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【発明の名称】 接着剤タイプのシール構造及び該シール構造を備えたモータ及び該モータを備えたディスク装置
【発明者】 【氏名】岡山 佳樹

【要約】 【課題】2種類の部材の連結部であって、モータ作動時に部材間で振動が発生する場合や温度変化の激しい動作環境下での部材の熱膨張収縮が異なる場合であっても、当該2つの部材を固着しつづけて、シール性能を維持することができる接着剤タイプのシール構造、及び当該シール構造により汚染源からクリーンな環境を守ることができるモータ、及び当該モータを使用したディスク装置を提供する。

【解決手段】第1部材と第2部材との境界に設けられるシールの構造であって、該第1部材と該第2部材とを接着剤で固着している第1硬化層と;該第1硬化層の上に積層されている嫌気性接着剤からなり、該嫌気性接着剤が未硬化の状態にある未硬化層と;該未硬化層の上に積層されている接着剤の硬化体である第2硬化層とを含むシール構造。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1部材と第2部材との境界に設けられるシールの構造であって、該第1部材と該第2部材とを接着剤で固着している第1硬化層と、該第1硬化層の上に積層されている嫌気性接着剤からなり、該嫌気性接着剤が未硬化の状態にある未硬化層と、該未硬化層の上に積層されている接着剤の硬化体である第2硬化層とを含む接着剤タイプのシール構造。
【請求項2】 前記嫌気性接着剤は、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有し、金属イオン存在下で硬化反応を開始する接着剤である請求項1に記載の接着剤タイプのシール構造。
【請求項3】 前記第1硬化層は、未硬化層に用いられる嫌気性接着剤の硬化体である請求項1または2に記載の接着剤タイプのシール構造。
【請求項4】 モータの内部空間と外部空間を遮断するシール装置が、シャフトと該シャフトに支持されたハブとの間の間隙に備えられたモータであって、該シール装置が、前記ハブと前記シャフトとの相対運動可能にシールするシール本体と、該シール本体を前記ハブと前記シャフトとの間に保持するシールホルダーとを有し、前記シールホルダーと前記ハブとの接合部に、該シールホルダーと該ハブとを接着剤で固着している第1硬化層と;該第1硬化層の上に積層されている嫌気性接着剤からなり、該嫌気性接着剤が未硬化の状態にある未硬化層と;該未硬化層の上に積層されている接着剤の硬化体である第2硬化層とを含むシール構造を有するシールが設けられていることを特徴とするモータ。
【請求項5】 モータの内部空間と外部空間を遮断するシール装置が、シャフトと該シャフトに支持されたハブとの間の間隙に備えられたモータであって、該シール装置が、前記ハブと前記シャフトとの相対運動可能にシールするシール本体と、該シール本体を前記ハブと前記シャフトとの間に保持するシールホルダーとを有し、前記シールホルダーと前記シール本体との接合部に、該シールホルダーと該シール本体とを接着剤で固着している第1硬化層と;該第1硬化層の上に積層されている嫌気性接着剤からなり、該嫌気性接着剤が未硬化の状態にある未硬化層と;該未硬化層の上に積層されている接着剤の硬化体である第2硬化層とを含むシール構造を有するシールが設けられていることを特徴とするモータ。
【請求項6】 前記嫌気性接着剤は、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有し、前記シールホルダー手段又は前記シールホルダー又は前記ハブを構成している金属のイオン存在下で硬化反応を開始する接着剤である請求項4又は5に記載のモータ。
【請求項7】 前記シール本体は磁性流体シールである請求項4〜6のいずれかに記載のモータ。
