| 【発明の名称】 |
シール装置の異常検出装置及び異常予知診断装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】小松 直隆
【氏名】松元 めぐみ
【氏名】福家 康隆
【氏名】久井 治
【氏名】神林 繁
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| 【要約】 |
【課題】シール装置の異常並びに異常の原因である劣化要因及び劣化度などを診断する。
【解決手段】シール装置1の異常検出装置20は、シール装置1を貫通する流路に関連して配設され温度検出器23、27、圧力計21、25及び流量計29を含む検出器を有する検出器群20、検出器群20に電気的に連絡し、内蔵したシール装置の計算モデルを使用して仮定状態のシール流量を算出するコンピュータ30及びコンピュータ30の演算出力を表示する表示装置40を有し、異常がないと仮定したときの計算シール流量と実シール流量とを対比して異常兆候を検出する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シール装置を貫通する流路に関連して該シール装置を流れる流体温度の検出を目的として配設された温度計、同流体のシール装置前後における差圧を検出するために該シール装置を挟んで上流(高圧)側と下流(低圧)側に配設された圧力計及び流量計を含む検出器を有する検出器群、同検出器群に電気的に連絡し、内蔵したシール装置の計算モデルを使用して仮定状態のシール流量を算出する演算器及び該演算器の演算出力を表示する表示装置を有し、異常がないと仮定したときの計算シール流量と実シール流量とを対比して異常兆候を検出するシール装置の異常検出装置。 【請求項2】 シール装置を貫通する流路に関連して該シール装置を流れる流体温度の検出を目的として配設された温度計、同流体のシール装置前後における差圧を検出するために該シール装置を挟んで上流(高圧)側と下流(低圧)側に配設された圧力計及び流量計を含む検出器を有する検出器群、同検出器群に電気的に連絡し、内蔵したシール装置の計算モデルを使用して仮定状態のシール流量を算出する演算器及び該演算器の演算出力を表示する表示装置を有し、前記シール装置のパラメータの変化を仮定して計算シール流量を算出し、これを実シール装置と比較して異常の原因である劣化要因と劣化度を推定するシール装置の異常予知診断装置。 【請求項3】 前記演算器において、前記劣化要因及び劣化要因を用いて、経過時間と劣化度の進行の関係を多項式で近似して所定時刻のシール流量を予測することを特徴とする請求項2記載のシール装置の異常予知診断装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、シール装置等の現在の状態及び将来における状態変化を予測診断する技術に関し、特に漏洩量制御型シール装置等のシール流量の異常兆候の検出技術、異常兆候が進行した場合におけるシール流量を予測する技術、又異常兆候が進行した場合におけるシール流量が所定値に達するまでの時間などを予測する技術に関する。 【0002】 【従来の技術】例えば、竪型ポンプの主軸の軸封に供される軸シールでは、高圧流体を軸封するため、静圧シールと称する端面型の非接触型軸シールが利用されることがある。このようなシールは、シール面を形成する2つの円筒面の端面の間隔(=シールすきま)を所定の値にする軸受機能をシール面に持たせるため、少なくとも一方のシール面に高圧側から低圧側にすきまが狭くなるように微小なテーパ加工をしたものがある。この形式のシールでは、シールすきま内の高圧流体の圧力分布を積分して得られる浮上力と、シール背面に導かれた高圧流体力に受圧面積をかけて得られる着座力、摺動部分の摩擦力やシールを構成する部材間の摩擦力や接触力、シールすきま内の圧力分布に関与する圧力変形や熱変形に伴うテーパ量の変化等、微妙な力のバランスの下にシールすきま、即ちシール流量が決まる特性を有している。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述のようなシール装置においては、シール構成部材が、接触している液体の圧力や温度により変形したり、作用する摩擦力の大きさや向き、温度変化に伴う液体の粘性係数変化等により変化する。又、使用によりシール面に付着する微粒子等によっても前述の状態が変化する。このようなシール装置を適切に使用するには、これらの状態を監視して異常の発生有無をタイミング良く検知する必要があるが、前述のようにこれらのシール特性に関連する因子乃至パラメータが多く、結果的な流量の増減のみを監視していても、シール構成部材の劣化などによる異常兆候によるものなのか、或いはシール装置が組み込まれている装置或いはプラントの運転条件によるものなのかを知ることが出来なかった。又、異常兆候を検出出来たとしても、これが実用的にいつまで使用可能か等を判定するための劣化の進行予測も出来なかった。