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【発明の名称】 流量調節弁
【発明者】 【氏名】木村 剛三

【要約】 【課題】流量の微調節を容易に行なえる流量調節弁を提供する。

【解決手段】流量調節弁1は、ケーシング2と、筒状弁体3とを備える。ケーシング2は、入口開口2aと、複数の出口開口2bを有する。筒状弁体3は、出口開口2bと連通する連通孔3aを有し、ケーシング2内に回転操作可能に組み込まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水道管に取り付けられ水の流量を調節する流量調節弁であって、水を受け入れる入口開口と、水を流出させる複数の出口開口とを有する筒状ケーシングと、前記ケーシング内に回転操作可能に設置され、前記出口開口の開口度を調整するための筒状弁体と、を備えた、流量調節弁。
【請求項2】 前記筒状弁体は、該筒状弁体の内部空間と前記出口開口とを連通させる連通孔あるいは切欠部と、前記筒状弁体の回転角により前記出口開口の開口度を調節するための壁部とを有する、請求項1に記載の流量調節弁。
【請求項3】 前記出口開口は、第1および第2出口開口を含み、前記壁部は、前記第1および第2出口開口の開口度を順次調節する第1および第2壁部を含む、請求項2に記載の流量調節弁。
【請求項4】 前記第1壁部により前記第1出口開口を閉じた状態で前記第2壁部により前記第2出口開口の開口度を調節する、請求項3に記載の流量調節弁。
【請求項5】 前記第1出口開口は、前記第2出口開口に対し前記ケーシングの軸方向にずれた位置に配置される、請求項3または4に記載の流量調節弁。
【請求項6】 前記第1出口開口は、前記第2出口開口に対し前記ケーシングの周方向にずれた位置に配置される、請求項3から5のいずれかに記載の流量調節弁。
【請求項7】 前記第1出口開口の開口面積は、前記第2出口開口の開口面積と異なる、請求項3から6のいずれかに記載の流量調節弁。
【請求項8】 前記第1および第2出口開口は、前記ケーシングの軸方向に並んで配置され、前記第1および第2出口開口から前記ケーシングの周方向に約180度ずれた位置に、第3および第4出口開口を設け、前記壁部は、前記第3および第4出口開口の開口度を順次調節する第3および第4壁部を含む、請求項3に記載の流量調節弁。
【請求項9】 前記筒状弁体の内側に、前記出口開口における目詰まり防止のための移動体を設置し、前記移動体は、前記ケーシングの軸方向に移動可能に弾性部材に支持される、請求項1から8のいずれかに記載の流量調節弁。
【請求項10】 前記筒状弁体と前記ケーシング間に、前記筒状弁体の不必要な回転を抑制するための回転抑制手段を設けた、請求項1から9のいずれかに記載の流量調節弁。
【請求項11】 前記回転抑制手段は、前記筒状弁体と前記ケーシング間に設置されたOリングを含む、請求項10に記載の流量調節弁。
【請求項12】 前記ケーシングに、前記筒状弁体と係合して前記ケーシングからの前記筒状弁体の抜けを防止する抜け防止部材を設置した、請求項1から11のいずれかに記載の流量調節弁。
【請求項13】 前記筒状弁体の一方の軸方向端面は、前記ケーシングの軸方向端面に露出し、前記筒状弁体の前記軸方向端面に、前記筒状弁体を回転操作するための溝部を設けた、請求項1から12のいずれかに記載の流量調節弁。
【請求項14】 前記ケーシングの前記軸方向端面あるいは前記筒状弁体の前記軸方向端面に、節水の程度を示す指標を付した、請求項1から13のいずれかに記載の流量調節弁。
【請求項15】 前記ケーシングに外嵌され、前記出口開口から流出した水が水道管に直接当たるのを阻止するための筒状部材を備える、請求項1から14のいずれかに記載の流量調節弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水道管に取り付けられ水の流量を調節する流量調節弁の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、水道管に取り付けられ水の流量を調節する流量調節弁は知られている。図7に、従来の流量調節弁の一例を示す。