【請求項8】 情報を記憶する記録媒体が装着されるディスク受け部を有するスピンドルモータと、該記録媒体の所要位置に情報を書き込み又は読み出すための情報アクセス手段と、前記スピンドルモータ及び前記情報アクセス手段を固定するとともに、内部に収納するハウジングを備えたディスク装置であって、前記スピンドルモータは、請求項4〜7のいずれかに記載のモータであることを特徴とするディスク装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハードディスク用スピンドルモータのハブとシールホルダーやシールホルダーとシール本体との組み合わせのように、嵌合される2つの部材の隙間を埋めるために用いられる接着剤タイプのシール構造に関し、より詳しくは、熱膨張率が異なる2つの部材の境界部に用いられ、熱膨張率の差異によりシールを構成している接着剤の接着剤固化部が剥がれたりするような場合があっても、即座に自己修復して、優れた密封性を維持することができるシール構造、及び当該シール構造を備えたモータ、及び当該モータを用いたディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ディスク装置は、一般に図1に示すような構成を有している。すなわち、図1に示すディスク装置30は、情報を記憶できる略円板状の記録媒体33を保持して回転することができる回転機構を有するスピンドルモータ32と、該スピンドルモータ32に装着された記録媒体33に情報を書き込み又は該記録媒体33から情報を読み出しするための情報アクセス手段34を備え、該スピンドルモータ32及び情報アクセス手段34を固定保持するとともに、これらを収納するハウジング31から構成されている。情報アクセス手段34は、記録媒体に対して情報を読み書きするヘッド35と、該ヘッド35を適宜位置に移動できるアーム36と、該アーム36を適宜位置に移動させるアクチエータ部37とを備えている。このような構成を有するディスク装置30においては、ハウジング31内部は、記録媒体33から情報を読み書きするための空間(以下「ディスク収納空間38」という)を形成している。従って、ディスク収納空間38に該当するハウジング内部は、記録媒体33に塵、埃が付着しないように、クリーンな環境を保持する必要がある。
【0003】一方、ディスク装置に用いられるスピンドルモータ32としては、特に限定しないが、図2に示すような構成を有するスピンドルモータ1が一般に用いられる。このスピンドルモータ32は、ブラケット4の中心部にシャフト2が固着保持されるとともに、該シャフト2の周辺位置にステータ3が固着保持されている。シャフト2は、軸線方向に間隔をおいて配置されている一対の軸受け5,5′を介して、ブラケット4に枢支されている。ステータ3と相対向する位置にロータマグネット6を固定保持し、且つ外周部にてハードディスクを支持するディスク受け部7を備えている概ね円筒状のロータハブ8が、シャフト2に軸支されている。そして、ロータハブ8とシャフト2との間隙を閉塞するシール装置9が、上側軸受け5′の上方に設けられている。
【0004】ここで、シール装置9は、ロータハブ8の回転を可能にしつつ、ロータハブ8とシャフト2間の間隙を閉塞するシール装置で、ロータハブ8を支持している軸受け5,5′からのグリース又は潤滑剤やモータ内部の汚染空気が、モータ外部に漏出してディスク収納空間38に保持されている記録媒体38を汚染することを防止するために設けられている。
【0005】このようなシール装置9としては、一般に図3に示すような磁性流体シール装置が用いられている。この磁性流体シール装置9は、磁性流体シール12をシール本体として用いたもので、シールホルダー11により、磁性流体シール12をロータハブ8の内周側に固定している。磁性流体シール12は、一般に、永久磁石からなるスペーサ13と、該スペーサ13の両面に配置された一対の磁性プレート14,14と、該磁性プレート14,14とシャフト2との間の空間に配置されている磁性流体15とから構成され、磁性流体15をシャフト2の周囲に保持している。
