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【発明の名称】 ボールバルブのハンドル取付構造
【発明者】 【氏名】中村 知広

【要約】 【課題】ハンドルに作用する過大な回転操作力によりボールの回転操作系が破断する場合にも、ステムとバルブ本体の間のシール機能を喪失することなく、且つ簡易に復旧すること。

【解決手段】ボールバルブ10において、ハンドル20に設けた突起部22をステム14に設けた係合凹部31に係合し、ハンドル20の突起部22のねじり強度をステム14のねじり強度より小さく設定してなるもの。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 バルブ本体内に設けられるボールと回転方向に一体結合されてなるステムをシール部材を介してバルブ本体に支持し、該ステムにハンドルを取付けるボールバルブのハンドル取付構造において、ハンドルに設けた突起部をステムに設けた係合凹部に係合し、ハンドルの突起部のねじり強度をステムのねじり強度より小さく設定してなることを特徴とするボールバルブのハンドル取付構造。
【請求項2】 前記ハンドルの突起部の付け根部分の外径に細径くびれ部を設けてなる請求項1記載のボールバルブのハンドル取付構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はボールバルブのハンドル取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂製ボールバルブは、図4に示す如く、バルブ本体1内に設けられるボール2と回転方向に一体結合されてなるステム3を、Oリング4を介してバルブ本体1に支持し、該ステム3にハンドル5を取付けている。
【0003】このとき、樹脂製バルブでは、樹脂の耐食性、軽量性を生かすため、ステム3、ハンドル5の開閉操作力が作用する部分も樹脂製とし、またステム3、ハンドル5の構成の単純化を図るため、ステム3に設けた突起部3Aをハンドル5に設けた係合凹部5Aに係合することとしている。また、ステム3にOリング4を装着するためのリング溝6を設けている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ボールバルブにおいて、流体内の異物、薬液の結晶化、固化等により、ボール2がバルブ本体1内で固着し、ボール2の回転操作力が非常に増大すると、ハンドル5による開閉が不可能になる。このような場合、ハンドル5に補助具を設けて回転操作半径を大きくし、ハンドル5を無理矢理回転させると、ステム3が薬液に接触したことによる強度劣化等に起因してねじ切れることがある。ステム3の破断は、Oリング4のためのリング溝6の部分で生じ易く、Oリング4によるシール機能を喪失し、液体を外部へ漏出せしめるものとなる。樹脂製ボールバルブでは、使用液体が酸、アルカリ等の腐食性薬液であることが多く、これら薬液の外部への漏出は周辺の人、機器に大きな悪影響を及ぼす。
【0005】図5の従来例は、ステム3に2個のOリング4A、4Bを装着したものであり、ステム3の内側寄りに細いOリング4A、外側寄りに太いOリング4Bを配置し、ステム3における2つのリング溝6A、6Bの深さは外側寄りのリング溝6Bの方をより深くした。これによれば、ハンドル5に過大な回転操作力が作用したとき、ステム3は必ず外側寄りのリング溝6Bで破断し、内側寄りのOリング4Aによるシール機能を維持できる。
【0006】ところが、図5の従来例では、ステム3が破断したとき、ハンドル5等によるボール2の開閉操作が不可能になる。このため、ボールバルブの全体の交換が必要となり、設備の運転を停止する必要を伴う等、設備、工場、工程等に大きな悪影響を及ぼす。
【0007】本発明の課題は、ハンドルに作用する過大な回転操作力によりボールの回転操作系が破断する場合にも、ステムとバルブ本体の間のシール機能を喪失することなく、且つ簡易に復旧することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明は、バルブ本体内に設けられるボールと回転方向に一体結合されてなるステムをシール部材を介してバルブ本体に支持し、該ステムにハンドルを取付けるボールバルブのハンドル取付構造において、ハンドルに設けた突起部をステムに設けた係合凹部に係合し、ハンドルの突起部のねじり強度をステムのねじり強度より小さく設定してなるようにしたものである。
【0009】請求項2記載の建物は、請求項1に記載の本発明において更に、前記ハンドルの突起部の付け根部分の外径に細径くびれ部を設けてなるようにしたものである。
【0010】
【作用】請求項1の発明によれば下記■の作用がある。
■ステムに係合凹部を設けることにより、ステムの外径を大きくし、ねじり強度を大きくすることができる。同時に、ハンドルに突起部を設けることにより、必然的にハンドルの外径をステムの外径より細くし、ステムのねじり強度より小さなねじり強度でハンドルの突起部が破断するものとなる。従って、ハンドルに作用する過大な回転操作力により必ずハンドルの突起部が破断し、ステムとバルブ本体の間のシール構造は影響を受けることなく維持される。また、回転操作力が過大となった原因を除いた後、ボールバルブは、破断したハンドルに代わる新たなハンドルを組込むことにより、簡易に復旧して継続使用でき、設備、工場、工程等に与える影響を最小限に抑えることができる。
【0011】請求項2の発明によれば下記■の作用がある。
■ハンドルの突起部の付け根部分に細径くびれ部を設け、このくびれ部を破断誘因部とすることにより、ハンドルに作用する過大な回転操作力により必ず確実にハンドルの突起部を破断させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は本発明のボールバルブを示す一部断面図、図2はハンドルを示す一部断面図、図3はステムを示し、(A)は端面図、(B)は側面図、図4は従来例を示す一部断面図、図5は他の従来例を示す一部断面図である。
【0013】ボールバルブ10は、図1に示す如く、バルブ本体11にボール12を挿入し、バルブ本体11の壁面にOリング13を介して支持されるステム14をボール12の凹溝12Aに係合し、このステム14をボール12と回転方向に一体結合している。ステム14はOリング13のためのリング溝14Aを備えている。
【0014】ボール12の両側にはボールシート15が当てがわれ、ボール押え16が挿入保持されている。ボールシート15はボール押え16に嵌め込まれて支持されている。
【0015】バルブ本体11の端部外周の雄ねじ17にはユニオンナット18が螺着され、このユニオンナット18で接続スリーブ19をボール押え16に向けて押圧して管と接続するようになっている。
【0016】然るに、ボールバルブ10は、ステム14にハンドル20を取付ける構造を以下の如くとしている。
【0017】即ち、ハンドル20は、図2に示す如く、バルブ本体11に接する外筒21の中心部に突起部22を設け、この突起部22を外筒21の端面より外方に突出せしめている。突起部22は、横断面の外形を十字形とし、十字の各1個の凸部を、ステム14の後述する係合凹部31に係合可能としている。また、ハンドル20は、突起部22の付け根部分の外径にリング溝状の細形くびれ部23を設けている。
【0018】また、ステム14は、図3に示す如く、十字形の係合凹部31を備え、この係合凹部31にハンドル20の突起部22の凸部を係合可能としている。
【0019】これにより、ボールバルブ10では、ハンドル20の突起部22の外径をステム14の外径より細くし、突起部22のねじり強度をステム14のねじり強度より小さく設定するものである。
【0020】従って、本実施形態によれば、以下の作用がある。
■ステム14に係合凹部31を設けることにより、ステム14の外径を大きくし、ねじり強度を大きくすることができる。同時に、ハンドル20に突起部22を設けることにより、必然的にハンドル20の外径をステム14の外径より細くし、ステム14のねじり強度より小さなねじり強度でハンドル20の突起部22が破断するものとなる。従って、ハンドル20に作用する過大な回転操作力により必ずハンドル20の突起部22が破断し、ステム14とバルブ本体11の間のシール構造は影響を受けることなく維持される。また、回転操作力が過大となった原因を除いた後、ボールバルブ10は、破断したハンドル20に代わる新たなハンドル20を組込むことにより、簡易に復旧して継続使用でき、設備、工場、工程等に与える影響を最小限に抑えることができる。
【0021】■ハンドル20の突起部22の付け根部分に細径くびれ部23を設け、このくびれ部23を破断誘因部とすることにより、ハンドル20に作用する過大な回転操作力により必ず確実にハンドル20の突起部22を破断させることができる。
【0022】
【実施例】本発明の具体的実施例について説明する。ボールバルブ10において、ボール12の回転操作系を構成する構造体(ステム14、ハンドル20等)に必要とされるねじり強度は、ボールバルブ10の口径D(mm)に対し、25×D(kg・cm)程度である。このとき、上述の構造体の最小外径d1 (mm)は、PVC製の場合、PVCの許容剪断応力400kg/cm2 を用いて、d1 =(16×25×D/π/400 )1/3 の式により求められる。各口径毎におおよその最小外径を表1に示す。
【0023】
【表1】

