| 【発明の名称】 |
シリンダヘッドガスケット |
| 【発明者】 |
【氏名】羽田 修一
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| 【要約】 |
【課題】本発明は、外周ビードで、外部からの異物侵入防止、シリンダヘッドボルト締付時における変形の許容、さらにはボア部からの漏洩ガスをエンジン外部への排出という3つの性能を両立させるシリンダヘッドガスケットを提供する。
【解決手段】本発明のシリンダヘッドガスケットは、内側ビード10で囲繞される燃焼孔7,流体孔8,9が有る領域を外側から囲む周方向に連続した外周ビード11のうち複数個所を、他のビード部分よりシール面圧が小さくなるよう形成して、外周ビード11のシール性により、エンジン外部からのダストや水などの異物の侵入を防止し、外周ビード11の弾性変形により、シリンダヘッドボルト締付時の部品の変形を許容し、さらにエンジンのボア部から内側ビード10を通じて周囲へガス洩れたときは、外周ビード11のシール面圧が小さくなっているビード部分X,Yから、漏洩ガスがエンジン外部へ排出されるようにした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数枚の金属薄板を積層して成形され、かつ少なくとも燃焼室孔および流体が通る流体孔の周りには同孔を囲繞する内側ビードが形成されるとともに、外周縁側には前記孔が有る領域を外側から囲むよう外周ビードが周方向に連続して形成されてなり、シリンダヘッドとクランクケースとの間に介在させて両者をシリンダヘッドボルトで締め付けることによって互いに対向するシリンダヘッド面とクランクケース面との間をシール可能としたシリンダヘッドガスケットであって、前記外周ビードの複数個所は、他のビード部分よりもシール面圧が小さくなるように形成されることを特徴とするシリンダヘッドガスケット。 【請求項2】 複数枚の金属薄板を積層して成形されてなり、少なくとも燃焼室孔および流体が通る流体孔の周りには同孔を囲繞する内側ビードが形成されるとともに、外周縁側には前記孔が有る領域を外側から囲むよう外周ビードが周方向に連続して形成されてなり、シリンダヘッドとクランクケースとの間に介在させて両者をシリンダヘッドボルトで締め付けることによって互いに対向するシリンダヘッド面とクランクケース面との間をシール可能としたシリンダヘッドガスケットであって、前記外周ビードは、前記シリンダヘッド面に有る前記シリンダヘッドを製造するときに用いた孔を塞いでいる有底筒形の栓体の地点を通過するように形成されることを特徴とするシリンダヘッドガスケット。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、シリンダヘッドとクランクケースとの間をシールするシリンダヘッドガスケットに関する。 【0002】 【従来の技術】ディーゼルエンジンなどレシプロエンジンでは、吸・排気弁が収めてあるシリンダヘッドと、ピストンが収めてあるクランクケースとの間にシリンダヘッドガスケットを介装することが行われている。 【0003】こうしたシリンダヘッドガスケットは、互いに対向するシリンダヘッドのヘッド面とクランクケースのケース面との間をシールする機能だけでなく、シリンダヘッドボルトで締め付けたときに生ずるシリンダヘッドやクランクケースのたわみ(変形)を許容する機能が求められる。 【0004】このため、シリンダヘッドガスケットでは、燃焼室孔および油,冷却水(流体)が通る流体孔の周りにこれらを囲繞するように内側ビードを設けるだけでなく、外周縁側に外周ビードを形成して、シリンダヘッドボルトで締め付けたときの荷重をガスケット外周側でも受けるようにし、シリンダヘッドやクランクケースのたわみの発生を回避することが行われている。 【0005】こうした外周ビードは、従来、例えば特開平6−58417号公報に示されているようにシリンダヘッドガスケットの周縁に不連続で周方向に形成したり、例えば実開昭57−193949号公報に示されるようにシリンダヘッドの周縁に連続させて形成することが行われている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】ところが、前者の外周ビードだと、不連続であるために、ビート部分間の隙間を通じて、外部から異物、具体的にはダストや水などが侵入しやすい。 【0007】これに対して、後者の外周ビードは連続であるために、確かにダストや水などの侵入の遮断には優れた効果を発揮するが、反面、エンジンのボア部からガス洩れが生じたときに問題がある。 