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【発明の名称】 水回り部品
【発明者】 【氏名】三輪 敏郎

【氏名】前野 孝司

【氏名】松井 英之

【要約】 【課題】水回り部品本体に凹溝を形成し、この凹溝にシール部材としてエラストマー部材をインジェクション成形により充填或は接着した水回り部品において、筒状の部品内に水回り部品を挿入・組み立てる際に、シール部材にシール部分となる突出部が押されたときの逃げ代を設けることを目的としている。

【解決手段】水回り部品本体に凹溝を形成し、この凹溝にシール部材としてエラストマー部材をインジェクション成形により充填或は接着した水回り部品において、そのシール部材が突出部と、この突出部の少なくとも片側に凹み部を持つ断面形状としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水回り部品本体に凹溝を形成し、この凹溝にシール部材としてエラストマー部材をインジェクション成形により充填あるいは接着した水回り部品において、上記シール部材が突出部と、この突出部の少なくとも片側に凹み部を持つ断面形状を呈していることを特徴とする水回り部品。
【請求項2】 上記シール部材の突出部の先端部を半円状としたことを特徴とする請求項1記載の水回り部品。
【請求項3】 上記水回り部品本体の凹溝に傾斜部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の水回り部品。
【請求項4】 上記水回り部品本体の凹溝の側壁を奥に向かって広がる傾斜部としたことを特徴とする請求項3記載の水回り部品。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水回り部品本体のシール部材として、熱可塑性エラストマーで成形されたシール部材を備えた水回り部品に関するものである。特に水栓の通水用部品等の水回り部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、水回り部品の漏水防止のために図9に示すように水回り部品本体21に設けた凹溝22にゴム製のOリング23やパッキンなどのシール部品を組み付け、筒状の部品内にこの水回り部品を挿入・組み立てている。
【0003】しかしながら、この図9に示すものにおいては水回り部品本体21を樹脂で形成した場合、凹溝22にパーティングラインが入り、このパーティングラインとOリング23との隙間から漏水するため、これを解消するものとして、本出願人が出願した特願平11−111349号で提案した図10のもののように、水回り部品本体21の凹溝22に熱可塑性エラストマーをインジェクション成形してシール部材24を一体成形することにより、凹溝22のパーティングラインとシール部材24との隙間をなくしている。この一体成形で得られたシール部材24は図9に示すものと同等のシール性を維持するため、従来のOリング23の断面形状に近似させた形、つまり水回り部品本体21に形成された凹溝22周縁より半円状に突出した突出部25を設けている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図9に示すOリング方式では組み付け時には凹溝22底面両側の空間にOリング23の逃げ代があって筒状の部品内にこの水回り部品を挿入するに際しては問題なかったが、図10に示す水回り部品本体21とシール部材24とを一体成形した水回り部品においては、凹溝22内に隙間なくエラストマーが充填されているので、突出部25の逃げ代が存在せず、組み付け時の挿入性が悪いなど不具合が発生する。
【0005】本発明は上述の不具合を解決するため、筒状の部品内にこの水回り部品を挿入・組み立てる際に、シール部材にシール部分となる半円状突出部が押されたときの逃げ代を設けることで、従来と同程度のシール性を持ちながらも挿入性を向上させることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために本発明の水回り部品においては、水回り部品本体に凹溝を形成し、この凹溝にシール部材としてエラストマー部材をインジェクション成形により充填或は接着した水回り部品において、上記シール部材が突出部と、この突出部の少なくとも片側に凹み部を持つ断面形状を呈していることを特徴としている。
【0007】この様に、突出部の少なくとも片側に逃げ代となる凹み部を持たせることで、組み付け時に突出部が圧縮された時、突出部がこの凹み部に逃げることにより挿入性が良くなる。
【0008】本発明では水回り部品本体の凹溝に傾斜部を設けたアンダーカット形状にすることにより、水回り部品本体の側面におけるシール部材も外れることなく組み付けることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を説明すると、図1は水回り部品の第1実施例を示す平面図、図2は同シール部分の第一実施例を示す拡大断面図、図3はシール部分の第2実施例を示す拡大断面図、図4はシール部分の第3実施例を示す拡大断面図、図5はシール部分の第4実施例を示す拡大断面図、図6はシール部分の第5実施例を示す拡大断面図、図7は水回り部品の第2実施例を示す斜視図、図8は同シール部分の拡大断面図である。
【0010】まず図1乃至図2について説明すると、水栓本体を形成する筒状部品(図示せず)内に挿入・組み付けられる水回り部品1の水回り部品本体2は金属、好ましくはPOM・ABS・変性PPO・PPS・PSFなどの汎用樹脂又は高機能樹脂(エンプラ)で略円筒状に形成され、内部にバルブ等の機能部品(図示せず)を収納しており、その外周には凹溝3が刻設され、この凹溝3には熱可塑性エラストマー(オレフィン系・スチレン系・ウレタン系・シリコンゴム系など)からなるでシール部材4がインジェクション成形により充填されている。
【0011】図2に示すようにシール部材4は、凹溝3の底面5から凹溝3の側壁6中途部まで充填された基部7と、この基部7中央部より半円状に膨出して凹溝3周縁より突出する突出部8が形成され、この突出部8の両側と凹溝3側壁6との間に凹み部9が設けられている。
