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【発明の名称】 複合合金スリーブを含むプラスチック成型用加熱シリンダ
【発明者】 【氏名】トニー ユー. オータニ

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内部スリーブとシリンダ本体とからなり、内部スリーブは内径ライニングとこれを囲んで形成された外層部材を含み、外層部材は第1熱膨張係数を有し、シリンダ本体は内部スリーブを同軸的に囲み、第2熱膨張係数を有し、第1熱膨張係数は第2熱膨張係数よりも大であることを特徴とするプラスチック成型用加熱シリンダ。
【請求項2】 内部スリーブの内径ライニングが、高耐摩耗性耐食性の合金、またはセラミック複合物、または88〜94%の炭化物を含む焼結炭化物またはHIP焼結炭化物、または高炭化物含有量をもつサーメットによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の加熱シリンダ。
【請求項3】 内部スリーブの外層部材の第1熱膨張係数が15.0〜22.0×10-6in/in/℃(15.0〜22.0×10-6m/m/℃)の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の加熱シリンダ。
【請求項4】 内部スリーブの外層部材が60Ni−24Fe−16Cr、35Ni−45Fe−20Cr、10Ni−18Cr−Fe、およびマンガン黄銅からなる群から選ばれた材料によって構成されたことを特徴とする請求項3に記載の加熱シリンダ。
【請求項5】 シリンダ本体の第2熱膨張係数が10.0〜12.5×10-6in/in/℃(10.0〜12.5×10-6m/m/℃)の範囲にあり、シリンダ本体が高熱伝導率を有することを特徴とする請求項1に記載の加熱シリンダ。
【請求項6】 シリンダ本体が、熱処理鋼、低合金高抗張力鋼、高力黄銅からなる群より選ばれた材料によって構成されたことを特徴とする請求項5に記載の加熱シリンダ。
【請求項7】 スリーブ外層部材が、内径ライニングとシリンダ本体との間の間隙に直接鋳込まれたことを特徴とする請求項1に記載の加熱シリンダ。
【請求項8】 スリーブ外層部材は第1熱膨張係数を有し、シリンダ本体は第2熱膨張係数を有し、前者は後者よりも大きく、第一選択温度においてスリーブ外径はシリンダ本体の内径より小さいが、温度が上がり、第二選択温度に達すると、スリーブ外径はシリンダ本体の内径と同等、またはそれ以上に膨張することを特徴とする請求項1に記載の加熱シリンダ。
【請求項9】 下記の工程からなるプラスチック成型加熱シリンダの組立方法:内径ライニング部材を第1選択材料によって成型する第1工程、内径ライニング部材を囲みスリーブ外層部材を第2選択材料によって形成した複合スリーブを製作する第2工程、およびシリンダ本体を第3選択材料によって作成し、さらに内部スリーブをシリンダ本体内径部に同軸的に挿入する第3工程、但し、スリーブ外層材料は第1熱膨張係数を有し、シリンダ本体は第2熱膨張係数を有し、前者は後者よりも大きく、第1選択温度における前者の寸法は後者のそれよりも小さく、昇温後の第2選択温度において前者は後者と同大、またはそれ以上に膨張する。
【請求項10】 下記諸工程からなるプラスチック成型加熱シリンダの製造方法:第1熱膨張係数を有するスリーブ外層部材を用意すると共に、第1熱膨張係数より小さい第2熱膨張係数を有するシリンダ本体を用意する工程、内径ライニング部材を第1選択部材によって形成する工程、シリンダ本体を第2選択部材によって形成する工程、内径ライニング部を同軸的にシリンダ本体内径部に挿入し、スリーブ外層部材を直接にその間隙に鋳込む工程。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック成型機の部品に関し、特に、加熱シリンダに関し、具体的には複合スリーブとシリンダ本体の外径部バッキング部材をもつ加熱シリンダに関する。
【0002】
【従来の技術】射出、あるいは押出プラスチック成型、化学機器、食品加工機器の加熱反応シリンダは常に高温、摩耗、腐食などの環境におかれ、さらには内部にて回転するスクリューによるカジリなどの金属の相性による問題を起こす。さらに射出成型機のシリンダは30,000Psi(207mPa)におよぶ高圧、1,000°F(538℃)以上の高温にさらされるが、これらの条件に打ち勝つ耐摩耗性と腐食性をもたねばならず、かつ比較的にコストのかからないものが要求される。