【0003】図7に示すように、流量調節弁1は、たとえば水道の蛇口部分10に装着される。水道管を流れてきた水は、この流量調節弁1で流量調節された後、外部に流出する。
【0004】図8に、従来の流量調節弁1の断面構造例を示す。この図に示す流量調節弁1は、ケーシング2と、おねじ11とを備える。ケーシング2は、その軸方向一端に水道管からの水を受け入れる入口開口2aと、側壁に水を流出させる出口開口2bとを有する。おねじ11は、ケーシング2の底部に設けられたねじ孔に螺着される。
【0005】水道管からの水は、図8に矢印で示すように、入口開口2aからケーシング2内に流入し、その後出口開口2bを通ってケーシング2の外部に流出する。水の流出量を調節するには、上記のおねじ11を回転操作しておねじ11の頂部をケーシング2の軸方向に移動させる。それにより、出口開口2bの開度を変化させることができ、ケーシング2からの水の流出量を調節することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述の流量調節弁1では、おねじ11の回転操作によりおねじ11頂部を少しづつ移動させて水の流量の微調節を行なうことができる。しかしながら、実際におねじ11を回転操作しておねじ11頂部を微小量移動させ、水の流量を高精度に調節する作業は困難であった。
【0007】本発明は、上記の課題を解決するためになされたものである。本発明の目的は、水の流量を微調整する作業が格段に容易となる流量調節弁を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る流量調節弁は、水道管に取り付けられ水の流量を調節するためのものであり、筒状のケーシングと、筒状弁体とを備える。ケーシングは、水を受け入る入口開口と、水を流出させる複数の出口開口とを有する。筒状弁体は、ケーシング内に回転操作可能に設置され、出口開口の開口度を調節する。
【0009】本願の発明者は、流量の微調節を容易に行なえる新規な弁体の構造について鋭意検討を重ねた結果、弁体を筒状にすることを想到した。このように筒状弁体を採用することにより、たとえば該筒状弁体をケーシングの周方向に1回転(360度回転)させるだけで、出口開口を順次閉じながらその開口度をも調節することができる。より詳しくは、筒状弁体の適切な位置にケーシングの出口開口と連通する連通孔や切欠部等を設けることにより、筒状弁体をケーシングの周方向に所定角度回転させるだけで、所望の出口開口の開閉とともに開口度の調節をも行なえる。それにより、水の流量を微調節することができる。上記のように筒状弁体を所定角度(たとえば360度以下)回転させるだけで水の流量を調節することができるので、流量調節作業を従来例よりも格段に容易に行なえる。
【0010】上記筒状弁体は、好ましくは、該筒状弁体の内部空間と出口開口とを連通させる連通孔あるいは切欠部と、筒状弁体の回転角により出口開口の開口度を調節するための壁部とを有する。
【0011】まず、筒状弁体の上記の連通孔あるいは切欠部の位置を各出口開口の位置と一致させることにより、全ての出口開口を全開状態とすることができ、水の流量を最大にすることができる。この状態から筒状弁体を徐々に回転操作することにより、たとえば所望の出口開口の開口度を筒状弁体の壁部で順次調節しながら出口開口を順次閉じることができる。それにより、ケーシングからの水の流出量を滑らかに制御することができる。
【0012】上記出口開口は、第1および第2出口開口を含み、壁部は、好ましくは、該第1および第2出口開口の開口度を順次調節する第1および第2壁部を含む。
【0013】このように第1および第2壁部を有することにより、第1および第2出口開口の開口度を順次調節することができ、上述のように水の流出量を滑らかに制御することができる。