【0006】このような構成を有するハードディスク用のスピンドルモータにおいて、記録媒体33に情報の読み書きが行われるディスク収納空間38、すなわちディスク装置30のハウジング31内をクリーンな環境に保持するためには、シール本体12とシールホルダー11との嵌合部分A、ロータハブ8とシールホルダー11との嵌合部Bもシールする必要がある。このため、一般に、嵌合されている2つの部材を接着剤で固着連結して嵌合部A,Bを閉塞することにより、密閉性を保っている。図3中、嵌合部Aを密閉するための接着剤固化部が16で表わされ、嵌合部Bを密閉するための接着剤固化部が17で表わされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、モータを取り巻く環境の温度変化により、あるいはモータの作動時の振動等により、接着剤固化部16,17が剥がれたり、接着剤固化部16,17にクラックが発生したりする。特に、シールホルダー11は加工が容易なアルミニウム材等の金属で一般に構成されるのに対し、ロータハブ8は強度の必要性から一般にステンレスで構成され、さらに磁性プレート14は磁性を有するステンレスで構成されるなど、連結される2つの部材の材質は異なる場合が多い。この場合、熱膨張率の差異によって嵌合部の部材間の間隙が変化すると、その接着剤固化部が部材端面から剥がれやすくなる。接着剤固化部の剥がれやクラックは、軸受けからのグリースやモータ内部の汚染空気が、ディスク収納空間内に漏出することを意味し、収納空間をクリーンな環境に保持できなくなる。
【0008】ハードディスク用スピンドルモータに限らず、クリーンな環境を必要とする空間を汚染環境から隔離するために、連結嵌合される2種類の部材の境界部分を高度にシールしたいという要求は強く、特にスピンドルモータのように高速回転運動が予定されているモータにおいては、作動中に発生する振動や温度変化の激しい動作環境に伴う熱膨張収縮の差異が大きくても、シール性能を維持することができるシール構造、換言すると嵌合連結部の固着による密封を維持できる接着剤タイプのシール構造が望まれている。
【0009】本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、2種類の部材の連結部であって、モータ作動時に部材間で振動が発生する場合や温度変化の激しい動作環境下での部材の熱膨張収縮が異なる場合であっても、当該2つの部材を固着しつづけて、シール性能を維持することができる接着剤タイプのシール構造、及び当該シール構造により汚染源からクリーンな環境を守ることができるモータ、及び当該モータを使用したディスク装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の接着剤タイプのシール構造は、第1部材と第2部材との境界に設けられるシールの構造であって、該第1部材と該第2部材とを接着剤で固着している第1硬化層と;該第1硬化層の上に積層されている嫌気性接着剤からなり、該嫌気性接着剤が未硬化の状態にある未硬化層と;該未硬化層の上に積層されている接着剤の硬化体である第2硬化層とを含むことを特徴とする。前記嫌気性接着剤は、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有し、金属イオン存在下で硬化反応を開始する接着剤であることが好ましい。前記第1硬化層は、未硬化層に用いられる嫌気性接着剤の硬化体であってもよい。
【0011】本発明のモータは、上記本発明のシール構造を備えたものである。すなわち、モータの内部空間と外部空間を遮断するシール装置が、シャフトと該シャフトに支持されたハブとの間の間隙に備えられたモータであって、該シール装置が、前記ハブと前記シャフトとの相対運動可能にシールするシール本体と、該シール本体を前記ハブと前記シャフトとの間に保持するシールホルダーとを有し、前記シールホルダーと前記ハブとの接合部に、該シールホルダーと該ハブとを接着剤で固着している第1硬化層と;該第1硬化層の上に積層されている嫌気性接着剤からなり、該嫌気性接着剤が未硬化の状態にある未硬化層と;該未硬化層の上に積層されている接着剤の硬化体である第2硬化層とを含むシール構造を有するシールが設けられていることを特徴とする。あるいは、前記シールホルダーと前記シール本体との接合部に、該シールホルダーと該シール本体とを接着剤で固着している第1硬化層と;該第1硬化層の上に積層されている嫌気性接着剤からなり、該嫌気性接着剤が未硬化の状態にある未硬化層と;該未硬化層の上に積層されている接着剤の硬化体である第2硬化層とを含むシール構造を有するシールが設けられていることを特徴とする。