【0003】これらすべての条件を満たす単一金属または合金はなく、従来より下記諸方式による製造方法が用いられてきた。
【0004】第一方式は、窒化鋼シリンダで、図1と図1Aにて示すように、窒化鋼などによる本体シリンダ10は内径部に窒化処理による厚さ0.010in(0.25mm)程度の硬化層が得られる。窒化層はもろく、欠けやすく、耐食性に劣り、鋼材の単価が高いので、大型シリンダはコスト高になる欠点をもつ。
【0005】第二方式は、バイメタリック・シリンダで最も広く用いられている。図2に示すように、複合シリンダ20の外径部22は高強度をもつ鋼材により内径ライニング部材24は耐摩耗性、耐食性を持つ合金で、通常0.065in(1.6mm)程度の厚さで、金属的に結合されている。
【0006】内径ライニング部材24は、図3Aと図3Bに示すように、下記の遠心鋳造法によって溶合(または融合)される。内径ライニング合金は、粒状、インゴット、あるいは粉末状でシリンダ本体22の内径表面28に計量されたのちに、均等なレベルに配置され、両端部に鋼材キャップが溶接されたのちに、炉内にて熱Qが加えられ、低速回転のうちに2,200°F(1,240℃)前後に加熱され、内径ライニング合金は溶け落ち(シリンダ本体部鋼材の溶点は通常で2,700°F(1,482℃)以上)、その直後に炉外の遠心鋳造ロールにより、70G以上の遠心力のもとに、冷却、凝固され、均等な厚さをもつ内径ライニング24が形成される。
【0007】内径ライニング合金の代表的なものには、Fe−Ni−B系があり、硬さRc60〜65に達し、耐摩耗性は良いが、耐食性に欠ける。
【0008】また、Co−Ni−B系の硬さはRc48〜55程度であり、耐食性は良いが耐摩耗性に欠ける。新合金として米国特許第3,836,341号と米国特許第4,430,389号などにある炭化タングステン粉末をNi−Cr−B系バインダー合金によりサーメット状に結合した超耐摩耗性、耐食性を持つものがあげられる。しかし、バイメタリック・シリンダには下記諸欠点が伴ってくる。
【0009】第一にシリンダ本体、バッキング材22は常に2,400〜2,600°F(1,316〜1,427℃)に加熱され、最大許容オーステナイト化温度以上に達し、結晶粒の過大成長、脱炭、その他の弊害を鋼材に与える。さらにシリンダ本体、バッキング材の材質には多くの合金鋼が用いられているが、その強度特性を与えるための熱処理を行うと、内径ライニング合金の割れを伴うので、焼入れ、焼戻しを伴う熱処理は不可能である。
【0010】第二に内径ライニング合金はシリンダ本体内径部に封入されて、回転しながら加熱されて溶け落ちるが、シリンダ本体の最高許容加熱温度に鑑み、通常は融点が2,100°F(1,149℃)以下の合金に制限され、この合金には硬さが要求されるので、ガラス金属といわれるボロンとシリコン含有量の高い合金となり、これらの合金は脆く、抗張力が5,000Psi(34.5mPa)程度に留まる。これ以上の特性をもつ合金は数多くあるが、その融点は2,100°F(1,149℃)を超えるので、現存のバイメタリック・シリンダの製法では使用できない。
【0011】第三に、内径ライニングの表面30は用途上、不純物の無い清浄なプラスチックを製造するので、常にピンホール、割れなどの欠陥のない鏡面に近い表面仕上げが要求される。しかし、遠心鋳造法によると、これらの欠陥が表面に生じやすく、その結果、再処理過程またはスクラップ化によりコスト高を招く。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は上記の欠点の無いプラスチック成型用加熱シリンダを製造するのに役立つものである。
【0013】本発明の目的は、プラスチック成型用加熱シリンダが複合合金内部スリーブとシリンダ本体を組み合わせたもので、その内径ライニング材の材料は、選ばれた高耐摩耗性、耐食性によって構成されたものである。
【0014】さらに本発明の目的は、プラスチック成型加熱シリンダの製造方法に関するもので、欠陥の生じやすい内径ライニング材より先に成型を行い、工程がさらに進む前に欠陥を探知、補修などを可能ならしめ、大きな不良品発生によるコスト減を未然に防ぐことを可能ならしめる。
【0015】さらに本発明の目的は、プラスチック成型加熱シリンダのシリンダ本体材料に高抗張力材料など広範囲な選択性を持たせ、肉厚の減少、高熱伝導度に寄与する材料の使用を可能にするところにある。
【0016】さらに、本発明の目的は、プラスチック成型加熱シリンダの内部スリーブが、焼バメ工程を経ず、簡単に着脱ができ、取換コストを低減させ、さらに違ったプラスチック材料とスクリュー材料に見合う最適材料の組合せ使用を可能ならしめるものである。
