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【発明の名称】 くさび型シール
【発明者】 【氏名】白田 明彦

【氏名】西勝 秀

【要約】 【課題】くさび型シールに関し、簡単な構成で、内外の差圧を利用し、シール性能を保つ。

【解決手段】装置側部材10には穴11が設けられ、円筒状部品12が挿通されている。円筒状部品12には段部12a、周面12bが形成され、12a,12bと穴11の周囲との間にはリング状でテーパ部1aを有するガスケット1が挿入され、その下部には同様にリング状でテーパ部2aを有する摺動部材2が挿入され、テーパ部1aと2aとは当接している。摺動部材2は下部のスナップリング4とスプリング3で周囲が支持され、内部の圧力Pi と外部の圧力Po (Pi >Po )の差圧ΔPにより上方へ力Fで押され、テーパ部2aを介してガスケット1を穴11の周面へ押付ける。従ってわずかな差圧ΔPにより内外のシールが保持される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 装置本体に設けられた穴に挿通された円筒状部品を有し、同円筒状部品の先端部には段部により小径部が形成され同小径部外周面と前記穴の内周面との間のシールであって、同段部に上面が当接し、外周面が前記穴の内周面と接すると共に、内周面が下方へ拡大するテーパ面を有する円環状のガスケットと、同ガスケットの前記テーパ面に外周テーパ面が摺動可能に当接し、内周面が前記円筒状部品の小径部外周面と摺動可能に接する円環状の摺動部材と、前記円筒状部品の小径部外周囲に取付けられ前記摺動部材の底面周囲を支持する支持手段とを具備してなることを特徴とするくさび型シール。
【請求項2】 装置本体に設けられた穴に挿通された円筒状部品を有し、同円筒状部品の先端部には段部により小径部が形成され同小径部外周面と前記穴の内周面との間のシールであって、同段部に下面が当接し、外周面が前記穴の内周面と接すると共に、内周面が上方へ拡大するテーパ面を有する円環状のガスケットと、同ガスケットの前記テーパ面に外周下部テーパ面が摺動可能に当接し、内周面が前記円筒状部品の小径部外周面と摺動可能に接する円環状の摺動部材とを具備してなることを特徴とするくさび型シール。
【請求項3】 前記装置本体が高圧蒸気タービンの車室内の蒸気入口用穴、前記円筒状部品が蒸気入口管であることを特徴とする請求項1記載のくさび型シール。
【請求項4】 前記装置本体が中圧蒸気タービンの車室内の冷却蒸気入口用穴、前記円筒状部品が冷却蒸気入口管であることを特徴とする請求項1記載のくさび型シール。
【請求項5】 前記装置本体が高中圧蒸気タービンの翼環に設けられた蒸気抽気用穴、前記円筒状部品が蒸気抽気管であることを特徴とする請求項2記載のくさび型シール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はくさび型シールに関し、シール部内外の差圧を利用してくさび型のシールを変形させ、簡単な機構でシール性能を向上させるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】従来一般に使用されているシールは、スタックリング、ベルシール、ピストンリング、等があり、それぞれの構造に応じて利用されている。図8は従来のシールの概要を示す図であり、(a)はスタックリングの断面図、(b)はベルシールの断面図、(c)はピストンリングの斜視図である。(a)において、円筒状の部品80が装置本体81内に隙間88を有して挿通されており、隙間88の周囲には径の異なるリング82,83,84,85,86,87が上から順に部品80に挿入されている。これらリングは互いに異なる材料からなり、熱膨張が異なり、互いに接することにより(X1 )と(X2 )との間をシールする構成である。