15に係合し、位置決め固定金具14の係合爪14bが取付座金5の外周端面に押し付けられることにより、がた付きを抑制された状態で、弁ハウジング1とロータケース7との結合体に位置決め固定される。
【0032】ロータ9は、中央孔9aを有する円筒状をなしており、磁性粉を混練されて着磁した樹脂成形品で構成されている。ロータ9の中央孔9aには、ロータ9とは別の単品として成形されたPPS樹脂等による樹脂成形品による弁体16の頭部16aが挿入されている。
【0033】ロータ9にはストッパ片9bが一体成形されており、ストッパ片9bが取付座金5に折曲形成されたストッパ突起片5aと当接することにより、ロータ9の回転範囲が定められている。
【0034】弁体16は、弁ハウジング1に形成された横断面形状が円形の弁室2内に回転可能に嵌合配置されており、入口ポート3および出口ポート4に対向する外周面部に、図3に示されているように、全開用溝16dを含む計量用の偏心外周面16cを形成され、自身の中心軸線の周りに回転することにより、偏心外周面16cと弁室2の内周面2aとの間の径方向の間隙寸法を変化し、この間隙寸法の変化に応じて入口ポート3と出口ポート4との間の連通度(弁開度)を連続的に変化する。
【0035】弁体16には金属製の心軸23がインサート成形され、心軸23は弁室2の底部に配置された軸受ブッシュ24に回転可能に係合している。
【0036】上述の構成による回転式コントロールバルブによれば、ステッピングモータ8によって弁体16が直接的に回転駆動され、弁体16が自身の中心軸線の周りに回転することにより、偏心外周面16cと弁室2の内周面2aとの間の径方向の間隙寸法を連続的に変化し、この間隙寸法の変化に応じて入口ポート3と出口ポート4との間の連通度が変化し、その連通度に応じた流量をもって冷媒等の流体が入口ポート3より出口ポート4へ流れる。
【0037】
【発明の効果】以上の説明から理解される如く、この発明による請求項1記載の発明による電動コントロールバルブの弁開度維持制御方法によれば、電動コントロールバルブ前後の圧力差の現在の弁開度との関係において現在の弁開度を維持するために必要な最低トルクを得る電流値をもって電気式アクチュエータに対する通電が制御が行われるから、最低必要限度の電力をもって弁開度維持を行い、無駄な電力消費を伴うことなく省エネルギ化を図ることができる。
【0038】請求項2記載の発明による電動コントロールバルブの弁開度維持制御方法によれば、最低トルクに応じたデューティ比によるパルス通電により電気式アクチュエータの電流制御が、所謂、デューティ制御により疑似的に行われるから、特別な電流制御回路等を必要とすることなく、電気式アクチュエータの電流制御が行われ、無駄な電力消費を伴うことなく省エネルギ化を図ることができる。
【0039】請求項3記載の発明による電動コントロールバルブの弁開度制御装置によれば、圧力差計測手段が電動コントロールバルブ前後の圧力差を計測し、最低トルク演算手段が圧力差計測手段により計測された圧力差と現在の弁開度との関係において現在の弁開度を維持するために必要な最低トルクを演算し、通電制御手段が最低トルク演算手段により演算された最低トルクを得る電流値をもって電気式アクチュエータに対する通電を制御するから、最低必要限度の電力をもって弁開度維持が行われ、無駄な電力消費を伴うことなく省エネルギ化を図ることができる。
【0040】請求項4記載の発明による電動コントロールバルブの弁開度制御装置によれば、デューティ比決定手段が最低トルクに応じてデューティ比を決定し、通電制御手段は前記デューティ比決定手段により決定されたデューティ比によるパルス通電により電気式アクチュエータの電流制御を、所謂、デューティ制御により疑似的に行うから、特別な電流制御回路等を必要とすることなく、電気式アクチュエータの電流制御が行われ、無駄な電力消費を伴うことなく省エネルギ化を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
【出願日】 平成11年8月25日(1999.8.25)
【代理人】 【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄 (外1名)
【公開番号】 特開2001−65725(P2001−65725A)
【公開日】 平成13年3月16日(2001.3.16)
【出願番号】 特願平11−238115