【0017】さらに本発明の目的はプラスチック成型加熱シリンダの製造が、特殊な遠心鋳造装置を用いずに、既存の材料と処理法によって可能ならしめるものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明のプラスチック成型用加熱シリンダは、内部スリーブとシリンダ本体とからなり、内部スリーブは内径ライニングとこれを囲んで形成された外層部材を含み、スリーブ外層部材は第1熱膨張係数を有し、シリンダ本体は内部スリーブを同軸的に囲み、第2熱膨張係数を有し、第1熱膨張係数は第2熱膨張係数よりも大である。
【0019】内部スリーブの内径ライニングが、高耐摩耗性耐食性の合金、またはセラミック複合物、または炭化物を88〜94%含む焼結炭化物またはHIP焼結炭化物、または高炭化物含有量をもつサーメットによって構成される。
【0020】内部スリーブの外層部材の第1熱膨張係数が15.0〜22.0×10-6in/in/℃(15.0〜22.0×10-6m/m/℃)の範囲にある。
【0021】内部スリーブの外層部材が60Ni−24Fe−16Cr、35Ni−45Fe−20Cr、10Ni−18Cr−Fe、およびマンガン黄銅からなる群から選ばれた材料によって構成される。
【0022】シリンダ本体の第2熱膨張係数が10.0〜12.5×10-6in/in/℃(10.0〜12.5×10-6m/m/℃)の範囲にあり、シリンダ本体が高熱伝導率を有する。
【0023】シリンダ本体が、熱処理鋼、低合金高抗張力鋼、高力黄銅からなる群より選ばれた材料によって構成される。
【0024】スリーブ外層部材が内径ライニングとシリンダ本体との間の間隙に直接鋳込まれる。
【0025】スリーブ外層部材は第1熱膨張係数を有し、シリンダ本体は第2熱膨張係数を有し、前者は後者よりも大きく、第一選択温度においてスリーブ外径はシリンダ本体の内径より小さいが、温度が上がり、第二選択温度に達すると、スリーブ外径はシリンダ本体の内径と同等、またはそれ以上に膨張する。
【0026】本発明のプラスチック加熱シリンダの組立方法は、下記の工程からなる。
【0027】内径ライニング部材を第1選択材料によって成型する第1工程。
【0028】内径ライニング部材を囲みスリーブ外層部材を第2選択材料によって形成した複合スリーブを製作する第2工程。
【0029】および、シリンダ本体を第3選択材料によって作成し、さらに内部スリーブをシリンダ本体内径部に同軸的に挿入する第3工程。
【0030】但し、スリーブ外層材料は第1熱膨張係数を有し、シリンダ本体は第2熱膨張係数を有し、前者は後者よりも大きく、第1選択温度における前者の寸法は後者のそれよりも小さく、昇温後の第2選択温度において前者は後者と同大、またはそれ以上に膨張する。
【0031】あるいは、本発明のプラスチック加熱シリンダの組立方法は、下記諸工程からなる。
【0032】第1熱膨張係数を有するスリーブ外層部材を用意すると共に、第1熱膨張係数より小さい第2熱膨張係数を有するシリンダ本体を用意する工程。
【0033】内径ライニング部材を第1選択部材によって形成する工程。
【0034】シリンダ本体を第2選択部材によって形成する工程。
【0035】内径ライニング部を同軸的にシリンダ本体内径部に挿入し、スリーブ外層部材を直接にその間隙に鋳込む工程。
【0036】
【発明の実施の形態】本発明は複合プラスチック成型用加熱シリンダに関するもので、シリンダ本体がバッキング部材の内径部に複合合金スリーブを内含するものである。複合合金スリーブは、内径ライニングを同軸的に囲むスリーブ外層部より構成される。内径ライニングの材質は、高性能、すなわち高耐摩耗性、耐食性を有するもので、従来のバイメタリック・シリンダ遠心鋳造法では得られない材質、例えば炭化タングステンを88−94%含む焼結合金、またはHIP焼結合金、または真空、雰囲気調整炉で溶解された諸種の高炭化物含有量のサーメット、またはその他のセラミックなどの複合材料を用いることができる。
【0037】スリーブ外層部材は内径ライニング材を補強し、さらに高熱膨張係数をもたらすのもので、これは内径ライニング材を囲み、普通の鋳造法によるか、あるいは予め用意された管材の内部にライニング材を焼結、HIP焼結するか、サーメット状にして融合させるか、あるいは内径ライニングと本体シリンダの内径部の間にスリーブ外層部材を直接鋳込むことによって製造される。