(b)はベルシールを示し、円筒状部材90と機械装置100の穴周囲との間でシールを構成するものである。円筒状部材90の下端にはリング状のフランジ部材92がネジで結合され、通路を形成している。フランジ部材92の周囲には、水平リング状部分93a,93c及び円筒状部分93bとで一体成形されたシール部材93が挿入され、シール部材93の水平リング状部分93cの周側面が機械装置100の穴周囲壁面に接し、シール面101を構成している。シール面101はシール部材93の(Y2 )側の圧力で円筒状部分93bが機械装置100側に押圧されることによりシール面101を保持している。又(c)はピストンリング110であり、例えば円形のピストンの周囲に介装され、シリンダ内壁面との間でシールを構成するものである。これら各種シール装置はいずれもシール部からの洩れが多かったり、又、シールをする部材間の温度差や圧力差に影響されやすく、充分なシール性能を発揮するには改良が必要であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、従来のシール装置は、スタックリングにおいては、多数のリングを用いなければならず、温度差が小さいと、各リングの熱膨張差がなくなり充分な面圧が得られない。又、ベルシールでは、構造が複雑でスペースも大きく、差圧が小さいとシール部材のシール面に対する押付力が不足する。又、ピストンリングではリングに分割部分があるため、多数のリングを使用し、又、洩れ量が少量発生する。
【0004】そこで本発明は簡単な機構で内外の差圧を効果的に利用し、一段のみの設置で従来シール装置よりも温度差や圧力差には影響されず、わずかな圧力差で作動して良好なシール性能を有するくさび型シールを提供することを課題としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は前述の課題を解決するために次の(1)〜(5)の手段を提供する。
【0006】(1)装置本体に設けられた穴に挿通された円筒状部品を有し、同円筒状部品の先端部には段部により小径部が形成され同小径部外周面と前記穴の内周面との間のシールであって、同段部に上面が当接し、外周面が前記穴の内周面と接すると共に、内周面が下方へ拡大するテーパ面を有する円環状のガスケットと、同ガスケットの前記テーパ面に外周テーパ面が摺動可能に当接し、内周面が前記円筒状部品の小径部外周面と摺動可能に接する円環状の摺動部材と、前記円筒状部品の小径部外周囲に取付けられ前記摺動部材の底面周囲を支持する支持手段とを具備してなることを特徴とするくさび型シール。
【0007】(2)装置本体に設けられた穴に挿通された円筒状部品を有し、同円筒状部品の先端部には段部により小径部が形成され同小径部外周面と前記穴の内周面との間のシールであって、同段部に下面が当接し、外周面が前記穴の内周面と接すると共に、内周面が上方へ拡大するテーパ面を有する円環状のガスケットと、同ガスケットの前記テーパ面に外周下部テーパ面が摺動可能に当接し、内周面が前記円筒状部品の小径部外周面と摺動可能に接する円環状の摺動部材とを具備してなることを特徴とするくさび型シール。
【0008】(3)前記装置本体が高圧蒸気タービンの車室内の蒸気入口用穴、前記円筒状部品が蒸気入口管であることを特徴とする(1)記載のくさび型シール。
【0009】(4)前記装置本体が中圧蒸気タービンの車室内の冷却蒸気入口用穴、前記円筒状部品が冷却蒸気入口管であることを特徴とする(1)記載のくさび型シール。
【0010】(5)前記装置本体が高中圧蒸気タービンの翼環に設けられた蒸気抽気用穴、前記円筒状部品が蒸気抽気管であることを特徴とする(2)記載のくさび型シール。