【0008】すなわち、レシプロエンジンは、シリンヘッドガスケットやエンジン本体(具体的にはクランクケース,シリンダヘッド,シリンダライナなどの部品)の異常、シリンダヘッドボルトの締め付け不良などがあると、ボア部からガスが燃焼室孔の内側ビードを通じて周囲へ洩れる、いわゆるガス洩れが生じることがある。 【0009】このような場合、連続した外周ビードは、ガスケット外周縁においてシール性を保つために、洩れたガスは外部へ流出せずに、外周ビードの内側で滞留してしまう。 【0010】このため、ガス洩れの発見が遅れやすく、修理する個所が増加しやすい。しかも、滞留したガスの圧力が大きい場合は、該ガス圧によって、シリンダヘッドのヘッド面に形成されている、該シリンダヘッドを鋳物で製造するときに用いた孔(ウォータジャケットの中子を取り出すための孔)に打ち込んで(嵌挿)塞いである有底筒形の板栓(栓体)を内側のウォータジャケットへ押し出して、ウォータジャケットを開放させ、ウォータジャケットから水洩れを発生させることがある。 【0011】このため、外周ビードをもつシリンダヘッドガスケットの性能が有効に発揮できるものではなかった。 【0012】本発明は上記事情に着目してなされたもので、その第1の目的とするところは、外周ビードにおいて、外部からの異物の侵入防止、シリンダヘッドボルトの締付時における変形の許容、さらにはボア部からの漏洩ガスをエンジン外部への排出といった3つの性能を両立させるシリンダヘッドガスケットを提供することにある。 【0013】また第2の目的とするところは、シリンダヘッドを活用して、簡単に上記3つの性能を両立させるシリンダヘッドガスケットを提供することにある。 【0014】 【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成するために請求項1に記載のシリンダヘッドガスケットは、内側ビードで囲繞される燃焼孔および流体孔が有る領域を外側から囲むように形成した周方向に連続する外周ビードのうち複数個所を、他のビード部分よりもシール面圧が小さくなるように形成した。 【0015】これにより、シリンダヘッドとクランクケースとの間にシリンダヘッドガスケットが挟み込まれると、周縁側に周方向に連続する外周ビードがもたらすシール性により、エンジン外部からのダストや水などの異物の侵入が防止される。また外周ビードの弾性変形により、シリンダヘッドボルトの締付時における部品の変形が許容される。さらにエンジンのボア部から内側ビードを経てガス洩れが生じたようなときは、外周ビードのシール面圧が小さくなっているビード部分から、洩れたガスがエンジン外部へ排出され、漏洩ガスによる弊害を防ぐ。 【0016】したがって、外周ビードにおいて、異物侵入防止、変形防止、漏洩ガスの排出といった3つの機能が両立される。 【0017】上記第2の目的を達成するために請求項2に記載のシリンダヘッドガスケットは、内側ビードで囲繞される燃焼孔および流体孔が有る領域を外側から囲むように形成した周方向に連続する外周ビードを、シリンダヘッドを製造するときに用いた孔を塞いでいるシリンダヘッドのヘッド面に有る有底筒形の栓体の地点を通過するように形成するようにした。 【0018】これにより、シリンダヘッドとクランクケースとの間にシリンダヘッドガスケットが挟み込まれると、周方向に連続する外周ビードがもたらすシール性により、エンジン外部からのダストや水などの異物の侵入が防止される。また外周ビードの弾性変形により、シリンダヘッドボルトの締付時における部品の変形が許容される。さらにエンジンのボア部から内側ビードを経てガス洩れが生じたようなときは、外周ビードのうち、シール面圧が小さくなっている栓体を通過する地点のビード部分から、洩れたガスがエンジン外部へ排出され、漏洩ガスによる弊害を防ぎ、請求項1のときと同様、異物侵入防止、変形防止、漏洩ガスの排出という3つの機能が両立されるしかも、こうした効果は、シリンダヘッドに有る栓体の地点を通過するように外周ビードを形成するだけなので、簡単な構造ですむ。 【0019】なお、好ましくはシール面圧を小さく設定する個所をシリンダ列方向においてシリンダ間の隔壁位置とほぼ一致する箇所に設定することが望ましい。これは、隔壁部におけるヘッドボルトのピッチが他のヘッドボルトのピッチよりも大きくなってしまうため、この部分で、ガス洩れが発生する可能性が大きい。したがって、この隔壁の位置と対応する箇所を設定すると、即座にガス洩れを検知できる利点がある。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、本発明を図1ないし図4に示す一実施形態にもとづいて説明する。 