【0014】なお、第1壁部により第1出口開口を閉じた状態で第2壁部により第2出口開口の開口度を調節してもよい。
【0015】それにより、複数の出口開口を順次閉じつつ出口開口の開口度を調節することができ、複数の出口開口の開口度を同時に調節する従来例よりも多段階かつ滑らかな流量調節を行なえる。
【0016】上記第1出口開口は、第2出口開口に対しケーシングの軸方向にずれた位置に配置されてもよい。また、第1出口開口は、第2出口開口に対しケーシングの周方向にずれた位置に配置されてもよい。
【0017】これらのいずれの場合にも、各出口開口に対応した位置に筒状弁体の連通孔や切欠部等を設けることにより、筒状弁体の壁部で各出口開口を順次閉じつつその開口度を調節することができる。
【0018】上記第1出口開口の開口面積は、好ましくは、第2出口開口の開口面積と異なる。
【0019】それにより、各出口開口から流出する水の量をさまざまに変化させることができ、流量調節を多様化することができる。特に、最終段階で閉じられる出口開口の開口面積を小さく設定することにより、流量の小さい領域における滑らかな流量調節を行なえる。その結果、あたかも無段階であるかのような滑らかな流量調節が可能となる。
【0020】上記第1および第2出口開口は、ケーシングの軸方向に並んで配置され、この第1および第2出口開口からケーシングの周方向に約180度ずれた位置に、第3および第4出口開口を設けてもよい。この場合、壁部は、第3および第4出口開口の開口度を順次調節する第3および第4壁部を含む。
【0021】上記の位置に第1〜第4出口開口を設けることにより、ケーシングにおいて約180度ずれた箇所からそれぞれ外部に水を流出させることができる。それにより、ケーシングががたつくことを効果的に抑制することができる。
【0022】上記筒状弁体の内側には、出口開口における目詰まり防止のための移動体を設置することが好ましい。この移動体は、ケーシングの軸方向に移動可能に弾性部材に支持される。
【0023】このように筒状弁体内に移動体を設置することにより、水道管内における水圧の変化等に応じて移動体をケーシングの軸方向に移動させることができる。このとき、出口開口と連通する筒状弁体の連通孔等の近傍に移動体を設置することにより、移動体によって該連通孔等の近傍のスケールやごみを除去することができる。それにより、連通孔等における目詰まりを抑制することができ、結果として出口開口における目詰まりをも抑制することができる。
【0024】上記筒状弁体とケーシング間に、筒状弁体の不必要な回転を抑制するための回転抑制手段を設けることが好ましい。ここで、不必要な回転とは、意図しない回転のことを意味する。
【0025】このように回転抑制手段を設けることにより、筒状弁体の不必要な回転を抑制することができ、筒状弁体を所望の角度位置(たとえば出口開口の全開位置(初期位置)から90度回転させた位置)に固定することができる。つまり、水圧の変化等の外部要因に起因する筒状弁体の経時的な回転角のずれを効果的に抑制することができる。それにより、予期せぬ流量変化が生じるのを抑制することができる。
【0026】上記回転抑制手段は、筒状弁体とケーシング間に設置されたOリングを含む。回転抑制手段の一例としてOリングを挙げることができる。このOリングを筒状弁体とケーシング間に介在させることにより、筒状弁体とケーシング間の相対回転を抑制することができる。
【0027】上記ケーシングに、筒状弁体と係合してケーシングからの筒状弁体の抜けを防止する抜け防止部材を設置することが好ましい。
【0028】それにより、筒状弁体の抜けを防止することができ、安定して流量調節を行なえる。
【0029】上記筒状弁体の一方の軸方向端面は、好ましくは、ケーシングの軸方向端面に露出する。この筒状弁体の軸方向端面に、筒状弁体を回転操作するための溝部を設ける。