【0011】本発明の(1)においては、円筒状部品内の圧力(Pi )は装置本体側の外の圧力(Po )とはPi >Po であり、その差圧により摺動部材の底面が上方に押される。摺動部材は通常は支持手段により下部が支持されており、差圧により上方へ押されると、円筒状部品の外周面と摺動して上方へ移動し、外周テーパ面を介してガスケットを径方向外側に押圧する。摺動部材のテーパ面とガスケットのテーパ面とは摺動可能に接しているのでガスケットの内側は先端部がテーパ面で細くなる形状であるので、径方向外側に押されて変形し、装置本体の穴内周面と接し、シール面が保たれる。
【0012】本発明の(2)においては、ガスケットと摺動部材とは、上記(1)の発明とは天地が逆に配置されており、摺動部材が上方に、その下方にガスケットが配置されている。ガスケットはその底面が段部と係合し、この段部で支持されているので、(1)の発明のような支持手段が不要となる。本発明の(2)においては、上方の摺動部材が差圧により下方へ押され、上記(1)の発明と同様にガスケットをテーパ面を介して径方向外側に押し、ガスケット外周面を変形させて穴内周面に押圧し、シール面を構成する。
【0013】本発明の(3)は、高圧蒸気タービンの蒸気入口管の接合部へ、(4)は同じく中圧蒸気タービンの冷却蒸気入口管の接合部へ、(5)では高中圧蒸気タービンの蒸気抽気管の接合部へそれぞれくさび型シールを適用するので、車室外から車室内へ供給する供給管から車室内へ洩れる蒸気、車室内へ供給する冷却用蒸気の車室内供給途中からの洩れ、車室内から抽気して車室外へ導く蒸気の車室内途中の洩れ、がそれぞれ管と穴との接続部において確実にシールされ、洩れを防止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明の実施の第1形態に係るくさび型シールの断面図である。図において、本実施の第1形態におけるくさび型シールは、装置側部材10には円形の穴11が形成され、穴11に円筒状部品12が挿入され、固定される場合に、両者間の隙間の内外をシールするために使用されるものである。又、後述するように装置側部材10の具体例としては、蒸気タービンの車室内の構造、円筒状部品12としては蒸気入口管や抽気管等がある。
【0015】図1において、1はリング状のガスケットで材料は銅(C1100P)からなり、表面は銀化合物等のやわらかな材料からなるコーティングが施され、密着性を良好としてシール性能を向上するようにしてある。又、ガスケット1は内側にテーパ部1aを有した形状で、上面が円筒状部品12の外側の段部12aに接し、外周面1bは初期隙間tを保持するように穴11に組み込まれている。この初期隙間tは、0.02mm程度に設定し、又、穴11の周囲はわずかに下方へ向かって拡大するテーパを設けて加工され、ガスケット1の組み込み、抜き出しが容易となるようにすることが好ましい。
【0016】2は摺動部材であり、リング形状であってガスケット1と同種の材料か、又は円筒状部品と同種の材料で製造される。摺動部材2は外側の上端部にはテーパ部2aが設けられ、このテーパ部2aはガスケット1のテーパ部1aと摺動可能に接している。摺動部材2の内周面は円筒状部品12の段部12aで形成される小径部外周面に摺動可能に接して挿通されている。
【0017】3はスプリング、4はスナップリングであり、スナップリング4は円筒状部品12の外周囲に加工された溝部に挿入されるリング状の部材である。スプリング3はスナップリング4と摺動部材2底面との間に介装されて摺動部材2底面を支持すると共に、摺動部材2のテーパ部2aとガスケット1のテーパ部1aとを接するように押圧するものである。従って、スプリング3は全周囲に配置され、摺動部材2底面全周囲を均一に押圧することが好ましい。なお、装置側部材10の穴周囲壁面及び円筒状部品12の段部12aで形成される小径部周囲側壁面はガスケット1と同じく銀化合物からなるやわらかな材料からなるコーティングを施すと密着性が良好となり、シール性能が向上する。
