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【発明の名称】 防振ガスケット
【発明者】 【氏名】平松 亨洋

【要約】 【課題】相手部材への取り付けの際に、締付工具を要することなく、短時間に容易に取り付けができる防振ガスケットを提供する。

【解決手段】防振ガスケットの取付板10は、少なくとも1つの貫通穴11a〜11dを設けている。取付板の一表面側には、貫通穴を囲んで弾性体ホース部21〜24が同軸的に取付板に接着固定されており、貫通穴に連通する通気穴25を有している。弾性体ホース部の先端側の外周面には、同軸的に環状の取付凹部21c〜24cを設けている。取付板の他表面側には、貫通穴を囲んで配設された環状の弾性体シール部19を設けている取付凹部にはバンド状クリップ26が巻装される。取付板は、弾性体シール部にて相手部材31のフランジ部に密着固定される。弾性体ホース部は相手筒状部材35の外周に着脱可能に嵌着され、クリップにより相手筒状部材に締め付け固定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属または樹脂製の平板であって、少なくとも1つの貫通穴を設けた取付板と、該取付板の一表面側にて、前記貫通穴を囲んで同軸的に該取付板に接着固定され、該貫通穴に連通する通気穴を有すると共に、先端側にて外周面に同軸的に環状の取付凹部を設けた筒状の弾性体ホース部と、前記取付板の他表面側にて前記貫通穴を囲んで配設された環状の弾性体シール部と、前記弾性体ホース部の取付凹部に巻装されるクリップとを備え、前記取付板が前記弾性体シール部にて相手部材の合わせ面に密着固定されると共に、前記弾性体ホース部が相手筒状部材の外周に着脱可能に嵌着され、前記クリップにより該相手筒状部材に締め付け固定されることを特徴とする防振ガスケット。
【請求項2】 前記弾性体ホース部の内周面に、前記相手筒状部材の先端部が係合する環状の係止凹部を設けたことを特徴とする前記請求項1に記載の防振ガスケット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防振ガスケットに係り、特に車両エンジンの吸気ポート等の相手部材と、インテークマニホールドのパイプ部等の相手筒状部材との間を連結するのに適した防振ガスケットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の防振ガスケットは、例えば図6及び図7に示すように、金属または樹脂製の長尺板であって、複数の貫通穴2が長手方向に並設された第1取付板1と、第1取付板1に所定間隔を隔てて相対向する金属または樹脂製の長尺板であって、複数の貫通穴2との対向位置にそれぞれ貫通穴4を有する第2取付板3と、第1及び第2取付板1,3間に設けられて両者間を弾性的に連結すると共にそれぞれの貫通穴2,4間を連通させる通気穴6を設けた防振ゴム弾性体5と、第1及び第2取付板1,3の外表面側に設けられた薄肉のゴム弾性体シール部7とを設けている。
【0003】この防振ガスケットは、図8に示すように、第1取付板1が、自動車のエンジンのシリンダに設けた吸気ポートから延出された吸気管8の先端のフランジ部にボルト及びナット8aを用いて締め付け固定され、第2取付板2が吸気ダクト等が接続されるインテークマニホールド9のフランジ部にボルト及びナット9aを用いて締め付け固定されて用いられる。これにより、防振ガスケットは、吸気管8側から伝達されるエンジン振動を低減させ、インテークマニホールド9から発生する放射音を抑えると共に、スロットルボデー等の吸気系部品の信頼性を高める機能を果たしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記防振ガスケットについては、第1取付板1を吸気管8の先端のフランジ部にボルト及びナット8aを用いて、締付工具により締め付け固定した後、第1取付板1に近接した第2取付板2を吸気ダクト等が接続されるインテークマニホールド9のフランジ部にボルト及びナット9aを用いて、締付工具により締め付け固定しなければならない。このように、狭い作業空間内で締付工具を用いた取付作業は煩雑であり作業時間も長くなるという問題がある。また、作業空間が狭いため、第1取付板1と第2取付板2の取付けスペースを確保するため、両取付板1,2の相手部材側への取付け位置を上下方向に重ならないようにずらせた配置としなければならない。そのために、防振ガスケットの形状にあわせてインテークマニホールドの締結部の形状を制約された複雑な形状にしなければならない。本発明は、上記した問題を解決しようとするもので、相手部材への取り付けの際に、締付工具を要することなく、短時間に容易に取り付けができる防振ガスケットを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、上記請求項1に係る発明の構成上の特徴は、金属または樹脂製の平板であって、少なくとも1つの貫通穴を設けた取付板と、取付板の一表面側にて、貫通穴を囲んで同軸的に取付板に接着固定され、貫通穴に連通する通気穴を有すると共に、先端側にて外周面に同軸的に環状の取付凹部を設けた筒状の弾性体ホース部と、取付板の他表面側にて貫通穴を囲んで配設された環状の弾性体シール部と、弾性体ホース部の取付凹部に巻装されるクリップとを備え、取付板が弾性体シール部にて相手部材の合わせ面に密着固定されると共に、弾性体ホース部が相手筒状部材の外周に着脱可能に嵌着され、クリップにより相手筒状部材に締め付け固定されることにある。