【0030】このように筒状弁体の軸方向端面に溝部を設けることにより、たとえばドライバ等の治具を用いて容易に筒状弁体を回転操作することができる。
【0031】上記ケーシングの軸方向端面あるいは筒状弁体の軸方向端面に、節水の程度(節水率)を示す指標を付すことが好ましい。この指標としては、記号、数字、文字、模様、刻印等様々な態様が考えられる。
【0032】上記のような指標をケーシングの軸方向端面等に付すことにより、たとえば筒状弁体の回転操作用の溝部の一端を該指標のいずれかに合わせるように筒状弁体を回転操作するだけで節水率を所望の値に正確に調節することができる。それにより、節水率の調節を容易かつ高精度に行なえるばかりでなく、流量調節弁の取付け後における節水率の確認や修正をも容易に行なえる。
【0033】上記ケーシングに外嵌され、出口開口から流出した水が水道管に直接当たるのを阻止するための筒状部材を備えることが好ましい。
【0034】かかる部材を設置することにより、出口開口から流出した水をこの部材に当てることができ、水を下方(下流側)に向けて整流することができる。また、出口開口から流出した水が水道管に直接当たるのを阻止することもできる。それにより、水道管を保護することができる。さらに、筒状部材を水道管とケーシングとの間に設置することにより、ケーシングを水道管に固定することもでき、ケーシングががたつくことをも抑制することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】本発明では、流量調節弁において略筒状の弁体(筒状弁体)を採用したことを重要な特徴としている。
【0036】本願の発明者は、流量の微調節を容易に行なえる新規な弁体の構造について鋭意検討を重ね、たとえば流量調節弁のケーシングの周方向に1回転(360度回転)させるだけで全流量域(流量調節弁の全開状態から流量調節弁を閉じた状態まで)において高精度かつ滑らかに流量調節を行なえる筒状弁体を想到した。
【0037】該筒状弁体をケーシング内に設置し、筒状弁体にケーシングの出口開口と連通する連通孔等を設ける。この筒状弁体をケーシングの周方向に所定角度(360度以下)回転操作するだけで、ケーシングの出口開口を開閉するとともに該出口開口の開口度の調節をも行なうことができる。それにより、水の流量を調節することができる。
【0038】上記のように筒状弁体を所定角度回転操作するだけで水の流量を調節することができるので、流量調節作業を従来例よりも格段に容易に行なえる。そればかりでなく、筒状弁体の回転角度によって水の流量調節を行なえるので、高精度に流量調節を行なえる。さらに、流量調節後の確認や修正をも容易に行なえる。
【0039】以下、図1〜図6を用いて、本発明の具体例について説明する。
(実施の形態1)図1、図2および図5を用いて、本発明の実施の形態1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1における流量調節弁1を水道管9に取付けた状態を示す断面図である。
【0040】図1に示すように、流量調節弁1は、水道管を流れる水の流量を調節するためのものであり、筒状のケーシング2と、筒状弁体3と、キャップ部材(抜け防止部材)5と、ボール(移動体)6と、スプリング(弾性部材)7と、筒状部材8とを備える。
【0041】ケーシング2は、水を受け入れる入口開口2aと、水を流出させる複数の出口開口2bと、係合部2cと、貫通孔2dとを有する。
【0042】入口開口2aは、ケーシング2の軸方向の一端に設けられる。本実施の形態1では、入口開口2aは、キャップ部材5の内周面により規定される。出口開口2bは、ケーシング2の側壁に設けられる。
【0043】係合部2cは、筒状弁体3の軸方向の一端と係合し、筒状弁体3の抜けを防止する。貫通孔2dは、筒状弁体3の軸方向の一端を受け入れる。
【0044】筒状弁体3は、図1に示すように略筒状形状を有し、ケーシング2内に回転操作可能に挿入され、連通孔3aと、溝部3bと、貫通孔3gとを備える。この筒状弁体3により、出口開口2bの開口度(開口面積)を調節することができる。