【0018】上記構成の実施の第1形態において、装置側部材10の外側圧力Po と内側圧力Pi とにはPi >Po の関係があり、その差圧により摺動部材2の下面は力Fで上方に押され、上方へ摺動し、テーパ部2aがガスケット1aの面を力F1 で押圧する。この押圧力F1 により、ガスケット1は、先端部分が押されて変形し、初期隙間tの状態から穴11の周側面に押されて密着し、シール面が構成される。
【0019】上記のシール装置の具体的な寸法を蒸気タービンに適用した場合について説明すると、円筒状部品12が蒸気入口管で、段部12aで形成される小径部の外径が約100mm、外側のPo が作用する隙間が約10mm程度の隙間があり、円筒状部品12の内側には300℃程度の高温蒸気が通過しPi −Po の差圧は20kg/cm2 程度となっている。この程度の差圧があれば本実施の第1形態におけるくさび型シールは充分にシール性能を発揮するものである。
【0020】図2は本発明の実施の第1形態に係るくさび型シールの変形側を示す断面図であり、図1と異なる部分はガスケット21の部分であり、ガスケット21は段部12aには接するが、小径部周面とは接することなく、隙間Lを形成し、段部12aに接するのみとし、摺動部材2のテーパ部2aと、テーパ部21aとを摺動自在に接触させるような形成としたものである。その他の構成は図1の構造と同じである。このような構成のくさび型シールとしても、図1と同様のシール性能が得られるものである。
【0021】図3は本発明の実施の第2形態に係るくさび型シールの断面図である。本実施の第2形態においては、装置側部材10、その穴11、円筒状部品12は図1に示す構造と同じであるが、その配置は天地が逆となっている。このような構成では上部の内圧Pi が外側の圧力Po よりも大きいので、その差圧は摺動部材2に対し、下方、即ち重力方向に作用する。従って、図1の構成のスプリング3、スナップリング4が不要となり、その分構造が簡単になる。このような適用例においても、図1と同様のシール性能が得られる。
【0022】次に本発明のくさび型シールの具体的な適用例について説明する。図4は高圧蒸気タービンの断面図であり、高圧蒸気タービン30は外側全体を覆う車室31、車室内側の内車室32、中心部のロータ33、ロータ33周囲に取付けられた動翼34、内車室の翼環側に動翼34と軸方向で交互に配列して取付けられた静翼35から構成されている。車室31の中央部周囲には蒸気を内部へ導く蒸気入口管36が複数個取付けられており、内車室32の内側入口管37の入口に端部が挿入され、蒸気導入通路を構成している。
【0023】上記の構成で、蒸気100は蒸気入口管36から内側入口管37を通り、左右に分かれて左右のノズル38より、それぞれ動翼34、静翼35が配列する通路へそれぞれ流れ、ロータ33を回転させて出口管より車室31外へ流出し、復水器へ導かれる。本発明のくさび型シールは、蒸気入口管36と内側入口管37との接続部Aに適用され、蒸気入口管36の接続端周囲から高圧の蒸気が車室内へ洩れるのを防止するものである。その詳細な構造は後述する図7(a)に示す。
【0024】図5は本発明のくさび型シールの具体的適用の他の例であり、高中圧蒸気タービンに適用した例である。高中圧蒸気タービン40は、高圧タービン部40aと中圧タービン部40bとで構成され、ロータ45が共通に配置され、ロータ45の周囲には、それぞれ中圧、高圧タービン部40a,40bの両側で動翼43が取付けられ、動翼43とは軸方向で交互に配列するように静翼44が翼環42に取付けられている。高,中圧タービン部40a,40b全体は車室41で覆われており、高圧,中圧タービン部40a,40bの中間部には主蒸気入口管46が取付けられ、高圧タービン部40a側には蒸気抽気管47が、中圧タービン部40bには再熱蒸気の蒸気入口管49、蒸気出口管50がそれぞれ設けられている。
【0025】上記構成の高中圧蒸気タービンにおいて、主蒸気101は主蒸気入口管46から車室内へ入り、ノズル51から101aのように高圧タービン部40aに流入し、膨張することによりロータ45を回転させ、101bのように流出し、図示省略の出口から再熱器へと導かれる。又、高圧タービン部40aの通路の途中からは、101cのように蒸気を一部抽気し、蒸気抽気管47より流出する。