【0012】前記嫌気性接着剤は、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有し、前記シールホルダー手段又は前記シールホルダー又は前記ハブを構成している金属のイオン存在下で硬化反応を開始する接着剤であることが好ましい。また、前記シール本体は磁性流体シールであることが好ましい。
【0013】本発明のディスク装置は、情報を記憶する記録媒体が装着されるディスク受け部を有するスピンドルモータと;該記録媒体の所要位置に情報を書き込み又は読み出すための情報アクセス手段と;前記スピンドルモータ及び前記情報アクセス手段を固定するとともに、内部に収納するハウジングを備えたディスク装置であって、前記スピンドルモータは、上記本発明のモータであることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】はじめに、本発明のシール機構を、図4に基づいて説明する。
【0015】図4は、例えば図3に示すようなシール装置のハブ8−シールホルダー11間に用いられる接着剤固化部17、又はシール本体12−シールホルダー11間に用いられる接着剤固化部16に代えて用いられる接着剤タイプのシールの構造を示している。つまり、ハブ8−シールホルダー11間に用いられる場合、ハブが第1部材21でシールホルダー11が第2部材22に該当し、シール本体12−シールホルダー11間に用いられる場合には、シール本体12が第1部材21でシールホルダー11が第2部材22に該当する。
【0016】本発明に係るシール構造を有する接着剤タイプのシール23は、第1部材21と第2部材22との接合部27に設けられていて、接合部27の隙間の小さい側から順に、接着剤が硬化してなる第1硬化層24、接着剤が未硬化で流体状態にある未硬化層25、接着剤が硬化してなる第2硬化層26の3層積層構造を有している。
【0017】ここで、第1部材21及び第2部材22は、一般に端部が面取りされているので、連結される第1部材21及び第2部材22の面取り部分により形成される凹部に、本発明のシール構造23は設けられることになる。
【0018】第1硬化層24は、面取り部分により形成される凹部の先端から、第1部材21と第2部材22との間のクリアランスに設けられた接着剤の硬化体である。
【0019】第1硬化層24に用いられる接着剤としては、被着体である第1部材21及び第2部材22、具体的には金属と濡れ性が良好な接着剤で、塗布後迅速に硬化できる接着剤であればよく、第2硬化層26に用いられる接着剤と同種類のものであってもよいし、異なる種類のものであってもよい。具体的には、従来からシールホルダーとシール本体や、シールホルダーとハブとの連結部を固着するのに用いられてきた接着剤、例えば紫外線硬化型接着剤などが用いられる。具体的には、ロックタイト社の648V、スリーボンド社の30Y−157Cなどが挙げられる。この他、未硬化層25に用いられる接着剤(嫌気性接着剤)と同種の接着剤を用いることもできる。第1硬化層24に用いられている接着剤が嫌気性接着剤の場合、嫌気性接着剤が第1部材21と第2部材22との間のクリアランスに入って空気が遮断されることにより硬化している。
【0020】未硬化層25は、嫌気性接着剤が未硬化で流体状態にある層である。嫌気性接着剤とは、反応形アクリル系接着剤の一種で、後述する硬化条件を満足しない間は硬化せず、長時間液状を保っていることができる。具体的には、分子構造の一部に、アクリロイル基、メタクリロイル基を有しているポリエステル型ポリマーあるいはポリエーテル型ポリマーを主成分とするもので、これらのポリマーを空気酸化して嫌気性を付与することにより、あるいは重合開始剤として有機過酸化物を添加することにより、嫌気性接着剤となる。
