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【発明の名称】 環状パッキン及び圧力容器の気密機構
【発明者】 【氏名】峯村 広幸

【要約】 【課題】曲折された角部におけるシール性の低下を可及的に防止し得る環状パッキンを提供する。

【解決手段】扉によって閉じられた気密室の開口部52の周縁面に、開口部52を囲むように環状に形成されて成る環状凹溝58に摺動可能に挿入され、環状凹溝58の底面と下端面との間が加圧・減圧されることによって、扉の内面54aに対して上端面が接離される、弾性材料によって形成された環状パッキン20において、該環状パッキン20の上端面幅W1よりも幅広の下端面の方向に傾斜する傾斜面である側面30,30の各々と前記下端面とによって形成された張出角部28a,28aと、側面30,30の各々の途中に形成された突出部32,32とが、環状凹溝58に環状パッキン20が挿入されたとき、環状凹溝58の側内壁面に摺接するように形成され、且つ突出部32,32の各々が環状パッキン20の長手方向に延出されて突条部34に形成されていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 扉によって閉じられた気密室の開口部の周縁面又は前記開口部の周縁面に対応する扉の内面に、前記開口部を囲むように環状に形成されて成る環状凹溝に摺動可能に挿入され、前記環状凹溝の底面と下端面との間が加圧・減圧されることによって、前記環状凹溝が形成された凹溝形成面の対向面に対して上端面が接離される、弾性材料によって形成された環状パッキンにおいて、該環状パッキンの上端面幅よりも幅広の下端面の方向に傾斜する傾斜面である両側面の各々と前記下端面とによって形成された各張出角部と、前記両側面の各々の途中に形成された各突出部とが、前記環状凹溝に環状パッキンが挿入されたとき、前記環状凹溝の側内壁面に摺接するように形成され、且つ前記突出部の各々が環状パッキンの長手方向に延出されて突条部に形成されていることを特徴とする環状パッキン。
【請求項2】 環状パッキンの上端面が対向面に当接したとき、前記環状パッキンの両側面の各々に形成された突条部が、環状凹溝の側内壁面と摺接する位置に形成されている請求項1記載の環状パッキン。
【請求項3】 環状パッキンの下端面にV字状溝が形成され、且つ前記V字状溝よりも上端面側に突条部が形成されている請求項1又は請求項2記載の環状パッキン。
【請求項4】 環状凹溝が、直線部と角部とが併設された環状凹溝である請求項1〜3のいずれか一項記載の環状パッキン。
【請求項5】 扉によって開閉される気密室の開口部の周縁面又は前記開口部の周縁面に対応する扉の内面に、前記開口部を囲むように環状に形成されて成る環状凹溝に摺動可能に挿入された、弾性材料から成る環状パッキンと、前記扉で閉じられた前記開口部の周縁面と扉との間をシールして前記気密室を気密状態とする際に、前記環状パッキンの少なくとも一部を前記環状凹溝から突出し、前記環状凹溝が形成された凹溝形成面の対向面に、前記環状パッキンの上端面が当接するように、前記環状パッキンの下端面と環状凹溝の底面との間を加圧状態とする加圧手段と、前記開口部の周縁面と扉との間に間隙を形成して前記扉を開ける際に、前記対向面に端面が当接している環状パッキンの少なくとも一部を前記環状凹溝内に収容し、前記対向面から環状パッキンの上端面を対向面から引き離すように、前記環状パッキンの下端面と凹溝の底面との間を減圧状態とする減圧手段とを具備する気密容器の気密機構において、該環状パッキンとして、その上端面幅よりも幅広の下端面の方向に傾斜する傾斜面である両側面の各々と前記下端面とによって形成された各張出角部と、前記両側面の各々の途中に形成された各突出部とが、前記環状凹溝に環状パッキンが挿入されたとき、前記環状凹溝の側内壁面に摺接するように形成され、且つ前記突出部の各々が環状パッキンの長手方向に延出されて突条部に形成されて成る環状パッキンが用いられていることを特徴とする気密容器の気密機構。
【請求項6】 環状パッキンの上端面が対向面に当接したとき、前記環状パッキンの両側面の各々に形成された突条部が、環状凹溝の側内壁面と摺接する位置に形成されている請求項5記載の気密容器の気密機構。
【請求項7】 環状パッキンの下端面にV字状溝が形成され、且つ前記V字状溝よりも上端面側に突条部が形成されている請求項5又は請求項6記載の気密容器の気密装置。