従って、本発明の目的は、シール装置の異常兆候を検出する装置、又異常状態乃至劣化度を検出する装置、又劣化の進行に依る使用限界等を予測する装置を提供することにある。 【0004】 【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するため、本発明によれば、シール装置の異常検出装置は、そのシール装置を貫通する流路に関連して該シール装置を流れる流体温度の検出を目的として配設された温度計、同流体のシール装置前後における差圧を検出するために該シール装置を挟んで上流(高圧)側と下流(低圧)側に配設された圧力計及び流量計を含む検出器を有する検出器群、同検出器群に電気的に連絡した演算器及び該演算器の演算出力を表示する表示装置を有し、その演算器は内蔵したシール装置の計算モデル及び予め記録されたシール装置の基本形状寸法と運転条件を使用して仮定状態のシール流量を算出するようになっており、異常が無いと仮定したときの計算シール流量と実シール流量とを対比して異常兆候を検出する。又、本発明に依れば、シール装置の異常予知診断装置は、そのシール装置を貫通する流路に関連して該シール装置を流れる流体温度の検出を目的として配設された温度計、同流体のシール装置前後における差圧を検出するために該シール装置を挟んで上流(高圧)側と下流(低圧)側に配設された圧力計及び流量計を含む検出器を有する検出器群、同検出器群に電気的に連絡した演算器、及び該演算器の演算出力を表示する表示装置を有し、その演算器は、内蔵したシール装置の計算モデル及び予め記録されたシール装置の基本形状寸法と運転条件並びに仮定されたパラメータを使用して異常仮定状態の計算シール流量を算出し、これを実シール装置と比較して異常の原因である劣化要因と劣化度を推定する。更には、その演算器において、前記劣化要因及び劣化要因を用いて、経過時間と劣化度の進行の関係を多項式で近似して所定時刻のシール流量を予測する。 【0005】 【発明の実施の形態】以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。先ず、図1を参照するに異常検出装置10は、検出器群20、各種演算を行うコンピュータ30及びその結果を表示する表示装置40から構成される。検出器群20を形成する圧力計21、温度検出器23、圧力計25、温度検出器27及び流量計29は、監視対象のシール装置1を通る流体の流路に関して設けられる。圧力計21はシール装置1の入口側流体圧力を検出し、他方圧力計25は出口側圧力を検出し、協働して差圧を検出する。温度検出器23、27は熱電対で形成され、それぞれ入口側流体温度及び出口側流体温度を検出するが、抵抗型温度計を使用しても良い。尚、本発明では、シール装置を流れる流体の温度が推定できれば、請求項1に示した異常兆候の検出、請求項2に示した異常の原因である劣化要因と劣化度を推定、請求項3に示した経過時間と劣化度の進行の関係を多項式で近似して所定時刻のシール流量の予測が可能なので、必ずしもこれら温度計がシール近傍にある必要もないし、入口側、出口側の対を成して設置する必要はない。流量計29は、例えばオリフィスと差圧計から形成されている。他の形式の流量計でも良い。 【0006】以上の検出器群20からの検出値を使用し、コンピュータ30は次のような演算を内蔵されたソフトにより行う。図2のフローチャートを参照するに、(1)運転データ(シール差圧、シール水の温度など)を読み込み(ステップ51)、(2)シール面の変形(隙間量、テーパ量)を仮定し(ステップ53)、(3)予め記録してあるシール構成部材の寸法データと、前述の検出器群20からの信号に基づく運転条件の時刻歴情報と、劣化が無い場合におけるシール特性を記述した計算モデルを基に、仮定シール隙間、仮定テーパ量及び前記時刻歴情報に対応する隙間内圧力分布を計算し(ステップ55)、(4)その圧力分布計算値をシール長さ分だけ半径方向に積分して求まるシール面におけるリフティング力を計算し(ステップ57)、(5)このリフティング力と着座力と摺動部における摩擦力との力が釣り合うか否かから計算の収束を判断し(ステップ59)、(6)収束していなければ、再度シール隙間を仮定して再計算するか(ステップ61)、(7)収束していればこの条件におけるシール流量を計算し(ステップ63)、(8)圧力変形や熱変形によるテーパ量変化を計算し(ステップ65)、(9)このテーパ量変化値をテーパ量の前回計算値と比較し(ステップ65)、(10)テーパ量変化が収束したのであれば次の運転条件の時刻歴情報を読み込み(ステップ51)に戻るか、収束しないのであれば、再度シール隙間とテーパ量を仮定し直して(ステップ53)に戻る。 【0007】以上のようなステップを経て求められるシール量は、劣化ゼロの計算モデルによって得られた計算シール量であるから、これが図3に示す検出原理により、実機のシール量と比較されて、異常兆候が検出される。 