【0021】図1は、レシプロエンジン、例えばディーゼルエンジンの一部を示し、図中1はピストン(図示しない)が往復動可能に収めてあるクランクケース、2は吸・排気弁などの動弁系やインジェクタ(いずれも図示しない)が収めてあるシリンダヘッド、3はロッカーカバーである。 【0022】そして、クランクケース1の上部には、順にシリンダヘッド2、ロッカーカバー3が取付けられ、吸・排気弁,インジェクタ,ピストンの動きにより、吸気、圧縮、爆発、排気の各工程を繰り返して動力を出力するエンジン本体を構成している。 【0023】またクランクケース1のケース面(上部面)とこれに対向するシリンダヘッド2のヘッド面(下面)との間には、シリンダヘッドガスケット4が介在してある。そして、複数本のシリンダヘッドボルト5(1本だけ図示)により、このシリンダヘッドガスケット4を挟み込んで、クランクケース1とシリンダヘッド2との両者を締め付けてある。 【0024】図2には、この本発明の要部となるシリンダヘッドガスケット4の平面図(図1中のA矢視に沿う図)が示されている。 【0025】シリンダヘッドガスケット4は、例えば図3中(a)に示されるように複数枚、例えば3枚の金属製の薄板6a,6b,6cを積層して成形してある。そして、シリンダヘッドガスケット4の板面のうち、エンジン本体のボア部(気筒)と対応する部位には同ボア部を開口させる燃焼室孔7、シリンダヘッド上に配置されるカムを駆動するためのギヤ列を収納する開口20、エンジン本体のウォータジャケット(図示しない)の孔と対応する部位には冷却水が流通する冷却水孔8,9、エンジン本体の潤滑油孔と対応する部位には油が流通する油孔14(いずれも流体孔に相当)、ボルト孔と対応する部位にはシリンダヘッドボルト5が通過するボルト孔13などが形成してある。また中間の薄板6bのうち、各孔の周りの部位には、図2中の太線で示すように該孔を囲繞するようにビード、例えば段差状のビードが成形され、各孔の周りにそれぞれ内側ビード10を形成している。これら各内側ビード10により、シリンダヘッドボルト5で、シリンダヘッドガスケット4を挟み込んでクランクケース1とシリンダヘッド2との両者を締結するにしたがい、クランクケース1のケース面1a(上部面:図3,図4に図示)に有る各孔とシリンダヘッド2のヘッド面2a(下面:図3,図4に図示)に有る各孔との両者間をシールしつつ連通する。 【0026】また中間の薄板6bの外周縁部には、図2中の太線に示されるように上記各孔が有る領域を外側から囲み、かつ内側ビード10と接触しないようにビード、例えば図3中に示されるような断面が丸形のビード、いわゆる丸ビードが周方向に連続して成形されていて、周縁全域に渡る環状の外周ビード11を形成している。この外周ビード11により、シリンダヘッドボルト5で、シリンダヘッドガスケット4を挟み込んでクランクケース1とシリンダヘッド2との両者を締結するにしたがい、図4に示されるようにクランクケース1のケース面1aとシリンダヘッド2のヘッド面2aとの外周縁部間をシールし、締め付け時におけるクランクケース1やシリンダヘッド2のたわみ(変形)を許容する(外周ビード11の弾性変形による)。図4は図2中のC〜C線で示すような一般部における断面を示している。 【0027】そして、この外周ビード11のうちの複数個所は、シリンダヘッドボルト5の締め付けがもたらすシール面圧が小さくてすむようにしてある。 【0028】このシール面圧を小さくする技術には、既存のシリンダヘッド2に付いている部品を活用した構造が用いてある。 【0029】具体的には、シリンダヘッド2は、鋳物により、シリンダヘッド2の内部に、中子を用いてウォータジャケットを製造する。このため、シリンダヘッド2のヘッド面2aには、図3に示されるように中子を取り出すために多くの小径な孔12がある。これら孔12は、同図に示されるように、通常、栓体、例えば有底筒形に成形された板金製の板栓15を打ち込んで(嵌挿)塞いである。そのため、板栓15の有るヘッド面2aの地点は、他のヘッド面2aから退避するような凹形となっている。 【0030】そこで、外周ビード11のうち、板栓15の近傍に配置されるいくつかのビード部分は、シリンダヘッド2のヘッド面2aに有る板栓15の直下の地点を通るように形成してある。図2中のX地点、Y地点は、この板栓13を通過する外周ビード部分を示している。 【0031】このX地点、Y地点での外周ビード部分は、シリンダヘッドボルト5でクランクケース1とシリンダヘッド2とが締め付けられると、図3(b)に示されるように板栓15の凹形空間15aに入りながら、クランクケース1のケース面1aからだけ押し付けられる状態となる。