【請求項8】 環状パッキンとして、その横断面形状が、前記環状パッキンが環状凹溝に挿入されたとき、前記環状凹溝の側内壁面に環状パッキンの側面と下端面とによって形成された張出角部が摺接するように、前記環状パッキンの両側面の各々が、上端面幅よりも幅広に形成された下端面の方向に傾斜する傾斜面に形成された台形状である環状パッキンが用いられ、前記環状パッキンが摺動可能に収容される環状凹溝の側壁面の各々に開口された横溝が、前記環状凹溝の開口縁に沿って形成され、且つ前記環状パッキンの側面と一部が当接してシールするシール用パッキンが前記横溝に挿入されている請求項5記載の気密容器の気密機構。
【請求項9】 環状凹溝が、直線部と角部とが併設された環状凹溝である請求項5〜8のいずれか一項記載の気密容器の気密装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は環状パッキン及び気密容器の気密装置に関し、更に詳細には扉によって閉じられた気密室の開口部の周縁面又は前記開口部の周縁面に対応する扉の内面に、前記開口部を囲むように環状に形成されて成る環状凹溝に摺動可能に挿入され、前記環状凹溝の底面と下端面との間が加圧・減圧されることによって、前記環状凹溝が形成された凹溝形成面の対向面に対して上端面が接離される、弾性材料によって形成された環状パッキン、及びこの環状パッキンを用いた気密容器の気密機構に関する。
【0002】
【従来の技術】扉によって開口部が密閉されて内部が気密状態となる気密容器として、食品、製薬、或いは病院等で用いられる種々の機材の滅菌に使用される高圧滅菌器がある。かかる高圧滅菌器の一例を図4に示す。図4に示す高圧滅菌器10には、気密室としての滅菌室52が設けられている筐体12に、扉54が開閉自在にヒンジ14、14によって取り付けられている。この扉54により開口部56を閉じることによって、滅菌室52を気密とすることができる。尚、筐体12の正面には、滅菌室52内の温度、湿度、圧力、時間等を設定するための操作パネル16が設けられている。
【0003】この高圧滅菌器10においては、滅菌室52を気密とすべく、開口部56の周縁に沿ってゴム製の環状パッキン100を配設した気密機構が設けらている。かかる環状パッキン100は、図5に示す様に、開口部56の周縁に沿って形成された平面形状がロ字状の環状凹溝58に、矢印Aの示す方向に摺動可能に挿入されているフローティングパッキンである。この環状パッキン100が挿入されている環状条凹溝58の底面には、圧縮空気を供給・排出する流体通孔62が設けられており、環状パッキン100の上端面は、扉54によって開口部56が閉じられた際に、扉54の内面54aと対向している。かかる気密機構において、流体通孔62を介して凹溝58の底面側に、圧縮機等の圧縮手段18によって加圧された圧縮空気を供給すると、環状凹溝58に摺動可能に挿入されている環状パッキン100は、扉54の方向に押し出され、その上端面が扉54の内面54aに当接し、扉54の内面54aと開口部56の周縁との間をシールして滅菌室52を気密状態とすることができる。
【0004】他方、滅菌等が完了した後、常圧に戻された滅菌室52に収容されている滅菌対象物を扉54を開いて取り出す際には、流体通孔62から圧縮空気を排出した後、真空ポンプ等の真空発生手段20によって環状パッキン100の下端面と凹溝58の底面との間を減圧状態とし、環状パッキン100を凹溝58内に引き込む。このため、環状パッキン100の先端面と扉54の内面54aとの間に間隙が形成され、扉54をスムーズに開けることができる。特に、最近、上下方向又は左右方向に扉がスライドして滅菌室52の開口部56を開閉する高圧滅菌器が使用されてきている。かかる高圧滅菌器では、環状パッキン100の上端面と扉の内面との間に間隙が形成されて初めて扉をスライドすることが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】かかる図4及び図5に示す環状パッキン100は、図6に示す如く、上端面幅が下端面幅よりも狭い台形状の横断面形状のものである。この環状パッキン100の上端面の略中央部には、浅い凹溝102が形成されている。この凹溝102は、図5に示す様に、環状パッキン100が扉54の方向に押し出され、その上端面が扉54の内面54aに当接したとき、凹溝102を挟む平坦面104a,104aが変形し易くし、シール性を向上するためである。