【0045】連通孔3aは、筒状弁体3の内部空間と出口開口2bと連通させる。筒状弁体3をケーシング2の周方向に回転操作することにより、この連通孔3aと出口開口2bとが重なる面積を変化させることができる。それにより、上述のように出口開口2bの開口度を調節することができる。なお、上記の連通孔3aとともに、あるいはこの連通孔3aの代わりに切欠部を筒状弁体3に設け、出口開口2bの開口度を調節してもよい。
【0046】溝部3bは、筒状弁体3をケーシング2の周方向に回転操作するためのものであり、筒状弁体3の一方の軸方向端面3fに設けられる。溝部3bの形状については任意に選択可能であるが、通常のドライバで筒状弁体3を回転操作可能なように、溝部3bはー(マイナス)形状あるいは+(プラス)形状とすることが好ましい。
【0047】貫通孔3gは、通水時に弁体周辺に気泡が溜まるのを抑制する。この貫通孔3gを設けることにより、笛のような異常音の発生を抑制することができる。
【0048】ケーシング2と筒状弁体3間に、筒状弁体3の不必要な回転を抑制するためのOリング(回転抑制手段)4を設ける。Oリング4は、この場合であれば2箇所に設置されている。
【0049】このようにOリング4を設けることにより、筒状弁体3の不必要な回転を抑制することができ、筒状弁体3をケーシング2の周方向の所定位置に固定することができる。つまり、水圧の変化等の外部要因に起因する筒状弁体3の経時的な回転角のずれ(ケーシング2に対する筒状弁体3の相対回転)を効果的に抑制することができる。それにより、予期せぬ流量変化が生じるのを効果的に抑制することができる。
【0050】なお、ケーシング2に対する筒状弁体3の相対回転を抑制可能なものであれば、Oリング4以外の任意の手段を選択することができるキャップ部材(抜け防止部材)5は、ケーシング2の軸方向の一端に嵌入され、筒状弁体3と係合してケーシング2からの筒状弁体3の抜けを防止する。より詳しくは、キャップ部材5は、図1に示すように、筒状部とフランジ部とを有し、該筒状部がケーシング2内に嵌入され、フランジ部がケーシング2の一方の軸方向端面と係合する。そして、上記の筒状部の下端が、筒状弁体3の一方の軸方向端面と係合する。それにより、ケーシング2からの筒状弁体3の抜けを防止することができ、安定して流量調節を行なえる。
【0051】ボール(移動体)6は、たとえば金属製であり、筒状弁体3の内径とほぼ等しい直径を有し、筒状弁体3内でスプリング7に支持され、止水時や通水時における水圧の変化等により筒状弁体3内でその軸方向に移動する。該ボール6を連通孔3aの近傍に設置することにより、ボール6によって連通孔3a近傍のスケールやごみを除去することができ、連通孔3aにスケールやごみが詰まるのを抑制することができる。それにより、結果として出口開口2bの目詰まりを抑制することができる。
【0052】なお、移動体の一例としてボール6を挙げたが、筒状弁体3内でその軸方向に移動可能であれば、ボール6以外の任意の形状の移動体を採用することができる。たとえば半球状やカップ状の移動体を使用してもよい。
【0053】筒状部材8は、水道管9とケーシング2間に介装される。この筒状部材8にケーシング2を圧入固定し、この状態でそれらを水道管9に組み込む。図1に示すように、筒状部材8の軸方向の一端(下端)は、出口開口2bよりも下方(下流側)にまで延在する。
【0054】それにより、出口開口2bから流出した水を筒状部材8に当てることができ、水を下方に向けて整流することができる。また、出口開口2bから流出した水が水道管9に直接当たるのを阻止することもでき、水道管9を保護することができる。さらに、筒状部材8を水道管9とケーシング2との間に設置することにより、ケーシング2を水道管9に固定することができ、ケーシング2ががたつくことをも抑制することができる。