【0026】一方、中圧タービン部40bにおいては、再熱器から導かれた蒸気が再熱蒸気入口管49より導かれ、中圧タービン部40bを通り、102aのように流れて同様にロータ45へ回転力を与え、蒸気出口管50より流出する。本発明のくさび型シールは、このような構成の高中圧蒸気タービン40の蒸気抽気管47の端部が挿入される翼環抽気口48との接続部Bにも適用され、翼環抽気口48の接続部周囲から抽気する高圧蒸気が車室内へ洩れるのを防止することができる。その詳細な構成は後述する図7(b)に示す。
【0027】図6は本発明のくさび型シールの具体的応用例の更に別の例であり、中圧蒸気タービンの冷却用蒸気の入口管接続部に適用したものである。図において、中圧蒸気タービン60は外側全体を覆う車室61、車室61内側の内車室62、中心部のロータ63、ロータ63周囲に取付けられた動翼64、内車室61及び車室61に連結の翼環側に取付けられ動翼64と軸方向で交互に配列した静翼65から構成されている。又、車室61の中央部周囲には蒸気を内部へ導く蒸気入口管66が複数個取付けられている。
【0028】更に、冷却蒸気入口管67が車室61に挿入され、その端部は内車室冷却蒸気入口68に挿入され、内車室冷却蒸気入口68からはロータ63周辺まで蒸気管70が伸び、その端部は内側冷却蒸気入口69に挿入されている。
【0029】上記構成で、蒸気は蒸気入口管66から車室61内へ流入し、内車室62内へ入り、図4で説明したように左右に分かれてそれぞれ動翼64、静翼65で構成されるタービン部を流れ、ロータ63に回転力を与えて出口管より車室外へ流出し、復水器へ導かれる。又、冷却用の蒸気は冷却蒸気入口管67から内車室冷却蒸気入口68へ入り、蒸気管70を通り、内側冷却蒸気入口69へ流れ、ロータ周囲を冷却している。本発明のくさび型シールは、このような構成の中圧蒸気タービンの冷却蒸気入口管67と内車室冷却蒸気入口68との接続部C、及びその内側の蒸気管70と内側冷却蒸気入口69との接続部Dにも適用され、冷却蒸気がこれら接続部から車室内へ洩れるのを防止することができるものである。その詳細な構成は後述する図7(c)に示す。
【0030】図7は上記に説明した図4,図5,図6に適用した本発明のくさび型シールの取付部詳細図であり、(a)は図4、(b)は図5、(c)は図6の各接続部の詳細図である。まず、(a)は図4のA部詳細図である。図において、車室31には蒸気入口管36が取付けられ、蒸気入口管36の端部には、径方向へ段部36a、周面36bが形成され、この36a,36bと内側入口管37内周面との間に図1で示す構成のくさび型シール5が挿入されている。このようなくさび型シール5により、流入する蒸気側の圧力(Pi )と車室内圧力(Po )との差圧で内側入口管37内周面にくさび型シール5が押圧されてシールが構成されている。
【0031】図7(b)は図5のB部詳細図である。図において、翼環抽気口48には蒸気抽気管47の先端部が挿入されており、蒸気抽気管47には水平面の段部47aと周面47bが形成され、この段状の面47a,47bと翼環抽気口48の内周面との間に図3で示すくさび型シール5aが挿入されている。このようなくさび型シール5aにより、流出する抽気蒸気の圧力(Pi )と車室内圧力(Po )との差圧で翼環抽気口の周囲壁面にくさび型シール5aが押圧されてシールが構成されている。
【0032】図7(c)は図6のC部詳細図であり、内車室冷却蒸気入口68には冷却蒸気入口管67先端部が挿入されており、冷却蒸気入口管67には水平段部67aと周面67bが形成され、この段状の面67a,67bと内車室冷却蒸気入口68の内周面との間にくさび型シール5が挿入されている。このようなくさび型シール5により、流入する蒸気側の圧力(Pi )と車室内圧力(Po )との差圧で内車室冷却蒸気入口68内周面にくさび型シール5が押圧されてシールが構成される。なお、図6のD部詳細はC部詳細と同様な構成であるので詳細な図は省略する。