更に、環状パッキン100の下端面には、V字溝106が形成されている。このV字溝106は、図5に示す様に、環状パッキン100を環状凹溝58に摺動可能に挿入し易くすべく、環状パッキン100のV字溝106を挟んで形成された張出端108a,108aを含む部分の変形を容易とする。また、環状パッキン106のV字溝106は、環状凹溝58内に引き込まれた環状パッキン100の張出端108a,108aの底面が、環状凹溝58の底面に密着した場合、流体通孔62から供給された圧縮空気を環状パッキン100の底面全面に送る圧縮空気通路を形成する。かかるV字溝106から成る圧縮空気通路によって、環状パッキン100の全体を同時に環状凹溝58から押し上げることができる。
【0006】図6に示す環状パッキン100を、図5に示す環状凹溝58に挿入すると、環状凹溝58には、直線部と角部とが併設されているため、直線部では、図7(a)に示す様に、環状凹溝58の内側壁よりも張り出す環状パッキン100の張出角部108a,108aを含む張出部110,110が摺接部となって、環状凹溝58の内側壁との間をシールする。従って、環状パッキン100の下端面と環状凹溝58の底面との間に、圧縮空気を供給することによって、環状パッキン100は、実質的に曲折されることなく扉54の内面54aの方向に押し出され、環状パッキン100の上端面104a,104aは、内面54aと当接する。しかも、環状パッキン100の張出部110,110によって、環状凹溝58の内側壁との間が充分にシールされる。このため、滅菌室52が減圧状態となっても、環状パッキン100の下端面と環状凹溝58の底面との間に供給された圧縮空気が、滅菌室52内に漏れ込むこともない。
【0007】他方、環状凹溝58の角部に挿入された環状パッキン100は、環状凹溝58の角部に倣って部分的に曲折されて角部が形成される。かかる環状パッキン100の角部では、図7(b)に示す様に、環状パッキン100の曲折外方に傾斜する。このため、環状パッキン100の角部において、その環状凹溝58の側内壁に摺接する張出部110,110の摺接面積は、図7(a)に示す環状凹溝58の直線部に挿入された環状パッキン100の張出部110,110に比較して狭くなり、環状凹溝58の内側壁との間のシール性が低下する。この様に、シール性が低下した環状パッキン100の角部では、その下端面と環状凹溝58の底面との間に供給された圧縮空気が漏出し易くなっている。このため、圧縮空気の滅菌室52への洩れ込みによって、滅菌室52の到達真空度の低下や滅菌不良等を発生させる原因となり易い。そこで、本発明の課題は、曲折された角部におけるシール性の低下を可及的に防止し得る環状パッキン、及び前記環状パッキンを用いた圧力容器の気密機構を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を解決すべく検討を重ねた結果、上端面幅よりも下端面幅を幅広に形成した環状パッキンを環状凹溝に挿入したとき、環状凹溝の側内壁面に摺接する突出部を、下端面方向に傾斜する傾斜面に形成された側面の途中に、長手方向に延出して突条部とした環状パッキンを、平面形状がロ字状の環状凹溝に挿入して角部を形成しても、圧縮空気の漏出を可及的に防止できることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は、扉によって閉じられた気密室の開口部の周縁面又は前記開口部の周縁面に対応する扉の内面に、前記開口部を囲むように環状に形成されて成る環状凹溝に摺動可能に挿入され、前記環状凹溝の底面と下端面との間が加圧・減圧されることによって、前記環状凹溝が形成された凹溝形成面の対向面に対して上端面が接離される、弾性材料によって形成された環状パッキンにおいて、 該環状パッキンの上端面幅よりも幅広の下端面の方向に傾斜する傾斜面である両側面の各々と前記下端面とによって形成された各張出角部と、前記両側面の各々の途中に形成された各突出部とが、前記環状凹溝に環状パッキンが挿入されたとき、前記環状凹溝の側内壁面に摺接するように形成され、且つ前記突出部の各々が環状パッキンの長手方向に延出されて突条部に形成されていることを特徴とする環状パッキンにある。