【0055】上記の構成を有する流量調節弁1内に入口開口2aから水が流入し、連通孔3aおよび出口開口2bを通して外部に流出する。このとき、予め筒状弁体3を回転操作して出口開口2bの開口度を調節しておくことにより、水の流量を調節することができる。出口開口2bから流出した水は、図1に示すように水道管9に直接当たることなく筒状部材8に当たり、その後下方に流れていく。
【0056】次に、図2を用いて、ケーシング2と筒状弁体3の形態例について説明する。図2(a)は、流量調節弁1の斜視図であり、図2(b)は、筒状弁体3の斜視図である。
【0057】図2(a)に示すように、ケーシング2は、側壁に第1〜第4出口開口2b1〜2b4を有する。第1および第2出口開口2b1,2b2は、ケーシング2の軸方向に並んで配置され、この第1および第2出口開口2b1,2b2からケーシング2の周方向に約180度ずれた位置(互いに対向する位置)に、第3および第4出口開口2b3,2b4を設けている。
【0058】上記の位置に第1〜第4出口開口2b1〜2b4を設けることにより、ケーシング2において約180度ずれた箇所からそれぞれ水を流出させることができる。それにより、ケーシング2ががたつくことを抑制することができる。
【0059】図2(a)に示す態様では、第1出口開口2b1の開口面積と第3出口開口2b3の開口面積とは等しく、第2出口開口2b2の開口面積と第4出口開口2b4の開口面積とは等しい。しかし、これらを異ならせてもよい。
【0060】また、第1および第3出口開口2b1,2b3の開口面積が、第2および第4出口開口2b2,2b4の開口面積よりも大きくなっている。このように出口開口の開口面積を異ならせることにより、各出口開口から流出する水の量をさまざまに変化させることができ、多様な流量調節を行なうことができる。
【0061】特に、開口面積の小さい第2および第4出口開口2b2,2b4を最終段階で閉じるようにすることにより、流量の小さい領域における滑らかな流量調節を行なえる。その結果、あたかも無段階であるかのような滑らかな流量調節が可能となる。
【0062】次に、図2(b)を参照して、筒状弁体3は、該筒状弁体3の内部空間と各出口開口2b1〜2b4とを連通させる第1連通孔3a1、第2連通孔3a2、第1切欠部3d1および第2切欠部3d2と、筒状弁体3の回転角により各出口開口2b1〜2b4の開口度を調節するための壁部3cとを有する。
【0063】壁部3cは、第1および第2連通孔3a1,3a2間に位置する第1および第2壁部と、筒状弁体3の軸方向に突出する第1および第2突出部(第3および4壁部)3e1,3e2とを有する。
【0064】第1および第2壁部が、第1および第3出口開口2b1,2b3の開口度を順次調節し、第1および第2突出部3e1,3e2が、第2および第4出口開口2b2,2b4の開口度を順次調節する。
【0065】ここで、各出口開口2b1〜2b4の開口度の調節方法について説明する。まず、筒状弁体3における上記の第1および第2連通孔3a1,3a2の位置と、第1および第2切欠部3d1,3d2の位置とを各出口開口2b1〜2b4の位置と合わせる。それにより、全ての出口開口2b1〜2b4を全開状態とすることができ、水の流量を最大にすることができる。
【0066】この状態から図2(b)において矢印で示す右方向に筒状弁体3を回転操作する。それにより、第1壁部が徐々に右方向に移動し、第1出口開口2b1が第1壁部により徐々に閉じられ、その際に第1出口開口2b1の開口度が調節される。その結果、水の流量を低減することができる。
【0067】このとき、第2連通孔3a2を所定の長径(たとえば第3出口開口2b3の開口径の2倍)を有する長孔としておく。それにより、第1出口開口2b1を閉じた後においても第3出口開口2b3を全開状態とすることができる。また、第1および第2切欠部3d1,3d2により、第2および第4出口開口2b2,2b4の全開状態を維持することができる。