【0008】次に、劣化要因乃至劣化状態は図4に示す劣化度の推定原理に基づき、次のステップを経て推定される。即ち、(1)シール面の変形(隙間量、テーパ量)を仮定し(ステップ53)、(2)劣化要因と劣化要因の進行度合いである劣化度を仮定し、(3)この仮定に基づき、予め記録してあるシール構成部材の寸法データを修正し、前述の検出器群20からの信号に基づく運転条件の時刻歴情報と、修正した状態におけるシール特性を記述した計算モデルを基に、仮定シール隙間、仮定テーパ量及び前記時刻歴情報に対応する隙間内圧力分布を計算し、(4)その圧力分布計算値をシール長さ分だけ半径方向に積分して求まるシール面におけるリフティング力を計算し(ステップ57)、(5)このリフティング力と着座力と摺動部における摩擦力との力が釣り合うか否かから計算の収束を判断し(ステップ59)、(6)収束していなければ、再度シール隙間を仮定して再計算するか(ステップ61)、(7)収束していればこの条件におけるシール流量を計算し(ステップ63)、(8)圧力変形や熱変形によるテーパ量変化を計算して前回計算におけるテーパ量と比較し(ステップ65)、(9)収束しないのであれば、再度シール隙間とテーパ量を仮定し直して(ステップ53)に戻るか、(10)収束したのであれば実機の流量と計算流量とを比較し、(11)偏差が所定の値以上であれば劣化要因と劣化度を再度仮定し、上記(3)に戻る。そして、前述のようなステップの計算を繰り返し、実際の流量と計算流量との偏差が最小になるような劣化要因と劣化度の組合せを求め、劣化兆候発生時の要因を推定する。 【0009】次に、前述のようにして求めた劣化度を一定間隔で記録し、経過時間と劣化度の進行の関係を記述した適当な多項式で近似し、図2に示したアルゴリズムに劣化度として代入することにより、シール流量を予測する。即ち、(1)前述のようにして求めた劣化要因と劣化度を、経過時間と劣化度の進行の関係を記述した適当な多項式で近似し、(2)これを外挿することで将来における劣化度を予測し、(3)この劣化度の予測値と予測時点における運転条件の予測値と、この予測値に基づき、予め記録してあるシール構成部材の寸法データを修正し、(4)この修正した状態におけるシール特性を記述した計算モデルを基に、シール面の変形(隙間量、テーパ量)を仮定し、(5)仮定シール隙間、仮定テーパ量及び前記運転条件の予測値に対応する隙間内圧力分布を計算し、(6)その圧力分布計算値をシール長さ分だけ半径方向に積分して求まるシール面におけるリフティング力を計算し、(7)このリフティング力と着座力と摺動部における摩擦力との力が釣り合うか否かから計算の収束を判断し、(8)収束していなければ、再度シール隙間を仮定して再計算するか、収束していればこの条件におけるシール流量を計算し、(8)圧力変形や熱変形によるテーパ量変化を計算し、(9)前回計算におけるテーパ量と比較し、(10)収束したのであれば(1)項に戻るか、(11)収束しないのであれば、再度シール隙間とテーパ量を仮定し直して(1)項に戻るか、偏差が所定の値以上であれば劣化要因と劣化度を再度仮定し、上記(3)に戻る。以上のような手順による結果の一例を図5に示す。このように、劣化度の予測及びこれに起因するシール流量を予測でき、又所定のシール流量に達するまでの所要時間も予測できる。 【0010】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の異常検出に依れば、異常が無いと仮定した計算シール流量と実シール流量とを比較することにより、両者の偏差がある場合には異常が無いとした仮定が誤っていることになり、異常が検出できる。更に、異常が検出された場合には、本発明の異常予知診断装置により異常パラメータを仮定して異常計算シール流量を算出し、これを実シール流量と対比することにより、異常の原因となる劣化要因と劣化度を推定することができる。更には、この推定を基に、将来における異常状態を推測、予知することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006208 【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年2月28日(2000.2.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100057874 【弁理士】 【氏名又は名称】曾我 道照 (外5名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−241550(P2001−241550A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月7日(2001.9.7) |
| 【出願番号】 |
特願2000−51902(P2000−51902) |
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