【0038】この方法によると、シリンダ本体材はバイメタリック・シリンダ遠心鋳造時の高温に接することなく、従って熱処理可能な合金鋼、または低合金・高抗張力鋼、または高力黄銅などをいずれも用いることができる。
【0039】シリンダ本体の熱膨張係数は通常10.0〜12.5×10-6in/in/℃(10.0〜12.5×10-6m/m/℃)の範囲をもち、スリーブ外層部材のそれよりもはるかに小さく、さらに熱伝導度の高いものが望ましい。
【0040】内部スリーブとシリンダ本体は、室温において、スリーブ外径がシリンダ本体の内径よりも小さいので、機械的なスライド組合せが可能であるが、操業温度に加熱されると、スリーブ外径がシリンダ本体の内径よりも大きくなり、これによって焼バメ効果が得られる。スリーブ外層部の材質として高熱膨張係数の外に、シリンダ本体に近い剛性率20〜30×10-6Psi(138〜207GPa)に近いものが望ましい。
【0041】上記のスライド組立方式と異なる方法として、内径ライニングとシリンダ本体との間に直接にスリーブ外層材料を鋳込むことができる。スライド組合せ方式によると、スリーブの取り替えができる長所があるが、鋳込み方式によると高性能ライニング材を用い、加工コストが減るなどの長所がある。
【0042】以下において詳しく本発明の長所と特徴を説明する。
【0043】図4から図9Bによって本発明の諸段階を示す。
【0044】図4と図5にて示すように本発明による加熱シリンダ100は複合合金内部スリーブ102とシリンダ本体104によって構成され、シリンダ本体はスリーブを同軸的に内蔵する。
【0045】図5にて示すように内部スリーブ102は内径ライニング106とスリーブ外層108とによって構成され、内径ライニングは同軸的にスリーブ外層の内に構成される。
【0046】内径ライニング106の表面110はプラスチック等の成型時に生じる不純物着色剤などの介入を防ぐために、鏡面に近い仕上げが要求される。通例として内径ライニングの厚さは0.065インチ(1.65mm)、スリーブ外層108の厚さは0.20〜0.50インチ(5〜13mm)程度で、シリンダ本体104の肉厚はスリーブ外層径3/4〜6in(19〜152mm)に対して、3/4〜4.0in(19〜102mm)程度である。
【0047】図5にて示すように類似したプラスチック成型シリンダ100’の複合スリーブ102’は、シリンダ本体104’内に収納され、内部スリーブ102’は内径ライニング106’とスリーブ外層108’とによって構成されている。内径ライニングの表面100’は双筒であり、部分的に互通する内径部110aと110bとによって構成される。内径ライニングの表面110’はプラスチック成型時における不純物着色剤などの介入を防ぐために、鏡面に近い仕上げが要求される。
【0048】本発明は、図5と図5Aにて示すような類似内部スリーブ構造か、その他の類似構造にも適用される。
【0049】内径ライニング106、106’は通常のバイメタリック・シリンダ製造法では得られない高耐摩耗性、高耐食性をもつ合金により構成され、ライニング106、106’の望ましい材料の一例として88〜94%の炭化物を含む焼結炭化物、またはHIP焼結体、または真空、雰囲気調整炉によって溶解された高炭化物含有量のサーメットで、これを遠心鋳造法または普通鋳造法によってスリーブ外層に結合されたもの、あるいは融点が2,100°F(1,149℃)を超す高耐摩耗性、耐食性合金、あるいは複合セラミック材料などがある。
【0050】本発明による望ましい製造方法は、図6、図6Aに示す如く、先ず内径ライニング材106、106’を製造し、その内径表面110、110’には仕上げ加工が施される。最終段階において内径ライニング106、106’の表面は検査結果に応じて補修される。内径ライニング表面の仕上げ状態は製品全体の品質を左右するもので、プラスチック成型加熱シリンダ100,100’の製造初期に検出を行い、必要に応じた補修を行うのが望ましい。
【0051】スリーブ外層108、108’は内径ライニング106、106’を補強し、かつ高熱膨張を与えるものであり、ライニング106、106’を中心に鋳込むのが望ましいが、その代わりに、スリーブ外層部材が管材として備えられ、内径ライニング部材106、106’をその内径部に焼結、HIP焼結、サーメットとしての普通または遠心鋳造による結合、あるいは内径ライニング部材106、106’とシリンダ本体104、104’の内径との間にスリーブ外層部材108、108’を鋳込むことができる。スリーブ外層部材108、108’の材料は、60Ni−24Fe−16Cr、35Ni−45Fe−20Cr、10Ni−18Cr−Feまたはマンガン黄銅などの、熱膨張係数が比較的に高い15〜20×10-6in/in/℃(15〜20m/m/℃)範囲のものとする。これらの部品によって構成された内部スリーブを図7と図7Aにて示す。