【0068】次に、さらに右方向に筒状弁体3を回転操作することにより、第2壁部によって第3出口開口2b3を徐々に閉じることができる。それにより、水の流量をさらに低減することができる。このとき、第1出口開口2b1は第1壁部により閉じられたままの状態となる。また、第2および第4出口開口2b2,2b4の全開状態も維持される。
【0069】上記の状態からさらに筒状弁体3を右方向に回転操作する。それにより、第1突出部3e1によって第2出口開口2b2を徐々に閉じることができる。それにより、水の流量をさらに低減することができる。このとき、第1および第3出口開口2b1,2b3は第1および第2壁部によりそれぞれ閉じられたままの状態となる。しかし、第4出口開口2b4の全開状態は維持される。
【0070】この状態からさらに筒状弁体3を右方向に回転操作する。それにより、第2突出部3e2によって第4出口開口2b4を徐々に閉じることができる。この第4出口開口2b4を閉じきった段階で、筒状弁体3が約360度回転操作されたこととなる。このように第4出口開口2b4を閉じることにより、全ての出口開口2b1〜2b4が閉じられることとなる。
【0071】以上のように、各出口開口2b1〜2b4の開口度を筒状弁体3の壁部3cで順次調節しながら各出口開口2b1〜2b4を順次閉じることができるので、複数の出口開口の開口度を同時に調節する従来例よりも多段階かつ滑らかな流量調節を行なえる。
【0072】次に、本実施の形態1における流量調節弁1の底面構造について説明する。図5は、本実施の形態1における流量調節弁1の底面図である。
【0073】図5に示すように、筒状弁体3の一方の軸方向端面3fは、ケーシング2の軸方向端面に露出する。より詳しくは、ケーシング2の軸方向端面の内側に、筒状弁体3の一方の軸方向端面3fが露出する。そして、該露出した軸方向端面3fに、筒状弁体3を回転操作するための1対の直線状の溝部3bが設けられる。
【0074】このとき、ケーシング2の軸方向端面あるいは筒状弁体3の軸方向端面3fに、節水の程度(節水率)を示す指標を付すことが好ましい。この場合であれば、1〜4の数字による指標がケーシング2の軸方向端面に付されている。
【0075】このように指標を付すことにより、この指標と溝部3bの一方とを位置合わせするだけで所望の節水率を確実に達成することができるので、節水率の調節を容易かつ高精度に行なえる。そればかりでなく、流量調節弁の取付け後における節水率の確認や修正をも容易に行なえる。
【0076】なお、上記の指標としては、数字以外に、記号、文字、模様、刻印等様々な態様が考えられる。また、指標と溝部3bの一方との位置合わを行なう際の目印となるように、図5に示すように一方の溝部3bを着色したり溝部3bの近傍に刻印を付す等の処理を施すことが好ましい。
【0077】(実施の形態2)次に、図3を用いて、本発明の実施の形態2について説明する。図3は、本発明の実施の形態2における流量調節弁1を示す斜視図である。
【0078】図3に示すように、本実施の形態2では、ケーシング2に2つの出口開口2b1,2b2を設けている。この出口開口2b1,2b2は、ケーシング2の軸方向にずれて配置されるとともに、ケーシング2の周方向にも約180度ずれて配置されている。
【0079】また、図示していないが、各出口開口2b1,2b2を順次閉じることができるように筒状弁体3に特定形状の連通孔等が設けられる。それ以外の構成については、実施の形態1の場合と同様であるので説明は省略する。
【0080】本実施の形態2の場合にも、筒状弁体3の壁部3cで各出口開口2b1,2b2を順次閉じつつそれらの開口度を調節することができる。それにより、実施の形態1の場合と同様に、滑らかな流量調節を行なえる。
【0081】(実施の形態3)次に、図4を用いて、本発明の実施の形態3について説明する。図4(a)は、本発明の実施の形態3における流量調節弁1を示す斜視図である。図4(b)は、図4(a)に示す流量調節弁1において使用可能な筒状弁体3を示す斜視図である。