【0009】また、本発明は、扉によって開閉される気密室の開口部の周縁面又は前記開口部の周縁面に対応する扉の内面に、前記開口部を囲むように環状に形成されて成る環状凹溝に摺動可能に挿入された、弾性材料から成る環状パッキンと、前記扉で閉じられた前記開口部の周縁面と扉との間をシールして前記気密室を気密状態とする際に、前記環状パッキンの少なくとも一部を前記環状凹溝から突出し、前記環状凹溝が形成された凹溝形成面の対向面に、前記環状パッキンの上端面が当接するように、前記環状パッキンの下端面と環状凹溝の底面との間を加圧状態とする加圧手段と、前記開口部の周縁面と扉との間に間隙を形成して前記扉を開ける際に、前記対向面に端面が当接している環状パッキンの少なくとも一部を前記環状凹溝内に収容し、前記対向面から環状パッキンの上端面を対向面から引き離すように、前記環状パッキンの下端面と凹溝の底面との間を減圧状態とする減圧手段とを具備する気密容器の気密機構において、該環状パッキンとして、その上端面幅よりも幅広の下端面の方向に傾斜する傾斜面である両側面の各々と前記下端面とによって形成された各張出角部と、前記両側面の各々の途中に形成された各突出部とが、前記環状凹溝に環状パッキンが挿入されたとき、前記環状凹溝の側内壁面に摺接するように形成され、且つ前記突出部の各々が環状パッキンの長手方向に延出されて突条部に形成されて成る環状パッキンが用いられていることを特徴とする気密容器の気密機構にある。
【0010】かかる本発明において、環状パッキンの上端面が対向面に当接したとき、前記環状パッキンの両側面の各々に形成された突条部を、環状凹溝の側内壁面と摺接する位置に形成することによって、環状凹溝の側内壁面とのシール性を一層向上できる。更に、環状パッキンの下端面にV字状溝を形成し、且つ前記V字状溝よりも上端面側に突条部を形成することにより、環状パッキンの環状凹溝への出入をスムーズに行うことができる。また、環状パッキンとして、その横断面形状が、前記環状パッキンが環状凹溝に挿入されたとき、前記環状凹溝の側内壁面に環状パッキンの側面と下端面とによって形成された張出角部が摺接するように、前記環状パッキンの両側面の各々が、上端面幅よりも幅広に形成された下端面の方向に傾斜する傾斜面に形成された台形状である環状パッキンを用い、前記環状パッキンを摺動可能に収容する環状凹溝の側壁面の各々に開口した横溝を、前記環状凹溝の開口縁に沿って形成し、且つ前記環状パッキンの側面と一部が当接してシールするシール用パッキンを前記横溝に挿入することによって、従来から使用されている横断面形状が台形状の環状パッキンを用い、平面形状がロ字状の環状凹溝に挿入して環状パッキンに角部を形成しても、圧縮空気の漏出を可及的に防止できる。尚、本発明に係る環状パッキンは、直線部と角部とが併設された環状凹溝に挿入される環状パッキンとして好適である。
【0011】本発明に係る環状パッキンは、その傾斜面に形成された両側面の各々と下端面とによって形成された張出角部と、両側面の各々の途中に形成された各突条部とが、環状凹溝に挿入されたとき、環状凹溝の側内壁面に摺接するように形成されている。このため、この環状パッキンを、直線部と角部とが併設された平面形状がロ字状の環状凹溝に挿入し、環状パッキンが曲折されて形成された角部でも、その曲折外方に傾斜する傾斜程度は、従来の横断面形状が台形状の環状パッキンに比較して小さくでき、且つ環状パッキンを環状凹溝に挿入した際に、環状凹溝の側内壁面によって押圧されて変形される変形量も、従来の横断面形状が台形状の環状パッキンに比較して大きくできる。その結果、環状パッキンが曲折されて形成された角部においても充分なシール性を保持でき、環状パッキンの角部からの圧縮空気の漏洩等を防止できる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に係る環状パッキンの一例を説明するための横断面図を図1に示す。図1に示す環状パッキン20は、その横断面形状が、上端面幅W1が下端面幅W2よりも狭く形成されたものである。この環状パッキン20の上端面の略中央部には、浅い凹溝22が形成されている。この凹溝22は、図5に示す様に、環状パッキン20が扉54の方向に押し出され、その上端面が扉54の内面54aに当接したとき、凹溝22を挟む平坦面24a,24aが変形し易くし、シール性を向上するためである。更に、環状パッキン20の下端面には、V字溝26が形成されている。このV字溝26は、図5に示す滅菌室52を気密とすべく、開口部56の周縁に沿って形成された環状凹溝58に環状パッキン20を摺動可能に挿入する際に、V字溝26を挟む張出部28a,28aの変形を容易とする。しかも、環状パッキン20のV字溝26は、環状凹溝58内に引き込まれた環状パッキン20の張出部28a,28aの端部が、環状凹溝58の底面に密着した場合、流体通孔62から供給された圧縮空気を環状パッキン20の底面全面に送る圧縮空気通路を形成する。かかるV字溝26から成る圧縮空気通路によって、環状パッキン20の全体を同時に環状凹溝58から押し上げることができる。
