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【発明の名称】 メタルシートを有するバタフライ弁
【発明者】 【氏名】田中 利治

【氏名】三原 利幾

【要約】 【課題】簡単な形状・構造によって、シートリングの摩耗と開閉トルクを安価に低減させるメタルシートを有するバタフライ弁を提供すること。

【解決手段】メタルシートを有する偏心形バタフライ弁の弁体21に接するメタルシートリング部23をループ状に形成し、弁体21に接しない外側を平板状23bに形成して弁本体24に取付保持されるようにしたシートリングを有するバタフライ弁において、上記弁体21に接しない外側の平板部23bを、弁棒22から弁体21とシートリング23との接点より遠くなる位置に設置し、弁体21に接しないシートリングの外側の平板部23bに接するように、ドーナツ状の平板27を1枚ないし複数枚重ねて設置し、シートリングのバックアップとしての機能を有するように構成している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 メタルシートを有する偏心形バタフライ弁の弁体に接するメタルシートリング部をループ状に形成し、弁体に接しない外側を平板状に形成して弁本体に取付保持されるようにしたシートリングを有するバタフライ弁において、上記弁体に接しない外側の平板部を、弁棒から弁体とシートリングとの接点より遠くなる位置に設置したことを特徴とするメタルシートを有するバタフライ弁。
【請求項2】 弁体に接しないシートリングの外側の平板部に接するように、ドーナツ状の平板を1枚ないし複数枚重ねて設置し、シートリングのバックアップとしての機能を有するように構成したことを特徴とする請求項1記載のメタルシートを有するバタフライ弁。
【請求項3】 弁体に接しないシートリングの外側の平板部に接するように設置されたドーナツ状の平板を、バックアップ機能を有するバネ鋼又は通常の鋼で構成したことを特徴とする請求項1又は2記載のメタルシートを有するバタフライ弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、200℃以上の高温や、10K以上の中高圧の流体に使用するメタルシートリングを有するバタフライ弁、特に偏心形バタフライ弁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からメタルシートリングを有するバタフライ弁は、上記のように200℃以上の高温の気体が流れるパイプラインの開閉等に使用されている。
【0003】図3(a)(特開昭54−67156号公報参照)は、従来例の一つであって、メタルシート1は2重リングからなり、弁内圧力が弁外部へ逃げるのを防止するガスケットの働きをするガスケット部1Bと、弁体3との間の動的シール作用をするシート部1Aと備える。シート部1Aは、弁本体2、補助リング5、リテーナ4の3つの剛性材料からなる部材に3方を取囲まれ、弁体3が閉じたときは、シート部1Aは、図に示すように、4方を剛性材料で取囲まれる。
【0004】このような構造のメタルシートバタフライ弁は、回動トルクが重く、流体が漏れ易い欠点を有している。その原因は、弁体3が閉じた時に、弁体3がシート部1Aへ喰込んでゆきシート部1Aを変形させるが、シート部1Aは前述のように4方を剛性材料で囲まれている為、自由に変形することが出来ず、強い反発力を弁体3に及ぼし、大きな摩擦力を引起すために、弁体3の回動トルクが大きくなっていたのである。図中、6は、弁棒である。
【0005】また、図3(b)(特開昭57−124166号公報参照)は、他の従来例であって、メインシート1の他にメインシートのシート部1Aと同一構造のもう1つのメタルOリングを2次メタルシート7として入れたものである。このタイプのバタフライ弁は、コストが高く、弁体3のシャフト6側と反対方向から掛る逆圧Pに対して漏れるという欠点があった。この欠点の原因は、弁棒6(中心線のみ示す。)に向かって弁体3に(図で右側から)逆圧Pが掛ると弁体3が押されてメインシートのシート部1Aから離れようとするが、逆圧が2次メタルシート7でシールされてしまい、メインシートのフランジ部1Cに掛からないため、メインシートが弁体の動きに追従出来ず、弁体3とシート部1A間のツブシ代が不足し漏れが発生した。
【0006】図4は、上記の欠点を除去するために本出願人によって考案されたもの(実公昭62−8694号公報参照)であって、偏心型のメタルシートちょう形弁で且、該メタルシート10は弁本体11へ締付保持されるためのフランジ部10Cと弁体12と接触してシールするシート部10Aとを有し、該シート部10Aは中空のOリング状にカールされ、該シート部10Aの中空部にコイルバネを内蔵しており、弁体12のシャフト6とは反対側に前記シート部10Aの一面を弾力的に支持する環状の弾性体14をシート部10Aに並列して配置し、シート部10Aの弾性変形を該弾性体14の弾性変形により許容すると共に、該弾性体14に弁体12のシャフト6側とは反対方向(図で右方向)からかかる逆圧Pを通過させる流路15を設けている。