【0021】このような嫌気性接着剤は、■空気(酸素)の遮断、換言すると重合形成を阻止するのに十分な酸素が供給されない状態で、■金属と接触し、■適正な温度、■適度なクリアランスが存在するという4つの硬化条件を満足したときに硬化する。つまり、空気に触れている間は発生したラジカルが酸素と反応して不活性になるため液状を保っているが、一旦、金属の隙間において薄膜の状態となり空気が遮断されると、すなわち重合禁止作用を有する酸素が遮断されると、金属イオンが開始触媒となって開始ラジカルを生じ、この開始ラジカルがアクリロイル基またはメタクリロイル基のラジカルを発生させる。発生したアクリロイル基またはメタクリロイル基のラジカルは結合しあって(ラジカル重合)、ポリマーの架橋構造が形成され、硬化することができる。
【0022】未硬化層25を構成している嫌気性接着剤の上記特性は、第1硬化層24にクラックが発生したり、第1硬化層24が第1部材21または第2部材22から剥がれてシールの密封性が損なわれたときに、即座にシールの密封性を回復するのに役立つ。すなわち、温度変化に伴う第1部材21の膨張収縮と第2部材22の膨張収縮の差異により、あるいはモータの回転運動に伴う振動の伝播により、第1硬化層24にクラックがはいったり、第1硬化層24が第1部材21または第2部材22から剥がれる場合がある。このようにして生じた隙間に、未硬化層25の嫌気性接着剤が流入し、重合を阻止するのに十分な酸素が供給されない状態になると、第1部材21又は第2部材22の構成金属が重合開始剤となって嫌気性接着剤が硬化する。このようにして、第1硬化層24の剥がれ等により生じた第1部材21と第2部材22間の隙間が塞がれ、損なわれた接着剤固化部の密封性が修復されることになる。つまり、モータの回転運動により、接着固化部が剥がれたり、クラックを生じることがあっても、本発明のシール構造を有するシール23であれば密封性を回復することができる。
【0023】尚、嫌気性接着剤には、バインダーの主成分となるメタクリロイル基またはアクリロイル基を有するポリマー、重合開始剤の他、硬化反応を速めるためのプライマー、重合促進剤、重合禁止剤、粘度調整剤、接着強さ調整剤、着色剤、その他の改質添加剤が、必要に応じて含有されていてもよい。
【0024】第2硬化層26は、未硬化層25の上に積層されている接着剤の硬化体で、流体の接着剤からなる未硬化層25を保持するために設けられる。つまり、第2硬化層26は流体の上に積層されていることになるが、未硬化層25及び第2硬化層26の比重等を調整することにより、本発明の3層の積層構造を維持することができる。具体的には、第2硬化層26の比重が未硬化層25の比重より小さくすることが好ましい。
【0025】第2硬化層26は、静止状態では、第1部材21及び第2部材22に固着している。第2硬化層26は、第1硬化層24と同様に、モータの回転運動に伴う振動の伝播等が原因となって第1部材21又は第2部材22から剥がれて、シールの密封性が損なわれる場合が生じ得る。しかし、この場合も、生じた隙間に、未硬化層25の嫌気性接着剤が流入し、重合形成を阻止するのに十分な酸素が供給されない状態になると、第1部材又は第2部材22の構成金属が重合開始剤となって嫌気性接着剤が硬化する。
【0026】以上のように、本発明の接着剤タイプのシール構造23は、モータの回転運動等によりシールの密封性が損なわれることがあっても、即座に修復して、再び密封性を回復することができる。
【0027】本発明のモータは、モータの内部空間と外部空間を遮断するシール装置が、シャフトと該シャフトに支持されたハブとの間の間隙に備えられたモータであって、該シール装置が、前記ハブと前記シャフトとの相対運動可能にシールするシール本体と、該シール本体を前記ハブとシャフトとの間に保持するシールホルダーとを有し、前記シールホルダーと前記ハブとの接合部に、あるいは前記シールホルダーと前記シール本体との接合部に、上記本発明の接着剤タイプのシール構造を有するシールが設けられている。本発明のシール構造を有するシールは、固定部分に設けられるシールであって、従来接着剤で固着していた部分に使用される。従って、前記シールホルダーと前記ハブとの接合部、前記シールホルダーと前記シール本体との接合部、あるいはこれらの双方に、本発明のシール構造を有するシールが設けられる。