【0013】環状パッキン20は、図1に示す様に、環状パッキン20の側面30,30の各々は、上端面幅W1よりも幅広の下端面の方向に傾斜する傾斜面に形成されており、その側面30,30の各々の途中に、後述する様に、環状パッキン20を環状凹溝58に挿入したとき、環状凹溝58の側内壁面に摺接する突出部32が形成されている。この突出部32は、環状パッキン20の長手方向に延出されて突条部34に形成されており、下端面に形成されたV字溝26よりも上面側に位置している。更に、側面30,30の各々と下端面とによって張出角部28a,28aが形成され、この張出角部28a,28aも、後述する様に、環状パッキン20を環状凹溝58に挿入したとき、環状凹溝58の側内壁面に摺接する。従って、図1に示す環状パッキン20の側面30の各々には、突条部34と張出角部28aとの二個所に突出個所が形成されている。かかる環状パッキン20を、図5に示す滅菌室52の気密機構を構成する、直線部と角部とが併設された平面形状がロ字状の環状凹溝58に挿入し、環状パッキン20の下端面と環状凹溝58の底面との間に圧縮空気を供給し、環状パッキン20の上端面を扉54の内面54aに当接させた状態を図2(a)(b)に示す。図2(a)は、環状凹溝58の直線部に挿入された環状パッキン20の部分の状態であり、図2(b)は、環状凹溝58の角部に挿入された環状パッキン20の部分の状態である。図2(a)(b)に示す様に、環状パッキン20の側面30に形成された突条部34は、環状パッキン20の下端面と環状凹溝58の底面との間に圧縮空気を供給し、環状パッキン20の上端面を扉54の内面54aに当接させた状態でも、環状凹部58の側内壁面と摺接する位置に形成されている。
【0014】従って、環状凹溝58の直線部に挿入された環状パッキン20の部分では、図2(a)に示す様に、環状凹溝58の側内壁面の方向に突出する突条部34と張出角部28aとを含む部分が、環状凹溝58の内側壁よりも張り出す張出部36,36が摺接部となって、環状凹溝58の内側壁との間をシールする。かかる環状パッキン20の部分では、図2(a)に示す様に、環状凹溝58に圧縮空気を供給することによって、環状パッキン20は実質的に曲折されることなく扉54の内面54aと当接し、その張出部36,36によって、環状凹溝58の内側壁との間が充分にシールされる。このため、滅菌室52が減圧状態となっても、環状パッキン20の下端面と環状凹溝58の底面との間に供給された圧縮空気が、滅菌室52内に漏れ込むこともない。
【0015】また、環状凹溝58の角部に挿入された環状パッキン20は、環状凹溝58の角部に倣って部分的に曲折されて角部が形成される。かかる環状パッキン20の角部では、図2(b)に示す様に、その曲折方向に対して外側方向に傾斜する。しかし、その傾斜程度は、環状パッキン20の側面30に突条部34が形成されていない台形状の図6に示す環状パッキン100の角部の傾斜[図7(a)]よりも小さくできる。このため、図1に示す環状パッキン20では、環状凹溝58の角部に挿入されて曲折された部分でも、その傾斜程度を可及的に小さくでき、図2(b)に示す様に、突条部34と張出角部28aとを含む環状凹溝58の内側壁よりも張り出す張出部36,36が摺接部となって、環状凹溝58の角部においても、その内側壁との間を充分にシールできる。その結果、滅菌室52が減圧状態となっても、環状パッキン20の下端面と環状凹溝58の底面との間に供給された圧縮空気が、環状パッキン20が曲折されて挿入された環状凹溝58の角部から滅菌室52内に漏れ込むこともない。このため、環状パッキン20の角部において、その上端面24a,24aの扉54の内面54aへの押圧力を保持でき、扉54の内面54aとの間のシール性を保持でき、且つ圧縮空気の滅菌室52への洩れ込みに起因する滅菌室52の到達真空度の低下や滅菌不良等の発生を防止できる。