【0006】上記のように請求項1の発明を構成したことにより、取付板がゴム弾性体シール部にて相手部材の合わせ面に密着固定された状態で、弾性体ホース部を相手筒状部材の外周に嵌着し、クリップにより相手筒状部材に締め付けて固定させればよいので、狭い作業空間でも、弾性体ホース部の取付け作業をボルト、ナット及び締付工具を用いることなく容易に行うことができる。また、締付工具を用いる必要がないので、相手筒状部材の締結部の形状を締付工具に合わせる必要がない。
【0007】また、上記請求項2に係る発明の構成上の特徴は、前記請求項1に記載の防振ガスケットにおいて、弾性体ホース部の内周面に、相手筒状部材の先端部が係合する係止凹部を設けたことにある。これにより、弾性体ホース部の係止凹部に相手筒状部材の先端部が係止するので、両者の結合が緊密にされ、弾性体ホース部を相手筒状部材から抜け難くすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図面を用いて説明すると、図1〜図3は、同実施形態に係る自動車のエンジンのシリンダ側吸気管(相手部材)と、インテークマニホールド(相手筒状部材)間に介装される防振ガスケットを、底面図、正面図及び断面図により示したものである。防振ガスケットは、金属製または樹脂製の長尺板状の取付板10と、取付板10の一表面側に加硫成形により設けられた弾性体ホース部21〜24と、バンド状クリップ26(図1〜図3には示さない)とを設けている。
【0009】取付板10は、図1に示すように、異形状の長尺板であって長手方向両端間に略等間隔で同一径の4個の円形貫通穴11a〜11d(図示左端から順に)を設けている。以下、図においては長手方向を左右方向とする。取付板10の長手方向一端側(図示左端)は、幅方向一端側(図示下端)から長手方向に平行に延びた線に、幅方向中間部から長手方向に対して略45°傾斜して延びた線が交差して略三角に形成されると共に突出端が丸められた形状の第1端部12になっている。また、取付板10の長手方向他端側(図示右端)は、幅方向他端側(図示上端)が一端側(図示下端)に向けて長手方向に対して略45゜傾斜して延び、一端側が長手方向に延びて交差して略三角形に形成されると共に先端が丸められた第2端部13になっている。第1端部12の中央には取付孔12aが設けられ、第2端部13の中央には取付孔13aが設けられている。
【0010】貫通穴11a,11b間の第1連結部14は、取付板10の幅方向の一端側から他端側に向けて略正弦波形状に切り欠かれてそのピーク位置が長手方向中心線X(幅方向中央にて長手方向に延びる線)をわずかに越えた位置になっており、第1連結部14中央には取付孔14aが設けられている。貫通穴11b,11c間の第2連結部15は、幅方向の他端側から一端側に向けて略正弦波形状に切り欠かれてそのピーク位置が中心線Xのわずかに手前位置になっており、第2連結部15には取付孔15a が設けられている。第2連結部15における切り欠き部分のピーク形状は、第1連結部14における切り欠き部分のピーク形状に比べて緩やかになっている。また、貫通穴11c,11d間の第3連結部16は、幅方向の一端側から他端側に向けて略正弦波形状に切り欠かれてそのピーク位置が中心線Xをわずかに越えた位置になっており、第3連結部16には取付孔16aが設けられている。第3連結部16における切り欠き部分のピーク形状は、第1連結部14と同等である。
【0011】取付板10の両表面側には薄肉のゴム弾性体層17,18が形成されており、ゴム弾性体層17,18は、図1に示すように、第1端部12、第1連結部14、第2連結部15、第3連結部16及び第2端部13の所定範囲において削除されている。この部分は、後述するように防振ガスケットを相手部材にボルトナットを螺着させ、締付工具により締め付け固定するための取付位置であり、ゴム弾性体を設けることにより締付力が低下するため好ましくないのである。
【0012】そして、取付板10の一表面側(図1の前面側)には、貫通穴11a〜11d位置にて同軸的に突出した円筒形状のゴム弾性体製の弾性体ホース部21〜24が立設されている。弾性体ホース部21〜24に設けられた各通気穴25は、取付板10の貫通穴11a〜11dに連通している。弾性体ホース部21〜24の先端部外周は、径方向にわずかに突出した環状凸部21a〜24aになっており、さらに環状凸部21a〜24aの軸方向わずかに内側には環状凸部21a〜24aと同一外径の環状内側凸部21b〜24bが設けられており、両凸部の間が上記バンド状クリップ26が巻装される取付凹部21c〜24cになっている。