【0052】図8は図5の内部スリーブ102の側面略図であり、ホッパー112よりプラスチック材料流れの下端部102aは常に摩耗と腐食とにさらされ、前述の材料はこれに対処しうる。ホッパー112の上端部112bはプラスチックの摩耗と腐食には浸されないが、スクリューによるカジリなどの問題が生じるために、図8Aに示すように、この部分に低摩擦係数材料による軸受材、例えば鉄−黄銅系焼結合金などを使用することができる。下端部102a’はスリーブ102”の一部で上端部102b’と溶接、ロウ付け、またはスリーブ外層によって機械的に接合される。
【0053】本発明によるシリンダ本体104、104’の材料は、バイメタル遠心鋳造法に用いられる温度2,100〜2,300°F(1,149〜1,260℃)に加熱されることがないので、熱処理可能な合金鋼、または低合金、高抗張力鋼などのいずれによっても高強度をもたらすことができ、さらに高熱伝導度が必要であれば、高力黄銅の使用をも可能ならしめる。
【0054】望ましい材料の一例としてAISI4140合金鋼および低合金高抗張力鋼など、熱膨張係数が10.0〜12.5×10-6in/in/℃(10.0〜12.5×10-6m/m/℃)の範囲内になるものとする。
【0055】本発明による組立方式は、先ず仕上げ加工済みの内部スリーブ102、102’をシリンダ本体104、104’の内部にスライド挿入する。一般の使用上、この方式が望ましく、これはスリーブ102の外層部108の熱膨張係数がシリンダ本体のそれより大きいことによって可能ならしめている。
【0056】プラスチック成型加熱シリンダ100につき、図9Aと図9Bによってその作動原理を説明すると、シリンダ本体104の内径D1は室温において内部スリーブ102の外径D2より、図9Aに示すようにやや大きめである。室温において、内部スリーブ102はシリンダ本体104の内径にスライド挿入される。プラスチック成型温度650〜1,180°F(343〜638℃)に達する過程において、熱膨張係数差によってD1とD2の寸法は変わり、先述の操業温度に達すると逆にD2はD1よりも大きくなり、焼バメ効果が生じ、図9Bに示すように密接して一体になる。例として、内部スリーブの外径1〜6インチ(25〜152mm)に対する上記熱膨張係数差による直径の伸びは、0.002〜0.011in(0.05〜0.28mm)に達し、スライド挿入の最大許容クリアランス0.0012〜0.0023in(0.03〜0.06mm)を相殺した後においても、焼バメ効果に伴うシリンダ本体によるフープ圧力は21,100〜50,000Psi(145〜345mPa)に達し、成型時の内部圧力を充分に相殺でき、内部ライニング部材の早期破壊を防止することができる。
【0057】スリーブの維持点検、または取り替えが必要になれば、シリンダ全体を室温まで下げることによって、D1>D2とスリーブの外径は小さくなり、シリンダ本体よりスライドを取り外すことができる。
【0058】上記方法の代案として、スリーブ外層材料108、108’は内径ライニング106、106’とシリンダ本体104、104’との間隙に直接鋳込みをすることもできる。上記スライドによる組合せ方式は、サービス上の利点をもたらすが、後者の直接鋳込みによる方式はコスト減と複雑な構造をもつ内径ライニングの製造に役立つ。
【0059】一般的には、予め形成されたスリーブとシリンダ本体との組立方式が望ましいが、スリーブを囲み、シリンダ本体を形成する方式をも用いることができる。
【0060】さらに、スリーブ外層部材の剛性率はシリンダ本体のそれに近い20〜30×10-6Psi(138〜207GPa)範囲にあるのが望ましい。
【0061】上記の諸原理は、本発明を理解する人々にとって変更、改良が原理に応じたものであれば、特許請求の範囲内にあるものとして承諾されるものである。
【出願人】 【識別番号】500511707
【氏名又は名称】トニー ユー. オータニ
【出願日】 平成12年11月6日(2000.11.6)
【代理人】 【識別番号】100084087
【弁理士】
【氏名又は名称】鴨田 朝雄 (外1名)
【公開番号】 特開2001−200931(P2001−200931A)
【公開日】 平成13年7月27日(2001.7.27)
【出願番号】 特願2000−338008(P2000−338008)