【0033】以上説明の実施の第1,第2のくさび型シールによれば、従来のスタックリングやベルシールに比べて簡単な機構で構成され、温度差を必要とせずに内外の比較的小さな差圧により作動し、又、ピストンリングのような洩れもなく、良好なシール性能が得られるので、蒸気タービンの蒸気入口管、冷却蒸気の入口管、蒸気抽気管の各接続部に適用されることができる。なお、本発明の図4〜図6に示す応用例では、蒸気タービンの例で説明したが、本発明はこれに限定されず、ガスタービンの空気系統の接続部はもちろん、その他の圧差が利用できる装置側部材10と円筒状部品12からなるすべての装置に適用され、良好なシール効果を奏するものである。
【0034】
【発明の効果】本発明のくさび型シールは、(1)装置本体に設けられた穴に挿通された円筒状部品を有し、同円筒状部品の先端部には段部により小径部が形成され同小径部外周面と前記穴の内周面との間のシールであって、同段部に上面が当接し、外周面が前記穴の内周面と接すると共に、内周面が下方へ拡大するテーパ面を有する円環状のガスケットと、同ガスケットの前記テーパ面に外周テーパ面が摺動可能に当接し、内周面が前記円筒状部品の小径部外周面と摺動可能に接する円環状の摺動部材と、前記円筒状部品の小径部外周囲に取付けられ前記摺動部材の底面周囲を支持する支持手段とからなることを特徴としている。このような構成により、簡単な構成で内外の差圧を利用するだけで摺動部材でガスケットを変形させて良好なシール効果が得られる。
【0035】本発明の(2)は、装置本体に設けられた穴に挿通された円筒状部品を有し、同円筒状部品の先端部には段部により小径部が形成され同小径部外周面と前記穴の内周面との間のシールであって、同段部に下面が当接し、外周面が前記穴の内周面と接すると共に、内周面が上方へ拡大するテーパ面を有する円環状のガスケットと、同ガスケットの前記テーパ面に外周下部テーパ面が摺動可能に当接し、内周面が前記円筒状部品の小径部外周面と摺動可能に接する円環状の摺動部材とからなることを特徴としている。
【0036】このような本発明の(2)は、ガスケットと摺動部材とは、上記(1)の発明とは天地が逆に配置されており、摺動部材が上方に、その下方にガスケットが配置されている。ガスケットはその底面が段部と係合し、この段部で支持されているので、(1)の発明のような支持手段が不要となる。本発明の(2)においては、上方の摺動部材が差圧により下方へ押され、上記(1)の発明と同様にガスケットをテーパ面を介して径方向外側に押し、ガスケット外周面を変形させて穴内周面に押圧し、良好なシール面を構成することができる。
【0037】本発明の(3)は、高圧蒸気タービンの蒸気入口管の接合部へ、(4)は同じく中圧蒸気タービンの冷却蒸気入口管の接合部へ、(5)では高中圧蒸気タービンの蒸気抽気管の接合部へそれぞれくさび型シールを適用するので、車室外から車室内へ供給する供給管から車室内へ洩れる蒸気、車室内へ供給する冷却用蒸気の車室内供給途中からの洩れ、車室内から抽気して車室外へ導く蒸気の車室内途中の洩れ、がそれぞれ管と穴との接続部において確実にシールされ、洩れを防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成12年1月13日(2000.1.13)
【代理人】 【識別番号】100069246
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 新 (外1名)
【公開番号】 特開2001−200938(P2001−200938A)
【公開日】 平成13年7月27日(2001.7.27)
【出願番号】 特願2000−4561(P2000−4561)