【0024】ハンドル20の突起部22の付け根部分に、表1に示される外径d1 のくびれ部23を設ける。突起部22の横断面の外形は三角、四角の多角形、もしくは星形、十字形等のいずれであっても良いが、突起部22の最小外径を上記d1 より大きくし、突起部22に25×D(kg・cm)以上のねじり強度を付与するものとする。これにより、ハンドル20は、突起部22に25×D(kg・cm)以上の回転操作力が作用したとき、くびれ部23でねじ切れるものとなる。
【0025】ステム14に設ける係合凹部31は、ハンドル20の突起部22と嵌合可能な断面形状とする。ステム14自身のねじり強度はハンドル20の突起部22のねじり強度に比べ、1.5 〜2.5 倍であることが望ましい。これにより、開閉操作時の繰り返し応力は、ハンドル20の側に集中し、疲労等においてステム14が破損する危険性はほとんど無くなる。ステム14の側のねじり強度を決定するのは、ステム14の外周に装着され、バルブ本体11の内部からの液漏れをシールするOリング13のためのリング溝14Aの外径である。上記ねじり強度を満足するリング溝14Aのおおよその外径を各口径毎に表2に示す。
【0026】
【表2】

【0027】従って、表2の外径d2 以上のリング溝14Aをもつステム14と、表1の外径d1 のくびれ部23をもつハンドル20を組合わせて使用することにより、ハンドル20に過大な回転操作力が作用しても、ステム14の破損による漏水がなく、安全で、簡易に復旧できるボールバルブ10を構成できる。
【0028】以上、本発明の実施の形態を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0029】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、ハンドルに作用する過大な回転操作力によりボールの回転操作系が破断する場合にも、ステムとバルブ本体の間のシール機能を喪失することなく、且つ簡易に復旧することができる。
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【出願日】 平成11年7月23日(1999.7.23)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−32957(P2001−32957A)
【公開日】 平成13年2月6日(2001.2.6)
【出願番号】 特願平11−209215