【0007】このものは、閉弁時、シート部10Aは弁体12によって押されて変形するが、その一面が弾性体14で支持されているのでシート部10Aの弁体12に対する反発力は小さくなり、その結果、軟かいばねとして弁体12とシート部10A間の摩擦力が低減し、弁の開閉トルクが低減される。また、閉弁時にサージ圧等によって弁棒6側(正圧側)に過大な圧力が掛って弁体12が移動しても、弾性体14が変形してシート部10Aに永久歪が生じない。一方、弁体12の弁棒6側と反対方向から逆圧がかかった時、逆圧が弾性体14の開口(流路)15を通り抜けてメインシートのフランジ部10Cとシート部10Aに負荷され、フランジ部10Cが逆圧に押されて曲がるので、シート部10Aは下流方向(図で左方向)に移動し、同時に移動する弁体12に追従し、弁体12とシート部10A間のツブシ代の減少を防止するため、逆圧に対しても漏れ難いという利点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来例、特に図3(b)及び図4に示すものは、中空のOリング状のカールされたシートリングの弁体3,12に接している部分1A,10Aをループ状にし、フランジ部1C,10Cを介してその外周部もループ状1B,10Bにしたシートリングに形成してシートをするように設置されているが、何れのものも、該シートリングと弁体3,12との接点より、弁棒6に近い方(図では左方)にフランジ部1C,10Cに相当する平板部が設けられている。
【0009】また、上記シートリングのバックアップとして、ループ状の円筒(図3(b)の7)Cや断面U字形状の環体(図4の14)Cが用いられている。
【0010】上記のように構成されたシートリングに矢印方向の圧力Pが加えられたとき、本体(弁本体)2,11とリテーナリング4,13とによって挟持された平板部1C,10Cと、シート部1A,10Aを収容した凹所の壁面との交点(図の点B,B)を支点として、シートリングのシート部1A,10Aが点線で示す曲線S,Sの軌跡に沿って移動する。この移動に伴ない、シートリングが弁体3,12にくい込み、メタルのシール力を高めている。
【0011】ところが、このくい込みがメタルシートの摩耗を早め、耐久力の低下を招いているという問題点があり、更に、くい込んだ状態で弁体を開こうとすると、一時的にシートリングが弁体により固着してしまい、ジャンピング現象(流量調整弁で、流体が流れ始める場合などに、流量が過渡的に設定値を超える現象をいう。)と開閉トルクの増大を招くという問題点があった。
【0012】他方、メインシートリングのバックアップ効果をもたらすために、図3(b)、図4に示すような、ループ状の円筒7やU字形の環体14などの複雑な形状をした構造体C,Cが用いられ、その加工費や部品費用の増加を招いているという問題点もあった。
【0013】本発明は、上記した従来例の問題点を解決せんとするもので、簡単な形状・構造によってシートリングの摩耗と開閉トルクを、安価に低減させるメタルシートを有するバタフライ弁を提供することを課題としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、本発明の採った手段は、メタルシートを有する偏心形バタフライ弁の弁体に接するメタルシートリング部をループ状に形成し、弁体に接しない外側を平板状に形成して弁本体に取付保持されるようにしたシートリングを有するバタフライ弁において、上記弁体に接しない外側の平板部を、弁棒から弁体とシートリングとの接点より遠くなる位置に設置したことを特徴としている。
【0015】また、弁体に接しないシートリングの外側の平板部に接するように、ドーナツ状の平板を1枚ないし複数枚重ねて設置し、シートリングのバックアップとしての機能を有するように構成したことを特徴としている。
【0016】また、弁体に接しないシートリングの外側の平板部に接するように設置されたドーナツ状の平板を、バックアップ機能を有するバネ鋼又は通常の鋼で構成したことを特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面に記載した実施例を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態を示すメタルシートを有するバタフライ弁の要部を示す断面図であり、図2は、図1の要部拡大図である。なお、両図共、全閉状態を示している。
【0018】図1,2において、弁体21は弁棒22に偏心して取付けられており、図示の全閉状態において、弁体21の全周面に沿って金属製のメタルシートリング23が密接されている。
【0019】上記シートリング23は、中空のOリング状にカールされたシート部23aと、該シート部23aの弁棒22から弁体21とシートリング23の接点より遠くなる側の一端を板状に延長した平板部23bとからなり、該平板部23bは、本体(弁本体)24とシートリングリテーナ25を締結することによって挟着されるようになっている。