【0012】突出部8外径は筒状部品の内径よりも大きめに設計してあり、筒状部品に水回り部品1を挿入・組み立てた時、この突出部8と筒状部品との間で水密性を確保している。
【0013】而して、筒状部品に水回り部品1を挿入する際には、突出部8が筒状部品によって押圧されて潰れるが突出部8の一部分が凹み部9に変形し、これにより突出部8と筒状部品内周壁との摩擦力が低下し、挿入性が向上する。
【0014】筒状部品と水回り部品1とを組み立てた後に通水を行ったとき、凹み部9に水が流れ込むが、この水によって突出部8の側面に水圧が加わり突出部8は変形するが、この変形方向は筒状部品を押さえつける方向、つまりシール性が向上する方向に変形するため、水圧が低圧から高圧になるほどシール性は大きくなる効果が生まれ、従来のOリング方式と同等の性能を確保できる。
【0015】また、基部7が凹溝3の底面5及び側壁6中途部の広い面積に密着しているので、水圧が突出部8に加わっても、シール部材4が凹溝3から外れたりしない。
【0016】図3はシール部材4の第2実施例であって図2の変形であり、基部7から凹溝3の側壁6に沿って薄肉部10を設け、この薄肉部10と中央部の突出部8の間に凹み部9を設けている。この様に凹溝3の外表面をシール部材4で覆うことにより、インジェクション成形時に金型が直接水回り部品本体2の凹溝3に触れることを防止して、これにより水回り部品本体2や金型のカケを防止する効果が生まれると共に、シール部材4が凹溝3の底面5及び側壁6の全面積に密着しているので、水圧が突出部8に加わっても、シール部材4が凹溝3から外れたりしない。
【0017】図4はシール部材4の第3実施例であって図3の変形であり、凹溝3の側壁6に沿って設けた薄肉部10の間に、凹み部9を介して複数の突出部8を設けたことを特徴としており、この複数の突出部8によりシール性が向上すると共に、挿入性の向上、水回り部品本体2及び金型のカケ防止や、シール部材4の外れ防止などの効果がある。
【0018】図5はシール部材4形状の第4実施例であり、凹溝3の両側の側壁6に連なって半円状に膨出する2つの突出部8を設けると共に、この2つの突出部8間に凹溝3の略半分の深さの凹み部9を設けている。そして、筒状部品と水回り部品1とを組み立てた後に通水したとき、まず、一方の突出部8でシールするが、耐えうる水圧を超えると、凹み部9に水が流れ込み、他方の突出部8の凹み部9側の側面に水圧が加わり突出部8が筒状部品を押さえつける方向、つまりシール性が向上する方向に変形するため、水圧が低圧から高圧になるほどシール性は大きくなる効果が生まれ、これらの2つの突出部8により確実にシールすることができる。筒状部品に水回り部品1を挿入するに際しては、突出部8の一部分が凹み部9に変形し、これにより突出部8と筒状部品内周壁との摩擦力が低下し、挿入性が向上する。更に水回り部品本体2及び金型のカケ防止や、シール部材4の外れ防止などの効果がある。
【0019】図6はシール部材4の第5実施例であり、凹溝3の片側の側壁6に沿って一部分だけ熱可塑性エラストマーを充填して突出部8を形成し、残りの片側の側壁6から底面5にかけて充填してない部分を設けてこれを凹み部9としたことを特徴としている。エラストマー部材の充填がシール用凹溝3全般に渉って存在しないため、凹み部9の存在する方向から水圧が加わる場合のみシール性を確保できる。
【0020】図7は水回り部品本体2の側面にシール部材4を設けた水回り部品1の第2実施例である。図9のように従来のゴム製Oリング方式、及び図10のように従来のインジェクション成形方式においては、筒状部品に水回り部品1を挿入、組み立ての際にOリング23やシール部材24が水回り部品本体21の側面から外れやすいが、これを解消するため、本実施例では水回り部品本体2の凹溝3の側壁6に奥に行くほど広くなる傾斜部11を設けている。また、シール部材4の突出部8や凹み部9は、この例では図5と略同状で、その効果も同様であるが、図2乃至図4の形状であっても良い。
【0021】また材料の組み合わせによって材料同士が接着する組み合わせ、例えばPCとシリコーンゴム・ABSとシリコーンゴム・熱可塑性樹脂とシリコーンゴムなど(特願平4−352676、特願平5−86811・特願平6−337185参照)の特徴を利用することにより、上記問題であった外れ易さを解消することが出来る。
【0022】
【発明の効果】本発明は水回り部品本体に凹溝を形成し、この凹溝にシール部材としてエラストマー部材をインジェクション成形により充填或は接着した水回り部品において、上記シール部材が突出部と、この突出部の少なくとも片側に凹み部を持たせることで、組み付け時に突出部が圧縮された時、突出部がこの凹み部に逃げることにより挿入性を良くすることが出来るうえ、また、凹み部に流れ込む水によって突出部の側面から水圧がかかると突出部が変形し、この変形方向はシール性向上方向に働くため水圧が低圧から高圧になるほどシール性は大きくなり、確実にシールできる。
【0023】シール部材の突出部の先端部を半円状としたため、組み付け時に半円状の突出部の低い部分から挿入されるため、組み付けがより容易になる。
【0024】水回り部品本体の凹溝に傾斜部を設けたため、シール部材の断面形状と凹溝側面の傾斜部形状、及び材料同士の接着特性を組み合わせることにより、挿入性・シール性・組み立て性に優れた水回り部品を得ることができる。
【0025】水回り部品本体の凹溝の側壁を奥に向かって広がる傾斜部としたため、シール部材が水回り部品本体側面よりも外れにくくなる。また、材料の組み合わせによりそれぞれの材料同士が接着する効果を利用し、同じ効果を生むことが出来る。
【出願人】 【識別番号】000010087
【氏名又は名称】東陶機器株式会社
【出願日】 平成12年1月14日(2000.1.14)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−200934(P2001−200934A)
【公開日】 平成13年7月27日(2001.7.27)
【出願番号】 特願2000−6753(P2000−6753)