このため、同地点の外周ビード部分は、他の図4に示されるような一般部分における外周ビード11より小さなシール面圧で、ケース面1aとヘッド面2a間がシールされる。つまり、外周ビード11のいくつかの地点には小さなシール面圧の部分が形成される。好ましくは、このシール面圧を小さく設定する個所は、シリンダ列方向においてシリンダ間の隔壁位置とほぼ一致する箇所に設定してある。 【0032】これにより、板栓15を通る外周ビード部分は、通常はケース面1aとヘッド面2aとの間を、他の外周ビード部分と同様、外部からダスト、水などの異物が侵入しないようにシールする。しかし、例えばトラブル(シリンヘッドガスケット4やエンジン本体の異常、シリンダヘッドボルト5の締め付け不良など)が起きて、エンジン本体のボア部からガスが内側ビード10を通じて周囲へ洩れたときは、ガス圧がシール面圧を超える圧力になるにしたがい、該漏洩ガスが、シール面圧が小さくなっているX地点,Y地点の外周ビード部分を通じて、エンジン外部へ排出される。 【0033】それ故、外周ビード11は、外部からの異物の侵入防止、シリンダヘッドボルト5の締付時における変形の許容、さらにはボア部からの漏洩ガスをエンジン外部への排出といった3つの性能を両立させることができる。 【0034】したがって、困難とされていたボア部からのガス洩れを早期に発見できる上、漏洩ガスによる弊害、すなわち板栓15がウォータジャケットへ落し込まれて、ウォータジャケット内の水が洩れるといったことがなくなる。特にシール面圧を小さく設定する個所をシリンダ列方向のシリンダ間の隔壁位置とほぼ一致する箇所に設定したことにより、ボア部からのガス洩れ検知が早期に発見できる。すなわち、隔壁部におけるヘッドボルトのピッチが他のヘッドボルトのピッチよりも大きくなるので、この部分で、ガス洩れが発生する可能性が大きい。そのため、この隔壁の位置と対応する箇所を設定すると、即座にガス洩れが検知できる。 【0035】しかも、シール面圧の小さな部分は、シリンダヘッド2に有る凹形空間13aをもつ板栓15を通過させるよう、外周ビード11を形成するだけなので、簡単な構造である。 【0036】なお、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施しても構わない。例えば上述した実施形態では、板栓を通過するよう、外周ビードを形成してシール面圧が小さな部分を形成したが、他の構造や手段、例えば外周ビードの一部高さを変えたり、形状を変えたりして、外周ビードの一部にシール面圧の小さな部分を形成するようにしてもよい。むろん、外周ビードは丸ビードでなく、他の形状のビードでもよい。また上述した実施形態では、ディーゼルエンジンに本発明を適用したが、それ以外のガソリンエンジンといったレシプロエンジンに本発明を適用しても構わない。 【0037】 【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明に記載の発明によれば、外周ビードにおいて、外部からの異物の侵入防止、シリンダヘッドボルト締付時における変形の許容、さらにはボア部からの漏洩ガスをエンジン外部への排出といった3つの性能を両立させることができる。 【0038】それ故、困難とされていたボア部からのガス洩れを早期に発見できる上、漏洩ガスによる弊害を防ぐことができる。またシール面圧の小さな箇所をシリンダ間の隔壁位置とほぼ一致させることにより、さらにボア部からのガス洩れを早期に発見できる。 【0039】請求項2に記載の発明によれば、上記効果に加え、シリンダヘッドに有る栓体の地点を通過するよう外周ビードを形成するだけなので、構造は簡単である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006286 【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年1月17日(2000.1.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100058479 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−200933(P2001−200933A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月27日(2001.7.27) |
| 【出願番号】 |
特願2000−8121(P2000−8121) |
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