【0082】図4(a)に示すように、本実施の形態3では、第2および第4出口開口2b2,2b4が実施の形態1の場合より約90度ケーシング2の周方向にずれて形成されている。
【0083】また、図4(b)に示すように、筒状弁体3は、第1〜第4連通孔3a1〜3a4を有している。第1および第2連通孔3a1,3a2はほぼ同じ開口面積を有し、対向する位置に設けられる。この第1および第2連通孔3a1,3a2が第1および第3出口開口2b1,2b3とそれぞれ連通する。
【0084】第3および第4連通孔3a3,3a4もほぼ同じ開口面積を有し、対向する位置に設けられる。第3および第4連通孔3a3,3a4の中心を結ぶ線分は、好ましくは、第1および第2連通孔3a1,3a2の中心を結ぶ線分と直交する線分に対し所定角度(たとえば20度)傾斜する。この第3および第4連通孔3a3,3a4は、第2および第4出口開口2b2,2b4の開口面積よりも大きい開口面積(たとえば2倍)を有し、第2および第4出口開口2b2,2b4とそれぞれ連通する。
【0085】上記の第1〜第4連通孔3a1〜3a4の位置と第1〜第4出口開口2b1〜2b4の位置を合わせることにより、第1〜第4出口開口2b1〜2b4を全開状態とすることができる。
【0086】この状態から筒状弁体3を所定角度(たとえば数十度)回転操作することにより、第1および第3出口開口2b1,2b3が同時に閉じられる。より詳しくは、第1および第2連通孔3a1,3a2間に位置する壁部3cにより第1および第3出口開口2b1,2b3の開口度が徐々に調節された後、第1および第3出口開口2b1,2b3が同時に閉じられる。このとき、第2および第4出口開口2b2,2b4は全開状態となっている。
【0087】その後、さらに筒状弁体3を所定角度(たとえば数十度)回転操作することにより、第2および第4出口開口2b2,2b4が同時に閉じられる。より詳しくは、第3および第4連通孔3a3,3a4間に位置する壁部3cにより第2および第4出口開口2b2,2b4の開口度が徐々に調節された後、第2および第4出口開口2b2,2b4が同時に閉じられる。それにより、全ての出口開口2b1〜2b4が閉じられる。
【0088】このように第1および第3出口開口2b1,2b3と、第2および第4出口開口2b2,2b4とを順次閉じることにより、水の流量を調節することができる。この場合には、筒状弁体3をたとえば180度以下回転させるだけで水の流量を調節することができる。
【0089】また、本実施の形態では、筒状弁体3の軸方向の両端面に、溝部3b,3fをそれぞれ設けている。それにより、筒状弁体3の底部側からのみならず、上端部側からも筒状弁体3を回転操作することができる。上述した構成以外の構成については、実施の形態1の場合と同様であるので説明は省略する。
【0090】本実施の形態3の場合にも、筒状弁体3の壁部3cで各出口開口2b1〜2b4を順次閉じつつそれらの開口度を調節することができるので、実施の形態1の場合と同様に滑らかな流量調節を行なえる。
【0091】(実施の形態4)次に、図6を用いて、本発明に係る流量調節弁1の使用方法例について説明する。図6は、本発明に係る流量調節弁1の使用方法の一例を示す斜視図である。
【0092】図7に示すように流量調節弁1を水道の蛇口部分(給水栓)10中に組み込んでもよいが、図6に示すように、シャワーヘッド12に組み込んでもよい。
【0093】以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【出願人】 【識別番号】595170454
【氏名又は名称】株式会社アイテック
【出願日】 平成11年8月24日(1999.8.24)
【代理人】 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎 (外2名)
【公開番号】 特開2001−65709(P2001−65709A)
【公開日】 平成13年3月16日(2001.3.16)
【出願番号】 特願平11−236594