【0028】本発明のモータは、記録媒体が装着されるディスク受け部がハブに備えられていて、ハブが回転するタイプのスピンドルモータの場合、図2に示すような構成を基本的に有することになる。シール本体としては、シール本体を挟持している2つの部材の相対運動可能にしつつ、シール性能が優れたものであれば特に限定しないが、図3に示すような磁性流体シールが好ましく用いられる。
【0029】以上のような構成を有する本発明のモータは、モータの回転に伴う振動や、接合連結されている2種類の金属の熱膨張率の相違により、シール本体を支持固定する接着剤固化部が剥がれて接合連結している2つの金属部材間に隙間が生じても、未硬化層を構成している嫌気性接着剤がその隙間に入り込み、そこで硬化することにより、連結部を再び固定し、シール機能を回復できる。特に、シール本体として磁性流体シールを用いる場合、一般にシールホルダーはアルミニウムで構成され、シール本体はステンレスで構成されるため、両者の熱膨張率の差異により既に硬化した接着剤固化部の剥がれやクラックを引き起こし易かったが、本発明のシール構造を有する接着剤タイプのシールであれば、破れたシールを即座に修復できるので、高度なシール機能を維持することができる。
【0030】尚、未硬化層25の嫌気性接着剤が流入して硬化できる隙間、クラックの大きさは、嫌気性接着剤の種類により異なるが、例えばスリーボンド社のTB1373Nの場合に0.01〜0.2mm程度である。
【0031】また、上記説明においては、シャフトが回転しない方式のスピンドルモータを例にとって説明したが、本発明はシャフトが回転する方式のスピンドルモータにおいても適用できる。
【0032】本発明のディスク装置は、備えられているスピンドルモータが、上記本発明のモータ、すなわち本発明のシール構造を備えたスピンドルモータで、その基本的構造は、図1に示すディスク装置と同様である。すなわち、記録媒体を保持できるディスク受け部を有するスピンドルモータ32と、該記録媒体の所要位置に情報を書き込み又は読み出すための情報アクセス手段34を有し、前記スピンドルモータ32と前記情報アクセス手段34は、ハウジング31内に収納固定されている。
【0033】このような構成を有するディスク装置では、スピンドルモータ32の外部、すなわちディスク収納空間は、スピンドルモータに備えられたシール構造を有するシールの作用により、クリーンな環境が維持される。つまり、記録媒体33をクリーンな環境で保持することができるので、情報アクセス手段34による情報の読み取り及び書き込みに際して、スピンドルモータ内の汚染空気やオイルミストに起因する誤読や誤書込みを防止することができる。
【0034】尚、本発明のシール構造は、モータのハブ−シールホルダー間、シールホルダーとシール本体間に限定されず、熱膨張率が異なる2種類の金属から構成される部材の連結部のシール一般に、適用することが可能である。
【0035】
【発明の効果】本発明の接着剤タイプのシール構造は、静止状態では未硬化の流体状態であり、金属の隙間に流入して硬化することができる嫌気性接着剤からなる未硬化層を有しているので、モータの回転や接合されている2種類の部材の熱膨張率の差異により、接着剤の硬化部が剥がれたり、クラックが発生して、密封性が損なわれるような場合が発生しても、即座に隙間に嫌気性接着剤が流入して固化し、密封性を回復することができる。
【0036】従って、本発明のシール構造を備えたモータは、熱膨張率が異なる2種類の部材を接合連結部に用いても、温度変化の激しい動作環境下で高度なシール機能を維持することができる。
【0037】本発明のディスク装置は、シール機能が優れているスピンドルモータを用いているので、ディスク収納空間をクリーンな環境に保持することができ、塵や埃による誤読、誤書込みが少ない。
【出願人】 【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
【出願日】 平成12年1月14日(2000.1.14)
【代理人】 【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司 (外2名)
【公開番号】 特開2001−200932(P2001−200932A)
【公開日】 平成13年7月27日(2001.7.27)
【出願番号】 特願2000−10209(P2000−10209)