【0016】ところで、図2(a)(b)に示す様に、図1に示す環状パッキン20と環状凹溝58の側内壁面との摺接面積は、図6に示す環状パッキン100の環状凹溝58の側内壁面との摺接面積よりも広いため、図1に示す環状パッキン20の環状凹溝58への出入が困難となる場合がある。この様な場合は、環状パッキン20の側面30及び/又は環状凹溝58の側内壁面にグリース又はタルクを塗布することによって、環状パッキン20の環状凹溝58への出入を容易とすることができる。
【0017】図1及び図2においては、環状凹溝58に挿入された環状パッキンの曲折された角部におけるシール性の低下を可及的に防止し得るように、環状パッキン20の側面30に突条部34を形成したが、図6に示す横断面形状が台形の従来の環状パッキン100を使用せざるを得ない場合には、図3(a)(b)に示す気密機構を採用してもよい。この気密機構は、環状パッキン100が摺動可能に収容される環状凹溝58の側壁面の各々に開口された横溝38を、環状凹溝58の開口縁に沿って形成し、且つ環状パッキン100の側面と一部が当接してシールするシール用パッキン40を横溝38に挿入したものである。かかるシール用パッキン40は、横断面形状が丸断面で且つ弾性材料によって形成されており、環状パッキン100と同種又は異種の弾性材料によって形成されていてもよい。更に、横溝38に挿入されたシール用パッキン40の一部は、横溝38の開口端から突出し、環状凹溝58に挿入された環状パッキン100の側面を押圧している。
【0018】この図3(a)(b)に示す気密機構では、環状パッキン100を、直線部と角部とが併設された平面形状がロ字状の環状凹溝58に挿入し、環状パッキン100の下端面と環状凹溝58の底面との間に圧縮空気を供給し、環状パッキン100の上端面を扉54の内面54aに当接させた状態を示す。図3(a)は、環状凹溝58の直線部に挿入された環状パッキン100の部分の状態であり、図3(b)は、環状凹溝58の角部に挿入された環状パッキン100の部分の状態である。図3(a)(b)に示す様に、環状パッキン100の側面110は、環状パッキン100の下端面と環状凹溝58の底面との間に圧縮空気を供給し、環状パッキン100の上端面を扉54の内面54aに当接させた状態でも、横溝38に挿入されたシール用パッキン40の一部は、環状凹溝58に挿入された環状パッキン100の側面を押圧している。従って、図3(b)に示す様に、環状凹溝58の角部において、環状パッキン100が、その曲折方向に対して外側方向に大きく傾斜し、環状凹溝58の側内壁面との摺動面積が著しく減少しても、環状パッキン100の側面はシール用パッキン40によって充分にシールされている。このため、滅菌室52が減圧状態となっても、環状パッキン20の下端面と環状凹溝58の底面との間に供給された圧縮空気が、滅菌室52内に漏れ込むこともない。尚、横溝38は、環状凹溝58を形成した後、環状凹溝58の側内壁面に横溝用エンドミル等の加工治具を用いて形成できる。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、直線部と角部とが併設されたロ字状の環状凹溝に環状パッキンを挿入しても、環状パッキンの下端面と環状凹溝の底面との間に圧縮空気を供給し、環状パッキンの上端面を対向面に当接させた状態でも、圧縮空気が洩れ易い環状パッキンの角部からの圧縮空気の洩れを確実に防止できる。その結果、環状パッキンの上端面と当接面との間のシール性の低下、及び/又は圧縮空気の気密室への洩れ込みを防止でき、気密室の気密性を向上できる。このため、滅菌装置に本発明を適用することによって、滅菌装置における滅菌時間の短縮及び滅菌不良の低減を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000148025
【氏名又は名称】株式会社千代田製作所
【出願日】 平成12年1月14日(2000.1.14)
【代理人】 【識別番号】100077621
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 隆夫 (外1名)
【公開番号】 特開2001−200935(P2001−200935A)
【公開日】 平成13年7月27日(2001.7.27)
【出願番号】 特願2000−5410(P2000−5410)