【0020】上記弁体21に接しない外側の平板部23bに接するようにして、本体24の流体通路26部を開口したドーナツ状のバックアップ効果を有する平板27を、1枚ないし複数枚重ねて、上記平板部23bと一体に設置し、シートリング23のバックアップとしての機能を有するように構成されている。
【0021】上記バックアップ効果を有する平板27は、バネ効果を持たせるために積層させたり、多少厚めの板にする必要はある。しかし、通常の鋼材、例えばSUS316,304等でできるため、材質の制限がなく、バネ鋼、例えばSUS301CSP,304CSP等のみならず、バネ鋼のない高耐食鋼、例えばSUS316L等でも仕様を満たすことができる。しかも形状が簡単で安価にすることができる。
【0022】なお、図中、24aは、シート部23aを収容する本体24に設けられた凹所壁部、28は弁棒22の軸受部、29は、上記凹所壁部を経て外部へ漏れる流体をシールするガスケットである。
【0023】次に、作用について説明すると、閉弁時、シートリング23のシート部23aは、矢印方向の加圧P(なお、一般に偏心形バタフライ弁では、流体は弁棒側から流す場合と、反弁棒側から流す場合とがあるが、本発明では、矢印に示すように反弁棒側から流す場合を正流としている。)により、シートリング23の平板部23bが、シート部23aを収容する本体24の凹所壁部との交点Bを支点とした点線で示す軌跡S上を、弁棒22の方(図で左方)に移動する。この時、シートリング23のシート部23aは弁体21にはくい込まず、若干弁体21から離れる方向に移動する。従って、シートリング23の摩耗が少なく、更に開閉を行なっても弁体21がシート部23aにくい込むこともなく、前記したジャンピング現象が抑えられる。
【0024】また、矢印方向の加圧Pによるシートリング23の軌跡Sに沿う移動は、本体24に設けられた凹所の壁24aによって過剰な移動を抑制しており、シール性能を損なうことはない。
【0025】また、シートリング23の平板部23bは、該平板部23bと接するように設置された1枚〜複数枚のドーナツ状のバックアップ効果を有する平板27によってバックアップ作用が与えられ、また、該平板27は、従来例(図3(b)のリング状体Cや、図4の断面U字形体C)における複雑な形状構造のバックアップ構造体と比較して、形状が簡単で安価に製作することができる。
【0026】また、バックアップ機能をもつ平板27の材質は、バネ鋼、例えばSUS301CSP,304CSP等の外、通常の鋼、例えばSUS316,304等でもよく、またバネ鋼のない高耐食鋼、例えば、SUS316L等でも仕様を満たすことができる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、メタルシートを有する偏心形バタフライ弁の弁体に接するメタルシートリング部をループ状に形成し、弁体に接しない外側を平板状に形成して弁本体に取付保持されるようにしたシートリングを有するバタフライ弁において、上記弁体に接しない外側の平板部を、弁棒から弁体とシートリングとの接点より遠くなる位置に設置したことにより、弁閉時、反弁棒方向からの加圧により、シートリングのシート部が、弁棒から弁体とシートリングとの接点より遠くなる位置に設置されたシートリングの平板部を支点とした軌跡上を弁棒の方へ移動する時、シートリングは弁体にはくい込まず、若干弁体から離れる方向に移動するので、シートリングの摩耗が少なく、更に弁体の開閉を行っても、弁体がシート部にくい込むこともなく、ジャンピング現象が抑えられる。
【0028】また、弁体に接しないシートリングの外側の平板部に接するように、ドーナツ状の平板を1枚ないし複数枚重ねて設置し、シートリングのバックアップとしての機能を有するように構成したことにより、シートリングの平板部は、該平板部と接するように設置された1枚ないし複数枚の、従来例に用いられた複雑な形状・構造のバックアップ構造体に比べて形状・構造が簡単で安価に製作できるドーナツ状平板のバックアップ効果により、シートリングのシート部の流体圧や弁体の開閉による変形を有効に防止することができる。
【0029】また、弁体に接しないシートリングの外側の平板部に接するように設置されたドーナツ状の平板を、バックアップ機能を有するバネ鋼又は通常の鋼で構成したことにより、シートリングのシート部のバックアップ効果を有効に果すことができる。
【出願人】 【識別番号】000153580
【氏名又は名称】株式会社巴技術研究所
【出願日】 平成11年7月8日(1999.7.8)
【代理人】 【識別番号】100066452
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 茂 (外3名)
【公開番号】 特開2001−21047(P2001−21047A)
【公開日】 平成13年1月26日(2001.1.26)
【出願番号】 特願平11−194252