【0013】また、弾性体ホース部21〜24の内周面には、図3に示すように、環状内側凸部21b〜24bとの対応位置に同軸的に環状の係止凹部21d〜24dを設けている。一方、取付板10の他表面側においては、貫通穴11a〜11dの周囲を囲んで突出した環状のゴム弾性体シール部19が設けられている。弾性体ホース部21〜24は、通常はゴム弾性体層17,18及びゴム弾性体シール部19と共に加硫成形により一体的に効率よく形成される。また、これらゴム弾性体部分については、これに代えて、弾性体エラストマー等の弾性材料を用いることもできる。
【0014】上記構成の防振ガスケットは、図4に示すように、まず取付板10の取付孔12a〜16aを、自動車のエンジンのシリンダに設けた吸気ポートから延出された吸気管31の先端のフランジ部32の取付孔(図示しない)に位置合わせし、取付孔にボルト33及びナット34を装着させて、締付工具で締め付けることにより、取付板10をフランジ部32に固定させる。つぎに、図4、図5に示すように、防振ガスケットの弾性体ホース部21〜24に、吸気ダクト等が接続されるインテークマニホールドのパイプ部35を挿嵌し、パイプ部35の大径の先端部35aを弾性体ホース部21〜24の係止凹部21d〜24dに係止するまで挿入する。このように、先端部35aを係止凹部21d〜24dに係止させることにより、弾性体ホース部をパイプ部35から抜け難くすることができる。ここで、パイプ部35に位置合わせマーク等を付しておくことにより、弾性体ホース部21〜24のパイプ部35への挿入の位置を目視で確認できるので、挿入作業上便利であると共に、作業の確実性を高めることができる【0015】さらに、パイプ部35が挿嵌された弾性体ホース部21〜24の取付凹部21c〜24cには、バンド状クリップ26が巻装される。バンド状クリップ26は、例えば、金属薄板で形成されたベルト形状で一端側に係止部を設けており、ベルトの他端側から係止部に挿通させて環状にし、他端を引張ることにより環の径を縮径させるものである。このように、バンド状クリップ26の径を縮径させることにより、バンド状クリップ26の巻装された部分に締め付け力が作用し、弾性体ホース部21〜24が取付凹部21c〜24c位置にて、パイプ部35に強固に固定される。
【0016】このように、吸気管31側とインテークマニホールドのパイプ部35側に連結固定された防振ガスケットにより、吸気ポート側から伝達されるエンジン振動を低減させ、インテークマニホールドから発生する放射音を抑えることができると共に、スロットルボデー等の吸気系部品の信頼性を高めることができる。
【0017】以上に説明したように、上記実施形態においては、取付板10がゴム弾性体シール部19にて吸気管の31のフランジ部32に密着固定された状態で、弾性体ホース部21〜24を筒状のインテークマニホールドのパイプ部35の外周に嵌着し、バンド状クリップ26によりパイプ部35に締め付けて固定させればよいので、狭い作業空間でも、弾性体ホース部21〜24の取付け作業を締付工具を用いることなく短時間にかつ容易に行うことができる。また、締付工具を用いる必要がないので、インテークマニホールドのパイプ部35の形状を締付工具に合わせる必要がない。そのため、パイプ部35の形状を単純化でき、その価格を安価にすることができる。
【0018】また、弾性体ホース部21〜24の内周面に、インテークマニホールドのパイプ先端部35aが係合する係止凹部21d〜24dを設けたことにより、弾性体ホース部21〜24をパイプ部35から抜け難くすることができる。さらに、弾性体ホース部21〜24は一体で設けられており、互いに独立していないので、パイプ部35への装着忘れを確実に防止することができる。
【0019】なお、クリップとしては、上記バンド状クリップ26の他に、例えば弾性を有する長尺状の金属薄板を環状に形成し、両端に端子部を有するタイプのものであってもよい。このクリップの端子部を周方向に弾性的に変位させることによりクリップを拡径させた状態で弾性ホース部の固定位置に装着させ、金属薄板の弾性反力によるクリップの縮径力により弾性ホース部を固定する構造のものでもよい。その他、上記実施形態に示したものは一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが可能である。
【0020】
【発明の効果】上記請求項1の発明によれば、狭い作業空間でも、弾性体ホース部の取付け作業を締付工具を用いることなく容易にかつ短時間に行うことができるので、組み付けコストを低減できる。また、相手筒状部材の締結部の形状を単純形状にすることができ、その製造コストを低減できる。さらに、弾性体ホース部の内周面に、相手筒状部材の先端部が係合する係止凹部を設けることにより、弾性体ホース部と相手筒状部材の間の結合が緊密にされ、弾性体ホース部を相手筒状部材から抜け難くすることができる(請求項2の発明の効果)。
【出願人】 【識別番号】000219602
【氏名又は名称】東海ゴム工業株式会社
【出願日】 平成12年2月28日(2000.2.28)
【代理人】 【識別番号】100097353
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 功二
【公開番号】 特開2001−241552(P2001−241552A)
【公開日】 平成13年9月7日(2001.9.7)
【出願番号】 特願2000−51080(P2000−51080)